(前回からの続き)
英国、というかイングランドは、スコットランドに独立され、EUに合流されてしまうと非常に苦しくなりそうです。つまり前述のように、それによって英国のGDPが減り、北海油田に関連する利益がEU側に移り、そしてポンド圏が縮小することで・・・英ポンドの対ユーロの評価が一段と下がって、インフレが激化してしまいそうだ、ということ。そして英国にはこのポンド安がもたらすインフレを制御する力量がなく、したがってスコットランド住民に、英国に留まったほうがトクだ、と思わせることができないのは先述のとおりです。
そしてこれは英国内の北アイルランドとかウェールズにとっても同じでしょう。両地域の人々もまた、ポンドよりもユーロを持ちたいと思うだろう、ということです。とくに北アイルランドは、EU加盟国&ユーロ圏であるアイルランドと陸続きであり、人々の行き来や交易などの観点からも、アイルランドと同一通貨圏となったほうが何かと都合がいいはず。その場合の通貨は当然、ポンドよりはインフレに強いユーロが選択されるでしょう。こうして近い将来、スコットランドと北アイルランドは英国≒ポンド圏から出ていく・・・可能性が高いと予想されます。それは宗教とか民族とかの違い云々ではなく、インフレを避けるため・・・って、そのインセンティブはそんなことよりずっと大きいでしょう。実際、これらが異なる国々(とりわけ前述の「フランス以下/未満」の国々)がお互いに対して何だかんだ文句を言いながらもEUに留まっているのはそのため―――独自通貨よりも強い(実質利回りが大きい)ユーロという共通通貨を持てることでインフレの害悪を免れるため―――であるわけですからね・・・
こうして最後まで?ポンド圏に残るのは・・・イングランドだけ、ということになりそうです。上記等によってポンドの対ユーロの価値がいっそう下落すると予想されるなか、イングランド住民はインフレにますます悩まされるでしょうが、スコットランドなどと違ってイングランドには、そんな弱い通貨のポンドを捨てることができないという「弱み」・・・というより、おそらくは・・・大英帝国時代から第一次大戦あたりまでの基軸通貨だったポンドに対する郷愁めいた「プライド」?があるはずです。そのあたりは、英国がEUメンバーであったときもEUに対して通貨と金融政策の独立を認めさせていたことからも推測がつくところです。まあ・・・そのメリットも当然あります・・・が、それはあくまでもイングランド経済が一番の貿易相手であるEUに対して優位な面がある場合に限ります。が、現実には先述のとおり、イングランドはEUに依存するばかりで、強いところはほとんど見当たりません・・・
こうしたことでイングランドは、ポンドに対するアナクロな?こだわりが仇となり、ユーロ圏に合流するという経済合理的な判断ができず、ポンドと心中・・・か?