世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【「来年は『新しい戦前』」が真に意味するのは…】戦後最「黒」の年の瀬に②

2022-12-31 00:02:36 | 日本
前回からの続き)

 「新しい戦前」―――テレビ番組「徹子の部屋」に出演したタモリさんが司会の黒柳徹子さんから来年はどのような年になると思うかと問われて、こう答えられたそうです。じつに時宜を得た鋭く、かつ賢い言葉だと思います。

 前述のとおり、いまの日本では絶対的な独裁者「円安様」の様々な圧力が強まるなか、政府・日銀はもちろん、国会報道機関、各種学会などなどの、ほぼすべての言論がこれを礼賛する側に回っています。逆に言えば、これに真っ向ダメ出し・・・は当然として、ちょっとでも否定的なことを口にすることすら、はばかれる雰囲気・・・ってそれは、誰も戦争反対を言い出せないばかりに破滅に向かった戦前と同じだよ、ということ。そのあたりタモリさんは、警告のメッセージを、この言葉に託して視聴者に伝えたかったのでしょう。絶妙です。これ(円安様礼賛者には)「新しい戦前か。そうだよね、中国の台湾への圧力は強まっているし、北朝鮮はしきりにミサイル発射しているからね」とも聞こえる(?)ため、ちゃんと放送できますからね。その点デリカシーの無い、わたしだったら「円安(様)は『』田!?」な~んてモロNG表現を口走ってしまうところですよ・・・

 そして・・・じつはこれ、もっと深い意味を含む言葉といえます。新しい戦前、つまりまったく新しい戦争の勃発・・・にもたとえられるほどの大転換の始まりが目前に迫っているよ、ということです。それは・・・その円安様の圧力が今年、上述のように急激に強まったことからも窺えます。裏を返せば、戦前の大政翼賛会・・・的に強く支えないとマズい・・・ってことでしょう円安様を。そうした危機感の根拠が、本ブログで何度も論じてきた、実質金利の大幅なマイナス状態になります。これ、各位がどれほどがんばったところで、もうけっして解消できないし、それが必然的にもたらす事態も不可避、ということは、本ブログで何度も予想したとおりです(って、さらに加えれば、この窮地にさりげなく追い詰めたのは、ほかならぬ各位ですが[???])。であればコースはすでに定まっています。きっかけとなる出来事が何になるにせよ、その後の展開等は戦争(って内戦?)・・・とも形容されるほどの激しさになることでしょう・・・(?)

 本稿冒頭で、慧眼と書いたのは、タモリさんなら、きっとそこまで見通されているのだろう、と察するためです。そして来年は、きっとそのとおりの年になるでしょう。いや、いいかげん、そうしないといけませんね。というのも、→輪→和→調和そして平和・・・なのに、その円を自分たちから「ないがしろ」にするせいで、前記のとおり真っ「」になっちゃっているわけですから。その愚かさに、もう気が付かないと・・・

 (神が)「和セト令ス」御世も来年で、はや5年目。「大和」民族、正念場・・・の年の瀬ですよ・・・

(「戦後最「黒」の年の瀬に」おわり)

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【タモリさん、来年は「新しい戦前」に、と回答…】戦後最「黒」の年の瀬に①

2022-12-29 12:10:03 | 日本
 「新しい戦前」―――慧眼です。本当にそのとおりですよ。けれど・・・

 わたしたちは戦後最「」のときを迎えている―――以前のこちらの記事に書いた、このことがいま、国民の大半に実感できることでしょう。1991年以来約30年ぶりの高い年率(3%上昇)を記録するほどの物価高。にもかかわらず当時とは真逆に4月以降マイナスを続ける実賃所得上昇率(30年前のバブル末期は同1%ほどのプラスだった)。そうしたところに、降ってわいたかのような国家政策の2大転換―――どう見ても十分に議論した結果とは思えない防衛予算の大幅増額、そして、もっと唐突な印象の(新型原発[メイド・イン・〇〇?]の展開を軸とする)エネルギー政策の原発への回帰―――が、わたしたちからさらに搾取しようとしています・・・

 すべては―――上記のすべては―――何度も綴っているように、独裁君主「円安様」への絶対的な屈従がもたらした結果です。そのあたりは最近ではこちらの記事を含めて本ブログのあちらこちらで綴っているとおりです・・・

 そこは、たとえば、現在いちばんホットなテーマの防衛増税をめぐる議論でも分かります。1兆円あまりの新規の税収増?必要ありませんって、なぜなら現行の防衛予算約5.5兆円(今年度)の実効性を以下のように高めればすむ話だから。つまりこの瞬間(1ドル約133円)のその評価額は4100億ドル前後ですが、年初あたりの為替レート(1ドル約115円)まで「少し」戻っただけで一瞬にして同約4700億ドルあまりと差し引きで600億ドル台半ば(現レートで8~9千億円と1兆円近い額)の兵器武器&燃料等の購買力を確保できちゃう、ってこと。けれど―――法人個人の違いによらず全国民に巨額の負担増が迫っているこの期に及んでも―――誰もこの単純な事実を口にしないわけです。これ(市場原理に委ねることで結果的に)背くことになるためです・・・って円安様に・・・

 アベノミクス」「岸田ビジョン」「新しい資本主義」「成長と分配の好循環」・・・2013年以降に唱えられてきたこれらの国家政策方針は、名前は違えど本質はまったく同じ「黒(田)魔術」(個人的な呼称:日銀黒田東彦現総裁のもとで同年以降いままで継続されている金融政策「異次元緩和」)に過ぎません。つまり、以前から定義づけているように「本当はソンをしているのにトクしているように思わせること」です。こうして日銀そして本邦政府は、円安様の治政がさもスバラシ~かのように国民を錯覚させてきました。

 ですが、上記のとおり本来これソンだから、電気代・ガス代・小麦やコーヒーの価格等の値上がりをとおして、やがて人々は当たり前のことに気づき始めます「ちっともよくないではないか円安(様)」。となって社会不安が高まると円安様の地位が揺らぎかねないので、政府・日銀は、国会はもちろんメディアや経済等学会などに円安賛美・・・って少なくとも円安がもたらすインフレ等の原因が「ロシアウクライナ軍事侵攻」等にあるかのように語るよう、さまざまに働きかける―――いや圧力をかける(?)―――わけです・・・って、ときには(おそらく?)「円安様」が直接介入して(???)。その結果、わが国の全言論が一斉に・・・という次第。このあたりは、これまた既述、本邦「報道の自由度ランキング」の2013年以降の凋落ぶりが物語っています・・・

 冒頭の言葉は、28日放送のテレビ番組「徹子の部屋」に出演したタモリさんが司会の黒柳徹子さんから来年はどのような年になると思うかと問われて答えた言葉とのこと。そう、タモリさんならお分かりいただけますよね、上記のことが・・・

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【オイルマネーに代わり得るのはジャパンマネーのみ】クレディスイス危機が教える石油価格が下がるとヤバい理由⑦

2022-12-23 20:59:37 | 世界共通
前回からの続き)

 前述したことから、現在の原油価格は、株や債券や不動産等の価額を押し上げるべき(そしてスイスの大手金融機関クレディ・スイス・グループ[CS]をはじめとする経営不振下の米欧金融機関の救済資金の源泉となるべき)「元手」(≒投資マネー)として期待・・・するには、まったく達しないほどの低水準(現時点で1バレル70ドル半ばくらい)に留まっています。

 となると、このままでは文字どおりのガス欠でロケット・・・並みの急上昇を続けてきた全リスク資産の価額が一転、墜落しかねません。繰り返しますが、いまの「双子のバブル」(株高&債券高[低金利])のもとでは通常の景気循環における自律的な市場メカニズム(景気回復期には投資家はリスクを取るべく債券を売って得た「元手」で株を買う[とともに金利が徐々に上がっていき、過熱気味の景気を冷ましていく]、同後退期にはリスク回避のために株を売って得た「元手」で債券を買う[とともに借り入れコストが下がっていき、設備投資等が促されることで冷えた景気が徐々に回復していく]、が繰り返されていくこと)が機能しない[株・債券の「総買い」か「総売り」しかない]わけですからね・・・

 で、耐え切れなくなって結局(何度でも)、金融緩和再開となることに。これ上述そして本ブログで何度も論じたとおりで、そうすることでロケットエンジンの再(々・・・)点火を図るとともに、本稿の文脈に沿って言うとオイルマネーに上記「元手」としてのパワーを再(々・・・)注入しよう、と目論みます。

 そのあたり、たとえば直近では15日、ECB欧州中央銀行)が政策金利の引き上げを決めた(市場介入金利を2.5%にした)ものの、その幅が0.5%と過去2回の0.75%から縮小しているところにも表れています。ようするに・・・早くも我慢の限界が近づいてきた、ってことですね・・・って、まだま~ったく届いていないのに、かの国々のインフレ率(11月は10.1%!?)に。まあ無理もないか、オイルマネー注入(サウジアラビアの銀行による増資)で危機を脱した・・・かと思われていた?CS・・・の株価、またまた下がってきているしね(日本時間23日20:00現在約2.8CHFと上場来安値付近)・・・

 こうして、かの国々は高~い原油価格へのいっそうの依存、つまりインフレの深みにますますハマっていくことになります。もちろん、インフレが何をもたらすか、については、世界とくに欧州は自身らの苦~い歴史から分かり切っている・・・にもかかわらず、です。なのでホント、もう救いようがない―――実質マイナス金利から脱せようがない―――ですね・・・

 ・・・ってところに彼ら彼女らを導いたのも、そして(その一部を?)救い出せるのも、オイルマネー・・・の対極にあるジャパンマネーだけ。そのパワーは本来、無双です。そりゃそうでしょうオイルマネー(に代表される全リスク資産)のパワーの上げ下げ(上げ:円キャリートレードを促すべく金融緩和、下げ:その逆)ができるのは唯一、ジャパンマネーですからね。このあまりに単純な事実に、ようやくにして世界が気づき始めた・・・ような気がします・・・(?)

「クレディスイス危機が教える石油価格が下がるとヤバい理由」おわり)

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【石油は、リスク資産として、投資マネー供給源として、価格が高くないと…】クレディスイス危機が教える石油価格が下がるとヤバい理由⑥

2022-12-19 00:02:25 | 世界共通
前回からの続き)

 ずっと前から書いているように、アメリカ(そしてEUや英国など)は、中銀の量的緩和QE)を延々と続けることで株や債券や不動産はもちろん、はては美術品とか「パリ・サンジェルマン」(仏サッカークラブ・・・ってもカタール投資庁が筆頭株主!)等に至る、ありとあらゆる資産の価額を押し上げて、その資産効果で経済を回してきました。その結果、これらの価額は、ありていにいえば「バブル」、すなわち(QEがなかった場合の)それらの本来の価値水準に比べ、例外なく(オソロシ~ほど)高くなっているわけです。ということは、これを別な角度から眺めると、どれか一つでも価格が下がったら非常にマズいことに・・・って、前述のように他の資産にも売りが次々に伝播する展開となってバブル崩壊→資産デフレ→金融恐慌→…の破局になりかねません。

 このあたり、きわめて重大な役割を果たすのが「石油」(原油)になります。それは大きくは以下の2つ。まず一つ目が、それ自体が「先物」という、バブルを構成する一金融商品として、これを膨張、悪くても維持させるだけの高い価格を保つ必要があるということ。そして二つ目は、これが(本稿で述べているスイスの大手銀行クレディ・スイス・グループ[CS]への資本参加等を含む)上記リスク資産投資に必要な「元手」となるべきキャッシュを大量に生む・・・くらいに高い価格を保つ必要があるということ。上記2つの役割の末尾が奇しくも(?)同一になることからも分かるとおり、石油は「高い価格を保つ必要がある」わけです・・・って常時、どころか、もはや永遠に、でしょう(?)。さもないと、アラブの王族・・・ばかりか米欧投資家各位も仲良く?搭乗している「ロケット」の推力がガス欠(≒燃料つまりはオイルマネー供給不足)で失われかねませんからね・・・

 さて、上記投資等の「元手」となるキャッシュですが、こちらの記事に書いたような通常の景気サイクル(好況→不況→・・・)におけるマーケットメカニズム(株高・債券安[高金利]→株安・債券高[低金利]→・・・)で自然に生まれるもの。マネーは株と債券の間を行き来する、といった感じです。ところが、これも同記事等で述べたとおり、欧米諸国はQE・・・って、ようするに中銀の「財政ファイナンス」によるおカネの大乱発で「双子のバブル」(私的造語)つまり「株高・債券高[低金利]」という、市場原理下ではけっして起こり得ない金融環境を出現させてしまいました。これでは、株・債券のいずれも売ることが困難になる(ちょっとでも売ると、その連鎖があっという間に拡大してバブル全体が崩壊しかねない)ため、新規投資の「元手」としてのキャッシュがなかなか出てきません・・・

 ・・・って、だからこそ、その役目を担うべきオイルマネーは貴重だし、もっと市場に入ってきて各種資産を買い支えてほしい、と期待されることに。これ、虚ろなQEマネーと違って石油という実体ある財の取引に裏付けられたおカネですからね。その点は、本稿三回目で述べた、CSの救済者としてのサウジアラビアの金融機関がスイス人から歓迎される(しかない?)のと同じですよ・・・

 で、肝心のそのオイルマネーですが、前述したように原油価格の下落でパワーダウンは否めません。このままでは・・・となるのは上記のとおりです。となれば、これにパワーを再注入するほかないでしょう・・・

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【油価値下がり→流入マネー減少→リスク資産価額下落→…で危機に】クレディスイス危機が教える石油価格が下がるとヤバい理由⑤

2022-12-17 00:02:38 | 世界共通
前回からの続き)

 いま、世界の金融マーケットは非常にビミョ~な局面にあります。ここに一番大きな影響を与えているのは、ご存じアメリカ・・・の中銀FRBに代表される主要各国中銀の金融引き締めにともなう金利の上昇です。で、ビミョ~というのは、単純にみるとインフレ抑止に向けてFRB等は利上げを進めているから株や不動産などのリスク資産の価額はこの先、下がりそうだ・・・となりますが、もう少し深く考えてみると、利上げされても実質利回りのマイナス幅の大きさ(米でマイナス4~5%程度)は同引き締め前と変わっていないからFRB等は本心ではインフレ容認、となると上記価額は現在のもみ合いを抜けて再上昇していくのではないか、といった感じで、う~んどっちかな~といったあたりでしょう。

 とはいえ・・・って、実質金利は大幅なマイナスすなわち相変わらずのインフレ基調でも、名目上の金利の上昇は、もともと金利ゼロのオイル・・・マネーには・・・やはり逆風といえそうです。そこは前述の、原油価格の6月前後から現在に至る下落傾向&下落率の大きさが物語っているように思えます・・・

 このあたり他のリスク資産の価額変動と比べると推測できるというもの。たとえばアメリカでは、米ダウ平均株価は半年前よりむしろ上昇していますし、まあ不動産価格は6月をピークにじりじり下がっていますが(って、これ不良債権累増から金融危機に直結するたいへんリスキーな兆候ではあるものの)、それでも直近(9月)の対ピーク下落率は2.5%程度にとどまっています。これらには、やはり実質マイナス金利が効いている、とみるべきでしょう。となると、オイルマネー(≒産油国)のサイドは、自分の「元手」価額の相対的な低下率が高くなるなか、なおいっそう上記の・・・って、はっきりいえば米欧諸国のリスク資産(株、ジャンク債、不動産・・・)の価額上昇に期待したいところでしょう。そのあたり、本稿で書いている、サウジアラビアの銀行がスイスの大手銀行クレディ・スイス・グループ(CS)に多額の出資をしたことにも表れていると思います。

 ところが、オイルマネーそしてこれを預かる米欧側にとっても、現状のままでは・・・やはり推進力不足のためにマーケットの熱気を維持できない・・・ってことで自身や顧客が求める(最低でもインフレ率を上回る)水準のプラスリターンを確保し続けるのは難しいでしょう。というのも、上記のように投資元本となるべき石油・・・の価格が急落してしまっているためです。となればマーケット参加者は、流入が減ったオイルマネーに替えて新規の投資マネーを捻出しようと手持ちの株や不動産を売却するでしょう。こうした動きが広がれば結局、リスク資産全体の売りが拡大してそれらの価額が低下しかねず、やがて第二第三のCSが現れて・・・っても、その頃はきっと手元資金が枯渇して誰も増資等に応じられずに・・・

 上記で「非常にビミョ~」と綴ったのは、本当はそういうこと、つまりリスク資産全体の大幅な価値低下、そしてこれに起因した世界的な金融危機が勃発しかねない・・・と懸念されるレベルにまで原油価格が下がってきた、ということです・・・っても、同価格は足元で1バレル70~80ドル前後もするわけですが・・・

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【CS顧客はインフレ率を上回るリターンを求めるが…】クレディスイス危機が教える石油価格が下がるとヤバい理由④

2022-12-11 19:53:25 | 世界共通
前回からの続き)

 前述のように、経営不振に陥っているスイス大手銀行クレディ・スイス・グループ(CS)のこのたびの救済スキーム―――サウジの銀行(≒オイルマネー)による出資等―――は、CSの株主、同顧客、そしてスイス国民にとって満足のいくもの・・・とはとても言えたものではありませんが、まあこれでやっていく以外にないでしょうね・・・

 しかし、CS・・・の関係者がたいへんなのはこれからです。CS経営陣は、顧客に対してより多くのリターンをもたらす資産運用等に努めなければなりません。そしてこれに成功して信頼を取り戻し、手数料収入等の各種収益を増やすなどして株価を回復させていかなければなりません。もちろん、CSに虎の子の私財を預ける各国のおカネ持ちや大株主の上記アラブの王族らも思いは同じでしょう。ですが・・・この先タイヘン、というのは、CSは今後、各位が期待する利回りをゲットし続けていかなくてはならない、ということ。で、その期待値のハードルが相当に高い・・・って、ようするにインフレ率を超える運用リターンでないと・・・

 アメリカで約8%、そしてユーロ圏で約10%(!?)・・・。これが現時点での年間インフレ率(対前年同月比:消費者物価指数ベース)です。ということは、CSに多いであろうドルユーロを持つ顧客らはCSに、これを上回るリターンを求めるでしょう。ここでかりに1年後、運用利回りが5%程度に留まったら、実質の資産額はインフレで目減りしてしまいますから、当然ではあります。けれど、運用側としたら、これをかなえるためには・・・ハイリターンが得られる可能性があるハイリスク資産・・・って株とかジャンク債とかに投資するしかありません。というのも、本ブログで何度も指摘のとおり、いまはローリスク・ローリターンの代表格である米欧諸国の国債を買う合理的な理由がない―――軒並み実質マイナス利回りだからこれらを買ったところでインフレ率を上回るリターンは得られない―――からです。となると・・・まあ、うまくいったときはいいけれど、失敗したときは対インフレ率でのリターン不足はもちろん、元本割れすら起こり得る、というリスキーな対象に預かり資産を投入しなければならないわけで、運用担当者は相当なプレッシャーを感じているところでしょう・・・ってCSに限ったことではありませんが。

 ところが・・・ご存じのとおり、足元では米欧中銀が、そのインフレを抑止しようと金融引き締めを進めているわけです。となれば、金利上昇で価額に下押し圧力のかかる株や不動産などの投資パフォーマンスが今後、さえないことになる可能性が高まります。そして、コモディティつまり小麦等とか・・・肝心の?石油の価格は、もっと下がってしまうおそれがあるでしょう。これらは債券等とは違って本来、金利ゼロですからね・・・

 実際、上記したように原油価格は今年6月頃に1バレル120ドル(WTI)前後にまで上がったものの、いまは同70ドル台ということで、たった半年ほどで4割ほども下がっています・・・

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【スイス国民がCS救済のオイルマネーを歓迎するしかない理由】クレディスイス危機が教える石油価格が下がるとヤバい理由③

2022-12-09 20:40:53 | 世界共通
前回からの続き)

 前述したように、産油国は現時点の原油価格「1バレル80ドル前後」もの高さを謳歌している・・・ようにみえて、じつは小麦などの輸入品価格の上昇や、原油のドル売上額の実質価値の低下(アメリカインフレ進行つまり米ドルの単位当たりの購買力の低下)などのせいで、実質的な儲けは期待するほどには増えてはいない、と考えられます。となると、かの国々としては、上記のような石油の販売(貿易)だけだと差し引きの利益の今後が不透明だから、いま手元にある利益・・・って、ありていに言えばドル(石油交換券)を少しでも殖やすべく運用(投資)しよう、という気になる、というものです。

 本稿で書いている、スイスの金融大手クレディ・スイス・グループ(CS)へのサウジ・ナショナル・バンク(サウジアラビア)の資本参加は、こうした意図のもとで決定された、とみるべきでしょう。このCS株は、2007年のサブプライム・ローン・バブル崩壊直前に記録した上場来高値(80スイスフランあまり)の後は長期低落トレンドに移り、今年に入ってからも延々と下がり続け、直近(8日)では3フランにも満たないという上場来安値付近にあります。であれば、いまのタイミングで、たった?15億スイスフランの出資でCSの筆頭株主になれる!というディールは、このサウジの銀行にとってはオイシイ・・・って、上記の目論見を満たしてくれそうに思えることでしょう(?)。他方で、同じオイルマネー系かつ同じ狙いで2008年以降にCSに巨額を投じたカタール投資庁あたりは、ただでさえ保有CS株の値下がりで含み損が拡大していたところの上記増資で、ダメージがさらに大きくなって相当にイラついているでしょうが・・・

 さて、(1856年設立の)伝統あるCSがオイルマネーにこうして取り込まれていく様を、CSの本拠地スイスの人々はどう思っているのでしょうか・・・って内心、やはり複雑な気持ちでしょう。そのあたり、まずは「石油で儲けているからっていい気になりやがって」などと嫉妬も入り混じった感情がわき上がる・・・ものの冷静になってみると「でもオイルマネーの支えがないとCSは・・・」ってことが分かる、といった感じです。そのとおりで、もし今回の増資等が得られなかったら、CSはほどなく過小資本から債務超過に転落し、最終的に「ベイルアウト」・・・って公的資金(≒スイス国民の血税)の注入が不可避となる事態に陥るでしょう(?)。ところがCSは、いわゆる「Too Big To Fail」(デカすぎてつぶせない銀行)であるところ、これに必要な額が巨大すぎる・・・ってスイスの国力(経済規模等)に照らして、といったことになります。となれば、それでも足りないところを同国の中銀であるスイス国立銀行が財政ファイナンス(CS救済資金捻出のために振り出されるスイス国債の直接引き受け)でおカネを大増刷して埋め合わせするしかなくなって、その結果、スイスフランの信認は急降下する・・・ってドルユーロみたいなインフレ通貨に堕する・・・

・・・くらいなら、まだオイルマネーのほうがマシ、ということです。こうしてCS、サウジら、そしてスイス国民も、何だかんだで(?)このたびのスキームで皆ハッピー・・・と思うしかないでしょう。

 しかし・・・

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【産油国も傍から見るほど余裕があるわけではない】クレディスイス危機が教える石油価格が下がるとヤバい理由②

2022-12-07 00:02:39 | 世界共通
前回からの続き)

 前述のように、経営不振に陥っているスイス第2の金融機関クレディ・スイス・グループ(CS)はこのほど、サウジ・ナショナル・バンク(サウジアラビア)による15億スイスフランの出資受け入れを決めました。これによって同行はCS株の10%以上を保有する筆頭株主となります。これに、以前からの大株主であるサウジの投資会社オラヤン・ヨーロッパ、そしてカタール投資庁の持ち分(いずれも約5%)を加えると、合計で同20%あまり。というわけで、現時点でサウジら中東・・・産油国の「オイルマネー」に基づく出資者がこのスイスの大銀行の2割以上を有するに至っています・・・

 このあたり、わたしたち(≒非産油国)の第一印象としては、やはりオイルマネーは強いよな~といったところでしょうか。ご存じのとおり原油価格は、最近では2020年春の1バレル当たり20ドル前後を底に、一時(今年6月頃)は同120ドル近くに達するなど、ここまで大幅に上昇してきました。となると当然、産油国にはそれだけ多くの石油等エネルギー資源の輸出収益がもたらされるはず。であれば、それらの一部を上記投資に回そうというのも・・・まあもっともだな、という気がしてきます・・・

 ・・・が、そのへんを産油国の側に立ってみると・・・下記のように、じつは、かの国々も、はたから見るほど余裕があるわけではなさそう、ということも分かってきます。

 この点、やはり現時点で「1バレル80ドル前後」という原油価格が(産油国にとって)真に満足できるレベルなのかどうか、で考えるところでしょう。たしかにこれ、上記のとおり2年半くらい前からすると4倍近いので、けっこうな高額に思えます・・・が、この間、サウジらがほぼ全面的に輸入に依存する食糧・・・の代表である小麦の価格も、2020年春に1ブッシェル(約35リットル)500ドル前後だったのが、今年5月には一時同1300ドルを超えるほどに急騰するなどの激しい値動きを経て、現在は700ドルあまりと、当時から4割ほども高い水準にあります。となると、かの諸国としては、せっかく油価が上昇して収入が増えたのに、輸入小麦代などの価格も上がって支払い額が増えたため、差し引きの利益は期待したほどでもない、といったことになりそうです。

 そして、この「1バレル80ドル前後」という価格、直近では2014年11月前後にも出現しています・・・が、見た目は同じ80ドルでも、その頃と現時点とを比較すれば、後者のほうが明らかにその実質的な価値は下です。当たり前ですが、この8年間、アメリカではほぼ一貫してインフレが進行した・・・って、ようするにドルの単位当たりの価値がほぼ一貫して劣化し続けたためです。ということは・・・産油国が1バレルの石油の輸出で今日、8年前の80ドル分に等しい購買力を得るためには、その売価としてはほぼ同100ドル(2014年→2022年の通算インフレ率:約24%[出典:IMF])は必要、という計算になりますね・・・

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【クレディスイス、サウジ資本を受け入れへ】クレディスイス危機が教える石油価格が下がるとヤバい理由①

2022-12-05 00:00:55 | 世界共通
 いまはインフレ、つまりモノ・・・って、ありていに言えば「石油」を持つ者が優位な情勢にあることを物語る出来事ですね。ということは、ここでもし石油の価格が下がったりしたら、やはりタイヘンなことに・・・(?)

 スイスの大手銀行クレディ・スイス・グループ(CS)が深刻な経営不振に陥っています。その主たる原因は破綻した英米金融会社とのハイリスク取引が損害を発生させたこととされています。同行は今年第3四半期で40億スイスフランの損失を計上するなど、4四半期連続で赤字となりました。株価も今年は上場来安値の更新が続き、動揺する顧客による資産引き出しが止まらない、といった厳しい状況にあって同行は10月27日、最大で40億フランにのぼる増資や投資銀行部門の売却等を骨子とするリストラ策を発表しました。これによりCSは、国内外の富裕層向けビジネスとかスイス国内の銀行業務等といった、より収益が見込める分野へ経営資源を集中させることでこの難局を乗り越えようとしているようです。

 ここで個人的に注目したのが、増資。報道およびCSのHPによると、最大で15億フラン分を引き受けようというのが・・・サウジアラビアのサウジ・ナショナル・バンク。これにより同行はCS株全体の9.88%を有する大株主になることになります。その他、世界的な金融危機が起こった2008年以降に同行に出資したカタール投資庁、そしてサウジの投資会社オラヤン・グループもCS株をそれぞれ5%程度持つ大株主になっています。

 そのあたり、これほど多額の増資だから1株当たりの純資産額・株主利益は著しく希薄化する・・・と当然、予想されるわけです。実際、CSの株価は、上記発表を受け、直前の4フラン台半ばから暴落し、今月1日には一時2.67スイスフランと、現株主に引受権として提案した2.52フランに接近しました。もっとも先週末(2日)は、アクセル・レーマンCS会長が資産流出がほぼ止まったなどと述べたことで安心感が出たためか一転、同行の株価は値上がりし、終値は2.95フランとなっています。とはいっても・・・この増資がこれまでの株主にすんなり受け入れられるかどうかについては紆余曲折がありそうです(?)。彼ら彼女らは、株価の下落でただでさえ含み損を抱えているところに、上記の希薄化でいっそうの損害を被ることになりそうですからね・・・

 ところで、このたびの増資そして上記の株主構成からも分かることですが、このCSの救済スキームの主役となっているのがサウジやカタールといった中東諸国・・・のオイルマネーということになります。

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