世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【EU、IMFにギリシャ支援金を一層拠出させようと画策か】これから始まる?真のギリシャ危機⑤

2018-08-29 00:02:09 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 先述のように、巨大債務の重みにあえぐギリシャを救済するための唯一の策と思われた債権者による債権放棄は、実際には選択し得ないものでしょう。民間金融機関、EU・ECB、そしてIMFといった債権者は、それぞれの事情こそ違うものの、いずれもギリシャ債権の貸し倒れに耐えられそうにないためです。

 ではギリシャ・・・とEUはどうなってしまうのか、ですが・・・おそらくはこれまでのとおりでしょう。つまり、両者は今後も定期的に―――2~3年おきくらいのインターバルで(?)同じことを繰り返すわけです。つまり、まずは、借金の返済ができない!などとギリシャが騒ぎ、EUは困ったな~と鳩首会議を開き、結局は、今度こそ本当に今回限りだぞ!などといったいつもの(?)決まり文句とともに、ESM欧州安定メカニズム)のおカネを「追い貸し」してあげる、といった具合です。

 ついでにいうとこの枠組みにはIMFも間違いなく加わることでしょう。一応IMFは、いままでもこれからも、欧州以外の出資者の視線を意識して(?)「ギリシャの債務持続性には疑義があるため、当方としては同国が新たな改革プログラムを提出し、当該持続性が確認できるようになるまでは新規融資は行わない!」などと、出資者利益を守るらしい?姿勢をいったんは示しつつ、でも同国にデフォルトされると(米欧金融システムが危機に陥って)マズいので、これまたいつものように「立派な?計画がギリシャから示された」ため、日本等から拠出されたおカネを同国に注ぎ込むことに・・・

 で、このIMF、今後いっそう存在感を高めそう。これまで述べたように、ESMマネーがEUみんなのものであるなか、EUにはギリシャにばかりこの貴重な資産を貸し出すことが、公平性とか同国のデフォルトリスク等の観点から、ますます難しくなっていくでしょう。であればEUは、ウチの追加融資はなるべく控え、その分IMFに余計に出させよう、と画策(?)すると思われます。

 このあたりがはっきりと感じられる象徴的な例が、20152月頃、同国に対する3次支援の是非が取り沙汰されていたときのショイブレ独財務相の次の言葉です。同氏は独大衆紙ビルトのインタビューで、IMFがギリシャ支援から撤収するようなら、ギリシャのEU圏離脱に賛成する、と答えています。これはつまり・・・Grexit(ギリシャの同離脱)に(欧米諸国が)耐えられるはずがないだろ、だからIMFはギリシャに関与し、カネを出し続けるしかないんだよ!ってな感じでしょうか・・・(?)

(続く)

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【EU・ECB、ギリシャの債権放棄は事実上応諾不可能】これから始まる?真のギリシャ危機④

2018-08-27 00:00:34 | ヨーロッパ

前回からの続き) 

 ギリシャ金融支援の枠組みを真に終了させるためには、その最大の債権者であるEUECBが巨額の債権放棄を受け入れる以外にない・・・はずです。これならば、日米中など、少なくとも欧州以外のIMF出資国は損害を回避できますからね。

 ですが・・・これもまたEU内のコンセンサス作りが超モメそうなので、この策(?)もまた実現は厳しそうです。この場合、債権切り捨てを求められるのが、累計で約2千億ユーロもギリシャに貸し込んだESM欧州安定メカニズム:EUの金融安全網の枠組み)でしょうが、同国の債務を真に持続可能にする(徴税で相当額の歳入を確保し、不足する分は市場から穏当なコストで資金調達ができるようにさせる)にはこの大半を棒引きしなければならないでしょう(!?)。しかも、これによってESMへの出資者である独仏両国をはじめとするEU各国・・・の納税者が巨額の貸し倒れ損を被ることになります、仲間内のギリシャのせいで。はたして彼ら彼女らがこれを受け入れるのか、というかその超苦渋の決断をさせられる各国の政権がもつのか、はなはだ疑わしいのではないでしょうか・・・(って、国民の猛反発で政権が崩壊、その後、反EU的ポピュリストが政権を樹立!なんて政治リスクが・・・)

 こんな感じでESMが一人で損を被る策は無理筋。となってEUでは・・・ではギリシャ国債をECB(欧州中央銀行)に買い取らせますか、といった案が浮上するかもしれません(って、ドイツは絶対に反対するのは明らかだけれど)。これなら、米英などEU以外の各国中銀が緩和的金融政策などの名称で行っていることだから、まあイイのではないか・・・

 ・・・って、これだってダメです。そんなことをしたら―――ギリシャ国債をECBに買わせたら―――ポルトガルイタリアなどのギリシャ以外の重債務国が、オレたちの国債も買ってくれ~!と大声を上げるに違いなく、そしてこのムシのいい(?)要求を断る理由がなくなってしまいます。こうしてECBは各国債の実質的な直接引き受けに引きずり込まれ、それがもとで通貨ユーロが過剰に散布され・・・結局EU経済は激しいインフレ崩壊に至ります。そうしたくないからこそ「キャピタル・キー」の縛りがあるわけで・・・

 で、話が戻って、公的機関が無理ならば自己責任で突っ込んだ民間投資家にだけでも債権を放棄させ、ギリシャを少しは楽にさせようよ、って考えですが、これも実行はほぼ不可能。先述のように減免額が少な過ぎて実効性が乏しいうえ、これで多額の損害を食らうのが、またしてもドイツ・・・などのEU圏の投資家だからです。加えて、大西洋の向こうのアメリカの金融機関にまでダメージが及ぶのは避けられません。これらは当該債権やら欧州各行関連のデリバティブCDS)を相当額抱えていて、同国債デフォルトの際はギリシャに代わって契約者に損失分を支払わなくてはならないからです。その金額、いったいいくらになるのやら・・・

 以上、ギリシャを救うにはこれしかない!はずの債務減免=債権放棄は・・・こうして事実上、選択不可能であることが明らかにされました(?)。じゃあどうすりゃいいのか、ギリシャそしてEU・・・

(続く)

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【公的機関もギリシャ債務減免に加わるべきだが・・・】これから始まる?真のギリシャ危機③

2018-08-25 00:00:11 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 近い将来、借金減免が取り沙汰されることになりそうな(?)ギリシャ。その債務の大半が「公的」機関つまりEUECBIMFから借りたものです。その額は約2700億ユーロと、同国のGDP(1800億ユーロくらい)の1.5倍にもなるスゴイ規模です。一方の「民間」銀行等に対する債務はすっと少ない数百億ユーロ程度ですから、たとえこれらの全額が減免されても大した救いにはなりません。やはりこれら「公的」な債権者も相当額をヘアカット(放棄)しなければ、実効性のあるギリシャ救済策にはならないでしょう・・・

 ・・・って、これが非常に難しいことは言うまでもありません。なぜならその融資金は、これら機関に所属する各国・・・の納税者等から集めたものになるからです。ゆえに、いくらギリシャが加盟国仲間であるとはいっても、(おそらくは)数百億ユーロもの債権を放棄するのを見過ごすわけにはいかないはずです。それは他の加盟国民の資産を失わせることになるためです。したがってこの調整、難航を極めそう・・・

 ・・・それでも、この手以外にないので、これで進めてみることにしましょう。まずはヘアカット率を高い順に並べると上記から当然「民間」>「公的機関」となり、公的機関の中では「EU・ECB」>「IMF」となります。EU・ECBはEU圏諸国だけの組織ですが、IMFは欧州のみならず日米中を含む世界中の国々が出資している組織だからです。これらを合わせた対ギリシャ債権の放棄割合の高さは「民間>EU・ECB>IMF」となります。ここまでは、まあそうだろうな、といった感じかと思います。

 ですが・・・このうちIMFは現実的には同国債務の減免に1ユーロたりとも応じられないはず。上記のようにIMFの融資金は、もとはといえば世界各国民の資産の一部だからです。したがってこれを受諾することは当該資産を失わせることになるし、こうしてギリシャを助けることは、IMFの融資金をちゃんと返済している他の国々の中で同国だけを差別的に優遇することにつながるわけです。これは当該借入国ばかりか、IMFの大スポンサーである日本としてもとうてい納得できないものです。

 以上により、IMFのギリシャ債権のヘアカットはあり得ないということになります。ということで残ったのは・・・最大の債権者であるEU・ECBになります。よってこれらが大幅な債権放棄を受け入れるのがもっとも妥当な解決策、というよりも、それしかないでしょう、どう考えても。これならばIMFとは違って、日米中など、少なくとも欧州以外の諸国は自分たちのおカネが消滅することがないので受け入れ可能でしょうからね(?)。あとはEU内で話し合って決めてもらえれば・・・

(続く)

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【民間投資家の債権放棄くらいではギリシャは救われない】これから始まる?真のギリシャ危機②

2018-08-23 00:03:39 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 今月20日に「終了」と報道されたギリシャ金融支援スキームは、けっして終わってはいない・・・どころか、これからが超本番・・・って危機の、とみるべきでしょう(?)。前述のように、どう楽観的に予想してもギリシャ3千数百億ユーロもの巨大「対外債務」を返せるはずがないからです。よって近い将来、償還期限の来た借金を返せなくなった、とか、ヒドイ場合は、返すお金を貸してほしい、などと「追い貸し」を要求し出すに決まっています(?)。

 ちなみにかの国は、少しでも返済金を確保するべく(?)、すでに港湾の運営権等を外国(最大のピレウス港は中国企業、国内主要空港はドイツ企業)に売ったりしていますが、この2件で得られる金額は上記の1/100になるかどうかの程度(数十億ユーロ)だし、これらを含めた同国の売却(民営化等)可能な国有資産の総額はせいぜい500億ユーロほどにしかならないといわれています(って、これだって相当に高めの見積もりのような気が・・・)。したがってこれらすべてを売り払って確保したおカネを全部返済に充てても、まだ2千数百億ユーロもの債務が残るわけです・・・

 ではどうしたら?って、答えは・・・借金の減免=債券の放棄です。もう実質、これしかないのは明白でしょう(?)。よって問題は・・・(まあギリシャは当然ハッピーだからいいとして、)債権者のうち誰が、いくらのギリシャ向けの債権を放棄するのか、ということになりそうです・・・が、下述するように、このあたりが問題の本質であり、だからこそ超~難解となるわけです・・・

 くどいですが、ギリシャには上記債務を全額、債権者に返すことは不可能です。もっとも上記「終了」を受けて近々同国は、日本ほか各国がやっているように、市場から資金調達をすることで債務の借り換えを行っていく気なのでしょう。しかし同国はそのコスト(支払金利負担)の高さに耐えられるはずがなく、すぐに市場からの退出を余儀なくされ、結局はこれまでと同様、債権者に対しておカネを無心するようになるに相違ない(?)。よって、どのみち債権者はギリシャの借金を棒引き(こう言ったりします:ヘアカット)してあげるしかありません・・・(?)

 で、上記棒引きに応じるべきは誰か、ですが・・・(その率をどれくらいにするかは別として)まずは、同国に対して自己責任でおカネを貸し込んだ人々つまり個人投資家とか民間金融機関等になるでしょう。彼ら彼女らはギリシャのデフォルトリスクを承知で同国債とかを買ったわけですから、まあ仕方ありませんね・・・。ですがギリシャの場合、債務額がデカ過ぎて、これら「民間」が多少のヘアカットを受け入れるくらいではどうにもなりません。ということで次は・・・民間をはるかに上回る金額を供与した「公的」債権者、すなわちEUECB、そしてIMF・・・

(続く)

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【EU等の対ギリシャ金融支援が終了!?】これから始まる?真のギリシャ危機①

2018-08-21 00:02:06 | ヨーロッパ

 支援終了? 誰も本心で終わったなんて思っていないでしょう。「本番」はこれからですよ、これから・・・

 2010年の経済危機時から続けられてきた欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)によるギリシャへの金融支援が20日に終了しました。2009年の財政赤字隠し発覚をきっかけに危機に陥った同国は、8年にもおよぶ当該支援を受けてきました。今回終わったのは、こちらの記事に綴った3年前の「第3次支援」スキームで、第1次と第2次の支援額とを合わせてギリシャはEUとIMFから累計2737億ユーロ(現在のレートで34兆円超!)もの借り入れを行ったことになります・・・

 ・・・ってこれ、支援終了という言い方そもそも間違っているような気がします。「終了」とは支援金が債権者に全額、返済されたときに使うべき言葉でしょう。では終了の見通しが立っているのか、ですが・・・結論から言えば、ギリシャはこの債務を絶~っ対に完済できません。これ、同国のGDP(約1800億ユーロ)の約1.5倍もの巨大スケールであるばかりか、EU&IMFという「外国」からの借金であるためです。日本でたとえるなら、GDP約500兆円×1.5750兆円くらいもの「対外債務」を抱えるようなもの(って、日本[政府]はギリシャと違って日本国民からおカネを借りているから、ギリシャとの比較は無意味ですからね、念のため)。ということは・・・支援が本来の意味で終了するなんて、まずあり得ないに決まっています(?)。

 ではこの先、ギリシャ支援の枠組みはどうなってしまうのか、ですが・・・簡単に予想がつくわけです。すなわち、もうしばらく経つとギリシャはまたも手元のおカネがないので融資の返済ができない、などと言い出すに違いなく、「新たな支援か、それとも・・・」みたいな重大局面を迎えるしかありません(?)。まあそのあたりを見越したのでしょう、6月に行われたEU圏財務相会合では同国融資の一部について10年間の償還期間延長などが決定されていますからね。でもその程度で、かの国がサクサクとおカネを返せるようになる・・・わけがない・・・

 で、追い詰められたギリシャ・・・もそうだけど、むしろもっと困ってしまうであろうEU諸国が何を考えるのか、というと・・・けっしてやりたくはないからずっと先送りにしてきたけれど、もう腹をくくってやるしかない・・・ギリシャに対する「徳政令」すなわち債権放棄(ギリシャからすれば超ありがた~い借金帳消し)になります。はっきり言ってこれしかないはずです、ギリシャの経済力に対する上記債務のバカでかさを考えれば・・・

(続く)

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【ジャパンマネーが戦争なき平和な世界を創造する?】適当な投資先は日本国債しかない事実を受け入れよう⑥

2018-08-19 00:02:42 | 日本

前回からの続き)

 じつは・・・こうして海外の借金バブルを最大限に膨張させ(株や債券や不動産や資源や、その他もろもろの価額を暴騰させ)、その爆発壊滅を誘導し、それに反比例して価値が急増する最強通貨「」と最強資産「日本国債」による、暴落した世界の主要な企業、油田や鉱山、不動産やらの買い占めを促して、日本を世界一の資産保有国にすることこそが、「アベノミクス」(≒日銀の現金融政策)の秘めた狙いなのかもしれませんね(?)。

 ・・・もしそうなら、一見、わが国家国民を窮乏化させてドヤ顔になっているだけのようなアベノミクス推進者たちは、本当は世界の救済者なのかもしれない。どういうことかといえば・・・日本以外の国々とか企業・・・の権力者や経営者や株主らは、ほぼ例外なく(?)、市場独占やら兵器武器(戦争)やら資源権益やらで巨額の利益を得ているわけです、一般大衆を相手に。これをジャパンマネーが手にすることは、けっしてわたしたちが彼ら彼女らにかわってスーパーリッチになることを意味するわけではありません。日本人ならば、これらが持つ資産やこれらが稼ぎ出す利益を、自分たちだけで享受しようとはせず、多くの人々と分かち合おうとするはずだ、ということです。そして戦争産業を解体し、それらの持つテクノロジーを破壊ではなく創造のために使うようにするでしょう。これらの恩恵は、わたしたちばかりか米欧中そして新興国の人々に、少なくともいま以上に及ぶに違いありません・・・

 ・・・アベノミクスが「カブノミクス」(私的造語:取り柄は「株のみ」)をはるかに超越して世界を変える政策になるとしたら、こんな感じかと(?)。であればアベノミクス推進者は、戦争のない平和な時代を作るため、あえて鬼となった織田信長みたいな役回りを演じている(というより、演じさせられている?)のかな、と信じたい気持ちもあります。ここでいう「鬼」とは、アベノミクスが日本の経済力国富とを激減させ、愛すべきわが祖国を外国人に叩き売って狂喜しているような様のこと、「敵」の目を欺くため---上記の真の意図が読み取られることのないように

(「適当な投資先は日本国債しかない事実を受け入れよう」おわり)

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【日本国債買いたい!エネルギー、爆発的に高まる】適当な投資先は日本国債しかない事実を受け入れよう⑤

2018-08-17 00:02:48 | 日本

前回からの続き)

 ということで、適当な投資対象は日本国債しかない、といういつもの、そして本稿冒頭の結論になるわけです。本ブログで何度も指摘しているように、これ「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」という通貨の強さを示す不等式(実質金利の高い順)に従えば当然の帰結であり、実際にマネーが国債購入に殺到することは、わが国の最高度の国益になるはずです。その理由はいまさらいうまでもないことですが、国家も国民もその恩恵を得られる―――政府はこれによって世界一低い金利で資金調達ができるし、その国債を資産として持つ国民は、が他通貨(とくに基軸通貨の米ドル)に対して高くなっていくので、見た目の受取利息を大きく上回るその実質価値の高まりを、円建てエネルギーコストの下落等のかたちで享受できる―――といった具合です。

 上記の自然の摂理を妨げているのが「アベノミクス」・・・の本質である日銀の「異次元緩和」。マーケット原理に刃向かって国債を不合理に高い(額面以上の)価格で買い入れることでジャパンマネーの国債投資を封印しています。これであぶれたマネーの一部は切羽詰まってリスク投融資を高値掴みし、やがてこれらが不良化して巨額の含み損を発生させ、金融システムを動揺させるでしょう(?)。もちろん為替レートの円安がわが国のGDPと国富を激減させることによる国民生活水準の悪化も伴います。これらの大ダメージを「カブノミクス」すなわちアベノミクス唯一の取り柄である株高だけで埋め合わせるなんて、できるわけがない・・・

 とまあ毎度同じことを書いていますが、じつは多くの本邦投資家と金融機関は内心、同じ思いだと推測しています。その反映の一端がこちらの記事に綴った企業等のキャッシュリッチぶり。そしてミセス・ワタナベたちも同様でしょう、先日のこちらの記事に書いたように。したがって上記のような危機が起こっても、そのダメージはおそらく管理可能なレベルにとどまるでしょう(?)。このように日本人は円貨で資産価値の保存を図って、来るべき時に備えているためです。

 こうして「日本国債を買いたい!」エネルギーはいま、大噴火前のマグマのようにたまってしまいました。これ、全世界の借金バブルを吹っ飛ばすだけのポテンシャルが十分にありますよ。これらはトータルで数百兆円になるし、しかも、そんな万一の(って、結構高い確率で起こりそうな?)事態になったらがすべての外貨に対して跳ね上がりますからね。この極限状態を演出したのが、バブル最大の演出家であるアベノミクスってのも皮肉なものです・・・

(続く)

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【超低金利でも融資伸びず預貸率は低下の一途】適当な投資先は日本国債しかない事実を受け入れよう④

2018-08-15 00:00:52 | 日本

前回からの続き)

 日本は世界一の純資産国であり、長年にわたって経常黒字を計上してきた国です。ということで国際収支は貯蓄超過となり、それら等が回りまわって本邦金融機関に預貯金として入ってきます。ではこれを各社はどう運用するべきか?

 まあ当然ながら、まずはわが国の家計や企業等への融資になるでしょう。ですが、これが伸び悩んでいるわけです。それを示すデータのひとつが預貸率(預金に対する貸し出しの割合)。東京商工リサーチ等によれば、20183月期決算時点における国内114銀行の預貸率は65.53%(前年同期66.47%)と、2011年の調査開始以降で最低を記録したとのこと。また預金と貸出金の差額に当たる預貸ギャップも前年同期より15兆円膨らんで過去最大の278兆円に拡大したそうです・・・

 これ、この間の日銀の「異次元緩和」による超低金利政策がローン等の拡大に寄与していないことを物語っています。そもそも日銀&安倍政権は本邦GDPの主役である個人消費を、日銀政策消費増税Wパンチで意図的に下押しさせているわけです。であれば家計の実質賃金は低下し、個人消費は低迷するから、企業設備投資等を手控え、結局は借り入れを増やさないので、融資は上記のとおり、といった具合でしょう。

 こうして本邦ローンはなかなか増える気配はありません。では海外向けの投融資はどうか、ですが・・・これ現在、日本国内よりもはるかにリスキーになっています。理由は、本ブログのあちこちで書いてきたように、米・欧・中・新興国のすべてが借金バブルに依存しているため。そして彼らの通貨に対して、われらの通貨「」が実質的に20%以上も安くなっているためゆえにいま外国向けローンを増やしたり巨大プロジェクトにおカネを出したりしたら、バブル崩壊で先方の資産価額&通貨が暴落し、こっちは貸し倒れ&為替差損を食らう恐れが非常に強くなっているわけです。であれば、外国には当面、手出し無用でしょう・・・(?)

 以上により、日本にも外国にも預かったおカネの適当な融資先が見当たらない、ということになります。でも金融機関は、預金には利息を付けてお客さまにお返ししなければなりません。だから、何とか利回りを確保しないと、ってんで、ほぼ400兆円もの大量のマネーが流れ込んだ先が日銀当座預金・・・っても、得られるリターンはわずか0.1/年、しかもその一部(政策金利残高)にはマイナス金利が適用されるから、実質、同預金口座にすら、もはや積めなくなっていることに・・・

 ここまで書けば、ジャパンマネー(しかも数百兆円規模!)が向かうべき先がこれしかないことが分かるというものです。すなわち・・・日本国債

(続く)

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【日銀政策の限界の時が迫っている】適当な投資先は日本国債しかない事実を受け入れよう③

2018-08-13 00:02:05 | 日本

前回からの続き)

 これまで論じてきたような、政策的な超低金利環境で利ザヤを稼げなくなった金融機関の経営状態が厳しくなっていることについては、日銀の金融政策「異次元緩和」(現在の正式名称「長短金利操作付き量的質的金融緩和」)の「副作用」という言われ方をされることが多いように感じられます。ですが個人的には、前述のとおり金融システムに多大な影響を及ぼしているという意味で、これこそ同政策の「本来の作用」とみるべきだと考えています・・・っても、同システムの「安定」を図ることが中央銀行としての日銀の目的のはずなのに、逆に「不安定」化させているところが現政策の「異次元」なところであるわけですが・・・(?)

 で、このように日銀が自身の使命に背いてまで―――金融システムを動揺させてまで―――異次元緩和にこだわり続ける理由ですが、本ブログで何度も書いているとおり、大きく分けて以下の2点だと思っています。

 1点目は、株高を維持したいということ。実質的には異次元緩和と同義のアベノミクスとは「カブノミクス(私的造語:取り柄は「株のみ」)」であり、株高がすべて、といってもよいくらいです。実際、アベノミクスの前後で円そしてドル(価値の世界共通基準)の双方の換算で価値等が上がったのは株価(日経平均、TOPIX等)くらいですからね。

 で、この株高、こちらの記事に詳述したように、外国人投資家の円キャリートレードを上昇エンジンにしているわけで、それには超低金利が必須であり、ゆえに人為的にこれを演出するために異次元緩和が不可欠になる、という次第です(って、キャリトレにともなって円安が必然的に喚起されるので、株価は上がっても輸入インフレが高まって個人消費等が下押しされる結果、わが国の実体経済はむしろ低迷するっていう状況がアベノミクス日本では延々と続いているわけですが・・・)。

 2点目は、何としても長期金利の上昇を食い止めたい・・・ってもアメリカ、ということ。これはこちらの記事に綴ったとおりで、日銀は「6:4」くらいの比率でアメリカへの配慮を邦銀よりも優先し、同国の金利が上がり過ぎないような政策運営を意識する、という意味です。アメリカの長期金利はいま「3%」を越えていこうかという非常にビミョ~な水準にあるため、日銀は以前にもまして日本側の緩和モードを強化するスタンスに立たざるを得ないでしょう・・・

 本邦金融機関サイドから見て上記2点が示唆することは・・・どのみち、日銀の日本国債の超高値による買い占めが続くので自分たちは国債投資で利ザヤを稼げることはできない、ということ。このままでは利益がいっそう減少し、各社の株価も低迷し、ついにはこれ以上の預金の受け入れを拒否、あるいは口座管理料を徴収せざるを得ないところも出てくるでしょう(?)。これ、もうこれ以上は金融仲介機能を果たせません、と白旗を掲げるに等しいわけです。別の見地からすれば、そのときこそ真に、日銀政策が限界に達した、ということになり・・・事実、その時が迫っているのかもしれませんが・・・

(続く)

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【長期金利0.2%許容は現行政策方針に超矛盾】適当な投資先は日本国債しかない事実を受け入れよう②

2018-08-11 00:01:39 | 日本

前回からの続き)

 日銀は先月末の金融政策決定会合後の会見で、長期金利の変動上限として0.2%を許容する方針を示しましたが、現行の金融政策を維持する限り、これが継続する事態を絶対に許容しない(というより、許容できない)と予想しています。

 こちらの記事等で書いたとおり日銀は、インフレ(年2%程度)の実現に向けてマネタリーベースの拡大が必要だ!と国民に訴えてきました。ここでいうマネタリーベースとは、市中に流通するおカネと日銀当座預金の合計額になります。なお現時点のマネタリーベースと同預金の金額はそれぞれ494兆円と385兆円(6日時点:日銀HP)になっています。

 で、長期金利0.2%ラインが持続するとなると・・・日銀当座預金に積まれたおカネの多くが長期国債に買い向かうでしょう。というのも0.2%の長期国債投資のほうが、付利0.1%の同預金よりも大きな利回りが得られるためです・・・っても、ほんのわずかだけですが、これでも運用難の本邦金融機関にとってはありがたいはずです。

 いっぽう日銀当座預金残高のほうは、0.2%金利の長期国債が市中消化されていく中で、じりじりと減っていくでしょう。となると・・・マネタリーベースの額もまた減少することになります。つまり日銀としては、長期金利0.2%を許容することによって、マネタリ-ベースの縮小もまた認めざるを得なくなるということです。これは明らかに現行の超緩和的スタンス(=マネタリーベース拡大路線)と矛盾します

 そもそも日銀は、上記当座預金の政策金利残高(前年度の[法定準備金を超える]当座預金残高を超える部分)に対して0.1%のマイナス金利を適用しており、これを継続したままで長期金利の上昇(0.2%上限)を認めることは政策的な整合がとれません。したがって、当該金利上昇を許容するのならば、マイナス金利政策を撤回するのが順序としては先となるべきでしょう(?)。

 以上により日銀は、現在の「異次元緩和」にこだわる限り、長期金利が0.1%すなわち上記付利を大きく超え、0.2%に接近する局面が長く続くことを受け入れられないと予想するものです。そのような状況を許すこと自体が、マネタリーベースを膨張させてインフレを喚起するという現行金融政策の根本方針を真っ向否定することになりかねませんからね・・・

 よって日銀にできることは、長期金利が0.1%をちょっとだけ上回る水準を短期間限定で認めるくらいがせいぜいのはず(?)。各社には、そのタイミングをとらえ、安くなった国債を購入してもらって利ザヤを得てほしい、と願うところでしょう。いっぽう、上述した理由から、日銀は金利の0.2%近くへの高まりに長いこと耐えられないので、すぐに国債買いを実行せざるを得ません。そして投資家もそのように予想するから、同0.1%を超えたあたりで国債に買いを入れます。そんなこんなで結局、同金利はもとの0.1%前後に下落するしかないでしょう(?)。ちなみに現時点の長期金利は・・・0.09%(8月10日20:00時点)。要するに、そういうことなのですよ・・・(?)

 というわけで、日銀が0.2%上限を許容するくらいでは、邦銀等が投資できる国債量は引き続き極小水準にとどまり、それが各行の利ザヤの改善に寄与することはまずないと予想されます。かくして金融機関はいよいよ追い詰められ、その本来の役割である金融仲介機能を果たせなくなり、やがては金融システム全体が機能不全に陥る危機的事態になりそうです(?)。それが予期せぬ恐慌時ならいざ知らず、「金融システムの安定」を自身の使命と謳う日銀によって意図的に引き起こされようとしているわけです。このあたりが本政策の名称「異次元」の本質的所以といえるでしょう(?)。

(続く)

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