(前回からの続き)
前述したように、アメリカではインフレが高進・・・というより実質マイナス利回り状態が恒常化し、かつそのマイナス幅がさらに拡大しつつあります。よって米国民としては、今後の物価上昇から生活を守るため、この瞬間、手持ちの現金は預貯金(≒米国債投資)に回さず、前述の「紙おむつ」(年利8.7%!?)に代表される生活必需品(モノ)の購入に充てたいところです。そしてそれは、投資家にとっては、原油とか小麦のような商品(モノ)への投資のインセンティブにもなってきます。これらも加わって、アメリカの物価はさらに上昇していくことでしょう・・・
他方で、こうしてモノの値段が上昇し続けていくと、現状、モノよりも利回りが小さくなってしまった米国債に投資する合理的な理由はなくなり、よってこれへのマネー流入が減少し、同価格の低下、すなわち金利上昇圧力を抑制することが難しくなります。となると、教科書的には、米連邦政府は財政赤字を減らすべく増税とか歳出削減等を超特急で進めないといけませんが、いまのアメリカにはそんなことできるはずもなく、それどころかコロナ禍対策などとしていっそうの財政出動をしようとしているわけです。もちろん、その原資は借金、つまりさらなる米国債の振り出しです・・・が、上記のとおり、市場にはこれを買う(米政府におカネを貸す)インセンティブはありませんから、そのままでは米政府は期待どおりのおカネを集められず、いっぽうで金利は上昇一途で、財政&金融システムは崩壊の危機に。やむなく「最後の買い手」FRBが売れない米国債を高値で買い支えますが(金利は急降下しますが)、そのたびにあらたにドルが発行されるわけだから当然、過剰流動性が発生、すなわちインフレになる(実質マイナス金利が常態化する)わけで・・・
とまあ、何度も書いていることですが、アメリカはこうしてインフレで壊れていくしかありません(?)。つまり「国民皆武装」の国でインフレが制御できなくなったら何が起きるか・・・ってことですね。残された希望(?)は、これが現実化するのを少しでも後送りさせることくらいでしょう(?)。そのためには・・・(FRBが上記のようにプリントしたドルではなく)市中にあるドルが(実質利回りは「紙おむつ」[モノ]を大きく下回る)米国債投資に回ってくれることが必須の条件になります。では、いまの世界で、けっこうな量の米国債を買うことができるくらいのドルを保有しているのは誰か、といえば・・・その一番手は、いわずと知れた、中国、ということになりますね・・・