世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【米株の根拠なき上昇にハラハラ?のFRB】ホントに利上げ?米経済は大丈夫か②

2015-05-29 00:04:34 | アメリカ

(前回からの続き)

 FRB利上げ時期をいつにしたものか、なんて具合にまごついているうちに、せっかちなマーケットが「利上げはまだない」と勝手に(?)先読みして株価ばかりがファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)等の裏付けのないままにどんどん上がってしまった・・・といったあたりが昨年の秋からこれまでのアメリカの金融市場の動きかと思っています。

 で、直近はどうかというと・・・為替相場はドル全面高の様相。まあこれは分かる気がしますね、いよいよアメリカの利上げが迫ったとの観測が支配的になっているから。むしろここでスゴイな・・・と感じさせられるのは、前回書いたような事情などから、本来なら下がってもおかしくない米株価が上がったこと。S&P500種でみると、26日こそ2104.2ポイントと前営業日から約22ポイント下落しましたが、翌27日は2123.48ポイントと再上昇に転じました。まあこの先はどうなるか分かりませんが、市場のセンチメントは「米経済は強い」といった感じで悪くなさそうだから、利上げ目前(?)なのに、さらに株価は上がって、近々最高値を更新する可能性もありそうです。

 ですが・・FRB幹部の皆さんは、この株価の動きに内心ハラハラしているのではないかと・・・。なぜならFRBは、すでに巨大化し過ぎた資産バブルを軟着陸させるために利上げに踏み切ろうとしているにもかかわらず、株価には上記のような上昇エネルギーがまだまだ感じられるためです。なので「株式市場よ、頼むからわれわれの思いを感じ取って、もうこれ以上バブルに走らないでくれ。さもないと利上げのマイナスインパクトがキツくなり過ぎる~」あたりがイエレンFRB議長の胸のうちなのではなかろうか、なんて想像をしています。かといって「株はすでにバブルだ」なんて本音を口にしてバブルを破裂させるわけにはいかないし・・・。ホント、「市場との対話」は楽じゃない?

 一方、ある意味で株価以上に注意を要する(長期)金利のほうですが、現時点(5/28)で2.1%台半ばと、金融政策の引き締めが急速に意識され出したこの一週間でみると、わずかとはいえ下がり傾向です。これはアメリカにとっては理想的な展開でしょう。利上げでもっともおそろしいのは住宅や自動車などの借金バブルを支えてきたローン金利の上昇を招くこと。そのベースとなる長期金利が利上げを前にして低いレベルで安定している(ように見える?)わけだから、どうやら無理なく利上げの第一歩が踏み出せそうだ、なんてふうにFRBは目論んでいるかもしれませんが・・・

(続く)

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【米株価、利上げ後ずれ期待で上がったけれど…】ホントに利上げ?米経済は大丈夫か①

2015-05-27 00:01:20 | アメリカ

 いま利上げしたらローン等の金利が急上昇してリセッション入りのリスク発生、かといって利上げを見送りつづけたら資産バブルは危険なまでに膨れ上がる一方・・・さあどうしよう・・・。日銀、ではなく米FRBはいよいよ厳しい判断を迫られる局面に立たされた感じです。

 昨年10月に綴ったこちらの記事で、インフレ率等を考慮に入れた同9月中旬時点のアメリカの株価がいかに割高か、ということを示唆するデータをご紹介しました。そのときの株価ですが、ダウ工業株30種平均17031ドル、S&P500種株価指数1984ポイント(9月15日)でした。そしていまは・・・ダウ平均18232ドル、S&P2126ポイント(5月22日時点)と、両者ともこの8か月でさらに7%あまり上がって現在、史上最高値付近にあります。

 で、上記の米株価上昇の最大のエンジンになったのは、いうまでもなくこの間の金融緩和的な市場環境。今度はこちらの記事に書いたとおり、(日本も、だけど)いまのアメリカでは金融政策こそが最大の株価決定要因―――つまりこれが緩和的なら株価は上昇、引き締め的なら下落という動きを示しています。ということは・・・株価が7%超も上がったということは、投資家がこの期間「FRBの利上げはない」と読み、少しでも利ザヤを稼ごうとキャリートレードで調達した超低利マネーを株につぎ込んだのでしょう。実際、FRBは(量的緩和策こそ昨年10月で止めたものの、)これまでゼロ金利を継続し、そんなバクチみたいな取引が行えるマーケットの地合いを維持したわけで・・・。

 当然、この間の株価はアメリカのファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)を適切に反映しているとはいえません。4月に発表された第一四半期のGDP成長率は急ピッチの株価並み・・・からはほど遠く、前期比年率0.2%増とやっとプラスになる程度。前期の2.2%増から大きく減速しています。で、本来ならこうした弱々しい経済情勢は株価にネガティブなはずですが、上述したように、これが利上げ時期の後ずれ期待を株式市場に喚起し、株価が押し上げられた、といったところ。まさに実体経済そっちのけ、「金融緩和相場」全開の様相です。

 そんなこんなでこの8か月で7%にまで達した米株価の値上がり幅はそのまま「バブル」の膨張分であるといって間違いないでしょう。すでに十分にバブルといえる水準にあった昨年9月からさらにバブルが上乗せされているわけですからね。つまりFRBとしては、それだけ株バブルの軟着陸を図るためのガス抜き、つまり利上げが難しくなったということになります。

(続く)

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【「日本愛」どこに・・・?】自国ではなく他国におもねる日本メディアの特異性②

2015-05-25 00:01:35 | 日本

(前回からの続き) 

 先述のとおり、「国境なき記者団」が発表した「世界報道自由度ランキング」でワースト5となった中国の報道機関は中国共産党、つまりかの国の支配階級の利益を代弁するメディアです。同じようにワースト2位の北朝鮮の「労働新聞」等も偉大なる大将様の御用メディア。両者ともに権力「べったり」ではありますが、それでもすり寄る先はあくまでも「自国」の政治権力となっています。両国以外のランキング下位諸国のメディアも同様で、自分たちの(独裁)大統領がいかに立派か、みたいな報道をしているわけです。

 これに対し、同ランキング61位と、中国ほどではないにせよ、「報道の自由」先進地の北欧諸国に遠く及ばず、G7で最下位と、どこかの専制国家並みの報道の自由しかないとみなされた日本のメディアは、中国・北朝鮮の機関紙と同じく、近ごろは権力迎合傾向を強めてきたものの、そのへつらいの対象が「日本」の権力者・・・というよりは、どうしたことか「他国」(のパワー、イデオロギー、コンセプト等)・・・。これは、世界のどの国のメディアにも見られない、日本メディアだけの特異性だと考えています。大学のメディア論の研究テーマにしてもいいくらい・・・?

 ではこのあたりがどのへんに感じられるか、ですが・・・ここではあえて具体例は挙げませんが、オブラートに包んだような言い回しや表現等で日々伝えられているところです。なぜそんなにデリケートなのかといえば、誰でも分かってしまうようにハッキリとそんな報道をしたら、さすがに「他国ばかりをヨイショして、それでも日本のメディアか!?」と、国民の怒りを買うため、などでしょう(他にもありそうだけど・・・)。だから本心を見透かされないように微妙に、あらゆるジャンルにわたって、TVニュースや新聞記事、はてはアニメまで使いながら人々の潜在意識に訴えかけていくわけです、日本ではなく「他国」がどれほど素晴らしいかを・・・。それがこの4年間、この国で急速に「報道の自由」が失われてきたことと無関係ではないと推察する次第です。

 ヘンな言い方ですが、上記中国・北朝鮮等のメディアはまだ「愛国的」なのかもしれません。なぜなら、彼らの崇拝の対象は独裁者たちとはいえ、DNAや伝統や文化や言語等を国民と共有する「自国」の人々(あるいは自国由来のイデオロギーなど)だから。これに対して日本のメディアときたら・・・。そこにあるのは愛国心ではなく愛「他国」心ばかり・・・。いったい「日本愛」はどこに・・・? 上記「61位」という数字以上に、この国のジャーナリズムの荒廃ぶりはヒドイのではないか―――そんな暗たんたる思いがします。

 ところで、その「他国」とやらはどこか、ですが・・・現権力者の政策「アベノミクス」つまり円安誘導を褒めそやし、いっそう推進させることで、円安・・・人民元高を喚起し、中国人の日本資産「爆買い」サポートと人民元から見た日本の「軍事費」縮小を促して喜んでいただく・・・ということで、ズバリ「中国」!なのではないかと・・・って、違うかな?

(「自国ではなく他国におもねる日本メディアの特異性」おわり)

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【報道自由度ランキング61位まで下がる】自国ではなく他国におもねる日本メディアの特異性①

2015-05-23 00:01:05 | 日本

 少し前のことですが、先の3月、世界各国のジャーナリストによって構成される非政府組織国境なき記者団」が発表した今年2015年の「世界報道自由度ランキング」で、日本の順位が61位にまで下がったことが報じられ、話題になりました。

 Wikipediaによれば、本ランキングは、それぞれの国の「報道の自由」のレベルを評価する50の質問に対する回答を指標化したもの。で、わが国は2010年には11位だったものの、2011年の福島第一原発事故、さらに2013年に制定された特定秘密保護法などにより、報道の自由度が大きく失われたと判断され、順位も上記のとおり急落し、先進7か国で最下位になってしまった、ということだそうです。

 ちなみに、本ランキング全180か国中のトップはフィンランド。上位には北欧諸国が並びます。スノーデン元CIA職員によって政府機関が極秘裏に大量の個人情報を収集していることが暴露されたアメリカは(意外に高く?)49位、韓国は日本とほぼ同じの60位、中国は176位(というか、下から5番目)、そして北朝鮮がブービーの179位などとなっています(ワースト1はアフリカのエリトリア)。当然ながら下位には一握りの支配層が言論統制をするような独裁国家が数多く登場します。

 さて、このランキングにおける日本の位置ですが・・・人によって感じ方はさまざまでしょうが、わが国の民度などと比較すれば「低い」(=悪い)と捉えるべきでしょう。少なくとも、わが国のメディア関係者はこれに象徴される報道の現状とか質に危機感を持たなければならないと思いますね。さらにいうと、61位という順位よりも、わずか4年で50も順位を落としたのはなぜかを検証することが大切です。これほどの短期間で、それだけ政府が報道の自由を抑圧するようなことをやってきたうえ、結果としてメディアもそれを受け入れ、権力に迎合してきたことを意味するわけですから・・・(もっともいまのこの国のジャーナリズムにそんなことをしようという気概はないでしょうが)

 ところで・・・本ランキングでワースト5にランクインしたお隣の中国の報道機関は、その順位が示すとおり誰がどう見ても「御用メディア」だし、自分たちも権力側に立っていることを隠そうとしません(?)。で、上記のとおり最近の日本のマスコミ各社も(「報道の自由」とか「不偏不党」なんて唱えながらも)実態としては中国メディアに負けず劣らず権力寄りになってしまったわけです。

 ですが、両者の間には決定的な違いがあります。そしてそれこそが他国ではけっして見られない日本メディアの特異性だと思っています。それは・・・すり寄るところは同じ権力でも、それが自国ではなく他国だということです。

(続く)

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【インフレ率は政策目標になり得ない】日銀「異次元緩和」破綻したロジックと次なる手⑦

2015-05-21 00:01:28 | 日本

(前回からの続き)

 「異次元緩和」自体もそうですが、個人的には日銀当座預金付利撤廃(あるいはその引下げ)には反対です。その理由は、これがジャパンマネーのドルシフトを多少なりとも促す結果、(1)為替がもう一段の円安に振れ、ただでさえ厳しい政策意図的な輸入インフレ(コストプッシュ型の「悪いインフレ」)がいっそう過酷なものになり、日本経済を痛みつけるおそれがあること、そして(2)近い将来必然的に訪れる(?)円高ドル安局面で、ドルに移っていたこれらのマネーに巨額の為替差損失が発生し、本邦金融機関の財務のみならず、わたしたちの資産(預貯金)にも悪影響が及ぶと懸念されること、の以上2点。

 逆にメリットって何がある・・・? おそらく金利は(長期金利が0.1%を下回るくらいに!?)さらに下がるでしょうが、もとより市中の資金ニーズは乏しいうえ、金利は十分すぎるほど低いので、わずか年0.1%の付利をゼロにしたところで、その景気刺激効果なんて微々たるものでしょう。それどころか実質のマイナス金利幅がいっそう拡大して消費等を冷やす方向へとネガティブに作用するのでは・・・?

 まあ前回書いたように、黒田日銀総裁は付利撤廃等は考えていないと明言されているので、これらの心配事は実現することはないだろう、と思いたいところ。ですが・・・これまた先述のとおり、足元の原油安でインフレ率が伸び悩んでいるうえ、「ジャパンマネーにもっとドル投資をさせろ!」というアメリカのプレッシャーがキツくなるなか、日銀がマネタリーベース拡大へのこだわりを捨て、しゃにむに円安インフレを煽る策に出ないとも限らないので、国民各層には今後もエネルギーコスト上昇や実質所得減を耐え忍ぶ覚悟が求められそうですね、やれやれ・・・

 それにしても・・・いつになったら人々はリフレ政策のオカシサに気がつくのか。インフレ率なんて政策が達成目標に掲げるべき指標ではなく、その時々の総合的な経済情勢(とりわけ「金利」)によって結果的に出てくるものと理解しています。で、わが国は・・・恒常的な経常黒字が超過貯蓄を生み出しているので、ヘンなことさえしなければ金利はそうは上がらないし、(経常赤字国、つまりアメリカに対して)通貨は高くなるから、原油等の輸入必需品の円建て価格はおのずと安定する(場合によっては下がる)、つまり低インフレ(あるいは「デフレ」)状態になるわけですが・・・その何がイケナイの? ガソリン価格電気代や輸入食料品の価格が下がれば、企業の製造原価が下がり、家計の可処分所得は増えるから、それだけ配当や設備投資や消費・貯蓄等に回せるおカネが増えて、みんなハッピーなのでは?

 そんな状態のときに―――自然に超低金利が維持できているときに―――突然、インフレを起こします!とやるからミョーなことになって、国民の多くがマイナス金利、つまり預貯金の目減りとか、「悪いインフレ」等に苦しむわけで・・・。そもそも政府・日銀インフレ目標の2~3%という数字の根拠って、いったい何? ひょっとして「3」くらいならいいんじゃね?みたいな超感覚的な数字なのでは? 実質ゼロ金利のもとで物価が2%上がれば、常識的に考えれば国民の大多数の所得はインフレで減るはずだけど、にもかかわらず日本はどう豊かになるというのか? このあたり、もっともロジカルであるべき、もっとも計量的であるべきこの国のリフレ派エコノミストの誰もが納得のいく理屈を提示できていない。とりわけ日銀のエライ方たちが・・・

 ・・・とにもかくにも、米FRBの金融政策(利上げ、本当にするの? するならいつ?)の行方と合わせ、日銀の次の一手とそのロジックに要警戒、ではなく要注目ですね。

(「日銀『異次元緩和』破綻したロジックと次なる手」おわり)

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【アメリカが待ち望む?付利撤廃】日銀「異次元緩和」破綻したロジックと次なる手⑥

2015-05-19 00:03:37 | 日本

(前回からの続き) 

 日銀当座預金付利撤廃には、(1)同預金口座に貯まっているマネーのドル資産投資を促して為替を円安ドル高方向へと導き、円建て原油価格を引き上げてインフレ率を高める、および(2)これにともなってジャパンマネーの相当量がドル・米国債の買い支えに回ることで、アメリカの金利上昇を多少なりとも抑制させる、の2つの効果が見込まれることから、おそらく水面下で日銀等が検討しているものと考えています。そして、もしこれが実行されるとしたら、アメリカにとってもっともありがたいタイミング、つまりFRBによる利上げ開始時になるのではないかと・・・。

 こちらの記事等に書いたとおり、アメリカはいま、あまりに巨大化した「双子のバブル」(株と債券)をどう制御するかに四苦八苦しています。うまくガス抜きしたいけれど、一気に抜けて激しい資産デフレが起こったら万事休す、ですからね・・・。で、そのコントロールの手立てが「利上げ」ですが、これはある意味、パンパンに膨らんだ風船に針を突き刺すようなもの。米FRBとしては超コワイはずです。やはり誰かに「空気」を同時に入れてもらわないと・・・。そこでこの役割を果たすと期待されるのが、付利を失った上記ジャパンマネー、というわけ。

 もっとも、日銀にとってこの付利撤廃は先述のように現行政策の方向性には沿わないものです。したがって、その実行に当たっては「物価は貨幣数量で決まる」という日銀のこれまでのロジックを否定し、上記(1)および(2)の2点がねらいであることを明らかにしなければならないでしょう。でも、これまでの理論は間違っていました!と言わんばかりのそんな方向転換は日銀幹部のプライドが許さないかも。実際、12日の参院財政金融委員会で民主党・大塚耕平議員の関連の質問に対して黒田日銀総裁は「付利の撤廃や引き下げは考えていない」と回答しています。ということは同氏らはいまだにマネタリーベース拡大路線に固執している?

 その一方、こうしている間も、われらが大将・アメリカ様の金利動向は厳しさを増していきそうです。失業率や新規雇用増加数など、表面上は(?)良い経済統計値が出るなか、FRBはいつまでも実質ゼロ金利を続けてバブルを放置するわけにはいきません。だからといって利上げを急いだら、長期金利が急騰(債券価格が急落)して、それまでの麻薬、もとい低金利ローンに浸り切っていた米実体経済が一挙に冷え込むおそれがあります。

 そんなことでアメリカとしては利上げをしつつも金利の上昇を絶対に抑制したいところですが・・・そこで「BOJ(Bank of Japan:日銀)には、わがステイツのためにできることがあるだろ!」なんてプレッシャーを裏でかけてきそう・・・。

 かように、日銀もいろいろたいへんなのだろうな~、なんて勝手に妄想する次第です。

(続く)

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【付利撤廃で「悪いインフレ」率アップを目論む】日銀「異次元緩和」破綻したロジックと次なる手⑤

2015-05-17 00:02:00 | 日本

(前回からの続き)

 先述のとおり、日銀当座預金残高は現時点で200兆円を超えるほどの巨大な規模に達しています。その多くは、本邦金融機関が「異次元緩和」実行中の日銀に国債を買い取ってもらって得たキャッシュ。本来なら、金融機関各社はこのおカネをもっと利ザヤの稼げる企業融資等に回したいところですが、もとよりその資金の需要がないので仕方なく(?)同口座に預けているわけです。

 とはいえ、この預金(の法定準備預金額を超える部分)には年0.1%と、ほんのわずかですが利息が付きます。その総額は200兆円の元本に対して2000億円と、それなりの金額になります。しかも足元では原油価格の低下を受けて物価が安定してきた兆しがあり、この程度の付利でも実質利回りはプラス。ということで、世界的な運用難のなか、ヘタにリスク資産に投資するくらいなら「ブタ積み」でもかまわない、と判断する金融機関も少なくなさそうです。

 でも日銀にとっては・・・建前上、同預金残高が増えるのはマネタリーベースの増加を意味するから歓迎でも、本音をいえばこれでは物足りないはず。前回までに書いたように、現在の原油安環境でもう一段のインフレを起こすためにはさらに為替レートを円安に持っていく必要があるためです。そこで、この預金を使って円安誘導を進めよう、具体的には「付利を撤廃しよう!」という発想が出てくるような気がするわけです。

 実際に付利をなくすとどうなるか? おそらく、利息を得られなくなった200兆円のうちのかなりの部分が、少しでもプラスのリターンを得ようと、米国債をはじめとするドル資産買いに回ると予想されます。このときは当然、円が売られてドルが買われるから、為替は円安になり、円建て原油価格は期待通りに(?)上昇して、「悪いインフレ」率を引き上げてくれることになるはず・・・。もちろん「物価は貨幣数量で決まる」という立場を取り続ける以上、日銀は(内心では円安原油高を喜びつつも、)表向き、このプロセスを口に出して語ることはしないでしょうが・・・。

 上記にはもっと重要な意味があります。それは、日銀当座預金に積まれたジャパンマネーによるドルの買い支えを通じた米金利上昇の阻止です。こちらの記事等に記したとおり、日銀の金融政策には、日本の金利を不自然なくらいに引き下げることで日米金利差を拡大し、マネーが日本から、FRBによる量的緩和策第三弾(QE3)を終えたアメリカ(米国債等)へ流れるように促し、これによってアメリカの金利が上がるのを食い止めよう、という目的があるのではないか、と勘繰っています。これが窺われるのが昨年10月末日の追加緩和の発動です。同日、FRBはQE3の終了を決定していますから、まあそういうことなのだ、と解釈するのが自然かと・・・。

 で、上記の付利撤廃にも追加緩和のときと同じくアメリカをアシストしようというねらいがあるでしょう。とすれば、そのベストのタイミングは・・・FRBの利上げ開始時・・・。

(続く)

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【リフレ理論の誤りを認められない日銀エリート】日銀「異次元緩和」破綻したロジックと次なる手④

2015-05-15 00:01:25 | 日本

(前回からの続き)

 300兆円という、途方もない規模にまでマネタリーベースを膨らませたのに物価が上がらなくなっているが、どうやらそれは昨夏以降急速に進んだ原油安のせいらしい―――おそらく日銀も本心ではそう認識しているでしょう。

 でも表向きはそうは言えないところがいまの日銀のツライところです。というのも、もしいまの日本の物価が原油価格によって左右されていることを認めてしまったら、「物価は貨幣数量で決まる」という岩田副総裁ら日銀審議委員の多くを占めるリフレ派理論の否定になるから。そんなこと―――自分たちのロジックの誤りを認めること―――は経済・金融界のエリートたるプライド高き日銀幹部にできるわけがない。かくして日銀は、政策のブレを指摘されないように(リフレは正しい」と唱え続けてきた幹部個々人のメンツを保つためにも?)、引き続きマネタリーベースの拡大路線を走ることに・・・

 しかし・・・日銀はこの先、いったいどうやってマネタリーベースを増やそうというのか? こちらの記事等に書いたように、すでに日銀は過剰といえる量の国債を購入してマネーを吐き出しています。だから国債はもう買えそうもない・・・となれば、地方債とか株式といった、国債よりも信用度の低い資産をもっと買おう!ということになりそう(?)ですが、高値掴みをした国債だけでも心配なのに、これらリスク資産を大量に抱え込むのはもっとキケン。市場が「リスクオフ」モードになったとき、保有資産の評価額が大きく下がり、日銀が債務超過に陥るおそれがあるからです。まあそうなったらその分、円安になってインフレになるのでしょうが、いくら「物価を上げたい!」という思いが強いからといって、「通貨の番人」である中央銀行が、分かっていながら自らの財務を傷つけるようなことをしてはいけない!と考えています。その行き着くところは制御不能のハイパーインフレ金利急騰だから。

 ということで日銀はそろそろ、上記のように成果は出ないし、これからは難しそうなマネタリーベースの増大ではなく、別な手を使ってインフレを起こそうとするのではないかと予想(危惧?)しています。それは上述のとおり、口には出せないながらも、現状のわが国の物価にもっとも大きな影響を与えているのが実質的には原油価格であるということを認めたうえで、その円建て価格の引き上げを目論むというもの。つまり、もう一段の「追加緩和」という名の円安誘導の強化です。とはいってもマネタリーベースの上乗せではなく・・・マーケットにもっとドル買い円売りを働きかけて円安環境を実現させようというものです。

 その有力な策として考えられるのが、日銀当座預金付利の撤廃です。

(続く)

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【マネタリーベース↑なのに物価上がらず…】日銀「異次元緩和」破綻したロジックと次なる手③

2015-05-13 00:01:55 | 日本

(前回からの続き)

 前回、いまの原油安は日本経済にとってはたいへん喜ばしいことと書きました。わが国は原油のほぼ全量を輸入に頼っているから、その価格が下がることはとてもありがたいわけです、普通の国民感覚からすれば・・・

 ところがいまの安倍政権・黒田日銀にとっては、ご自身を「異次元」と自称されているせいか(?)、この原油安をネガティブに捉えざるを得ない状況になっています。当然ですがその理由は、原油安が物価を下げる効果をもたらしてリフレ政策(意図的にインフレを起こす政策)にマイナスに作用してしまうから

 上のグラフは、昨年11月にこちらの記事でご紹介した、アベノミクス開始月(2012年11月)を「100」としたときの消費者物価指数(総合指数、エネルギー、電気、ガス、食料)をみたものです。前稿との重複を避けるため、ここでは昨秋以降の半年間の動きを確認しておきましょう。

 いちばんに指摘すべきは、物価に強気な(?)政府・日銀の日頃のスタンスとは裏腹に、「総合指数」にほとんど変化がみられない、というよりはむしろデフレの気配すら感じられること。昨年9月の104.7に対して今年3月は104.1と、ほんのわずかですが物価が低下している様子が読み取れます。

 ではどうしてこの半年の総合指数が微妙に下がり気味なのか、ですが、これは前回記したとおり、この間の「逆オイルショック」がもたらしたエネルギー価格の大幅な下落が原因と考えるべきでしょう。本グラフの「エネルギー」は昨年7月の115.1から今年3月は107.1とこの8か月で約7%も下がりました。一方、「電気」「ガス」価格は同時期の「エネルギー」と比べると変動はそれほどありませんが、これは燃料費調整制度の適用や料金値上げの申請認可のタイミングが数か月程度後ずれするためだと考えられます。したがってこの調子で原油安が続いてくれれば、じきに両者とも下がってくるでしょう。

 ここで、もしリフレ派がいうように、物価が貨幣数量で決まる、というのなら、上記の物価の動きは説明不能の現象になってしまいます。なぜなら本稿前段で書いたように、この期間もマネタリーベースは順調に(?)拡大し続けているからです。実際、日銀統計によると、昨年9月末時点のマネタリーベース約253兆円(うち当座預金残高:約162兆円)は今年3月末時点で約296兆円(同202兆円)と、半年で(目論見どおり)40兆円以上も増えています(先述したように4月末でとうとう300兆円台に乗っている)。

 これだけマネーをじゃぶじゃぶにしているのに物価は上がらないわけです。だから現状、物価を決定している要因はマネタリーベースではなく原油価格(に代表されるエネルギー価格)、そしてその円建て価格を上下させる為替レートにあるということに、そろそろ政府も日銀も気が付くべきだと思います。さらに、いまの情勢でインフレを起こしたい!ということは・・・原油高を願うか、さもなければ円建て原油価格の引き上げを促すための円安誘導を強める(≒追加緩和を実行する)、ということになってしまいますが、それでもたらされるインフレって百害あって一利なしのコストプッシュ型「悪いインフレ」だということにも・・・

(続く)

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【リフレ派、原油価格引き上げに成功!?】日銀「異次元緩和」破綻したロジックと次なる手②

2015-05-11 00:02:30 | 日本

(前回からの続き)

 上のグラフは、2012年11月の値を100として2012年1月から今年3月までの各月のドル建ておよび円建ての原油価格(/バーレル)の推移を表したものです(WTI油価、ドル/円、ともに月平均値)。2012年11月を「100」(基準値)としたのは、以前にも書いたようにアベノミクス」が実質的にこの月に始まったといえるから。同月中旬、翌12月の衆院選を前に、当時の安倍自民党総裁(現首相)がインフレ目標年率2~3%のリフレ政策の実行を政権公約に掲げています。

 で、その原油価格ですが、それまでドル建て・円建て価格ともにほぼ同じ動きを示していましたが、この月を境に円建てがドル建てから上に向かって乖離していく様子が読み取れます。これは当然、これ以降に進んだ人為的円安ドル高のせいです。円建て価格は2013年4月の日銀の異次元緩和(≒円安インフレ誘導)開始を受けてさらに上昇し、9月に150.7と同年の最高値を記録しました。このときのドル建て数値は122.6なので、円建てのほうが23%ほど高いことになります。その後も円建てがドル建てより2割余りも割高な水準が続き、昨年6月に153.3と上記期間中のピークをつけました。ドル建て(121.4)よりじつに26%も高いレベルです。

 一方、2011年11月以降のドル建ての原油価格は、最低が同月の86.7ドル、最高が2013年8月の106.6ドルと、最低値に対して最高値が約123%と、円建ての153%よりもずっと小さな変動幅におさまっています。このあたり、いかにこの間の政策的な円安ドル高が円建て原油価格の押し上げに寄与したかが窺えるところです。

 さて、そんな展開をみせていた原油価格は2014年夏からは一転、急降下していきます。いわゆる「逆オイルショック」です。その背景等についてはこちらの記事等で綴ったので省略しますが、以降これまでの間にドル建て・円建て価格ともに大きく下落しました。

 しかし両者の下がり具合には差があります。ドル建ては昨年6月から今年3月のわずか9か月間で約55%もの急落(105.24→47.78ドル)となりましたが、円建てでは約46%とドル建てほどではありません。その大きな理由はこれまたリフレを意識した円安誘導強化。具体的には昨年10月末の日銀の追加緩和によってさらに10円ほど円安ドル高が進んだ分だけドル建て価格の低下が打ち消されてしまっています。

 それでも原油価格が短期間で大幅に下がったことには違いがありません。昨年末から年初にかけてアベノミクス開始時点の「100」を割り込み、現時点(3月)では約82となっています。で、ふつうの感覚であれば、わが国にとって直近の原油安はまことに喜ばしいことのはず。日本は原油のほとんどを外国から買っているわけだし、欧米系オイルメジャーに比肩する和製石油資本もないのだから・・・。

(続く)

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