世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【割高ではなさそうだけれど…】波乱必至!? 2014年度株式市場①

2014-03-29 00:04:47 | 日本

 2014年度入りを目前に控え、今後の日本の株式市場に対する内外の関心が高まっているように思えます。ご承知のように新年度はいろいろあるからまあ当然なわけですが・・・。

 ということで、年度の境目にあたるいま、そのあたりについて考えることを以下に綴ってみたいと思います。

 ところで、わが国の現在の株価はどんなものなのでしょうか。高いのか、それとも・・・。

 で、3/27の日経平均株価の終値は14,623円ほど。こちら日経平均のほうはアベノミクス開始直前(2012年11月中旬)から1年4か月ほどでじつに60%以上も上がったことになります。これはこの間の企業利益とか経済成長率の伸びなどと比べてもはるかに大きな上昇率なので、単純にみれば株価は妥当といえるレベルから相当に上放れしていると判断してしまいそう・・・。

 では本当にいまの日本の株価は割高なのか、といえば・・・以下に示すように、じつはそれほどでもないという見方もできそうです。たとえば、3/27時点の東証一部全銘柄に関する株価純資産倍率(PBR)は1.32倍です。Wikipediaによれば、東証一部のPBRは平均1.5程度で推移してきているとのこと。ということは、現時点のPBRはこれまでのトレンドより1割程度低い水準にあるということになります。

 そして同時点の配当利回りは1.6%となっています。これは現状の国債等の利回り(例:10年物国債金利[長期金利]:0.62%[3/27])と比べると高く、いまは配当狙いだけを考えても債券投資より株式投資のようが有利といえるような値です。

 といった数字から客観的に分析すると、いまのわが国の株価は決して高すぎることはなく、それどころか割安なレベルにあるくらいといった感じすらします。そのように捉えると、株価はしばらくもみ合った後、指標的にみて本来のあるべき水準に向かって上昇する。だから、これからも株は「買い」ですかね?

 と、いきたいところですが・・・この先、日本株は(かなりの)下落方向への調整を免れないと予想しています。いうまでもなくその最大の理由は、まもなく開始される消費税率引き上げがわが国の個人消費や企業収益、そして株価に強いマイナスのインパクトを与えるから。さらに、消費増税の景気への悪影響を口実に、これまで日本株の「買い」の主役だった外国人投資家が一転、利益確定の「売り」のタイミングを虎視眈々と見計らっているから

(続く)


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【運用資産に加えたい「金」】年金の運用は「リスク・オフ」をベースに⑤

2014-03-27 00:02:47 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 世界最大の年金基金であるわが国のGPIF(年金積立金運用独立行政法人)の資産運用の「基本ポートフォリオ」は現在、国内債60%、国内株12%、外国債11%、外国株12%となっています。これに対して個人的に適当だと考える配分比は上記のように国内債60%、国内株20%、外国債9%、外国株6%といったところ。相対的にリスク度が高いとみている外貨建て資産の比率を現行の目標値よりもかなり下げてみました。

 で、最後の数%の部分の運用対象を何にするか?ですが、ここにはぜひ「金(ゴールド)」を加えていただきたいと思っています。理由は先述のとおり、中・長期的にみて、マネーの刷り過ぎにともなう世界的な通貨価値の下落(つまりはインフレ)に備える必要があるため

 株とか債券とは違って実物資産である金は、保管などの手間がかかることなどから、少し前ならば年金基金等の運用資産としてはあまり選択されなかったように思えます。でもいまは金ETF(上場投資信託)があります。これを活用すれば、GPIF等のわが国の年金基金も金を投資対象に含めることが容易にできるはずです。

 現在、金ETFは世界各地のマーケットにありますが、同じ金ETFなら、日本において金の現物との交換ができるものを選ぶほうがベターだと思っています。実際に換「金」のニーズがそれほどあるようには思えませんが、「いつでも日本で金と交換できる」ということがその金ETFが金の現物にしっかりと裏付けられているという証(あかし)になると判断できるからです。

 以下のグラフは、上記のGPIFの基本ポートフォリオと、以前こちらの記事に書いた個人的におすすめの資産ポートフォリオを比較したもの。後者は「外貨建て資産ゼロ!」など、えらく偏った配分になっていますが、これは金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」という「リスクオフの不等式」が成立するという立場から、円を使う日本人としては、円よりも「弱い」(実質利回りが低い)外貨は買えない、つまり円よりも「強い」外貨=「金」しか買えない、という考え方に基づいています(投資等のご判断は自己責任でお願いいたします)。

 まあそこまで極端である必要はなさそうだけれど、これからの年金基金の運用にあたっては「金」ははずすことのできない資産と思っているのですが、いかがでしょう。

(「年金の運用は『リスク・オフ』をベースに」おわり)


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【外貨建て資産への投資は要注意】年金の運用は「リスク・オフ」をベースに④

2014-03-25 00:02:52 | 日本

(前回からの続き)

 世界最大の年金基金であるわが国のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用資産ポートフォリオですが、現時点の目標配分率は国内債60%、国内株12%、外国債11%、外国株12%となっています。前回、その国内債以外のリスク資産(約4割)のうち、国内株の配分割合は全体の20%くらいまで高めてもよいだろう、などと書きました。もちろん、目前に迫った消費増税とか世界経済に漂う不透明感などの影響を受け、わが国の株価もこの先しばらくは波乱の展開が予想されるので、国内株への投資には低PBR(株価純資産倍率)株選好などの保守的な方針で臨んでほしいと思っていますが・・・。

 で、日本株以外の残りのリスク資産に何を選ぶか?ですが、まあ自然に考えると、おもに「外貨建て資産」ということになるのでしょうが・・・。

 このあたり、外国債・外国株のいずれへの投資にも、GPIFをはじめとする日本の年金基金には日本株以上に用心深いスタンスをとってほしいと願っています。なぜなら、それらには―――米欧中の債券や株式には、妥当とされる価額にかなりの程度の「バブル分」が上積みされているとみているからです。

 本ブログでいろいろ記してきましたが、アメリカや欧州は、(そして最近では新興国や中国までも)不動産バブルをまたもや(凝りもせず?)膨らませている最中です。本来であれば、アメリカはサブプライム・ローン・バブルがはじけた後で、そして欧州はPIIGS国債デフォルト危機が表面化した直後に、それぞれ徹底したバブル退治(不良債権処理、一部金融機関の破綻容認、そして巨額公的資金の金融システムへの投入・・・どれもわが国がやったこと)に踏み出すべきだったはず。にもかかわらず、諸般の情勢からこれらの実行が不可能な欧米諸国は、QE(量的緩和策 by FRB)とかLTRO(資金供給オペ by ECB)といったマネーのバラマキによるバブル再膨張という「賭け」に出ています。いまはそんな危ない綱渡り―――「リスク・オン」モードがクライマックスに近づきつつあるタイミング、といったところではないでしょうか。永遠に続く上り坂なんてないわけで・・・。

 以上のことから判断して、これから先、わたしたちの大切な年金基金を外国資産に投じることは極めて慎重であるべきだと思っています。これらへの本格的な投資は、近い将来に想定される諸外国におけるバブル崩壊とその清算が終わるまで、つまりバブルでかさ上げされた虚ろな価値分が抜け切るまでは手控えるほうが賢明と考えています。だからGPIFの運用ポートフォリオにおける外国資産の比率はいまの目標値よりも小さい15%くらい、それも株式ではなく債券のほうを3:2くらいで多めにする、といったあたりがよろしいのではないかと・・・。

 同じ「リスク・オン」の恩恵を得ようとするのなら、日本の年金基金はバブル含みの外国株などよりもわが国のリスク資産―――日本株とか日本のREIT(不動産投資信託)などへの投資を優先するべきだと考えています。そのほうが、マーケットが「リスク・オフ」に転じたときのダメージ(為替差損の発生等)が軽微にとどまるような予感がするからです。

(続く)


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【低PBR株は「買い」!?】年金の運用は「リスク・オフ」をベースに③

2014-03-23 00:04:26 | 日本

(前回からの続き)

 消費税率の引き上げが間近に迫り、世界経済も不透明感がぬぐえないなか、わが国の企業のパフォーマンスも株価もこの先上向くのかどうか微妙な感じです。直近では海外の投資家が今月9~15日に日本株を1兆円ほど売り越したといったニュースも流れています。アベノミクスを囃して日本株を買い上げてきた外国人たちですが、消費増税を前にいよいよ手仕舞いを始めたということなのでしょうか・・・。

 東京証券取引所のデータによれば、アベノミクスで大いに沸いた(?)2013年の株式市場において、彼ら外国人投資家は日本株を15兆円あまり買い越しました。これに対して日本の個人投資家および金融機関はそれぞれ約8.7兆円、5.8兆円ほど売り越しています。「バイ マイ アベノミクス!」(Buy my Abenomics!)の誘い文句で、外国人は「買い」と判断、日本人は「売り」と判断した―――これらの数字をみる限りそのようにいえそうです。

 日本人の株式投資家は本当に賢明だな―――つくづくそう感じます。本ブログでいろいろ書いているとおり、アベノミクス(≒円安誘導)は、いまの日本経済の諸情勢から判断して実体経済に対する負のインパクトのほうが大きいと考えているからです。多くの本邦投資家もそう感じているのでしょう。だからその影響が企業の業績等に表れる前に、トータルで14兆円以上も株を売り越したといったところなのではないでしょうか(もっとも、外国人に株の高値掴みをさせて、日本人にはしっかり利確させる―――これがアベノミクスの真のねらいだったとしたら、その仕掛け人はかなりの知恵者だな、とは思いますが・・)。

 足元では上記のとおり、消費増税のタイミングに合わせるようにして(?)外国人が株を手放す気配が強くなっています。でも慎重な日本の投資家のこと、そうやすやすと彼らが高値で売ろうとする株に飛びついたりしないような気がします。で、外国人が「売り」に転じても日本人はなかなか買おうとしない・・・となると今後、株価の相当の下落は免れない・・・かな?

 とはいっても―――いくら消費税率の引き上げで内需が冷え込む懸念が高まり、アベノミクスの景気浮揚効果も期待はずれとなる可能性が出てきて株価が下がっても―――アベノミクス以前のように日本株が過度に低い評価額のまま捨て置かれてしまうのはちょっとどうか・・・という気もします。上述しましたが、個人的にはPBR(株価純資産倍率)をけっこうチェックしています。どれほど株が売られても、利益を上げている上場企業の株価ならば、PBR(株価純資産倍率)が最低でも「1」を上回るレベルにあって当然と考えています。一部の例外を除けば、バブルの後処理を終えたわが国の上場企業の大半のB/Sは真正なはずと信じているからです。

 このあたりは、GPIFなどの年金基金が日本株による資産運用を進めるときの参考になるのではないかと思います。消費増税とかアメリカのQE縮小・金利上昇などの影響を受け、おそらくこれから短・中期的には日本の株価は(かなりの?)下落基調をたどるとみています。そのためGPIFには日本株の運用配分を拙速に高めることは避けてほしいわけですが、一方でどんな局面でもPBRの観点で割安だと判断される株については着実に運用対象に加えていってほしいと願っています。それによって、ほぼすべての上場株のPBRが当たり前のように1以上となれば・・・。それがわが国の株価を下支えする力―――株式市場が日本経済の実態以上に沈んでしまうことを防ぐ力―――となることを期待しています。

(続く)


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【運用資産は引き続き国内債中心で】年金の運用は「リスク・オフ」をベースに②

2014-03-21 00:03:39 | 日本

(前回からの続き)

 まあGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人:厚生年金および国民年金の積立金運用機関)が高い利回りを必要としている事情は分かります。少子高齢化にともなう労働人口の減少や年金受給者の増加が見込まれるなか、年金基金のさらなる拡充は国家的な課題となっているわけですから。

 そして「アベノミクス」の政策的なねらいも理解できます。安倍政権および黒田日銀としてはアベノミクス唯一の(?)成果である株高の資産効果のいっそうの発現を図るため、年金マネーの株式市場への流入を促したいところでしょう。付け加えると、外国債などの外貨建て資産への投資も促進させて円安モード(=輸入インフレ傾向)を定着させたいという思惑も・・・。

 しかし、忘れてはならないのは「安全性」の観点年金の役割を考えると、運用にあたっては「リスクオン」よりも「リスクオフ」をより強く意識すべき―――高い収益率確保も重要ですが、GPIFが運用しているのはわたしたちの大切な年金原資である以上、個人的にはどちらかといえば保守的な運用スタイルを守ってほしいという思いがあります。つまり引き続きローリスクの資産=日本国債などの国内債をベースに据えた運用ポートフォリオを組んでもらいたいということです。

 もっとも先述のとおり、GPIFの現在の目標資産配分比率は国内債60%、国内株12%、外国債11%、外国株12%。一時期の2/3を超える割合から60%に下がったとはいえ、4つのうちでもっとも安全とされる国内債が大きなシェアを占めています。資産運用の安全性と利回り追求のバランスを取るうえで、この60%くらいを同ポートフォリオにおける国内債割合の最低ラインとし、上限を2/3とするレンジを設定するくらいが適切かな、などと思っています。

 で、年金基金の残りの4割近くにどのような資産を割り当てるか、ですが、当然ながら「リスクオン」モードのときに高い収益が期待できる資産、つまり国内債よりもリスクは高いけれど大きな利回りをねらえる資産ということになります。これまた個人的な感覚ですが、その主役はやはり国内株式がよろしいかと。その配分率は現行目標の15%よりも少し高く、20%くらいでもよいかもしれないな、と考えています。

 アベノミクスが実質的に開始される直前(2012年11月)の日本の株価(日経平均株価で8千円台後半)はどうみても「低すぎ!」という水準だったと思っています。当時は配当利回りは高かったし、PBR(純資産倍率)が1以下の株がごろごろしていましたから・・・。それでも株は買われなかったわけですから、わが国の投資家は株式投資に慎重すぎたという面があったように思えます。それは年金基金も同じ・・・。

(続く)


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【世界一の年金基金は日本のGPIF】年金の運用は「リスク・オフ」をベースに①

2014-03-19 00:02:33 | 日本

 5年に1度の「公的年金制度の財政検証」を間近にひかえ、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」の今後の資産運用スタイルに関する議論が聞かれるようになってきました。近ごろの世界的な「リスク・オン」モードとか株高を重視するアベノミクスの思惑などを受け、どうやらそのスタンスは大きく変更されそうな気配がありますが、はたしてどうなりますか・・・。

 HPの情報等によると、GPIFはわたしたちの年金(厚生年金および国民年金)の積立金の運用を担う独法として2006年に設立されました。現在、その運用資産総額は128.6兆円(2013年末時点)で年金ファンドとしては世界最大規模となっています。

 これまでのGPIFの資産運用におけるモットーは「安全性」重視。運用資産の主体に日本国債などのローリスク・ローリターンの資産を据えるということです。そのとおり、GPIF設立時の基本ポートフォリオにおいては国内債の割合が67%と全体の2/3を占めていました。この国内債中心の慎重な運用ぶりの背景には、前身の年金福祉事業団がバブル崩壊後の株安等の影響で最終的に2兆円近くの累積損失を出してしまったことの反省があるようです。

 昨年6月、このポートフォリオがGPIF発足後初めて変更されました。その目標配分比率は国内債60%、国内株12%、外国債11%、外国株12%となっています。国内債が当初の67%から減った分、他の3つの割合が高められています。2013年末時点の実績ベースでの同比率は国内債55.22%、国内株17.22%、外国債10.60%、外国株15.18%となり、国内債の割合が設立以降では最低となる一方、国内株は2007年以来の高さにまで上がりました。

 ―――以上がHPなどで確認したGPIFと、その直近のパフォーマンスに関する情報やデータの概要です。これをみて感じるのは、GPIFの資産運用スタンスが設立当時の「安全性重視」から少しずつ「利回り重視」に変わりつつある―――より高い収益率を得るために株式や外国債などのリスク資産の配分比率を高めつつある―――ということです。そしてまもなく始まる年金基金の運用のあり方についての議論においても、基本的にはその方向、つまり高い運用利回りを目指すことの意義とか必要性が強調されることになりそうです。

 実際、GPIFを所管する厚生労働省は先日、GPIFに求める目標の収益率について賃金上昇率を1.7%上回る水準とするという報告書をまとめました(賃金上昇率を基準とした理由については、公的年金の被保険者に対する年金支払額が同上昇率に影響されるから、とのことです)。いくつかある賃金上昇率のシナリオによってはこの利回りは年4.2%に達するとのこと。現下の低金利という環境を考えると、これは相当に高い目標―――国内債中心の資産運用だけでは届きそうもないレベル、といえそうです。

(続く)


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【デフォルトへのカウントダウン、始まる!?】ウクライナ:債務不履行か?③

2014-03-17 00:01:27 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 クリミア自治共和国ではちょうどいまごろ(日本時間3月17日零時過ぎ)住民投票が行われている真っ最中です。で、その結果は見えています。人口の6割を占めるロシア系住民の賛成多数によってクリミアはロシアへの編入を決定するのでしょう。でも、いくら多くの民意が得られたからといって、ウクライナの一地域に過ぎないクリミアが勝手に同国から別れてロシアと一緒になろうというのは明らかな違法行為のはず。そんなことができるなんて規定はウクライナの法律にはないそうですから・・・。

 ということで、先月の政変に端を発したウクライナの混迷は、ウクライナ暫定政府+欧米諸国 vs. 前大統領派+ロシア という対立の構図をいっそう鮮明にしつつ、このクリミアの住民投票を経てあらたな緊張の局面へと入っていきそうな気配が濃厚です。今後近いうちに欧米諸国はロシアに対して経済制裁を発動するとしています。これにロシアが反発するのは必至でしょう・・・。

 ・・・といった両者の反目よりもはるかに重大な問題としてウクライナの資金繰りがクローズアップされてきそうです。おそらく今回のクリミアの出来事を受け、同国の通貨や国債はさらに売られ、外資の流出は続き、ただでさえ少ない外貨準備が同国暫定政府の当初の目論見よりもずっと早く底をついてしまいそうです。

 それにしてもウクライナ暫定政府は厳しい状況に追い詰められてしまいました。先述のとおり、同国のいまの債務危機を防ぐにはロシアからの資金援助が不可欠なのに、クリミアをめぐる上記の対立激化でロシアの態度が硬化するとみられるからです。もしロシアが同国に対する支援を停止するなんて言い出したら、ウクライナは万事休す―――デフォルトしてしまうでしょう。そのときはロシアの企業等もダメージは免れないでしょうが、それ以上の痛手を被るのは同国、そして同国暫定政府を支持する欧米諸国の金融機関となるような気がします。ただでさえ財務に不安があるのにウクライナで傷がついたら、せっかく「リスク・オン」モードで高まっていた手持ちの資産価値が一気に下がり、経営が揺らぐような銀行も出てくるのではないでしょうか。

 このあたりが欧米諸国の弱いところです。ロシアに対して経済制裁などの強硬措置を打てば・・・ウクライナはロシアからの支援を得られなくなってしまう。だからといってIMFの同国向け融資だけでは不十分だし、ウクライナがその受け入れ条件を満たす可能性は低い。その結果、ウクライナがデフォルトになったら、自分たちの「仲間」の金融機関の一部が危うくなる―――やはりロシアにウクライナを支えてもらいたい・・・そのへんが本音ということです。

 ウクライナ暫定政府もそんな現実に気づく必要がありそうです。欧米諸国にもIMFにも自分たちを支える余裕がないことを。そして、ガスなどのライフラインはもちろん、経済活動にもっとも必要なお金の面でも自分たちはロシアに依存しているということを・・・。だからウクライナは一刻も早くロシアと和解するべきだし、欧米諸国もそのための仲介をするべきだ、と考えているのですが・・・。

 ・・・もはやときすでに遅し(!?)―――ウクライナのデフォルトに向けたカウントダウンが始まってしまったように思えてなりません。

(「ウクライナ:債務不履行か?」おわり)


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【IMFはウクライナを救えるか?】ウクライナ:債務不履行か?②

2014-03-15 00:00:30 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 現時点でウクライナ暫定政府がもっとも頼りにしている欧州(EU)ですが、EUは何よりも身内の巨大金融リスクに備えなければなりません。近い将来に高い確率で発生が予想される銀行危機への財政的準備を最優先にせざるを得ないということです。だからEUにはウクライナのようなEU圏外の国に多額の資金援助をする余裕なんて本当はないはずです。事実、前回書いたとおり、EUはすぐに実行可能は同国向けの支援額をわずか6億ユーロに抑えています。

 そのあたりの事情はアメリカも同じ。QE(量的緩和策)という実質的な「中央銀行による国債の直接引き受け」で財政のやりくりをしているいまの米政府にウクライナを満足させる額の資金を供与できるゆとりはないでしょう。先日発表された同国向け支援額10億ドル(ウクライナが発行する10億ドルの国債の保証:米議会承認待ち)くらいが目いっぱいなのではないでしょうか。一部の関係者は「この支援が他のドナーからの資金提供の呼び水になる」と語ったそうですが、これは現状のアメリカがお金の面でウクライナに対して「呼び水」程度の援助しかできないことを打ち明けた発言だと思っています。まあアメリカの本心は、自分からは極力お金を出さない代わりにEUあたりに融資させたいといったところでしょう。

 こうみてくると、資金繰りに苦しむウクライナは、どうやら欧州もアメリカも当てにできない感じがします。となると同国は、厳しい条件を呑んだうえでIMFの支援を仰ぐか、それともロシアマネーにすがりつくか、という究極の(?)選択を迫られそうですが・・・。

 で、ウクライナはどちらを選ぶかといえば・・・やはりまずは前者なのでしょう。あれだけロシアと対立している現・暫定政府には後者の選択は現時点ではナシ、でしょう。となれば同国が大口の融資を申し込める相手はおのずとIMFになります。それにIMFにしたって本音ではウクライナをデフォルトさせたくないはず。その理由は、同国経済・社会の破綻を心配しているからではなく、それによってウクライナ国債等に多額の投資をしている欧米金融機関に悪影響が及ぶことをおそれているから・・・でしょう。きっと表向きはウクライナに厳しい条件を付けたように装いつつ、実質的には同国が当面の借金を返済できるだけの資金を供与するのだろうな、などと予想しています。これってモラルハザードに近い感じですね・・・。

 とはいえ、先述のようにウクライナの債務は膨大です。いくらIMFが支援しても、それでも資金ショートは免れないでしょう。結局、同国は後者を選択する、つまりにっくき(?)ロシアに救いの手を求めるしかなくなるだろう、とみています。

(続く)


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【欧米の資金援助額は少な過ぎ…】ウクライナ:債務不履行か?①

2014-03-13 00:04:38 | ヨーロッパ

 突然の政変とその後の混乱に揺れるウクライナですが、お金の視点で予想すれば、結局はロシアに頼らざるを得ないでしょう・・・。

 先月末、ウクライナの暫定(?)政府は、2013年末における同国の対外債務が1400億ドルに達したと発表しました。それらのうち650億ドルが支払期限の迫る短期債務とのことです。その一方、発表時点での外貨準備高約150億ドルにまで減少しまっているそうです。この貴重な外貨ですが、中央銀行による自国通貨フリブナの買い支えとか外貨預金の流出で、今後の短い期間にさらに少なくなることは確実でしょう。現に、ウクライナのいまの外貨準備高は120億ドル程度にまで減っているのではないかという見方も出ています。

 そして今月10日には同政府の財務相がウクライナは今年末までに100億ドルの債務を返済する必要があることを明らかにしました。でも実際にはもっと多くなりそうです。国営ガス会社などの借金を含めると、返済額は130億ドル近くになるという試算もあるもようです。いずれにせよ、現在の手持ちの外貨準備でまかなえないことは明白です。そんなわけで、早く資金繰りを何とかしないと、ウクライナは年末を待たずにデフォルトに追い込まれてしまいそう・・・。

 で、その資金の手当てのほうですが、何とも心細い限りです。たしかに今月初旬にEUがウクライナに対する総額110億ユーロの包括支援策を発表しましたが、すぐに実行できるローンはわずか6億ユーロとのこと。そしてEUに先立って同国支援を表明したアメリカの支援額も(失礼ながら)たった10億ドル・・・。ウクライナはいますぐにでも40億ドルほどの外貨が必要となっているそうですが、頼みの欧米諸国からの援助がこれっぽっちでは、お金のやり繰りはまさに綱渡り状態です。さぞかし同国暫定政府は「せっかく親欧米のスタンスを明確にしたのに、当てが外れた」と感じていることでしょう。

 そしてこうした国家の金融危機に決まって登場の国際通貨基金(IMF)ですが・・・一応、ウクライナの経済改革プログラムを支援する準備ができており、同国政府の決意を評価している、といった具合で、支援に前向きに思えます。しかし、実際に援助が開始されるためには、緊縮財政や各種補助金カットなどの厳しいプログラムの実行をウクライナがIMFに約束する必要があります。もっとも、そのハードルはいまの同国にとってきわめて高いうえ、現在の同国暫定政府の法的正当性に疑問符が付くことなどから、正式な資金援助は5月に予定されている新大統領選挙のあとになりそう。あと2か月「も」先です。それまでウクライナは持ちこたえられるのか・・・。

 「デフォルトを回避するには2014、15年の2年間で350億ドルの資金供与を想定する」―――欧州、アメリカ、そしてIMF等に対して同国支援会議の開催を呼びかけたウクライナ暫定政府の当局者はこう述べたそうですが、上記のような状況で同国がこれら3者からそんな大金を得られるわけがない―――そう思っています。

(続く)


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【ユニオンジャックのデザインはどうなる?】独立の機を逸した?スコットランド⑤

2014-03-11 00:03:26 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 先日、世界的に有名な俳優のショーン・コネリー氏が「祖国」スコットランドの英国からの独立支持を表明しました。これほどのビッグ・ネームが独立を訴えれば、スコットランドの人々のナショナリズムも大いに刺激されそうです。氏のいうとおり、文化や芸術の面からみれば、スコットランドの独立は意義深いことなのかもしれません。

 しかし・・・ここまで長々と綴ってきたように、肝心の経済面ではスコットランド独立のメリットがあるとはいい難く、それどころかむしろデメリット―――さまざまな負担を抱え込むこと、など―――ばかりが考えられる状況です。そのため、私の個人的な思いは、ロック歌手デビッド・ボウイ氏のメッセージと同じ―――「スコットランドよ、英国にとどまれ」―――そのほうが身のためだよ、というものです。もっとも独立を断念したところで、英国にも通貨ポンドにも、近い将来、厳しい試練が待ち受けている(?)ような気がしてなりませんが・・・。

 もはやスコットランドは独立の機会を失ってしまったのではないでしょうか。そのチャンスは北海油田の開発が始まった数十年前だったように思えます。当時独立していれば、石油資源がもたらす利益を英国よりもずっと少ない人口(500万人あまり)で分かち合うことで、スコットランドは北海対岸のノルウェーのように高い一人当たりの国民所得を享受する国になっていたかもしれないのに・・・。

 ・・・いや、結果からすれば、スコットランドは英国から別れないでよかった、とみるべきでしょう。先述のとおり、北海油田の英国側の鉱区では石油資源が枯渇しつつあるからです。もしあの頃に早まって独立していたら、石油産出量が減り続けるなかで、スコットランドはいまごろ英国との再統合(救済合併?)を真剣に議論していたかも・・・ということで、繰り返しになりますが、どのみちスコットランドには独立のセンはないな、と考えるわけです。

 それでも、それでも・・・切なる思いが勝ってスコットランドは今年9月の住民投票で英国からの離別を決断してしまうのでしょうか!? そうなった場合の英国内外に与える影響はとても大きいでしょう。スコットランドの独立が、英国においては北アイルランドの独立派を勢いづかせるのはもちろん、スペイン内のカタルーニャとかウクライナなどの欧州各エリア、そして世界各地のさまざまな地域や民族の分離独立運動に火をつけるきっかけになるかもしれません。意外(?)なところではアメリカに注目です。ひょっとしたらテキサス州あたりが米連邦政府から独立する、なんて言い出したりして!?

 で、これに関する個人的な一番の関心事は、英国旗(ユニオンジャック)のデザインがどうなるのか、ということ。現在の英国旗はイングランド、スコットランド、北アイルランドの3地域の旗が組み合わさった構成になっていますが、ここからスコットランド旗(青地に白の斜め十字:聖アンドリュー旗)が抜けると、新しい旗は・・・イングランドと北アイルランドの2旗だけの「新ユニオンジャック」(!?)となるのか、それともこれまでは入っていなかったウェールズの旗(赤い龍の旗)が新たに加わったスタイルになるのか? そして一部の英連邦諸国の旗のデザインも変更を余儀なくされてしまうのか(オーストラリアとかニュージーランドなどの旗にはユニオンジャックが描かれている)? さらに「ミチコロンドン」のロゴはどうなってしまうのか・・・などと、いろいろ想像力を働かせる必要が生じるわけですが・・・。

 ・・・うーん、どうイメージしても、やはりユニオンジャックはいまのデザイン以外に考えられない―――そう思うのですが、はたしてスコットランド住民の選択やいかに!?

(「独立の機を逸した?スコットランド」おわり)

(本日で「あの日」から3周年。東日本大震災で亡くなられた方々の心からのご冥福と、被災地の一刻も早い復興をご祈念申し上げます。)


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