世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【対立から内乱へ、そして「アメリカ」は暴落へ・・・?】米株バブルの凄まじさから分かること⑨

2017-05-29 00:01:57 | アメリカ

前回からの続き)

 異常な高値に達した米株価(に加えて、米国債を含む?あらゆる債券とか不動産価格など)を暴落させる、マーケットの「リスクオフ」などよりもずっと本質的な危機は・・・アメリカの内部分裂ではないか・・・。先述した構造下で独占的に利潤をむさぼる一握りのスーパーリッチ層と、その他の大多数の米国民との「冷たい」対立が臨界点を越えて「熱い」内乱(Civil War Ⅱ?)に転ずること・・・のような気がしてなりません。というのも、とうとう白人至上主義者の主役が登場した―――非プロテスタント系?の移民排斥推進とか黒人弾圧に加担したと思われる白人警官擁護の姿勢を隠そうとしない?ドナルド・トランプ氏が米大統領になったからです。こうなったらもう株価どころの騒ぎではないはず・・・

 ・・・いつもの結論になりますが、触らぬ神に祟りなし、だと思いますよ・・・

(「米株バブルの凄まじさから分かること」おわり)

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【アップルの適正株価はいまの1/6くらい!?】米株バブルの凄まじさから分かること⑧

2017-05-27 00:00:16 | アメリカ

前回からの続き)

 以上、異様なまでの米株バブルの背景について考えるところを綴ってきました。日米欧中銀の金融緩和(QE)がもたらした大量の低利マネーがリスク資産、なかでもその代表格である株式の価格を押し上げているわけですが、その高値の拠り所となっている企業の巨額利益は多くの場合、市場メカニズムを排除した寡占独占によってもたらされている―――このような、QEマネーと寡占・独占利益のコンビネーションが株価高騰の大きな理由なのだろうと推察する次第です。

 かようにアメリカは、企業活動によって生み出される利益の大半を経営者&投資家が独り占めする国になってしまった・・・そんな印象をぬぐえません。その一方、大多数の米国民は、株主利益を極大化するなかで形成された寡占市場にあって、競争原理の恩恵に浴することができず、財・サービスの高価格化・低品質化という害悪に苦しめられるばかり・・・

 さて今後の米株価、どうなっていくでしょうか? 本ブログでは何度か、ピークは打った、と書いてきたにもかかわらず、一時的な調整局面はあっても、これをこなしてここまで上がってきたわけです。なので、すっかりオオカミ少年の気分ですが、それでも前述のアップルフェイスブック(FB)、テスラモーターズの株価とか時価総額を見れば明白なように、適正なレベルからどんどん高みに上がってしまい、もはやいつ急落に転じてもおかしくはないところに来ている、とみています。では、どこまで下がり得るか、ですが・・・

 上のグラフは先日ご紹介の上記3社とトヨタ自動車PBR(株価純資産倍率)を比較したもの。これによるとトヨタはほぼ「1」(1.06)つまり現状の株価と解散価値(事業を止めて企業を解散したときに得られる株主の取り分)がおおむね等しく、その意味では同社の株価は妥当な水準にあると思われます(いや、トヨタの将来性を考えると、同社のいまの株価は低過ぎるのかもしれない?)。いっぽうの米3社は・・・その将来性とか成長性をどれほど甘めに評価しても明らかにチョ~高過ぎ!ということで、かりにトヨタなみの「1」に落ち着くとしたらアップル、FB、テスラの株価は現在の1/6、1/7、1/11にまでしぼむことに・・・?

 ・・・そんな潜在的な暴落リスクをはらみながら米株価はいま、史上最高値付近にあるわけです。投資家ならずとも非常にコワイ状況で、ちょっとしたきっかけで同3社株を含む株価は「1」(以下?)、要するに真っ当な株価に向かって駆け降りる可能性が・・・って、そのきっかけですが、こちらの記事に書いたようなジャンク債発行企業のデフォルトとか家計のローン破綻増加、そして金融機関の経営不安・・・と連鎖的に起こることが想定できるわけで・・・

続く

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【ソフトバンク純利益1兆円超えは喜ばしいことか】米株バブルの凄まじさから分かること⑦

2017-05-25 00:00:51 | 日本

前回からの続き)

 今月10日、ソフトバンクグループが20173月期の決算で純利益が1兆円を超えたと発表しました(約1.4兆円、営業利益は約1.03兆円)。孫正義社長は、わが国の事業会社で純利益1兆円への到達はトヨタ自動車に次いで2社目で、これを通過点にさらに利益を増やしていきたいとの趣旨のコメントをしています。マーケットも好感したようで、同社の株価は翌11日、終値ベースで前日比2%高の8875円にまで上昇しました。

 この好業績、たしかに株式市場とかソフトバンクの株主にとってはポジティブなニュースです。純利益つまり株主の利益が1兆円を上回る規模にまで拡大したわけですからね。しかし、ソフトバンクの一般ユーザーにとってはこれ、ビミョ~なところかと思います。そんなに儲けているのならば同社は、もっと料金を引き下げるとか、サービス品質を向上させることもできるのでは?とつい言いたくなるわけです。でも実際には多くがこうして株主の手に渡り、もう一段の料金値下げといったかたちでの顧客への利益還元はそれほど進まない・・・。その大きな理由は・・・本稿の文脈に沿って指摘するならば、本邦携帯通信市場におけるソフトバンク、NTTドコモ、KDDIの同業3社による事実上の寡占の存在だと推察しています。

 以前こちらの記事でご紹介したように、現・安倍政権が携帯通信料金の高止まりを問題視し、各社に対して料金を下げるよう要請したことがありました。あれだけインフレ万歳を叫んでおいて民間事業に介入したと思ったら何と値下げ!?を強く要求!ということで、その左翼的体質と政策スタンスの「ちぐはぐぶり」が改めて明らかにされた興味深い(?)出来事でしたが、そのへんの議論はさておき、結局この件はその後、何となくうやむやのまま立ち消えになってしまったような印象が・・・。それだけこの寡占すなわち3社の価格決定力がマーケットで強く働いていることの表れと思います。

 前回まで、米大手企業の高い利益率とか株価(時価総額)の異様な膨張ぶりの背景に寡占・独占があることを論じてきました。これによって経営者や投資家ばかりが利益を享受し、大多数の米国民は高い価格とそれに到底釣り合わないトホホ水準なモノとかサービスを押し付けられて苦しんでいるわけです。でも、これはけっして海の向こう側に限った話ではありません。気を付けていないと、アメリカだけではなく・・・同じ事態が日本でも起こり得ます。それこそ競争原理の機能不全であり、本邦ケータイ業界で見られる現象ではないか・・・

 これまで述べてきたとおり、つまり近年のアメリカを見れば分かるように、株主利益を重視する傾向が強まると上記のようになっていく傾向があるようです。いまの日本は「カブノミクス」(アベノミクスの私的造語:取り柄は「株のみ」)、要するに株価が上がれば何でもOK!?・・・というわけでスゴイ株主利益をあげる会社がいくつか出てくれば、それがたとえ寡占によって巨利を得たもの―――消費者利益の犠牲によってかさ上げされた利益を得たもの―――であっても、歓迎される風潮が強まっているように感じられます。その裏返しが、わたしたちが本来、市場メカニズムを通じて享受すべき恩恵の喪失になりかねない。このあたり、大いに警戒する必要があると思いますよ・・・

続く

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【米が寡占・独占を許容するようになったのは・・・】米株バブルの凄まじさから分かること⑥

2017-05-23 00:01:19 | アメリカ

前回からの続き)

 アップル、マイクロソフト、アマゾン、グーグルなどなど―――アメリカではこうした一部の大企業(の経営者とか株主)がそれぞれの業界で競争原理の働かない独占あるいは寡占を形成して価格決定力を握ることで巨額の利益を享受するいっぽう、大多数の一般国民は、不当に高い価格とか他に選択の余地のないマーケット環境を押し付けられている―――前回、こうした見方を綴りました。

 消費者の生活に悪影響が及ぶことを知っていながら、株主利益を極大化するため、寡占・独占に、いわば「逃げる」―――アメリカの産業界、のみならず本来ならば独占禁止法の適用を通じてカルテル等を抑制する立場にある米連邦政府までがこうした傾向を強めるようになったのは・・・じつは「日本のせい」だと考えています。米企業の製品は競争的な市場ではメイド・イン・ジャパンに勝てずに淘汰されてしまう、ならば寡占・独占を築いて日本企業を含む新規の競争相手が入ってこられないようにしてしまえ!といった感じでしょうか。

 このあたりを象徴するのが米自動車市場。「ビッグ3」と称えられたGM、フォード、クライスラーの米3大自動車メーカーが、安価で性能の良い日本車に市場シェアを奪われて経営不振に陥り、このうちクライスラーそしてGMが2009年に相次いで倒産(連邦倒産法適用申請)に追い込まれたのはご存知のとおりです(現在は両社ともに経営再建中)。

 米産業の代名詞ともいえる自動車業界が「日本」(車)に対して敗北・・・。アメリカがその原因を「市場競争」に見出し、自らにそこで勝ち抜く力量が無いことを思い知った結果、消費者利益を犠牲にしてでも市場メカニズムが働きにくい環境を容認していくようになったのは無理からぬこと(?)なのかもしれません。それがアメリカの各業界で近年になって進んだ寡占化の背景なのだろう、と推察するわけです。それがとくに顕著なのは冒頭企業が牛耳るIT分野。いったんその基本ソフト等が世界標準になってしまうと、他者はなかなかシェアを取れませんからね。だからこそ上述のようにこれら各社はけた違いの利益を稼ぎ、時価総額も膨らみ続けることに・・・(って、いくら何でも膨張し過ぎでしょうに・・・)

 なお、上記の米自動車3社の現時点での業績(201612月期)に基づく利益率(売上利益/売上)は、GM5.7%、フォード2.7%、クライスラー(フィアット・クライスラー)4.6%と、アップル20169月期で27.8%!)やフェイスブック201612月期で45.0%!?)などに遠く及ばず、同業のトヨタ自動車20173月期で7.2%)をも下回っています。でもアメリカの消費者にとってこれは必ずしも悪いことばかりではないはず。というのも、各自動車メーカーの利益率が低いということは、それだけこの市場で競争原理が働いていることの表れでもあるからです。だから米国民には、アメリカでこうして多様な車種から自分好みの自動車を選択できるのは「日本のおかげ」だということに少しは気付いてほしいものだ、などと思う次第です。

続く

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【米企業の高い利益率は独占or寡占のおかげ】米株バブルの凄まじさから分かること⑤

2017-05-21 00:01:58 | アメリカ

前回からの続き)

 売上高はトヨタ自動車に及ばないものの、営業利益はトヨタの2.4倍にもなるアップルに代表されるように、本邦企業などと比べると多くの米企業の利益率はたいへん高い水準にあります。これが意味することは以下に綴るようにとても重大と考えています。

 「利益率が高い?それだけその企業が効率的に儲けているわけだから、いいことでは?」―――そう思いたくなるところです。実際、多くの市場関係者が米企業の利益率の高さを積極的に評価しています。でも本当にそうでしょうか? というのも、ここでいう利益が、あくまでもその企業の経営者とか株主にとっての利益であって、それ以外の人々にとってのものではないからです。つまりこうした優良(?)企業がそろっているからその国や国民が豊か、とは限らないということ。むしろ、利益の大半が株主に渡る分だけ一般人は不幸なのかも―――企業の従業員は賃金を含めた処遇が低いレベルに抑制され、消費者は不当に高い価格を押し付けられているかも―――しれません(?)。

 本来、同一のマーケットで特定の企業だけが高い利益率を保ち続けるのは困難なはず。「あの会社はそんなに儲けているのか、じゃ自分も!」と考えた新規参入者が、先行する企業よりも安くて質の良い商品をマーケットに投入してシェアを奪おうとし、これに対抗しようと先行者もさらに販売価格を下げて・・・みたいな競争原理が働くためです。これによって、当該市場に参入している企業各社の利益率は下がっていきますが、さまざまな財やサービスが低価格・高品質で提供されることで市場は活性化するため、競争に勝てる企業は業績を伸ばせるし、消費者は支払額の低下とか選択肢の広がりという「利益」を得ることになります。

 米企業が高い利益率を確保できる背景には、上記のような市場メカニズムが十分に機能しない状態、すなわち独占とか寡占があるとみています。たとえば、アップル、マイクロソフト、グーグルは世界中のPCやスマホに基本ソフトを提供しているわけですが、それぞれのシェアが巨大過ぎるためにこの分野では実質的な寡占が形成され、新参者が現れにくくなっています。したがってこの3社は、たとえ売価を高く設定しても他の競争相手に脅かされる心配がないため、このシェアから得られる利益を享受できることになります。

 フェイスブック(FB)のネット広告も同じです。これは同社が運営するSNSサイト「フェイスブック」にのみ展開できる広告だから、当該広告収入はFBが独占できる構図です。時価総額で全米3位のアマゾン.com(ネット通販業)の昨年の全米電子商取引(EC)におけるシェアは43%に上ったうえ、同年のEC成長率の過半(53%)も同社が占めたとのこと(Slice Intelligence調査結果より)。もし同社が展開する電子書籍「キンドル」等がさらに普及したら、多くの文芸作品の版権なども唯一アマゾンが手中にすることになるのでしょうか・・・?

 以上の例はほんの一部です。アメリカではこうした独占や寡占があらゆる業界で幅を利かせ、そこで大きなシェアを握る企業数社(あるいは一社!)が価格決定力を握ってケタ違いの利益を稼ぎ出し、その配当や高い株価で経営者や株主らは巨万の富を築き上げています。その反面、大多数の米国民は寡占市場にあって他のチョイスがなく、気づいている・いない、は別にして多くの場合、高くて質の悪いモノやサービスを買わされ、生活の質を落とし続けることに・・・

 絶望的なまでの資産格差アメリカで生じている原因のひとつが、この「市場の失敗」(市場競争が不完全で独占や寡占が生じていること)をあらゆる分野で容認してしまったことにあるように感じています。

続く

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【少しでも高い利回りを求める低利マネーが株価を押し上げた】米株バブルの凄まじさから分かること④

2017-05-19 00:02:41 | アメリカ

前回からの続き)

 以上、アップルフェイスブック(FB)、テスラモーターズ(テスラ)と、いまの異常な米株高を象徴する3社の現況について、その時価総額と各社の業績(売上や利益等)を比較させながら思うところを綴ってみました。

 これらから分かるのは、上記3社の株価(時価総額)がマトモな説明が付けられないほどの高みに達してしまっているということ(というか、もうずいぶん前からそうですが・・・)。もちろんその他の米株―――とくにIT、金融、不動産など―――はどれも同じく(?)、スゴイ高値になっています。いったい、どうして・・・?

 ・・・って、もうこのあたりはいまの「金融環境」のせい、としかいいようがないでしょう。以前から書いているとおり、世界的な金融緩和が継続するなか、市場に溢れ返る低利マネーが少しでも高い利回りを求めて株とか高利回り債券(≒ジャンク債)などに殺到しているということ(その演出にいま、[おそらくは、もっとも]大きな役割を果たしているのが日銀だったりしますが・・・?)。

 で、このマネーの動きは、リスクオンのときは株高・米国債安(ドル高円安)、リスクオフのときは株安・米国債高(ドル安円高)と、誰でも分かるお約束のパターンに乗っているわけです。となれば本稿一回目に書いたように、北朝鮮とかフランスの政治系リスクが遠のいて(?)自動的に「リスクオン・モード」となり、「みんな株を買うよね!なら自分も!」と米投資家が一斉に株買いに走ることになるわけです、まるで「赤信号みんなで渡れば怖くない」と同じノリで・・・。となれば上記3社の株価がこれほど根拠レスに突出するのも頷けるというもの。もっとも表向きの理由はプロ(?)の分析っぽく・・・アップルは新型iPhone、FBはVR(仮想現実)、そしてテスラはモデル3への「期待」(というか「取らぬ狸の~」?)が高まったため、といったあたりになりますが・・・

 ・・・「そうだろうか?(営業赤字のテスラは別にしても)アップルとかFBなどの米企業の利益水準はきわめて高く、その意味ではこれらの時価総額が大き過ぎるとは言えないのでは?」―――たしかにそうですね。先日ご紹介の上記グラフ(営業利益比較)でも分かるように、アップルは売上高こそトヨタを下回るものの営業利益はトヨタ(売り上げ・営業利益ともに日本一の企業)の約2.4倍にもなります。FBにしたって収益は276億ドル程度にすぎませんが同利益は124億ドルですから、売り上げに対する利益の割合は45%もの高率です。下のPBR(株価純資産倍率:1のとき株価と1株当たり純資産額が等価になる)の比較でも分かるように米社の時価総額がバカでかいのは間違いないとしても(?)、いっぽうでアップルに代表される多くの米企業の利益率が、このように日本企業などと比べて高い水準にあるのもまた事実(?)。これは何を意味するのか・・・

 ・・・企業の高い利益率―――じつはこれこそいまの米社会が直面する大問題の反映だと考えています。

続く

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【赤字続きテスラの時価総額が日産超のなぜ?】米株バブルの凄まじさから分かること③

2017-05-17 00:03:02 | アメリカ

前回からの続き)

 現在もオンゴーイングな(?)株バブルにあって、時価総額が異様に膨張している米企業の一例として前回、フェイスブックを取り上げました。次に紹介するのは、テスラモーターズ(テスラ)。2003年に設立された電気自動車のベンチャー企業です。

 で、このテスラの時価総額ですが・・・9日時点で約527億ドルと、米上場企業中で161番目です。まあ上記のグラフで同1位のアップルとか本邦企業1位のトヨタ自動車などと並べるとそれほど大きな会社には見えないかもしれませんが、じつはこの金額、全米一位の自動車メーカーGM(約517億ドル)のそれをしのぎ、わが国の日産自動車(約403億ドル:1ドル113円で計算)の時価総額を大きく上回るほどのビッグなスケールだったりします・・・

 それほどの自動車メーカーならば収益力もさぞかしスゴイ・・・かと思いきや、下記のとおり・・・。上記の時価総額に似合わず(?)テスラの売上高はわずか70億ドル程度と、トヨタ(2500億ドルあまり)の3%にも及びません。さらに愕然とさせられるのが利益水準。テスラの201612月期の営業損益は6.7億ドルの「赤字」です。しかもテスラは確認できた範囲では201212月期から5事業年度連続で営業損失を計上中・・・

 で、このテスラという会社、当然ながらおもに電気自動車(EV)を売っているわけですが、ではいったい販売台数はどの程度か、というと、2015年通期で5万台、2016年は7.6万台ほど。ちなみに現時点で世界でもっとも販売台数の多いEVはテスラ車・・・ではなく日産の「リーフ」で、2010年の販売開始からすでに25万台以上を売り上げています。ルノー・日産グループ全体では、少し前に同グループに加わった三菱自動車の「アイミーヴ」を加えると昨年末時点で約42.5万台と、EVマーケットでは同グループがナンバー1。もちろん単独でも日産自動車はEVを含めた販売台数の合計が542万台(2015年)にも達する、世界でも指折りの大メーカーです・・・

 以上のように、販売台数(それもEVだけで見た台数)、売上高、営業損益などなどの業績パフォーマンスでは日産の足元にも及ばないテスラ・・・。にもかかわらず時価総額だけは日産を凌駕する規模に膨らんでいるわけです。どうひいき目に見ても・・・って「それはテスラがすでに『モデル3』40万台の受注を得ているうえ、来年に発売する予定の『モデルY』への期待が高いからだ!」なのかな~? すでに予約販売を受付中のモデル3すら、7月に生産を開始して今年末に発売ということで、多くの人がいまだに実物を見たことすらないうえ、同社の生産能力(今年は週5千台を予定とのこと)などからして、ちゃんと約束どおり納車できるかも分からないような気がしますが、大丈夫なのでしょうか?

 そんなことも含め、テスラ株もまた成長への「期待」という名の米投資家の「捕らぬ狸の皮算用」でスゴイことになっているんだな~と勝手に嘆息するばかりです・・・

続く

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【フェイスブック時価総額、日本一トヨタの2倍へ膨張!】米株バブルの凄まじさから分かること②

2017-05-15 00:03:55 | アメリカ

 (前回からの続き) 

 前回、上記のグラフを示しつつ、米アップルの時価総額(米企業で初めて8千億ドルを突破!)が、トヨタ自動車のそれ(本邦企業で1位)などと比べていかに突出しているかを綴りました。

 で、時価総額がこんな感じに超高騰している米企業はアップルばかりではありません。上記で登場させたフェイスブック(FB)そしてテスラモーターズなども、以下にご紹介するデータに照らせば明らかにその企業価値がスゴイ規模にまで膨らんだかが分かるというものです・・・

 まずはFB。9日終値ベースの時価総額がトヨタのほぼ2倍、米上場企業中で4位という超巨大会社に成長(?)しています。ということは、売上とか利益もさぞかし「4位」にふさわしいスーパーなスケールなのだろうな・・・とつい想像しがちですが・・・

 以下のグラフはアップル、FB、テスラ、トヨタの直近の一事業年度の売上高を比較したものです(アップルは20169月期、FB・テスラは同12月期、トヨタは20173月期)。これを見ると時価比較とは様相が異なり、トヨタが一番。トヨタの売上高が約25千億ドル(28兆円余り:1ドル113円)と、アップルの約21千億ドルを上回っています。いっぽうでFBは276億ドルとトヨタのわずか1/10程度に過ぎません・・・。生産台数で世界一水準にあるトヨタの2倍もの市場価値があるとされる(?)企業にしては、収益があまりに少ないのでは?とは感じられないでしょうか・・・

 たしかに下記のグラフで分かるように、FBの営業利益は124億ドルと、トヨタなどと比べて売り上げに対する利益率はけっこう高いため、同社はそれだけ効率的に儲けを出している会社とみることもできそうです。しかし、そのビジネスモデルを考えると、やはりいまのFBは超過大評価されているとみなすべきでしょう・・・

 ご存知のように、FBはSNSの「フェイスブック」の運営会社です・・・が、株式市場では「インターネット広告企業」に位置づけられているといえます。同社が収益の大部分(9割以上)を当該事業から得ているからです。でも、ネット広告、それも主としてフェイスブックという個人サイトに限定された広告ビジネスの将来性とか成長性が・・・まああること自体は認めるとしても、それがこの瞬間のFBの市場価値=トヨタの2倍!に見合うほどあるなんて、常識的には考えられないのでは・・・?

 「FBの高い株価は足元の業績ではなく、未来の期待を反映しているんだ!」―――きっとそういうことなのでしょう。現にFBは、稼いだ利益の多くをVR(仮想現実)とかAI(人工知能)といった先端分野に投資しようとしているみたいです。しかし、別の見方をするとこれは、同社の収益モデルに限界があることをFB経営陣自らが認めているからこその動きと捉えることもできます。これら分野の開拓には夢があるかもしれません・・・がFBは、いまの企業価値を保っている間に、せっかちな市場が期待するような、VRとかAIで巨額の利益を生み出す新業態の会社に本当に進化できるのか? 何だか時間切れになりそうな気がしてなりませんが・・・

続く

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【アップル、時価総額8千億ドルを突破!】米株バブルの凄まじさから分かること①

2017-05-13 00:01:40 | アメリカ

 リーマン・ショック直後の2009年初頭からひたすら上がり続けるアメリカの株価。昨年11月以降は、米ドナルド・トランプ新政権の根拠なき(?)政策期待を受けてその上昇ペースはさらに加速し、31日にはダウ工業株30種平均が21115.5ドル、5月10日にはS&P500種2399.63の史上最高値をつけ、現在はいずれもこのピーク付近を上下している状況です。いまさら指摘するまでもありませんが、この株価、いかに非常識なバブル水準にまで高まってしまったか、について数値を示しながら以下に綴ってみましょう。

 アップルの終値ベースの時価総額が9日、アメリカの企業として初めて8千億ドルの大台に乗りました8029億ドル)。ブルームバーグによれば、iPhone新モデルが売り上げ回復をもたらすとの期待が投資家の間で広まったほか、同社幹部が自社株買いプログラムの規模を昨年の1750億ドルから2100億ドルに拡大したことが好感されたため、とのことです・・・が、これは後付けの理由に過ぎず、本当のところは北朝鮮」の地政学リスクや「フランス」の政治リスクが和らいだ(?)ことで、「市場はリスクオン・モードに転化するよね!みんなリスク投資するよね!なら自分も!」といった感じで欧米投資家が一斉に株に買い向かったため、といったあたりでしょう。実際、アップルに限らず他の米株そして日本株に至るまで、ほぼ全面高の様相を呈しているわけですからね・・・

 さて、このアップルの時価総額8千億ドル、日本円で90兆円あまりというスケール、これがいかにスゴイかを示すのが以下のグラフです。これは59日終値ベースのアップル、フェイスブック(FB)、テスラモーターズ(テスラ)、そして日本のトヨタ自動車の時価総額を比較したものです(トヨタは日本市場終値、1ドル113円で計算)。

 これを見るとあらためてアップルの突出ぶりが際立っていることが分かります。フェイスブック(米市場上場企業中で4位!?:3559億ドル)そしてグラフにはありませんが同2位のマイクロソフト(5330億ドル)のそれぞれ2.3倍・1.5倍、さらに・・・日本の時価総額ナンバー1のトヨタの何と!4.5倍というデカさです。こう比較すると、独VWと並んで生産台数世界一の水準を誇るトヨタがけっこう小さな会社に感じられてしまうのはわたしだけではないと思います。

 ところで・・・ここに登場させたFBおよびテスラ(同161位)も、これまたスゴイことになっているといえます。FBはご存知SNSの「フェイスブック」の運営会社、そしてテスラはベンチャー的な新興電気自動車メーカーですが、後述する業績に照らすと両社ともにすさまじいほど時価総額が膨張している様子が窺えるわけです・・・

続く

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【日銀の高値掴みから身を守るには】日本郵政、海外投資で大損害:いつまで続く本邦経営者の「高値掴み」⑦

2017-05-11 00:00:29 | 日本

前回からの続き)

 先述のとおり、黒田日銀異次元緩和」という名の資産の超「高値掴み」がもたらすかもしれない(?)破局に対してはおそらく、誰もその金銭的な責任を取ろうとはしないでしょう・・・。ということは、わたしたちは日銀による円貨の強制切り下げ(激しいインフレ)から生活や財産を守るため、自衛手段を講じる必要が出てきそうです・・・(?)

 この際に有効な手は・・・やはり「金(ゴールド)」の保有でしょう。そのあたりはこちらの記事を含めて何度も書いているところです。紙のおカネは無限に印刷できても、いくら日銀とはいえ実物貨幣としての金を生み出すことはできないということですね。であれば、単純に「金>円」の法則で、増発され続ける紙幣から見た院の価値は上昇する、つまりはインフレヘッジになることになります。

 ・・・本心を書くと、これまた上記記事のこちらに書いたように、金買いは円よりもむしろドルの下落リスクのヘッジになるだろうと考えています。たしかに日銀がやっていることには上述の危険が伴います。しかし、ドルのインフレリスクは円の比ではなく、どうしても「円>ドル」にならざるを得ません。したがって、日銀がアブナイことをやっているから金を持っておこう!という日本人の投資行動は、想定外なことに(?)ドルの暴落から身を守ることにつながるだろうと予想する次第。

 ・・・でもまあこれ、「金>円>ドル」だから結果オーライ、つまり円、ドルのどちらが下がろうが、いずれにせよ金所有者は中銀による輪転機の暴走運転から(?)救われる、ということだと思いますけどね・・・(?)

(「日本郵政、海外投資で大損害:いつまで続く本邦経営者の『高値掴み』」おわり)

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