世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【米IT企業、反トラスト法抵触認定阻止にロビー活動を活発化?】「独占」に蝕まれる消費者利益④

2020-08-29 00:33:11 | アメリカ
前回からの続き)

 本稿で論じているとおり、俗に「GAFA(M)」と呼ばれる、アルファベット(グーグルの親会社)、アップルフェイスブックアマゾンマイクロソフトの米IT5社は、その株式の時価総額の合計額で日本の上場企業全体を上回り、そして前述のように、(アマゾンを除く)4社が米企業(米に本社所在、米市場に上場)の当期純利益のランキングでトップ11に入っています。つまりそれだけその株主は巨額の利益を享受していることになるわけで、それは各社の財やサービスのクオリティーの高さ・・・とかよりも、圧倒的な市場支配(独占・寡占)からもたらされている、といえるでしょう・・・

 となってくると、各社には「反トラスト法」(アメリカの独占禁止法)抵触の疑いがかけられる可能性が高まってきます。上記した各社の市場シェアの実態そして利益の大きさなどから無理もないことでしょう。なので、何らかの対応をしないと、やがて誰かが各社を同法違反だと訴え、裁判等の結果、巨額の制裁金を科される羽目になったりしかねません・・・

 ・・・という風に考えたためかどうか、ここのところ米ハイテク業界の政界へのマネー攻勢が活発になっているようです。日経新聞が22日に報じたところによると、アップル、アルファベット、アマゾン、そしてフェイスブックの今年1~6月期のロビー活動費は前年同月比3%増の2696万ドルだったとのこと。各社ともロビイストを雇って議員や政府の役人に自社に有利な政策の立案を働きかけているもようです。4社の経営責任者は7月に米下院が開いた公聴会に呼ばれ、儲けすぎの実態等について追及を受けていますから、反トラスト法抵触認定→巨額制裁金等の支払い、となるリスクを感じているものと思われます。なので、各社とも、同認定阻止・既得独占権益死守に向け、この手のロビーイングをますます強化していくことでしょう(?)。

 なお上記報道では、米IT企業のなかではアルファベット、アマゾン、アップルの3社の政治資金の提供額が目立っているとも伝えています。このあたり各社ともに今年の大統領選を意識しつつ、アマゾンは民主党向けの提供が8割強、アルファベットが同9割に達しているそうで、2015~16年頃よりも民主党シフトが進んでいるとのこと。これに関連しているのかどうかは不明ですが、民主党大統領候補のジョー・バイデン前副大統領の陣営の支援組織に加わるIT企業出身者・関係者が増えているとともに、参加者にはその事実を公表しないように求めているとのことです。

 上記からすると、今秋の米大統領選でバイデン氏が勝てば、GAFA(M)の利益基盤(独占・寡占)は安泰なのかも・・・というより、もしかしたら、各社は得意とするAI分析か何かでバイデン氏勝利を高い確率で読み切っているため、いまからこうして民主党に大きく偏った資金協力をしている・・・のかもしれません(?)。そしてその予想の通りになれば、民主党新政権はもちろん上記IT企業の独占・寡占利益を守る方向に動くでしょう・・・(?)

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【米IT企業の利益トップ10入りの陰で犠牲となる消費者利益】「独占」に蝕まれる消費者利益③

2020-08-27 00:08:24 | アメリカ
前回からの続き)

 アメリカ独占(あるいは寡占)を形成している「GAFA(M)」(Google、Amazon、Facebook、Apple、[Microsoft])と称されるIT企業が、それによっていかに多くの利益(株主利益)を得ているか、といったあたりは、たとえば以下の、米企業(米に本社所在、米市場に上場)の当期純利益ランキング(2019年、単位100万ドル)でも窺えます(Fortune 500 list of companiesより)。
 1位:59531 アップル
 2位:32474 JPモルガン・チェース
 3位:30736 アルファベット(グーグルの親会社)
 4位:28147 バンク・オブ・アメリカ
 5位:22393 ウェルズ・ファーゴ
 6位:22112 フェイスブック
 7位:21053 インテル
 8位:20840 エクソン・モービル
 9位:19370 AT&T
 10位:18045 シティグループ
 11位:16571 マイクロソフト
といった具合で、GAFA(M)のうちアップル(堂々1位)、アルファベット、フェイスブック、マイクロソフトが上位11位にランクインしています。ちなみにアマゾンは、売上高こそ全米で5位ですが、上記利益は10073百万ドルにとどまっている・・・ものの、先日ご紹介の米EC(eコマース)市場でのシェア(39%)などから判断すると、同社は今後、利益のほうも増やして上記ベスト10に迫ってくるかもしれません・・・(?)

 なお上記で7位のインテルも米IT企業に位置づけられるかと思いますが、ご存じのように、この会社も半導体、とくにCPU(マイクロプロセッサ)では世界市場の約8割のシェアを保持しているので、GAFAと同様に独占(寡占)利益を享受しているといえるでしょう。

 それと、ちょっと本稿の文脈からは外れますが、上記で目につくのが米銀の利益の大きさです。3大銀行(JPM、バンカメ、シティ)とウェルズ・ファーゴの4行がベスト10に入っています。このあたり、住宅等ローンやクレカ事業といった米家計向けの事業が好調だったのが大きな要因のようです・・・が、これだけ利益(≒利ざや)が大きいと、かえって、やはり米金融システムは心配だよな~という気持ちになります。つまり各行の資産にはそれだけ潜在的な不良債権(支払い能力が弱い顧客へのローン等)が多くなっていると想像されるため、景気後退局面における貸し倒れ等の増加や、これにともなう各行の自己資本の毀損が、やがて金融不安そして・・・となりかねないリスクが連想されるわけですが・・・(?)

 まあともかく、GAFA(M)の純利益すなわち株主の利益は上記のとおり米トップクラスとなっていて、その利益構造が高い製品開発力とか技術力・・・等よりもむしろ圧倒的な市場支配(独占・寡占)に依っている、といったことが推察されます。もちろんそれから得られる株主利益は、市場メカニズム(競争原理)がちゃんと機能していたら得られるであろう消費者利益(より良い財やサービスをより安く得られることの利益)の犠牲の上に成り立っている、といえるでしょう・・・

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【スマホOSは2社の寡占、デスクトップOSは1社がほぼ独占…】「独占」に蝕まれる消費者利益②

2020-08-25 00:02:46 | 世界共通
前回からの続き)

 米株式市場において、時価総額2兆ドルを超えたアップルをはじめ、アマゾン、マイクロソフト、アルファベット(グーグルの親会社)、フェイスブックといったIT系企業(「GAFA」あるいは「GAFAM」[Google、Amazon、Facebook、Apple、(Microsoft)]))の株価がこのところ大きく上昇しているのは、これらの企業がそれぞれのマーケットで独占あるいは寡占を形成していることに投資家が安心感を見出した結果だと考えています。

 ご存じのように、いまはコロナ禍でどこの国の経済も厳しい局面にあり、その先行きは不透明で、企業の多くも想定外の売り上げや利益の急減にあえぎ、中には経営危機に陥っているところも少なくありません。そんな中でも、上記IT企業は、独占(あるいは寡占)的な利益を安定的に得られるため、たとえコロナ禍の最中にあっても、業績の大きな落ち込みとか経営が揺らぐような危機に直面することは、今後もないだろう、ということで、投資家のマネーがGAFA株にばかり流れ込んでいる、という次第なのでしょう・・・

 実際、各社は次のように市場を実質的に支配しているといえるでしょう。すなわち、スマホの基本ソフト(OS)ではアップルの「iOS」とグーグルの「アンドロイド」の2つが市場を二分していて、他が入り込むのは非常に難しそうです(今年6月時点でのアメリカでのiOSとAndroidのシェアは58%対42%、日本は62%対38%とのことです[Stat Counter])。デスクトップOSはマイクロソフトの「ウィンドウズ」が圧倒的で、その世界シェアはほぼ9割(88%、昨年9月[Net Applications])です。アメリカのEC(eコマース)市場におけるアマゾンのシェアは約39%で、2位のウォルマート(約5%)を大きく引き離しています(emarketer、今年2月)。このように各社には、市場シェアを独占(寡占)的に確保することで競争原理が働かないように―――(そのシェアを脅かす)他の新規競争相手が容易には参入できないように―――して、安心して(?)巨額の利益を享受している面があるわけです・・・

 一般的にGAFAは、その製品やサービスの先進性とかIT開発力などに企業としてさらなる成長が「期待」できるところが投資家に好感され、その結果、株価が上がってきた、と思われることが多いように思えます。まあそれもあるのでしょう・・・が、上記のとおり、その利益独占体質こそ投資家がGAFA株をセレクトする決め手なのでしょう、とくに新型コロナウイルス感染拡大以降は・・・

 その反面、GAFAのユーザーであるわたしたち消費者には、それらのサービス等に不当に高い金額を支払わされている可能性が考えられます。それはそうでしょう、いくら値上げされても、スマホOSは2つのうちの1つ、そしてPCのOSはほとんど1つを買うしかありませんからね・・・

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【米IT4社、時価総額で日本全体を超える…】「独占」に蝕まれる消費者利益①

2020-08-23 01:36:50 | アメリカ
 世界中の人々、とくに米国民は、不当に高い費用を払わされているという意識をもっと持ったほうがよろしいのではないかと・・・

 ご存じのように、アップルの株価がスゴいことになっています。19日には時価総額がアメリカの企業としてはじめて2兆ドルを超え、大きなニュースとなりました・・・が、個人的にもっと驚かされるのは、その株価の上昇スピードです。年初、アップルの株価は約300ドルでした。その後の米コロナ禍の拡大で、多くの株と同様、いったん大きく下がり、3月20日前後には220ドル台をつけていました・・・が、それからは、ほぼ一本調子に上がり、6月10日前後には350ドル台(時価総額1.5兆ドル)に乗り、それから2か月ほど経った19日に460ドル台(同2兆ドル)に達し、そして21日(先週末)の株価は497ドルと、前日比で5%あまり(約24ドル)も上がって、時価総額も2.13兆ドルにまで膨張!・・・といった感じで、同社の株価は年初来で65%、3月安値からはほぼ2倍に上昇しました・・・

 このあたり経済メディアは、コロナ禍で経済活動が低迷し、あらゆる企業の業績の下振れ等が懸念される中でも、アップルは在宅ワーク・在宅学習の拡大や、これから本格化する次世代通信規格「5G」の展開にともない、その製品やサービスの需要拡大が期待できるため、投資家のマネーが同社の株に集中した、みたいな解説をしています。ということで・・・アップルと同業の企業の株価も次のように大きく上昇しています。たとえばマイクロソフト:年初来33%、アマゾン:同73%、フェイスブック:同27%、などなど、です。いっぽうでダウ平均は年初来3%マイナス、S&P500は同4%プラス、ついでに日経平均は同3%マイナス(円換算)ですから、今年、これら米ハイテク業界の株価がいかに良好なパフォーマンスを演じているかが分かります(以上の上昇率は1/2と8/21での比較)。

 上記に関連し、先月21日のブルームバーグは、アップル、アマゾン、マイクロソフト、そしてアルファベット(グーグルの親会社)の米IT大手4社の時価総額が同20日に5.71兆ドルと、日本の上場企業の総合計額(約5.84兆ドル)を上回った、と伝えました(今月21日時点では約5.91兆ドルになっている)。たった4社の企業価値だけで本邦企業全体を凌駕する・・・って、どんだけスゴいんだ、これら4社・・・の株価は?とは、日本人ならば誰もがそう感じるところでしょう・・・

 さて、アップル・・・をはじめとする上記の米企業の株価がこれほどまでに短期間に急騰した理由ですが、上記メディアの解説だけでは十分とはいえない・・・というか、まったく不十分でしょう。まず指摘されるべきは、中銀の超緩和的な政策スタンスがもたらした異様なほどの低金利環境。このあたり本ブログで何度も述べているので詳細は省きますが、コロナ禍拡大以降の米FRB実質マイナス金利誘導が、リスク資産の筆頭である株投資を煽り立てているため、ということになります。けれどそれだけでは、上記のハイテク株ばかりにマネーが集中する説明にはなりません。ここはやはり、これら米IT企業の業態に本質的な要因があるとみるべきなのでしょう。それはすなわち、「独占」です

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【おまけ:アベノミクス日本は米ビッグマックのクーポンに投資せよ!?】ビッグマック指数から見える日米のトホホぶり⑦

2020-08-21 00:02:25 | 日本
前回からの続き)

 前回、今後ドル価値劣化が不可逆的に進む中、これがもたらすインフレから守ってくれる資産として「ビッグマック」・・・はさすがに無理なので、毎度ながらゴールド)、ビットコイン、そして(円預金≒日本国債を挙げておきました。

 ちなみにここで米国債は・・・NGです。先述からすれば当然、アメリカ人ですら買えません。「だろうね、でもドル建て資産で安全なのを何か欲しいな~」という向きには米ビッグマック・・・の、今後9年間有効の引換クーポンなんてどうでしょう!? その間のインフレヘッジはこれでOK!・・・というわけで、この際、「アベノミクス日本」で1兆ドル分くらいこれ買っときますか、「異次元」ついでに・・・って、いくら何でも買いすぎ? 大丈夫大丈夫、イザとなれば米FRB量的緩和でこれ高値で引き取ってくれますよ!?

 ・・・って、アメリカではそんな冗談がホントになるかもしれませんよ(?)。だってバーナンキさん(元FRB議長)が「ケチャップでもいい(から買え)!」と主張していたくらいだから・・・(投資等のご判断は自己責任でお願いします)

(「ビッグマック指数から見える日米のトホホぶり」おわり)

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【インフレヘッジに米国債ではなくビッグマックを買え!?】ビッグマック指数から見える日米のトホホぶり⑥

2020-08-19 00:01:37 | 日本
前回からの続き)

 以上、英国「エコノミスト」誌がHPで公表している「ビッグマック指数」について思うことを綴ってきました。そこから見えるのは、アメリカでは悪性インフレすなわち恒常的な実質金利のマイナス状態(0>名目金利-インフレ率)がもう何年も米国民を苦しめていると思われること、そして日本では、そんなインフレ通貨であるドルに対する「アベノミクス」以降の大幅な円安が国民経済を3割ほどもマイナス成長させるとともに、この間に大量に掴んでしまったドル資産がやがて巨額の為替損を発生させる(ために、債務超過に陥るアベノミクス系銀行の救済に血税が投入される&公的年金基金のかなりが消滅するために年金支給額がカットされる)であろうと懸念されること、といったあたりになります。ホント日米ともトホホ・・・だけどアメリカはともかく「アベノミクス日本」はもっとトホホでしょう。だってアメリカはどうしようもない(インフレを抑えることはもはやできない)けれど、アベノミクス日本は意図的・政策的にそうしているのだから・・・

 さて、このトホホ状態から逃れるためにはどうするべきか?ですが・・・本稿の文脈からすれば、あくまでも机上のロジックでは、アメリカそしてアベノミクス日本ともに、米ビッグマックを買え!ということになります。先述したように、ビッグマックはこの9年間に40%あまり値上がりしました。いっぽうで同期間、かりに米国債投資で年3%の利回りを得られたとしても、9年間のトータルでは対元本で約30%のリターンにとどまり、ビッグマックのインフレには遠く及びません。なので、ドルを「安全確実」に殖やすには米国債ではなくビッグマックに投資せよ!になるという理屈です・・・って、ビッグマックの価格は株みたいに暴落することはないでしょうからね。そしていまから9年後に、手元で大切に温めておいた(?)ビッグマックを売れば、いままでの9年間以上のリターンを得られる―――少なくともインフレ対策にはなる―――でしょう。なぜならアメリカのマイナス金利幅は今後、さらに拡大するしかないためです・・・

 ・・・って、上記が現実にはできないのは言うまでもないこと。よって、インフレが不可避の世の中では、ビッグマックに象徴されるモノとか、ローリスクでインフレヘッジになり得る対象にマネーを移しておくのが経済合理的な投資行動になります。その対象は具体的にはゴールド)でありビットコインであり・・・そして、しつこくて恐縮ですが、の預貯金(≒日本国債)になるでしょう。なかでもは、ビッグマック指数が示唆するように、現在、不当に安く評価されているぶん、ドルの価値劣化が不可逆的に進むなか、対ドルで最高のパフォーマンスを演じること―――その対ドル上昇率が金などより大きい局面(金のドル建て価格は上がっても円高が進行するために同円建て価格は逆に下がる局面)―――も想定できるでしょう。

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【1ドル65円くらいが妥当なドル円レートか?】ビッグマック指数から見える日米のトホホぶり⑤

2020-08-17 00:01:10 | 日本
8月13日からの続き)

 英「エコノミスト」誌がHPで掲載している「ビッグマック指数」における今年7月のアメリカでのビッグマックの価格は5.71ドルでした。いっぽう、わが国における8月3日時点のビッグマック価格は390円です(マクドナルドHP)。これが購買力平価で等価になるとした場合の為替レートを計算すると、390/5.71=68.3、つまり現在、日米の物価がおおむね均衡するのは、1ドル68円程度、ということになるわけです。これに対して先月から今月にかけてのレートは同105~107円あたりだから、購買力平価の観点からみて、いまのドルに対して、上記指数のとおり「-36.3」も割安になっています・・・

 本稿前回、上記のように書きましたが、ビッグマック指数がこのようにおおむね妥当と示唆する「1ドル68円」という現時点のドル円レートについては、個人的にも、けっこう実態に近い水準だな、と感じられるものです。前述のように、「アベノミクス」(≒円安誘導)が開始される前の同指数(2012年7月)はドルに対して円が「-5.5」と、ほぼ均衡していましたが、同月のレートは1ドル79円(月中平均)でした。で、もし、わが国がアベノミクスをしていなかったら、同レートは、こちらの記事で書いた、日米の経済成長力(≒実質金利)の違いがもたらすドル円の歴史的な推移を引き続き辿って、間違いなく、円高ドル安方向に進んでいたでしょう。その値を正確に算出することはできませんが、現在、8年前から15%あまり円高ドル安の同68円になっているのは、合理的にみて「あり得る」ラインだな、と考えるものです。

 なお、ビッグマックの本邦価格390円は税込です。マクドナルドは、お店でいただく場合(消費税率10%)もテイクアウト(同8%)も同金額にすることで、店頭での税込売価を変えることの煩雑さを回避するためにそうしたものと思われます。ということで、ビッグマックでの購買力平価をいっそう正確に算定するには、この消費税分を除く必要があります。ここで8%分を控除すると、その税抜価格は390/1.08≒361円になり、この場合の均衡レートは1ドル63円(≒361/5.71)となります。

 以上から、ビッグマック指数から類推されるドル円レートの現時点の妥当値は、68~63の中間あたりの「1ドル65円」くらい、ということになりそうです。では、かりにこのレートだったとした場合に、日本の経済力がどれくらいなのかを見てみると・・・

 ・・・「世界経済のネタ帳」によれば、2019年の本邦GDP(名目)は円換算で557.7兆円、ドル換算で5.154兆ドルでした(1ドル約108円)。このとき、1ドル65円だったとすると、ドル換算値は8.58兆ドルへ(当然ながら)66%も膨張することとともに、国民一人当たりのGDPは約6.8万ドルと、おそらくG7中トップクラスの水準、同ランキングでは少なくとも10位以内(2018年、10位デンマークは6.1万ドル)には入ってきそうです・・・っても、実際には26位(同年、約3.9万ドルとG7中かろうじてブービー、イタリア27位、韓国28位が接近中!)のトホホぶりなわけですが・・・

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間もなく「戦後」が終わる

2020-08-15 12:00:00 | 日本
 今日は75回目の終戦記念日

 わたしたちが「戦後」と呼ぶこの75年間は、アメリカと、その通貨ドルの時代だった、といってもいいでしょう。けれど、下述のとおり、その時代を演出してきたのは、間違いなく、わが国です。

 いま、その「戦後」が急速に終わりつつあります。ドル建てゴールド)価格のとめどもない上昇、そして米マイナス金利幅の拡大がそれを示唆しています。これらはアメリカが債務を持続不可能なくらいに膨張させたせいで生じているわけですが、(米産業の国際競争力の低下、原油価格の暴落、中国の対米従属等も理由としてあげられるものの、)その最大の理由は、日本が戦後、そうできるようにアメリカを支え続けてきたため。だからこそアメリカは安心・油断してしまったのでしょう、アベノミクス」(≒円安誘導)にはジャパンマネーを対米ファイナンスから遠ざける(米金利を押し上げる)真の意図があることに気が付けないくらいに・・・

 これから「国際社会」は平和になっていくと予想しています。上記のために、アメリカが戦後、強みとしてきた「軍事力」をもはや支えきれなくなるからです。よって近いうち、世界各地の米軍の多くは自国に帰っていくでしょう。そうなることで戦争やら紛争の多くは自然に消滅するはずです。その間隙を縫って中国が台頭?・・・って、ありえません。中国は、アメリカとドルが強いという前提に基づく国です。その前提が弱体化するのに、かの国が平気でいられるはずがない、ということです。

 反面、アメリカや中国などの「国内社会」では、今後、激しいインフレとともに、治安の悪化や秩序の崩壊が進むでしょう。それはやがて、一握りのスーパーリッチと大多数の一般市民、という図式での内乱等に発展しかねないのではないでしょうか。悲しいことに中国はもちろんアメリカでも、選挙で社会を変える、なんてことはできませんからね・・・

 こうして、「戦後」という時代をリードしてきたアメリカは、他国の軍事的なチャレンジ等・・・ではなく国内の大混乱によって、まもなくその主役の座から降りることになります。そして・・・多少の紆余曲折を経たのち、(真偽はともかく)以下の「アインシュタインの予言」がきっと実現することになるでしょう(以下Wikipediaより部分引用)―――

 ―――世界の未来は進むだけ進み、その間幾度か戦いは繰り返されて、最後には戦いに疲れる時がくる。人類はまことの平和を求めて、世界的な盟主を挙げねばならない。この世界の盟主なるものは、武力や金力ではなく、凡ゆる国の歴史を抜き越えた、最も古くまた尊い家柄ではなくてはならぬ。世界の文化はアジアに始まって、アジアに帰る。それはアジアの高峰、日本に立ち戻らねばならない。吾々は神に感謝する、吾々に日本という尊い国を、作って置いてくれたことを。

(「間もなく『戦後』が終わる」おわり)

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【ビッグマック600円って高すぎ!は対円でドルが高すぎ!の意】ビッグマック指数から見える日米のトホホぶり④

2020-08-13 00:03:58 | 日本
前回からの続き)

 前回まで、「ビッグマック指数」について思うことの2つのうち、ビッグマックの価格上昇率(この9年間の平均で年4%程度)に象徴されるアメリカのインフレが米国民にとってどれほどシビアなものか、について綴ってきました。この場合のインフレとは、正確にいえば実質金利(=名目金利-インフレ率)がマイナスの状態を意味しますが、先日も指摘したように、いまアメリカではこのマイナス幅が一段と拡大しているわけです。なので、近いうち、ビッグマックの価格・・・とマクドナルドの株価はさらに上昇する(?)いっぽうで、さらに多くの人々がビッグマック・・・どころかハンバーガーさえ買えなくなり、空腹とインフレに耐えかねてワラワラと街に繰り出し、やがて・・・みたいなことになるのではなかろうか、などと懸念するものです・・・

 で、思うことの2つ目は、本来のビッグマック指数、つまり購買力平価から見て、日本のがいかに米ドルに対して安くなっているか、ということになります。本稿1回目でご紹介のように、米ビッグマックの今年7月の価格は5.71ドル。これを同月末のレートである1ドル約106円で円換算すると、605円・・・って、ビッグマックが1個「600円!?高すぎでしょ、いくらなんでも・・・」と、本稿冒頭に書いたとおりになるはずです、わたしたちの金銭感覚からすれば・・・

 アメリカのビッグマックがこのように高いと感じられるのは、べつな言い方をすればドルに対して不当に(?)高い―――円がドルに対して不当に安い―――と感じられるのと同じことです。ではどうしてそうなっているのか?は、本ブログでシツコク書き続けているように、2013年以降7年間以上も続けられている「アベノミクス」(≒日銀「異次元緩和」≒円安誘導)のため。そのあたりは英「エコノミスト」誌のHPに掲載されている同指数のデータでも次のように確認できるところです。すなわち、2012年7月のアベノミクス前の円はドルに対して「-5.5」(ドルに対して円が5.5%ほど過小評価)だったのが、今年7月は「-36.3」と、この8年間で円の対ドル評価は30%以上も下がってしまいました。何度も言いますがこれ、不可抗力ではなく、アベノミクスの政策的かつ意図的な円安誘導の結果です・・・

 ちなみに、ビッグマックにおいて現時点の日米の購買力平価が等しくなるのは、上記の5.71ドルが日本のビッグマックの円建て価格と等しい場合になります。では、その値段は?というと・・・390円(マクドナルドHP[今月3日時点]、税込)。これと5.71ドルが等しくなるレートは・・・1ドル68.3円(≒390/5.71)。これに対して現在は上記のとおり同106円くらいですから、上記HPのデータのとおり、円はドルに対して36%(≒1-68.3/106)ほども安い水準に(意図的に)抑えられている、という次第・・・
(上記は煩雑になるので店頭価格[税込]で計算しています。税抜で計算したら、上記の過小評価幅はもっと大きくなるでしょう。)

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【来年もビッグマックを食べるため株投資に駆り立てられる?米国民…】ビッグマック指数から見える日米のトホホぶり③

2020-08-11 00:01:59 | アメリカ
前回からの続き)



 前述、そして上記グラフで分かるように、アメリカでは、マクドナルドの「ビッグマック」の価格が、ここ9年ほどの期間、年率で4%ほども値上がりを続けるいっぽう、(名目)金利は、それよりもずっと低いレベルで推移してきました。ということは、次の年もビッグマックくらいは食べたい―――ビッグマックと同様に4%程度の値上げが予想されるモノやサービスを来年も買えるようにしたい―――と願う人々が手元のマネーを運用しようとする場合、アメリカでは、せいぜい2~3%のリターンにとどまる預貯金(≒米国債)は上記の価格上昇率(インフレ)に勝てないために当然、NGとなります。なので、ここで預貯金を選択した人は「じり貧」に陥る、つまり翌年はビッグマック購入を断念し、「ハンバーガー」に甘んじざるを得ないでしょう、「キャッシュで持っていたより金利が付いた分だけ目減り額が少なかったから、まあ良しとしよう」などとつぶやきながら・・・って、トホホすぎ・・・

 他方、それがイヤなら(って、ふつうはイヤですが)、「安全確実」な・・・って、もとい!上記のようにぜんぜん安全でも確実でもない預貯金ではなく、このインフレ率を上回るリターンが期待できる株に投資しよう、ということになります。このように考えてみると、アメリカ人は株好き、などと日本では思われがちですが、じつは、かの国で盛んな株投資はこのように合理的・・・というか、自分の資産を殖やす(少なくともインフレで目減りしないようにする)ためには、元本割れリスクを承知のうえで、株式(とか投資信託といったリスク資産)をチョイスする以外にない、という切実な事情に基づいている、ということになりそうです・・・

 ちなみに、「資金循環の日米欧比較」(日銀、2019年8月)によると、米家計の金融資産の合計額に占める「現金・預金」の割合は12.9%なのに対して、「株式等」と「投資信託」の合計は46.3%になっています。いっぽうのわが国は「現金・預金」53.3%、「株式等」と「投資信託」の合計は13.9%と、アメリカとは両者の割合がほぼ逆となっています。繰り返しますがこれ、日米ともに合理的な投資判断の結果といえます。アメリカは上記のとおりであり、日本の場合は、本ブログで何度も論じているように、預貯金(≒日本国債)こそが真に「安全確実」、すなわちインフレ率を上回るリターン(実質金利)をもたらしてくれるから、になります。

 で、ビッグマックがトータルで40%値上がりした上記9年間のアメリカの株価の推移はどうだったか、といえば・・・ダウ平均は2011年1月の12092ドルから2020年7月には26428ドルに、S&P500は1311から3271へと、それぞれ219%、250%の上昇率となります。ついでにマクドナルド(McDonald’s Corp.)の株価は同73ドルから194ドルへと2.6倍に膨らみました(以上、データはYahoo! Financeのそれぞれの月末にもっとも近い日の終値)。ということで株の圧倒的勝利でしたね、ビッグマックのインフレ率に対して。これじゃあアメリカでは猫も杓子も株だ!となるのはもっともです・・・

 ・・・っても、アメリカの株投資参加人口の割合は現時点で約55%にとどまります(Gallup「Percentage of Americans that Owns Stock」今年3~4月)。よって残り・・・っても推定で全人口中45%もの人々(≒株式投資におカネを回せるほど生活にゆとりのない人々)は上記の恩恵は当然、得られず、「じり貧」必至です。それに、株投資をしているからといって、多くの家計では、衣食住が十分に満たせるほどの配当やら売却益を必ずしもゲットできているわけではないでしょう、銘柄によっては大きく下がったものもあるでしょうし。であれば、実質金利のマイナスを放置して株投資に国民の55%を駆り立てる、という上記アメリカの政策スタイルは、けっして健全なものとはいえない感じです・・・

 なお、いうまでもありませんが、この間、金利が上記の有様だから、米国債を買うメリットは(米国民にも?)ありません。そこで最後の買い手」として「量的緩和」と称してこれを買い支えてきたのが米FRBになります。さもないと(市場原理に委ねていては)その価格が暴落し、金利が急騰して・・・肝心の株式市場が崩壊してしまいますからね・・・

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