世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【習近平政権、本気で不動産バブルを終わらせる気か?】中国と欧米との癒着ぶりを示す恒大集団のデフォルト騒ぎ⑥

2021-10-21 00:02:28 | アジア
前回からの続き)

 先述したように、中国の不動産大手「中国恒大集団」(China Evergrande Group)の債務危機は、同社の株主、債権者・・・のなかでも同社ドル債をしこたまかかえた欧米金融機関に大損害を食らわすほか、これが対中投資のアブナさを顕在化させることで海外マネーの中国流入が止まり、これに依存していた同国の民間企業の多くが資金ショートに陥って次々に破綻・・・といった危機の連鎖が始まる寸前となっています(?)。これ実際に起こったら、かの国のバブルは派手に崩壊し、不動産価格は暴落して、資産効果も失われて消費が冷え込んで・・・中国経済は非常に厳しい局面を迎えるでしょう・・・

 ・・・って、それを回避するのは簡単です(?)。上記でご紹介の「三道紅線」(3つのレッドライン)と呼ばれる不動産融資規制を緩和・撤廃すればいいだけのこと。そうすればレバレッジ(借金)を利かせた不動産投機が再開でき、同バブルは再度膨張し、恒大ほかの支払い能力は回復し、各社の株価や社債価格も上昇して・・・などと、いいことずくめです(?)。なので、高額のマンション等をいくつも持っているような共産党特権階級はもちろん、彼ら彼女らと利害が一致する欧米投資家もまたこの環境に戻すよう、水面下では中国当局に対して上記規制緩和を求めているに違いありません(?)。

 が、あくまでも現時点での個人的な観測では、習近平政権は本気でバブル退治に乗り出しているように思えます(?)。そこには、不動産バブルを軟着陸(と言われるが、実際にはハードランディング?)させて、その価格を、ある程度の収入のある都市住民が何とか入手できる程度にまで引き下げることで、習体制への支持の拡大や、バブルに乗っかっている政敵の弱体化を図るなどの狙いもあるのでしょう(?)。そのあたり、上記の実行には、恒大の危機に代表される強烈な副作用は避けられないので、どこまで現政権がこれに耐えられるか、はたまたバブル組(中華資産家層&欧米投資家)が巻き返すのか、恒大債権なんぞほとんど持っていないわたしたちは「高みの見物」といきたいところです・・・

 ・・・って人ごとのように余裕こいていたら、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人:公的年金の運用期間)が先月末、中国の人民元建て国債への投資を当面見送る、なんて投資方針を明らかにしました。ということは、戦慄すべきことに?これまでGPIFは中国債をけっこう買ってきたことになりますね。何度も書いているように、人民元建て債券など、市場原理が回復すれば(1ドル110円→同50円になれば)、その円建て価格は現状の半分程度まで一気に暴落するから手出し無用だし、そもそも「Quad」の一員たるわが国は中国におカネ(それも虎の子の年金原資!)を貸すようなことは手控えるべき(?)・・・なのにもかかわらず、実際にはこの有様です。ここから分かることは・・・共産主義者(≒国営金融機関とか国営企業等)のやること(ボロい債券高値掴みボロいプロジェクトへの乱脈融資等)は、中国や日本の違いによらず、どこも同じ・・・ってことなのでしょうね・・・

(「中国と欧米との癒着ぶりを示す恒大集団のデフォルト騒ぎ」おわり)

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【中国、欧米からの借金踏み倒しで海外マネーが途絶えるリスクも】中国と欧米との癒着ぶりを示す恒大集団のデフォルト騒ぎ⑤

2021-10-19 00:02:51 | アジア
前回からの続き)

 先述したことから、深刻な資金繰り危機下にある不動産大手「中国恒大集団」(China Evergrande Group)をはじめとする中国の各企業は、わずかに残ったキャッシュを身内すなわち自国(共産党?)投資家に対する返済にすべて回し、他方で外国人投資家に対する債務はデフォルトする気でしょう(?)。そのあたり、当局(共産党)の圧もあるし、各社の目の前には中華債権者が「カネを返せ!」と押し寄せているみたいだから、まあ仕方ないでしょうね(?)。こうして5千数百億ドルもの中華債権ファンドは、ほぼ「紙くず」と化し?、欧米諸国のほうでも投資家が「カネを返せ!」などと騒ぎ出しそうです(?)。そこで・・・一部の(欧米の)国(の銀行等)は、せめて自分のところの分だけでも回収しようと「抜け駆け」、すなわち、ウイグルや台湾に対する中国共産党政権のスタンスを支持する、などと中国(当局)を突然ヨイショしたりするかもしれませんよ。かの国は、そういうの、効きそうだからね・・・(?)

 まあそんなわけで中国(企業)は、外国からの借金を実質的に踏み倒すことで、巨額債務の軽減を図るつもりでしょう。が、それは一方で、中国企業の海外からの資金調達を困難化させるリスクを招きます。当たり前ですが、今後、外国人投資家は中国への投資を手控えざるを得なくなる―――借金を返してくれない(返せない)相手には、もうおカネは貸せないよ、となる―――いうことです。

 そもそも中国は言わずと知れた世界一の貿易黒字国&外貨準備国です。それなのにどうして同国企業は数千億「ドル」もの借金を外国に対してしているのでしょうか。常識的に考えると、各社は容易に国内で(銀行融資、社債発行などによって)おカネを借り受けることができそうなものですが・・・

 ・・・って、その理由に中国が共産主義国たる所以を見出すことができます。端的に言えば次のようなことでしょう。たしかに中国は上記のとおり貯蓄超過で銀行にはおカネがあるわけです。が、そのおカネの多くは(共産党系の)身内である国営企業に(ろくな審査等もされずに)投融資されるばかりで、民間企業には回りません。よって後者は、高コスト(≒高い利払い負担等)に目をつぶってでもソトのおカネに依存せざるを得ない、という次第です・・・

 本当なら―――中国がもうちょっと市場経済的な国なら―――銀行融資は、ちゃんとした経営のもとで採算の合う事業を展開する企業(≒民間企業)に対して行われ、他方でヤバい経営の企業(≒国営企業)にはローンが貸与されることなく、それらはやがて淘汰されること等で、市場の健全性が維持されるのでしょう。が、そこは共産主義者、つまりおカネを貸す側は乱脈融資、借りる側は乱脈経営で、いずれもおカネを持ち逃げするような感じ(?)。そのあげく、国中に「鬼城」(ゴーストタウンみたいな、誰も住めないマンション群)と不良債権と借金の山が立ち上がる、というわけです・・・

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【中国恒大、国内投資家に利払い実行!欧米人に払う気なし?】中国と欧米との癒着ぶりを示す恒大集団のデフォルト騒ぎ④

2021-10-17 09:00:28 | アジア
前回からの続き)

 やはり・・・前々回に予想したとおりの展開になりましたね・・・

 深刻な債務危機に陥っている中国の大手不動産企業「中国恒大集団」(China Evergrande Group)は、19日期日の人民元建て社債の約1.2億元の利払いを実施する、と発表しました・・・って、同社は9月以降の3回の期日においてドル建て社債の利払い(約2.8億ドル)のほうは行っていないにもかかわらず、です。その意味するところは・・・厳しい資金繰りのなか、同社(と中国当局?)が元建て社債の保有者(自国の投資家)への支払いのほうを優先した、ということ。他方でこれ、ドル債保有者(欧米投資家)にとっては恒大のデフォルト(債務不履行)宣言も同然でしょう。19日に1.2億元ものキャッシュが「身内」に渡れば、同社の手元にはもう「びた1セント」も残らないでしょうからね・・・

 というわけで、UBS(スイス)やブラックロック(米)などなどの債権者は巨額の貸し倒れ損害を食らうことになってお気の毒・・・だなんて、正直、思いません。すべては自己責任だし、中国の一般庶民の苦労はそっちのけで、結果として恒大や共産党特権階級等とともに不動産バブルを煽ったあげくのことですからね・・・

 とはいってもこれ―――過剰債務(それもドル建て債務)―――は、恒大だけではなく、中国の、とくに不動産セクターにおいては、先述のように構造的な問題です。したがって恒大がこうしてデフォルトすれば当然、他社も・・・となるのは避けがたいでしょう。実際、今月4日には不動産中堅の花様年(ファンタジアHD)が2億ドルあまりのドル建て社債の償還に応じることができずにデフォルトと認定されたほか、江西省などで事業を展開する新力控股の長期債務の格付けが投資不適格のシングルCに格下げされるなど、多くの企業のドル借金が次々と返済不能になりつつあります。そしてこのデフォルトのドミノは、そのまま欧米投資家の手持ち中華ドル債の不良化ドミノになるわけです。その総額は、少なめに見積もっても5千数百億ドル以上。これ、恒大のケースをふまえると、大半が貸し倒れる(欧米投資家のドルは中国人投資家への支払いに充てられる)と保守的に想定しておくべきでしょう。そのダメージは相当なインパクトがあるものと考えられます、日本円で60兆円超が消滅する?わけですからね・・・

 もっともそのあたり、内外の経済メディアの多くは、中国の不動産バブル崩壊にともなう影響は同国内にとどまり、欧米金融システムへの波及は限定的、なんて見方を伝えています。が、わたしはもっと危機感をもったほうがよろしいかと考えています。というのも、上記、そしてこちらの記事等でも書いているように、欧米諸国は、高い利ザヤを得られるということで、超低金利マネーを借り受けて、これを中国(おもに民間企業)に貸し付ける、というディールを延々とやってきているわけで、これまた構造的、ようするに、(主要中銀演出の超低金利環境と)かの国のバブルの膨張を前提としたものだからです。それが崩壊するわけですから、次のような逆回転は不可避でしょう、つまり・・・中華不動産投資ファンド価格が暴落→レバレッジをかけていた投資家が大損→返済資金確保のために資産売却→株価・債券価格が急落・金利急騰→・・・といった毎度の?コースが現実となる、という次第です・・・

 なので・・・欧米と中国の両者は、(ウイグルとかそっちのけで?)水面下で仲良く?いろいろやっているんじゃないでしょうかね・・・?

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【中国恒大デフォルトは5千億ドル対中債権焦げ付きとイコール?】中国と欧米との癒着ぶりを示す恒大集団のデフォルト騒ぎ③

2021-10-15 00:02:19 | アジア
前回からの続き)

 これまで綴ったことからすると、約2兆元(日本円換算で約33兆円!)もの巨大債務を抱える中国の大手不動産会社「中国恒大集団」(China Evergrande Group)の破綻は、ほぼ避けがたいと考えられます。となると、同社債務の大半はデフォルトとなるのでしょうが、中国(当局)のことですから、わずかに残った同社の資産は自国の債権者救済に回すでしょう。その逆に、外国人投資家の返済順位はボトム、というわけで彼ら彼女らは恒大につぎ込んだマネーのほぼ全額を失うことになりそうです(?)。その損害額は195億ドル、日本円で2兆円あまりとなります・・・

 もっとも前述のとおり、その程度の(?)金額であれば、(最近の金融市場はちょっとしたことで何が起こるかわからないので正直、自信はありませんが、)それほど大きなリスクにはならないでしょう(?)。が、問題は・・・中国では第二、第三の「恒大」が続々登場してきそうなこと。上記のように、恒大の債務危機は、これ以上の不動産バブルの膨張をおそれた当局が「三道紅線」(3つのレッドライン)と呼ばれる不動産融資規制を敷いたために生じた面があります。ということは当然、恒大の同業他社も一転、厳しい経営状態に直面しているであろうことが推測されます。

 実際、先月あたりからは、株価が急落したり、地方政府に公的支援を要請する文書がネットに流出(って真偽は不明?)したりする会社が出てくるなど、中国の不動産関連企業は全体として恒大と同様の危機的状況を迎えつつあるようです。まあそりゃそうでしょうね、いきなり、負債を自己資本の100%までに減らせ!って急に命令されて、はい減らしました、なんてサクッとできる会社なんて、まずないでしょうから。ということで多くは、見た目のバランスシートだけは言われたとおりにして、それ以上の負債は簿外に隠しているとのこと。恒大も自己資本に対する資本比率は6月時点で177%と、公表値(もちろん100%)を大きく超過しているそうな・・・(トムソンロイター)

 といった感じで、同国の不動産業界は、恒大に代表されるように、いまや構造的な資金繰りリスクに見舞われているとみるべきでしょう。そして不動産セクターは、中国のGDPの約1/4を占めています。そんな大きなセクターがこうして激しく動揺すると、不動産の含み益が急減し、あるいは不動産債権が不良化し、それによって資産効果が失われ、消費や投資にも強烈な下押しの力が働いて、中国経済を一気にシュリンクさせそうです。そうなれば他の様々な業界の企業等の資金繰りまで悪化して・・・最終的に、そのダメージは欧米投資家に及ぶことは避けがたい・・・のでしょうね・・・

 ということで、恒大の債務危機とは、現在、欧米投資家が抱える、少なく見積もっても5千億ドル超もの対中債権全体の不良化と、ほぼイコールである、といっても過言ではないでしょう。このスケールは、なかなかにスゴいですよ・・・

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【中国恒大のジャンク債?保有者、欧米の有名どころがずらり…】中国と欧米との癒着ぶりを示す恒大集団のデフォルト騒ぎ②

2021-10-13 00:02:28 | アジア
前回からの続き)

 前述したように、中国の不動産大手企業「中国恒大集団」(Ghina Evergrande Group)の債務危機が日本バブル崩壊後の同種の危機と決定的に異なるのは、これが海外投資家のマネーを巻き添えにしようとしている(?)点です。そのあたりは、恒大の資金繰り懸念にフォーカスが当たったきっかけが、先月、同社が「ドル建て社債」の合計1.3億ドル余りの利払いをしなかったことであることからも分かるというもの。ドル建て・・・ってことで、アメリカをはじめとする欧米の投資家が恒大に貸し込んだドルが、利息をもたらさないばかりか、その元本の返済すら危ぶまれる事態になっている、というわけです。実際、恒大のドル建て社債の価格は、今月第1週の時点で額面の16~25%と、債務カットを前提としたレベルにまで落ち込んでいるとのこと。これ、超~不良債権もいいところでしょう・・・

 で、そんなジャンキーな恒大のドル建て債は合計で195億ドルとのこと。まあ同社のトータルの債務額(約2兆元≒日本円で33兆円ほど!)に占める割合は大きくはないものの、日本円で2兆円以上ですから、けっこうな額であることには違いありません。では、その海外の保有者(債権者)は誰なのか?というと・・・先月終わりにトムソンロイターが報じたところによれば、その時点でスイスのUBSが2.83億ドル、アシュモア・グループ(英)が1.46億ドルの同社債を保有していたほか、ブラックロックやフィディリティ(米資産運用会社)などなどの名だたる欧米勢が恒大の大口債権者になっているもよう・・・って、そりゃそうでしょうねドル建て社債ですから・・・

 ・・・などと綴っていたら、前回懸念したとおり、恒大は12日に期日を迎えた社債利払い(1.48億ドル!)も見送った、との知らせが入ってきました。これも、上記の利息未払い分1.3億ドルと同様、猶予期間30日が過ぎれば債務不履行が決まり、上記の投資家は多額の損害を食らうことになります。そして実際にそのとおり、彼ら彼女らは利払いが得られない・・・のはもちろん、投資元本の多くを失うことになるでしょう。というのも、(流動的な要素はあるものの)おそらく中国当局は国内の債権者(≒身内?)に対するケアを優先し、国外投資家のフォローは二の次にすると考えられるからです。そのあたりは19日、今度は元建て社債の1.2億元の社債利払い期日が到来するので、これが履行されるのか否かで見極めがつきそうですが・・・

 もっとも、恒大が火の車であることには変わりはなく、どのみち破綻は免れないでしょう。問題は・・・そのダメージが、中国・・・ではなく海外(≒欧米金融システム)のどこにまで波及するか、ですが・・・

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【中国恒大集団、デフォルト不可避か?】中国と欧米との癒着ぶりを示す恒大集団のデフォルト騒ぎ①

2021-10-11 00:01:12 | アジア
 結局は皆さん「同じ穴のむじな」なのでしょうね・・・

 ご存じのように、中国の不動産大手「中国恒大集団」(英語名:China Evergrande Group)の債務危機がマーケットを動揺させています。これ、遅くとも先月の期日に恒大が一部の社債の利払いを行えなかったこと等で表面化した事態ですが、現在、同期日から30日間の履行猶予期間に入っています。この間に支払が行われないとデフォルト(債務不履行)となってしまいます。そんな中でも別の社債の利払い期日が次々と到来しつつあり(って、直近は明日12日の約1.5億ドルです!)、同社がこれらを約束通り支払えるのか、についての投資家の不安は高まる一方です・・・

 ところで、恒大集団とはどんな企業なのか、ですが、ネット情報によると、1996年に設立された不動産会社で、おもに都市部のマンション事業の開発やその販売等を手掛けています。この間、中国では、政府の住宅制度改革等によって、とくに都市部の不動産価格が急騰しましたが、恒大はこの流れに乗り、自社株や不動産を担保にした借入金と投資家の資金で得た土地の値上がりや不動産の売り上げで急成長を遂げました。他方、これにつれて負債も膨れ上がり、その額は先月末時点で1兆9665億元(33兆円超!?)にもなっています・・・

 そんな恒大の事業や経営状態に大きな影響を与えたのが、昨年、中国政府が打ち出した「三道紅線」(3つのレッドライン)と呼ばれる不動産融資規制といわれています。これ、恒大などの不動産会社に対して、自己資本に対する負債比率を100%以下に抑えることなどを求めるもの。そのあたり、北京や上海といった中国都市部では現在、マンション価格が年収の40~50倍以上(!?)にまで跳ね上がる中、当局は、これ以上、同価格が上がってしまうと、(体制側の?)都市住民の共産党政権に対する反感をいっそう喚起してしまう!との危機感を募らせ、この抑え込みに動かざるを得なかったものと思われます。ともかく、これで同国の不動産バブルの膨張にブレーキがかかり、不動産各社の資産価額は下がるいっぽう、債務額は減らないため、その自己資本比率は下がり、各社の資金繰りに対する懸念が高まって・・・といったところが、恒大をめぐる現在の情勢でしょう。

 上記については、1990年台前半における本邦不動産バブルの崩壊過程の初期状況と似ています。が、明らかに違うところが指摘できます。それは・・・わが国のバブルが国内で完結していた―――おカネの借り手も貸し手も自分たちだった―――のに対し、中国のバブルは・・・国内だけではなく国外の投資家のマネーを巻き込んでいること。恒大の債務危機の本質はそのあたりにあるといえるでしょう。つまり、海外投資家---欧米銀行等---が保有する恒大関連債権の不良化です・・・

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【バブル&インフレで都市中間層が農民層に合流し反体制層が膨張して…】国民監視強化しないと・・・中国、体制動揺間近か⑦

2021-08-25 00:15:46 | アジア
前回からの続き)

 ということで、国際社会(≒米欧諸国)はもちろん中国までも、日本・・・の日銀が支えている実態が分かる(?)わけですが、であれば中国の現体制が「社会信用システム」導入とかウイグル人弾圧などの反人権的な取り組みを大胆に実行できるのは日銀のおかげといえるし、日銀も自身の金融政策が結果として彼ら彼女らのサポートになっていることをもっと自覚してもよろしいかと思いますが・・・

 とはいっても―――たしかにこの日銀の支えは強力とはいっても・・・まあこれもまた中国にとって永遠に持続可能なスキームにはならないでしょう。これ、ありていに言えばバブルであり、(とくに不動産等の資産)インフレであり・・・って、これで潤える層は一握りであり、大半は家を買えず、よって家を借りるしかないも、その家賃が高くて支払えず、そして教育費も高すぎて・・・と経済社会的な苦境に陥っていくでしょう、農民農民工(農村戸籍の都市出稼ぎ者)はもちろん、都市の人々(都市戸籍者)までも。こうして、それまでは共産党特権階級と、ある程度は利害が一致して社会信用システムにも理解を示していた北京や上海といった都市部の中産階級が一転、没落していく自身らと境遇が似ている農民&農民工にシンパシーを感じるようになり、連携を強めていき、その結果、反体制層がどんどん膨張して・・・

 どのみち―――日銀の現行政策が続こうが(金融緩和が維持強化されようが)、続くまいが(この先のどこかでテーパリングが始まろうが?)―――かの国はカルマの縛りから抜けられそうもありませんね・・・(って、国際社会もだけど?)

(「国民監視強化しないと・・・中国、体制動揺間近か」おわり)

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【中国の現体制を支えるのは・・・これまた日銀?】国民監視強化しないと・・・中国、体制動揺間近か⑥

2021-08-23 22:32:51 | アジア
前回からの続き)

 これまで綴ってきたように、中国政府が導入を進める「社会信用システム」なる国民監視システムには、その運用を通じ、かの国の数億人もの農民層(やウイグル族等の少数民族を含む全貧困層)の格差是正・諸差別撤廃を求めた暴動等の勃発を封じ込めることで共産党特権階級の地位や権益を保全する狙いがある・・・とともに、中国に大量のマネーを貸し付けた欧米金融機関にとっては、同国の現行(共産党一党独裁)体制がこれで維持されることで、自身らの債権が不良債権化したり回収不能になったりするリスクが最小化され、引き続き中国・・・の、おもに民間企業相手に巨額の利ザヤを稼ぐことのできるオイシイ商売が続けられるようにする、といった目的もある、と考えています。

 というわけで同システムは、じつは欧米諸国にとっても有益であり、その意味では「国際社会」(・・・という名の欧米諸国)は本当は中国のスポンサー(利害一致)という面があるといえそうです。こうなってしまうと同国の農民層の悲惨な待遇はいっこうに改善される方向に進みませんね、肝心の―――本来は反人権的な中国政府に対して圧力を強くかけるべき―――国際社会が、自分たちも大いに傷つくことが分かっているがゆえに本気でそうするはずはないのですから。では、どうなれば・・・

 ・・・って、そのへんのカギを握るのはやはり・・・わが国なのでしょう。なぜか?・・・って、中国を含む「国際社会」の上記現状を演出しているのは日本・・・の日銀金融政策だからです。その仕組みとか(表向きの本当の本当に本当の?)狙いは本ブログで書きまくっていることなので省略しますが、これここでも効いている、つまり日本が異様な低金利に誘導されているからこそ上記のマネーフロー(≒市場原理の逆「円<ドル<人民元」)が出来上がり、それが中国の企業等を通じて不動産市場に大量に流入し、同バブルを膨張させて(崩壊させないで)・・・結果として現体制が潤っている、といったようなこと。となると、中国もまた日銀が・・・ってこと?

 ・・・って、それは当然でしょう(?)。こちらの記事に書いたように、アメリカドルを支えているのは日本・・・の日銀ですが、中国はアメリカの下位(≒市場原理なら「ドル>人民元」)に位置づけられる国すなわちアメリカとドルがあってはじめて成り立つ国(その意味では独立国とは言えない国)ですからね。であれば、中国を支えるくらい日銀にとってはお安い御用のはず(?)。その点、中国政府が現在、強気にも「社会信用システム」導入とかウイグル人弾圧などの好き放題(?)をやっていられるのは、背後で([自分の利ザヤ稼ぎのために]中国を支える国際社会・・・をこれまた支える)日銀がサポートしてくれているのを知っているから・・・なのかもしれません(?)。

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【国際社会が中国の農民層抑圧を批判しない理由】国民監視強化しないと・・・中国、体制動揺間近か⑤

2021-08-21 00:29:50 | アジア
前回からの続き)

 前回書いたように、中国政府は、ウイグル族差別や弾圧に対する国際社会の非難を国内の引き締めに利用していると考えています。つまり・・・外圧に負けないように中華民族(って、実質は人口比で9割超を占める漢族)は一体になろう!などとやって、真の差別や弾圧――権力者自身らと同じ漢族の農民層(含む農民工)に対する戸籍差別とか劣悪な労働環境を強いるなど―――にフォーカスが当たらないようにしている、といったこと。そのための有力なツールが「社会信用システム」であろうことは先述したとおりです。

 では、どうして国際社会は中国の上記に厳しい目を向けないのか。たしかにウイグル人に対する同国政府の姿勢は批判されて当然でしょう。ですがこっちは数億人もの・・・おそらくは世界最大の?被差別集団です。それにほぼすべてのウイグル族(そしてチベット族などの全少数民族)もこれに含まれるはず。であれば、中国を、同じ人権抑圧の面で糾弾するのなら、そのキモに当たる部分すなわち農民階層に対する差別等を徹底的に突くべきでしょう、ウイグル人たちの待遇改善を促す意味でも・・・

 ・・・って、国際社会はけっしてそうはしないはずです。なぜなら、ソコは中国の(悠久の昔から永遠の未来に至るカルマの?)急所であり、これをたたくと現王朝?はホントに瓦解&大混乱に陥りかねない・・・ってそれは自分たち・・・って、正確にいえば米欧諸国・・・の経済&金融の破綻に直結しかねないためです。なお、わたしたちが「国際社会」などというとき、それはアメリカ様・・・が90%くらいで、あとはせいぜいEU諸国が数%、そして中露両国は・・・論外?みたいな割合でしょうかね?

 で、そのあたりですが、中国と国際社会・・・である米欧諸国(とりわけその金融機関)はもはや一体不可分といってもよいほどの相互依存の間柄にあるわけです。実際、こちらの記事に書いたように、中国は巨額の対外債務を米銀・欧州銀からファイナンスしてもらっています(ちなみに、同国の対外債務額は、同記事でご紹介した2017年9月時点の約1.7兆ドルから今年3月末には約2.5兆ドルへと増えている模様)。その背景とか理由は本稿では省きますが、他方でこれを米欧諸国から見ると、彼ら彼女らは中国(企業等)に同額の債権を保有していることになります。そんなところで毎度の中華大革命?が起こったら・・・当然ながらこれらは一気に不良化し、大半が焦げ付いて、今度はこっちが過小資本・債務超過に陥って・・・といった負の連鎖から金融・経済恐慌へ・・・って具合に、自分たちまで逝ってしまうこと必至です。であれば国際社会は、中国を現状のまま支え続けるしかないでしょう・・・(?)

 こうして中国と国際社会・・・という名の米欧諸国(≒金融機関)は、そんなズブズブの関係をいっそう深めていく以外にないでしょう。そしてそれは、中国の現体制を、(差別撤廃・格差是正等を求める)共産主義的な人民蜂起による転覆の脅威から守ることにもつながります、皮肉なことに・・・

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【ウイグル族弾圧非難の外圧を国内引き締めに利用して…】国民監視強化しないと・・・中国、体制動揺間近か④

2021-08-19 00:07:15 | アジア
前回からの続き)

 先日の「東京2020オリンピック」女子飛び込みで金メダルを獲得した中国の農村出身の少女が会見で「病気の母を助けるために一生懸命練習しました。たくさんのおカネを稼いで母を治したい」などと、けなげに語ったことで、あらためて、かの国の農民層が、いかに貧しい境遇のままにあることかが明らかになりました。

 で、その人口比率は約4割とのことなので、オール中国では少なく見積もっても5億人あまりもの人々(=14.1億人×40%)が彼女やその母親と同じ、というわけで、もうこれはどうしようもない、つまり農民層も対象に入れた医療・保険・年金等のソーシャルセイフティーネットを中国が構築するのは絶対に不可能だ、と断言できるというものです。何たって数億人分(日本の全人口の数倍!)ですからね。本気で作るなら、火星ロケット計画を断念して、浮いたおカネで・・・程度では当然お話にならず、共産党トップ層の資産の大半をつぎ込んでもおそらく足りず、結局は中産階級的になってきた数億人もの都市住民(都市戸籍者)にも大きな負担を強いるしかないでしょう。が、特権階級はもちろん、北京や上海の一般人民だって、これイヤに決まっています。多少は豊かになったとはいっても彼ら彼女らも生活に余裕があるわけではない(公的社会保障への拠出が増えたら生活水準が一挙に下がりかねない)でしょうから。であれば、せめて、いまのままであってほしい―――農民層の待遇改善のために自分たち都市戸籍者が負担を増やされるようなことはしないでほしい―――と希望するはずで、そのあたりは「社会信用システム」の導入を進める中国政府と利害が一致するところでしょう。これには、自分たちの地位や利益を脅かしかねない人々(農民・農民工)が(待遇改善等を求めて)立ち上がるのを抑え込んでくれる面がありますからね・・・

 ところで中国ですが・・・ご存じのように最近はウイグル族の弾圧で欧米諸国からしばしば非難されています。その詳細は省きますが、これ中国にとっては、上記の観点からすると好都合な面も考えられるでしょう。つまり・・・そんな外圧を利用して国民の愛国心を喚起・・・というより人口の大半(9割超!)を占める漢族の団結を促す、といった感じです。別な言い方をすると、われわれは外国に屈しないよう中華民族(実質は漢族)として一体となろう!とアピールすることで、もっと重大かつ深刻で解決不可能な同民族内の巨大な資産・所得格差(政府・都市住民と農民階層)の存在を見えづらくする、といったことです・・・

 中国内のウイグル族の人口は1千万人程度とのこと。これ上記の数億人もの(これまた大半が漢族の)貧困層と比べるとずっと小さな規模に過ぎません(もちろんウイグル人のほぼすべても貧困層に属するでしょうが)。それにウイグル族の居住地である新疆地区は中国の中心部から数千キロも西に離れています。となると中国政府は、たとえ彼らが反乱を起こしても、それを脅威には感じないでしょう。であれば外国の批判を上記のように内部の引き締めに転用して・・・

 ・・・真に恐るべき、北京や上海といった大都市での同族の反乱、すなわち漢族農民層らの蜂起等を未然に防ごう、といったあたりが同国政府の本当の目論見だと思っています。

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