つくづく、本稿タイトルのとおりだ・・・と嘆くほかありません・・・
ご存知のとおり、わが国を代表する総合電機メーカーの東芝が経営危機に瀕しています。その最大の元凶はアメリカの原発事業で発生した7千億円を超える巨大損失。これにより同社は今年度末時点で1500億円を超える債務超過に陥ると見込まれ、このままだと8月には東証2部へ降格となるほか、ガバナンスに問題があったとされたら最悪、上場廃止となるおそれもあるようです・・・
で、東芝をそんな存亡のふちに追いやったのは、同社傘下のウェスティングハウス・エレクトリック社(WH)。そのWHを東芝は2006年、54億ドルもの巨費を投じて買収したたわけですが・・・上記のようにWHが手掛けた米ジョージア州原発事業等で多額の損失が発生しているほか、2011年の東日本大震災にともなう原発事故の影響により当初の目論見のとおり原発事業の受注ができなくなったこと、さらに2015年にWHが0ドルで買収した米エンジニアリング会社がとんでもない債務超過だったことが分かって減損処理をせざるを得なくなったこと、などなどのネガティブな状況が重なり、今回の悲劇的な局面に至ったもの・・・
たしかに日本の原発事故は想定外だったことでしょう。それはよく分かります。でも、それを差し引いても東芝のWH買収は、以下の2つのリスクに対する認識を著しく欠いた、あまりに無謀なものだったといわざるを得ません、いまさらながら・・・
1つ目のリスクとは、当たり前ですが原発が本質的に抱える事業リスクのこと。誰でも知っていることですが、万が一の大事故のとき原発は、一企業では制御不能な破局を引き起こしかねません。まあ東芝&WH案件にこれに該当する事故は起きないとしても、原発事業にはそうした重大事象を招かないためにも初期投資に莫大なおカネをかける必要があること、そのコスト回収に数十年もの長い期間を要すること、などなどの危険因子が付きまといます。これらに対処するよう、上手なリスクマネジメントを行って利益を上げるのはそう簡単なことではないでしょう。
そして2つ目のリスクは、海外リスク。リスクの塊といえる原発事業を、法律も安全基準も建築基準も、日本とは何もかも異なる外国で行うことの危うさのことです。東芝の場合はアメリカでのケース、ということで、建設とか工事監理の品質劣化が著しいとされる米インフラ事業を、自分たちが直接マネジメントしながら進めるのではなくWHに委ねてしまったのは大きな失態だったでしょう。さらに今後は関連の訴訟リスクもおそろしいところ。実際に同社は、上記エンジニアリング企業がらみの訴訟沙汰にも巻き込まれている模様ですが・・・