世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【収まらないデモ活動】通貨安インフレに苦しむブラジル国民①

2013-06-29 00:01:59 | その他の地域

 ブラジル市民による大規模な反政府デモが続いています

 そもそものきっかけは、サンパウロなどの地方政府が決定した公共交通機関の料金値上げ。これに反発する一部市民が起こした抗議行動のようすや主張がメディア報道やSNSを通じて全土に伝わると、現状にさまざまな不平・不満の思いを抱く多数の国民がこれに共感、合流してデモが拡大しました。参加者数は100万人にもおよび、一部では暴動や略奪なども発生しているようです。

 このデモの要因は、上記値上げのほか、福祉などよりもW杯やオリンピックへの財政支出を優先する政府の姿勢や行政汚職に対する反感などもありますが、最大のものは何といっても「インフレでしょう。ブラジルの現在のインフレ率は対前年同月比で6%台半ばと、デフレ傾向のわが国や欧米諸国と比べるとたいへん高いレベルとなっています。このデモに参加した人々の要求が受け入れられたのか(?)、バス料金などの一部は以前の水準に戻されたようですが、それでも日常の食料品や耐久消費財などの価格は高止まりしたままで、市民の暮らし向きは厳しくなる一方です。

 とはいえ、ここ数年間のブラジルのインフレ率は年4~6%前後なので、直近の値が飛び抜けて高いわけではありません。問題は物価上昇のテンポが速まっていることでしょう。以下に記すように、その原因は、インフレに反比例するかたちで急速に進行した通貨安といえそうです。

 ブラジルの通貨レアルの対ドルレートは現時点(6/27)で1ドル2.2レアルと、ここ4年間で最もレアル安ドル高の水準にあります。最近の状況をみても、このわずか3ヶ月ほどの間にレアルはドルに対して10%あまりも値を下げています。それほど早足で進んだ通貨安が、燃料をはじめとする輸入品のレアル建て価格の急上昇をもたらすとともに、市民の不満感を一気に高めたものと推測されます。

 ブラジル中央銀行もこうした事態を深刻に受け止めています。実際、レアルの対ドルレートのさらなる下落を食い止めようと、通貨防衛策としてドル・スワップ入札を実施したりしていますが、はたしてうまくいくのかどうか・・・。

 ここで、ブラジルにおけるインフレ激化を招いたレアル安が引き起こされた理由を考えてみたいと思います。

 短期的なものとしては、FRBQE(量的緩和策)縮小観測にともなう緩和マネーの巻き戻しが指摘できるでしょう。大規模なQEによって新興国通貨などに投資されてきた低利のドル資金が、先日のバーナンキFRB議長のQE縮小・停止時期の初言及で、米金利が上がるとの憶測などから、一斉にこれらの市場から引き上げられ始めました。こうしたマーケットの潮目の変化のなか、ブラジル・レアルはドルに対してもっとも売られた通貨のひとつとなったということです。

 そしてレアル安のもっと本質的な理由がブラジル経済の現状に見て取れます。

(続く)


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【QEフォーエバー?】アメリカはQEを止められるのか④

2013-06-27 00:01:19 | アメリカ

(前回からの続き)

 さてQEの今後ですが、個人的な予想を先に述べると、規模は縮小されるかもしれないけれど当面は続く、いやFRBはQEを続けざるを得ない、といったところだと思っています。その理由は、アメリカ実体経済の改善が思うように進んでいないため、そしてだからこそ金利を低いレベルに維持しなくてはならないため。

 先述のとおり足元の失業率は7.6%と高止まったまま。新規雇用者数も、このところ対前月比で10数万人ずつ増えてはいるものの、QE3終了の目安である失業率6.5%ライン到達に必要な同20万人増が何ヶ月も続くようなことはありません。そして雇用数が増えたとはいっても、その多くが小売業、サービス業、派遣業などといった低賃金の職種となっており、米経済の柱である個人消費をさらに盛り立てるには力不足な感じです。

 失業率以外の各種経済指数でも、ぱっとしないものが少なくありません。たとえば5月のISM製造業景気指数は半年振りに景気拡大と縮小の境目である50を下回っています。6月のトムソン・ロイター/ミシガン大学消費者マインド指数は82.7と、前月の84.5よりも低下しています。

 こうしてみるとアメリカの景気は本格的な回復軌道に乗ったとは言い難い状況です。そのため、まだまだQEの後押しによる株や不動産の資産価格の引き上げが必要だし、何よりも金利の上昇は絶対に食い止めなくてはならないわけですが・・・。

 これまで書いてきたように、QEの縮小・停止が近いとの観測から、世界中の投資家(各国政府・中銀、金融機関、ヘッジファンドなど)がアメリカの債券をどんどん売却しています。これを受けて米国債の価格は下がる一方、長期金利の上昇ペースが速まっています。もしこのまま投資家の債券売りが続けば、金利が跳ね上がって景気回復に水を差すどころか、へたをするとドルの信用危機すら発生しかねない・・・で、結局のところFRBが「最後の貸し手」となり、ドルを刷って債券を買い支える(=金利の上昇を抑え込む)しかない―――インフレリスクに目をつぶってでも・・・

 かくしてQEはこれからも続くだろう、というのが私の読みです(縮小や中断はあるかもしれませんが)。もしかしたら永遠に・・・アメリカが経常赤字ゼロを達成するまで(外国に借金をしなくてすむようになるまで)? したがって、この先FRBのバランスシートは4兆ドルを超えて膨張を続け、ドルのベースマネーも拡大の一途をたどることになるでしょう。そしてアメリカはQEマネーという「麻薬」依存症にますます陥っていく・・・。

 やがて(近い?)将来、マーケットにあふれたマネーの信用が揺らぐような何らかの出来事(大手金融機関の経営不安とか)をきっかけに、マネーに保存されていた価値がいっせいに実物資産へと移転、つまり激しいインフレが起こるに違いない、などと予想したりしているのですが、いかがでしょうか。

 まあこれはもうちょっと先のこと(だと思います、自信ないけど)。なので、(あくまで)短期的には意外に「米国債投資」がお勧めかも(?)。価格が下がっているこのタイミングで米国債を買っておいて、QE継続(FRBの国債買い入れ継続)がマーケットでふたたび意識されて価格が戻ってきたときに売れば儲かるかもしれないぞ、などと思っています(投資等のご判断は自己責任でお願いいたします)。

(「アメリカはQEを止められるのか」おわり)


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【リスキーな債券価格低下】アメリカはQEを止められるのか③

2013-06-25 00:01:58 | アメリカ

(前回からの続き)

 金利上昇と裏返しの現象ですが、QE3の縮小・停止にともなう債券価格の低下もたいへんリスキーです。

 まずは不動産担保証券(MBS)です。

 現在FRBは毎月400億ドルのMBSと450億ドルの米国債を市場から買っているわけですが、先日のFOMC後の会見でバーナンキ議長は、QE3縮小・停止の予定時期を具体的に示しつつも、FRBが保有するMBSは市場で売却しないと約束しました。アメリカの住宅市場はバブル崩壊から立ち直りつつあるとはいえ、まだまだ脆弱です。ここでFRBがMBSを手放し始めたらMBSの価格は急落、住宅ローン金利は急騰し、またもや住宅市場は大混乱に陥って米経済は深刻なリセッション入りへ・・・。

 ・・・そんな事態は絶対に避けなければなりません。だからこそ同議長は「MBSは売らない」と明言したのでしょうが、先日書いたように、それでも足元では住宅ローン金利がじわりと上昇(住宅ローン債券価格は低下)しています。そんななか、はたしてFRBは1年後、MBSの買い取りを本当に停止することができるのか?

 そして米国債

 QEの開始によって、いまやFRBは中国、日本を抜いて世界一の米国債保有者となりました。その額は6月時点で約1.9兆ドル。今後もしばらくはQEが続くため、FRBの同保有額は今年中には2兆ドルを軽く上回る規模になりそうです。

 さてその米国債ですが、上記のバーナンキ発言以来の金利急上昇のなか、投資家の売りが止まらなくなってきました。先週末(21日)時点の10年物米国債金利(長期金利)は2.53%と、直近では最も低かった4月末時点の1.6%台からわずか1ヵ月半ほどで1%近くも跳ね上がっています。それだけ米国債の価格が急降下しているということになります。

 ちなみに日本の長期金利は4月末時点で0.6%くらい、そして先週末時点で0.87%となっており、たしかに乱高下はしているけれど、アメリカよりは落ち着いています。これはおもに「量的・質的金融緩和」で黒田日銀が大量の日本国債を買い入れているためなのでしょうが、アメリカの金利上昇を受けた「リスクオフ」モードの影響も少なからずあるものと推測しています。

 MBSや米国債の価値低下は、これらを大量に保有する金融機関の財務を劣化させます。したがって各社はこれらを売り急ぐ一方、売却損や評価損の分だけ「貸し渋り」とか「貸し剥がし」などの対応を取ることでしょう(当然、米景気にはマイナス要因)。これに加え、債券価格低下にともなう損失の穴埋めのために株式を売却しようという動きも出てくるかもしれません。こうしたことによりアメリカでは、金融システムが不安定化するなかで、一層の債券安・株安・金利上昇が引き起こされそうです

 さらにFRBの資産の質も気になるところです。金利が上がるにしたがって、上述のように兆ドル単位にまで膨れ上がったこれら保有債券の価格下落が進むだけでなく、住宅ローンの延滞や破綻の増加でMBSのデフォルト多発が予想されることから、FRBの財務の悪化もまた避けられそうもないとみています。それはすなわちドルの信用の低下につながるわけで・・・。

 といった具合で、先日のFRB議長が言及した「出口戦略」の開始、つまりQE縮小・停止がもたらすリスク(=金利上昇[債券価格低下])を食い止めることは、さすがのFRBでも極めて難しいだろうと思う次第です。

(続く)


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【心配な金利の上昇】アメリカはQEを止められるのか②

2013-06-23 00:00:34 | アメリカ

(前回からの続き)

 現在、米FRBの資産規模は約3.3兆ドル(5月時点)にまで膨れ上がっています。リーマン・ショック前から比べると、その拡大のペースはこの数年間で3倍以上になるほどの急速さです。そして、先日バーナンキ議長がQE3の縮小・終了時期の目途を具体的に示したとはいえ、FRBのバランスシートはこの先も増え続けることになります。これを数字にすると、FRBは現在1ヶ月当たり850億ドルの債券(米国債と不動産担保証券)を買っているわけだから、年内(6ヶ月)だけで約5千ドル、年明け後の半年は半分の2.5千億ドル程度としても、その資産はあと1年でさらに7千億ドルほど増加して、トータルでは4兆ドルを超えるレベルになると予想されます(これでもかなり控えめな見積もりかも?)。

 それにしてもスゴイ膨張ぶり―――あらためてそう感じさせられます。たしかに現在のお金は紙だから無限に刷ることができるとはいえ、「通貨の番人」たる中銀のあるべき姿に照らせば、FRBのこの振る舞いは相当に異様なことのように思えるのですが・・・。なーに、ECB(欧州中銀)もBOE(英イングランド銀)も、そして日銀までも派手な量的緩和をやっているから大丈夫!? 中銀の節度なんてそっちのけ、「赤信号みんなで渡れば(インフレなんて)怖くない」のノリに思えてなりません・・・(黒田日銀もそのノリでしょうか)。

 さて、そんなFRBのマネー乱発バズーカ砲で展開されてきたQE3。ご承知のとおり、低金利下での株高や不動産価格の上昇などの好影響(資産効果)を米経済にもたらしてくれてはいます。とはいえ、これ以上マネーをばらまくとさすがにマズイことになりそうだ、ということもあって、そろそろ幕引きの時間だよ、というアナウンスが先刻バーナンキ議長から流されたわけですが、はたしてこの先どうなることやら・・・。

 先日の記事「日米株高『金融緩和相場』の危うさ」のなかでも書いたとおり、最大の懸念事項は何といっても景気回復のペースを超えるほどの金利上昇。その影響は早くも随所に現れています。

 最も心配されるのは、株と並んで資産効果が期待されてきた米住宅市場の今後でしょう。住宅ローン金利は昨年終盤の3%台前半からすでに4%程度まで上昇してきています。これから先さらに金利が上がると、QE3によってせっかく活気づいてきた住宅市場がふたたび冷え込むおそれがありそうです。

 当然ながら、その他のローン金利も上昇して米経済にダメージを与えつつあります。

 たとえば現在、好調を維持するアメリカの自動車市場ですが、QEにともなう低金利環境のもと、常態化しているゼロ金利ローンによって下支えされている面があるとのこと。日経新聞によれば直近の米家計の自動車ローン残高はリーマン・ショック直前と同レベルの約8千億ドルにまで膨らんでいるそうです。そしてそれらの多くが不良債権化しつつあるもようです・・・。

 住宅にしろ、自動車にしろ、その他のカードローンなどにしろ、アメリカではこれからの行き過ぎた金利上昇でローンの延滞や焦げ付きがさらに増えていくものと予想されます(いつか来た道・・・サブプライム・ローン問題とまったく同じ構造ですね)。これが資産効果に主導されるアメリカの景気回復に打撃を与えることは間違いなさそうです。

(続く)


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【縮小・停止に初言及】アメリカはQEを止められるのか①

2013-06-21 00:03:09 | アメリカ

 FOMCの決定内容よりも、その後の議長発言のほうがよっぽどインパクトが大きかった、といったところでしょうか。

 この18,19日の両日に行われたFOMC(連邦公開市場委員会)で、FRBは現行の量的緩和策(QE3:FRBが毎月850億ドルのMBS[不動産担保証券]と米国債を購入して低利の資金を市場に供給する金融政策)の継続を決定しました。

 現状のアメリカ経済の状況から、まあこのあたりは大方の予想どおりだったわけですが、世界中から一番注目されていた出口戦略」と呼ばれるQE3の縮小・停止がいつ頃になるのか?という点についてバーナンキFRB議長は、今年中に縮小を開始し、来年2014年半ばまでに終了させる可能性を示唆しました。同議長がはっきりとQE3の終了時期に言及したのはこれが初めて。なので、これを受けた金融市場は早くも大きく変動しています。今後マーケットはどのような動きを見せるのか、大いに気になるところですが・・・。

 たしかに今回示されたFRBの資産購入の停止時期はあと1年(も!)先のこと。したがってさまざまな調整等の時間は十分にありそうに感じられます。しかも同議長は、この間、アメリカの景気や雇用情勢に好転の気配がみられないときは追加策で対応すると述べ、さらなる金融緩和の可能性に含みを持たせるなど、QE縮小・停止の意思表明にともなう悪影響が広がらないよう、各方面に相当に気を使っている様子が窺えます(このあたりは個人的に「さすが・・・」と感じるところではありますが・・・)。

 しかし、現在のアメリカ経済を支えているのがQEによるマネー散布であることもまた確かです。

 先日も書いたように、失業率が高止まりの状態(7.6%:5月)にあるにもかかわらずダウ平均が史上最高値付近にある米株価がそれを象徴しています。実体経済が好調だから株が上がっているわけではなく、少しでも利回りのよい運用先を世界に求める緩和マネーが結果として(アメリカの)株式市場に集中しているということです。上場企業の多くも、短期的な利益拡大を要求する株主の期待に応えるため、余剰資金を自社株買いやM&Aなどに投入して自らの株価極大化を図る一方、本業の発展に不可欠な設備投資や研究開発は二の次にしている感じです。

 マーケットも企業も、いまやそんなマネーゲームの真っ最中といったところ。そしてアメリカ経済も株高がもたらす資産効果に引っ張られるかたちで徐々に上向いてきたといったあたりでしょう。

 そして、この原動力となったのがFRBのQEであるわけですが・・・。

(続く)


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【金で外貨崩落に備えを】アベノミクスでジャパンマネーが金に向かう?⑦

2013-06-19 00:02:18 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 前述のように、たしかにリスクオフ不等式「金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」にしたがい、現在は新興国からマネーがドルに回帰するとともに、今後の不透明感がきわめて強いユーロもドルに対して売られています(個人的には、新興国通貨もユーロも、この先、円やドルに対してさらに値下がりしていくことは避けられないだろうと思っています)。

 しかしそんな「強い」ドルすらも・・・FRBの「出口戦略」(債券買い入れの縮小・停止等)により、現状のアメリカの実体経済にはキツすぎるほどの金利上昇(米国債およびMBS[不動産担保証券]価格の低下)が起こって金融システムが動揺するなか、これまた信用の低下に直面するだろうと予想しています。

 だからといってFRBが「出口戦略」の開始を先送りしても同じこと。その場合、FRBはバランスシートを膨張させてマネーをひたすら散布するしかないわけで、それがインフレと金利急騰をもたらし、結局、ドルの価値は劣化する可能性が非常に高いと思われます。

 このようにみてくると、今後、ドルをはじめとする外貨はいずれも価値保存力をどんどん落としていくような気がしてなりません。そのときマネーの受け皿となるのは、「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」のとおり、もはや主要通貨ではだけなのではないでしょうか(この結果、金利はおのずと低下[日本国債価格は上昇]するだろうと予想)。そして真の「ラスト・リゾート」は、信用リスクフリーの万国共通通貨・(ゴールド)・・・!

 いま、金を買っている日本人の多くは、本稿で延々と書いてきたとおり「アベノミクス」のリスク(インフレ[円の価値の低下])に対するヘッジを目的としていることでしょう。「アベノミクスは何だかヤバそうだから金を買っておいたほうがよさそうだ」ということです。その判断はおそらく正解となるでしょう。ただし円ではなく、外貨崩落の結果として・・・。

 ・・・と、個人的には上記のような成り行きを予想しているのですが、いかがでしょうか。相当に偏った見方かもしれないので、投資等の判断は自己責任でお願いいたします。

 どうか日本政府・日銀が、公的資金で金(ゴールド)以外の外貨をこれ以上買うようなこと(外貨買い為替介入とか、日銀法を改正して日銀に外債を購入させたりすること)をしませんように・・・。「アベノミクス」本当の失敗は、円安誘導にこだわるあまり、こうして政府・日銀が外貨・外債をしこたま買い込んだ先に訪れるような予感がするのですが、ヘンな想像のし過ぎでしょうか・・・。

(「アベノミクスでジャパンマネーが金に向かう?」おわり)


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【ヤバいのは円ではなく…】アベノミクスでジャパンマネーが金に向かう?⑥

2013-06-17 00:00:39 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 以上「アベノミクスでジャパンマネーが金に向かう?」と題し、思うところを長々と綴ってきました。

 じつは、本稿はこれから先が本番です。

 たしかに黒田日銀の「異次元緩和」によって「円」の価値が引き下げられ、インフレ・金利上昇が発生するおそれが出てきたことで、国民の間に「これはヤバそうだ。金(ゴールド)を買うべし!」といった気運が今後ますます高まるとみています。

 しかし、金を保有することによって結果として日本国民が何から救われるのかといえば、確率の高さからすると「円」ではなく「外貨」の暴落から、となるだろうと予想しています。

 以前から本ブログに書いているように、通貨の価値は「実質金利」(=名目金利-インフレ率)の高さで決まると思っています。その序列を不等式で表すと「金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」となります。これは本稿①②でご紹介した「金価格に対する各国通貨の減価推移」が示すことと同じです(金価格に対する減価率が小さい通貨が上位に入るということ)。そしてこの順番は通貨の信頼度や安全性の高い順とも言い換えられます。

 さて、ここのところ外国為替市場では、インド・ルピーやブラジル・レアルといった新興国通貨やユーロがドルに対して売られています(ドル高ユーロ安・新興国通貨安モードということ)。そして円は、そんな強いドルに対しても買われる展開となっています(円高ドル安となっているということ)。これはいうまでもなくFRBの「出口戦略」つまりQE3(量的緩和第3弾)の縮小・終了が近いとの恐怖感から、マーケットの空気が「リスクオフ」モードに転換してマネーの巻き戻しが起こっていることの現われです。まさに上記の「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」のとおり、マネーが安全性の高い通貨(実質金利の高い通貨)に吸い寄せられてきているといったところです。

 ここで何といっても注目は、現在は世界のマネーを集めている感じのドルの今後。足元では円に対しては弱含みだけれど、QE3の縮小等によってベースマネーの拡大が止まるわけだから、基本的にはいっそうのドル高になるはずですが・・・。

 以下に本稿⑤で書いたことをあらためて引用します。

(引用はじめ)------------
・・・この先も「金利を抑え込んでやる!」とムキになって中銀がマネーのばらまきを続ければ、意に反して金利が上昇(国債価格低下)→中銀が国債を買い入れ→マネーの大量散布で金利低下(国債価格上昇)→インフレ発生・金利上昇→中銀がさらに・・・といったサイクルを止めることができなくなり、中銀本来の目的である「物価の安定」と「金融システム安定」が失われ、最終的に通貨価値が崩落(金利高騰・ハイパーインフレが発生)する可能性が高まる・・・
------------(引用おわり)

 以上は黒田日銀の金利コントロールの危なっかしさを述べた文脈での一節なので、本来ならばここでは「日銀」というワードを使うべきですが、あえて「中銀」を選びました。その理由は、このフレーズを書きながら強く意識したのが(まあ日銀もそうだけれど、それ以上に)米FRBだったからです。そう、こうした危機的な状況に直面するのは、FRBのほうなのではないか・・・

(続く)


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【金に目覚める日本人】アベノミクスでジャパンマネーが金に向かう?⑤

2013-06-15 00:00:52 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 さて「金価格通信簿」でみた場合、白川日銀の「優等生ぶり」にくらべて、黒田日銀の成績は(さすがに「落第生」とまではいかないまでも)「もっと節度ある通貨管理に努めましょう!」といったところであるのは、本稿②で書いたとおりです。

 当初、黒田日銀は、新規発行債の7割にも及ぶという掟破りの(?)国債買い入れで金利の低位安定を図ることに絶対の自信を示していたはずなのに、足元では長期金利が上昇傾向にあります。個人消費や設備投資といった実体経済に本格的な回復傾向が現れていないのに、です。黒田日銀の「成績の悪さ」は、円建て金価格の高騰に加え、この長期金利の動揺にも表れていると思います。

 そもそも中央銀行が金融政策で長期金利をコントロールできると(黒田総裁や岩田副総裁が)思っているのならば、それは本当に危険なことではないでしょうか。この先も「金利を抑え込んでやる!」とムキになって中銀がマネーのばらまきを続ければ、意に反して金利が上昇(国債価格低下)→中銀が国債を買い入れ→マネーの大量散布で金利低下(国債価格上昇)→インフレ発生・金利上昇→中銀がさらに・・・といったサイクルを止めることができなくなり、中銀本来の目的である「物価の安定」と「金融システム安定」が失われ、最終的に通貨価値が崩落(金利高騰・ハイパーインフレが発生)する可能性が高まるからです。

 といったわけで、黒田日銀の「異次元緩和」には、子どもの火遊びのような危なっかしさを感じざるを得ないのですが、一方で「これが逆に良い効果をもたらすかも・・・」と思う面がないわけではありません。それは「国民のに対する関心を高めること」。

 最近は、株価や長期金利の乱高下で通貨「円」への信頼が揺らいでいるせいか、それとも「アベノミクス」で「本当にインフレになりそうだ」といった期待(というより「おそれ」というべきでしょう)が広まってきたせいか、国民のあいだでインフレに強い資産としての(ゴールド)への注目が高まっているように感じられます。

 実際、先日ご紹介の下記グラフをみると、昨年2012年のわが国の金輸出量は前年から30%ほども減りました(それでも100トンを上回るという、世界的にみればスゴイ量ですが)。その背景をチェックすると、これはわが国で地金や金貨の需要が増えたというわけではなく、金の売り戻し量が減ったことによるもののようです。このあたり「アベノミクスでインフレが起こりそうだから売らないでキープしておこう!」と判断した金の所有者が増えていることを示唆していると考えられます。

 そして新たに金が買われる動きも目につくようになってきました。この4月中旬の金価格暴落時、わが国の金小売商の店頭には、ここぞとばかりに金を買い求める人の長蛇の列ができたそうです。今後も価格急落とか「円」高騰などのタイミングに狙いを定めて金を買おうという人が増えていくことでしょう。

 その他、近頃のビジネス雑誌や投資専門誌を見ても、個人向け資産ポートフォリオに金を組み入れることを奨める記事が多くなってきたように感じられます。このところの株高で利益を得た人のなかには「株を売って儲けたお金で金を買った」という人もけっこういるようです。

 といったように、黒田日銀「異次元緩和」で「金価格通信簿」の日銀の成績が下がり、「円」の信認が揺らぎ出したおかげで、遅ればせながら(?)わが国でも多くの人々が金の本質的な価値に気がつき始めたようだと思っています。世界的な金融緩和の拡大でペーパーマネーの価値が下がっているなか、それはそれで良い傾向といえるのではないでしょうか。

 そんなこともあって、今年あたりからは日本から海外へ流出する金の量が大きく減るとともに、近々、日本も金の輸入国になるとみています(希望的観測が相当に入った個人予想です・・・)。

(続く)


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【白川日銀は優等生?】アベノミクスでジャパンマネーが金に向かう?④

2013-06-13 00:01:16 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 ここ数年、わが国から海外への金売りが続いているのは、日本が世界の「リスクオフ」金融情勢に疎かったというわけでは決してなく、金を持っていた人がシンプルに「値上がりしたから金を売った」ということなのだろうと思っています。つまり多くの日本人が2000年前後までの安値で買った金を高い値段で売っているということです。

 たしかに日本では金の国外への流出が続いているけれど、それで国民が多額の利益を得たという点で、この動きは積極的に評価すべきなのかもしれません(その一方、結果として2000年代前半くらいまでの安値で金を手放してしまった欧州各国等の中央銀行は、金価格が大きく上昇したいま、さぞかし悔しい思いをしていることと推測しています)。

 そして日本人がの対価としてキャッシュを手にして(安心して?)ニンマリできるのは、それだけそのキャッシュ、つまり「」の信用に国民が疑いを持っていないことの現われともいえそうです。

 その意味で、この数年間の「リスクオフ」の間、円の価値を相対的に高い水準で維持した日銀(白川方明総裁時代の日銀)はもっと評価されてもいいのではないかと思っています。何せ、先述したように、世界的に金融市場が動揺した2007年から昨年秋までの約5年間、円は「金価格に対して値持ちの良い通貨」第1位の座をキープしたわけですから。これを「通信簿」風に表現すれば、白川日銀は「世界的なリスクオフモードのなかで通貨価値の維持に努めました。よくがんばりました」といった感じでしょうか。

 これに対し、度重なる金融危機や量的緩和にともなうマネーのばらまきで、同じ時期のドルやユーロなどの外貨は金価格どころか円に対しても弱くなるばかり・・・(そのせいで、わが国では少なからぬ個人投資家や企業が外貨投資で痛い目にあっていることは先日こちらの記事に書いたとおりです)。そんな外貨の「成績の悪さ」も、結果として円の価値を底支えしたという言い方もできると思います。

 といったわけで、少なくとも「金価格通信簿」という見方に限定すれば、白川日銀のパフォーマンスは良好だったと思っています。まあ一般的な評価は「金融緩和に及び腰だったために円高とデフレを招いた」といった、どちらかといえばネガティブなものが多い感じがしますが・・・。

 その反面、節度ある管理に裏付けされたキャッシュへの信頼感が高いせいで、逆に日本人の金に対する関心が他国(とくに中国)と比べて高まらなかったという点が、じつはけっこう大きな問題だったのかもしれないな、などと考えています。

(続く)


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【金輸出が続く日本】アベノミクスでジャパンマネーが金に向かう?③

2013-06-11 00:04:50 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 もちろん、いまの日銀がこんな「通信簿」(中銀の通貨価値管理の巧拙を金価格に照らして測定すること)を意識することはないでしょう。

 黒田日銀の「異次元緩和」のおもな狙いは、国債等資産の大量買入れでベースマネーの拡大を図って為替レートを円安に誘導し、輸出企業が外需を取りやすくしようというもの。つまりいまの日銀は、「金融システムの安定」とか「物価の安定」といった、本来の中銀が守るべき規範から意図的に逸脱してまで、円の価値の毀損化を進めるという、相当にきわどい政策をとっているわけです(ある意味、確信犯ということですね)。

 だから金価格成績表に基づいて「もっと節度のある通貨管理をしましょう」などと1ブロガーが日銀にエラソーにいったところで、「そんなことは百も承知。ベースマネー拡大(円の価値の希薄化)は日本経済の最優先課題であるデフレ脱却(≒需要不足を外需で埋めること)のためだ!」と叱りつけられそう・・・。

 さて、そんな黒田日銀の金融政策(リフレ政策)は今後の日本人の(ゴールド)選好にどのような影響を与えるのでしょうか。このあたりを考えるために、わが国の金の輸出入量がどうなっているのかをここで確認してみたいと思います。

 このグラフは、上記の金価格に対する各通貨価値の推移で取り上げた期間(2007年7月~2013年5月)とほぼ同時期の、2006年から2012年までのわが国の金の輸出入状況を示したものです(出典:財務省貴金属輸出入通関統計)。これをみれば分かるとおり、ここのところ、わが国は毎年数十トン以上もの金を輸出していることになります。

 財務省統計によれば、日本の金の投資需要が売り越しに転じたのは2006年。それから昨年まで、日本は金の純輸出国となっています。この間、金価格は1トロイオンス600ドル程度から一時は1900ドル(2011年夏~秋)へ約3倍にも上昇したほか、2008年のリーマン・ショックを期に、それまで金を売ってきた世界の中央銀行が一転して買いに回るなど、金の需要が世界的に高まりました。当然、日本の金価格も1グラム2500円台(2006年12月)から同4700円台(2011年9月)へと、2倍近くに上がりましたが・・・。

 にもかかわらず、この期間に日本で起こったのは金の購入ではなく売却ブームのほうでした。このあたり、世界のトレンドとは真逆という意味で「金のガラパゴス現象」とでもいえそうです。実際、バブル期から2000年前後までに安値で金を買った投資家の多くがこの間の高値で金を売ったり、家庭等で眠っていた宝飾品が大量に換金されるとともに、これらに含まれていた金がリサイクル市場に回ったりしているようです。

 とりわけ金価格が直近での最高額である1トロイオンス1900ドル台をつけた2011年、わが国では金の売却が活発化し、結局、同年の純輸出量は約180トンまで増え、ここ数年での最高量を記録しています。この年の世界の金投資需要(地金・金貨)が約1490トンと前年比で24%もの増加となっていることと対照的な結果となりました。

(続く)


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