世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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「人形使い」官僚が支配する中枢権力(政府改革私案)③

2012-03-31 00:00:02 | 日本

(前回からの続き)

 私たち国民は、明治以来続くこの構図を認識した上で、国家の運営ははたしてこれで良いのかを自問すべきでしょう。つまり、現状を肯定し、「官僚主権体制」を許容・維持強化するのか、それとも国民の代表である国会議員が官僚に代わって政策や法律作りを主導する「国民主権体制」を選択するのか、ということです。

 もし前者を指向するのならば、超極論ですが、いっそ国会を廃止します。政策も法律も官僚に堂々と作らせるのです(現状の実態はこれに近いですが…)。ただしこれでは官僚が自分たちにとって都合が良い政策や法律ばかりを作るなど、官僚独裁体制を築いて好き放題をやってしまう懸念があるので、事務次官や局長など、権限と責任のあるポストにつく官僚を国民が直接選挙で選ぶようにします。選挙の結果、国民の意に沿わないとされた人には官僚職を辞してもらう、という仕組みです。

 もし後者を指向するのならば、政府による法案提出を停止してみるとおもしろいと思っています。官僚による法律作りを封じてしまうのです。そうすれば国会議員たちは自分たちで法律を作らざるを得なくなります。彼らは、政策秘書などの自分のスタッフと力を合わせて法案を起草するでしょう。シンクタンクや街の法律事務所が彼らの法案作成の下請けをするようになるかもしれません。こうして国会が本来的な意味での立法府に生まれ変わります。そして有権者はもっと厳しい目で国会議員を選別するようになるでしょう。しっかりした議員が選ばれないと、政策や法案の作成や施行が滞ってしまうおそれがあるからです。

 とまあ、極端で非現実的な私案をつづってみました(私が個人的に考える問題点をクローズアップするためにあえて極論を示したものです)。より実現性のあるやり方としては、各省庁の次官・局長あたりの幹部ポストは政権の理念や政策に賛同する人を配置することにして、政権交代があった場合は、首相や大臣などに加えて、これら各省庁幹部も合わせて交代するという「スポイルズ・システム」の仕組みを一部に取り入れてみる、といったところでしょうか。官僚人事を、現行の年功序列制から、選挙で示された民意を反映させるものに変更する、というものです。

 ちなみに、一時与党内で「事務次官廃止論」が持ち上がりましたが、個人的には賛成です。次官を廃止しても政治的な任命職である「副大臣」がいまの次官が担う役割を果たせばそれで足りると考えられるからです。

 ともかく、民主主義国家である以上、実際の国家権力を握る人たちを国民が選んだり排除したりできる仕組みが機能していなければならないと考えています。現在のように、政策作りも法案作りも不十分な「操り人形」の国会議員を選挙で選んだり替えてみたりしたところで、真の権力者であり「人形使い」である官僚を市民が変更できるスキームがなければ、民意を反映した社会を作るのは難しいと思いますが、いかがでしょう。

 3月30日、消費税増税法案が閣議決定されました。近いうちに総選挙が行われて政権が交代するかもしれません。しかし、それで「人形」たちの顔ぶれが入れ替わっても、「人形使い」たちが変わることはありません(「人形使い」たち同士の人事異動を除いて)。現在の実質的な「人形使い」の総帥・財務事務次官が、政権交代にかかわらず、引き続きこの法案の成立に向けて「人形たち」を操り続けます。

(「人形使い」官僚が支配する中枢権力(政府改革私案)おわり)

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「人形使い」官僚が支配する中枢権力(政府改革私案)②

2012-03-29 00:00:41 | 日本

(前回からの続き)

 そもそも国会とは立法府、つまり法律を作る場所のことだから、その構成員である国会議員の仕事は「法律を作ること」であるはずです。アメリカなどでは法案の作成に関与した議員の名前が法律の俗称となっているのもこのためでしょう。

 ところが、上で述べたように、わが国の主要な法律を作成しているのは、国会議員ではなく政府・官僚です。政府提出の法案に比べると、国会議員が作成する法案の数は少ないので、マスコミなどではこれを「議員立法」などと、何か特別な法案であるかのように「議員」という枕詞をつけて呼ぶような有様です。本来なら国会議員の作成する法案こそが修飾語のない「立法」で、政府提出の法案は例外的なものとして「官僚立法」と表現すべきでしょう。

 このように、官僚は、政府・内閣はいうに及ばず、政府法案の作成行為を通じて国会をも操っているといえるでしょう。行政権に加え、官僚は事実上の立法権をも手中にしているのです。ついでにいえば、予算編成権や徴税権などの国家の主要な権限も官僚に集中しています。

(国会議員による予算編成等への参加の一手法として行われている「事業仕分け」がマスコミで派手に取り上げられることも多いですが、国家予算の根幹を占める部分を除いた瑣末な箇所だけの仕分けに留まっているような印象を受けます。まあ、国会議員=国民が、この事業仕分け作業を通じ、たとえわずかであっても予算編成等に関われるようになったという点では国民主権の観点から一歩前進と思っています)。

 これに対して国会議員(つまり国民)は実質的な権限はほとんど持たされていません。まさに「人形使い」がいなければ踊ることができない哀しき「操り人形」といえるでしょう。なお、与党・野党の違いを「人形使い」の官僚に定義させれば、与党議員は「官僚が作った政策や法案に賛成する人形たち」であり、野党議員なら「それらに反対する人形たち」といったところでしょうか。

(続く)

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「人形使い」官僚が支配する中枢権力(政府改革私案)①

2012-03-27 00:00:03 | 日本

 消費税増税議論が佳境を迎えています。

 民主党・野田政権は、社会保障と税制の一体改革を不退転の決意で進める、としており、その主要財源としての消費税増税をなんとしても成し遂げたいようです。

 ところで、この大改革のための法案のほとんどは、実際は政府、つまり財務省などの官僚によって起草されることになるのでしょう。他方で与党・民主党の国会議員がこの重要な改革に関連する法案の作成にかかわることはあまりないのではないでしょうか。

 政権交代当時、たしか民主党は「政治主導」を標榜したものの、その後は徐々にトーンダウンし、野田政権になってからは自民党時代の「官僚主導」にすっかり舞い戻ってしまったようです。何でもかんでも官僚まかせ、ということです。

 「官僚主導」は何も野田政権に限ったことではありません。歴代の内閣も国会議員も似たり寄ったりです。首相や大臣たち、国会議員たちは、官僚が作った政策や法案を鵜呑み・棒読みにして、閣議や国会で議決したり記者会見で発表したりしているだけ。(たいへん失礼な言い方で恐縮ですが)ようするに国会議員はいわば官僚の「操り人形」に過ぎません。ただの人形に過ぎないから、たとえば、

 ・「○○大臣を歴任!」(極端に言えば、官僚が用意した原稿をそのまま読み上げたり、書類に判子をつくだけの大臣なら誰でも「歴任」できる?)
 ・「○○委員会で鋭い質問!」(選挙民に仕事ぶりをアピール?まあ質問もいいけど政策や法案のほうは?)
 ・「予算委員会で○○スキャンダルを追及!」(足の引っ張り合いに夢中で予算審議はそっちのけ?)

といったような、TV映りや見栄えの良いパフォーマンスばかりがもてはやされます(どうせなら立法府の人らしく「この法案を書いたのは私だ!」といったところをアピールしてほしいのに・・・)。

 本当に国政、つまり内閣や国会議員を動かしているのは「人形使い」である官僚のほうなのです。

(続く)

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「前門のインフレ後門の金利上昇」ジレンマに悩むFRB②

2012-03-25 00:01:00 | アメリカ

(前回からの続き)

 さらに、長期金利がジワジワ上昇してきています。3/19時点で10年物国債金利は2.3%と、一時期の2%を切る水準から1ヶ月程度で15%あまり上昇しています。今後、さらに景気回復が進むと、長期金利は一段と上昇し、住宅ローン等を抱えている世帯の支払い負担が大きくなっていくでしょう。とくに中低所得層であるサブプライム層では、インフレの進行で実質所得が減っていく中でローンの金利負担が重くなり、なかにはマイホームを手放さざるを得なくなるような人々も増えていくでしょう。

 しかし、肝心の住宅価格は下がり続けています。ケース・シラー全米住宅指数を見ると、2006年第1Qの191(2000年第1Q:100)から2011第4Qは126とピークから34%下落し、現在も下げ止まっていません。そのため多くの場合、住宅を売っても売値が買値を下回り、ローンの返済ができず、破産等に追い込まれる人々が多くなってくるでしょう。この結果、貸し倒れがますます増加し、二大住宅公社を含む金融機関の資産が不良化して金融不安が再発するおそれがあります。

 「物価も長期金利も落ち着いていて、住宅の価格がピーク時に近い価格まで戻ってくれれば」というのがFRBの本音なのではないでしょうか。でも実際にはそううまくはいきそうにありません。金融緩和でインフレを起こさないと政府や大企業などの借金負担を軽減することはできないし、さりとてインフレを抑制しようとして政策金利を上げたら金融危機と景気後退を招きかねない・・・。FRBはほんとうに難しい舵取りを強いられているなと感じます。

 さて、こうしたアメリカの状況や、2月以降の日銀金融緩和の影響を受け、現在、為替の方はドル高・円安の流れにあります。長期金利差が拡大していることなどから、しばらくはこのトレンドが続きそうです。しかし、アメリカは、経常赤字が拡大してきたこと、インフレが進んで実質的なマイナス金利が拡大し始めていること、長期金利の過度な上昇を抑えなければならないこと、などの情勢にあることから、一方的なドル高・円安は続かず、1ドル80円台後半くらいから徐々に円高傾向に戻ってくるのではないかと予想しています。

 さらに今年の後半くらいになると、不良債権の増加や欧州ソブリン危機の再燃等にともなって金融不安が再び意識され、FRBはインフレ抑制を断念して結局はさらなる金融緩和(QE3)に踏み切らざるを得なくなると予測しています。その結果、アメリカ経済は、マネー増刷の激しい副作用、つまり一層のインフレと制御困難な長期金利の上昇に見舞われるリスクが高まるでしょう。

 先日、前FRB議長のボルカー氏が経済誌主催の経済会議で、景気刺激のために物価上昇を促す必要があるかという質問に「それは最悪のシナリオ。インフレが進行すれば金利上昇を招き、景気刺激効果は得られず、物価安定の回復も非常に難しくなる」と回答したそうです。私もまったく同感です。

 それでもきっとFRBは金融緩和という名のインフレ政策をとるでしょう。それ以外に借金の実質負担を減らす手がないからです。その副作用はアメリカのみならず世界経済に大きなインパクトを与えそうです。

(「『前門のインフレ後門の金利上昇』ジレンマに悩むFRB」おわり)
  

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「前門のインフレ後門の金利上昇」ジレンマに悩むFRB①

2012-03-24 00:04:35 | アメリカ

 何だか経済新聞のコラムのタイトルみたいですが、いまの米国準備制度理事会(FRB)の金融政策スタンスの難しさを表現するとこんな感じなのではないでしょうか。

 今年に入り、度重なる金融緩和の効果がようやくあらわれたのか、アメリカ経済は景気回復が窺われる基調となってきました。雇用統計をみる限り、新規雇用が増えるとともに失業率は少しずつ低下してきました(2月8.3%で3年ぶりの低水準)。さらに株価も上昇し、年初の12,000ドル台前半から3月中旬には13,000ドルを超えるところまで上昇してきています。

 また、経常赤字も拡大してきたようです。3/14の商務省の発表によれば2011年の経常赤字は前年比0.5%増の4,734.4億ドルと2年連続の増加で、赤字額は2008年度以来3年ぶりの高水準とのことです。アメリカは景気が回復してくると経常赤字が増える傾向があることから、やはりアメリカは徐々に景気が回復する過程に入ったということなのでしょう。

 こうした経済状況をふまえ、FRBは3月中旬の公開市場委員会でアメリカ経済について「緩やかな成長を続ける」との見通しを示しました。一方で事実上のゼロ金利政策を少なくとも2014年終盤まで継続する方針は続けるとしています。

 この反面、気になる兆候も目立ってきました。インフレです。アメリカではこのところ物価上昇のペースが速くなっています。たとえばガソリン価格は今年に入ってからだけでも約17%もの上昇を示しています(低燃費の日本車はシェア拡大のチャンス!)。それ以外にも食料や衣類など、市民の日常生活に直接関わるものの価格が前年同月比で5%程度値上がりしています。

 FRBがゼロ金利政策を維持していることから、物価上昇を勘案すると実質的な金利はマイナスになっていると思われます。そのため、金融機関などは、低金利の国債などを売却して株式投資等を行なってより高い利益を得ようとしています。さらに借金でレバレッジをかけてリスキーな金融投資等を拡大しているかもしれません。

 他方、ほとんどの市民は、賃金が上がらない中でガソリンや食料などの生活必需品の価格が高騰しているため、景気回復が報道されている割には、生活がむしろ苦しくなっていると感じていると推察されます。事実、ミシガン大消費者マインド指数の3月の数値が対前月でマイナス(75.3→74.3)となったことや、インフレ期待は逆に高まったことなどから、アメリカGDPの7割を占める個人消費が復調したとは言えず、個人消費増→企業設備投資増のサイクルを描く本格的な景気回復が始まったと判断するのは早過ぎるでしょう。

 名目GDPなどのマクロ経済指標や株価などの見た目の数字は良くなってきたけれど、大多数の消費者の景気回復感が乏しい上にインフレが影を落とすという微妙な経済情勢となっています。

(続く)

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スペインの街角にみるユーロ圏統一への多難②

2012-03-23 00:00:32 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 続いてカメラは午後の繁華街に向かい、一軒の居酒屋に入っていきます。そこでは早めに仕事を終えた人々が集まって、すでに酒を飲み交わしていました。やがて上機嫌になった彼らはなじみの歌を合唱し始めます。その歌はこのようなものでした。

 酒を飲もう、ツケは誰かが払ってくれるさ~♪

 ・・・。思わず「ツケはアンゲラ(アンゲラ・メルケル独首相)が払うと思っているんでしょ?」と胸の内でツッコミを入れてしまいました。意地悪い考えですが、酒を飲んでツケを誰かに払わせる、というこの歌は、国力以上に国債を発行して借金をし、その借金を他国(つまりはドイツ)に支払ってもらおうとするどこかの国のことを歌っているように聞こえました。もしかしてスペインもそうなってしまうのでしょうか。

 ユーロ圏が、わが国や経済大国アメリカ、成長著しいアジア各国と競いながら発展していくためには、繰り返しになりますが、財政共通化を含めたユーロ圏の統合が条件となるでしょう。しかしその前提として、これまでに作った借金は、あくまでそれを作った国が自助努力で返す必要があります。そうしなければ、それこそいくつかの国々が「誰かが返してくれるさ」とばかりに国債を乱発し、その償還を他国に委ねるなどのモラルハザードに陥るリスクが高まります

 実際、今回のギリシャの「借金棒引き」を見ても分かるように、すでにユーロ圏ではこうしたモラルハザードが発生する気配があります。こうしたことが繰り返されることで、通貨ユーロは通貨としての信認をどんどん喪失していくでしょう。そして欧州諸国の市民の多くは緊縮財政によるリセッションと通貨乱発にともなう激しいインフレに苦しむことになりそうです。

 ユーロ圏統合への加速化が唱えられるなか、「独立」や「他人(他国)まかせ」を連想させるこうした光景は印象深いものでした。もちろん、以上は私の超個人的な感想に過ぎません。スペインの市民の多くが統合欧州に希望を持っていると思うし、今後、スペインもヨーロッパも、言語や民族、信条や習慣などのさまざまな違いを乗り越えて統一に向かっていくことに変わりはないと思っています。それしかユーロ圏に生き残る道はなさそうですから。

 3月12日のユーロ圏財務省会合で、スペインは2012年中の追加的な財政赤字削減策を求められました。ギリシャに続いてスペインも正念場を迎えています。

(「スペインの街角にみるユーロ圏統一への多難」おわり)

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スペインの街角にみるユーロ圏統一への多難①

2012-03-21 00:03:23 | ヨーロッパ

 少し前になりますが、昨年12月、とある紀行番組で登場した街、スペインのビルバオで、ユーロ圏統合が多難な道であることを感じさせるシーンがあったので紹介します。

 スペイン北部の中心都市でビスケー湾に面するビルバオは、かつては鉄鋼業で栄えた町でしたが、現在では鉄鋼業はすっかり衰退し、その面影がわずかに残るだけとなっています。一方で、町中の至る所にオブジェや彫刻を配置するなど、芸術を使った町おこしが進められています。古い工業都市の遺構と新しいアートが調和する、穏やかで美しい街です。

 カメラは歩く速度でビルバオの市街地をゆっくり巡ります。やがて、通りに面した店や住宅に掲げられている旗にスポットを当てました。そこに翻っていたのは、黄色と赤のスペイン国旗ではなく、赤地に緑と白の十字模様が交差する「バスク」の旗です。ビルバオを含むスペイン北部からフランス南西部にかけてはバスク民族が分布しています。独自の文化圏を形成しているバスク人には自主独立の気質があり、以前からスペインやフランスからの分離独立運動を続けている人々も一部にいるそうです。

 ところでスペインの人々はバスクに限らず各地域の自治への思いが強いことで知られています。スペインが世界屈指のサッカー強国であるにもかかわらずナショナルチーム同士が戦うW杯では2010年まで優勝できなかったのは、国民のあいだにスペイン国家への帰属意識が希薄であるためだとする分析もあるようです。あの「バルセロナ」の属するカタルーニャ州でも国家からの自主権拡大を求める運動があると聞きます。

 もっとも、スペイン、そしてヨーロッパはそうした地域主義を乗り越えなくてはならない地点にさしかかっています。すでにスペイン国債の価格は大きく下がると同時に金利が上昇し、自力での資金調達が厳しくなっています。これはスペインを含めたPIIGS諸国やほかの欧州諸国も同様です。これらの国々を救済するためにはユーロ圏の統合推進が必須といわれます。それにもかかわらず、ヨーロッパの多くの国が主権の制限につながるなどの理由で統合に懐疑的になっているし、いまだに多くの地域で独立や自治権の拡大を求める動きがみられます。

 各国が自分たちの権利ばかり主張して統合に背を向けているかぎり、ユーロ圏の未来は多難と感じられます。バスクやスペインの伝統や文化を大いに尊重しながらも、EUが掲げる「多様性の中の統合」こそヨーロッパの人々が最優先で共有すべき理念でしょう。

(続く)

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「2012年はこうなる」予想で分かるビジネス本著者の予測力

2012-03-20 00:03:26 | 日本

 日本財政が破綻!?
 日本経済は世界一!?
 アメリカ覇権の終焉!?
 アメリカ資本主義大復活!?
 ユーロ空中分解!?
 中国バブル崩壊!?
 次の覇権国は中国!?  などなど・・・

 いま書店のビジネスコーナーにいくと、こうしたセンセーショナルなタイトルがつけられた本がたくさん平積みされています。多くがマスコミでおなじみの有名な大学教授や金融アナリスト、経済評論家によって書かれたもので、中にはベストセラーにランクインするような本も少なくありません。

 今後のビジネスや投資などを検討するうえでこのような本の内容を参考にされる方も多いと思われますが、それにしても困ってしまうのが、経済情勢の現状分析や見通しの内容が著者によってまったく違っているということです。たとえば日本の財政にしても、ある方は破綻寸前にあるというし、一方で当面は大丈夫といった主張をされる方もいます。いったいどちらを信用したらよいのでしょう。

 それを見分ける私なりの方法をご紹介します。それは、これらの本の著者が数年前の著作でどのような2012年の情勢予測をしているのかを読み比べるというものです。2012年はアメリカをはじめ、世界各国で大統領選挙が行われるほか、中国では国家主席が代わります。さらに「2012年地球滅亡説」などもあるせいなのか、以前から「2012年はこうなる!」といったビジネス書がたくさん出版されています。

 そのため、何年か前に出版されたそれらの本に2012年の今この瞬間の世界や日本の状態がどの程度正確に語られているかをみれば、その著者の予測力やその予測のベースとなった分析能力を大まかに評価することができると思っています。具体的には、出版当時の著作中にある為替レート、株価(ダウや日経平均)、国債価格、長期金利、金(ゴールド)価格などに関する2012年予測を見れば、「この著者の2012年見通しは(けっこう)当たっているな」とか「(えらく)ハズしているな」といったことが分かるでしょう。

 予想を外した著者の中には「いや、私の予想はこれから実現するんだ!」と言われる方もいらっしゃるかもしれません。たしかに今年2012年はまだ1/4も終わっていません。これから内外の政治・経済のビッグイベントが数多く控えているし、想定もされなかった出来事が起こる可能性も大です。このため年末になって1年を振り返られるようにならないと本当の予測力の判定はできそうにありません。はたしてどうなることでしょう。何らかの情勢変化があって予想が見事的中するのか、それとも「起こる!」と予想された事象が逃げ水のように遠のいていくばかりなのか・・・。

 ちなみに、「日本大好き!」の私は、わが国の将来を前向きに予想する方の著書が好みです(たとえその中にどんなに厳しい見通しが含まれていたとしても)。

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【インフレ注意報発令】日銀金融緩和の副作用③

2012-03-18 00:01:08 | 日本

(前回からの続き)

 現在、とくに欧米諸国では大規模な金融緩和により大量のマネーが市場にばらまかれています。これらと比較すれば、わが国は通貨供給量を穏当にコントロールしてきたので、為替レートは円高/外貨安のトレンドを辿ってきましたが、とうとう(一部の政治家やマスコミによる「円高=悪」の声に抗しきれなくなったのか?)日銀も大掛かりな金融緩和に踏み切りました(まあ、効果が乏しい上に巨額の為替差損を被るリスクの高い政府・日銀の「外貨買い/円売り介入」よりはマシと思っていますが・・・白川日銀総裁の本音をぜひ伺ってみたいところです)。そのため、わが国は、株価上昇等の金融緩和効果を享受しつつも、マネー過剰散布の悪影響、つまりインフレに細心の注意をはらう局面を迎えたといえるでしょう。

 もっとも、欧米諸国は近いうちにさらなる金融緩和に追い込まれるものとみています。ヨーロッパではギリシャおよび他の重債務国のソブリン危機が再燃し、ECBは「最後の貸し手」としてこれら諸国の国債を買い支えることになるでしょう。アメリカも、ヨーロッパの金融危機の飛び火などで金融システムが動揺し、FRBはさらに多額のマネーを市中に供給せざるを得なくなるでしょう(いわゆるQE3の発動ですね)。繰り返される金融緩和によるマネー大増刷の果てにあるのは「ハイパーインフレ」です。実際、欧米諸国はひょっとしてこのハイパーインフレに向かっているのではないかと大真面目に心配しています(ちょっと大げさかも?)。

 わが国は、インフレの恐ろしさと円高メリットも十分に認識しつつ、日銀には中央銀行としての本来の目的「物価の安定と金融システムの安定」(日銀HP)に基づく金融政策の堅持を期待し、副作用の大きな金融緩和競争へのこれ以上の参加には慎重であってほしいと思っています。

(「【インフレ注意報発令】日銀金融緩和の副作用」おわり)

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【インフレ注意報発令】日銀金融緩和の副作用②

2012-03-17 06:22:47 | 日本

(前回からの続き)

 今回の日銀の金融緩和が日本経済に与える影響については、あらゆる観点から総合的に見極める必要がありますが、ひとつ指摘できることは、わが国もインフレに注意が必要になってきた、ということです。

 以前にも書いたように、欧米諸国は国債金利がインフレ率を下回り、実質的な金利がマイナスに落ち込んでいます。他方でわが国は長期金利1%、インフレ率0%で、実質金利が1%あまりのプラス。この実質金利差が円高・外貨安の原因のひとつとなってきました。今回、これを是正するべく?日銀は、さらなる長期国債の購入により長期金利を下げつつ、市場への通貨供給量を増やして上限1%程度のインフレ誘導を行い、実質金利をゼロ%に持っていく算段のようです。

 そうすると、円のベースマネーが拡大するとともに、実質的な円と外貨の金利差が縮小するから、円が売られ外貨が買われて円安になるでしょう。つまり円高のメリットが減って、石油などの原材料価格が上昇する輸入インフレが引き起こされる可能性が高まります。それでも、長い間インフレに悩まされている欧米諸国や新興国に比べれば穏やかなほうですが(気の毒なことに、現在、これら諸国の大半の市民の生活レベルはインフレのため悪化の一途を辿っていると思われます)。

 たしかに、通貨安で輸出企業を再興させ、経済の活性化を図るという手もわからなくはありません。ちなみに、わが国のGDPに占める輸出依存度は15~17%くらいです(ドイツ・韓国50%弱、中国40%強、などと比べると、日本経済は必ずしも輸出にとくに依存した経済とはいえない)。

 しかし、これだけ世界規模でインフレが激しくなっているなかで通貨を安くすると、その副作用としての輸入インフレのインパクトは大きくなります。さらに市民にとっては実質的なゼロ金利の悪影響も見逃せないでしょう。これまで金利1%だったのに今後はゼロ、つまり、理論上は(ただでさえ少ない)利子収入を物価上昇分が食いつぶすことになってしまうからです。

(続く)

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