世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【日銀がQE4!FRBに替わって米を支援】日銀「円安誘導」真の狙い③

2014-09-29 00:03:13 | 日本

(前回からの続き)

 日銀「異次元緩和」の隠された目的は米FRB「出口戦略」(QE終了後の金融政策)のアシストだと思っています。

 FRBはまもなく量的緩和策(QE)を終えます。で、まず誰もが心配するのは「資産バブル」の今後です。(QEが終了する予定の)この10月以降、FRB発のマネー供給が途絶えることになるアメリカの株式・不動産市場は大きな調整局面を迎えるのではないかと予想されます。いずれの価格とも長らく続けられてきたQEによって相当にバブリーな水準に押し上げられているから、ちょっとしたことで急落&暴落するおそれは十分にあります。

 もうひとつQE終了で懸念されるのが金利上昇。これまでFRBはQEを通じて米国債や不動産担保証券を買い支えて低金利状態を維持してきました。それが止まれば当然、金利は上がっていきます。これにより住宅・自動車マーケットにダメージが及ぶのは必至です。ローンの利払い負担が増すため、これらの販売が落ち込むほか、企業や家計においてはローン延滞や破綻、金融機関においては不良債権の増加等がもたらされ、アメリカの実体経済と金融システムは不安定化していくでしょう。

 そんなことが想定されるポストQE期のアメリカでは、そのまま何もしなければ「資産デフレ」(株や不動産の価格が下がり続ける現象)の発生は不可避となりそうです。これこそFRBとアメリカが恐れる最悪の事態です。しかも、こちらの記事に書いたとおり、わが国と違って、アメリカには日本流デフレ克服策の実行はほぼ不可能。となれば、デフレを回避する唯一の道は資産バブル路線の続行しかありませんが・・・。

 でも、「これ以上やると危ないからQEは止める!」と大見得を切った手前、FRBにとってその選択は建前上、NGです。もしQEをただちに再開したら、それこそFRBの手腕に対する疑念がマーケットで一気に高まり、ドル不安とかハイパーインフレすら招きかねないから・・・。

 ということで、アメリカにはFRBに替わって緩和マネーを市場に供給してくれる一大スポンサーが絶対に必要だった・・・それが、われらが「日銀」だったというわけです。FRBがドルの散布を終えても、日銀が異次元緩和を続けていれば、欧米の投資家は「円キャリートレード」、つまり低利の円を調達してアメリカ市場に投資することが可能となります。それによってアメリカの株や不動産が買い支えられるうえ、日米金利差の拡がりに着目したマネーが米債券市場に流入するから、過度の金利上昇も抑制されることに・・・。

 かくしてアメリカは低金利環境下での資産バブルを引き続き謳歌する―――日銀のおかげで、といった具合です。低利マネーでバブルを享受―――ということは、これってアメリカにとっては実質的にはQE4ですね。もっともその演出家はFRBではなく日銀になりますが・・・。

 円安の悪影響を指摘する声がこれだけ高まっているにもかかわらず、日銀が異次元緩和=円安誘導・超低金利誘導にこだわるのは以上のような思惑があるからだ、と考えています。日銀に言わせると「異次元緩和が日本に与えるダメージなんてこの際どうでもいい(!?)。とにかくアメリカ第一!バブル輸出』でQE後のアメリカ様を支えよ!」といったところでしょうか。もちろん、これと引き換えに犠牲になるのは日本経済とわたしたちの日常生活なわけですが・・・。

(続く)

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【円安誘導で貿易赤字が逆に拡大・・・】日銀「円安誘導」真の狙い②

2014-09-27 00:03:17 | 日本

(前回からの続き)

 円安誘導による外需狙い」―――以前、日銀の金融政策「異次元緩和」にはそんな目論見がある、なんてことを書きました(あわせて、わが国の輸出の対GDP比率は15%程度だから、いくら輸出が盛り上がったとしてもその恩恵の広がりは限定的だとも指摘しましたが・・・)。でも以下に記すとおり、これは完全に失敗していますね・・・。

 財務省の貿易統計速報(通関ベース)によれば、今年8月の貿易収支は9485億円の赤字。月別では2年2か月もの長きにわたって赤字を継続中です。また2014年上半期の貿易収支は7兆5984億円の赤字で、2013年同期の4兆8125億円をはるかに超え、上半期としての赤字幅は過去最大を更新しています。そしていずれの数字もアベノミクス開始前の2012年上・下半期の値を大きく上回ることはもちろん、その幅はさらに拡がる傾向に・・・

 その原因が上記「円安誘導」にともなう輸入原材料の円建て価格の上昇にあることは明白です。今年上半期の輸出が前年同期比で3.2%増であったのに対し、輸入はこれよりずっと大きい10.0%もの増加率。しかも輸入額としては過去最大。LNG(11.6%増)および原油(5.1%)の伸びが主因です・・・。このように、円安が進むにつれて、輸出の増加率を輸入のそれがどんどん上回っていくわけだから、その差し引きである貿易赤字が増えるのは当たり前です。

 さらにいえば、貿易収支が赤字ということは、その分だけGDPが減る、つまり経済が「マイナス成長」になることを意味します。この外需で失われたGDP減少分を埋め合わせてトータルのGDPをプラスに持っていくためには内需喚起が不可欠ですが、安倍政権は消費税率の引き上げを敢行し、こともあろうに内需の柱・個人消費に「氷水」をぶっかけてしまいました。

 以上のとおり、政府・日銀は現在、一致協力して日本経済をマイナス成長させるという驚きの経済政策を展開しています。日銀は異次元緩和で貿易赤字拡大と円安インフレを促し、政府は消費増税により、ただでさえ物価高で低迷中の個人消費をさらにクールダウンさせることによって・・・。それが今年度第一四半期のGDP年換算成長率マイナス7.1%にみごとに結実・・・。このあたり、さすが「(マイナス!?)成長戦略」が「売り」のアベノミクス・・・と嘆息しないわけにはいきません。でも目指すべき「成長」ってプラスじゃないとマズイのでは!?このままではわが国の実体経済がますます疲弊してしまいますよ・・・。

 にもかかわらず、前述のとおり、日銀は引き続き異次元緩和を続けて円安誘導をさらに推進する構えです。なぜか? それは・・・「日本経済以上にアメリカ経済をサポートしてあげたいから」ではないでしょうか。具体的にいえば、FRBの量的緩和策(QE)終了後のアメリカが、その副作用としての長期金利の上昇に苦しむことがないよう、異次元緩和を通じてわが国から低利のマネーを供給してあげたい、といったようなことです。

(続く)

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【円キャリートレード完全復活!?】日銀「円安誘導」真の狙い①

2014-09-25 00:03:45 | 日本

 円安が進行しています。現時点で1ドル約109円(9/24時点)と、わずか2か月で8円ほども円安ドル高となりました。

 これほどの急速な為替レートの変動の原因は、アメリカの金利上昇が近いとの観測から、投機筋がドル買い円売りを進めたことにあるのでしょう。アメリカでは来月、FRBがQEを終え、早期の利上げ再開が取り沙汰されています。一方、日本では超低金利状態が維持される見込み。これにともなって日米間の金利差がいっそう拡大すると読んだ米ヘッジファンドが、低利の円を元手にドル資産投資を活発化させた、つまり一時は鳴りを潜めていた「円キャリートレード」が完全復活(?)した―――そのために円が売られてドルが買われている、といったあたりが為替市場の実態でしょう。

 といった感じで、もはや日本経済がどうのこうの、といったことに円安の理由を真面目に見つけようとするのがバカバカしいくらい、いまの為替レートが投機マネーの思惑だけで変動しているような印象です。そしていうまでもなく、このマーケットの動きをあおっているのは、黒田東彦総裁のもと、日銀が実施している「異次元緩和」の超低金利誘導&円安誘導なわけですが・・・。

 本ブログで何度もしつこく書き続けているように、アベノミクス開始以降、とくに昨年4月の日銀の同政策開始以降の人為的な円安ドル高は、じつにさまざまな面でわが国の経済や国民の生活に悪影響を与え続けていると考えています。この夏にかけての1ドル100円程度のレートにおいても日本経済は危機的な経済状態―――実質的な「スタグフレーション」(円安誘導&消費増税をエンジンとするマイナス成長下でのインフレ加速)に陥っているといえるのに、同110円程度を越えて円安が進んだら、もはや誰の目にも日銀の円安誘導は正気の沙汰とは思えなくなるだろう、と予想されるところ・・・。

 実際、一部の経済人や財界人が、いまの円安は行き過ぎだ、といった趣旨の発言をするようになってきました。個人的には、もっとずっと早い段階からそう言ってほしかった、との思いが強いのですが、ようやくそんな当たり前の声が聞かれるようになったことに潮目の変化を感じます。これを機に、さらに多くの人々が円安への懸念を表明するようになって、日銀の金融政策が日本経済にとってより良い方向に軌道修正されることを切に願っているのですが・・・。

 にもかかわらず、黒田総裁は先日のG20財務相・中銀総裁会議後の会見で「異次元緩和を着実に実施していく方針に変わりはない」と、さらに円安インフレをあおり立てる構えのようです。ということは、またガソリン代光熱費、日常の食費が上がっちゃうよ、とほほ・・・。

 一方で「異次元緩和に関する『国際的理解』が十分に得られていると感じた」と述べていることから察するに、内心で同総裁は、異次元緩和に関する「国民的理解」のほうは失われつつある、と感じておられるのかもしれないな、なんてうがった見方をしています。このあたりに黒田氏の危機感を垣間見る思いがするわけですが・・・。

(続く)

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【ポンドで何を買う?】スコットランド独立!?であぶり出された大銀行の危険な政府依存体質⑤

2014-09-23 00:01:53 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 スコットランドの住民に英国からの分離独立を思い止まらせた大きな要因は、独立によって通貨ポンドが使えなくなるおそれにあったことは間違いないでしょう。

 ですが、前回までに書いたように、慢性的な経常赤字を埋め合わせるため、そして近いうちに(?)不可避的に襲ってくる金融危機に対処するため、英国はポンド札を大量に刷るしかないはず。それによってポンドの価値と信認は下落し、結果としてインフレが激しくなり、大半の英国民(スコットランド住民を含む)は貧しくなっていかざるを得ないのではないでしょうか。

 そもそも、「ポンド」という通貨にどれほどの魅力があるのでしょう。ドルならばまあ分かります。ドル基軸通貨石油引換券ですから、わが国を含む世界中の国々が外貨準備としてドルあるいは米国債を保有しようとするのは自然です(もっとも最近はドル以外の通貨で石油や天然ガスの取引が行われるケースもあるから、ドルが唯一の石油引換券の地位を今後も保っていくのかどうかは分かりませんが・・・)。

 一方、ポンドはなどと同じくハードカレンシー(国際決済通貨)ではあるものの、基軸通貨ではありません。それでダイレクトに石油等が買えるわけではない。となるとポンドを持つインセンティブは、純粋に英国がもたらしてくれる何らかの価値と交換できるから、ということになるわけですが・・・。

 有名ブランドの皮革製品、スコッチウイスキー、キルトの衣類などなど・・・たしかに一部の英国製品は魅力的です。でもこれらだけで日本円で兆円単位の価値を生み出すなんて絶対に無理。となるとポンドとリンクする価値のあるものは・・・やや極端ですが、個人的には2つだけだと思っています。1つ目はロンドンの不動産、そして2つ目は資源株・・・。

 別な言い方をすれば、これら以外にポンドで買いたいものなんてほとんどない。つまり―――大多数の人々は衣類や雑貨等の日用品は中国製を、車や電子機器等は日本製やドイツ製を買うかもしれないが、メイド・イン・U.K.(United Kingdam:英国)は買わない、正確には買えるものがない、ということです。それは外国人のみならず、ほかならぬ英国民にとっても同じだから、彼ら彼女らは必然的に外国製品の輸入にどっぷり依存するようになってしまう。でもそれに見合うだけの輸出品がないから英国の経常収支は慢性的な赤字状態に・・・(英国はモノ作りの能力、競争力、基盤をとっくの昔に失っている)。

 で、そんな危うい国の通貨・ポンドの価値をかろうじて(?)支える上記2つの価値:ロンドンの不動産と資源株ですが、この先は何とも不透明。不動産バブルがいつまでも続くわけがないし、資源バブルも頼みの大需要家・中国がさまざまな面でアヤシクなってきたからです。いまがピーク?のこの両者の価値が崩落したら、栄華を誇った英銀とポンドは、もはや・・・。

 ・・・なんてシビアな将来が英国を待ち受けているような気がしてなりません。そのとき、ポンドの力を信じて英国残留を決めたスコットランド住民は何を思う・・・?

(「スコットランド独立!?であぶり出された大銀行の危険な政府依存体質」おわり)


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【英国の不透明感は消えない】スコットランド独立!?であぶり出された大銀行の危険な政府依存体質④

2014-09-21 00:01:20 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 18日の住民投票の結果、スコットランド英国からの分離独立は否決され、同地域の英国残留が決定しましたこちらの記事にも書きましたが、いまのスコットランドにとってはそれが現実的な道だし、スコットランド、イングランド、ウェールズ、北アイルランドの4地域がひとつの「英国」としてやっていくことがすべての英国民にとっても望ましい方向性だと思います。

 しかし、スコットランドが英国に留まることが決まったからといって、英国、そしてポンドに対する将来の不透明感はぬぐえません。その大きな理由のひとつが、本稿でこれまで綴ってきたようなRBS(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド)に代表される英銀の不良債権問題です。

 世界的に資産バブルが膨張しているなかで、バブル崩壊にともなう強烈な資産デフレへの恐怖感がジワジワと高まっています近いうちにそれが現実となり、バブル形成に関与してきた英国の銀行の多くが債務超過に陥ることで金融危機が発生するだろうという悲観的な予想を立てています。

 で、そのとき、彼ら英銀は「助けてくれ~。われわれはTBTFToo Big to Fail(大きすぎてつぶせない銀行)だぞ!」と救済を求めます。そんな彼らを苦々しく思いながらも英国政府は公的資金を各行に投入せざるを得ません。ですが、英国は財政赤字国であるとともに、アメリカに次ぐ世界ワースト2位の経常赤字国・・・。ということは、その際におカネを集めようとして国債を大量に発行すると、国債価格の急落および長期金利の急騰が引き起こされ、英国経済は存亡の淵に立たされてしまう・・・。

 したがってこのとき英国政府にできることはただひとつだけ。それは英国債のイングランド銀行(BOE)による直接引き受けです。これによって、必要な資金を手にするために政府が英国債をいくら振り出しても、その価格は高値で安定し、長期金利の上昇を食い止めることができます。「身びいき」が過ぎる(?)感じがする格付会社も「金融当局による適切な対応が期待できる」などという?な理由で、英国のソブリン格付をAAAなどの高位に維持するでしょう。その本音は格付を実態以上に高く見せることで英国を助けたい―――英国債の価格下落・金利上昇を食い止めたいから。

 その反作用として、ポンドの価値と信認はどんどん失われていくでしょう。ポンドがドルや円などの他の通貨に対して安くなっていくということです。まあBOEがじゃんじゃんポンドを刷っていくわけですから当然といえば当然の現象です。これによって英国民の多くは通貨安インフレに苦しめられることになるでしょう。もっとも世界主要各国、とくに基軸通貨国アメリカは今後も引き続きドルを散布し続けていくしかなさそう(!?)なので、ポンドだけが独歩安になるという事態にはならないかもしれませんが(そのときはアメリカ、イギリス、そしてわが国を含む世界中の国々が通貨の過剰発行がもたらすインフレに悩まされることになる[いまもそうだけど])・・・。

続く

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【英銀資産の対GDP比率は大きすぎ】スコットランド独立!?であぶり出された大銀行の危険な政府依存体質③

2014-09-19 00:02:18 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 前回までに綴ったとおり、スコットランド英国からの分離独立を問う住民投票(ただいま[日本時間19日0時すぎ]その真っ最中です!!)は、現地の人々の独立をめぐる熱い思いのほかに、英国の大手銀行(ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド[RBS]とロイズ・バンキング・グループ[ロイズ])がいまも政府や中央銀行の庇護を求めざるを得ないほどの経営状況にあるということを世界に知らしめた、と思っています。具体的には彼らのエディンバラ(スコットランド)からロンドン(?)(英国)への本拠移転表明によって・・・。結局、その必要はなくなりそうですが・・・!?

 で、RBSやロイズが当てにする親方・英国についてはこんな数字があります。IMF推計値によると、2012年時点の英国の銀行資産規模は10兆7180億ドルで、同国のGDP(2兆4770億ドル)の約4.3倍です。日本(約2.4倍)、アメリカ(約0.9倍)、そして同じ欧州のフランス(約3.6倍)やドイツ(約1.4倍)などと比較してもその大きさが際立っています。これは英国が金融不安に対して他国と比べると脆弱であることを示しています。銀行の資産が劣化したら、それにともなう金融システムとか財政等への悪影響が相対的に大きくなるということです。

 この先、世界のどこかで株や不動産価格の下落とか新興国のデフォルトなどが起こったりしたら、英国は国力に比較して過大な負担―――英銀への大規模な公的サポートを余儀なくされるものと予想されます。

 たとえば上記の資産のたった1%が毀損しただけでも約1071億ドル(約11.5兆円!)・・・。それと等しい分の自己資本が減少する銀行に対して同額、あるいはそれ以上の財政資金を投じなければならなくなるおそれは十分にあります。実際、前回ご紹介したように、欧米諸国でこれだけ不動産バブルが再膨張しているにもかかわらず、RBSには160億ユーロに近い金額を注入しなければならない状況にあるわけですから・・・。

 ただでさえ慢性的な経常赤字(世界ワースト2位!)と財政赤字に悩まされている英国にとって、近々予想されるこの銀行救済策はたいへんな重荷となるでしょう。そのときはさすがに「身内」に甘い(?)フィッチ・レーティングスなどの格付会社も、英国の格付けを引き下げるしかないのではないでしょうか・・・。

続く


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【大銀行移転見込みで反対派優位?】スコットランド独立!?であぶり出された大銀行の危険な政府依存体質②

2014-09-17 00:04:09 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 一時は世論調査で独立支持派の割合が反対派のそれを上回り、ひょっとしたら本当に?と思われたスコットランドの独立ですが、ここへきてどうやらその後の「英国」サイドの巻き返しが功を奏し?僅差ではあるものの独立反対派がリードしているような感じです。まあ明日、実際に投開票をしてみないと結果はどうなるかは分かりませんが・・・。

 で、この独立反対派に力を与えたことのひとつがスコットランドに本拠を置く金融機関の動向です。先述のように、スコットランド最大手で同地生まれのロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)と、これまた英国大手行のロイズ・バンキング・グループ(ロイズ)の両行はスコットランドが独立したらエディンバラ(スコットランドの「首都」)から英国への移転を検討していると報じられています。これによって多くの人々は、現実的に考えるとやっぱり独立はリスキーだ・・・と感じ始めたでしょう。もっとも独立派の旗手・スコットランド国民党のサモンド党首は、このような銀行の動きは政治的な策略であり、営業や雇用には影響はないと述べたそうですが・・・。

 個人的には、かりにスコットランドが独立を選んだ場合、これらの銀行が「国外」に去ることは、スコットランドにとってはけっして悪いことではないと考えています。理由は前回書いたように、RBSそしてロイズから英国に移れば、スコットランドは両行に対する財政資金によるサポートの義務から解放されるからです(ちなみにRBSもロイズも「Too Big to Fail」[大きすぎてつぶせない銀行]です)。

 RBSとロイズ―――両行ともども多額の不良債権を抱え、「英国」政府の支援のもと、経営再建に取り組んでいるところですが、そのプロセスは順調とは言えません。先日のブルームバーグの報道によれば、両行が欧州中央銀行(ECB)の資産査定の対象となればともに不合格になりそうだ、とのこと。とりわけRBSの財務内容はよろしくないらしく、このECB審査の結果、欧州の銀行で160億ユーロ(2.2兆円あまり)の資本不足が判明する可能性があるが、その大半がRBS(!)に集中しているとのことです・・・。これらの情報から判断すると、やはり独立スコットランドにとってはRBS等に「英国」に行っていただいた方が―――すがりつく先を英国政府にしていただいた方が望ましいのではないかと・・・。

 一方、両行を迎え入れる立場の英国・・・。スコットランドが独立しようがしまいが、どのみち両行を支援しなければならないわけですが・・・。

続く

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【RBS、ロンドンへ移転?】スコットランド独立!?であぶり出された大銀行の危険な政府依存体質①

2014-09-15 00:00:12 | ヨーロッパ

 スコットランド英国からの分離独立の是非を問う住民投票日(今月18日)が目前に迫るなか、スコットランド生まれの大銀行「ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(Royal Bank of Scotland:RBS)」が、スコットランドが独立を選択した場合、その本拠を現在のエディンバラ(スコットランドの「首都」)から英国(イングランド)に移すことを検討していると報じられています。

 以前こちらの記事に書いたように、欧米の不動産バブル崩壊で財務が大きく毀損したRBSは現在、その株式の8割以上を保有する「英国」政府の支援のもとで経営再建の途上にあります。しかしその足取りはけっして順調とは言えません。そのあたりは同社の株価にも表れています。現時点の株価は349.7ペンス(9/12日)と、同政府が損益分岐ラインとしている407ペンスを大きく下回っています。この先、世界のどこかで何らかの金融危機が起これば、この銀行の経営が再び揺らぐおそれがありそうです。

 一方でRBSは「Too Big to Fail(TBTF:大きすぎてつぶせない)」世界の29銀行のひとつです。したがって経営が傾いたからといって放っておくわけにはいかず、誰かが資本注入等によってRBSを助ける必要があります。さもないとリーマン・ショックならぬRBSショックが起こって世界中に金融危機が伝播してしまう・・・という理屈になります。

 とはいってもその際、他の民間の金融機関がRBSを救済する可能性は低いでしょう。上記のように同行の資産内容に疑義があるからです。となればその救済主は必然的に「政府」とか「中央銀行」ということにならざるを得ません

 で、足元では本拠地スコットランドが独立してしまうかもしれない。そうなったらどちらの政府がより頼りになるのか? スコットランド? それとも英国? 答えは明らかでしょう。財政基盤が弱いゆえに十分なアシストをしてくれそうもない独立スコットランドよりも、いまのスポンサーである英国政府(およびイングランド銀行[BOE])のほうに決まっています・・・。

 というわけでRBSは故郷スコットランドからイングランドに移る準備を始めた、ということなのでしょう。これで引き続き英国政府そしてBOEの手厚いサポートを得られますね(たぶん・・・)。

 まあこれって英国政府・BOEにとっては「痛し痒し」でしょう。当てにされるのは悪くはないが、もともとはスコットランドの銀行なのになぜわれわれが面倒を見なければならないのか(英国民がおカネを出して支え続けなければならないのか)、といった当たりが本心なのではないでしょうか。

 一方、スコットランドにとっては「渡りに船」かな(?)。もし独立したらただでさえ貧弱な財政のもと、英国に替わってRBSのサポートをしなきゃならないのか・・・と心配していたら、RBSのほうからスコットランドを出ていく!というのですから。これでRBSの経営不安に振り回されるリスクや、「TBTF」としてのRBSを支援し続けなければならないというプレッシャーから解放されるわけで・・・。まあ「自国」の伝統ある銀行が去っていく寂しさはあるかもしれませんが・・・。

 おっと!上記はスコットランドがめでたく(?)英国からの分離独立を決めたら、の話でした。

続く

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【株式市場に催促されて結局はQE再開か?】雇用を口実にバブルをあおり続ける米FRB③

2014-09-13 00:04:29 | アメリカ

(前回からの続き)

 とはいえ、FRBとしては今後、難しい局面を迎えます。本稿冒頭に書いたとおり、このままいくと来月でQE第3弾―――米国債や不動産担保証券の買い入れ―――は、めでたく(?)終了します。では、そのあとどうする? ―――じつに難題です。上述のとおりFRBの本音はおそらく利上げ見送り&緩和継続。しかしその具体策が出てこない・・・。QE3終了直後に資産買い入れの再開(つまりQE4)なんてさすがにできないでしょう。となると緩和策の手は限られます。以前やっていたツイスト・オペとかでしょうか? ちょっと迫力不足かな~? かといって何もしないわけにはいかないし・・・。

 などとモタモタしているうちに、「早く麻薬をよこせ」と言わんばかりに、せっかちなマーケットがFRBに催促のメッセージを発するような気がします。それは、株価の急落。これによって金融市場はFRBに対し、株価の再浮上を促す具体的な金融政策の実行を迫るのではないか・・・。

 この10月以降、そんな局面がたびたびやってくるのではないでしょうか。2008年のリーマン・ショック後から始まった米株価の上昇トレンドはすでに5年以上に及んでいます。そしてそれとフェーズを合わせて実施されてきたのがFRBの量的緩和策:QE1,2,3という名の低利マネーの市場供給。これがアメリカで実際の企業業績以上に株価を押し上げた推進エンジンになったことは疑いありません。逆にいえば、このエンジンがなかったらこんなに長い間にわたって株価が上がり続けることなんてなかったでしょう。

 QE3が終わるタイミングは、利確したかった株式投資家にとってはちょうど良い節目になるかもしれません。しかし・・・すでにアメリカの株価は配当利回りとかPERなどといった各種指標ではとうてい説明ができないくらいの高みに達しています。ということは売った後にあらたに株を買う合理的な理由が見つからないわけで・・・。これは投資家の多くに共通の状態だから、当然、みんなが一斉に株を売る事態、つまり株価の下落、へたをすれば暴落、そして最悪の資産バブル崩壊を招きかねない・・・。

 ということで、アメリカの株式市場を救うにはやっぱりQEマネーが不可欠ということになりそう。したがってFRBは結局、そう遠くないうちにQE4実行に踏み切らざるを得ないだろう、とみています。で、そのときの口実は、本稿でこれまで書いてきたような理由から「雇用」となるでしょう。バブルを警戒する観点からQE3を終えたばかりで、さすがに「QE4でさらにバブルをあおる必要がある」なんて本音は言えませんから・・・。

 まもなく始まるFOMC(連邦公開市場委員会)でFRBが今後の金融政策に関してどのような方向性を示すのか、それに労働市場の現況をどう関連付けるのか、そして10月以降、アメリカの株価はどう推移するのか・・・。大いに注目したいと思っています。

(「雇用を口実にバブルをあおり続ける米FRB」おわり)


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【QEは庶民の生活水準を悪化させるだけ!?】雇用を口実にバブルをあおり続ける米FRB②

2014-09-11 00:02:59 | アメリカ

(前回からの続き)

 といったように、労働経済学の専門家でもあるイエレン議長を通じて、いまFRBがことさらアメリカの雇用情勢の厳しさを強調するのは、それを口実に緩和的な金融政策を続けて、株や不動産などの資産バブルをさらに拡大したいからだと思っています。危険は承知のうえです。もうそれ以外にアメリカ経済を浮揚させるエンジンはないのだから。

 一方、その労働市場ですが、金融緩和をしてバブルを膨らませれば改善される、なんて都合良くいっていないことは明白です。失業率こそ2ケタ台から約6%へと下がったものの、すでにQEは2008年から6年間も続いているにもかかわらず、前回書いたように、いまだに雇用の「質」の低さが議論されているようなありさまなわけですから。

 先日もファストフード各社の従業員が待遇改善を求めて全米でデモ活動をしていましたが、彼ら彼女らの平均時給は約9ドルなのだそうです。一日働いて70ドル(約7千円あまり)ですか・・・。医療保険などのセイフティーネットが無いに等しい状態でこの程度では、QEマネーを借りて家や車を買うどころか、毎日まともに食べるだけでも苦労するような生活なのでしょう。かといってもっと条件の良い職を見つけるなんていまのアメリカでは至難の業。それにほとんどの人々が就業に必要なスキルや知識を身に付けるだけの教育や訓練を十分に受けてきたとはいえないでしょう。そもそもキャリアパスとなる大学等の学費はバカ高いし・・・。

 それにこちらの記事等にも書きましたが、平均的なアメリカの市民の生活は、QEにともなう商品価格の高騰がもたらした物価高、とりわけガソリン代の上昇によって、QE前よりもかえって悪化していると考えられます。具体的には、名目金利から生活コストのインフレ率を差し引くと、実質的にはもう何年もマイナス金利状態が続いている、つまり庶民は年々貧しくなっているということです。

 以上のようなことから、雇用情勢の改善は金融緩和の継続によって進むものではないし、むしろそれによって労働者の生活環境はますます厳しくなるおそれすらある、と思っています。そんなこと本当はFRBの幹部であれば分かり切っているはず。にもにもかかわらず労働市場には緩和的な金融政策が必要だ、なんて言うのは、繰り返しになりますが、やはりFRBはQEでバブルをさらにあおりたいからでしょう。

(続く)


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