世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【円安・原油投機扇動・消費増税のトリプルパンチ不発の幸い】消費税率10%程度なら「日本」は乗り越えられる③

2019-08-29 23:00:39 | 日本

前回からの続き)

 たとえ消費増税があっても、「日本」であれば、ドル等に対して円が高くなっていくから、税率引き上げ直後こそ苦しいものの、やがては円建て原材料コストとくにエネルギーコストが低下してモノやサービスの税込み価格も下がるため、増税の痛みは緩和されていく―――これまでそんな見方を綴ってきました。

 ですがそれは「日本」での話です。いまは真逆の「アベノミクス日本」つまり円安万歳一色だからそうはいきません・・・というか、円安ドル高で原油や天然ガスの円建て価格を引き上げ、それが電気代やガソリン代を高くすることで商品価格を押し上げていく、つまりコストプッシュ型インフレ(=名目金利-予想インフレ率<0)が望ましいとされる政治・経済情勢になっているわけです、「アベノミクス日本」国では。これに加え、本稿の文脈から重要なのは、アベノミクスがよりによって原油に代表される商品投機までも扇動し、それらのドル建て国際価格上昇の原動力となっていること。このあたりはこちらの記事でも書いたので詳細は省きますが、わが国のウィークポイントエネルギー」をさらに脆弱にして得意になる(?)なんて、さすが自称「異次元」な方々の政策だな~と、もう7年近くも驚愕させられ続けているところです・・・

 で、そんな「アベノミクス日本」において消費税率がどんどん引き上げたらどうなるか、誰でも簡単に想像ができるというもの。すなわち、円安ドル高、本来の燃料から投資対象に変貌した(?)エネルギーの値上がり、そして・・・消費税率引き上げの「トリプルパンチ」(以前はWパンチでしたが、正確にはトリプルでしたね)を食らって国民生活は大ダメージを被るってことです。以下が、こちらの記事等でご紹介したイメージになります。これを見れば、上記3つのエンジンで上昇一途の物価に、国民大半の給与等の伸びが追いつけないであろうことは一目瞭然でしょう・・・

 けれど日本」にとって幸いなことに(そして「アベノミクス日本」にとっては不幸なことに)、アベノミクスの目論見―――年率2%のインフレ現出―――は達成されていません。その理由はいくつか考えられますが、第一はやはり円の強さ・・・というよりもドル等の外貨の円に対する弱さ、すなわちこれらの価値保存力の弱さ―――円ほどはインフレを防ぐ力がないこと―――といえるでしょう。本ブログで何度も紹介している「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」(実質金利の高い順に並べた不等式)が揺るがない、ということです。これが機能し続けているから、円建てエネルギー価格は一時的に上がることがあってもやがて穏当な水準に下がり、この国のアキレス腱をガードしてくれるわけです。言い換えれば、こそが「アベノミクス日本」の脅威(?)から「日本」(わたしたち)を守ってくれている、といった感じでしょうか・・・

(続く)

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【円高になれば増税の痛みは和らぎ、税収も増える】消費税率10%程度なら「日本」は乗り越えられる②

2019-08-27 00:01:02 | 日本

前回からの続き)

 たとえ消費税率が引き上げられても、円高ドル安になれば、ドル建てで国際取引される原材料価格が安くなるので、消費者が負担する税込み価格の上昇は抑制される・・・ばかりか、場合によってはかえって下がっている場合もある―――このあたりはこちらの記事等でも書いたとおりです。これ、円高で価格が下がる、という、いわゆる「円高デフレ」の恩恵です。当然ですが、前述のガソリン代とか灯油のように、売価に占める上記原材料(これらの場合は原油)価格の割合が高い商品ほどこの恩恵は大きくなります。こうして円高は、光熱費や運送費などのかたちでほぼ100%のモノやサービスの売価に含まれているエネルギーコストを引き下げてくれることで、消費者に、消費増税とは逆の、実質的な消費減税効果を広くもたらしてくれるわけです。

 ちなみに前回の例は消費者にとっても、そして政府(財政当局)にとっても利益のある、理想的なケースといえるでしょう。前者はガソリンがそれまで(円安・増税前)の124円から円高・増税後は115円で7%あまりも安く買えるようになり、後者は税収を9円(=124115)から10円(=115105)へと増やすことができるからです。これ、以前記事でご紹介した上記イメージの内容になります。

 なお、上記に関連しますが、円高進行で円建てのエネルギーコストがさらに低下し、これによって税込み価格が下がり過ぎてしまい、せっかく税率を上げたのに、なかなか税収が増えない、みたいなことも想定されますが、それについては何ら心配する必要がないことも、上記以前記事に書いたとおりです。つまり消費者が、ガソリン代光熱費が安くなることで余ったカネで他の消費を享受すれば、これにともなう新たな税額分が生まれるし、たとえ消費せずにこれを預貯金に回しても、日本国債が高値(低利回り)で売れる現状(実質金利「円>ドル他の外貨」の成立)のもと、政府は低い調達コストでそのおカネを借り受けることが可能だから、ここでの消費分10%が税収として実現せずとも、それくらいの額なら本邦財政は十分にファイナンスされるわけです。

 といったことで、円高デフレこそ、納税者の日常生活そして財政当局の双方にとっても、消費税率アップにともなう悪影響を緩和してくれる、もっとも望ましい経済状態ということができるでしょう。とくにこれ、上述したように、消費増税のダメージがもたらすエネルギーという日本のアキレス腱のさらなる脆弱化(エネルギーコストの上昇)を食い止めてくれる点が重要と考えられるところです。

(続く)

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【消費税率引き上げの時、迫る】消費税率10%程度なら「日本」は乗り越えられる①

2019-08-25 00:11:26 | 日本

 はぁ~上がっちゃいますねぇ消費税率・・・。現政権は、本邦消費が冷やさないとならないくらい「過熱」していると思っているのでしょうかねぇ。どうみても真逆で、これじゃあ消費はますます「冷却」していくようにしか思えないけれど。と嘆いてばかりいても仕方がないので、少しは前向き感のある発想を・・・

 ご存知のとおり、101日より、消費税率が現行の8%から10%に引き上げられます今回の消費増税では食品(酒と外食は除く)と新聞(定期購読分)を対象にした軽減税率制度が新しく導入されることもあり、個人的には、これまでの引き上げ時よりも世間的な関心が高まっているように感じられます(?)。

 さて冒頭に記したように、単純に考えると、物価が税率アップ分だけ上がるわけだから、消費は冷や水を浴びせられて景気がますますさえないものになっていくと予想されます。とくに増税直後は、現在の増税前の駆け込み需要が消滅する反動もあるので、その負のギャップが大きく感じられることになるでしょう(?)。ですが、少し長い目でみれば、この程度のダメージであれば、日本経済は乗り越えていく力があると考えています。その際の最大のエンジンとなるのは、本ブログで何度も指摘している「強い通貨」。これが国民を苦しめる消費増税に伴う物価上昇を抑制してくれるわけです、とりわけエネルギーの面で・・・

 こちらの記事等でも書きましたが、エネルギー」こそはわが国の「アキレス腱」、つまりどうしても外国に依存しなければならないウィークポイントになります。したがって、この弱点をガードすること―――エネルギー資源(石油、天然ガス等)を安定的に、かつ「安価」に調達できるようにすることが、安全保障上の最優先ミッションといっても言い過ぎではないでしょう。で、ここで威力を発揮するのが上述の「円」。このあたりはこちらの記事に詳述したとおりです。すなわちわが国は、その円のおかげで、石油価格の上昇(≒ドル価値の低下)がもたらす国民生活への悪影響を(おそらく世界一)軽減できました。こちらの記事等で日本の強みを「としたのは、そうした理由からです。

 で、このあたりは、消費税率の上昇局面でもポジティブに効いてきます。たとえば、1ドル115円のときの1ドル分のガソリン115円で、その税込み価格は115×1.08124円となります。で消費税率が10%になったとき、為替が円高ドル安になって同105円になっていたら、同価格は105×1.10115円と、税率は2%アップしたのに、わたしたちが支払うべき税込み価格は124円から115円へと逆に7%あまりもダウンすることになるわけです(煩雑になるので、ここではガソリンに含まれる他の税金やコストがないものとしています。実際にはこれらが入ってくるのでダウン額などは変わってきます)。

(続く)

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【金にもインフレにも頼る必要がないのは日本(日銀)だけ】金の復権、ドルの失権、そして円は・・・⑦

2019-08-23 00:02:11 | 金(ゴールド)

前回からの続き) 

 の復権とはドルの失権であり、前述のとおり、そのドルの発行体である米FRBに代表される各国中銀の失権でもあるということだと考えています。これは、中央銀行が発行する通貨の信認が低下し、これにかわって金(ゴールド)が通貨・・・にいっそう近いモノとして、具体的には決済手段とか富の保存手段などとして機能するようになることを意味しますビットコインのような仮想通貨の価値上昇も本質的には同じ現象―――中銀券の信認低下―――がもたらしている、といえるでしょう。

 金人気やビットコイン人気―――裏を返すとそれは・・・誰もがいま、インフレを強く懸念していることの表れです。まあそれは当たり前で、FRB,ECB(欧州中央銀行)、BOE(イングランド銀行)などといった各国中銀は実質マイナス金利政策(=名目金利-予想インフレ率<0)を展開して、「通貨の番人」≒「インフレファイター」であるべき自身の存在意義を自ら破壊しているわけですから。もっともそうしなければ―――「自国」民の生活レベルを著しく劣化させることが分かっていてもインフレに頼らなければ―――かの国々は自分たちが「外国」に対して背負う巨大過ぎる債務を軽減させることはできないわけで・・・

 いまの世界で、インフレなき経済成長の達成が可能なのは日本だけだし、したがって日銀が巨額の金準備を持つ必要もありません(って、あるに越したことはありませんが・・・)。このあたりこそ他国に対する最強アドバンテージ。あとはシンプルにそれに気づくだけでいい・・・んだけど、これが難しいんだな、ホントに・・・

(「金の復権、ドルの失権、そして円は・・・」おわり)

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【「金の復権」とは中央銀行の失権でもある】金の復権、ドルの失権、そして円は・・・⑥

2019-08-21 22:27:55 | 金(ゴールド)

前回からの続き)

 わが国のGDP規模が世界一クラス、つまり日本経済がいまのアメリカと同じくらいの大きさにまで成長したとき、おそらくドル円レートは1ドル30円、そして金価格はドル建てでは1トロイオンス1万ドルと現在の7倍くらい、他方の円建て価格は1グラム1万円と、同2倍くらいになっていることでしょう・・・って、これらまったく根拠レスな私的妄想に過ぎませんので念のため。でも・・・これ妄想とはいうものの、半分はけっこう本気の数字です。ただし「日本」が「アベノミクス日本」から脱しさえすれば、の条件付きですが・・・

 で、あくまでも上記妄想のとおりになったと仮定したうえでの話ですが・・・「円建て金価格はいまの2倍くらいか、ドル建ての7倍などと比べると大した値上がり率ではないね」と感じられてしまうかもしれません。けれどそれは先述した理由から、日本の国益を守るうえではそれくらいがちょうどいいのではないかと考えるものです。逆に金価格が円建てで10倍、20倍・・・にもなったら、まあ本邦の金ホルダーにとってはウハウハですが、このときは米欧中ロなどの金準備が巨大な国々に日本が乗っ取られかねないですからね・・・???

 そして、このように円換算した金の価格上昇率が低いということは、円のドルなどの他通貨に対する上昇率がそれだけ高いことを意味します。上記想定で1ドル30円ということは・・・単純化すると、アベノミクス円安のいまは1万円札で買える原油が94ドル分(=10000/106)なのに対して同333ドル分(=10000/30)と3.5倍も買える計算になります(って、当たり前ですが)。そのあたりこそ最強の通貨「」を持つ日本人だけが享受できる恩恵です。でゴールド)は、その円の倍もの価値をもたらすわけだから「大したことない」なんていったらバチが当たるというものでしょう(?)。

 さて他方で、近い将来、米欧中ロの各中銀は自分の資産のかなりの部分を巨額金準備に評価替えしそう(?)ですが・・・そうなればこれら諸国の多くの人々が中銀券ではなく、金のコインを決済「通貨」として使ったり、貯「金」に回したりするのではないか、なんて気もします。なぜなら、当該中銀券の裏付けが金になれば「じゃあそうしたことは金でいいよね!」ってことになるため。そうなると街には金の預かり所が数多く登場し、これらが発行する金交換券が紙幣のような使われ方をするようになって・・・それらの結果、中銀券そして中央銀行の意義が失われていく、みたいな・・・?

 中央銀行の役割が終わる---本稿タイトル「金の復権」にはそんな個人的な妄想未来も含まれています・・・が、日本≒日銀だけはこうはならないと思いますけどね、日本国債に裏打ちされる限り、そしてミョ~なことさえしなければ・・・

(続く)

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【「GDP世界一、1ドル30円、金1グラム1万円」が日本の近未来?】金の復権、ドルの失権、そして円は・・・⑤

2019-08-19 00:01:51 | 金(ゴールド)

前回からの続き)

 現在、ゴールド)の円建て価格は1グラム当たり5100円台をつけ、世間的には高騰しているとみられていますが、前記した理由から、この価格、いまが当面のピークであり、今後はもう少し下のレンジで上下するだろう、と予想しています。

 他方、金のドル建て価格のほうは上述、そしてこちらの記事に書いた事情によって上昇を続ける(しかない?)でしょう。具体的には、これまでの史上最高値ライン(20119月:1トロイオンス1923ドル)を早々に抜いて同2000ドル台に乗り、米FRBQE再開や米欧中新興国で続発する銀行危機とかデフォルト等によってその騰勢にいっそう弾みがついて・・・やがて金は真に復権を果たす―――かつてのように紙幣を裏付ける資産として主要国の中銀B/S中に巨額規模で立ち上がる―――ことになるでしょう、おそらく・・・(???)

 で、そのときの金価格は・・・1オンス1万ドル(!?)あたりを見込むものです・・・って、いま(同1500ドルあまり)の7倍近くですね。それはこちらの記事に書いた、「1万トン」に向けていまもスゴい勢いで金準備を積み上げている中国に関する個人勝手な想定に基づくものです・・・ので、実際にいくらになるのか正確な予想は困難ですが、この場合、米FRBが保有する金の評価額は約2.6兆ドルと、そのB/Sの半分強になるので、まあイイ線なのではないか、と思っています。

 で、この際の金の円建て価格のほうですが、さすがに1オンス1万ドルにもなればこちらも史上最高値を大きく更新していることでしょう・・・が、それは本稿冒頭に書いたように現在の倍くらい、つまり1g当たり5千円×2で1万円程度・・・が望ましいくらいなのではないか、なんて思うわけです。ちなみにこの金価格1g1万円ですが、こちらの記事に書いた、現時点での本邦GDP(ドル建て)が世界一のアメリカにほぼ並ぶとした場合の想定レート1ドル30円で計算した値です。つまり、1オンス1万ドル×30円÷31.103g=9645円≒1万円、という次第です・・・

 本稿でこれまで綴ってきたように、金が「復権」するであろう(?)近未来の世界金融・通貨体制において、欧米諸国や中国などと比べて金の保有量が極端に少ない(のに、「失権」しつつあるドルのほうは極端に?持っている日本は、自国通貨「」を金に負けないくらい強い通貨にして、その脅威から身を守らなくてはなりません。そのためにも円はドルに対して大きく値上がりするべき、というよりドルインフレ度を増して円に対して減価していくのを放任するべきで、そうこうしているうちに自ずと1ドル30円くらいになり、わが国が世界一のGDP大国になれば、金を豊富に持つ国々でも簡単には日本に手出し(わたしたちが血と汗で作り上げたこの国の財産を金の力で奪い取ること)ができないはずだと考えるものです。上記で円建て金価格は上がっても現在の倍程度が望ましい、としたのはそのような意味からです。

(続く)

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【金1オンス1500ドル程度で本邦金価格が高値更新してはイケナイ?】金の復権、ドルの失権、そして円は・・・④

2019-08-17 00:01:18 | 金(ゴールド)

前回からの続き)

 ゴールド)が復権を果たす―――ドルが失権する―――次の国際金融・通貨の枠組みにおいて、米欧中ロと違って金準備が過小な(というか実質的に「ゼロ」の?)わが国が、これら諸国の金に裏打ちされた強い通貨による怒涛の日本収奪(本邦企業や技術や土地などなどが次々と外国人の手に渡る事態)を食い止めるには、を金に負けないくらい(っても、さすがに金にはかなわないので他国のどの通貨よりも)強い通貨に保つことが大切であり、それは、大半の国々がインフレに沈みゆくいまの世界では、たいして難しいことではない、と前回、書きました。要は金融政策を、たとえ緩和するにしても、その限界ラインすなわちゼロ金利(=名目金利-予想インフレ率=0)にキープする、ということ。

 さて現在、金の円建て価格が高騰しています。東京商品取引所ではここのところ連日のように金先物の指標価格が1g当たり5100円台を上回り、東商取で金先物取引が始まった1982年3月以降の最高値に達しています。このあたり以前の安値からの金保有者には大きな恩恵があるところでしょう。

 しかし、個人的にはフクザツな思いがするものです。こちらの記事に記した理由などから、日本は国家も個人ももっと金を持つべきだ、と綴ってきたし、いまもこれからもその思いは変わることはありません。したがって金価格が上がる、つまりドルをはじめとする現行の各国通貨の信認が低下することは、自身の上記訴えが的を射ていることを裏付けていると考えたりします。

 けれど、いっぽうで金価格が現状程度、すなわち1トロイオンス1500ドル前半程度くらいで、わが国での金価格が高騰!するなんてことがあってはイケナイ!とも感じるわけです。金のドル建て価格の最高値は20119月の同1923ドルです。それに比べるといまは、いくら値上がりしているといっても同400ドル・約2割も安い水準です。にもかかわらず上記のように東商取では最高値になっている・・・ということは、それだけ円が弱くなっていることを意味します、そう約2割あまりも、しかも人為的な通貨安誘導政策によって・・・。ゆえに本邦での金価格上昇を素直に喜ぶことはできません・・・

 とはいっても、これ、一時的な現象に過ぎないでしょう。こちらの記事を含めて何度も指摘するように、先行する金に続いて結局、円もまた上昇するしかないためです。しかも円は、理不尽に低価格に抑え込まれたこともあり、ひとたびその抑えがハズれたら、しばらくは金を超える勢いで他通貨に対して上昇していくことでしょう(?)。したがってこの先の円建て金価格は・・・あくまでも個人予想ですが、いまくらいが当面のピークで、今後も同じくらいか、むしろ少し安いくらいのレベルで上下するのではないでしょうか。たとえば・・・金価格は近いうちにいまよりも1オンス当たりで500ドルほど上がって同2000ドル台の史上最高値に到達する(?)でしょうが、そのときの円は1ドル80円くらいまでドルに対して高くなる(?)でしょうから、1g当たりでは2000×80÷31.103g=5144円くらいで、いまと同じくらい、といった具合です。

 上記した理由から、日本の金価格はそれでいい、と思っています。

(続く)

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【日本は金準備の積み上げ合戦に勝てないが・・・】金の復権、ドルの失権、そして円は・・・③

2019-08-15 00:00:55 | 金(ゴールド)

前回からの続き)

 「金の復権」とは具体的には各国中銀のバランスシートの資産勘定に巨額の「金準備」が立ち上がること―――前回このように書きました。一例として、米FRBが保有する金について1トロイオンス当たり1万ドルに評価替えをすれば、その総額は2.6兆ドルに膨張し、ドルの価値は保たれる、なんて超シュールな(?)想定をしてみました。まあ実際には「ドルの番人」FRBのほうから「ドルの失権」=「金の復権」をこうもあっさりと認めはしないでしょうが、いっぽうで中国やロシアの中銀は前述のとおり、近い将来、ひそかに大量に蓄えた金をこのように突如、自国中銀のB/Sに派手に登場させるような気がするわけです(?)。そうなれば対抗上、アメリカだって上記のようにせざるを得ず・・・?

 さて、今後予想される(???)米中ロなどによるこうした展開---金準備の積み上げ合戦---に、残念ながら日本は追随できない可能性が高いと思われます。理由は・・・わが国の金準備が少なすぎるため。こちらの記事等に書いたように、日本の金準備は7百トン程度に過ぎず、アメリカ(8千トン以上)や独仏伊などのEU各国そしてロシアや中国(いずれも千トンクラス以上の金保有国)に大きく劣るどころか、ホントは公的金準備なんてないんじゃないか?なんて疑いすらささやかれる始末(?)。なので、これら主要国が自らの通貨の裏付け資産の相当部分を、それまでのドルとか米国債から金塊に切り替え、その信認すなわち通貨価値を強化したらタイヘンです(?)。これら通貨は、金を持っていない日本・・・の日銀券()の価値を大きく上回るから、わが国の企業(株)やら土地やらの大半は、これら諸国に爆買いされてしまうかも・・・?

 ・・・ってなことにならないようにする意味でも、こちらの記事等で書いたように、日ごろから「円」の信認を高く保つことが大切なわけです。でもそれは、いまの世界を見ていれば分かるように、日本(日銀)にとっては難しいことではありません。日銀がフツーの金融政策、つまり、たとえ金融緩和するとしても実質ゼロ金利(=名目金利-予想インフレ率=0)までに止める、ということだけです。こうすれば、他国がみな勝手にマイナス金利(=名目金利―予想インフレ率<0)=インフレに落ち込むなか、必然的にマネーが円に吸い寄せられるから、国民経済がインフレに蝕まれる事態が回避されるとともに、円の価値も金とともに上がっていくため、たとえ日銀B/Sに金が無いとしても(?)、巨額の金準備を持つ国の通貨の脅威に対抗できるはずです(?)。

(続く)

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【金復権:各国中銀B/Sに巨額規模で登場すること】金の復権、ドルの失権、そして円は・・・②

2019-08-13 00:01:18 | 金(ゴールド)

前回からの続き)

 目の前のゴールド)価格の上昇は、米ドルのいっそう信認低下・・・を見越した投資家、とりわけ各国の中銀や公的機関による金買いによって引き起こされていることだ、と前回、書きました。これ、本稿のタイトルのとおり、ドルの「失権」が金を「復権」させている、ということかと思います。

 このあたりについては、上のイメージで考えると分かりやすいと思います。これは中国やロシアなど、一般的には「新興国」と呼ばれる国々の中央銀行のバランスシート(貸借対照表)が、ドルの失権・金の復権によってどのように変化するのか、を表現したものです(煩雑になるので純資産等は入れていません)。

 新興国の中銀は、日銀や米FRBなどとは違って自国建て資産(国債等)の信頼度が低いため、その代わり、上記①のように、おもにドルを中銀券(紙幣)の裏付け資産にしています。その典型例がこちらの記事等でご紹介の人民元であり、だからこそ本ブログではこの中国の通貨を「疑似ドル」と勝手に呼んでいるわけです。

 で、ここでドルが失権、すなわち米「双子の赤字」膨張やFRBのQE再開によってドルの大量増発=インフレ化が進行すると、新興国の中銀B/Sは上記②のようになります。つまり手持ちのドル資産の価値が急減し、これに紐づけている自国通貨の価値も暴落するから、同国の経済と国民生活は激しいインフレによって破綻のふちに立たされかねません。これを防ぐには・・・同国は、手持ちドル資産の目減り分を、何か他の価値によって埋め合わせ、自国通貨の信認を維持・向上させてインフレを抑制する必要に迫られます。では、これまでのドルのような役割を担える資産って?・・・となれば、自国の国債が使えない以上、やはり金くらいしかないでしょう・・・?

 ということで、そのあたりを強い動機として金をかき集めた後の同国中銀のB/Sのイメージが上記③になります。これによって当該中銀は、ドル資産の減少分と同額の金準備で、ドル暴落前の①と同額の資産額を維持し、自国通貨の価値を①と同等前後に保つことができました。

 ・・・「っても、そうなると、その国の通貨はドルに対して相当に高くなってしまうのでは」・・・となりそうですが、以下のような展開になれば、じつは必ずしもそうはならない(かも?)。これ、逆の見方からすれば、当該国の通貨に対してドルが顕著に弱くなるということ。それが意味するところは、アメリカにとってはドルの恩恵が失われてしまう、つまり、輸入品のドル建て価格が跳ね上がることになります。こちらの記事等を含めて何度も指摘しているように、いまのアメリカは中国製品を筆頭に輸入外国産のモノに依存する以外にないわけで、これらの値段がドル安で急騰したら同国は存亡の危機に陥ります・・・

 ・・・って、以下はとても奇抜な予想ですが、そこでアメリカ・・・もまた上記と同じようなことを対抗策としてする(というか、せざるを得ない?)のではないでしょうか。つまりFRBが手持ちの金準備の評価額を大幅に引き上げるということ。このあたりはこちらの記事に書いたとおりです。すなわち、アメリカ(FRB)が保有する8千トンあまりの金準備を、たとえば1トロイオンス当たり1万ドル(!?)に評価替えすれば、その総額は何と!?2.6兆ドルに膨張し、FRBのB/Sは一気に改善してドルの威信はたちどころに回復する、みたいな・・・!?

 といったわけで、FRBが金の評価を何ドルに変更するのか?とか、相手国が金をどのくらい持っているのか?にもよりますが、まあこうした動きがあって、結果として、上記新興国の通貨とドルの交換レートはいまと同じようなあたりに落ち着く、といった感じになるのかな、と考えるものです(?)。けれど、これが現在と大きく違うのは、両者ともに中銀の資産勘定に、いまの市場価格をはるかに上回るスケールの巨大な金準備が突如、立ち上がるところです。これこそ本稿で呼ぶ「金の復権」の具体的な姿になります。

(続く)

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【金価格、とうとう1オンス1500ドル台に到達】金の復権、ドルの失権、そして円は・・・①

2019-08-11 00:04:38 | 金(ゴールド)

 ・・・って、個人的な答えを先に書くと、は金を除けば最強の通貨であるべきであり、さすがに金にはかなわないとしても、以下に論じる理由などから、金価格の半分くらいの上昇率で価値が高まっていく通貨であるべきだ、と考えています。

 ゴールド)の値段が上がり続けています。金先物の先週末時点(9日終値、CME)の価格は1トロイオンス当たり1508ドルと1500ドル台をキープし、7日に終値で6年4か月ぶりに1500ドル台に達した流れが続いていることを窺わせる結果になっています。

 先日のこちらの記事で、いまの金価格は米FRBの金融政策を反映して次のような上昇軌道を描くだろうと綴りました。つまり、FF金利(政策金利)の誘導レンジが0.25%(25bp:ベーシスポイント)下がるごとに1オンス当たり100ドルずつ上がる、というものです。で実際、7月のFOMC(FRBの金融政策決定会合)で同金利の25bp引き下げが決まったわけですが、金価格はそのとおり、従前の同1300ドル周辺から1400ドル台にまで上昇していました。ところが・・・上記の個人予想はやはり「保守的」だったみたいで、このように金の騰勢はもはや抑え難い感じです(?)。で、その理由について本邦メディアは、米中防衛戦争の激化にともなう世界経済の不透明感の高まり、あたりに求めている印象ですが、それはまったく違うでしょう。そうではなく、これは同記事に詳述したとおり、世界がドル(ばかりかユーロポンド人民元・・・)の信認(≒価値保存機能)に対して疑念を募らせていることの反映というべき。それがFRBの利下げ、すなわち「金融緩和再開=ドルのインフレ通貨化阻止の断念」によって決定的&不可逆的になったから金価格の上げ足が速まっている、ということ・・・

 このあたりを実感させられるのが、各国が公的な金準備を増強していること。日経によると、昨年、世界の中銀および公的機関が購入した金は656トンに達し、1971年以降で最大を記録したとのことです。そして今年も1~6月だけで374トンがこれらによって買われ、このままのペースだと年間700トンを余裕で超えそうです。で、その金買いの先頭を行くのがロシアだそうで、同国はすでに2200トンあまりを蓄え、金保有ランキングで5位になっています。いうまでもなく中国も、こちらの記事等で書いたように、少し前からスゴい勢いでひそかに(?)金塊を積み上げていると推測されます。さらに注目されるのは、中露みたいに戦略的にアメリカに対抗しているわけではないポーランド(4~6月に100トンを購入)とかインドとかサウジアラビアといった国々までも金の保有量を増やしていること・・・

 上記をふまえれば、目の前の金価格の上昇、そしてその大きな推進力となっている各国中銀の金購入が、構造的に何に起因しているのか?は自明というものです。それはすなわち・・・ドルの失権

(続く)

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