世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【モノもマネーも外国依存の米国に自給自足スタイルは超不可能】保護主義的政策で自身の首を絞めるアメリカ③

2018-07-01 00:03:08 | アメリカ

前回からの続き)

 先述のように、輸入品には高額の関税をかけるとともに、外資の対米投資にも厳しい審査を課してこれを制限しようとする(?)米ドナルド・トランプ大統領。これ、いまのアメリカの交易スキームを根本的に転換させるやり方に思えます。

 同国はこれまで、基軸通貨ドルの信認(実力以上のドル高)を最大限利用し、安くて高品質な産品を日独中などの世界各国から買ってくるとともに、これら対米黒字国の投資を広く受け入れ、自動車工場のような米国民にとっての雇用の場を作らせるほか、経常赤字にともなう金利上昇の抑制を図ってきました。これをトランプ政権は次のように180度変えようというのでしょう。つまり、関税ブロックと外資投資ブロックの双方を強化して、もはや海外のモノもマネーもアメリカに入ってこないようにしたうえで、自分たちが必要なモノは自分たちのおカネで自分たちで作る、という、いわば孤立主義&自給自足のスタイル・・・

 ・・・ですが、正直に言って、いまのアメリカにこれができるとはとても思えないわけです。同国は、日用雑貨品は中国製、高級品や精緻な部材などは日本製といったように、長年にわたって対外依存を続けています。これらを急に代替できる米企業なんてそうはないし、いまから育成っても無茶過ぎでしょう。よってアメリカ国民は結局、もとの外国製品を買うしか手がないはずです、輸入関税の分だけ高いおカネを支払って・・・?

 マネーの面でも同じです。アメリカは国家も企業も家計も巨額の債務を抱えています。そんな状態下、「Make America great again!」に向けたプロジェクト用の自前のおカネなんてあるはずがない。これまた外国、とくに対米黒字国の日中両国から投資資金を借りてくる以外にない―――それが厳然たる現実のはずです・・・

 以上により、トランプ大統領の保護主義的な政策は、諸外国との関係を悪くするばかりか、国民に無用なコスト増をもたらすだけで、けっしてうまくいくことはない、と超~確信するものです(?)。そうこうしている間に今度はカナダが今日(7月1日)から対米報復関税を発動することを発表しました。当該対象のアメリカ製品は約166億カナダドル分で、カナダをターゲットにしたアメリカの措置とほぼ同じ規模なのだそう。同国はアメリカがこれを止めるまで続けるとのことです・・・

 こうして、EU、中国、メキシコなどに続き、アメリカにとっての隣国カナダまで対米貿易戦争に「参戦」したかたちになりました。ということで、次は・・・

(続く)

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【外資に対する審査強化、対米投資をシュリンクさせる恐れも?】保護主義的政策で自身の首を絞めるアメリカ②

2018-06-29 00:00:57 | アメリカ

前回からの続き)

 このほど、欧州の対米報復関税にともなうコスト増を回避するため、米国内から欧州に生産拠点を移すことを発表したオートバイメーカーのハーレー・ダビッドソンに対する米ドナルド・トランプ大統領のツィート攻撃が続いています・・・

 27日、同氏は「ハーレーは100%アメリカ国内にとどまるべきだ」と訴えました。前述のとおり、同社がこのままのやり方―――米工場で生産した製品を欧州へ輸出するやり方―――だと年間で最悪1億ドルのコスト増になると嘆いているにもかかわらず、です。そもそもハーレーがここまで追い詰められたのは、ご自身が打ち出した一方的な鉄鋼・アルミ製品関税措置がきっかけと考えられるのですが・・・

 トランプ大統領はさらに「わたしはあなた方のために非常に多くのことをしてきた。なににこれかよ(and then this)。他の企業は属しているところに戻ってきているぞ」と綴っています。こういうところをみると、同氏はハーレーのビジネスとか置かれた状況に対するご認識がずれているように思えてなりません。同社は大多数のバイクを米国内で製造してはいるものの、他方でブラジルやインドなど、海外にも生産拠点を構えているとのこと。これ、最適なリソース配分を追求した合理的な経営判断の結果であるわけだから、もし同社にアメリカに留まらせたいのなら、そうさせたくなるような「合理的な」手を打たないと・・・

 いっぽうでトランプ政権は、せっかくのアメリカへの投資活動に水を差しかねない政策をスタートさせそうです(?)。これは、米企業や知的財産の買収につながる外国企業等の対米投資を安全保障等の観点から審査しようというもの。実施機関である対米外国投資委員会(CFIUS)の権限を強化して、外資による重要技術およびインフラの取得となる株取得などを調査対象に加えるほか、外国政府の持ち分が25%以上の企業が米企業の株式を25%以上取得するときはCFIUSの審査を義務付ける、といったもののようです。

 名指しこそ避けてはいるものの、上記が中国(政府)を意識した策であるのは間違いないところでしょう。まあチャイナマネーを脅威視する気持ちは分からなくもありませんが、他方でこれ、外国企業の対米投資意欲を減退させる方向にも作用するおそれがあるのではないか。以前から書いているように、アメリカは海外マネーを受け入れていかないと国が保てません。逆にいえば、外資とかその商品に対してオーブンな市場環境こそがアメリカの良いところであり、それが同国を発展させ、かつ同国の雇用を創出してきた面があるはずで・・・

 そんな自身の長所を消しかねない危険性が、この投資への政治介入(?)にはあるような気がしますが・・・

(続く)

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【米ハーレー、欧州向け生産拠点を米から欧州へ】保護主義的政策で自身の首を絞めるアメリカ①

2018-06-27 00:03:48 | アメリカ

 「白旗」などではなく、とても真っ当な経営判断であり、むしろそうさせているのはご自身だと気が付くべきなのでは・・・

 アメリカの二輪車メーカー「ハーレー・ダビッドソン」がこのほど、欧州向けオートバイの生産拠点をアメリカ国外に移す方針を明らかにしました。アメリカが欧州連合(EU)などに今月から適用した鉄鋼・アルミニウム製品の輸入関税に対抗し、EUはオートバイを含む米製品に25%の報復関税を発動しています。これにともなうEUでのコスト増加に、値上げではなくEUへの生産拠点の移転で対応することにした、という次第のようです。

 同社によれば、EUの上記措置によってアメリカから欧州に輸出するオートバイ1台当たりのコストは平均で2200ドルほど上がるそう。そして会社全体では年間で最高1億ドルの費用増が見込まれるとのこと。ハーレーは「拡大するコストを販売業者や顧客に転嫁すれば、欧州事業に即時で永続的なダメージが及ぶと確信している」との認識を示しています。

 ハーレーの上記方向性、企業として至極妥当なものと思っています。このまま「米で生産→EUへ輸出販売」の枠組みにこだわっていたら同社はコスト増で顧客も利益も失ってしまうでしょう。であれば「EUで生産→EUで販売」つまりEUで売るものはアメリカではなくEUで作ることで高額の関税分を負担しないで済むようにしよう、となるのは理に適った対応であり、同社の株主にも理解できるところだと考えられます。

 これに対してドナルド・トランプ大統領は、米欧間の貿易戦争で最初に降伏したとハーレーを批判しました。同氏は「すべての企業のなかでハーレーが白旗を振った最初の企業になろうとは驚いた」(Surprised that Harley-Davidson, of all companies, would be the first to wave the White Flag)とツィートし、「わたしは彼らのために懸命に戦った。そして最終的に彼らは欧州への輸出に関税を払わなくて済む。われわれは欧州との貿易でひどく痛めつけられてきた。税金はハーレーのただの言い訳だ。耐えろ(be patient)!」と綴りました。

 ・・・って、これハーレーの置かれた状況に対する理解と配慮に欠けたツィートと言わざるを得ませんね(?)。同社は何もトランプ氏らとともにEUとの貿易戦争を戦おうとしているわけではないし、したがってEUに白旗を振ったとの認識もないでしょう。シンプルに上記対応が企業として合理的だからそうするまでであって、唐突に「耐えろ!」って怒鳴られても戸惑うばかりに違いありません(?)。それって、EUが先に音を上げるまで―――「参りました、アメリカさんの貿易赤字が増えないよう、EUは鉄鋼等の対米輸出をしないから、どうか関税率を下げてくださいな」とか言うまで(?)、ハーレーに理不尽な関税コストを負担させようということ?

(続く)

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【車評価の序列「日>欧>韓≧アメ車」?】輸入車関税賦課:米トランプ大統領の本心「雇用創出」②

2018-06-01 00:00:05 | アメリカ

前回からの続き)

 このほど輸入車に対する高率の追加関税の検討を発表したドナルド・トランプ大統領の本心は、これによってアメリカに入ってくる輸入車数を削減し、そのぶん自国内の自動車工場で生産される台数の増加を促して雇用の拡大につなげたい、といったあたりだろうという推測を前回綴りました。トランプ氏らはこれを安全保障の観点からの措置だと語っていますが、つまりは外国からの輸入車が自国民の職を奪っている―――安保が脅かされている―――という理屈なのでしょう。アメリカも入っている世界貿易機関(WTO)は原則、この手の一方的な輸入制限は禁じているものの、安保が理由ならば例外扱いができるとのことなので、そのあたりも意識して安保(national security)というワードを使ったものと思われます。

 先述のようにこの極端な関税、理不尽なものです。アメリカと自動車輸出国のそれぞれの企業や米消費者との間でハッピーに行われていた商取引に米当局が過剰介入してこれを阻害しようというのですから。まるでどこかの左翼政権のようなやり方であり、自由主義圏の旗手であるべき国の政府がやることとは到底思えません。それにこれだと米市場では競争原理がますます働かなくなり、アメ車メーカーは油断して企業努力を怠るのは必至です。その結果、これらの多くは他国車にどんどん後れを取ることになり、結局は米自動車産業全体が衰亡に向かうことでしょう・・・(?)

 とまあ、デメリットを上げていけばキリがありませんが、それでもアメリカが関税率を上げる、というのであれば、わが国としても対策を打たなければなりませんね。第一にするべきことは、ドイツなどの他の自動車輸出国と連携してアメリカに対してWTOルールを順守するよう訴えること。このあたり、日ごろはライバル関係にあってもこれが大ダメージになるところは共通しているので、ぜひ日欧の関係各所にはトランプ政権に翻意を促すよう共闘してほしいものです。

 逆にこれがうまくいかないと最悪「アメリカがやるのならウチも!」とばかりにEUまで自動車関税を引き上げかねません(?)。で、アメリカよりもタチが悪いのは、この場合、実質的な標的が日本車だけになること。そのへんは、自動車の品質や価格などの総合評価を表す不等式「日本車>欧州(ドイツ)車>韓国車≧アメ車(?)」をみれば推測できます(ってこれ、個人的な独断と偏見に基づく序列ですが、輸入車に対する関税率が日本はゼロ%、欧州は最高10[輸入日本車]、米は最大25%に引き上げ予定、といったあたりからすれば、たしかにこのとおりでしょう?)。つまり、EUとしては、欧州自動車市場においては同不等式「下位」のアメ車や韓国車は欧州車の大したライバルにはならないが、「上位」の日本車だけがドイツ車をも凌駕する脅威となるため、関税障壁強化で流入を抑制したくなる、ということです・・・

 日本とEUは昨年、経済連携協定に関連してEU側の日本車関税を当該協定締結後8年目に撤廃することに合意しています。これが白紙に戻されないようにするためにも、あえてEUと固く手を取り合って米政権の無茶な振る舞いに強く抗議していく必要があると考えています。

(続く)

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【米、乗用車に25%の高率関税賦課を検討】輸入車関税賦課:米トランプ大統領の本心「雇用創出」①

2018-05-29 00:03:08 | アメリカ

 鉄鋼・アルミ製品に留まることはなく、やがては「本命」にも来るだろう、と予想してはいましたが、これほど早く、とは・・・

 ドナルド・トランプ大統領23日、自国の安全保障の観点から、アメリカに輸入される自動車および自動車部品に追加関税を課すことの検討に入ると発表しました。米WSJによれば、乗用車に対する現行2.5%の関税を最大25%にする案などが浮上しているもようです。

 米自動車調査センターのデータによると、昨年のアメリカにおける乗用車販売台数(約1730万台)のうち輸入車が占める割合は5台に2台以上の44%にもなっています。それほど膨大な数ならば、もしこの措置が強行されたら当然、わが国のような自動車の対米輸出国・・・ばかりかアメリカ国民の多くもたいへんなダメージを被ることになるでしょう。

 前者としては、アメリカ向け輸出車の同国内の販価が25%も上がって売れなくなり、その結果、なかには米市場から撤退を余儀なくされるメーカーなどが出てくるかもしれません。後者の米国民だって本当なら輸入車を買いたいのに高くて買えず、結局は安い・・・けれど品質等が劣る(?)自国産で我慢するしかなくなります(?)。もちろん輸入車販売業も苦境に陥るでしょう。そんな感じでともに―――アメリカも日本等も―――アンハッピーになるおそれが高いにもかかわらず、どうしてトランプ大統領は無茶をしようとしているのか・・・

 そのあたりについて一部には、難航している北米自由貿易協定の再交渉に当たって米政府はカナダやメキシコから譲歩を引き出したいからだ、といった見方があるみたいです。上記の輸入車割合「44%」のうち両国からの輸入はともに約11%を占めているため、これに高い関税をかけるぞ!というのはかなりの圧力になるはずです。もちろんアメリカは、日本やドイツといった対米貿易黒字国に対する貿易不均衡の是正要求でも今後、同様の厳しい姿勢を示してくるでしょう。

 ・・・ですが、ここで米政権がこれらの交渉とか政策で真に得ようとしているのは、自国に有利な交易条件等だけではないと思われます。一番の狙いは・・・何といっても「Job(雇用)」。これこそトランプ大統領の有権者(とくに支持母体の白人中間層)に対する最大の政治的約束であり、必達のミッションです。つまりトランプ氏は、関税引き上げによって輸入車の流入を削減し、その分だけアメリカ国内での生産台数の増加を促して雇用数や賃金水準を高めようとしている、ということです。したがってトランプ氏らの本心は次のようになるはずです(?)―――「わがステイツは、自分たちの車は自分たちで作ることにしたから、車の輸入なんてもうしない、カナダからもメキシコからも、そして、日本からも・・・」

(続く)

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【日本にとっては米も新興国と同じ危うい借金バブルに頼る国…】国内の「新興国」に悩まされそうなアメリカ④

2018-05-27 00:00:22 | アメリカ

前回からの続き)

 アメリカの金利上昇にともない、投資マネーに逃げられる立場の新興国が資金繰りの悪化で危機に瀕しているわけですが、これと似たような現象がほかならぬアメリカ国内・・・の多くの一般家庭で今後、顕著になっていくでしょう(?)。これによってアメリカでは、返済資金を確保しようと株や不動産等が投げ売られて大規模な資産デフレが起こるとともに、家計破産が多発し、貸し倒れや不良債権が急増して金融システムが機能不全に陥り・・・といった負の連鎖が・・・

 ・・・ということでアメリカは新興国の苦境をけっして「対岸の火事」視できないはずです。むしろ「まもなく自分にも火が・・・」と最高度に警戒して、いまから足元の消火(バブルのソフトランディング)に動かないと・・・って、こちらを含めて何度も書いているように、個人的にはすでに手遅れだと超~悲観していますが・・・

 さて現在、「ドル>他通貨」(実質金利差)によってドルの強さが際立っていて気が付きにくいけれど、じつはドル・・・のアメリカ国家もまた、新興国や自国民と同じく、他人のおカネを借り入れて国を回しているわけです。では誰がアメリカに資金を貸し付けているのかといえば、産油国や中国(って、同国はいっぽうで自身の通貨の価値をドルに裏付けて確保しているから、せいぜいアメリカ[ドル]と同位に留まるしかない?)、そしてドルに依拠することなく自身の経済力で通貨の信認を確保している世界一の債権国・日本・・・。つまり、わが国こそがグローバルな投資マネーの「総元締め」―――新興国を支えるマネーを投資するアメリカにおカネを融資している国―――です。

 したがって、もし日本の金利が上がったら、起こることは・・・アメリカと新興国(と今後の米家計)との間でいま起きていることと同じ、つまり激しい円高ドル安であり、ひょっとしたらデフォルトです、アメリカの・・・(?)。そう日本(円)は、新興国(トルコリラ、アルゼンチンペソなど)の生殺与奪を握るアメリカ様(ドル)のさらに上位に君臨し、かの国の命運を握らされている(通貨)です、畏れ多いことに・・・って、何度もご紹介「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」を別なかたちで表現しておりますが・・・

 こちらの記事に書いたように、「ステージⅣ」の末期バブルの治療にようやく入った感じのいまのアメリカの(長期)金利が跳ね上がらないように実効力を行使しているのは、同国の中銀FRB・・・ではなく、上記「」を通貨に持つ日本・・・の日銀です。そう考えてくると、トルコやアルゼンチンといった新興国の人々・・・ばかりか米国民の今後がどうなってしまうのか、は日銀次第のように思えます。つまり、もし日銀が現行政策を打ち切ったら(緩和策縮小に入ったら)各位はたちまち逝くでしょう、もし続けたらバブルは「がん細胞」のようにさらに転移拡大して、結局はもっと派手に逝くでしょう、ということ・・・って、あれ?どのみち昇天は不可避か・・・。であれば少しでも穏やかに、すなわちいまのうちに・・・が「王者」としてのせめてもの「情け」なのではないでしょうか・・・

(「国内の『新興国』に悩まされそうなアメリカ」おわり)

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【米家計債務、過去最高額を更新のなか、延滞率も上昇中…】国内の「新興国」に悩まされそうなアメリカ③

2018-05-25 00:04:23 | アメリカ

前回からの続き)

 米FRB等が発表したデータによると、2017年第4四半期(1012月)のアメリカの家計債務は年率5.2%増と2007年以降では最高率で拡大し、同時点での合計残高は13.1兆ドルとなり、4四半期連続で過去最高額を更新しています。クレカローンが前期から3.2%増えて2007年以降で2番目の大きさ、自動車ローンは過去最大額を記録、住宅ローン5四半期連続で増加しており、2008年の最高値を抜くのも時間の問題(?)と思われます。

 いっぽう、ローン返済の滞りも目に付くようになってきました。クレカローンの90日以上返済が滞ったローンの比率は7.55%と2016年以来の高水準になっています。自動車ローンのほうも同様で、格付け会社フィッチレーティングス等によると米サブプライム層(支払い能力が低い層)向けローンの60日を超える延滞率は5.8%とすでに2008年金融危機時(約5%)を上回るレベルにまで高まっているとのこと・・・

 こうした状況は、全家計債務の約68%(2017年第4四半期時点)を占める住宅ローンにも及んでいることが推察されます。同ローンのうち30年固定金利は2012年には3%台半ばくらいでしたが、以降はじりじりと上昇し、直近(5/11)では4.77%になっています。これ、借入額が大きく数十年にわたって返済が続くローンですから、こうして1%少しでも金利が上がるのは家計にとっては大ダメージのはず。よってここでも資金繰りが苦しい中低所得層からローン延滞とか、最悪ローン破綻が続出する事態が今後予想されるわけです、金利がこのまま上がり続けるのならば・・・

 ・・・といったように低金利をいいことに弁済能力をはるかに超える巨額の(ドル建て)債務を抱えてしまったという点では先述の新興国と上記の米家計はよく似ているといえるでしょう。そして両者とも「バブル」を当て込んでいるところもそっくりです。前者は原油や鉄鉱石や小麦といった一次産品価格が、後者は株やジャンク債や不動産などの資産価格が、いつまでも値上がりを続けるだろう、といった何とも都合の良い見通しに基づいて借り入れを膨らませた、というわけです・・・

 こちらの記事に書いたように、すべてのバブルのうち「逆オイルショック」に象徴される原材料バブルは2014年半ば以降、一足早く崩壊過程に入ったと思われます。他方で金融資産&不動産バブルのほうは現在まで膨張中(?)。このあたりが同じ巨大債務者でも先に新興国が苦しくなってきたことの大きな理由でしょう。かたや米家計は表向き、大丈夫そう(?)にみえても、上記バブルもまたバーストが不可避のため(?)、やがては相対的に「フラジャイル」(資金繰りが脆弱)なサブプライムな人々から順次、追い詰められていくのではないか。それはあたかも新興国の中でもとくに弱い(経常赤字国でこれといった外貨獲得源が乏しい)トルコアルゼンチンのような国々が真っ先に危機に陥ったように・・・

(続く)

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【巨額ローンを抱える家計は米国内の「新興国」のよう】国内の「新興国」に悩まされそうなアメリカ②

2018-05-23 00:03:32 | アメリカ

前回からの続き)

 前回、アメリカの(長期)金利の上昇を受けてトルコやアルゼンチンといった新興国の通貨が対ドルで大きく下落している様子をご紹介しました。これら諸国は米ドル建ての借入額を膨らませており、自国通貨が下がるとそれだけこれらの返済負担が増えることになります。したがってこれ以上の通貨安は何としても阻止したいはずで、各国は利上げとかドル売り自国通貨買い為替介入といった通貨防衛策を今後も繰り出すのでしょうが、はたしてうまくいくのか・・・

 ・・・といった感じで、最近のビジネスニュースでは新興国のこうした苦境を伝えるもの、およびドルの他通貨に対する強さを強調するものが目につくように思えます。では今後もこのトレンドが続くのか―――アメリカの長期金利がじわじわと上がり、ドルが他通貨に対して上昇し、いっぽうの新興国通貨が下がり続けて一部がドル建て債務の不履行に追い込まれる、みたいな展開になっていくのか―――ですが、コトはそう単純ではないでしょう(?)。その理由は、新興国の悲劇は不可避として(?)、ほかならぬアメリカ・・・の国民もまた、ローン金利の上昇で危機に陥りそうだと予想されるためです。

 以前から何度も書いているように、米FRB(と日銀?)が長年にわたって演出してきた低金利環境をいいことに(?)、アメリカの一般家庭の多くは借金消費生活を謳歌(?)してきました。それはそうでしょう。米長期金利でみると2014年初頭からこれまで4年以上の長きにわたって3%」を下回る低水準で推移してきたわけですから、住宅や車を購入するに当たってローンを組まない手はありません(?)。

 さらに、株式、各種債券(新興国国債とかジャンク債等)、不動産などなど、この間の各種資産の価額は同国のGDPとか賃金の伸びを大きく上回る勢いで上がってきました。ということは、これらの価格の上昇率が借金金利を上回り、いざとなればこれらを売却すれば容易に残債を返済できるだけのキャッシュが得られるわけで、人々は安心して(?)ますます借金に走った、といった具合です(?)。

 ・・・そんななかでの米長期金利の上昇、借金消費を支えた上記2つを反転させます。つまりローン金利を「低」から「高」へ、いっぽうの資産価格を「高」から「低」へ、ということです。こうしてアメリカ家計の資金繰りは一転、じわじわと厳しさを増していくことに・・・。これは新興国が米金利の上昇とともに債務返済に窮していく構図と基本的に同じです。そんな意味で、アメリカは国内に「新興国」・・・にも似た「フラジャイル」(支払い能力が脆弱)なローン層を大量に抱えているといえるでしょう(?)。

(続く)

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【新興国通貨、対ドルで安値記録を更新中!】国内の「新興国」に悩まされそうなアメリカ①

2018-05-21 00:02:46 | アメリカ

 対岸の火事、かと思いきや、実は足元からも火が・・・なんて展開に、この先なっていくような気が・・・

 新興国の通貨が対ドルで安値記録を続々更新中です。トルコリラは16日時点で1ドル約4.5リラと過去最安値付近になっています。同国のエルドアン大統領が来月の大統領選に勝利したら金融政策への関与を強める意向を明らかにしていることもリラの軟調に拍車をかけている模様です。南米のアルゼンチンは今月4日、政策金利を何と!年40%にすると発表しました。先月下旬から利上げをしてきたものの同国通貨ペソが下げ止まらないためにさらなる利上げに追い込まれたもの。合わせてIMFに対して300億ドルの信用枠設定を要請しています。これら緊急の策で同国はペソのこれ以上の下落を食い止められるのか・・・

 トルコとアルゼンチンに加え、ブラジル、インドネシア、メキシコ・・・などなど、程度の差こそあるものの、いずれの新興国の通貨も対ドルで大きく値を下げています。その最大の要因は、アメリカ・・・の金利の上昇です。こちらの記事等で書いているように、同国のFRBはすでに政策金利の引き上げを再開しており、今年も数回程度の利上げを予定しています(?)。これに加え、ドナルド・トランプ政権の大減税政策にともなう財政規律の悪化見通し、さらには日銀の金融政策が規模縮小に向かうのではないかといった観測などから、今年に入って長期金利の上げ足が速まっているのはご存知のとおりです。18日時点の値は3.06%と、マーケットはもう「3%」を天井と意識しなくなったみたいです・・・

 こんなふうにアメリカの金利が上がれば、新興国通貨が米ドルに対して弱くなるのはもっともです。投資家のマネーは、インフレ等のリスクが高い新興国通貨でなくてもドルで利回りを取れるようになるから。これを本ブログでたびたびご紹介している通貨の強さを表す不等式(実質利回りの大きい順)「ドル>新興国通貨」で表現すると、両者の「差」がここのところ拡大しているということになります。

 まあ上記のトルコ、アルゼンチンといった国々は苦しいところですね。たしかに以前(アジア通貨危機等の頃)に比べると多くの新興国が外準を厚くしていて、投機筋の通貨売りに対する耐性は強くなっているみたいです(?)。が、どこも自国の一次産品の価格値上がりを当て込んでドル建ての債務を膨らませている点では似通っていて、そのあたりどこまで大丈夫なのか心もとないように感じられます。今後これらのなかから、追加利上げしても通貨下落がおさまらず、巨額の外貨売り介入に追い込まれて「虎の子」を喪失してデフォルトへ・・・なんて破局に陥る国が出てくる恐れもゼロではないでしょう・・・

(続く)

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【米の経常収支にプラス貢献する所得収支黒字】アメリカ様の一方的な評価に見える鋭い分析⑤

2018-04-23 00:00:23 | アメリカ

前回からの続き)

 ところで、本稿で綴っている米財務省の為替報告書は、日本などの貿易相手国の他にアメリカ自身の国際収支等についても解説しています。そこで個人的に注目したのが同国の所得収支黒字と原油を除いた貿易収支の状況です。

 前者の所得収支ですが、アメリカはここ数年以上にわたって黒字をキープしています。同報告書によると同黒字額は毎年、同国GDPの1%近くに及び、逆に45%に達する貿易赤字をかなり埋め、トータルの経常赤字を同2.5%前後に留めることに貢献しています。このことから分かるとおり、アメリカは日本と同様、外国での投資で相当に稼いでいるといえます。実際、アップルやGMといった米大手企業は世界各地(とくに中国?)に展開したりおカネを貸し付けているわけですからね・・・

 もっとも、だからこそ米本土での働き口が減っているとして、現ドナルド・トランプ政権はこれらにアメリカに戻ってくるよう促しているみたいですが、うまくいくのかどうか・・・。こうして米企業は国外で得た利益の多くをアメリカ(の、おもに投資家?)にもたらしているわけですから。このあたり上手にやらないと、せっかくの上記構造が崩れ、アメリカの国際収支がいっそう悪化する事態にもなりかねないと思いますが・・・

 もうひとつの注目が、アメリカの原油貿易の赤字が大きく減っていること。同赤字額は2017年の下半期でGDPの0.2%と、ここ数十年で最低レベルに減っていることです。これはいうまでもなく同国内のシェールオイル&ガスの大量生産および2014年以降の原油価格下落によるもの。いっぽうで原油を除いたモノの貿易赤字額(non-oil goods deficit)の対GDP比率はじりじりと上昇し、昨年第4四半期時点で同4%と歴史的な高水準になっているとのこと。これはこの間の旺盛な国内需要で輸入が喚起されたのに対し、貿易相手国のほうはここ数年、アメリカほど景況がよくなかったので輸出が弱かったこと、さらに2014年から2017年にかけてドルが高かったことが影響したため、としています。

 おそらくこのアメリカの上記需要≒個人消費は今年以降、弱くなっていくでしょう(?)。これを支えた資産バブルが縮小(というか崩壊?)過程に入ったからです。これと並行してじわじわと上がっている金利も車や住宅などのマーケットに冷や水を浴びせるはずです。そしてこれらを嫌気したマネーがアメリカから抜けることでドル安になるいっぽう、すでにメイドインUSAの多くは輸出競争力を失っているために貿易赤字はさらに拡大し、これでドル安&金利高が止まらなくなって・・・なんて負のスパイラルにアメリカが堕ちていくおそれが・・・かなり高いような・・・(?)

(続く)

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