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【「日本国」のB/Sは世界一強靭】コロナ禍で検討アリ?日銀の債権放棄③

2020-05-13 00:00:21 | 日本

前回からの続き)

 前述のように、日銀はその出資の55%以上を政府(財務省)が保有することから「日本政府グループ」の「連結子会社」とみなすことができる(?)わけで、したがって日銀が持つ国債と政府が日銀に対して負う債務は、連結決算処理によって相殺消去が可能です。こうして現在、日銀B/Sに計上されている500兆円近くの巨額の国債(政府債務)が一瞬にして消えることになります(???)。

 さて、このような決算処理(日銀の政府債権の放棄)を行った後の「日本政府グループ」のB/Sはどうなるのでしょうか。財務省の「国の財務書類」(平成30年度)によると、昨年3月末日時点での政府B/Sの「資産・負債差額の部」にはマイナス約583兆円が計上されています。「・・・って、あれ?『国の借金』って1.1千兆円以上あるんじゃなかったっけ?」たしかに財務省の発表ではそうなっていますが、それはあくまでも負債の部のうちの国債等だけを合計した金額のこと。実際には政府の総資産(国有財産など)のほうも約675兆円と巨大なスケールで、上記の583兆円は、それを差し引いた後の正味の数字―――純債務の額になります。

 で、ここで日銀に債権放棄をさせるとすると、同時点(昨年3月末)の同行保有の国債(額面額)は約459兆円で、これを上記超過額から控除すると、残りは一気に124兆円にまで減ります。また国債の発行残高も1千兆円近くあったのが5百兆円前半へと約47%も減少します(なお、政府と日銀の連結決算処理をもっと厳密にするとなると、国債以外にも現金[日銀券]の相殺消去等も出てきたりして、煩雑になるので、国債だけで単純化しています)。とはいっても、この段階で「日本政府グループ」は依然として100兆円を優に超えるほどの債務超過状態にあることになります・・・

 ・・・が、これを日本政府グループからさらに拡張して「日本国グループ」つまり政府や日銀ばかりではなく、金融機関や事業会社そしてわたしたち家計も全部連結させて、日本国全体をひとつのB/Sでとらえると、どうなるか。すると、日本政府グループの負債である国債は邦銀等にとっては資産であり、その負債勘定の預金は、非金融企業や家計の資産であり、またそれらは自身の資産として現ナマ(日銀券)もしこたま保有し、そしてその日銀券は日銀の債務であって・・・などと、グループ内の「各社」(政府、日銀、邦銀、家計等)で持ちつ持たれつの関係にあることが分かります。これら国債とか日銀券は日本国グループの連結決算処理に当たっては相殺消去され、その差額だけがその連結B/Sに表れてきます・・・が、それはもはや、連結外の相手すなわち外国に対してどうか?になってくることに・・・

 ・・・って、そのあたりがおおむね確認できるのが、わが国の純資産額(=対外資産-対外負債)になります。で、これがいま、どれくらいかといえば・・・2018年末時点で約342兆円(財務省HP)。これ2位のドイツ(260兆円)、3位の中国(237兆円)などを大きく引き離して、世界一です(同年末時点の為替レートで換算)。ちなみに2019年末時点の直近値も同省からまもなく(毎年5月下旬ころに)発表されると思われますが、日銀「資金循環統計」から計算すると、昨年一年間でさらに増えて約372兆円と、円はもちろんドル建て換算額でも史上最高額になったもよう・・・

 以上により、全世界に二百社弱ある国家という名の企業体のなかで日本国は、その財務基盤が世界一強靭な超優良企業ということができるわけです。こう見てくると、本稿冒頭でご紹介の財務省発表に関するメディア報道「『国の借金』が過去最高になりました~!」って、いったい・・・って思えてはこないでしょうか・・・

(続く)

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