世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【FRB「雇用の最大化」マネーのバラマキの大義名分に?】巨額債権、インフレで暴落の瀬戸際④

2021-02-27 01:32:51 | 世界共通
前回からの続き)

 前述した理由から、FRB(米中銀)は事実上、金融の緩和(インフレ喚起)はできても金融の引き締め(インフレ抑止)はできなくなっているわけです。でもそれではFRBの中央銀行としての存在意義は消えてしまいます。金融緩和すなわちマネーのバラマキをするだけなら―――ひたすらインフレを起こし続けるだけなら―――政府だろうが企業だろうが、誰でもできるからです。よってこのままだとFRB(じつは100%民間資本の銀行)は(現代社会の最大の権力である?)通貨発行権を米連邦政府とかに奪われかねません。そこで金融緩和に加えて、何か他の、もっともらしい(?)使命を中銀としてのFRBに与える必要が出てくるわけで、それこそが「雇用だと理解しています。

 コロナ禍拡大下の昨年8月のFOMC(FRBの金融政策決定会合)でFRBは「長期的な目標と金融政策戦略」について合意し、物価の安定等とともに「雇用の最大化」をデュアル・マンデート(使命)とすることを公表しました。う~ん、どうでしょう、これ。本来、雇用の最大化に向けた政策は財政出動等と合わせて行政が担当するのが自然だと思われるところ、金融政策を実行するべき中銀がこれを使命とすることには違和感を覚えるところです。で、そのあたりFRBの本意を読むと・・・雇用最大化を金融緩和しかできないことの口実にしよう、といったあたりかと・・・

 以前から書いているように、FRBは、事実上、リーマン・ショック以降は金融緩和一色です。この間、FRBは一時的に利上げをしてはみせましたが、それはそうすることでFRBは自身に金融引き締めができる力があることを一瞬でも市場に示したかったからでしょう。でもそれはしょせん無茶でした。現に引き締めは短期間で終わり、いまは・・・ご存じのとおりアメリカはゼロ金利・・・どころか実質的にマイナス金利状態に没入中です。それに加えて異様な株高・債券高・不動産価格高となっているわけです。となれば、FRBは金融を引き締めよ、といった声が各方面から上がりかねません。けれど上記の理由からFRBにはそれができない・・・し、だからといって、引き締めたらバブルが崩壊して云々・・・みたいな本当の理由を口に出すわけにもいきません。そこで、マイナス金利幅が大きくなろうが何だろうが金融緩和を続けるしかないことの何か他の大義名分が必要・・・となって「雇用の最大化」が出てきた、という次第でしょう、おそらく・・・(?)

 実際、日経新聞によると、FRBのジェローム・パウエル議長は、今月10日の講演で、政策金利の誘導レンジのゼロ金利(って、先日のこちらの記事で書いたように実質マイナス金利)を維持することの理由として、コロナ禍で労働市場の回復が遅れていることを挙げ、同金利を「雇用の最大化まで維持し続け、最大雇用へ十分な進展がみられるまで現在の量的緩和も続ける」と長期の金融緩和を改めて宣言しました。FRBは最大雇用の目安となる数値として失業率4.1%を挙げており、その達成は2023年までずれ込むと予測しているようです・・・

 ・・・って、そういうこと、ようするに雇用最大化が体のいい口実にされているわけですね、FRBにはマネーのバラマキ以外にやれることがないことの・・・

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【暴落リスクが高い先進国債権は米家計ローンか】巨額債権、インフレで暴落の瀬戸際③

2021-02-25 00:23:56 | 世界共通
前回からの続き)

 前回、世界債務の合計が2020年末時点で過去最高の約280兆ドルにまで膨らむ中、これとバランスしているべき世界債権の実勢価額が暴落するリスクが高まっているとして、その典型例として、このうち77兆ドル(約8000兆円)を占める新興国債権(国債など)の存在を指摘しました。

 このような債権の不良化リスクは、何も新興国に限ったことではありません。先進国・・・の債務者債権だって同じ、いや部分的にはそれ以上にヤバいことになっているとみるべきでしょう(?)。なぜならその債務は・・・先述した(主要中銀の市場原理に反した超緩和的金融政策がもたらした)異様な株高・債券高・不動産高モードが保たれてはじめて持続可能なものだから。逆にいえば、この巻き戻しがちょっとでも起これば(市場原理が働けば)、株価も不動産価格も一気に下がり、債務者は債務を履行することが難しくなるでしょう。それは、これらローンの不良債権化をも意味し、これをしこたま抱えた投資家(金融機関等の経営)にダメージが及んで・・・

 上記がもっとも懸念されるのは、本ブログで何度か書いているように、スケールも内容的にも、やはりアメリカ・・・の家計でしょう。以下のように債務額がデカいうえ、株や不動産といったリスク資産の価格の上昇率が日本などよりもずっと高い(それだけ下落時のネガティブな影響もデカいと予想される)ためです。

 トムソンロイターの18日の報道等によれば、米ニューヨーク連銀は、上記と同じく2020年末(2020年第4四半期末)時点の米家計債務が、19年末から4140億ドル増加して14.559兆ドルになったと発表しました。この値、四半期単位ではこれまた過去最高額です。なかでも増えたのが住宅ローン。低金利環境のもとで住宅の購入やローンの借り換えに拍車がかかったためだとのことで、ローン残高は10兆ドルを超えてきました。前四半期からの増加幅は1820億ドルと、(サブプライム・ローンバブル崩壊があった)2007年以来で最大だったとのことです・・・

 上記を常識的に、すなわち市場原理にしたがって考えれば、アメリカでは債務バブル、とりわけ不動産バブルが極端に膨張しているのは明白であり、よってFRBは一刻も早く金融引き締めに向かうべき・・・・なのですが、クドくて恐縮ながら、それはとっくの昔から(?)不可能になっています。本稿の文脈に沿っていえば、金融引き締め→金利上昇→不動産価格等が暴落→ローン債権も暴落→金融機関の財務が悪化→・・・となるからです。なのでFRBは金融緩和を延々と続けざるを得ません・・・が、それは中銀としての自身の存在意義を否定することになるわけです。金融緩和(インフレ喚起)&同引き締め(インフレ鎮静化)の双方ができて、はじめて中央銀行といえるのに、FRBは前者はやっても後者はできない―――マネーをひたすら刷って市中に流すことしかできない―――というのなら、FRBなんていらないよ(米連邦政府が政府紙幣[インフレの元]をバラまくのと同じだよ)・・・なんて言われかねません・・・

 そこで、「金融緩和」オンリーに加えて新しくひねり出された(?)FRBの使命が・・・「雇用だと理解しています。

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【新興国国債、多くが「時価<簿価」で不良債権化?】巨額債権、インフレで暴落の瀬戸際②

2021-02-23 00:01:53 | 世界共通
前回からの続き)

 前述のように、昨年末時点で、世界全体の債務残高が2019年度末比で9.4%増の281.5兆ドル(約3京円)と過去最大に膨張したそもそもの要因は、リーマン・ショック以降、FRB(米中銀)に代表される主要中銀が続けている金融緩和によって市場原理が機能しなくなり、株高・債券高・低金利という、本来はあり得ない金融環境が生じたため、(日本以外の?)誰もが株、債券、不動産、絵画(?)などなどのリスク資産投機の原資を得るべく借金を重ねた結果、といえるでしょう。そして昨年はこれにコロナ禍対策の財政出動(各国の国債など)が上乗せされたかたちとなっています。

 で、いうまでもありませんが、債務の額は債権の額と等しくなるわけです、帳簿上は。よって上記を、債権残高が「281.5兆ドル」に膨張した、と言い表すこともできるでしょう。が、繰り返しますがこれは簿価であって、時価はどうなのか、といえば・・・バランスしているとは言い難く、実勢価格的には不良債権、すなわちその債権の現在価値は債務よりも相当に低く、多額の含み損を抱えている状態、といえるのではないでしょうか・・・

 このあたり、真っ先に思い浮かびそうなのが新興国の債務(債権)でしょう。上記約280兆ドルの世界債務のうち、新興国分は約77兆ドルと、これだけで8000兆円(日本のGDPの十数倍!?)を超えるほどのスゴ~いスケール。こんなに膨らんだのも上述の金融環境(新興国は超低金利の外貨[≒ドル]をじゃんじゃん借り入れ、欧米投資家は「名目金利」の高い新興国国債とかに市場調達した低金利ドルをじゃんじゃん投資、等)のせいですが・・・この規模感からすれば、新興国には返済は絶対に不可能、ってことは自明でしょう(?)。だって、かの国々の大半は、相変わらず経済成長できていない―――石油や鉄鉱石や農産物などといった原材料・一次産品を売るだけで、これらをより高く売るための付加価値をつける能力がない―――わけで、であれば、国家運営におカネを使うことに加え、利息分を払いながらこの巨大債務をちゃんと(欧米投資家に対して)履行するなんて、無茶でしょ、ってことです。

 実際、コロナ禍拡大もあって、昨年はアルゼンチン、レバノン、エクアドル等がデフォルトに至ったほか、現在は南アフリカ、インド、ブラジル、メキシコなどの経済規模が比較的大きな国々でも同リスクが高まっているといわれます・・・

 上記を逆から見れば、それだけ新興国の国債等という「債権」は、価格暴落のリスクに満ちている、ということなります。よってそれらのうちの多くは「時価<簿価」となっている---現時点でも、相当の含み損がある---と想定され、これがデフォルト等によって顕在化したときは、債権者(投資家)にも大きなダメージが及ぶのは避けられないでしょう・・・

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【世界の債務残高、20年末は前年比9.4%増の約3京円!】巨額債権、インフレで暴落の瀬戸際①

2021-02-21 00:02:25 | 世界共通
 戦慄するべきは債務額の巨大さ・・・ではなく、債権額の巨大さのほうでしょう、わたしたちにとっては・・・

 17日、国際金融協会(IIF)は、2020年末時点における世界全体の債務残高が過去最大の281.5兆ドル(約2.97京円!?)と過去最大に達したと発表しました。2019年比で9.4%も増えていますが、そのおもな理由は新型コロナウイルス感染拡大への対策として各国が財政出動した結果。実際、19年末に320%だった世界債務のGDP比は355%に急上昇し、その対年増加幅はリーマン・ショック直後の2009年(15ポイント)を上回ったとのことです。今年の世界債務の増加ペースは感染拡大前を上回る見通しで、IIFは債務水準が安定化する兆しはほとんどなく、さらに債務が膨張するリスクを指摘しています・・・

 まあ・・・IIFの上記発表はいまさら驚くに値しないでしょう。これだけ延々と・・・って、上記リーマン・ショック直後から10年以上もの長きにわたってFRB(米の中銀)・・・をはじめとする世界の主要中銀が金融緩和―――国債に代表される債務を市場原理では説明のつかない高値で買い支えて金利をこれまた市場原理では起こり得ないくらいに引き下げることで借金による投機を煽り立てること(?)―――を続けているわけですから。であれば、(日本以外の世界の)誰もが、この超~安い(低金利な)おカネを借りて、少しでも利ざやを稼げる対象に投資しよう、というものです。それはプロの投資家はもちろんのこと、フツーの人々だってそうです・・・って、等を買うために手持ち株の値上がり等を前提に(本来ならば[市場原理下なら支払い能力が無いとされて]借りることができないはずの)多額のローンを組んだりしている、といったことです。そんなこんなで・・・上記債務が積み上がった、という次第。

 さて、この債務と同時に、金融市場には当然ながらそれと同じ額の、膨大な債権が存在していることになります。つまり、投資家等が持つ国債社債不動産担保証券、住宅・自動車・学資等ローン債券、などなどです。これが増えたのも上記の金融緩和のせい、つまり中銀が(借金投資がしやすいように)金利を引き下げようと国債等を(これまた市場原理では説明のつかないほどの)高値でじゃんじゃん買い上げたために、あるいは中銀がこうして高値で買い取ることが容易に想定されるので投資家が買ったことなどから、債権もまた債務とともに過去最大額にまで膨らんだ、ということ。

 これらの結果、目の前に生じているのが、こちらの記事を含めて以前から指摘している「双子のバブル」(株バブル&債券バブル)になります。通常の景気循環のもとでは、おおむね、好況(景気過熱)のときは株高・債券安(高金利)、不況のときは株安・債券高(低金利)となって、株と債券の両者が同時に高くなったり低くなったりすることは考え難いところ、上記の中銀の市場介入によって金利が異常に低下したことで、ありえないはずの「株高・債券高(低金利)」が現出しているわけです、しかもともに史上最高額―――足元でダウ平均は最高値付近&債務債権額も上記のとおり―――という究極のスケールで・・・

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【ワクチン接種受ける気なし4割、政府・メディアの前向きぶりとギャップ】マーケットから推測するワクチンの今後③

2021-02-19 01:12:10 | 日本
前回からの続き)

 前述したように、新型コロナウイルスワクチンの開発にいち早く成功したとされるアメリカの製薬大手ファイザーの株価は、昨年12月上旬に約42ドルの高値をつけた後はじりじりと下がって、直近(日本時間2/18)は34.9ドルと同高値から2割近くも低くなっています。このあたり、市場関係者が指摘するように、ファイザーの上記成功はすでに株価に織り込まれた、つまり同業他社が次々に新ワクチンを市場に投入してきそうな中、ファイザーの先行者としてのアドバンテージの賞味期限はもはや過ぎつつある、ということなのでしょう・・・

 そのように考えると、わが国で17日から接種が始まった同社製のワクチン1億4400回分(7200万人分)は・・・あくまでも個人的な推測ですが、ちゃんとすべてが使われるよう、水面下ではいろいろなところから(?)プレッシャーがかけられているのではないでしょうか(?)。そうなってはじめてファイザーは日本から約30億ドル(これまた個人的な推算)もの巨額売り上げをゲットできる(のかもしれない)し、今後は競争が激しくなって、こんなオイシイ(独占的な)商売ができるフィールドはそうは見つけられないでしょうから・・・

 そんな、(ひねくれた)勘繰りをしてしまうのは、国会審議とか本邦メディア報道などを通じても、このファイザーワクチンの真のリスクが正しく伝えられているようには思えないから。ここでいうリスクとは、接種直後に現れるとされるアナフィラキシー・ショック等の副反応・副作用のこと・・・ではなく(って、その確率は極めて小さいことは理解している)、mRNAタイプのこのワクチンが、接種を受けた人々とりわけ若年層(なかでも先行接種を受ける若い医師・看護師・介護士等)の精神や身体に中長期的に何らかのネガティブな症状等を発現させ得るリスクのことです。このあたり納得できる説明が聞かれないところにモヤモヤ感がぬぐえないし、だからこそ政治家センセイとか政府(厚労省)関係者らがTVカメラの前で自ら率先してワクチン接種を受ける、みたいなパフォーマンスを演じないのかな、なんて思ったり・・・

 17日時点のYahoo!のワクチン関連ニュースにある「みんなの意見」における、「ワクチン接種、あなたの考えは?」によると、総数43万票あまりのうち「すぐに接種を受けたい」が30%、「様子をみてから接種を受けたい」が28.5%なのに対し、「当面接種を受ける気がない」が39.2%となっていて、意見が二分されている印象です。この割合を見ても、ファイザーワクチンの政府説明&メディア報道の前向き一辺倒ぶりと、国民の同ワクチンに対する感じ方に相当なギャップがある様子が窺えます。このギャップが埋まらない限り、この国でファイザーワクチンがすべて使用され、同社が予定どおりの売り上げを確保するのは難しいように思えますが・・・

 ・・・って、どうしてもこのワクチン、現状、ファイザー一択なだけに、同社の収益・利益そして株価と関連付けて考えてしまいます。でもそうした視点、同社ワクチン接種を受けるか否かの、ひとつの判断基準になると思いますよ・・・(?)

(「マーケットから推測するワクチンの今後」おわり)

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【ファイザー株価、じりじりと下落中…】マーケットから推測するワクチンの今後②

2021-02-17 00:38:03 | 日本
前回からの続き)

 いよいよ本日から医療従事者への先行接種が開始されることになった新型コロナウイルスワクチン。これ米製薬大手ファイザー等が開発したもので、14日、本邦政府が特例承認した第一号ワクチンです。英アストラゼネカと米モデルナも自社ワクチンを承認申請中ですが、そのめどはたっていないみたい。ということでファイザーは、日本という巨大マーケットで、1億4400万回分(7200万人分)のワクチンを独占的に供給・販売することになりました。その総額は・・・前述した個人的な推測に基づくと、約30億ドルといったあたりでしょうか・・・

 ところで、そんなファイザーの今年の売り上げ予想は594億ドル~614億ドルとのこと。そのうちワクチンからの売上高は150億ドルほどと見積もられています。ということは同社の全売上のじつに1/4が、このワクチン販売によるものになります。今回、わが国においても上記の大型ワクチンビジネスが無事に(?)スタートするわけで、同社の役職員・・・そして株主は、これを大いに歓迎しているところでしょう。ファイザーとしては、日本でのこの成功をステップに、上記販売目標を早期に達成するべく、ワクチン事業にいっそうはずみをつけていきたいところです・・・

 ・・・ってあたりを思うと、ファイザーの株価は上がっているのだろうな、なんて想像をしてしまいそうです。ただでさえダウ平均は史上最高額付近を推移するなど米株式市場が超ヒートアップしているなか、このように同社のワクチン販売は順調そうに思えるから。しかし実際には、ここのところの同社の株価は上昇しているわけではありません。直近(日本時間2/16)は・・・34.7ドルで、年初(36ドル台後半)よりも下がってきています・・・

 ファイザー株については、同社と独ビオンテックが開発したワクチンの接種が英国で開始された昨年12月8日に2020年初来最高値の42.56ドル(終値)をつけました・・・が、その後はじりじりと下がって、いまは上記のとおりです(ちなみに14日の日本の特例承認なども、株価の動きを見る限りはプラスの材料にはなっていない感じです)。このあたり、ファイザー株の日米の掲示板を見ると、(日本でワクチン接種が始まるなどの好材料があるのに)どうして上がらないの?動かないの?みたいな書き込みが多いように感じられますが、そこは市場関係者の多くが指摘するとおりなのでしょう、つまり、ファイザーがワクチン開発にいち早く成功したことの評価はすでに株価に織り込まれた、ということ。

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【政府、ファイザー社ワクチンを特例承認、17日から接種開始へ】マーケットから推測するワクチンの今後①

2021-02-15 00:20:25 | 日本
 今後どうなるか?は、けっこうマーケットの反応を見ていくと予想できそうな気がしますが、どうでしょうか・・・

 ご存じのように、厚生労働省は14日、米製薬大手ファイザー(Pfizer)の新型コロナウイルスワクチンの製造・販売を特例承認しました。国内の試験の結果、その有効性と安全性が確認できたため、としています。これをふまえ、17日には医療従事者(1~2万人ほど)に対する先行接種を開始し、3月に約370万人の医療従事者に、4月から65歳以上の高齢者(約3600万人)を対象に接種を始める予定とのこと。なお英アストラゼネカと米モデルナも政府に対して上記承認の申請をしていますが、そのめどが立っていないことから、当面はファイザー社のワクチンだけが使われます。その日本向けの供給量は、1億4400万回分(7200万人分)とのことです・・・

 ということで、ホント間もなく実際に身近なところでワクチン接種が始まることになりました、が・・・「特例」と付くことから分かるようにその承認までの期間が非常に短いことなどから、国民の側に、これを受け入れる準備ができているのか―――ワクチンとその接種に対する理解等は浸透しているのか、そして疑問点とか懸念点はすべて払しょくされているのか―――については、何とも微妙な気がしてなりませんが、どうでしょうか・・・

 そのあたりこのワクチンには、上記ウイルスに対する戦いの切り札として期待できる面があるのは間違いのないところではあるものの、他方で・・・営利目的の面、つまり、その開発企業には他国や他社よりも早く作って販売することで、独占的な売り上げや利益を得ようという狙いがあるのも否めないでしょう。ここは先日のこちらの記事でご紹介した、ワクチン開発に関する知的財産を盗んだ・盗まれた、みたいな話が飛び交っていることからも推測できるというものです。

 で、その点ファイザーは、日本という巨大マーケットにおいて、上記のように本邦企業を含む他社に大きく先んじたため、そのワクチンを普及させることに成功しつつあります(?)。で、肝心の上記契約の金額(≒日本がファイザーに支払うべき金額)ですが・・・一納税者としてぜひ知りたいところではあるものの、非常にデリケートなためか(?)明らかにされてはいない様子(って、わたしが見落としているかもしれませんが?)。なので個人的に勝手に推算すると・・・ファイザーがワクチン1回分として米政府に対して請求した価格が19.5ドルだったそうなので、日本向けは同20ドルとすると、20ドル/1回分×2回/1人×7200万人=28.8億ドル(約3000億円)ほどになりますでしょうか。これ安い?高い?う~ん・・・

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【米インフレ悪化→治安悪化で現在の金融モードは終了へ?】有望な本邦社債市場、ただし資金の使途に注意⑤

2021-02-13 00:00:12 | 日本
前回からの続き)

 このたびのNTTの大型起債―――NTTドコモの完全子会社化に必要な資金調達のための円建て1兆円およびドル建て96億ドル(ほぼ1兆円)の社債発行―――に関連して思うところを綴ってきましたが、あらためて、これ現在の金融環境にマッチした上手な財務戦略だな、と感じます。もっとも、この(日銀等の主要中銀が超緩和的金融政策でもたらした)人為的なマーケット―――株高・債券高(低金利)そして円安外貨高―――にあっては、NTTの上記起債、そして国内(海外)M&Aは、ごくノーマルな経営判断、という見方もできるでしょう。そのあたり、個人的には、武田薬品工業ソフトバンクグループゆうちょ銀行などなどのケースが〇〇ノーマル(≒高値掴み)であり、将来のこれらの存立を危うくさせるほどのリスクに満ちている、と大いに危惧するところですが・・・

 さて、問題は、この金融環境がいつまで?ということです。これ、こちらの記事に書いた理由から、アメリカの中銀であるFRB・・・ではなく、わが国の日銀が現行の金融緩和を手仕舞いしない限り続くでしょう・・・って思えそうですが、おそらくこれに耐え切れない人々が多数出てくるはずです、わたしたち・・・ではなく、アメリカにおいて。具体的には、かの国でインフレがどんどんひどくなって、中低所得者層やマイノリティー、つまり上記金融環境の恩恵(株高とか)が及ばない多くの人々が経済生活的に追い詰められる、ということ。やがて彼らの多くが反政府・反格差の活動やデモに身を投じ、これが治安の悪化、そして・・・といった展開に・・・って、これ、さすがの日銀でも防ぎ得ないでしょう(?)。

 こちらの記事に書いたように、昨年の半ば以降、アメリカの実質金利(=名目金利-予想インフレ率)はマイナス圏に没入し、足元(日本時間2/12)はマイナス1%を超えてきました(10年国債利回り1.16%-予想インフレ率2.20%[10-Year Breakeven Inflation Rate]=マイナス1.04%)。よって本来ならFRBは金融引き締め(利上げ等)に早急に動くべきですが、これができない(ってことで、FRBは中銀機能を喪失してしまっている)のは、最近のこちらの記事を含めて何度も本ブログで指摘したとおりです。かくしてマイナス金利はさらに拡大・インフレは悪化する以外にないでしょう、米市民の我慢の限界を超えて・・・

 ・・・といったなか、あと数年もの長き間、つまりNTTドル建て債の返済期限到来のころまで現行の円安ドル高(アンチ市場原理)モードが保つのか・・・って、これまた我慢の限界を超えてしまうような気が・・・(?)

有望な本邦社債市場、ただし資金の使途に注意」おわり)

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【外貨建て資産買いはNGも外貨建て借金はOKかも】有望な本邦社債市場、ただし資金の使途に注意④

2021-02-11 00:38:15 | 日本
前回からの続き)

 前回、昨年12月にNTT(NTTファイナンス)が発行予定とした総額96億ドル(日本円でほぼ1兆円)の「ドル建て社債」は、今後、高い可能性で起こるであろう円高ドル安により、数年後のそのドル借金(≒96億ドル)の円換算額は大きく減っているだろう、と書きました。これ、当然ですがNTTにとっては、1兆円借りて数千億円の返済で済む、ということで、この先の金融・経済情勢(円高ドル安必至)を的確に読んだ、非常にポジティブな財務戦略だといえるでしょう(?)。そして投資家にとっても、ほぼ100%の確率でちゃんと(ドルで)利息も元本も払ってもらえるわけで、このNTTドル債、ヘタなジャンク債とかよりもはるかに安全確実な投資対象になりそうです・・・

 ・・・って、これ買って喜べる(?)のは、あくまで欧米の投資家、つまり「ドル>ユーロ>新興国通貨」(実質金利の高い順)の金融環境下にある方々であって、「円>ドル等」つまり実質利回りが世界一高い通貨であるを持つ本邦投資家ではないのはいうまでもないところ。いま96億ドル(ほぼ1兆円)投資して数年後に96億ドルにちょっとのドル利息がゲットできる・・・っても、その円評価額は・・・たとえば1ドル70円になっていたら6700億円あまりと3割以上も元本割れするおそれがあるわけですから。このあたり、こちらの記事等も含めて何度も書いているように、わたしたちは、いまは米国債に代表される、ドルを含むすべての外貨建ての資産に・・・まあ短期ならばともかく、中長期で投資するなんてことは避けた方が無難だということ、たとえそれがNTTのような本邦企業のドル建て社債であっても、です。

 上記をまとめると、現局面の日本は、ドル債権を買うのはNGですが、ドル借金をするのは、けっこうOK、といったあたりでしょうか。もちろん、外貨建ての債務を増やすことは、どの国にとっても、原則、好ましいこととはいえません。それは、現在、ドル借金をスゴい勢いで膨らませてしまった新興国を見れば分かる、つまり、ドル借り入れ国はその発行国であるアメリカに自国の経済・金融・通貨を意のままにされかねない、といったこと。

 しかし、この点、わが国に限れば・・・日本は世界一の純資産国で、その額は数百兆円もあるわけで、したがって外貨建ての債務が円換算で数兆円程度増えたくらいで、この国の経済・金融等の基盤は揺るぎようがありません。むしろ上記のメリット(円高ドル安の進行で円換算の債務額が減っていくメリット)が期待できるので、大手企業で、NTTのように、とくに国内のM&A等のために資金を集めたいところは、外貨建て社債を発行して欧米から資金調達するのが得策に思えます(って、もちろん国内起債でもNTTがそうだったように低コストでおカネを集められるでしょうが・・・)。

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【NTTドル建て債、円高進行で数年後の支払負担は減少か】有望な本邦社債市場、ただし資金の使途に注意③

2021-02-09 00:02:16 | 日本
前回からの続き)

 前回、本邦企業による社債発行が増えている中、これで調達されたおカネによる海外M&A(外国企業等の買収・合併)は、現下の株高に加えて外貨高のダブルの高値掴みリスクがあるため、当該企業の今後の資金繰り等にダメージを与えかねない(社債価格が大きく下落しかねない)、といったネガティブな見方を示しました。

 この点、先述のNTT(NTTファイナンス)の1兆円起債のケースは国内のM&A、つまり同グループ傘下のNTTドコモの完全子会社化のための買収資金を調達するもの。よって外国案件とは違って為替リスクは生じません。まあここ数年の株高はあるものの、前述したように、わが国の株価は欧米等ほど極端な高値には達してはいないので、高値掴み等のリスクは許容範囲と思われます(?)。それに、ご存じのとおり携帯電話事業は5G展開等でさらなる成長が見込める分野であり、かつ、こちらの記事等でも述べたように、携帯市場が数社による寡占状態となっているなか、ドコモの経営基盤は引き続き強固、ということで、この完全子会社化でNTTグループはいっそう総合力を発揮し、この程度の借金を十分に上回る収益・利益を得ることができると予想されます(?)。

 ここでもう一つ、NTTの社債発行が個人的にポジティブと感じられる点が、上記円建て債のほかにドル建て債を発行しようとしているところ。ブルームバーグ等によれば、その総額は96億ドルとのことで、現在の為替レートからすると、ほぼ1兆円になります。

 で、ドル債の何がいいのか、ですが・・・上述のようにいまは円安ドル高のところ、今後は以下の事情で為替レートが円高ドル安に向かうと考えられるため、そのドル借金の円返済額が減ると見込まれるためです。つまり、いま96億ドル≒1兆円を借りておいて、将来、1ドル60円(!?)のときに96億ドル≒約5800億円を返す、といったことで、この場合だとNTTは4割以上も債務を減額させることができそうだ、ということ・・・

 こちらの記事を含めて何度も書いているとおり、コロナ禍対策もあって、アメリカは財政赤字を膨らませるいっぽうです。先月15日、ジョー・バイデン現大統領が総額1.9兆ドルもの追加経済対策を打ち出しましたが、その財源をどうすのかは謎。そして同国の貿易赤字も2020年は9158億ドルと前年比6%増の過去最大となりました。このようにアメリカの双子の赤字(財政&貿易赤字)はもはや拡大の一途をたどる以外になさそうで、その結果として、ドルはこれまで以上に大量散布されることになるでしょう、FRBの量的緩和という名の「財政ファイナンス」によって・・・

 であれば、ドルは必然的にマーケットにあふれるしかなく、どんなに頑張っても(って、誰が?)、市場原理、すなわち「円>ドル」のプレッシャーは強まるばかりであり、やがてその力に抗しきれず、上記のとおり円高ドル安に向かう以外にないでしょう。つまり・・・NTTの上記96億ドルの返済の期限が来る数年先には、その円換算額は相当に小さくなっているだろう、というわけです。

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