世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【イタリア、ユーロ圏の足並みを乱してでも安いロシア産ガスを買いたいところ…】イタリアに見る対インフレ無策ぶり④

2022-07-29 00:02:30 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 EUは26日のエネルギー相会合で、ロシアからの天然ガス供給が途絶する事態に備えて8月から来年3月までガス使用量を自主的に15%削減する案を承認しました。これ当然、ウクライナに軍事侵攻したロシアへの対抗措置になるわけです。報道によるとドイツの閣僚はこの合意について、欧州の結束をロシアに示すものだとし「われわれを分裂させることはできない」と語ったとの由です。

 しかし・・・結論からいえばこの削減策、実際には上記とは逆に、対ロ姿勢について欧州各国を分裂させる方向に作用しそうに見えます・・・って、みんなこれを順守できるほどの余裕なんてないだろうから、です。現に、そのあたりが容易に想定できるために?削減目標の免除とか緩和の条項が盛り込まれているし、ガスを大量に使う産業の同使用量は計算上除外が可能、などなどとなっています。となると、マジメに節約に取り組んだ国や企業等のほうがかえってソンをしかねません。であれば・・・欧州において目下(ロシア以上の?)最大の脅威であるインフレを少しでも緩和するため、そして同じ域内のライバル国に対して優位に立つためにも、このへんのグレーゾーンで引き続き低価格のエネルギーを買うほうがトク・・・ってロシアから、などと考えて動くほうが理にかなっている、というものです(?)。

 そこは、ユーロ圏では、やはりイタリアにそのインセンティブが強いといえるでしょう。同国のロシア産エネルギーに対する依存度は相対的に高い(たとえば輸入天然ガスの約4割がロシア産となっている)ため、そんな急にこれを削減しましょう、ロシア以外からの輸入品に切り替えましょう、などと言われても・・・(必要量を輸入できる保証はないし十分なガス貯蔵施設等もないし作る資金もないし)ってことです。

 そのあたりIMFの検証によると、万一ロシア産ガスの供給が遮断された場合、EU全体のGDPは2%あまりの減少が予想されるのに対し、イタリアのそれは3~6%近くも減少してしまうそうな。となるとイタリアとしては正直、ロシアにガスを止められるとオシマイ(他の選択肢なし)になりかねないので、(ロシアを過剰に刺激しかねない)上記削減策はほどほどにして?かの国とは引き続きエネルギーの取引をしたいところでしょう。

 先日のこちらの記事で、対ロシア経済制裁に関するEUの取り組みにイタリアのマリオ・ドラギ首相(退陣表明済み)がリラクタントな態度をとったことを紹介しましたが、それについて、対ロシアでのユーロ圏の結束を乱すもの・・・と批判するのは簡単ではあるものの、他方でイタリア国民の苦しみ―――インフレ―――がちょっとでも和らぐのなら、という切なる思いから、と推測すれば・・・まあ分かる、といったところです。前述のように、もはやイタリア&欧州中央銀行には(通貨金融政策で)インフレを鎮静化することができない以上、せめて輸入エネルギーくらい安いものを買わせてほしい、ということで・・・

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【ECBはインフレ抑止ではなく伊金利上昇抑止に走るだろう】イタリアに見る対インフレ無策ぶり③

2022-07-27 21:51:29 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 前述のように、EU圏ではインフレが高進するなかで欧州中央銀行ECB)は先般、利上げを決定したわけですが、それとほぼ同時に、EU加盟国債のうち、イタリアを筆頭とする重債務国の国債のほうをより多く購入することも決めました。これ、ECBがそれなりに?守ってきた「キャピタル・キー」のルールから逸脱する、相当にリスキーな決定とみるべきでしょう。つまり・・・上記諸国の国債を市場価格よりも高く買い支えてしまうことで、各国の財政放漫化を助長してしまう、ということ。これで金利が下がった彼ら彼女らは、財政再建なんてそっちのけ、安心して国債を振り出してはECBに売りつけ、それで得たユーロで公務員給与を引き上げたりする、みたいなことやりまくる・・・?

 で、そのあたりイタリアですが、前述のように、その長期金利は現在(日本時間27日21:00頃)も3.4%前後と、引き続き(本来はユーロ圏最弱のはずの)ギリシャ(同3.0%前後)よりも高い水準にある・・・どころか、25日よりも両者間の金利差は(少しではあるものの)拡大しているような有様です。これ、ECBに対して市場がイタリア国債をもっと買え!とせかしていることの表れでしょう。こうしてプレッシャーをかければ(イタリアがこんな高金利で保つわけがないことを知っている)ECBは容易に屈してイタリア国債をもっと買う・・・って、ギリシャの利回りよりも低い利回りになるくらいの高値になるまで買う・・・に違いない、ということで。となれば現在の低価格でイタリア国債をしこたま買った投資家は大儲けができそうですね・・・???

 とまあ、イタリアをネタに、マーケットでは様々な思惑がうごめいている様子が窺えるのですが・・・何の話をしていたか、といえばインフレです・・・が、このあたりからもEU圏でインフレを抑え込むことが至難の業であることが分かりますね。つまり、インフレに対抗するには利上げを進めていかないといけないのに、ECBも市場参加者も、みんなこうしてインフレ・・・じゃなくて金利の上昇のほうを抑えよう抑えようとしている・・・というより、イタリア等の債務を持続可能にする(イタリア等の債権者が借金を返してもらえるようにする)には、そうするしかないわけですから。かくしてユーロ圏もまた(アメリカと同じく)、実質金利(=名目金利-インフレ率)がマイナス圏に深く沈んだ状態から浮上することができなくなる―――インフレ高進が止まらなくなる(って、せいぜい物価高止まりが継続)―――という次第でしょう・・・

 となれば、このほど辞任を表明したマリオ・ドラギ首相も含め、リーダーが誰になっても、どの政党が第一党になっても、イタリアがインフレの脅威から逃れることはほぼ不可能でしょう。せいぜい同国にできることは・・・こちらの記事に書いたように、経済制裁やぶりの疑い濃厚を承知で相対的に安価なエネルギーを調達する・・・ってロシアから、ってことくらいしかないような気が・・・

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【イタリアの長期金利、ギリシャを上回る異常な局面に…】イタリアに見る対インフレ無策ぶり②

2022-07-25 22:34:15 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 6月のインフレ率が前年同月比で8.5%もの高水準となったイタリア。であれば、この鎮静化に向けて同国の中央銀行が金融引き締め(利上げ等)を、となるのが普通の国の方向性ですが、そう簡単にはいかないのがイタリアを含むEU加盟国のやっかいなところです。なぜならEUは「通貨金融統合(中銀が欧州中央銀行[ECB]で一本化)・財政不統合(財政は各国任せ)」だから、ECBが動くと、金融緩和/同引き締めの違いに関わらず、それが行き過ぎになる国と足りなさ過ぎになる国がどうしても出てきてしまうため、結果として多くの国にとっては自分にとって適当な金利水準を得られない―――一方では金利が低すぎ(インフレ傾向)で他方にとっては金利が高すぎ(デフレ傾向)となる―――ためです。

 そこは、こちらの記事等でご紹介の、EU各国の国債価格を高い順に(金利の低い順に)並べた不等式「独>蘭>仏>西>伊>・・・>ギリシャ」が示すとおりです。常識的に見て、こんな(財政状態、すなわち経済力が)バラバラなところで一つの中央銀行が物価や金利を上手にコントロールできるワケがないし、やはりできていないわけです・・・

 ご存じのように、ECBは先日、約11年ぶり(!)に0.5%の利上げを決定しました(具体的には預金ファシリティ金利をマイナス0.5%からゼロ%にして、2014年から続けてきたマイナス金利を終了させる、といったもの)。そのあたり、イタリアを含めたEU全体の高インフレに対処するには当然の動きに思えます・・・が、そうなると今度は、利上げにともなう金利の上昇(国債価格の下落)の負の影響が、上記不等式で下位にある国々に、同上位の国よりも大きく及んでしまうことになります。つまり、財政資金調達コストが、自分の経済力では賄いきれないくらいに高くなり過ぎてしまうということ・・・って、ここでいちばん注意するべきは、やはりイタリアでしょう。同国の経済規模はEUで3番目と大きいうえ、財政赤字水準もデカいですからね・・・

 そのあたりは金融市場でも強く意識されているようで、イタリアの(長期)金利は直近で乱高下しています。6月(つまりECBの利上げ前)には一時4%を超え、何と(!?)あの?ギリシャの長期金利をも上回る(国債価格で、ギリシャ>イタリア)という、上記不等式の序列が逆転するという異常な局面が出現しました。ここはマーケットがイタリアをターゲットにECBを試す動きだったといえるでしょう・・・って、イタリアを支える気があるのかどうか、ということで。結局ECBはこれに負け(?)、その直後の理事会で、満期となった「パンデミック緊急購入プログラム」の再投資時に南欧諸国の国債を重点的に買い入れること等を決めました・・・って、ぶっちゃけイタリア救済にもっともフォーカスしているのでしょうECBは。

 といった経緯もあって(?)、イタリアの長期金利は、ECB利上げ発表後はむしろ下がって、現時点(日本時間25日22:00)で3.4%前後です・・・って、あれ?ギリシャ(同3.1%前後)よりも依然として高い?ということは市場は、ECBの購入策は生ぬるい、もっとイタリア国債を買え!とせかしている?まあそうでしょうね、こんな高金利でイタリアが耐えていけるはずはないのですから・・・

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【ドラギ首相辞任で伊政局は混迷へ…】イタリアに見る対インフレ無策ぶり①

2022-07-23 22:06:51 | ヨーロッパ
 はあ~・・・日本はもちろんですがホント、いまはどこもショ~モナイことになっていますね・・・

 で、その元凶は万国共通、インフレなんですよ。そしてそれは需要の増加・・・でもコロナ禍・・・でもウクライナ危機・・・でもなく、ず~っと前から予告のうえ繰り返し指摘してきたように、おカネの刷り過ぎ・・・と、これに頼る以外にないほど債務を膨張させたために起こっているんですよ。じゃあそのインフレを抑えましょう・・・って?とうの昔に不可能になっているんですよ。そんなことしたら今度は「デフレ・スパイラル」が発生して経済・金融恐慌は免れないのだから。かくして世界はインフレを制御できず、そしてこれが人々の経済生活を蝕んでいき、やがて政情不安さらに・・・となっていくしかなく・・・

 そんなあたりがはっきり感じられるのが、直近では欧州はEU・・・のなかでもイタリアでしょう。これまた何度も論じてきたとおり、EUもインフレに苦しみ・・・というか、通貨金融統合・財政不統合というゆがんだ構造のもとではどうしてもインフレにならざるを得ないために、相対的に経済力の弱い(公的債務等の多い)国々から危機に陥りがち・・・で、その代表がイタリア、というわけです・・・

 で、ご存じのように21日、かの国ではマリオ・ドラギ首相が辞任に追い込まれました。もっともイタリアでは9月25日に総選挙が行われるので、それまでドラギ氏は暫定首相に留まることになっていますが、実質的にはレームダックでしょう。

 ここで個人的に注目したのが、ドラギ氏が前ECB欧州中央銀行)総裁を務めた方であるという点です。中銀トップのキャリア・・・ということは同氏は、イタリアの他の政治家とは比較にならないくらいにインフレの害悪を強く意識するはずで、よって財政健全化や行政改革を進めることでインフレを制御しようという思いが強かった・・・のだろうと(勝手に)想像します。が、報道によれば、以前からEUに懐疑的な姿勢を示す政党「五つ星運動」がドラギ政権のインフレ対策に反対したせいで、政権を支える与党の連携が崩れたとのこと。であれば、氏が辞めたくなるのはもっともでしょう、自身のセントラルバンカーの経験も活かして最大の脅威であるインフレに対処すべき策を進めようとしたところで足元をすくわれたのだから・・・

 実際、イタリアのインフレは(も)ヒドいことになっています。6月のインフレ率は前年同月比で8.5%と、もはや看過は許されないほどのレベルです。とはいっても、これを鎮める手は・・・たとえドラギ氏が退陣せずに頑張っていたとしても、ほとんどない、といえるでしょう・・・

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【「円安様」を称えるようで実は追い詰めているのも「東大」?】個人的「東京大学」考:文系学部は全廃でいい⑤

2022-07-17 00:02:19 | 日本
前回からの続き)

 ということで、「東京大学」(法学部)について思うところを綴ってきましたが、こう見てくると「東大」というのは、明治時代のその創設以来、日本の権力そのものの基盤をなすシステムだといえそうです。

 なお、そこは先述した「行政」と「立法」(国会)はもちろん、「司法」についても同じでしょう。それを象徴するのが最高裁の現判事の学歴。14名のうち(女性判事2名を含む3名を除いた)11名が東大卒(うち法学部卒が10名)となっています。そして・・・周知の事実として、裁判において東大(をはじめとする国立大)卒の弁護士がついた側が私大卒弁護士がついた側に対して勝つケースが多いのは、純粋な法理を超えたところで弁護士の「東大卒」という「色めがね」が判決に微妙な影響を与えているせい・・・でもあるのではないかと・・・(?)

 こうした権力の過度の集中、これにともなう権力の無責任な濫用・暴走の回避―――本稿タイトルで、東大(文系:法学部・経済学部等)は廃止でいい、としたことの大きな理由はそこです。日本の独占的な権力がこのように東大に根差しているなら、こちらの記事等で書いた、真の「国民主権」国家になるための権力機構の改革に向け、その支障等になりかねない「東大」という枠組みは除いていい、という発想です。そこは、本稿一回目で書いたように、「大学全入時代」における、私大でも立派に運営ができている文系の大学・学部の領域に国が「東大」(を筆頭とする国立大)の文系学部を保持することの合理性の無さと絡めて考えられるところと思います。

 本ブログで繰り返し指摘しているとおり、現在、この国では「円安様」の独裁がますます強まってきています。それは上述した本邦唯一の権力(政府・日銀)・・・を構成する「東大」が円安様に従属しているせいだといえるでしょう。が・・・ここへきて円安様に対する賛美がさらに強まっているのは、(日本と同様?政府に権力が集中する)専制国家が揺らぐときに(締め付け等のために)その独裁者がやたらと称えられるようになるのと大して違いはありません。ようするにそれだけ円安様・・・というよりは〇〇様が弱体化してきていることの反映でしょう。そして、歴史は繰り返す、のとおり、その独裁はもはや・・・といったところも何度も書いているところです・・・

 って、ん?考えてみたら、ここまで〇〇様を礼賛するフリしてじつは激しく動揺させているのは、ほかならぬ日本の絶対権力・・・って「東大」ではないですか(!?)。その意味で、東大はもうちょっと必要なのかも?・・・って、長くとも新時代の幕開けまでは(?)。

(「個人的『東京大学』考:文系学部は全廃でいい」おわり)

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【世界一のマイナス経済成長達成に最大の貢献?をした大学は東京大学】個人的「東京大学」考:文系学部は全廃でいい④

2022-07-13 18:27:12 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、わが国では政府が強大な権限(行政権&立法権&予算編成権& more?)を有するうえ、その実権者―――大臣などの「政治家」(国民代表)・・・ではなく(実質的に「東京大学」(法)卒の)「官僚」―――が納税者のチェックを一切受けることがないために、いったん決まった方向に動き出すと、自らしない限り進路変更等が為されないから、ノーブレーキで突っ走り、あげく、国家国民に大損害を与え(て、その自身らの責任を、ときの政治家に押し付け?)かねません。そしていま、わたしたちはそんな「暴走車」に全員が否応なく乗せられて猛スピードで・・・といった最中であるのは、最近のこちらの記事のほか、本ブログでは何度も書いているとおりです(って、目の前の為替レートを示すボードを見ていれば誰でも分かりますよね?)。で、その「運転手」の代表は誰かと思ったら・・・黒田東彦氏(日銀総裁)・・・って、やっぱり東大(法)でしょう?

 「っても日銀は、官僚が牛耳る政府とは違う組織でしょ?」たしかにそうですね。ですが・・・では、こんな「運転」をすることが分かっている方々(黒田総裁を含む日銀の政策委員会委員[金融政策の決定権者])を選んでいるのは誰?となるとやはり政府といえます。「委員になることは国会の承認を得ているよね」それもかたちだけでしょう、委員候補を出してくるのは政府であって国会ではないし、センセイ方は各委員の「運転」ぶりなんて分からないし興味もないでしょうから(?)。で、となると、シツコク指摘しているように、日銀の現行金融政策「異次元緩和」(事実上の円安誘導:日本の金利を極端に下げてアメリカ等外国との金利差を大きくして円売りドル等買いを促すもの)によって、わが国を(保守的に見ても)21世紀の世界で一番のマイナス経済成長に沈ませたのは、同政策を推進する上記メンバーを(こうすることが分かっていて)選んだ「東大(法)」(・・・と言い切っても過言ではないでしょう)政府の政策的意思の反映であり結果、ということができるわけです(?)。

 ちなみに黒田総裁を含む全9名の上記委員は現在すべて、いわゆる「リフレ派」(≒金融緩和派)といわれていますね。であれば、それとは違う路線、すなわち金融引き締め・・って、それもほんのちょっぴり程度(たとえば年利0.1%の付利復活等)の引き締めすら、選択されることはないでしょう(?)。そのあたりもまた、こちらの記事を含めて何度も綴ったとおりです。

 こうして、いま、この国は、進むも戻るも「地獄」―――進む場合は現在の円安原材料インフレのさらなる高進で、戻る場合は米国債など高値掴みしたリスク資産の円建て価額の巨額損失で、どのみち(金銭的な)大損害は不可避―――という真っ黒なドツボ局面にあるわけです。このへんに最大の貢献(?)をした「大学」を挙げるとしたら・・・やはり東京大学以外にあり得ないでしょう?

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【大臣の東大卒の比率の低さは政治家に権力がないことの証?】個人的「東京大学」考:文系学部は全廃でいい③

2022-07-11 21:16:36 | 日本
前回からの続き)

 前回、行政権はもちろん実質的な立法権をも有する、この国の実権者たる官僚各位の共通項は「東京大学(法学部)卒」といったことを綴りました。そのあたりは以下からも窺えるところです。

 ご存じのとおり、日本には財務省や外務省などを含めて現在11の省があります。で、各省の事務方のトップは当該省の「事務次官」になります。その次官各位の現時点(7/10時点)の出身大学(学部)は、というと・・・11のうちじつに8省(約73%)の次官が東大卒で、うち7名が法学部卒(1名は経済学部卒)となっています(残り3省の次官の出身大学・学部は京大法、北大工、早大政経が各1となっている)。これに対して、各省の本来の(?)トップである「大臣」は・・・11大臣中で東大(いずれも法学部)卒が3名と、上記とはちょうど逆の数字となっています(首相官邸HP、昨年11月時点)。

 このあたり、各閣僚の出身大学等は、以下の理由から、ときの内閣によって多少の変動が考えられますが、事務次官のそれは、東大法卒が大半を占めるということで大きく変わることはないでしょう。なぜなら次官は、各省官僚のトップ―――当該省所轄の行政権&事実上の立法権の行使の決定権者―――であり、これを担うものは歴史的に「東大(法学部)卒」がふさわしいとされているからです・・・って、東大はそもそも(旧東京帝大としての設立時に)官僚養成の学校としてスタートし、以来いままで、その卒業者が政策や法律を作るって決まりになっている(?)ということです(?)。それは国民の代表たる国会議員(立法府)の役割では?いいえ違います、政府の役割です。そこはこちらの記事に書いたとおり、データにも現れています。では、総理大臣を含む閣僚たちは?たしかに各位は事務次官を含む官僚の上司に当たるから権力がありそうです・・・が、それは名目上に過ぎず、部下(官僚)の人事も含めて実質的には何らの決定権等も持っていません・・・って具体的には、こちらの記事に書いたように、実権者(東大卒官僚)が書いた文章を「読むだけ」程度のことしかしていません。だからこそ閣僚(≒国民)の学歴は、べつに東大(法学部)卒でなくてもかまわない、というわけです、彼ら彼女らは実権者ではないのですから。実際、失礼を承知で言えば、とある大臣と同じ大学・学部の卒業生で各省幹部(次官や局長など)・・・どころか、そもそも国家公務員上級職試験の合格者すらいない、というケースも少なくないのでは・・・(?)

 となると、この国において(純粋に自身の理想を実現させるために権力を持ちたいと考える人々も含めて)権力志向のある人ならば官僚になろうとするでしょうし、その養成校たる東大(法学部)への進学を志すでしょう。政治家?上記のように立法権ないし納税者に辞めさせられる(選挙で落選して職を失う)リスクもあるから魅力ない、ってことで。もっとも、実権はなくても、大臣エライ!などとメディアにチヤホヤされたい方は別でしょうが・・・

 このように、本邦政府(行政権&立法権を握る権力の中枢)は事実上「東大(法)」でできているし、よって政策も予算も法律も「東大」の「一択」(他の選択肢なし)なわけで、しかも自身の地位は絶対的に安泰―――責任は政治家がカブってくれる―――となれば・・・上述のように「東大」の暴走が止まらなくなって国家国民が破滅に至る危険を防げません。このあたり本稿の文脈に沿って挙げると、戦前でいえば岸信介氏、そして戦後の「いま」でいえば黒田東彦氏(現日銀総裁、前大蔵官僚)がその代表例かと・・・

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【日本の権力は「東大法」でできている?】個人的「東京大学」考:文系学部は全廃でいい②

2022-07-09 19:00:43 | 日本
前回からの続き)

 前述した理由から、東京大学の文系学部(法学部・経済学部等)は全廃することでかまわないと考えています(京都大学等の文系学部も同じく、です)。このあたり東大と同じく都内にある国立大の一橋大学の各学部も全廃でいいと思います(・・・って、同大学は文系しかないので、それは大学そのものを廃止することを意味しますが)。その他、首都圏や関西圏等の各県にある国立大学(横国大、埼玉大、千葉大、神戸大など)の文系学部も同様・・・ですが、県民(納税者)の合意があるのなら、これらを県立大(文系学部)として維持する、という考え方もあるかな、とは思います。

 あらためて前回の繰り返しになりますが、大学全入時代のいま、大学や専門学校等がひしめく都会において、私立学校でも立派に運営していける(とくに、[税金等で補助するべき研究や実験施設等が不要な]文系の)学部学科を国が国立大として継続する合理的な根拠は失われていると考えます。であれば、それらは、私大の経営健全化を促すため、そしてこれらに投入されている貴重な血税をもっとず~っと大切な用途(って、いくらでもあるでしょう?)に充てるため、国の方から積極的に廃止する方向に動くべきでしょう。

 さて、こうしたあたりが、文系学部の廃止をはじめとした国立大学の統廃合を進めるべきだとする個人的な考えの根拠等ですが、東大のそれらが第一に廃止されるべきと個人的に思う理由は他にもあります。それは・・・この国の非民主的な権力構造の基盤が実質的に「東大(とくに法学部)卒」でできているところ、上記から国家が大学を設置し続ける理由が薄らいだいま、東大文系学部(法学部等)の廃止を日本が本来の国民主権国家に脱皮するための一助としてみては、ということになります。

 こちらの記事等でも書いたように、わが国においては「三権分立」は名ばかりで、立法権は事実上、政府・・・の官僚各位(≒法律職)の手にあるうえ、(選挙によってチェック等を受ける国会議員とは違って)彼ら彼女らは責任を取らされること(≒納税者によってやめさせられること)がありません、行政権&立法権の2権を掌握しているにもかかわらず、です。となると何がリスクか・・・ってその最悪は、政府の暴走(≒国家の破滅)を食い止められなくなること、です。ここは戦前の日本(そして「いま」?)を見れば分かるでしょう・・・

 で、こうした悲劇を繰り返さないために、これまた過去記事に書いたような権力構造の大変革が必要だと考えるものですが、そのへん本稿の文脈に沿ったところで述べると、政府の実権者たる官僚の共通項である「東大(法)」を解体することは、わが国の民主化促進に加え、上記リスクの低減につながるのではないか、と・・・

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【今年から「大学全入時代」に突入か】個人的「東京大学」考:文系学部は全廃でいい①

2022-07-05 21:39:17 | 日本
 新しい時代が始まりつつあるいま、古い時代の仕組みもどんどん新しいものに変えていくべきなのでしょうね、教育などの分野においても。

 ご存じのように現在、わが国では少子高齢化が進行しているわけですが、若年層からみたその状況を「大学全入時代」といったりします。Wikipediaによれば、これ、大学入学希望者の総数が入学定員総数を下回る局面を迎えることを指すワードで、文部科学省も用いているとのこと。でその時期ですが、若干の前後差はあるものの、じつは今年(2022年)がその幕開けとみているメディアや教育機関が多くなっています(なお、「全入」とは全大学の定員数を統計したうえでの考え方で、誰もが志望する大学・学部に進学できるようになるというわけではありません)。

 で、これによって何が起きるかといえば・・・大学教育の質の低下、定員割れ、その結果としての大学の経営危機などが連鎖して・・・といったリスクが考えられています・・・って、まあそうでしょうね・・・

 ではこれにどう対処するべきなのか、ですが・・・あくまでも単純に考えれば、大学入学希望者数が減っているのだから、これに合わせて大学の定員も減らせばよい、ということになるでしょう。ではでは、どの大学が定員を減らすべきなのか、ですが・・・これまた単純に考えれば、原則として国立大学が減らすべきだと考えます。大学をはじめとする高等教育の場や機会が乏しかった戦前ならいざ知らず、いまは民間の手によって設立・運営されている(私立の)大学等が数多くあるわけです。であれば、これもあくまで市場原理的に考えると、「民」がちゃんと機能しているのなら「官」がそこに余計な介入をするべきではない、ということで、私大が担当できる学問領域とカブる国立大学・同学部学科は解体等し、これで浮いた公金は学生の奨学金等に充てるとか、今度は年金原資等に回すとかしたほうが、少子高齢化時代によりマッチした血税の使い方といえるでしょう。

 もっとも、だからといって国立大を全廃するのは、さすがに行き過ぎかな、と思います。一部の、とくに自然科学系の学究分野は、私大に委ねるには実験や研究等のための施設や設備の建設等コストが大きくなりすぎるため、これらは納税者の理解を得たうえで一定の公費を投入して国立大が担うのが適当でしょう。また、経営的な見地から私大が進出しにくい地方においても、そのエリアの若年層のために公的な大学が引き続き必要とされると考えます。ただしこれらは国立である必然性はなく、当該地方を所轄する自治体が運営するのがよろしいかと思いますが。

 上記を逆から考えると、多数の私大等がひしめく都会にある国立大・・・のなかでも私大とバッティングする学部学科については、大学全入時代における民業(≒私大経営)圧迫の解消を図る意味でも、その運営等に充てられている公金を他のもっと重要な用途への転用を促進させる意味でも、順次廃止するのが望ましいでしょう、存在し続けるよりも・・・

 で、そのあたりで第一の廃止ターゲットとするべきは・・・やはり、大東京のど真ん中にある国立大学の東京大学・・・の文系学部(法学部・経済学部等)だと思っています。

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