世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【日銀政策の「本当の目的」は米支援ゆえ、同政策の批判はNG?】インフレで切り捨てられていく日本の報道機関③

2021-11-29 21:54:23 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、新聞をはじめとする本邦メディアは、経済社会のネット化進展で、わたしたちが政府等が発信する情報を自身のPCやスマホ等を通じて容易に得るようになっているなか、ただでさえそれらの伝達機関としての存在意義が低下しているところに、(それゆえに経営危機に直面して政府への依存度を高めたせいか)その本来の役割であり付加価値でもある権力チェック(政府の政策等に関する多様な見方を提示すること等)をもしなくなり、結果としてますます国民から必要とされなくなって、じり貧に陥っている、とみています。

 で、このあたりで大きな転機となったのは・・・やはり「アベノミクス」すなわち2012年12月に発足した安倍晋三政権の経済政策・・・と実質イコールの日銀の金融政策「異次元緩和」(2013年4月)の開始でしょう。その評価は、本ブログで何度も指摘のとおり、ポジティブな面(人為的とはいえ株価が大きく上昇したこと等)を考慮しても、トータルでは明らかにネガティブと結論付けていいでしょう(でないのなら、この間、主要国のなかで日本経済だけが世界史的なマイナス成長に沈むはずはないのですから)。となれば当然、上記開始から現在に至る間のどこかで(・・・って、いや、異次元緩和スタート前から)、上記政策への疑問や軌道修正を求める各方面からの意見等がTVや新聞にあふれていなければおかしいところです・・・が、実際はまったくと言ってよいほど見られない・・・どころか逆に「アベノミクスは100%正しい」(慶大経済学部教授)などと広く報じられたように、ほぼ礼賛一色です。その様子の一端を裏付けるのが、この間の「報道の自由度ランキング」の転落ぶり(2012年の22位から、今年は71位(180か国中)にまでランクを下げている)であることは、こちらの記事等で何度かご紹介済みです。これ、ようするに、この間、前述した日本政府(&日銀)という強大な権力を前に、報道機関が本来のチェック機能を果たせず、どんどん萎縮していったことの反映といえるでしょう・・・

 で、その背景とか理由は同記事、そして前々稿で書いたとおりです。つまり・・・日銀の上記政策の「本当の目的」はズバリ「アメリカ支援」だから批判等はけっして許されない、ということなのでしょう(?)。よって、本邦メディアはやむを得ず?そのあたりを忖度し?異次元緩和がもたらした上記の大ダメージという客観的事実にはあえて触れず、景気は緩やかに回復、といった「大本営発表」だけをポジティブに伝えてみせることで政府の歓心を買い、新聞への消費税軽減税率の適用などのご褒美をもらって、かろうじて生き延びる、みたいな瀬戸際経営を続けてきました(?)・・・

 ・・・が、もはやそれも厳しくなってきましたね。これほどまでにヨイショしてきた日銀政策が、いよいよ本当にインフレを招きつつあるためです・・・(?)

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【本邦政府の政策チェックはメディアの重要な役割だが…】インフレで切り捨てられていく日本の報道機関②

2021-11-27 15:01:16 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、インターネットが経済社会に広く普及したいま、わたしたちは必要なニュースを直接、政府、日銀、企業などのHPから入手できますし、この瞬間の国内外の各種マーケットの動きも容易にゲットできます。もちろんスポーツやエンタメ関係だって。となれば、これまでこれらの伝達を担ってきたメディアの役割は低下せざるを得ないでしょう・・・

 そのあたりが窺える一例が新聞の発行部数の減少です。日本新聞協会のHPによると(って、これもまたHPで分かりますね)、新聞(一般紙)の発行部数は、2000年には約5370万部(朝夕刊セット)だったのが、2019年には3510万部と、19年間で35%近く減ってしまいました。一世帯当たりの同部数も1.12から0.61へと半分近くへと落ち込んでいます。これ、上記のとおり、ネット化・デジタル化の進展で多くの人々がニュースを各ウェブサイトから直接得るようになったことで、紙としての新聞に必要性を感じなくなったことが数字に表れているのでしょう。そのへんは、朝の通勤電車内で新聞を読む人がめっきり減ったことなどからも推測できるところです。このように新聞業界は苦しい局面にあるわけです。もはや紙媒体への回帰は望めないこの先、どうやって収益をあげていけばいいのか・・・

 ・・・って、月並みですが、やはり魅力ある紙面づくりしかないでしょう。とはいっても政府などの各情報ソースが伝えることをそのまま載せているだけの新聞に人々はおカネを払わないはず。同じことを、場合によっては新聞よりも早く詳細にスマホ等で確認できるわけですから。となると、新聞としては、これら情報に何らかの価値をプラスする必要に迫られます。それこそが、報道機関のそもそもの使命といえる、権力のチェック、つまり政府の政策等の情報に対する多様な意見を知らしめることでしょう。これ、とりわけ、わが国においては大切なこと。というのも、上述のとおり、日本政府は(中国共産党政府などと同様に?)行政権だけではなく実質的な立法権をも掌握しているために、その権力は他の民主主義国政府よりもずっと強大で他者のチェックが利きにくいからです。よって、その権力の乱用を抑止するためにも、新聞をはじめとする本邦報道機関は、他国のそれら以上に、政府に対して厳しめの論調スタンスに立つべき。本来その役割を果たすべき国会(立法府)が機能していない(与党は政府立法に賛成するだけ、野党は反対するだけで、自身らは立法権を行使できない)のですから、なおさらです・・・

 ・・・が、その実態は・・・真逆であるのは、何もわたしが指摘するまでもないでしょう。この国の新聞、TV、国営放送・・・のいずれも、新華社(中国の国営放送)とか労働新聞(北朝鮮労働党機関紙)よろしく?財政再建(消費増税と100%イコール?)、コロナワクチン、マイナンバーカード・・・などなどについて、政府の言い分をバラ色的に?伝えるばかり。逆に、その陰の部分(消費増税で言えば、消費・景気を冷やす、逆進性で格差を拡大させる、等)への論評や意見はほとんど掲載していない、といっていいでしょう。どうしてそうなってしまったのか―――本邦メディアが政府寄りになってしまったのか―――は、上記の厳しい経営環境に置かれた各社が政府政策(消費税軽減税率の新聞への適用等)への依存度を強めたため、等が考えられるところですが、真相は・・・

 ・・・って、そのあたりはともかく、これでは新聞もTVニュースも魅力あるもの―――読者や視聴者がおカネを出してでも見ようという気にさせられるもの―――になるわけもないでしょう。結果、本邦メディアはジリ貧状態を食い止められずに・・・?

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【ネットがあれば新聞もTVも不要】インフレで切り捨てられていく日本の報道機関①

2021-11-25 00:01:54 | 日本
 どこかの国?と同様、この国の報道機関(新聞・TV等)もまた、大きな岐路に差し掛かっていますね、インフレ・・・

 以前から書いているように、わたしは長いこと、新聞を定期購読してはいませんし、NHKなどのテレビのニュースを視聴することも少なくなりました。その最大の理由は、単純に、各種の情報はインターネットから得られるためにそれらを読んだり見たりする必要を感じないからですが、とりわけ最近は、精神衛生上、あえて見聞きしないようにしているためでもあります。本稿では、そのあたりについて思うところを綴ってみたいと思います。

 さて、これだけ経済社会のデジタル化・ネット化が進んだ昨今、自身のPCやスマホなどでニュース等をチェックできるから、といった理由で新聞を読まない(TVを見ない)という人々が、とくに若年層では多くなっているものと推察されます。もっとも、たとえばヤフーなどのポータルサイトに出てくるニュースの多くは報道機関が伝えるもの。したがって、これらに目を通すということは、引き続きそれら各社に情報を依存していることになりますね。まあたしかに上記ポータルは便利なので、そうなるのはもっともです・・・

 ・・・が、次のように考えると、別にそれらに頼らなくても大して困らないことに気が付きます。各情報ソースのHPに直接アクセスすれば、いくらでも知りたいことが分かる、ということです。たとえば、日々のニュースのメインである、わが国の政治経済や国際情勢については・・・政府のこれらに関する方針とか政策なら「首相官邸」や「内閣府」、財政政策なら「財務省」、外交関係なら「外務省」、コロナ禍対策なら「厚生労働省」、そして金融政策なら「日銀」・・・といった各種組織のHPを閲覧すればOK。そして、わたしのように、経済ウォッチをされる方なら、ネットを通じて為替、金利、株価といった各種マーケットデータをいくらでもリアルタイムでゲットできるわけです。であれば、これらからダイレクトに入手した情報に基づいて、自分なりに情勢を判断し、必要に応じた意思決定等ができるので、TVも新聞も特段必要ではない、ということに・・・

 なお、本来なら、上記ソースの筆頭として「国会(衆参両院)」とか各政党のHPを挙げたい・・・ところです。が、こちらの記事等に書いたように、わが国では政策も、それを裏付ける法律も、大半は政府(官僚)が策定する一方、国会すなわち立法府は、憲法上の「国権の最高機関」とは超~名ばかりで、実質的には政府よりも(はるかに?)下位の政府提出法案の承認機関に過ぎないし、その構成員たる国会議員も(与党野党の違いに関係なく)何らの仕事もしていない(政策も法律も作っていないし、作れないし、それが自身の使命との認識すらない?)ため、これらのHPには現状、見るべきものがない、というのが個人的な印象です・・・

 だからといって、上記の各省庁等の伝えることのほうを、真に信じられること、などと捉えるつもりはまったくありません。これらは、どれもいわゆる「大本営発表」と心得るべき。つまり、自身の都合の良いことは伝えるけれど、逆のことは知らせないようにしている、という面が少なからずある、と冷静に見る必要がある、ということです・・・

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【分断が進むアメリカ&ドルが長持ちするはずもなく…】やはり頼りは金・・・なのか⑤

2021-11-21 00:02:58 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 シツコク指摘しますが、原油価格をはじめとする現下の原材料インフレは日銀の金融政策(俗称「異次元緩和」)の結果生じていること。で、その「本当の目的」(アメリカ支援)、そして「本当に本当の目的」(・・・に見せかけて同国をインフレで自壊に陥れること)は前稿で書いたとおりであり、それがいよいよ達成されつつあることも、かの国の実質金利がマイナス圏に深く沈み、もう二度と浮上する気配が見受けられない様子からもうかがえるというものです。と同時に、アメリカでは、ごく少数の「持つ者」(インフレで潤う人々:日銀が肩入れ中!)と大多数の「持たざる者」(インフレで生活レベル等が悪化の一途をたどる人々:日銀が突き落とし中!)との「分断」がいっそう進むのは必至。であれば、かの国が長持ちするわけはなく、(おそらくは数年内に暴動→内乱内戦等の)カオス状態になっていくしかない?でしょう。となると当然、為替はドル安へ・・・

 ・・・となってが本来の価値を取り戻すだろうから、ゴールド)保有がベターとは思うものの、金を持っていなくても円預金(日本国債)があれば何とかなるだろう、というのが、以前から変わらぬ、わたしの予想です。ほ~ら、やっぱり米長期金利は1.6%あたりからまた下がってきましたね(19日、1.55%)。もうこの道筋以外にないんですよ・・・(?)

(「やはり頼りは金・・・なのか」おわり)

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【保有資産の3~4割は金現物にするのが得策か】やはり頼りは金・・・なのか④

2021-11-19 00:02:09 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 前稿で、先の衆院選で自民党が勝てば物価はさらに上がるだろう、と予想しましたが、いま、まさにそのとおりになりつつあることの背景は、ここで繰り返すまでもないでしょう・・・

 こうした中、政府は、石油元売り業者に対して補助金を支給するなどの対策を講じるそうな・・・って、ホント何やっているのでしょうかね、政府・日銀は。この財政支出、世界経済・・・云々ではまったくなく、自分たち(日銀)が政策意図的に引き起こしたガソリン代高騰で余儀なくされるものですから。こうした自殺行為に等しい政策―――超マイナス成長誘導&財政赤字の無意味な膨張―――で?わが国の国力は失われていくばかりですよ。そしてわたしたちも、そのあたりがいかに危ういか、そして理不尽なのかに、いいかげん気づかないとね。(これまでは平気だったとしても)とうとうインフレというウェークアップコールが鳴り響いてしまったのだから・・・

 まあ・・・それでも比較的余裕なのは・・・やはりゴールド)の保有者でしょう。理由は前述のとおり、金は日銀政策由来の円安インフレ(はもちろん、過去・現在・未来の全世界のインフレ)をヘッジしてくれるからです。よって、金を一定量ホールドしている方は、自身の資産価値がインフレ率を上回る勢いで高まっていくでしょうから、上記のようにあきれ返りつつも?この低次・・・って、もとい「異次元」な時期をやり過ごすことができるでしょう。

 本ブログでは当初から、わたしたち日本人にとって望ましい資産ポートフォリオは、円預金(≒日本国債):50%、本邦株式:10~20%、そして金(現物に限る!):30~40%あたり(って、外債はNG!)、と書いていますが、このバランスであれば、上記日銀政策(≒インフレ)がどうなるかにかかわらず、保有資産の価値が損なわれること(インフレ率を下回る利回りになること)はまずないだろう、ということを、いま、あらためて確信しているところです(っても、投資等の判断は自己責任でお願いします)。

 とはいえ、以前から書いているように、国民の多くは金の価値に気づいてはいないでしょうし、ましてや金ホルダーなんて、この国ではおそらく株や外貨預金を持っている人より少ないことでしょう(?)。となると、金を持っていない国民の多く(そして同様に金を持っていない[持つことを許されていない?]日本国)は、よりによって身内の日銀が煽り立てるインフレでジリ貧に・・・?

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【円のヘッジは金でしかできない、が現実に…】やはり頼りは金・・・なのか③

2021-11-17 00:03:19 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 前回書いたように、足元のゴールド)の円建て価格の上昇は、わが国には、やむにやまれぬ事情―――金利上昇を引き起こす要因―――なんてないのにもかかわらず日銀が本来は不要な通貨増刷をやっている結果といえるでしょう。

 となると・・・日銀が現行の金融政策(俗称「異次元緩和」、現在の正式名称は「長短金利操作付き量的質的金融緩和」)を維持(あるいは強化)し続ける限り、その価格は上がり続けるだろう、と考えるものです。これも前述、そして本ブログでシツコク指摘のことから、もはや米ドルの大量散布は止めどもない(米FRBインフレを抑制することは不可能となっている)わけで、そのヘッジとしての金の価値は高まる以外にないところ、も大きくはドルに対して高くならないように日銀が政策的な操作を行うために、結果として金の円建て価格は当面、上昇していくだろう、という予測です(投資等の判断は自己責任でお願いします)。

 以前、こちらの記事で、円のリスクヘッジは金でしかできない、と書きましたが、非常に残念なことに?現状はまさにそのとおり、ということですね。「非常に残念」というのは、上記のとおり、そして、くどくて恐縮ですが、こうした事態―――金価格のこれほどの上昇を招くほどに円が弱くなって国民の大半がガソリン代などのインフレに苦しめられる事態―――は、もともと不必要・・・どころか日本の実体経済には超マイナスでしかない日銀の上記政策によってもたらされたため。またドルでヘッジできないのは、いまのアメリカの激しいインフレ(直近のCPIベースだと実質金利で年マイナス5%前後!?)をみれば明らか過ぎるでしょう。かくして、アメリカ・・・はもちろん日本においても、金の「輝き」は増していくことになりそうです・・・

 ・・・って、つまりはそれに正比例する形でインフレがさらに進むだろうことを意味します。よって、金の実質価値は、見た目の増加額ほどは上がらない・・・でしょうが、インフレ分を差し引いても、なお高まっていくほかないでしょう。なぜなら、ドルやユーロ・・・ばかりか円をも含む全世界の(不換)通貨の価値がいま、総崩れしつつある(インフレになる)なか、その価値を保持させるべき万国共通の「通貨」は、昔も今も、金だけ、だからです・・・(っても、金のほかに、最近ではこちらの記事に書いたようにビットコイン[などの一部の仮想通貨]にもそのポテンシャルがあると考えていますが・・・)

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【世界と違って日本の金価格上昇は本来は不要な日銀政策の結果】やはり頼りは金・・・なのか②

2021-11-15 00:04:33 | 金(ゴールド)
前回からの続き)

 前述のように、現在、ゴールド)の円建て価格が上昇して史上最高値(1グラム当たり7032円、昨年8月)に接近中ですが、あくまでも個人の予測なので投資判断は自己責任でお願いしたいところですが、同価格は近いうちにこれを上回っていくだろうと考えています。理由は、次のようなことから、とくに日本においてはインフレの本番はこれからだからと思われるため。つまり、FRBは結局は金融引き締めができずにインフレを悪化させる(実質金利のマイナス幅が拡大するのを放置する)以外に手がないところ、一方の日銀これに付き合う形で(?)引き続き超低金利政策を維持(あるいはさらに強化?)するため、まあ多少は円高に向かうとしても、それを差し引いても原油などの円建ての輸入燃料・原材料価格は上がるしかないと想定される、ということです。となれば、インフレヘッジとしての金の価値は、ドル圏はもちろんですが、日本においては、短期的には、もっと高くなるというものです・・・

 以前から本ブログでは、世界の主要中銀、なかでも米FRBの過度の量的緩和によって、この先インフレ(通貨価値の劣化)が激化するとの見方に立ち、これに備えるために(国家も個人も)金をもっと保有するべきだと述べてきました。そのあたり、日本については、たとえばこちらの記事において、日銀が異次元緩和によってインフレ(年率2%程度)を起こすからヘッジとしてリスク資産を買え、というのなら、その筆頭格である金を買え、と理解するのが適当、と書いています(・・・って、日銀としては当時もいまも、株や外債(とくに米国債)を買ってほしいはずで、同じリスク資産でも金のほうは(ドル・米国債の信認低下につながるから)買ってほしくはないでしょうけれどね)。

 そんなことから、現下の金価格の上昇には、やはり予想したとおりだな、との思いを深くするものです。ようするに・・・世界(とりわけアメリカ)はインフレのコントロールができなくなりつつあるな、ということです。

 もっとも、日本における物価と金価格の上昇の背景は、他国のそれとはちょっと・・・いや、まったく違いますね。つまり・・・アメリカなどのそれらは、ある意味で、やむにやまれぬ事情―――過剰債務がもたらす金利上昇を食い止めるための通貨増刷―――の結果であるのに対し、日本の場合は、やむにやまれぬ事情―――金利上昇を引き起こす要因―――なんてないのにもかかわらず日銀が本来は不要な通貨増刷をやった結果だ、ということです。

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【金の円建て価格、最高額に接近中…】やはり頼りは金・・・なのか①

2021-11-13 21:42:59 | 金(ゴールド)
 売買の判断に迷うところですが、いずれにせよ、インフレから身(資産)を守るにはコレだ、ということなのでしょうね、とりわけいまの日本では・・・

 ゴールド)の価格が上昇しています。12日の金標準先物価格(12月限)は1グラム当たり6820円と、昨年8月に付けた本邦史上最高値の同7032円の97%にまで接近してきました。ただし、これはこの瞬間の日本だけの状況です。他方の金の国際価格すなわちドル建て価格のほうは12日終値で1トロイオンス1868ドル(NY先物)と、今春来の高値圏にあります・・・が、ドル建て最高額の同2069ドル(昨年8月6日、NY先物)の90%程度にとどまっています。このように金価格が日本では最高額に迫っているのにアメリカではそこまでではない、ということは・・・この間、それだけ為替が円安ドル高に振れている、ということになりますね。

 前稿でも書いたとおり、先般のFOMC(金融政策決定会合)で、米FRBは、今月からテーパリング(量的緩和縮小)に着手することを決定・発表しましたが、これを受け、それまで1800ドルをやや下回る水準で前後していた金価格はいったん下がったもののすぐに切り返し、現在は上記のとおり、FOMC前より4%ほど値上がりしました。テーパリングつまり金融引き締めがいよいよ始まったわけで、当然、米金利には先高観が生じる一方、金利のつかない金には価格下押しの力が働いくはず・・・だったのに実際はこのように逆の展開です。ということは、市場は、金利は上がらない、より正確には、FRBにはテーパリング~利上げはできないのではないか、と読み、むしろ金価格に先高観を見出して金を買った、ということでしょう。

 まあドル建て金価格の上昇の背景はそんなところでしょうが、円建て価格をいっそう押し上げる要因となった上記の円安ドル高は・・・そうはいっても、米金利は少しは上がるかもしれず(?)、円との金利差は大きくなるだろうから、という思惑に基づく円売りドル買いによってもたらされたものでしょう。と考えると、現時点で金が買われた要因と円安要因とは、米金利の今後に対する相反する見方が関係しているため、短期的には、円建て金価格の動きは神経質なものになりそうに思えます。

 が、ドル建て金価格のほうは、多少の変動こそあれ、中長期的には上昇するしかないでしょう。なぜなら、前稿を含めて本ブログで何度も書いているように、FRBにはもはやインフレ制御はできず、よってそのヘッジとしての金の価値は高まるばかりと考えられるからです。となると・・・米金利は上がるはずもなく(というより、米経済が金利上昇に耐えられないのでFRBは金利を低め誘導するしかなく)日米金利差はまたまた小さくなって円高ドル安に向かうだろうから、そのあたりは円建て金価格を下げる方向に作用することになりそう・・・

 以上のように考えると、この瞬間、わが国の金ホルダーは冒頭のように思案することになりそうです。が、急ぎの支払い等がないのであれば、当面、金はホールドでよろしいかと思います(投資の判断は自己責任でお願いします)。やはり・・・インフレの本番はこれからでしょうからね・・・

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【日銀は2つの意味で張本人:原材料インフレ&米に引導を渡す】日銀:原材料インフレの張本人⑧

2021-11-09 21:40:08 | 日本
前回からの続き)

 これまで論じてきたことから、日銀・・・の現行金融政策(俗称「異次元緩和」)こそがこの瞬間の原材料インフレの真因(原油等投機の扇動と円安ドル高誘導)・・・なのですが、その「本当に本当の目的」に基づけば、それはむしろ同盟国アメリカを自壊のふちに追い詰める―――制御不能のインフレ(恒常的な実質マイナス金利状態)に陥れる―――という意図を持つ非常に戦略的なものと考えるべきでしょう・・・

 このあたり、以前から本ブログでは日銀由来の超低金利マネーを「麻薬」にたとえていますが、日銀は、米FRBが資産バブルの軟着陸を図ろうと引き締めをするタイミングを見計らって、FRBのその意図をくじくべく?米市場に麻薬を注入し(緩和を強化し)、結果としてアメリカを麻薬漬け(借金まみれ)にして「禁断症状」(金利上昇)への耐性を失わせ・・・とやってきて、いまに至る、といった感じ

 そんななか、米ジョー・バイデン政権が進める総額1兆ドルの「インフラ投資法案」が米連邦議会において可決されました。日銀の上記政策意図?に基づいて、これがアメリカにどう作用するか、を予想すると・・・米財政赤字がさらに増加→金利急騰圧力増大→FRB、利上げ・・・どころか量的緩和に逆戻りし、国債等を買いまくり→実質マイナス金利幅が拡大、インフレ激化→米社会はいっそうの分断へ→・・・となるわけです・・・

 「だからこそ本邦政府は、アメリカを支えようと、ゆうちょ銀行等に米国債投資をさせようとしているのでは?」たしかに・・・日銀の「本当の目的」(アメリカ支援)をふまえるとそうですね、こちらの記事に書いたことからしても。けれど、それも同「本当に本当の目的」を覆い隠すための用意周到なブラフとみるべき?でしょう。というのは、日銀は意図的に円安ドル高を演出し、ゆうちょマネー等のドル投資効率を下げることで、FRBの量的緩和への米財政の依存度を高めようとしたと読めるからです。つまり・・・同じ100億円でも本来の?1ドル50円ならば2億ドルの米国債が買えますが、いまは・・・(同112円で)0.9億ドルほどしか買えません。となれば、アメリカからすれば、他に対米投資余力のある投資家を見出せるはずもないので、残りの1.1億ドルは・・・FRBに刷ってもらうしかなく、それはそのまま過剰流動性となってインフレを悪化させ・・・というからくりです・・・

 と、数々の例から(?)、日銀政策(と本邦政府)の「本当に本当の目的」が見えてくるし、それが着実に達成されつつある様子も伝わってくるわけです。となると・・・本稿タイトルの「張本人」は・・・原材料インフレの、とは別の、もっと重大な意味を持ってきますね。すなわち、畏れ多くも?日本・・・の日銀こそアメリカに引導を渡しつつある(渡した?)「張本人」ということですよ・・・

(「日銀:原材料インフレの張本人」おわり

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【米社会の分断、インフレを望む者と嫌悪する者との対立、ということ】日銀:原材料インフレの張本人⑦

2021-11-07 13:24:30 | アメリカ
前回からの続き)

 ご存じのようにFRBは、先日のFOMC(FRBの金融政策決定会合)で、現行の量的緩和の縮小、いわゆるテーパリングを決定しました。毎月1200億ドル買い上げている米国債と不動産担保証券の買い上げ額を今月から150億ドルずつ減額し、来年半ばにはこれをゼロにするとのことです。となると、常識的には、債券価格は下がり金利は上がって・・・資産・借金バブルは縮小に向かい、現在、米国民を締め上げているインフレも収まる方向に・・・?

 ・・・と思ったら市場のレスポンスは真逆でした。米長期金利は1.4%まで下がり(米国債価格は上がり)、原油価格はむしろ上昇し、株価はダウ平均株価・NASDAQのいずれも史上最高値に達しました(5日終値)。ということで「双子のバブル」(債券と株のバブル:本ブログ造語)がさらに膨張しています、FRBがテーパリングするって言っているにもかかわらず・・・?

 このあたり、本ブログで何度も指摘しているように、市場は見透かしているわけです、つまり・・・FRBはもはや金融引き締めなんてできず、ドルを刷りまくる以外にない、ってことを。事実、先日のこちらの記事で、現在のアメリカは長期金利でいうと1.6%くらいが限界のようだ、と述べましたが、今回もそのとおり、FOMC後、金利上昇はこの「天井」に跳ね返されてまた下がってきたわけです。ようするに、いまのアメリカのバブル経済が耐えられなくなる長期金利のレベルがそのくらい、ということです。まあそれを踏まえて誰かが国債を買ったのでしょう・・・(って、誰?こんな「逆ザヤ投資」しているの)

 そのへんで今回もう一つの注目はゴールド)の価格です。金はこの数か月、1トロイオンス当たり1800ドル付近を上限に小動きしていた印象ですが、FOMC直後にいったん1760ドル台に下落したものの、すぐに上昇に転じて1800ドルラインを突破し、5日の終値は1820ドルになりました(NY金先物価格)。金は金利が付かない資産だから、上記テーパリングで金利先高観が広がれば、その価格は下がってもおかしくないはず・・・ですが、実際にはこうして上がっているわけです、まるでその逆を想定しているかのように・・・

 上記の各マーケットの動きからアメリカで今後、予想されることは・・・やはりインフレは抑えがたい(FRBにはインフレ抑制は無理)・・・どころか、いっそう激しくなるしかない(FRBは実質金利のマイナス幅を大きくするしかない)、ということ。そしてそれが、一般の米国民の経済生活をさらに悪化させ、社会のさらなる分断化を進めることでしょう。その意味で「Divided USA」とは、インフレを望む者(一握りの、QE由来の超低金利ローンのレバレッジでリスク投資の利ザヤ稼ぎ等ができる人々)とインフレを嫌悪する者(大多数の、左記ができない人々)との間の対立、ということができるかと思います。

 そして・・・そのあたりこそ、前述した日銀の現行政策の「本当に本当の目的」―――アメリカインフレで自壊に持ち込むこと―――であって、上記の市場の反応は、その達成が間近いことを知らせてくれている、と考えています。

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