世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【進むも戻るも地獄のようなドツボにハマった日本】「マイナス成長王」として歴史に名を残していいのか?安倍首相②

2019-11-29 00:01:00 | 日本

前回からの続き)

 安倍晋三総理大臣の在任期間が今月20日で通算2887日となり、憲政史上最長になりましたが、先述したように、同首相らの第一の政策である「アベノミクス」が失敗、というより、東京から大阪に行くはずなのに東北新幹線に誤乗車してしまったようなもので、はじめから間違っていたわけです。まあすぐに気づいて戻ればよかったものを、まだ気づかないのか、それとも他の意図があるのかは不明ですが、延々と東北新幹線に乗り続け、大阪どころか東京からもどんどん遠ざかっているのが「いま」ということになります。

 ・・・ということはその「長さ」とは、アベノミクスが日本のGDPを本来の実力から1兆数千億ドルも失わせ続けた期間の長さに等しいといえます。さらにその長さの分だけ、出発地点の東京(≒アベノミクス直前の2012年の本邦GDPとか公的年金基金の水準)に戻るためのコスト(≒7年間もの高値掴みがもたらす含み損など)が大きくなるし、そのダメージが言えるのに要する時間もまた長くなる、といったことになります。

 となると・・・その苦しみを思えば、いっそ東京に引き返そうと次の停車駅で下車せず、乗り間違えに気づかない(ふりをした?)ままのほうが・・・といった発想が浮かぶかもしれません。けれどそれは、こちらの記事で名付けたように、アベノミクスの「進み地獄」ということになります。つまり、円建てGDP額こそ600兆円になったのに為替レートが1ドル200円まで円安になってドル換算では3兆ドルに、そして同800兆円まで増えたのに円安がもっと進んで1ドル500円になって同1.6兆ドルにまで落ち込む、といったこと。それが何を意味するのか、いうまでもないでしょう。要するに国家国民ともにどんどん窮乏化していく、ということです。そして、すでに1兆数千多くドルもの経済力を喪失したように、わたしたちはいま、確実に「間違った」コースを突き進んでいるわけです。その先頭に立つのは、世界で類を見ないほどのマイナスの「スケール」そして「長さ」からすれば、表題のとおり経済の「マイナス成長王」と呼ぶにふさわしい安倍晋三氏・・・

 さて、ここで悩ましいのは、そんな間違いを指摘し、東京に戻るべく次の駅で降りた瞬間に今度はアベノミクスの「戻り地獄」がはじまってしまうこと。つまりそのとたんに日本市場、どころか世界市場は一瞬のうちにリスクモードに転じ、円高ドル安が進行、そして株や債券そして原油などの価格が暴落して、リスク資産をしこたま高値で掴んできた政府系金融機関の債務超過?や公的年金基金の運用資産額の激減が明らかになる、ということです。「その程度のことを日本がするくらいで世界のマーケットはそこまで混乱する?」―――するはずです、おそらく。それほど日本の市場影響力はスゴいんです、本当に・・・

 で、これに対してアベノミクスはどうするか、ですが・・・本来は自身の間違いに起因する上記損害の発生の責任を、いったん東京に帰ろうと訴えるほうに転嫁しようとするでしょう。なぜなら、そうしなければ・・・当然ですがアベノミクスが判断ミスをしたことを認めることになってしまうためです。もちろんその際は、この国のメディアは左右の違い?にかかわらず、上記主張をする側のせいで円高・資産価額暴落が発生したなどと非難すると同時にアベノミクスの方を擁護するでしょう。それらは新聞への消費税軽減税率適用という、政権言いなりにさせられる「毒」(?)を飲んでしまったからです。これで相手は四面楚歌の状態に・・・

 ・・・って、だからこそ本ブログでは、現時点でアベノミクスがすでに高値掴みをしているさまを繰り返し指摘しているわけです。そうすることで近日?いったん原点に回帰する、となった瞬間に明らかにされる大損害の元凶が、「1兆数千億ドルもGDPを失わせる政策って、どうみても間違っているでしょ」と真っ当な主張をしたほうではなく、高値掴みをしたアベノミクスの側にあることを、ささやかであっても、いまから知らしめたいからです・・・ 

 まあとにかく、わが国はいま、「マイナス成長王」のもと、進むも戻るも地獄、ともいえるような、まさにドツボな状態に、憲政史上最長の期間?ハマり続けているわけです・・・(?)

(続く)

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【在任期間、憲政史上最長だが…】「マイナス成長王」として歴史に名を残していいのか?安倍首相①

2019-11-27 00:01:46 | 日本

 日数が長くなればなるほど、リカバリーのために国民が負担するべきコストもまた大きくなってしまうでしょう・・・?

 安倍晋三総理大臣の首相在任期間が今月20日で通算2887日となり、桂太郎元首相の同期間を超えて日本の憲政史上で最長となりました。先日来、その事実、そして安倍長期政権の是非等について、TVニュースや新聞などでいろいろ取り上げられているところです。まあこのあたりは一人ひとりによって考え方や感じ方が異なってくるところではありますが、上記、そして以下に綴るように、大きな節目でもあることなので、あらためて本ブログ的な評価をしてみましょう。

 安倍首相がリードする政策運営は「アベノミクス」によって失敗した・・・というより正確には、在任初日目(!?)から完全に、といってもいいくらいに間違えている―――これがその評価になります。よってその間違いを早急に正すべきなのですが、誰も気が付かないのか、それとも他の意図があるのかはともかく、そうされることなく延々と続いているのが安倍晋三氏の3千日弱、ということになります。

 以前から何度も論じているように、アベノミクスはわが国のGDPを1兆数千億ドルも減らしてしまいました。このスケールがどれほどスゴいかは、こちらの記事などで書いたとおり歴史的かつ記録的、すなわちそれがロシアとかオーストラリアくらいの大国1国分の経済力に匹敵することからも容易に分かります。したがってこれを成し遂げた?安倍晋三氏は経済の「マイナス成長王」とでも称えられるべき?スゴ~い方になりそうです。加えてこの間、米中両国を筆頭に多くの国々が勝ち標準である米ドルのベースで大きくプラス経済成長を達成してきた中、主要国ではアベノミクス日本だけが上述のとおり、図抜けた成長を果たしたわけです、マイナス方向にそれほどマイナス幅が突出していると、これ一つだけを根拠に、安倍政権の政策運営は間違っていると断じて「間違いない」のではないでしょうか。

 このあたりを分かりやすいたとえで綴るとすれば・・・大阪に東海道新幹線で向かおうと東京駅にやって来た人が誤って東北新幹線に乗ってしまった、といった感じでしょうか。であればその人がまずすべきことは、一刻も早く乗り間違えに気づき、次の停車駅で降りて東京に戻ることでしょう? ところがアベノミクス各位はそれをすることなく、東北新幹線に乗り続けて大阪・・・どころかスタート地点の東京からもどんどん遠ざかっているようなものです・・・って、この場合の「東京」とはアベノミクス開始前年(2012年)の本邦GDP6.2兆ドル(戦後最高値)や公的年金基金1.39兆ドル等に該当しますからね。

 よく安倍政権サイドは自分たちの政策について「公平に評価せよ」などという言い方で、実質的にはそのプラス面を強調するようにマスコミ等に働きかけている?ようですが、それを上記のたとえで表現すると、大阪に行こうとしているのに、東北に向かう新幹線の車窓から眺める風景が美しいとか、車内販売のお弁当がおいしいとかをちゃんと伝えよ、というようなもの。そりゃそうです・・・が、そうすることで本質的なこと、すなわち誤乗車が指摘されないから東京へのリターンすらも遅れに遅れ、その交通費も余計にかかるわけです(・・・って、ここでの費用とはアベノミクスが高値掴みしてしまったことでもたらされる年金原資の巨額評価損とか経営危機に陥るであろう政府系金融機関の公的救済金のことになります)。

 たしかに、安倍政権にはポジティブな部分があるのかもしれないし、他方で「モリカケ」とか「桜を見る会」のようなプラスとは思えない面もあるでしょう・・・が、それらはどれも些末なことに過ぎません、アベノミクスの上記の超絶マイナスのインパクトがスゴ過ぎるがゆえに・・・

(続く)

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【ジャパンマネーが投資しやすい政策に転換を】高値掴み-円の現金に遠く及ばない外国企業の価値⑤

2019-11-25 00:00:01 | 日本

前回からの続き)

 今年7~9月期の四半期決算で大赤字を記録した「ソフトバンクグループ」ですが、このまま、いまのファンド事業(ソフトバンク・ヴィジョン・ファンド:SVF)による投資拡大路線?を修正しなければ、先述したように前途はさらに厳しいものになるように思えてなりません(?)。

 では同Gはどうするべきなのか、についても上記したとおりです。つまり、ここはいったん、SVFが投資したベンチャー企業の相当数を売却し、全運用資産に占める円のキャッシュの比率を高めること。これによって利益確定を図るとともに、将来が不透明な事業は思い切って損切りします。こうしたことは、こちらの記事に書いたことから推測されるように、本邦企業の多くがすでに行っているはずです。「せっかくの有望株をいま手放すなんてもったいないのでは」・・・って、大丈夫(?)、後でいくらでも買い戻しのチャンスは来ます(?)。今後、不可避の世界的なリスクオフ局面で、いま作っておいたの現ナマは大きく値上がりし、これに反比例するかたちで、とくに外国企業の価値は大きく下がるでしょう。そのときは、上記で手放した未公開株式を「この価格でいいから買い戻してくれー」と買い手の投資家の方から同Gのほうに頼み込んでくるでしょう(?)。

 逆にするべきではないのは、これまた上記したように、このタイミングでリスク投資、とりわけ外資買いを拡大すること。いまは過度の円安ドル高&資産バブルの末期であり、それらのプライスは為替面・価格面の双方から見て割高過ぎるためです。したがってこれらは結果として超~高値掴みとなり、同Gはいま以上の多額の含み損を抱えることになって、最悪の場合、資金繰り倒産のふちに立つのではないか(?)。なので、どうか同Gが「この価格でいいから買い取ってくれー」などと虎の子の携帯電話事業を外資?に売却せざるを得なくなる事態に追い込まれないよう、願うばかりです・・・

 本来、潤沢な資金を持つ本邦企業は、国内外への投資力が世界一のはず。したがって、日本の国家戦略としては、これらに自発的な投資を促すような政策が選択されるべきでしょうが、本ブログでいろいろ書いているように、いまはその投資力が意図的に抑圧されてしまっているといえます。よって各社は不本意ながらも(?)キャッシュで「巣ごもり」に入っているわけですが、なかには、こらえきれずにこうして「外」に出て行ってしまうところも出てくるわけです。もちろん、それで会社が傾いてもそれは経営者や株主や投資家の自己責任の範疇ですが、そう突き放してばかりもいられないでしょう。皆、本心では投資したくて仕方がない・・・のに政策で手かせ足かせがかけられているようなものだから・・・

 ホント、早く「やれやれ買い」ができるようになってほしいものですね・・・

(「高値掴み-円の現金に遠く及ばない外国企業の価値」おわり)

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【円の対ドル上昇率は大半の外資の価値上昇率に勝る】高値掴み-円の現金に遠く及ばない外国企業の価値④

2019-11-23 00:00:37 | 日本

前回からの続き)

 前回、ファンド事業「ソフトバンク・ヴィジョン・ファンド」(SVF)の失敗で苦境にあえぐ「ソフトバンクグループ」が、サウジアラビアなどから受け入れたドル建ての出資金をローリスクで大きく増やす手は、その全額でを買って倉庫に積んでおくこと、と書きました。現在の1ドル108円が、近い将来には同70円くらいには余裕でなる(?)でしょうから、これで上記ドルを108/70=1.54と1.5倍以上に増やしてあげることができる、というわけです。

 このあたり、急成長が期待できそうな国内外の株式公開前の企業等に出資し、上場ができるくらいまでサポートして、そのIPO(新規株式公開)等で利益を得ようという、この手のファンドが強く意識しなければならないところだと思います。つまり、投資対象の選別に当たっては、そこがもたらす予想利益が、出資時ののキャッシュ(あるいは円の預貯金≒日本国債)の価値を上回るかどうかをしっかり見極めよ、ということです・・・

 ・・・って、これ「高値掴みにならないように気を付けて」という当たり前の話ですが、その対象が外国企業の場合には、上述したことから、現時点でリターンがドル元金に対して少なくとも5割程度(!?)は見込めなければ投資とかM&Aのターゲットにはするべきではない、とも言い換えられます。今後、円がドルに対して、それくらいの上昇を演じるため、想定利回りが50%に届かない対象への投資は高値掴みのあげく元本割れは必至だから、そのドル元本で円の現ナマを買って寝かせておいた方がマシ、というか、そのほうが結果としてドルを大きく増やすことができる、というわけです。

 上記の観点で、はたして、この円の対ドル急騰にも勝るハイパフォーマンスをみせる外国の企業等なんてありますか?ってことです。まあ・・・ゼロではないでしょうが、きわめて少ないでしょう。よって現実には、これらの大半が円に対して「負ける」(そのドル建て価値の上昇率が円のそれにはかなわない)ことになるはずです。よってこれらにドル高円安のとき、すなわちSVFのように2017年あたりのタイミングでドル資産に飛びついた投資家は結果として超~高値掴みをすることになり、近い将来、巨額の含み損を抱えた不良資産の山を前に、あのとき、こんなの買わずに円の現金で持っておくべきだった~と後悔することしきり・・・になってしまうのではないでしょうか・・・

 さらにコワいのは、円の上昇に反比例するかたちで、各資産価額は大きく下落することが予想されること。要するに世界的な資産バブルが崩壊するということです。以前からいろいろ書いているように、バブルの生成と円の下落とは相関関係があります。ゆえにバブル崩壊や株価等の暴落と円の上昇もまたシンクロするわけです。となると、上記で買い漁っていたベンチャー外資の円換算額が暴落するほか、リスクオフ・モードでドル建て価額まで急降下は不可避です。それらはIPOどころか、未上場のままで売るに売れなくなってしまうでしょう(?)。そうこうしているうちに危機を察知した出資者がファンド解約と換金を迫ろうと押しかけてきて・・・ジ・エンド?

(続く)

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【ソフトバンクのファンドが投資すべきはベンチャーではなく…】高値掴み-円の現金に遠く及ばない外国企業の価値③

2019-11-21 00:02:30 | 日本

前回からの続き)

 前述のように、傘下の「ソフトバンク・ヴィジョン・ファンド」(SVF)の投資失敗によって「ソフトバンクグループ」は非常に厳しい経営状態にあります。そんななかでも同GはSVFの2号を開始するようですが、これを自分の資金でスタートさせるのは、1号への大口出資者であるサウジアラビア政府などが2号への参加をまだ決めていないためとのこと。そりゃサウジは躊躇するでしょう、450億ドルも拠出した1号ファンドが先述の低パフォーマンスですから。それに、SVFが無事、このマネーを得られたとしても、今後は世界的に石油価格が弱含むだろうとの見方が強い中、サウジはいっそう高いリターンを求めてきそうです。そのプレッシャーを強く感じつつ、先述した難しいマーケット環境で、SVFはいったいどうやってその大きすぎる要求に応えようというのか・・・

 ・・・って、このサウジのドル出資金を増やす、ってことに限定すれば、じつはそれを実現できる可能性が非常に高い投資先がありますよ~。それってどこの国の何というベンチャー企業?いえいえ、ベンチャーなどではなく、もっとず~っとリスクが小さく、というかゴールド)の次に安全で、しかも高利回りが期待できる・・・

 ・・・って、それは日本・・・の「」・・・という通貨にほかなりません。なぜなら前述のとおり、いまの円は社会主義者(?)に対ドルで少なくとも2割以上は割安な水準に抑え込まれているためです。その反市場的な抑圧が取り払われ、マーケット原理が自然に機能するようになれば、はおのずとドルに対して上記と同率(かそれ以上)の上昇率を示すだろう、ということです。具体的には、1ドル108円のいまドルで円を調達しておけば、少し後(?)には勝手に同70円くらいには余裕でなる(?)ので、その利回りは108/70=1.54と何と1.5倍以上! こんなハイリターンをローリスクで得られる夢のような投資対象、いまの世界のどこにあるんですか?ってことです・・・

 いかがでしょうソフトバンクグループの孫正義会長兼社長、サウジから預かったドルで円を買って倉庫に積んでおく、ってのは? ここでは利息が付く日本国債のほうがベターでしょうが、ドルベースのリターン確保の観点からすれば上記のように円の現金でも十分でしょう。こんな誰にでもできる簡単なことで、元金の450億ドルを700億ドル近くに増やせるわけですから、かの国の王族たちも大満足でしょうし、投資先をどこにするかで悩んだり、ハーバー〇大卒などの頭脳に頼ったりする必要はありませんね。

 上記、ホールドした円を倉庫積み―――これこそが上述、そしてこちらの記事等で書いた「巣ごもり」ということであり、実際、本邦企業の多くがそうしているからこちらの記事に書いたとおりみなさんキャッシュリッチになっているわけです。それは合理的な経営判断の結果であり、来るべき経済・金融情勢に向けた最適の備えといえるでしょう。これに逆行する、上記のアブナイ(?)外資に追加投資95億ドルなんてのは、高値掴みの失態をさらに悪化させることであり、同Gをいよいよ破綻に陥れる致死的な選択になるような気がしてなりません・・・

(続く

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【ソフトバンクG、有利子債務18兆円は本邦ワースト】高値掴み-円の現金に遠く及ばない外国企業の価値②

2019-11-19 00:00:07 | 日本

前回からの続き)

 前回、ソフトバンクグループ」が今年7~9月期の四半期決算で1兆円近くもの大赤字を出す破目に陥った最大の原因は、参加のファンド事業体「ソフトバンク・ヴィジョン・ファンド」(SVF)が結果として米シェアオフィス会社「ウィワーク」(WeWork:ウィ社)を超「高値掴み」してしまったことにある、と書きました。このあたりはこちらの記事に書いた本邦他社のケースと同じです。つまり、これらはどこも、円のキャッシュを抱えてじっと「巣ごもり」をしているべき投資の「厳冬期」(外貨建て資産投資に手出し無用の時期)の真っただ中(同Gは2017年)にノコノコと外に出て行った(手を付けてしまった)ための大損害ということです・・・

 以前から書いているように、いま世界のリスク資産は株、債券、不動産、はては美術品や骨とう品に至るまで、ほぼすべての価額がバブルになっています。したがって多くの企業価値はどこも相当に過大評価されているとみるべきでしょう。ゆえに投資対象の見極めにはよほど慎重なスタンスが求められるところです。

 さらに、2013年からいままで7年以上も続いている「アベノミクス」すなわち日銀の超緩和的な金融政策「異次元緩和」のために為替レートはそれ以前より2割以上も円安外貨高になっています。これを対外投融資の観点からみれば、企業を含む外貨建て資産には原則「売り」の姿勢で臨むべき。当たり前ですが、実質実効ベースよりも2割以上もドル高だから、いま売ればそれだけ余計に円を得ることができます。そして「買い」はその逆ですから基本、手控えです。まあ3割もの為替損がこの先発生したとしても差し引きでプラス利回りが見込めるくらいの上玉なら別ですが、それがウィ社とは、とても思えないわけです、失礼ながら・・・

 前述のように、年初には500ドル近くもあったとされるウィ社の現在の価値は80億ドル程度なのだそう。これに100億ドル以上も突っ込んだ同Gは(凝りもせずに?)さらに95億ドルもの大金を追加投入するそうです。そうでもしてウィ社の経営状態を改善し、IPO(新規株式公開)でもさせない限り、この投資額を回収すらできないでしょう(?)。けれど上述したことから、これも非常に危険な賭けに思えます・・・

 ソフトバンクグループの有利子負債は上記四半期末の時点で何と!18兆円もの規模に膨れ上がっています。これ、事業会社としてはダントツの日本一、というより本邦企業でワーストです(ちなみに2番目は東京電力HD、ってもこちらは装置産業だから、まあうなずけるところ)。よくいわれるように同Gは中国企業で時価評価額1位のネット通販会社アリババ集団の筆頭株主であり、その含み益が数兆円はあるはずです。とはいっても、これ急にはキャッシュにはできないでしょうから、いざというときの資金繰りが非常に心もとない印象です。

 今後、上記バブルの崩壊、そして所有する投資資産の評価額の暴落さらに巨額の為替損発生などにより、同Gの経営状態はさらに厳しくなっていくのではないか。その第一の元凶が2017年という投資NG年にSVFによって始められた大規模投資になるような気がしてなりませんが・・・

(続く)

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【ソフトバンクG、ファンド事業失敗で巨額損失計上】高値掴み-円の現金に遠く及ばない外国企業の価値①

2019-11-17 22:36:02 | 日本

 それにしても同じようなケースが次々に出てきますね・・・っても、これ、そのなかでもワーストになるおそれもあるような気が・・・

 ご存知のように、携帯電話会社ソフトバンクを傘下に持つソフトバンクグループ」の2019年7~8月期の連結決算が最終損益で約7千億円もの赤字と、同社の四半期では過去最悪となりました。その元凶となったのが「ソフトバンク・ヴィジョン・ファンド」(SVF)(同Gのファンド投資事業)が計上した9702億円もの赤字です。SVFが赤字になったのは2017年5月の立ち上げ以来はじめてで、同ファンドはそれまでに株式評価益と実現益で2兆円近くの利益を積み上げてきましたが、今回の損失でこれが1.2兆円にまで減ってしまったとのことです。

 そのなかでも最大の見込み違いは、シェアオフィス・ウィワーク(WeWork:ウィ社)の運営会社である米ウィーカンパニー関連の投資でしょう。同Gの四半期報告書などによると、SVFはウィ社に合計103億ドルを投資してきました。で、当初の目論見では同社は今年9月にIPO(新規株式公開)を果たす予定で、これによってSVFは多額の上場益を得るはずでしたが、多額の損失やガバナンスの問題があったことなどから同社はコアビジネスに集中するとしたうえでIPO申請を撤回してしまいました。同時にウィ社の第2四半期末の公正な評価額が78億ドルにまで下落したと公表しました。今年1月時点では約470億ドルとされてきましたから、これだけでも約400億ドルもの評価損の発生です・・・

 ・・・とまあ、簡単に同Gの直近の決算概要を綴りましたが、以前こちらの記事に書いた頃とは様変わりです。当時(2017年5月)の同Gは純利益が1兆円を超え、孫正義社長(当時、現会長兼社長)はこれを通過点にさらに利益を増やしていきたい、としていました。そのための具体的な手段が、SVFによるファンド事業であったのは明らかでしょう。実際にSVFはそのタイミングで設立され、サウジアラビアなどからの多額の出資金を元手に、今回のウィ社などへの投資を進めてきたわけで・・・

 ・・・って、この手の稚拙な投資がいくつかの本邦企業において繰り返されることは本当に残念でなりません。こちらの記事を含めて本ブログではそうした事例をいくつかあげてきましたが、ソフトバンクグループの上記ケースもこれらと同種の失態といえるでしょう。同Gもまた、「2017年」という日本ジャパンマネーにとっては「巣ごもり」をするべき厳冬期に外へノコノコと出て行ってしまった=外貨建て資産に手を付けてしまった、ということです。であれば、上記のような悲惨な事態になるのは当然です。なぜならその大規模投資は超が付くほどの「高値掴み」になってしまうからです・・・

(続く)

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【新エネ・平和・円が主役の世界は意外に早く始まる】「古い世界」は石油とともに終わる⑨

2019-11-15 00:01:09 | 世界共通

前回からの続き)

 現代文明の最大の戦略物資は石油といえます。だからこそ、地下に油田のある、あるいは見つかりそうな、一見、不毛の地に思えるような砂漠やちっぽけな島々の領有権を巡って国家間の紛争が起こったりするわけです。そして米欧中露の武器商人たちは当事国を相手に暗躍し、戦争ビジネスでがっぽり儲けます。何てっても得意先はオイルマネーを大量に持っていますから、紛争や対立が続く限り、いくらでも稼げるわけですよ・・・(?)

 ついこの間まで、永遠に続くかのように思われた、これら石油をダシにした?アブナイ金儲けと国際取引は今後、急速にすたれていくでしょう(?)。これらを支えた「石油は貴重なもの、ゆえに高価なもの」という前提が揺らぎつつある、つまり原油の大量発見、過剰生産と流通、そしてそれらの結果としての原油価格の低下で、油田欲しさの領土の奪い合いが意味を失うとともに、「オイルダラーが無くては戦はできぬ」になっていくだろうからです。

 そして上記のように石油の価値が下がるということは、その交換券(≒基軸通貨)である米ドルの有り難味も失われていくことを意味します。となると米ドルは、やユーロなどの他通貨と同じく「その通貨発行国のモノやサービスとの交換券」(私的定義)になっていきますが、そのとき、果たして「アメ車(≒メイド・イン・USA)交換券」としてのドルが、「日本車交換券」(円)等に対して、現在ほどの価値を保ち続けることができるのか、非常に微妙な気がしますが・・・

 石油、戦争、そしてドル―――これまでの世界=古い世界の主役たちがこうして退出し、新エネルギー平和、そして(?)が主役を演じる世界=新しい世界は意外に早く始まる―――天皇陛下の即位式に合わせたかのように空にかかった虹(何かを乗り越えたときの合図)に、そんなメッセージを感じた次第です。

(「『古い世界』は石油とともに終わる」おわり)

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【産油国・米シェール業者、安値販売競争の消耗戦でともに苦境へ】「古い世界」は石油とともに終わる⑧

2019-11-13 00:00:23 | 世界共通

前回からの続き)

 ここ数日だけでも、産油国そしてアメリカに関して、原油やガスの増産につながりそうなニュースが舞い込んでいます。まずはイラン。同国のロウハニ大統領は10日、フゼスタン州で大規模な油田が発見されたことを明らかにしました。イランのメディアによると、新油田の埋蔵量は推計530億バレルで、これが事実なら同国の原油埋蔵量は1.3倍に拡大し、ベネズエラサウジアラビアに次ぐ世界第3位になるとのことです。報道によると大統領は「アメリカの経済制裁にもかかわらず巨大油田を見つけることができた、イランは豊かな国であることをアメリカに告げたい」と語ったそうで、このあたり、上記制裁にひるむことなく、今後さらに原油輸出量を増やして米シェールに対抗するぞ、といった強い意志を感じさせます(・・・っても、新原油が市場に出てくるまでには相当な時間がかかりそうですが)。

 いっぽうのアメリカは現在、液化天然ガス(LNG)のアジアへの輸出を増やしているところです。日経新聞によれば、同国のLNG輸出量は1~8月に計約2200万トンと前年同期比で6割近くも増えたとのこと。これに貢献したのがアジア諸国だそうで、日本が6割近く増えたほか、シンガポール、タイ、韓国も伸びています。他方、米中貿易戦争の影響で、中国向けは9割も減ったそうですから、いかに他のアジア各国向けが増えたか、というものです。

 このアメリカのLNG輸出大幅増の背景には国内の天然ガス需給を引き締めようという狙いがあるようです。昨年の同国の天然ガス生産量は前年比で12%増え、今年も2ケタの増産が見込めそうだとのこと。その主役はシェールガスになりますが、中小業者によるシェア争いが激しく、生産調整が難しいため、輸出増で国内相場を下支えしないと採算を向上できない事情があるそうです・・・

 上記イランとアメリカの状況から推測されるのは、原油そしてガス(天然ガス、LNG、シェールガス)ともに今後、世界中でいっそう増産される可能性の方が、資源減少の可能性よりも高く、したがってそれらの需給は緩和に向かい、価格は低下していきそうだ、ということ。であれば、各産油国やエネルギー関連企業そして米シェール会社は安値販売競争というシビアな消耗戦に向かいそうです(?)。そのなかで体力の弱い国や業者が次々と脱落、すなわちデフォルトや事業破綻に追い込まれ、これらの債券価格が暴落(利回りは急騰)そしてデリバティブ決済などが大発生して世界経済に打撃、なかでもQE復活するはずだった(?)米金融経済に最大の(?)ダメージを与えるように思えてなりません・・・

 っても、まあサウジアラビアとかUAEなどのような市場シェアの大きな産油国は何とか生き残っていく?のかもしれませんが、それらオイルダラーのパワーは上記消耗戦で大きく削がれていくでしょう。具体的には、かの国々の王族たちは、もはや「航空ショー」に見せかけた?戦闘機の見本市でドルの札束をばらまくなんてできなくなる、といったことです。最大の得意先の財布のヒモがこうして締まれば、米欧中露の兵器武器メーカー(って、英国とかロシアにとっては唯一のモノづくり産業?)も「商売上がったり」でどんどん干上がっていくような気が・・・?

(続く)

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【産油国は原油価格低下で米製武器兵器や米国債が買えなくなる】「古い世界」は石油とともに終わる⑦

2019-11-11 00:03:48 | 世界共通

前回からの続き)

 前述、そして最近ではこちらの記事に書いた事情があることから、アメリカ・・・のFRBが4回目の量的緩和策QE)を発動するのは避けられないものとみています。あとは「時間の問題」ということになりますが、これは次のように予想ができます。つまり、FRBは現在のFF金利誘導レンジ(1.5~1.75%)を今後の各FOMCで0.25%ずつ引き下げると仮定すると1.5/0.25=6ということで、今から数えて6回目の同会合、すなわちおそらくは来年の夏ごろにその誘導レンジの下限がゼロになり、これと同時にQE=大規模な債券買いが発動されるのではないか・・・?

 ちなみに、上記以前記事で綴った、今月初めに実施延長の期限が来ることになっていた米レポ市場におけるニューヨーク連邦銀行の資金供給策は案の定、終えることができず、少なくとも(at least)来年1月まで続けられることになりました(って、この期限も間違いなく再延長されることでしょう?)・・・って、これ事実上のQEであり(?)、ゆえにFRBとしての政策もこのレポ市場におけるNY連銀の対応に早く寄せて整合を取らなければならないという意味でも、政策金利ゼロ及びQE再開が近いとの観測は、まあ妥当だろうな、と考えるものです。

 けれど原油価格は前記のとおり、期待どおりには上昇しないでしょう(?)。よってFRBの金融緩和が上記のように強められていく局面であっても、債券市場に起因する金利上昇リスクを封じ込めることはできないだろうと予想しています。それはおそらく・・・これまた述べたように、米シェール業者のどこかがデフォルトして、みたいなことをきっかけに、かなり唐突に起こるような気が・・・

 そしてサウジアラビアロシアなどの産油国も、原油の価格がなかなか上がらないことで苦しい状況に追い詰められていくものと予想しています。これら諸国はどこも、ほぼ原油だけが外貨(というかドル)獲得源であり、したがって1バレル〇〇ドル以上、みたいな採算とか財政均衡のラインを持っているものと想定されます。で、それらのラインですが、さすがに「逆オイルショック」直後ほどは高くはないでしょうが、いまでも相当なハイレベル、最低でも現時点(同50ドル台半ば)よりは高くないと困るはず。だからこそ、その低い水準のいま、サウジの石油施設が何者かに襲撃された面がある(???)ような・・・って、誰がやったにしろ、結果としてサウジもロシアもアメリカも、そしてその黒幕とみなされているイラン(?)までも、これで原油価格が50ドル台から60、70・・・と跳ね上がれば皆さん(やった方もやられた方も?)助かるわけですからね・・・

 けれど、かりにそうなっても高値の期間は続かず、原油価格はほどなく下がってくることでしょう。前述のとおり、原油価格が値上がり→産油国や米シェール業者が一斉に増産→需給が緩和→値下がりへ、となるからです。であれば各産油国は目論見どおりにドルを稼ぐことができません。するとそれら諸国の財政状態は悪化し、歳出の削減とか対外債務の増加を迫られそう。とくにペルシャ湾岸の産油国は、余剰ドルが枯渇していくために、メイド・イン・USAすなわち武器兵器とか米国債の購入を減らしていかざるを得なくなるように思えます。もちろんそれもまたアメリカの実体経済(≒武器兵器の販売)&金融経済(≒金利上昇抑制)の双方にダメージを与えることになるでしょう。

(続く)

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