(前回からの続き)
米FRBが利上げ時期をいつにしたものか、なんて具合にまごついているうちに、せっかちなマーケットが「利上げはまだない」と勝手に(?)先読みして株価ばかりがファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)等の裏付けのないままにどんどん上がってしまった・・・といったあたりが昨年の秋からこれまでのアメリカの金融市場の動きかと思っています。
で、直近はどうかというと・・・為替相場はドル全面高の様相。まあこれは分かる気がしますね、いよいよアメリカの利上げが迫ったとの観測が支配的になっているから。むしろここでスゴイな・・・と感じさせられるのは、前回書いたような事情などから、本来なら下がってもおかしくない米株価が上がったこと。S&P500種でみると、26日こそ2104.2ポイントと前営業日から約22ポイント下落しましたが、翌27日は2123.48ポイントと再上昇に転じました。まあこの先はどうなるか分かりませんが、市場のセンチメントは「米経済は強い」といった感じで悪くなさそうだから、利上げ目前(?)なのに、さらに株価は上がって、近々最高値を更新する可能性もありそうです。
ですが・・FRB幹部の皆さんは、この株価の動きに内心ハラハラしているのではないかと・・・。なぜならFRBは、すでに巨大化し過ぎた資産バブルを軟着陸させるために利上げに踏み切ろうとしているにもかかわらず、株価には上記のような上昇エネルギーがまだまだ感じられるためです。なので「株式市場よ、頼むからわれわれの思いを感じ取って、もうこれ以上バブルに走らないでくれ。さもないと利上げのマイナスインパクトがキツくなり過ぎる~」あたりがイエレンFRB議長の胸のうちなのではなかろうか、なんて想像をしています。かといって「株はすでにバブルだ」なんて本音を口にしてバブルを破裂させるわけにはいかないし・・・。ホント、「市場との対話」は楽じゃない?
一方、ある意味で株価以上に注意を要する(長期)金利のほうですが、現時点(5/28)で2.1%台半ばと、金融政策の引き締めが急速に意識され出したこの一週間でみると、わずかとはいえ下がり傾向です。これはアメリカにとっては理想的な展開でしょう。利上げでもっともおそろしいのは住宅や自動車などの借金バブルを支えてきたローン金利の上昇を招くこと。そのベースとなる長期金利が利上げを前にして低いレベルで安定している(ように見える?)わけだから、どうやら無理なく利上げの第一歩が踏み出せそうだ、なんてふうにFRBは目論んでいるかもしれませんが・・・