世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【中国人、日銀のアシストのおかげで日本のダイヤを「爆買い」!】ダイヤモンドからも分かる日銀金融政策のトホホぶり②

2021-04-29 00:39:10 | 日本
前回からの続き)

 前回、わが国ではバブル期に大量に輸入されたダイヤモンドが3兆円ほども眠っているとされ、これがこの10年ほど、とくに2012年以降の(日銀をはじめとする世界の主要中銀による緩和的な金融緩和政策の後押しを受けた)ダイヤモンド価格の急上昇によって、市場に二次流通品(中古ダイヤ)として供給されるようになった、といった状況をご紹介しました。そしてその価格は・・・円建て価格では2012年から2018年にかけて約1.5倍にもなったのですが、先述のとおり、ドルベースではほとんど変化なし、となっています。となると・・・日本人としては、円貨を1.5倍もゲットできるから売りたいでしょう、そして外国人としては、この日本市場にたくさん出回るようになったダイヤを以前と変わらぬ価格(ドル価格)で買いたいでしょう・・・となって、結果としてこの間、かなりのダイヤモンドが外国人に買われていった―――バブル期とは逆に日本から外国に流出していった―――ものと推測されます。で、その買い主の筆頭は・・・もちろん中国人・・・

 「爆買い」―――ご存じ、訪日中国人が大量に買い物をすることです。これが流行語大賞に選ばれたのは2015年、ということで、上記のタイミングと合ってきます。つまり、二次流通のダイヤもまた爆買いされていた、ということ。実際、当時の東京・御徒町(宝石商が多く立ち並ぶ街)などにはダイヤなどの宝石を求める中国人が大挙、押し寄せていたそうな・・・

 この爆買いをもたらしたのは、経済成長にともなう中国人の購買力の上昇・・・以上に先述した日銀の金融政策の結果生じた円安外貨高(この場合は人民元高)といえます。この頃のレートですが・・・2014年秋の日銀の一段の緩和強化によって、それまで100円≒7.5元だったのが同5元に、そして2015年6月には同4.9元付近にまで円安元高になりました。ということは、中国人にとっては、2014年の秋以前は御徒町で7.5万元(100万円)もしたダイヤが、2015年の夏には5万元(100万円)と2/3のプライスにまで下がっているわけで、そりゃ爆買いするでしょう、日銀のアシストに感謝しながら・・・(?)

 こうして「宝石の王様」ダイヤモンドは日本から中国にどんどん流れていったわけです。輸出が増えていい?たしかにそういう見方もできるでしょう。けれど、上記のとおり、中古ダイヤの価格は円では上がったけれどドルでは大きくは変わっていません。ということは、日本全体としては、これを上記の期間に外国に売ったところで、大した利益にはならず、むしろ引き続き持ち続けていたほうがよかった、と思われます。というのも、前述のように、ダイヤ資源はこの先、枯渇に向かうしかなく、その希少性はいっそう高まる―――その価格は、既存通貨の実質利回りを上回るペースで上がっていく―――と考えられるからです。

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【日本に眠るダイヤの総額は3兆円とのことだが…】ダイヤモンドからも分かる日銀金融政策のトホホぶり①

2021-04-27 00:04:16 | 日本
 ダイヤモンド―――こんなところからも読み取れるということですね・・・

 24日、NHKで放送された「有吉のお金発見 突撃!カネオくん」は「みんなの憧れ!ダイヤモンドのおカネの秘密」と題してダイヤモンドとおカネの関係を詳しく伝えました。誰でもご存じのように、ダイヤモンドは宝石の王様であり、それだけ希少なのですが、同番組によれば、ダイヤモンドの埋蔵量は現在でも世界全体で年間30トン弱(約1.4億カラット程度、1カラット0.2グラム)しかないのに、いまから30年後にはダイヤモンドの採掘量がいまの1/4にまで減ってしまうという予測すらあるそうです。それだけダイヤモンドのレア感は今後、いっそう高まる可能性がありそうですが、他方でこの10年、注目されているのがダイヤモンドの二次流通・・・って、いわば中古ダイヤ。この先、新しく地中から掘り出される分がどんどん減るだろう中、これがダイヤの需要にこたえる役割は増していきそうです。で、その二次流通の元になっているのが・・・バブル期に大量に輸入されたダイヤモンドなのだそう。これ、わが国に総額3兆円ほども大量に眠っているのだとか・・・

 さて、ダイヤモンドの価格ですが・・・個々で価格は違うものの、長期トレンドとしては、基本的にはこれまで徐々に上がってきています。そんな中、とくにこの10年間の上昇ペースはそれまで以上に速まっているもよう。まあ上記の埋蔵量の推移をみれば、想像はつくところではあります・・・が、「この10年間」というところにはこれとは別の要因があるでしょう・・・って、中国をはじめとする各国の経済成長ペースが加速したため・・・とかではけっしてなく、毎度おなじみ、主要中銀の超緩和的な金融政策です。これによって市中にあふれ出た超低金利マネーが株、債券、不動産、商品などなどのリスク資産の価額を押し上げたわけですが、ダイヤモンドもまたその投資ターゲットになった結果、その価格は「この10年間」急速に上がった、ということなのでしょう。

 といったことが背景にあって、日本に眠るダイヤモンドの二次流通がいま、活発になっているものと考えられます。で、上記番組によると、その二次流通分の買取価格もまた上昇しているそうで、2012年から2018年で約1.5倍になったそう(2012年で約65万円→2018年で90万円強)。まあそれだけ上がれば、売ってもいいかな、と考えるダイヤモンド所有者も少なくないのでしょう・・・

 ・・・って、ん?2012年?ってことは、これ日銀の金融政策が始まる前年で、円高ドル安の頃になりますね。そして2018年は、いまも続く円安ドル高モードの年。では上記のダイヤの価格をドル換算(2012年の平均レート:1ドル79.8円、同2018年:110.4円)で比較してみると・・・両者とも、ほぼ同額の8150ドル前後になります。つまり、円建てでは1.5倍にも上がった二次流通ダイヤの価格は、何てことはない、ドル価格(国際価格)では6年間、ほとんど変わっていません。ということは・・・当然ですがこのダイヤ、買い取るチャンスですね外国人にとっては日本から・・・

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【市場メカニズム回復後、日本は反転攻勢に移ることができるが…】どう手仕舞う?日銀ETF買い⑦

2021-04-23 22:18:53 | 日本
前回からの続き)

 ということで、前述、そしてこちらの記事も含めて何度も書いているように、わが国が当然の市場原理に基づいて(世界一の経済大国に!?向けた)成長軌道に回帰する過程で不可欠のダメージ(≒高値でしこたま抱えたリスク資産の不良債権化)を少しでも和らげるために、日銀にはいまから上手に動いてほしい・・・(って、もう8年以上もそう思い続けていますが・・・)

 で、このあたり本稿の関係からいえば、上記のとおり現状の(って日銀が演出中の)円安外貨高株高モードでは、日銀は自身が大株主&安定株主になることで、一部の巨大外資(によるM&A)の脅威から本邦企業を守りつつ、少しずつテーパリング(緩和縮小)を進め、やがて本来のモード(日銀はほとんど何もせずともマーケットが自律的に機能するモード)になれば・・・今度はわたしたちが逆に攻勢をかける番、つまり国内外への積極的な投資を進める、といった感じでしょう。その結果、日本は世界の優良企業やら鉱山の権益やらの相当部分を手中にできるはずです(?)。

 他方、この過程で、株や債券の多くの価額が暴落することで、それまでの株高債券高がいかにバブリーで虚飾に満ちたものだったかが明らかになるでしょう。そのなかで生き残るのは・・・真に市場価値のある技術や魅力等を持つ企業・・・と独占的な利益で潤うIT大手くらいで、じつはわたしたちの本来のバーゲニングパワーからすれば、これらの大半は買えてしまえるでしょう(?)。しかも、まだ大量におカネが余って・・・

 ・・・って、じゃあその残金でどうする?って、これまた簡単なこと、すなわち日本国債投資くらいしかないでしょう?市場モードが回復した世界のどこに、日本国債以上に安全確実にプラスリターンをもたらしてくれる投資対象があるというのか・・・。そして政府は国債発行で集めた低コストのおカネで世界最強の対コロナ禍経済対策を・・・

 ・・・って、毎度の結論ですが、これ難しいことではないように思えますけれどね・・・って、やっぱり難しいか何かと・・・(?)

(「どう手仕舞う?日銀ETF買い」おわり)

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【外資の脅威から本邦企業を守るためにも金融政策の転換が必要】どう手仕舞う?日銀ETF買い⑥

2021-04-21 22:39:46 | 日本
前回からの続き)

 前回、現行の金融政策の結果、日銀が多くの上場企業の「大株主」になっていることについては、本来の市場原理からすればけっして好ましいことではないが、あくまでの現状の円安外貨高株高の局面に限定すれば、これを他国企業のM&A等の脅威から本邦企業を守る防波堤とみて、許容する、と考えるのもアリかも、なんて書きました。これまた上述のように、損得勘定で動く他の投資家(株主)と違って、日銀は唯一(?)の「売らない」安定株主、しかも大量の株を持っているわけで、これが結果として外資を退ける---本邦企業が有する技術や人材などの対外流出を防ぐ―――役割を果たすことになるかも・・・

 ・・・などと綴っていたら、中国のIT大手テンセントHDが楽天グループの大株主なったために、日米両政府が同社を経済安全保障の観点から監視する方針を固めた、と報道されました。これ、どうとらえるか、ですが・・・市場のことは市場で、の立場からすると、楽天側が語るように、テンセントの出資は純投資であり、したがってこれに政府という公権力が介入することには賛成しかねます。が他方で、ここまで書いてきたように、こうして日本の大企業に巨額の出資をさせる―――場合によっては買収・合併してしまう―――だけのパワーを中国(はもちろん米欧等の)大資本に授けているのは・・・ほかならぬ日銀といえる面があるわけで、そのあたりの是非を、このたびの楽天のケースからも考えてみてもいいのかな、なんて思います。ちなみに・・・わたしは市場原理を尊重するものですが、それでも――純粋な市場原理に基づく出資等であっても―――本邦企業が(中国、アメリカ、欧州等の国の違いによらず)外資に乗っ取られるのは不愉快だし、これをむざむざ許すような政策等にも同様の思いを抱き続けています・・・って、もう8年以上も・・・

 ・・・って、表題についてあれこれ書いてきましたが、(外資等の脅威から自身を守り、対抗し、逆に反転攻勢をかけるためにも)やはり、わが国は、こちらの記事等を含めて以前からシツコク述べているように、真の市場原理を取り戻すべきだと思います。これを妨げているのは、たった1つ、上記、日銀の金融政策ですので、その方向転換を早く求めたいものです・・・って、具体的には「インフレ年2%目標の取り下げ」そして「実質ゼロ金利政策(名目金利-予想インフレ率=0)への回帰」あたりでしょうか。たしかに、本稿で述べた、買いすぎてしまった株の扱いを含めて、この政策の変更にはたいへんな痛み(公的金融機関の債務超過転落や年金原資の急減等)がともないそうです。しかし、とくに国外の諸情勢をふまえれば、どのみち市場原理が働く方向に逝くしかないでしょう。であれば、自分のほうから動いた方が、まだ損害を小さくできる可能性が高いというものです・・・(?)

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【「大株主」日銀が外資買収から本邦企業を守る面もあるかも…】どう手仕舞う?日銀ETF買い⑤

2021-04-19 00:02:05 | 日本
前回からの続き)

 前回、日銀上場投資信託ETF)の購入を通じて上場株式を保有しすぎてしまった(?)ことについて、マーケットのことはマーケットに委ねるべき、という当然の視点から、日銀はこれを徐々に減らすべく、株価が高値圏にあるときは売り、下落局面でも(株価が損益分岐点を下回らないくらいまで)できるだけ耐える(買わない)ようにする、みたいな、これまた当たり前の策を書きました。

 もっとも、上記を市場に大きなインパクトを与えないように少しずつ行うとなると長期間を要することになりそうです。なので、ちょっぴり見方を変えて・・・(あくまでも)現局面での日銀の「大株主」化を多少は肯定する、すなわち外資による本邦企業のM&Aの防波堤と考えてみる・・・のもよろしいかと本稿2回目に書いたように、今年3月末時点で、日銀が発行済み株式の20%以上を保有するに至った企業はアドバンテスト、ファーストリテイリング(ユニクロ)、TDK、太陽誘電の4社で、10%以上は京セラ、ファナック、キッコーマンなど71社にもなっているわけですが、これらはいずれも、経済成長そして国家戦略的な面からも、わが国にとって大切な企業ばかりです。よって、いつ他国の企業等の買収ターゲットになってもおかしくはありません・・・

 この点で、いまは円安外貨高株高であり、まあ本邦株価も上がってはいますが、他国とくに米欧中の市場はいっそうヒートアップし、またドルやユーロ等が円に対して控えめにみても50%(!?)は強くなっていて、一部の外資のマネーパワー、とりわけ本邦企業に対するM&A力が異様に膨張しているといえます。わたしたちの立場からすれば、これ脅威といえるでしょう、先端技術や魅力ある商品等を有する「虎の子」がヨソ者に奪われやすい状況になっているのですから・・・

 ・・・って、ここで「大株主」の日銀が立ちはだかる、というわけです。外資に狙われた本邦ハイテク企業A社にとって、日銀という株主はとても心強い存在でしょう。なぜなら・・・日銀はA社の株を(おそらくは絶対に)売らないからです、たとえM&A計画が露わになって株価が跳ね上がったとしても。まあ・・・日銀が株を売らない本当の理由は、安定株主としてA社を外国人から守ろう・・・というのではなく、先述したとおり、つまり、自身の金融政策のスタンスを維持したいためなのでしょうが、ともかく、結果としてこうして大株主の日銀が株を手放さなかったことで、外資はA社の買収を断念して退散し、わが国はA社の持つテクノロジーや優秀な人材等の外国への流出を免れた、みたいな・・・

 ・・・って書きましたが、最近ではこちらの記事等でも述べたように、その外国人らのマネーパワーを押し上げ、逆にわたしたちのそれを削ぎ落とし、上記のリスクを高めているのは、ほかならぬ日銀自身だから、何をか言わんや、ではありますが・・・

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【日銀ETF、株価高騰時に売り、下落時には買わずに耐えるべきだが…】どう手仕舞う?日銀ETF買い④

2021-04-17 13:10:25 | 日本
前回からの続き)

 金融緩和政策の一環として日銀上場投資信託ETF)の購入を通じて保有するに至った株式の合計額が50兆円超にまで膨らみ、そのせいで日銀が「大株主」となっている上場企業も増え続けているわけですが、これ、もはやどこに向かうわけにも―――さらに買い進めるわけにも、いっぽうで売るわけにも、さらに現状維持でとどまるわけにも(?)―――いかなくなってしまっています、これまで綴った理由から・・・

 けれど、そうはいっても、日銀は何とかしない(日銀に何とかさせないと)とならないでしょう。まあ現実的な策は、市場の動きを注視してETFを売買しつつも、差し引きでは保有株が徐々に減っていくようにする、ということ。単純に株価が高い時には少しずつ売って(絶対に買い増さないようにして)、その逆ではちょっと買う(けれど上昇に転じたら購入を即、やめる)みたいなことを地道に繰り返していく、といった感じ。このあたり、たとえば、今週末の日経平均は29,683円と高水準・・・どころか少なくともこの10年くらいのスパンでは最高値付近にあるわけです、コロナ禍の最中にもかかわらず。であれば現局面は、日銀は静かに(?)売却を進めるべきでしょう。いまは世界的なリスク・オンだから、きっと外国人投資家が「高値掴み」してくれるはずで(?)、この売りが株価急落のトリガーとなる可能性は低いと思われます。そして日銀には売却益が生じ、保有株の損益分岐点も徐々に下がるでしょう。本稿1回目で書いたように、今年3月末時点のそれは日経平均で2万436円だそうですから、まだ「余裕」はあるようにみえます。なので、いまから上記を進めていけば、将来の不可避の(?)ダメージを少しは和らげることができそうです。

 他方、むずかしいのは株価の下落局面です。上記した理由から日銀は、実際には、ちょっとした下げでもETFを購入しようとするでしょう。ですが、望ましいのは、可能な限り買わずに耐えること。というのも、この先の比較的短期間は上記リスク・オン(≒外国人投資家の買い)が継続するだろうから、日銀があえて買いを入れなくても、やがて株価は一定の水準にまで自然に回復すると予想されるためです。となれば日銀には、ここは何とか辛抱してもらいたいところです、中長期的なリスク・オフ(≒市場原理)局面での損害をできるだけ小さくするために。

 本稿1回目に書いたように、そしてこちらの記事等でも述べたとおり、個人的には、日銀の株購入は、市場が異様に冷え込んでいる場合(PBRが1以下の株があふれているような場合)とか、金融システム救済や外国人に渡したくない企業の救済の場合等に限定されるべき、ようするに上記の極端な局面を除く通常モードでは、市場のことは市場(市場原理)に委ねるべき、と考えているので、日銀にもこれに近い政策スタンスに立ってほしいな、と思うわけですが・・・

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日銀がETF買いを続けるのは、円安ドル高を維持したいから】どう手仕舞う?日銀ETF買い③

2021-04-15 22:56:25 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、金融緩和策の一環としての上場投資信託ETF)購入を通じて日銀が保有するに至った株式の3月末時点の額は約51兆円、そして日銀が「大株主」となりつつある上場企業もじわじわと増えつつあるなか、問題なのは、ここまで膨らんでしまった以上、この株を日銀はおいそれとは売却することができなくなってしまった、ということ。ご存じのように、(世界も、だけど)日本の株価が高値圏にあるのはコロナ禍なのに景気がいいから・・・のはずもなく、日銀が金融政策で低利マネーを吐き出していることに加え、こうして株を買い支える(という安心感がある)からなわけで、ここで、日銀が売りに回った、なんてことになれば、唯一の支えを失った株価は一気に急落し、日銀とタッグを組んで(株の高値掴みを続けて)きた公的年金基金に巨大な含み損が発生し、わたしたちの年金が大きく減額される、なんて悲劇が現実になりかねません・・・

 そして日銀が株価暴落以上に懸念するのは・・・株を売った→日銀がテーパリング(緩和縮小)に転じた、とのメッセージが日本のみならず世界のマーケットに伝わることでしょう。つまり、いまの世界の資産バブルの大元である日銀がマネー吐き出しを縮小・停止したら・・・ということで、このあたりは最近ではこちらの記事等に書いたとおりです。すなわち、当たり前の市場原理が働いて・・・ドル安・円高が急激に進む、ということ。その意味することは・・・

 こう考えると、日銀には上記保有株の売却はまずできない、とみるべきでしょう。それをきっかけに、電気代、ガソリン代、小麦粉などの価格が急激に下がっていき、これで国民の購買力が上昇し、個人消費が活気づいて、本邦経済は内需主導で回復・成長軌道に乗り・・・みたいな好循環が生じて、国民が本当のこと、すなわち強い恩恵(≒市場原理)に気づいてしまうからです。そしてそれは・・・わが国が世界経済の覇権者となっていく流れになるわけですが、逆にその地位を失うのは・・・で、そのとき日本は・・・

 ・・・といった方向にならないようにするには、やはり日銀としては(ETF買い支えで)株高を演出するしかなさそうです。まあ株高をネガティブに感じる人はそうはいませんし、これによって株高に必然的について回る(?)円安ドル高へのデメリット(輸入原材料の円建て価格の上昇)への疑問や反発の声が大きくならないでいてくれれば、それでいいはずです、おそらく日銀としては(?)。

 でも、だからといって、こうして日銀の株保有額が増え続けるのを看過するわけにもいかないでしょう。本稿1回目に書いたような問題があるからです。では、どうしたらよいのか・・・

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【日銀、発行済み株式10%超保有はすでに上場71社】どう手仕舞う?日銀ETF買い②

2021-04-13 00:01:05 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、金融緩和策の一環として日銀が買い入れてきた上場投資信託ETF)の合計額が今年3月末時点で50兆円超まで拡大したわけですが、当然、これによって、日銀が「大株主」となっている企業が増えつつあります。ニッセイ基礎研究所の調査によれば、同時点で日銀が発行済み株式の20%超を持つのは、25.2%のアドバンテストを筆頭に、ファーストリテイリング(ユニクロ)(20.7%)、TDK(20.6%)、太陽誘電(20.1%)の4社で、10%以上は71社(京セラ、ファナック、キッコーマンなどなどの有名企業を含む)にもなっているとのことです・・・

 で、このままのペースで保有額を増やし続けて、いったいど~する気?・・・などと、さすがに各方面から疑問や懸念の声が沸き上がることを予想してか(?)、日銀は先月の金融政策決定会合で、ETFの6兆円(年額)の買い入れ目標を撤廃(買い入れ上限12兆円は継続)したほか、同月まで買い入れ対象としていたETFがTOPIX連動型が85%&日経平均連動型が15%(JPX日経400が1%未満)だったのを、TOPIX連動型に一本化しました。このあたりは上記を意識したためでしょう。つまり、日銀としては、上記のようにアドテストとかファストリのような日経平均の構成銘柄を他の株よりも多めに保有することになってしまったので、特定の株の持ち過ぎがこれ以上露わにならないよう、広く薄く株の購入ができるTOPIX連動型だけにした、ということかと思われます。

 ・・・と推測すると、わたしのような素人でも、今後は日経225株よりも、それ以外の株の上昇余地が大きくなりそうだな、などと思ってしまうところではあります。でもまあ、きっと市場参加者の感覚も同じようなものでしょう。が、これ、そもそもヘンなことです。つまり、日銀がどの程度買うか、という意味での予想であって、株価の本来の変動要因であるべき経済情勢とか個々の企業の成長性とか業績予測などとは無関係になってしまっているということ。こうして本邦株式市場はゆがめられ、そしてその歪みは、上記のように日銀は引き続きETFを買うとしているために、さらに拡大していくことになりそうです。

 ここで、さらにやっかいなのは、日銀が保有してしまった株は、量も額も巨大になってしまったため、買い杉を批判されるのですか?じゃあ売りますか、というわけにはいかなくなってしまっていること。そんなことをしたら、当たり前ですが、株価は総崩れになってしまうでしょう、これまでの株価の上昇の最大のエンジン(日銀の「買い」)が逆噴射するわけですから。なので本来なら、日銀は株価が高い局面で少しずつ保有株を売却するべきだったのでしょう、上記のゆがみを少しでも除くべく。しかし実際には上記のとおり、昨年の異常なまでの上昇局面でも日銀はETF購入を続けていたわけで・・・

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【日銀のETF保有額、50兆円超にまで拡大】どう手仕舞う?日銀ETF買い①

2021-04-11 00:01:38 | 日本
 それにしても、いったいどうしてくれる?のでしょうかね、日銀さん・・・

 ニッセイ基礎研究所の発表によると、金融緩和策の一環として日銀が買い入れてきた上場投資信託ETF)の保有総額が、今年3月末時点で昨年同時点から20兆円も増えて約51.4兆円にまで拡大していることが分かりました。同時点での簿価は36兆円(20年3月期は30.9兆円)、よって含み益は15.4兆円とのことです。

 この日銀のETF購入は、2010年に開始されて以降、徐々に引き上げられ、2016年に年の原則額が6兆円にされました。そして昨年3月、新型コロナウイルス感染拡大にともなう世界的な株価の急落に対応するべく、その上限額は12兆円に設定されました。ということからすると、日銀はこの1年で、おおむね上記の原則額ほどのETFを買い入れたようです。

 これスゴいことだと思います・・・って、何がスゴいって、まあ金額の大きさもそうですが、それよりも、日銀がこの株高に向かう局面で、つまりコロナ禍で景気も企業業績も先行きが不透明な情勢にもかかわらず自身を含む主要中銀の量的緩和策で人工的に演出した加熱相場のもとで、これほど大量のETFを買い上げたこと。ここで当然心配されるのが、これが結果として高値掴みとなり、巨額の含み損を発生させることです。これ(個人的には、高値買いを推進した日銀内の責任者に支払ってもらいたいところですが、そうもいかない、ということで)結局は国民の損失(日銀の国庫納付金がなくなる、など)となりかねません。ちなみに同研究所の試算によればその損益分岐点は日経平均で2万436円とのこと・・・

 以前のこちらの記事に書いたように、個人的には中央銀行が直接、株式市場で株(日銀の場合はETF)を売買するのは、原則、ネガティブなことと思っています。中銀というマネー発行体が株を買う(ことでマネーを市中に放出する)と、当該株式の発行企業の真の業績とか、それに照らした適正な株価が分からなくなり、市場が混乱してしまううえ、本来ならば淘汰されるべき企業がゾンビのように生き永らえることとなって、市場の新陳代謝が停滞する、などといった悪影響が考えられるからです。

 けれど、次のようなケースで日銀が市場介入するのはアリだとも思っています。1つめは、株式市場が異常に冷却している、つまり、PBR(株価純資産倍率)が1未満の(株価が1株当たりの純資産額(解散価値)を下回っている)株がゴロゴロしているような場合。もう1つは、経営危機に陥ったけれど金融システムへのダメージを回避する等の観点から救済されるべき金融機関に融資等を行う場合(日銀特融)。その他、唯一無二のハイテク技術を有しているために外資に取られたら国家的損失となるような企業を支えるために資本注入する、なんてのも、例外的に認められるかも。もちろん上記は、これらの企業の株が再上昇したら、日銀は(株価急落をさせないように注意しつつも)株を少しずつ売却していくことが求められると思っています。

 いまの日銀がやっているETF購入は、上記のいずれにも該当しません。よってネガティブ、と感じる次第ですが・・・

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【米の、対立演出で他国に自分を頼らせる策はうまくいかない】アメリカの対中強硬路線は額面通りには受け取れない⑦

2021-04-07 00:10:12 | 世界共通
前回からの続き)

 表題について思うところを綴ってきましたが、米中対立・・・があるかのように(?)アメリカ、とくにいまのジョー・バイデン政権がこうして振る舞うことの背景にあるのは・・・やはり世界が平和になってきていることだと思うわけです。つまり、世界から戦争や対立がなくなったら、アメリカ・・・の強みである「軍事力」を頼ろう(≒おカネを出して守ってもらおう)とする国がなくなってしまう結果、その弱みである「金利」のコントロールが利かなくなって同国は・・・ということで、こちらの記事等でも書いたとおりです。よってアメリカとしては、対立に満ちた世界を望み、その中で自分は世界の警察官として引き続き頼りにされる(≒おカネを他国から貸してもらえる)存在であり続ける必要がある、ということで、絶~っ対にアメリカに逆らうことができない―――ドル以外の資産に基づく通貨金融システムを構築・運営することができない―――中国(とかロシアとかイラン?)を「敵役」に仕立て上げ、みたいな演出を・・・

 ・・・っても、これうまくいくことはないでしょう。いくら日本をはじめとする同盟国が対米投資を増やしても、この程度の額でアメリカが十分に(金利が低い水準で)ファイナンスされるわけはないためです。だから、とくにコロナ禍が急拡大した昨春以降、FRBがファイナンス・・・って量的緩和という名の財政ファイナンスで金利上昇を抑え込んでいるわけです、そのキョーレツな副作用であるインフレ(≒実質マイナス金利)には目をつぶって・・・

 こうしてアメリカ(そしてその陣営に与する(?)中国やロシアその他の国々)の99%(?)の人々の経済生活環境はさらに悪化し、やがて対立・・・っても(形ばかりの?)「米中」ではなく、それぞれの国内での「持てる者」(≒インフレ[借金でのリスク投資]で稼げる者)と「持たざる者」(≒インフレで生活が苦しくなる者)との対立が本当に激しくなり、やがてこれが治安の悪化に至り、さらには暴動そして最悪、内乱勃発へ・・・

 まあいつもながらの結論ですが、こっちの対立はホントに起こっていくだろうし、ずっとマズいことになるような気が・・・

(「アメリカの対中強硬路線は額面通りには受け取れない」おわり)

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