(前回からの続き)
前回、わたしたちの年金原資を運用する公的年金基金(GPIF)の、2014年10月末以降のハイリスク・ハイリターン型の新運用方針は、これまでの世界的な株高で結果的にその資産評価額の大幅な積み上げに成功したと思われると書きました。実際、GPIFによれば、今年度第3四半期の期間収益率は対前期比プラス3.92%(今年度はここまでプラス10.79%!)となっていますからね。
ということでここまではOK・・・だったわけですが(?)、問題はこの後です。すなわちもはや誰の目にも不可避な(?)米QE(量的緩和策)の前・後という激動の金融情勢の中をGPIFには巧みに泳ぎ、この資産を高いレベルに維持、最低でも先記「発射台」時点の価額は維持できるようにしていただきたいわけです。もっとはっきりいうと、本邦投資家の大半と同じくGPIFにも、いまのこの瞬間に、すべての外債および外国株を売却して利益確定し、円のキャッシュで当面、様子見してほしいと思っています。しかし、こちらの記事に書いたようにGPIFは「くじら」―――いずれも兆円単位で保有するほどの巨体だから、これを短期間に実行するのは不可能。だから難しい・・・けれど、何とかダメージを最小にとどめてほしいと願うものです・・・
あらためてQE前後はこうなるだろう、と考えています:
QE直前:株↓、債券↓、長期金利↑、ドル/円↓、原油↑、金↑
QE直後:株↑、債券↑、長期金利↓、ドル/円↓、原油↑、金↑
まず注視すべきは為替レートです。上記のようにおそらく今後、多少の上下はあっても、ドル/円は基本的にドル安円高方向に進むしかないでしょう(?)。とくにQE発動の後はドルの価値が一段と希薄化する(インフレになる)ためにドルは対円で暴落するでしょう(?)。よってGPIFに切にお願いしたいのは、可能な限り速やかにドル建て債券の売却を進めるとともに、ドルの底が見えるまではこれに手出しはしないこと。このときはおそらく多額の売却損が出るのは避けがたいでしょう。先述のようにこれらを買ったときの為替レートは1ドル約112円あたり(より円安ドル高水準)と思われるなか、現在は同約110円であり、さらに米経済が動揺すれば同100円を大きく下回って実質実効レート水準(1ドル70円台)あたりまで転落していくのは必至(?)だからです。だからこそ急いでほしいわけです、多少の損は出てもかまわないから・・・(?)
次に米株です・・・がこれ、じつに予想が難しいところです。その価格はQE前↓QE後↑となりそう(?)なためです。であればQE直後の激しいドル安を差し引いてもプラスリターンを得られる可能性がちょっとは出てきますからね(?)。とはいえ、とりあえず現時点ではさっさと手仕舞うことが肝要かと・・・。ただでさえいまの米株価はすさまじくバブリーなうえに為替がドル高円安のためです。これらを早く手放し、円キャッシュポジションでQE前後の動乱期(?)を「巣ごもり」し、「半値八掛け二割引」後、市場が落ち着いてから米株投資をソロ~リと再開すれば十分でしょう。少なくとも、このまま「高値掴み」した状態で何もしないのは非常に危険に思えてなりませんが・・・(???)