(前回からの続き)
前回まで、「アベノミクス」唯一の取り柄「カブノミクス」(株のみ)崩壊阻止のために安倍政権・黒田日銀は、「2014年10月31日」の株価およびドル/円レートを最終防衛線とした、なりふり構わぬ(?)為替政策および金融政策(およびメディア政策?)を繰り出すだろう、なんて見方を綴りました。その理由は・・・もしこの「背水の陣」が破られて円高株安が進んだら、日銀「異次元緩和(追加緩和)」の意義が失われるのはもちろん、年金基金の巨額運用損発生は不可避となってカブノミクスへの国民の信頼は失墜、これを推進した安倍政権・自民公明与党は憲法改正の成否がかかる7月参院選で苦戦を強いられるため(?)なのですが・・・
しかし・・・どれほど政府・日銀が手を尽くしても、この円高株安の流れは押し留めることはできないでしょう(?)。というのも円高株安をもたらすリスクオフ・モードは、両者の政策グリップが効く日本・・・ではなく日本以外の世界各国―――米欧中そして新興国―――全体の資産バブルの崩壊に由来する構造的なものだから。そしてこれらバブルの清算―――巨大債務・巨大不良債権の処理―――は始まったばかりだからです。
ということでこの先、グローバルな株安、ジャンク債安、原油安、そして(最恐の)米住宅安のいっそうの深刻化は不可避でしょう(?)。さすがの日本政府・日銀でもこれらすべての資産価額の下支えなどできはしないわけです。では、わが国はどうするべきなのか・・・
・・・答えは「なにもしない」―――日本は、手出し無用(よけいな為替&金融政策は不要、市場原理に委ねよ)、というスタンスを取るべし。なぜならわが国は、実体経済は資産効果消滅でしぼむ外需ではなく、資源安と円高メリットを享受できる内需の自律的な振興で、そして投資は、「金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」が教えるとおり、危険な外貨建て資産等を避けて「金」および「円」(日本国債)でマネーの保全を図ることによって、この世界バブルの崩壊局面を乗り切っていくことができると考えるからです。「君子危うきに近寄らず」だ!
そんな、海外発のリスクオフ津波を上手にやり過ごす策をわが国は講ずるべきで、外国資産が大きく減価するいま、円安誘導でそれらに価値を見出し、飛びつくようなことをしてはならないと思っています。これを、近ごろ米経済メディアでよく使われている投資家に対する戒めのフレーズで表現するならば―――「Don’t catch a falling knife.」(落ちてくるナイフを掴むな:価格が下げ止まらないリスク資産を買おうとするな、の意)ということ。なお、世界にとってはラストリゾートのドル・米国債すらも、わたしたち(円>ドル)にとっては「落ちてくるナイフ」であることを忘れずに・・・
にもかかわらず安倍政権、そして日銀は上記のように、掴んじゃって傷つくいっぽう・・・。そのひとつが上述の年金基金、そしてもうひとつが、異次元緩和にともなう日銀の派手な資産買い入れ―――両者に共通するのは、「高値掴み」です・・・