世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

円安インフレ懸念で国民が気づく「円高」のありがたさ②

2013-01-29 00:03:31 | 日本

(前回からの続き)

 ここで上記の円安転換直前までの円高局面について振り返っておきたいと思います。

 2007年半ば以降、昨年11月までの5年あまりで円/ドル為替レートは1ドル約120円から約80円へと、50%ほども円高ドル安になりました。この「円高」に、欧米諸国の不動産バブル崩壊やユーロ危機などにともなう景気低迷・消費減退なども加わって、この間、自動車や機械などといった多くの日本の輸出部門のパフォーマンスは停滞しました。

 さらに、中国や韓国などの輸出企業が、円に対する自国通貨安を梃子に、世界市場における日本企業のシェアを奪う形で売り上げを伸ばしたこともあり、わが国の企業、とくに電機セクターの低迷や退潮ぶりが目に付くなかで、その最大の原因が「円高」に求められていたように感じられます。

 そんな「円高」ですが、これまでわが国では「戦犯扱い」されてきた印象が強かったと思います。半導体メーカーの経営危機や大手電機メーカーの赤字決算等のニュースが伝えられるたび、そして自動車会社幹部の「現状の為替水準では日本での製造は困難」といった趣旨の発言が大きく報じられるたび、それらの元凶として「円高」がやり玉に挙げられてきました。いずれの報道も、「超円高」とか「円高デフレ」などといった表現ぶりで、円高が日本経済にいかに深刻なダメージを与えてきたかを訴えるトーンだったかと思われます。

 政治家の政策論議でも、こうした「行き過ぎた円高」の是正が最重要のテーマのひとつとされてきました。為替介入や日銀による金融緩和策、はては日銀の外債購入論などなど、与野党を問わず、円高是正、つまり「円高は悪である(≒円安は善である)」という前提に立った経済政策だけにもっぱら焦点が当てられてきた、といっても言い過ぎではないでしょう。

 本稿前段に記したとおり、そんな空気は一変しました。

 アベノミクス」のアナウンス効果(インフレ目標2%)や金融市場の「リスクオン」の流れに乗って、わずか2ヶ月あまりで一気に「円高是正」が進みました(ここまで急とは・・・私も予想できませんでした)。それまでの著名経済人の主張や主要マスコミの論調等からすれば「日本経済が待ちに待った円安局面の到来!」といったところではないでしょうか。つまり「円安で価格競争力を取り戻した本邦企業が輸出主導で日本経済を上昇に導く!」というわけです。「日本経済の生命線『外需』の復活」という感じかもしれません・・・。

 ところでわが国は本当に「輸出大国」といえるのでしょうか。

 たしかに輸出額からみればそのとおりです。国際貿易投資研究所のデータによると、2011年の輸出額国別ランキングで日本は中国、アメリカ、ドイツに続く第4位(約8200億ドル)となっています。

 しかしこれがGDPに占める割合は約14%と、韓国(約50%)、ドイツ(約41%)、中国(約26%)といった主要輸出国と比べると、アメリカ(約10%)などと並んで世界的に見ればむしろ低いほう(96位!)。これを別な言い方で説明すると、わが国のGDPの大半の部分は個人消費などの「内需」によって構成されている、ということになります。つまりGDP全体から見れば、日本はじつは輸出大国というよりはむしろ内需の厚い国というほうが実態に近いといえます。

 このあたりは日本だけではなく外国でも「日本経済は輸出主導型」といった勘違い(?)をしている見方が少なくないと個人的に感じているところです。まあこれはトヨタやホンダ、ソニーやキャノンなどといった日本企業の存在感やブランドイメージが世界中でそれだけ際立っていることの証というわけで、それはそれで素晴らしいことではありますが・・・。

(続く)

コメント

円安インフレ懸念で国民が気づく「円高」のありがたさ①

2013-01-27 00:01:36 | 日本

 「目標インフレ率は2~3%!」

 昨年11月中旬の記者会見で当時の安倍自民党総裁(現首相)がこう発言して以来、外国為替市場では急速に円安ドル高が進行しています。同記者会見直前までは1ドル79円台だったものが会見直後から同80円台に下落し、12月の衆議院議員選挙での自民党圧勝・安倍内閣の発足などのタイミングのたびに円安ドル高が進み、現時点(1月25日)では1ドル約90円と、2ヶ月ほどの間に約10円、割合にして10%以上も円の価値がドルに対して下落しました。


(11月15日の安倍自民党総裁[当時]の記者会見から円安・株価上昇へ転換)

 安倍政権の経済政策、いわゆる「アベノミクス」においては、冒頭に書いたように金融政策ではインフレターゲットを2%としています。長期金利を明らかに上回る水準、つまり「マイナス金利」(長期金利-期待インフレ率<0)にするということ。以前から書いているように、欧米各種バブル崩壊後の金融市場では、これまで実質金利ベースで「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」となっているなかで外貨に対して円が買われる状態(円高外貨安)が続いていました。そこで日銀のさらなる金融緩和策によるベースマネー拡大で円の価値を大きく毀損させることで外貨との実質金利差を無くして(あるいは「円<外貨」として)円安を促し、外需拡大を目指そうというのでしょう。

 この間、欧米諸国のマーケットがとりあえず(?)安定して「リスクオン」となってきたことも見逃せません。欧州では懸案となっていたギリシャへの追加支援が昨年中に決まり、アメリカではこれまた当面の世界経済最大のリスクとみなされていた「財政の崖」が、富裕層増税などの財政健全化政策の実施決定によって目先は回避されました。これらを受け、市場の空気が「リスクオフ」から「リスクオン」に変わり、それまで円に対して売られていたドルやユーロが買い戻されたことも円安に拍車をかけることになったと思われます。

 そんな為替市場の変化を受けてわが国の株式市場も活況を呈しています。

 冒頭の安倍氏の記者会見前日(11月14日)の日経平均株価の終値は8665円でしたが、同会見以降は順調に上昇し、昨年大納会(12月28日)の同終値は10395円と年初来最高値で終え、年明け後はさらに上がって現時点(1月25日)は10927円と、この2ヶ月間だけで約26%も上がりました。この株価上昇を主導しているのは、わが国の株式市場における売買シェアの6割超を占めるといわれる外国人投資家と思われます。彼らの投資マネーが、折からのマーケットの「リスクオン」の流れに乗って、アベノミクスがもたらす円安にともなう本邦輸出企業の業績好転期待などを口実に、大量に日本のマーケットに流入してきているためと考えられます。

 以上のように、金融市場では外貨や株価の値上がりなどを通じてアベノミクスの「円安効果」は早くも投資家(その多くが外国人だったりして!?)に恩恵を与えつつあります。さらに今後は、欧米経済の回復基調(???)のなかで、わが国からこれら諸国への輸出が上昇に転じ、これに同「円安効果」も加わって、安倍政権の当初の目論見どおりの外需拡大へ・・・といきたいところですが・・・。

(続く)

コメント

「さとり(差取り)」に向かう世界⑫(真の覚醒へ)

2013-01-25 00:00:39 | 世界共通

(前回からの続き)

 以上、所得や資産の格差を是正して公平な社会を作ろうという現在の世界的なトレンドを「さとり(差取り)」と表現して長々と私論を綴ってきました。これからの時代、この「さとり(差取り)」を視点に持つと見えてくるものが多くなっていくだろうと予想しています。

 本稿の冒頭でご紹介した2012年12月21日のマヤ暦の大きな節目を過ぎ、すでに「アセンション」の時代に入っているといわれています。私のような凡人には次元上昇(?)が起こっているような気配はなかなか感じられませんが、これまでいろいろと述べてきたように、わたしたちの経済社会は「さとり(差取り)」に向かって着実に変化しつつあります。

 以前「世界長者番付であまり目立たない日本の幸せ 」で書いたとおり、じつはそんな「さとった(差取った)」世界、つまり格差が緩やかな公平・公正な世界に一番近い位置にいるのはわが国だと思っています。そして欧州、アメリカ、中国(ついでに韓国)などを舞台に近いうちに起こりそうな金融恐慌と社会的混乱のなかで、巨大な格差がそれらの元凶であることが明らかになるにつれ、日本の市民社会こそが世界の「さとり(差取り)」の手本となっていくような予感もしています。わが国は「さとり」のリーダーシップを取るよう運命付けられている・・・。

 そういえば「さとり(覚り・悟り)」には「富や権力などに対する執着を手放す」といった意味がありますね。そう、だから「差取り」とは「覚り」のことである―――そんなふうに思っています。

 「差取り」から「覚り」へ―――真の覚醒へ。日本語の言霊(ことだま)が人類を導く時代が始まりました。

(「『さとり(差取り)』に向かう世界」おわり)

コメント

「さとり(差取り)」に向かう世界⑪(消えるトリクルダウン仮説)

2013-01-23 00:01:16 | 世界共通

(前回からの続き)

 本稿⑥~⑩では、個人的に考える「さとられたくない(差取られたくない)」富裕層の「さとり(差取り)」回避策として、「課税逃れ」、「消費増税」、そして「金融緩和策」を取り上げてみました。

 「さとり(差取り)=格差是正」を語る本稿の最後では、これらの「回避策」や資産家の蓄財をある意味で肯定する論拠となった「トリクルダウン仮説」についてふれておきたいと思います。

 トリクルダウン仮説とは、水が高いところから低いところにしたたり落ちる(trickle down)ように、富める者が富めばその「おこぼれ」にあずかって貧しい者も豊かになっていく、というような考え方。1980年代以降、「小さな政府」をスローガンに掲げて米レーガン政権や英サッチャー政権が推進した民営化や規制緩和、金融自由化といったいわゆる「新自由主義」改革の思想的な基盤のひとつとなったものです(高額所得者層の税率を下げれば税収が多くなる[!?]という「ラッファーカーブ」などもそうですね)。具体的な統計資料やロジックに裏付けられていないので「理論」とは呼べず「仮説」に過ぎないといった見方がされているようです。

 本稿前段のアメリカ、フランス、韓国などの例をみれば分かるとおり、この「仮説」が成立しないことはもはや誰の目にも明らかでしょう。これらの諸国は、所得税の最高税率の引き下げや資産課税の緩和といった、富裕層がますます豊かになるような(トリクルダウン仮説に沿った)政策をいままで続けた結果、巨大な貧富の格差に直面し、「さとり(差取り)」を進めなければ市民社会が崩壊しかねない危機的な状態に陥っています。もしこの「仮説」が立派な「理論」であるのなら、資産家ではない大多数の人々がこれほど経済的に厳しい状況に捨て置かれるはずはありません。

 そもそも一握りのお金持ちをさらに豊かにしたところで、人間そんなに食べたり飲んだりすることができないように、彼ら彼女らが増やす消費や投資の額はたかがしれています。それらが国民経済全体の成長や貧民層の生活レベルの底上げに寄与する部分はわずかでしょう。まあ人口が少ない国などではトリクルダウン効果、つまりこうしたお金持ちの消費等が周囲に与える恩恵は大きいかもしれませんが・・・(だからこそこうした国々は相続税ゼロなどで富裕層の移入を促しているのでしょう)。

 といったように、資産家の「さとり(差取り)」回避のための理論(空論?)という側面を持つこの「トリクルダウン仮説」は、世界的な「さとり(差取り)」の声の高まりとともに姿を消しつつあるように思えます。

(続く)

コメント

「さとり(差取り)」に向かう世界⑩(差取り回避策:金融緩和その3)

2013-01-21 00:00:08 | 世界共通

(前回からの続き)

 そんな中央銀行の金融緩和策を容認する一方で、大多数の一般市民の声を聞き入れて「さとり(差取り)=格差是正」を進めようというのなら、やはり政府が政策的に動くしかないでしょう。

 具体的には、財政基盤を強化するにあたって、その赤字を中銀の「財政ファイナンス」で安易に埋めようとするのではなく(一方でデフレ推進や逆進性というマイナス面を持つ消費増税だけを行うのではなく・・・これは日本のこと)、担税力のある富裕層に応分の負担を求めていく、つまり最高税率の引き上げなどによる所得税や資産税・相続税の増税を進めて歳入の強化と不均衡是正を図る、といったことなどです。

 はたして、本稿前段でご紹介したアメリカやフランスなどの国々が、金融緩和という「麻薬」が効いている間に、「さとられたくない(差取られたくない)」人々の「さとり(差取り)」回避策などによる反撃(?)をかわしながら、こうした「さとり(差取り)」政策をどこまで推進していけるのか、注目していきたいと思います。

--------------------
【日銀の金融緩和策について補足です】

 以上は「さとり(差取り)」回避的な面を強く持つ欧米中銀の金融緩和について述べたものです。これに対して日銀の金融緩和の目的はそれらとはだいぶ異なります。

 それは本質的には円のマネタリーベースを拡大して円安(外貨高)を促そうという「円安誘導による外需狙い」であって、円売り外貨買い為替介入のような性格を持つもの(何度もしつこく指摘してすみません)。一方で欧米中銀の金融緩和策のような「財政ファイナンス」的な意味合いは強くはありません。以前から書いているように、現状、日本政府は普通に国債を発行して(外国マネーに頼らなくても、国内の!)金融市場から財政資金を低い金利で十分に調達することができるので、日銀のこうした財政支援的なオペに頼る必要は無いということです。

 このあたり、「さとり(差取り)」のテーマから少し外れてしまいましたが、欧米中銀の金融緩和策に加えて日銀のそれまでも「財政ファイナンス」であるという見方が一部にあるようなので、あえてそれとは異なる個人的な解釈を付記してみました。

(続く)

コメント

「さとり(差取り)」に向かう世界⑨(差取り回避策:金融緩和その2)

2013-01-19 00:01:49 | 世界共通

(前回からの続き)

 一方、欧米諸国の一般市民にとっての金融緩和ですが、個人的には、金利低下がもたらすメリットよりもデメリットのほうが大きいのではないかと思っています。その最たる理由が「インフレ」です。

 中央銀行による国債等の買い入れでマネタリーベースが拡大すれば、当然ながら通貨の価値が下がってモノやサービスの値段が上がります。そして前回書いたように金融緩和で市場にあふれたマネーの多くは債券や株式、そして石油や穀物などの投資に向かうことでしょう。金融緩和によってもたらされるこうした通貨価値の低下や商品投資の過熱化などにより、ガソリンや小麦といった生活必需品の価格が高騰し、市民生活を苦しめるおそれが高まります

 さらに見逃せないのは、実質金利がマイナスになることの弊害。以前から指摘していることですが、欧米諸国の多くが金融緩和で名目金利をインフレ率よりも低い水準に引き下げているため、実質の金利がマイナスに落ち込んでいます。つまり、たとえ預貯金をしても時間の経過に比例してお金の価値がインフレで目減りしていくということ。これでは預貯金や年金に頼る市民層はますますまず貧しくなっていくことになります(逆に巨額の借金が可能な富裕層は時間の経過に比例して借金返済負担が減るのでますます豊かになるチャンスに恵まれる)。

 なお付け加えると、この実質マイナス金利現象ですが、国家の資金調達という面からも重大な問題をはらんでいます。当たり前の話ですが、そんな状態を長い間放置している国の通貨・国債なんて、やがては誰も買おうと思わなくなるからです(そんな国にお金を貸そうと誰も思わなくなるということ)。だから結局は「円>ドル>ユーロ>新興国通貨」つまり実質金利が高い「円」が買われることになるのではないでしょうか。

 といったように、いまや花盛りの観のある(?)金融緩和策は、「さとり(差取り)」回避や阻止の意味からも、低利の借金レバレッジで自らの所得や資産を極大化できる機会を得られるという面からも(その失敗は政府や中銀が肩代わりしてくれるという面も含めて)、富裕層にとっては格差をいっそう拡大するチャンスに感じられるだろうと思っています。

 その半面、ほとんどの「さとりたい(差取りたい)」人々にとっては、目先の住宅ローン金利の低下という恩恵以上に、金融緩和がもたらす「インフレ」、つまりガソリンなどの生活物資の価格高騰や実質所得の目減りなどに苦しめられることでしょう。そして資産家との格差はますます広がって「さとり(差取り)」は遠のくばかり・・・。

(続く)

コメント

「さとり(差取り)」に向かう世界⑧(差取り回避策:金融緩和その1)

2013-01-17 00:02:50 | 世界共通

(前回からの続き)

 本稿⑥、⑦では、富裕層の「さとり(差取り)」回避策として、資産家をターゲットにした課税強化から逃れようという動き、および消費増税の容認による資産増税の緩和狙いという、「税金」に関連するものを取り上げてみました。

 そのほか、本来の目的とは違ったところで、じつはこうした「さとり(差取り)」回避的な要素を強く持つ、いま世界経済でたいへん流行している(?)政策があります。それが「金融緩和策

 本ブログでたびたび書いているように、2007年の米サブプライム問題顕在化以降、欧米の中央銀行はさまざまな金融緩和策を実施しています。アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)は一連のQE(Quantitative Easing:量的緩和、現在は第3弾を実施中!)、そしてヨーロッパでは欧州中央銀行(ECB)がLTRO(Longer-Term Refinancing Operation:3年物資金供給オペ)とかOMT(Outright Monetary Transactions:国債購入計画)といった金融市場への低利資金供給策を続けています。

 詳細は省きますが、これらの金融政策の本質は「財政ファイナンスといえるでしょう。各種バブル崩壊後の借金負担を軽くするため、アメリカも欧州(とくにPIIGS諸国)も金利を十分に低い水準に維持する必要があります。一方、これら諸国の多くは経常赤字国であるうえ、住宅ローン破綻リスクやソブリンリスクが高まるなかでマーケット任せでは金利は下がりません。そこで欧米中銀が行ったのが上記の横文字オペレーションを通じた金利の低め誘導。名前は違えど、やっていることはほぼ同じ。つまり「大規模な国債等の買い入れ=財政ファイナンス」です。

 こうした金融緩和策ですが、富裕層の「さとり(差取り)」回避の観点から考察すると次のようなメリットが浮かび上がってきます

 はじめに指摘できるのは、中銀等による財政ファイナンスによって資産増税のプレッシャーが和らぐ可能性が高まること

 つまりこういうことです。重債務国にとっては、中銀が国債を買い入れて財政をファイナンスしてくれれば国債利回りは低下(価格は上昇)するし財政資金も手にすることができます。これによって財政再建の手綱が緩み、富裕層の所得や資産に対して課税を強化しようという動きも止む・・・。こうした傾向は、先般EUおよびIMFから新たな融資約束を勝ち取ったギリシャや、上記OMTによる支援を近々(?)ECBに要請しそうなスペインなどのPIIGS諸国などで今後は顕著になっていくだろうと見ています。

 しかしこの「財政ファイナンス」はいわば麻薬。中銀等に国債を買ってもらえば上記のように束の間の(?)心地良さが訪れます。しかしこれに依存しすぎるとインフレや金利の高騰という苦しみがやがて襲ってくるということです。真の意味で財政を立て直し、経済基盤を強化するためには、やはりこの麻薬依存から脱却し、強い決意で「さとり(差取り)」(富裕層増税など)とか産業振興策などを進めなければならないはずですが・・・。はたしてすでに相当な「麻薬依存症」に陥っているギリシャなどのPIIGS諸国等にそんなことができるのかどうか・・・。

 そして金融緩和は富裕層、とりわけ低金利の緩和マネーにアクセスすることができる人々に莫大な利益をもたらすチャンスを提供します

 現状の先行き不透明な欧米経済で、いくら金融緩和を行って市場に低利資金を供給しても、金融機関や大手企業の多くは企業融資や設備投資などの本業を進めることはせず、この資金を借り受けて少しでも利回りの良い債券や商品等に投資して利ざやを稼ぐという「キャリートレード」に走るばかりではないでしょうか。このトレードが成功すれば、これら企業等の経営者や投資家といったお金持ちは大いに潤います。こんな取引ができるのは低利マネー借り入れでレバレッジを効かせることができる人々に限って許される特権です。しかもこれにしくじった場合でも・・・金融危機発生!→政府が公的資金を金融システムに投入・中銀が問題金融機関に特別融資等を敢行・・・などと政府や中銀がその失敗をしっかりフォローするので、個人の経営責任が問われることはほとんどありません・・・。

(続く)

コメント

「さとり(差取り)」に向かう世界⑦(差取り回避策:消費増税)

2013-01-15 00:00:44 | 世界共通

(前回からの続き)

 外国への資産移転や移住のほか、富裕層の「さとり(差取り)」回避策として有効なのは、とくにわが国においては「消費税の増税を訴えること」ではないでしょうか。

 「増税なのにどうして『さとり(差取り)回避』なのか?」と問われそうですが、そのわけを以下に記していきたいと思います。

 現在、巨額の財政赤字を抱えるわが国などの先進国では税収の拡大が求められています。こうしたなか、アメリカやフランスといった国々は、本稿でご紹介したように、所得税や相続税の最高税率やキャピタルゲイン税率の引き上げといった、富裕層をおもなターゲットにした課税強化を進めています。

 これに対し、わが国では「財政を立て直さなければならない、そのためには税収を増やす必要がある」ところまでは両国と同じですが、ご存知のとおり、税収増加の手段として真っ先に挙げられるのが「消費増税です。以前「消費税軽減税率の適用を要求する新聞のエゴイズム 」でも書いたように、新聞をはじめとする主要メディアがこぞって(?)増税を唱えるのは、数ある税金のなかでも唯一この消費税だけ、といってもいいくらいではないでしょうか。誰にとっても増税は辛いはずなのに、なぜ消費税に限って日本ではこんなに増税人気(?)があるのか・・・。

 消費増税がこれだけ主張される最大の理由は、法人税や所得税などと比較すると消費税には景気動向にそれほど左右されずに安定した税収が見込めるというメリットがあるためでしょう。たしかにそのとおりと思います。

 しかし消費税には、消費を冷やすというデフレ効果があるほか、「さとり(差取り)=格差是正」の観点からも重大な欠陥があります。それは「逆進性―――同じモノやサービスを買った場合の税相当負担額がお金持ちもそうでない人も同じ額になる、といったことです(税込価格105円のリンゴの同負担額は両者ともに5円ですが、その担税感の重みは「月とすっぽん」のはず・・・)。

 一方、富裕層にとって消費増税は次の点からメリットとなりえます。逆進性については上述のとおり、消費税負担額が生活保護層などと同じ金額ですむことになります(お金持ちにとっては担税感が軽い)。そして重要なのは、財政再建の手立てとして消費増税が前面に出てくれば、所得税の最高税率や相続税の引き上げがその陰に隠れ、富裕層増税が回避あるいは軽減される可能性が高まること。つまり「消費増税で買い物の際に支払う金額は多少は増えるかもしれないけれど、所得税や相続税の増税でガッポリ国に持っていかれるよりは・・・」ということです。

 といったようにみてみると、わが国では「消費税を増税せよ」という訴えこそ、富裕層の「さとられない(差取られない)」ための、つまり増税の脅威から自らの資産を保全するための方便となっているように感じられるのです。先にあげた新聞等のメディアが一斉に「財政健全化=消費増税」を主張する背景には、こうした富裕層の思惑があるのかな、などと想像したりしています。

 さて、このような消費増税をいわば「隠れ蓑」とする富裕層の「さとり(差取り)」回避策ですが、この先どこまで続けられるかは不透明といえそうです。本稿前段でご紹介したバフェット税」に代表されるように、富裕層への課税を強化しようという気運が世界的に高まっていることに加え、わが国でも所得税や相続税の増税等が検討されたり主張されたりするようになってきました。すでに「社会保障と税の一体改革」で政府がこれらを進めているほか、日本維新の会や民主党などの主要政党が資産課税の強化をマニフェストに掲げたりしています。

 こうじた情勢のもと、誕生して間もない自民党・安倍政権は、所得税の最高税率を現行の40%から45%に引き上げるほか、相続税のほうも相続遺産から差し引くことができる基礎控除額を引き下げて課税対象を拡大する方向で検討を始めたもようです。「さとり(差取り)=格差是正」の観点からは望ましい方向性ですね。今後、同政権が、消費増税実行の是非を含めた「さとり(差取り)」にどのようなスタンスで臨むのか・・・。その大胆な金融政策と財政政策の今後と合わせ、期待を持って見ていきたいと思います。

(続く)

コメント

「さとり(差取り)」に向かう世界⑥(差取り回避策:課税逃れ)

2013-01-13 00:01:58 | 世界共通

(前回からの続き)

 以上、「さとり(差取り)」つまり格差是正をめざす動きについて、アメリカフランス、そして韓国のケースを取り上げてみました。

 これら以外でも、たとえば、緊縮財政下で一般国民が厳しい生活を余儀なくされる一方で富裕層の多くがスイスなどに資産を避難させている実態が暴露されたギリシャや、貧富の差の拡大や行政の腐敗に抗議するデモや暴動が頻発し、「さとり(差取り)」への挑戦(民衆反乱による旧体制の打倒、新体制樹立)と失敗(その体制の腐敗から貧富の差拡大へ)を繰り返えすというカルマの法則のとおり混沌に向かいつつある王朝国家・中国などなど、「さとり(差取り)」をめぐる持てるものと持たざるものの確執や対立の図式は世界各地に見つけることができます(もちろんわが国でも・・・後述します)。

 ところで大多数の世界市民が切望するこの「さとり(差取り)」ですが、資産家や大企業経営者などの富裕層は、当然ながら「さとりたくない(差取りたくない)」し「さとられたくない(差取られたくない)」わけです。そのためにいろいろな対策を講じて自分たちの財産や既得権益を守ろうとしている様子が窺えます。以下ではそんな「さとられたくない(差取られたくない)」側の「さとり(差取り)」回避策(とでもいっておきましょう)について私論を述べてみたいと思います。

 まず指摘できるのは、富裕層が自分たちの資産を外国に移そうという動きが顕著になっていること。

 たとえば本稿で先日ご紹介したように、オランド大統領の富裕層に対する課税から逃れるため、フランスのお金持ちの多くが国籍を変えたり資産を国外に移したりしています。こうした資産家の動きは、上記ギリシャを筆頭に厳しい財政再建が求められているPIIGS諸国でも見受けられ、一般市民の怒りを買っているようです(米欧中韓ほどは格差が大きくないわが国でも、相続税がないニュージーランドへの移住等を推奨する本がベストセラーとなっていることに象徴されるように、今後は富裕層のあいだで資産の国外移転等への関心が高まるかもしれません[衣食住、安心・安全面、医療や社会保障制度、語学面など、あらゆる環境を比較検討すれば、いくらお金持ちとはいえ、課税逃れだけを目的に、実際に日本から外国に移住するメリットは多くはないと思いますが・・・])。

 欧米諸国の多くで財政再建が進められるなかで、これからは自らに対する課税強化を予測して資産税や相続税のない(あるいは少ない)国々へ移住したり資産を移そうとする富裕層がますます増えていくものと思われます。具体的な「避難先」はスイス、ベルギー、イギリス、ロシアといった欧州諸国や、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどになるでしょうか。

 一方、PIIGS諸国やフランス、アメリカなど「さとり(差取り)」政策としての富裕層増税を進める立場の国々の目から見れば、彼ら彼女らのこうした動きは課税逃れや脱税行為にうつるはず。したがって今後はこうした「さとろう(差取ろう)」とする国々と資産家の避難先となる国々とのあいだで、国境を越えるお金持ちへの税務調査をめぐる対立が深まりそうだと予想しています。このあたりはとくに「財政の崖」回避で富裕層増税に一歩踏み出したアメリカ・オバマ政権がスイスなどの「タックスヘイブン」に対してどのようなプレッシャーをかけていくのか、といった点に注目しています。

(続く)

コメント

「さとり(差取り)」に向かう世界⑤(韓国編その2)

2013-01-11 00:01:49 | アジア

(前回からの続き)

 実際、イギリスの租税回避地(タックスヘイブン)反対運動団体「租税正義ネットワーク」が昨年発表した報告書によれば、1970年から2010年までに課税を逃れて韓国から海外のタックスヘイブンに移された資産は総額で約7800億ドルにのぼるとのことです。この規模は中国、ロシアに続く世界第3位で、2010年時点の韓国の対外債務額の2倍以上という巨大なもの。これはこの期間、「さとられたくない(差取られたくない)」韓国の富裕層が外国に資産を避難させた結果でしょう。このランキングで「さもありなん・・・」と感じさせる中ロ両国に次ぐ位置に韓国が入っている様子をみると、富の公正な配分という面に限れば、韓国は決して大韓「民国」などではなく、むしろどこかの専制国家に近いのではないか、という気さえしてきます。

 そしてそんなお金持ちの蓄財を擁護しようというのか(?)、本稿のアメリカ編でご紹介した「バフェット税」(年収100万ドル以上の富裕層に高い税率を課すもの)の導入について、李明博政権(今年2月まで)の企画財政部長官は、得るものよりも失うものが多い、として否定的な見解を示しています(2011年11月)。このあたり、「ビジネス・フレンドリー」を標榜する李政権は、独占的な財閥経営ばかりでなく、同経営者の個人的な金儲けにも「フレンドリー」というスタンスを取っているように感じられますね。

 その一方、優遇策を通じた財閥や特権階級の上記のような繁栄とは裏腹に、財閥以外の多くの企業や事業者の経営状態はますます厳しさを増し、財閥経営者やその幹部と一般勤労者との資産や所得の格差は拡大するばかり・・・。この間の為替政策(輸出に有利なようにウォン安を維持)にともなう高いインフレ率や家計債務の拡大などと合わせ、李大統領の財閥優遇策は格差拡大を助長して多くの国民をむしろ貧しくさせたといった批判が高まっていました。その結果として上述の「経済民主化」、具体的にはこの財閥優遇策をどこまで是正するかが昨年12月の大統領選の大きな争点となったものです

 そんな選挙の結果ですが、ご存知のとおり、急進的な財閥改革を訴えた文在寅氏をおさえ、これに慎重な姿勢を示した朴槿恵氏が勝利しました。とはいえ、得票率では51.6%対48%という僅差、しかも大票田のソウル地区は文氏のほうが最多得票となるなど、経済民主化」つまり「さとり(差取り)」を求める国民の切実な願いが反映されたものとなりました。

 この2月、韓国史上初の女性大統領となる朴氏が、そうした人々の期待を背に受けて、「さとられたくない(差取られたくない)」特権階級の権益にどこまで深く切り込んで、この「さとり(差取り)」の思いを政策として実現していけるのか、注目したいと思います。

(続く)

コメント