世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【「日本本位制」は「金本位制」以上に米を支える枠組み、だったが…】米「不動産本位制」が暗示すること⑨

2023-10-29 15:03:16 | アメリカ
前回からの続き)

 というように、アメリカが戦後これまでたどってきた経済史?について、その通貨ドルの価値を支えるシステムの変遷、つまり、金本位制→石油本位制→不動産本位制の観点から論じてきました・・・が、そうすることで分かるのは、これは表面上に過ぎないこと、そして本当」に効いているシステムは上述のように「日本本位制」(円本位制)と言い換えられるべき、本邦政府のドル米国債の買い支えとこれらのホールド(絶対に売ら[れ?]ないこと)、になります。

 であれば、当然ですが、日本(円)という「アンカー」の効きが弱くなれば―――日銀の現行金融政策「異次元緩和」でドル購買力としてのが安くなれば―――日本(円)に代わる「他国」(他通貨)がない以上、かの国はおのずと「自国」・・・の地べた(不動産)にドルを裏付けるだけの価値があり続ける、とする―――不動産の価額を永遠に上げ続ける―――しかありません。その結果、必然的にインフレ高進、そして「金利」という「アキレス腱」(他国に依存する以外にない国家的弱点)が顕在化し、さらに「分断」が進化して・・・というのも先述のとおりです。

 なお、上記で「日本本位制」は「遅くとも」ドルの「金本位制」の停止(「ニクソン・ショック」1971年8月15日、ドルの金兌換の停止)以降に始まった、と記しましたが、本当はその金本位制すらも終戦直後から日本…をベースに行われてきたものと理解しています。つまり・・・日本本位制が、日本がドルを買うこと・買ったそれを手放さないこと、である以上アメリカは、世界でたった一国、日本に対してだけ、対米貿易等で得たドルをゴールド)に換えることを認めない(許さない)ということです。

 そのあたりは、たとえば・・・ニクソン元大統領に上記停止を決断させたのが英国のアメリカに対する兌換請求だったことからも窺えます。英国は「母国」として、「子」であるアメリカがフランス等の要求に応じてどんどん金を流出させているのを気の毒に感じ(?)、同要求をせずにドルをホールドし続けた・・・が、やがて自分は金を得られなくなってしまう、との恐怖感にかられて?(同年8月)上記請求に踏み切った。これに、ついに「親」もか、とショックを受けたアメリカは・・・といった次第・・・

 日銀のレポートによると、日本は1960年代半ばに対米貿易収支を黒字化させて以降、それを年々増やし、ニクソン…の年である1971年には32億ドルとアメリカの相手国別ではダントツの同黒字を計上しました。これを単純にドルの「金本位制」の固定レート1トロイオンス35ドルで計算すると、日本はたった1年間で2800トン以上もの金をゲットできたはず・・・でしたが、おそらく当時(それ以前も、そして以降いままでも)、日本はアメリカに貿易の本当の代「金」を求めていない、いや求めることを許されていないのでしょう・・・って「親」(英国)ですら払え!って求められた、にもかかわらず。でないのなら、対米貿易の稼ぎ頭であった、わが国の金準備が、現時点でも、たった700トンちょっと・・・のはずはないというもの・・・

 あのころ日本が「金本位制」のルールに基づいてアメリカから淡々と金を受け取ることができていたら、それはもっと早く停止・・・というより頓挫に追い込まれていたろうし、アメリカの手元に金塊がいまも8千トン以上も残る(???)ことはなかったでしょう。その意味することは・・・ドルの「金本位制」(≒ブレトン・ウッズ体制)もまた日本のサポート・・・というより日本がドルを持つ、すなわち金を持たない、という「日本本位制」を大前提として成り立っていたスキームだということ、です・・・

 こうしてみてくると、「日本本位制」こそ、「金本位制」をも超越する上位の概念、つまりアメリカ(とその通貨ドル)をアメリカたらしめる真の支えであることが、あらためて分かりますね。そして、それからすれば、上記のように、その支えが(日銀の現行金融政策による円安で)弱くなったら、アメリカがどうなっていくのかも、ね・・・

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【不法移民者問題を深刻化させるのも米「不動産本位制」…】米「不動産本位制」が暗示すること⑧

2023-10-23 21:36:43 | アメリカ
前回からの続き)

 本稿で論じてきたように、アメリカは、日本(≒日銀金融政策「円安誘導」)の強力なサポート(?)を得て、「不動産本位制」(土地本位制)を極めてきた(?)わけですが、それにつれて際立ってくるのが「分断」、つまり、こちらの記事等でも書いたような、不動産を持つ者と持たざる者との資産や所得の格差、ということになります。

 そのあたり前稿で紹介の「車中生活者」等に加えて、いまのアメリカでクローズアップされるべきは、何といっても「不法移民者」でしょう。その人数は今年6月時点で推計約1680万人と史上最高数。直近でも、9月までの1年間にメキシコからアメリカに不法入国しようとして拘束された人は247万人と3年連続で過去最多を記録、といった報道等からも分かるように、同移民者の人数はさらに増えていきそうな気配です・・・

 で、問題は、やはりここでも不動産、つまり彼ら彼女らの住まいをどうするか、といったことになります。ほとんど着の身着のまま、身寄りもないままにアメリカに来た彼ら彼女らの多くはいま、ニューヨーク(NY)・・・に代表される「聖域都市」(サンクチュアリ・シティー)と呼ばれる、不法移民の受け入れに寛容な都市・・・の行政が用意した避難所(ホームレス向け、など)等に集まって、というか(テキサス州あたりからバスで移送されて)集められてきています・・・が、上述したことからすれば当然ながら、彼ら彼女らがNY等で不動産的に(自分たちの経済力で家を買って or 家を借りて)自立して暮らせるはずはありません。となれば、NY等(の納税者)は上記避難所等にともなうコストを負担し続けるしかありませんが、そうこうするうちにも、移民者がどんどんやってきて・・・

 といったような、不法移民者をめぐる状況もまた、かの国の「分断」―――本ブログでいう、不動産を持つ者と持たざる者との格差―――をいっそう深化させることでしょう。千数百万人もの人々が実質的に一生ホームレスのまま、という厳しい現実は、今後の、かの国の民生や治安に対する潜在的な脅威となるはず。それはもちろん自治体や連邦国家の財政的にも、です。だからといって、不動産価格を政策的に下げる、という選択は、上記のように、とっくの昔に消滅してしまっているわけです。繰り返しになりますが、もはやアメリカは「不動産本位制」一択のみ、すなわち「分断」拡大のみ、ということです・・・

 現在の米世論を二分(民主党:不法移民におおむね寛容、共和党:その逆)している、この不法移民問題にも、アメリカがこうして「不動産」の価値に依存しすぎてしまったことが影響しています。となると、ここにも日本・・・の上記「円安誘導」が効いている、ということになってきますね・・・って、あたかもそれで、かの国を支えるかのように思わせながら、真のセイフティーネットである「日本本位制」からハズして、絶対に降りるのが不可能なくらいの不動産の高みに誘導した、ってことで・・・

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【いまや日本が抱えるドル債権は政府に集中…】米「不動産本位制」が暗示すること⑦

2023-10-19 21:09:35 | アメリカ
前回からの続き)

 本稿1回目でご紹介のとおり、アメリカ不動産価格(ケース・シラー値)はこの7月、史上最高値に達し・・・てしまいました。本稿の文脈でいえば、これ前述のように、かの国の「不動産本位制」(土地本位制)に基づくマネーの大増刷が当然のようにもたらす結果ですが、こうなるよう、それを側面から・・・って、いや全面的にサポートしたのが日本・・・の日銀の現行金融政策「円安誘導」になります。繰り返しになりますが、円安に導いてジャパンマネーの対ドル投資余力を大幅かつ意図的に削ぐことで、永遠の対外債務国アメリカをマネー不足(金利上昇圧力増大)に直面させて、日本(円)に替えて自国の不動産に裏付けてマネーを刷らせ続けた・・・という具合。

 もっとも、わが国(政府&日銀)の側は、日銀の上記政策はその「本当の目的」に沿って、つまりアメリカとドルの「日本本位制」に忠実に従って行ってきた、と信じ込んでいるはず。でないのなら、前記したような、(「円高リスク」を大義名分にした手前、逆の円安に向かう局面で政府が「ドル買い」市場介入ができなくなった代わりに)政府の事実上の子会社である「ゆうちょ銀行」「農林中金」そして公的年金基金に「ドル」(米国債や米不動産担保証券などのドル建て債券)の買い支え・買い増しを促すようなことをするわけはありませんからね・・・

 そのあたり、本当本当に本当?のいずれの目的なのかはべつとして、いまや日本が抱える米国債の大半は「政府」に集中してしまっています。それは、ようするに、「民間」(投資家)にとっては低利回り・・・どころか元本割れリスク(為替差損リスク)に満ちているから顧客や株主のためにも買えない資産・・・だからこそ「政府」がそれらを買い支えている、ということになります(・・・って、しかも、最近のそのドル投資は、こちらの記事でご紹介のような、オソロシ~ほどの「高値掴み」で・・・)。現に、この本邦政府のドル買いがわたしたちにとって経済的に利益になる(日本国債以上の実質プラス金利をもたらす)ものではまったくないことを、本稿4回目でご紹介の、ドル資産を日本政府が売らない理由をアメリカそして米経済が世界経済に与える影響を考慮するため、との趣旨の橋本龍太郎元首相の発言からも簡単に読み取れるわけで・・・

 とはいえ―――日本政府がこうしてドルの買い支えとホールドに(おそらくはいまも)全面協力しているとはいえ―――上述、そしてこちらの記事等でも書いたことから「円安」が対米サポート力を大きく失わせたこと、そしてそれによってアメリカが「不動産本位制」への依存度をいっそう高めざるを得なくなってしまったことは否めないでしょう・・・

 で、そうしたなかでのこの瞬間の米不動産市場は今回冒頭のとおりですが、「達してしまった」というのには、米FRBが利上げを進めてきたにもかかわらず、といったニュアンスが含まれています。であれば本来なら(金利上昇で)同価格は大きく下がってくるべきなのに、となります・・・が、やはりもう「不動産本位制」しかありませんからね、そこは長期金利(7月時点で年4%ほど)よりも価格上昇率(ケース・シラー値:1月292.9→7月310.2で、たった半年で5.9%!!)のほうがずっと上(不動産投資に、なお妙味アリ!?)、ってことで・・・

 となれば、やはりアメリカは・・・この方向---「分断」拡大---に逝く以外にないでしょうね・・・(?)

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【「日本本位制」の効力は、米支援目的の?日銀現行金融政策で弱まった】米「不動産本位制」が暗示すること⑥

2023-10-15 21:09:41 | アメリカ
前回からの続き)

 以前から指摘のとおり、日銀の現行金融政策「異次元緩和」(長短金利操作付き量的質的金融緩和)の「本当の目的」は「アメリカ支援」になるわけですが、本稿の文脈に沿っていうと、これ、その前から始まっていたドルの「不動産本位制」(土地本位制)を下支えする意図で行われてきた、といえます。つまり、アメリカ・・・のFRB(中銀)としては、リーマン・ショック直後から続けていた超緩和的な金融政策の「副作用」(って、本当は[不動産インフレを喚起する]本来の作用?)であるインフレを抑えるべき立場から、金融引き締め(量的緩和[QE]の手仕舞い→利上げ)に向かわざるを得ないところ、そうなると「金利」が上昇し、不動産(や株やジャンク債などのリスク資産の)価額に下押し圧力がかかって、上記「不動産本位制」が崩壊しかねません。そこでFRBに代わって日銀がそれらの投資用元金としての超低金利マネーの市中供給役を担う・・・べく上記政策を行う、といった具合です。

 他方、それによって、同政策誘導的に日米金利差の拡大が促されること等により、為替レートの円安ドル高が進んだことはご存じの、そして本ブログのあちこちで綴ってきたとおりです。この点、前述の「日本本位制」の観点からはけっして望ましいこととはいえません。なぜなら、そのねらいの「その1」である、日本にドル・米国債を買わせること、が以下のように思惑どおりに進まなくなってしまうためです・・・

 先述のように、これらの多くを買ったのは、円売りドル買い為替介入をした日本政府ですが、それは円高ドル安進行の局面で円高リスクを大義名分にできた(?)からでした。ところが「異次元…」開始から現在に至る為替環境は、その真逆の円安モード。となると政府にこれらを買う―――同介入をする―――理屈はなくなります。かといって、わが国の民間投資家には、前述のように為替リスクがあることなどから、対円でのドルの値上がりもあって、ドル資産の購入増は期待できません・・・

 そこで政府は、身内・・・ともいうべき?政府系金融機関である「ゆうちょ銀行」(預入限度額の引き上げ)や公的年金基金(運用資産に占める外債の割合の拡大等)に、自身が買えない分、ドル・米国債をいっそう購入させようとしてきました(?)。しかし、結果としてこれらが上記ねらい「その1」の達成に十分に寄与できなかったのは、こちらの記事に書いた事実から明らかでしょう。それだけ日本のドル資産購入力、つまり「日本本位制」の効力が落ちてしまったということです・・・って上記政策的な円安で

 そうこうする間もアメリカは経常赤字&財政赤字を膨張させ続けました。わが国の支えがこうして弱まるなか、これらを埋めるべきマネーは、やはり不動産に裏付けるしかないはずです。かくしてアメリカはいっそう「不動産本位制」への依存度、つまりはインフレ(実質マイナス金利)に対する受容度を高めてしまいました。それによって、かの国では、不動産を持つ者(インフレ的な金融環境でメリットを得る者)と同持たざる者(同害悪を受ける者)との「分断」がさらに拡がり、やがて・・・となっていくほかないでしょう・・・

 とまあ、このあたりも何度も書いていますが、「日本」(および円)という「アンカー」が弱まるとこうなるよ、ってことですねアメリカは。そして、そのことこそ(おそらくは、意図せざる、だろうが?)日銀上記政策の「本当に本当の目的」---かの国にインフレを自ら起こさせて自壊に導くこと---が目指すところなのでしょうね・・・(?)

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【「日本本位制」はよほどのことでもない限り公表されない密約】米「不動産本位制」が暗示すること⑤

2023-10-13 22:12:21 | アメリカ
前回からの続き)

 前述のとおり、(遅くとも)ドルの「金本位制」停止(1971年)以降にスタートした、「日本本位制」(「円本位制」)のもと、わが国は大量のドル米国債を購入したばかりか、これらを売らずに(正しくは、アメリカによって売ることを許されずに?)抱え込んできました

 この結果、日本政府(の外国為替特別会計)には1兆ドル以上もの外貨(大半はドル・米国債)が積み上がりました(昨年度末時点の資金残高は約167兆円となっている[財務省HP])。これ、日本からすれば、先述したように、円が対ドルでどんどん高くなっていく局面でのドル買い&ホールドだから、膨大な為替評価損を国家国民が食らう、という大損害になりますが、アメリカにとっては、それだけ過剰流動性(インフレ)の発生が食い止められたことを意味します。その点を逆からみれば・・・もし日本政府がこれらを買わなかったら、そして売っていたら、さらに前記の(橋本龍太郎元首相の言葉を借りれば、米国債を売却して外貨準備を[ゴールド]に替えようとしたいという)「誘惑」に「屈する」(って、当然の経済合理的な判断に基づく)かたちで金の保有量を増やしていたら、その分だけ市中にはドル・米国債があふれることとなって、それらはとっくの昔に・・・ということ。

 本稿2回目で書いたように、1974年当時のサウジアラビア(王家)との秘密裏の?交渉を含む実質的な石油本位制が確立する過程は、その後の文書公開で明らかにされつつあります。が、それは、米国民そして世界がそれを知っても、いまのアメリカの安全保障等への影響は大きくはないと判断されたから、と解されるし、ゆえに、その後数十年たって、石油本位制の意義等が薄らいできたため、ともいえそうです。

 いっぽう、同じ「〇〇本位制」でも「日本本位制」のほうは、その名称を含む本当のところ―――日本(政府)がドルと米国債を継続して買うこと、および買ったそれらをけっして売らないこと―――が明らかにされることは(よほどのことでもない限り)ないでしょう(?)。それはアメリカにとって現在も重要な・・・というより真にワークし続けているスキームだから、公表等によって(自分たちがヨソの国に対して多大かつ理不尽な経済的犠牲を払い続けているという真実が伝わることで、日本国民の多くがこれに反対して)その継続・・・って、つまりはアメリカ&ドルの存続が危ぶまれる事態を招きかねませんからね。よってそれはたぶん、J.F.ケネディ元大統領の暗殺の真相と同じくらい(いや、それ以上?)のトップシークレット・・・な密約なのだろうと・・・(?)

 ところが・・・その「日本本位制」の効力、すなわち日本のドル・米国債を買い支えるパワーが、あるとき以降は急低下してしまいました。それは、何度も指摘の、2013年の開始から今日まで続いてきた日銀の金融政策「異次元緩和」・・・によって誘導された円安ドル高のせい、になります・・・

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【「日本本位制」(円本位制)こそ米ドルを支える真のスキーム】米「不動産本位制」が暗示すること④

2023-10-11 00:01:10 | アメリカ
前回からの続き)

 ここまで綴ったように、戦後のアメリカの通貨ドルの信認を維持する目的のスキームは「金本位制」→「石油本位制」→・・・→「不動産本位制」(土地本位制)と変遷してきたといえるわけですが、1971年の金本位制の終了(「ニクソン・ショック」)後に開始された石油…そして不動産…は前述のとおりインフレに「甘い」(受容的・喚起的だ)から、これらのもとでは、どうしてもドルの価値の低下のペースは速まってしまいます。

 にもかかわらず、ドルはいまでも基軸通貨の地位を保っています。本来ならば、金…以降は上記のとおりその価値は下がる(インフレになる)ばかりだから、ドルはもっと早くその地位を失っていてもおかしくはない・・・はずなのに。ということは、この間、ドルのインフレ化を相当程度食い止める効力のある仕組みが働いてきた、と考えるのが自然でしょう・・・って石油…や不動産…以外で・・・

 それこそ・・・日本、そしてです。これ上記の文脈に沿っていえば、アメリカ&ドルの「日本本位制」―――「円本位制」-――とでもいうべきスキーム、つまりドルの信認を日本&円によって裏付ける、です

 そのあたりに関するところは本ブログのあちこちに書いていますが、ドルを支えるべき「〇〇本位制」という見地から指摘できるねらいは次の2点。1点目は、日本にドル米国債を買わせること、2点目は、日本に買わせたそれらを売らせないこと、になります・・・っても、これらは表裏一体で同じことですけれどね・・・

 で、1点目。ニクソン・ショック以降の為替取引は、それまでの固定相場制(1ドル360円)から変動相場制へと移行しましたが、こちらの記事等で書いたように、円はその後、対ドルでほぼ一貫して上昇し、一時は同80円以下の円高ドル安になりました。これ日本からみれば、同じ360円で4倍以上のドル(1ドル→)4ドル超)を買えることになります・・・が、とはいっても、この為替差損リスクがあるために(ドル建て資産を含む)ドルに手を出そうという気にはなれないというもの。それでは上記のねらいの達成が危うい・・・となって、その買い手として登場するのが「日本」・・・政府となります。もちろん、上記リスクの手前そのへんは正直にはいえないので、ドルを買い支えることを正当化(?)するべく円高リスクを喧伝するわけです。つまり・・・円高ドル安は輸出企業の円換算の収益を減らすうえに産業空洞化等を引き起こす・・・から、その進行を食い止めるために円売りドル買い市場介入を行います、といった具合・・・

 次に2点目。これは橋本龍太郎元首相の米国債売却に関する以下の発言等から察しが付くでしょう。1997年6月、訪米中の同元首相が大学での講演の際、聴衆からの質問に答えるかたちで、大量の米国債を売却したいという誘惑にかられたことが幾度かある、と述べました。もっとも、アメリカが世界経済に与える影響を理由に挙げて、米国債を売って外貨準備をゴールド)に替えようとしたい誘惑に屈することはない、と続けています(しかし、大量の米国債ホルダーである日本の首相がその売却に言及したことが大きく注目され、米株価は一時下落しています[以上Wikipediaより])。これ・・・つまりはそういうこと―――(わが国としては本心ではドル・米国債を手放してに替えたいけれど)アメリカが日本にドル・米国債を売らせないようにしている(のが分かっているから仕方なくこれらをホールドし続けている)ということ―――ですよね・・・

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【「石油本位制」も「不動産本位制」もインフレ喚起的で通貨制度としてはNG】米「不動産本位制」が暗示すること③

2023-10-07 18:27:43 | アメリカ
前回からの続き)

 前回、戦後のアメリカおよびその通貨ドルを支える仕組みは「金本位制」(1944~1971年)→「石油本位制」(1974年~)→・・・→「不動産本位制(土地本位制)」(おそくとも今世紀初頭~)と変遷してきた、と綴りました。

 で、その現在の不動産本位制のもとでは、「金利」をどうしても低めに誘導せざるを得なくなります。つまり・・・ドルの信頼を裏付けるのが自国の不動産である以上、その価値は高くなくてはならない(低くなってはならない)のはもちろん、自国の(永遠の)経常赤字・財政赤字を埋めるための新規マネーを継続的に発生させるためには、つねに上昇し続けなければならないわけで、となれば、これらの最大の支障となる同価値に対する下押し圧力、ようするに金利上昇は絶対に回避しなければならない・・・となって、本来(市場原理のもとでは)起こるはずのないような低金利環境が(金融)政策意図的に現出されることに・・・ってこと。その結果が、この瞬間の、かの国の現状、すなわちインフレ、それも政策金利が5%を超えるほどの高水準のいまでも解消されないくらいの頑固な・・・って、上記からすれば当然です、だって住宅価格やその関連費用(家賃等)は上がる(いや、正しくは「上げる」)しかない・・・って前提でマーケットは動くからね・・・

 とまあ、アメリカのいまの不動産本位制が低金利を絶対的な条件とするためにどうしてもインフレが容認・喚起されてしまう(そしてその抑制には政策的にリラクタントになってしまう)ことについて、本ブログの最近の関連記事の振り返りも含めて指摘するものです。

 この点、「石油本位制」も不動産…と同様にインフレ喚起的なシステムといえるでしょう。前述のようにこれ、石油の支払い代金として産油国に渡ったドルが(米国債投資のために)アメリカに還流することで成立するスキームだから、石油の値段が安くなってしまうと産油国のドル収入が減り、「オイル・ダラー」の対米還流額も減少して・・・アメリカは十分にファイナンスされなくなってしまいます。これを避けるためには、石油価格はそれなりに高くないと困る(・・・から、原油先物の価格を押し下げる方向に作用する金融引き締めはほどほどにしたい)、となって、それが「ガソリン代」(に代表されるエネルギー価格)の上昇につながって・・・インフレになっていく、といった具合。

 このように石油と不動産の両本位制は、本質的にインフレ、つまり通貨ドルの価値の永続的な下落、そして最終的にはその崩壊をもたらしかねない(から、本来の趣旨からはNGな)制度、ということになります。逆をいえば、だからこその金本位制、ということ。まあ「・・・だった」ですが、いまとなっては・・・

 ところで、上記のとおり「〇〇本位制」とは米ドルの信認を保つための制度ですが、じつは、その、金→石油→・・・→不動産、といった移り変わりに関わらず、戦後からいままで、一貫としてその目的を果たし続けてきた「〇〇本位制」があります。それは・・・

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【戦後の米制度「金本位制」→「石油本位制」→…→「不動産本位制」と変遷】米「不動産本位制」が暗示すること②

2023-10-05 22:16:17 | アメリカ
前回からの続き)

 前回、アメリカの現状の通貨・金融のシステムは「不動産本位制」(土地本位制)と言い換えることができる、と指摘しました。この点、かの国の戦後からいままでを、「〇〇本位制」の変遷、という視点で見ると、いろいろ分かることがあると考えています。

 で、終戦直前の1944年に開始されたのが、いわゆるドルの「金本位制」。ご存じのようにこれ、アメリカが自身が持つゴールド)1トロイオンスを35米ドルで交換する、とした制度です。この金の信用でドルの価値を維持し続けようとしたアメリカでした・・・が、その後の対外収支と財政収支の悪化により金がどんどん外国へ流出した結果、その兌換請求に応じられなくなって、ついに1971年、同交換の停止を一方的に宣言します(「ニクソン・ショック」)。ここで事実上、ドルの金本位制は終了し、ドルを含む各国通貨の交換等はいわゆる変動相場制となっていきます・・・

 が、その後も金との紐づけがなくなったドルの価値低下に歯止めがかからないなか、危機感を募らせたアメリカは、世界に引き続きドルを使って(その価値を保って)もらうべく、金に代わるその裏付けを「石油」にすることとし、これに成功?しました。具体的には1974年、当時のニクソン政権がサウジアラビアと秘密裏に交渉、アメリカがサウジ王家を軍事的に支えることの交換条件としてサウジは原油販売をすべてドル建てで行い、これで得たドルを米国債投資に充てる、という取引をまとめました。ちょうど「オイル・ショック」(1973年10月~80年代初頭)のさなかで、サウジをはじめとする産油国にドルが積み上がっていたところ、これによってその「オイル・ダラー」がアメリカに還流し、これを財政的に支えるというスキームが成立することとなりました。これドルの裏付けを石油にしたという点から「石油本位制」というべき仕組みでしょう。実際、公表された米内部文書によると、当時のサイモン財務長官は「これでドルが『石油本位制』になり、為替相場の安定につながる」と考えたそうです。

 というように、戦後のアメリカそしてドルを支える枠組みは「金本位制」から「石油本位制」へ、そしてその後の(冷戦構造消滅中国の台頭、EU発足・通貨ユーロ成立などなどの)いまに至るまでのアメリカ国内外の様々な情勢変化を受け、現在の前述「不動産本位制」(土地本位制)へと移り変わってきたと考えるものです。

 ところでその不動産本位制ですが、それ以前の上記制度とくに金本位制とは決定的に異なる点が指摘できます。それは・・・不動産という財の性質上、どうしても「金利」を低めに誘導せざるを得ない、ということ

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【米住宅価格、金融引き締めさなかの7月、ついに史上最高値に…】米「不動産本位制」が暗示すること①

2023-10-01 22:03:29 | アメリカ
 「やはりな」・・・ではありますが、だからこそ「やはりな」となっていくような気が・・・

 先月26日に発表された7月のケース・シラー住宅価格指数(全米住宅価格指数)は前月比0.6%上昇の310.16と、(2022年6月値を上回って)ついに史上最高値に達しました。対前月では6か月連続プラスで、年初(1月292.85)からの上昇率は(わずか半年で!?)5.9%にもなっています・・・って、この間、米FRBが利上げを続けてきたにもかかわらず・・・

 このあたり、こちらの記事で予想し、そして前稿を含む最近の複数の記事で綴ってきたことの反映ですよ。すなわち、やはりアメリカ(米経済)には、自国不動産価格の永続的な上昇(が生み出すマネー)に依存する以外のコースはない―――同価格の下落につながるコースの選択は絶対にない―――ということ。それは当然、低金利(実質金利[(名目)金利-インフレ率]が低いこと)を必須条件とするためにインフレには目をつぶらざるを得ず・・・と延々とやってきた結果がコレ、という次第。

 もっとも上記のとおり、この間、FRBはインフレ抑制に向けた金融引き締め(利上げ)を続けてきましたが、何度も指摘するように、上記からすれば―――不動産は高金利NGだから―――これ(とっくの昔から)無理・・・というより、中銀としての体面上、できる「ふり」をしているような感じ・・・って、まあ(短期金利上昇で価格が低下する)原油価格(先物)とかは下がるように促した・・・けれど「逆イールド」は放置(?)といったところ。つまり、ガソリン代は多少下がってもいいが、不動産価格や家賃が下がったらタイヘン・・・って、そこはFRBのみならずマーケット心得ているわけです・・・って、とくにこちらの記事に書いた米中堅銀の破綻時のFRB等の対応で、そのあたりがあらためて確信できたわけで・・・

 とまあ、以前記事の繰り返しはこれくらいにして、本稿では、この不動産に頼り切ったアメリカ・・・とその通貨「ドル」のスタイルを、かの国(そして世界)が戦後たどってきた「体制」になぞらえて表現してみたいと思います。でその現状のアメリカの上記体制とは・・・「不動産本位制」(あるいは土地本位制)と言い換えられるのではないかと。というのもこちらの記事等でも述べたように、いまのアメリカは事実上、自国の不動産(土地)をドルの価値を裏付ける資産にしている(してしまった、というべきか)、とみているためです。そこは、終戦直前(1944年)から1971年までの間、ドルとゴールド)をリンクさせた仕組み(1トロイオンスの金と35ドルを交換できるとした仕組み)を「金ドル本位制」と呼んだことからも、そのような表現ができるところと考えています。

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