(前回からの続き)
本稿で論じているとおり、俗に「GAFA(M)」と呼ばれる、アルファベット(グーグルの親会社)、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトの米IT5社は、その株式の時価総額の合計額で日本の上場企業全体を上回り、そして前述のように、(アマゾンを除く)4社が米企業(米に本社所在、米市場に上場)の当期純利益のランキングでトップ11に入っています。つまりそれだけその株主は巨額の利益を享受していることになるわけで、それは各社の財やサービスのクオリティーの高さ・・・とかよりも、圧倒的な市場支配(独占・寡占)からもたらされている、といえるでしょう・・・
となってくると、各社には「反トラスト法」(アメリカの独占禁止法)抵触の疑いがかけられる可能性が高まってきます。上記した各社の市場シェアの実態そして利益の大きさなどから無理もないことでしょう。なので、何らかの対応をしないと、やがて誰かが各社を同法違反だと訴え、裁判等の結果、巨額の制裁金を科される羽目になったりしかねません・・・
・・・という風に考えたためかどうか、ここのところ米ハイテク業界の政界へのマネー攻勢が活発になっているようです。日経新聞が22日に報じたところによると、アップル、アルファベット、アマゾン、そしてフェイスブックの今年1~6月期のロビー活動費は前年同月比3%増の2696万ドルだったとのこと。各社ともロビイストを雇って議員や政府の役人に自社に有利な政策の立案を働きかけているもようです。4社の経営責任者は7月に米下院が開いた公聴会に呼ばれ、儲けすぎの実態等について追及を受けていますから、反トラスト法抵触認定→巨額制裁金等の支払い、となるリスクを感じているものと思われます。なので、各社とも、同認定阻止・既得独占権益死守に向け、この手のロビーイングをますます強化していくことでしょう(?)。
なお上記報道では、米IT企業のなかではアルファベット、アマゾン、アップルの3社の政治資金の提供額が目立っているとも伝えています。このあたり各社ともに今年の大統領選を意識しつつ、アマゾンは民主党向けの提供が8割強、アルファベットが同9割に達しているそうで、2015~16年頃よりも民主党シフトが進んでいるとのこと。これに関連しているのかどうかは不明ですが、民主党大統領候補のジョー・バイデン前副大統領の陣営の支援組織に加わるIT企業出身者・関係者が増えているとともに、参加者にはその事実を公表しないように求めているとのことです。
上記からすると、今秋の米大統領選でバイデン氏が勝てば、GAFA(M)の利益基盤(独占・寡占)は安泰なのかも・・・というより、もしかしたら、各社は得意とするAI分析か何かでバイデン氏勝利を高い確率で読み切っているため、いまからこうして民主党に大きく偏った資金協力をしている・・・のかもしれません(?)。そしてその予想の通りになれば、民主党新政権はもちろん上記IT企業の独占・寡占利益を守る方向に動くでしょう・・・(?)