(前回からの続き)
前述のように、金(ゴールド)の価格が上昇を続ける中、今後の金市場を暗示する(?)ような出来事が起きました。金の現物価格が先物価格に対して急騰するという局面が現出したのです。金の取引はおもに先物はNY市場で、現物はロンドン市場で取引されていますが、3月中旬、NY先物価格とロンドン現物価格との間に一時的とはいえ1トロイオンス当たり100ドル近いほどの大きな価格差が生じるという異常事態が発生しました。これ、新型コロナウイルス感染拡大の影響でスイスにある金精錬会社が操業を休止したこと、また金塊の輸送を担う航空便が減少したことなどから、金の現物の融通が滞り、市場間の取引が困難になって生じたためとのことです。これに加え、一部のトレーダーがNY先物市場で現物受渡取引に群がったことも現物価格の押し上げに寄与したもよう。同履行時に約定どおり金現物を引き渡せないと現金を上乗せして支払わなくてはならないわけで、金の現物の調達に苦しむ売り手(銀行)の足元を見透かした、あざとい(?)手口といえそうです・・・
といった事情から、いつもなら数ドル程度の金の現先価格差が、そのときは一気に100ドル近くまで拡大したという次第です。とはいっても、これ、上記のように、こうなるような条件がたまたま特定の時期に重なったために起こった一時的な現象といえるかもしれません。実際、その後、市場の動揺は(表向き?)収まったようで、両者の価格差は一気に縮小し、現在ではこれまでと同じレベルに落ち着いている・・・というより、先物価格のほうが現物価格よりもおおむね少し高くなっているという、いつもの金市場に戻っている感じがします(?)。
・・・が、近い将来、金市場ではふたたび同じ事態が、もっと大きなインパクトで起こるでしょう(?)。つまり、金の現先価格差が100ドルに拡がる・・・なんて生易しいものではなく、現物価格が暴騰し、先物価格は暴落する、というものです。以前のこちらの記事に書いたとおりです。上記3月のケースでは、市場参加者の一部が、ブリオンバンク(bullion banks:金を取引する銀行)からキャッシュをよけいにかすめ取ろうという意図で?金現物を確保しようとしましたが、次に予想される局面では、彼らも含めて皆が純粋に、かつ我先に金現物をゲットしようと現物市場に殺到するためにその価格が跳ね上がり、いっぽうで先物は見向きもされないのでその価格は急落することになります。ようするに、いまスポット(現物)で金塊をつかんでおかないとフューチャー(先物)ではけっしてそれを入手することができなくなる・・・くらいに金価格が急騰してしまう!ということです。その理由は、いまさらいうまでもありませんが、キャッシュすなわちドルの価値と信認が著しく低下するしかない?ためです・・・
上述3月中旬の事態は、本ブログで警戒?している先物価格暴落とは、やや?違う理由で起きているといえます・・・が、いっぽうでその根底には、金現物に向かおうとする巨額マネーのマグマを感じます(?)。これが現物価格を暴騰させ、先物価格を暴落させるのも、きっと間もなくなのでしょう(?)。ちなみに、5月下旬のトムソンロイター報道によると、ブリオンバンクがNY先物市場(COMEX)でのポジションを減らしてロンドン現物市場にシフトしようとしているとのこと。これ、3月局面を受けて各行がロンドンの保管庫からNYに金塊を輸送するコスト等の負担を嫌気したためですが、この動きも、金は現物重視!(金先物市場の機能低下そして・・・)の流れを加速させるものだと考えています。
(前回からの続き)
前述したように、現在、金(ゴールド)の価格が国際的に上昇しているわけですが、ドル建てでは1トロイオンス1800ドル前後と、史上最高値(同1923ドル)と比べると6%程度も安いのに、円建てでは1グラム6200円前後と同最高値付近にあります。これ、いうまでもなく、アベノミクス円安(ドル高)のせい。ちなみに上記ドル建て最高値(2011年9月初旬)の際のドル円レートは1ドル約77円(!?)という超円高・・・ではけっしてなく、当時からしても実質実効的にまあ妥当な為替水準で、これから円建て金価格を算出すると何と!?1グラム約4760円となり、現在よりも2割以上も安くなります。こうしてみると、いまのアベノミクス日本がいかに円安であり、そしてこれがもたらす(エネルギー等の輸入)インフレの害を金がいかに緩和してくれているかが分かるというものです・・・
以前から書いているように、本来、世界最強(実質金利[成長の配当]が世界一)の通貨である円のインフレリスクをヘッジできるのは、金以外にありません。ドルはアベノミクス最盛期(?)の2014~15年あたりに1ドル120円を上回りましたが、現在は同107円くらいに下落していますし、逆に金のドル建て価格は上記のようにじりじり上がっていることから見ても、円のヘッジになり得るのは金だけ、ということが認識できます。よって、外貨準備そして資産防衛の手段として、わたしたち日本人が保有するべきは、金・・・
いっぽうで上記から、また、こちらの記事で述べたとおり、金価格がドル建てで最高値にも達していないのに、円建てでこんなに高くなるようではイケナイともいえます。それだけ円の信認が劣化して―――円が安くなって―――国民経済に広くダメージ(インフレ等)が及んでいるとみなせるからです。その象徴が、シツコク指摘しているアベノミクス日本のドル建てGDPのダントツのマイナス成長ぶりです・・・
まあ、まもなく(?)現在のトレンドは反転し、円高ドル安そして金高・・・ってドル建て金価格のいま以上の上昇局面がやってくることでしょう(?)。アメリカ・・・のFRBがそうするしかないような演出をしているためです(?)。そうなればドル建て金価格は上記高値を超えて同2千ドル台に乗り、さらに上昇を続け・・・って、個人的には近い将来1万ドルに(は?)なるだろう、とこちらで予想したものです。他方、このときは同時に円高も進行するはずなので、円建て金価格の上昇率はドル建てほどではない・・・どころか、むしろいまよりも下がるシーンがけっこう現出するくらいかもしれません・・・が、それでも上がって1グラム1万円になるでしょう(?)・・・って、1万ドル÷31.103グラム(1オンス)×(日本のGDPがアメリカのそれとほぼ並ぶ水準である)1ドル30円(!?)・・・で、ほぼ1万円、ということで・・・