世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【金利喪失でも危機は防げず「金利マイナス」へ…】最終章?ペーパーマネー大増刷④

2020-07-29 00:45:37 | アメリカ
前回からの続き)

 前回、ゴールド)のドル建て価格は今週中(27日~)にも1トロイオンス1923ドルの史上最高値を更新するかも、なんて控えめな?予想を書きましたが、市場のスピードはもっと速く、ご存じのように27日、それも欧米市場が開く前に、軽々とこれを突破しました。その後、一時は同2000ドル付近まで吹き上がったと思ったら、突如1910ドル台に急落するなど乱高下気味で、現在(日本時間28日23:00)は1940ドル付近を上下しています。まあそれだけ市場が金にフォーカスしている様子が窺われるわけですが、これ、一時的なブームではなく、すでに何度も論じているように、もはや後戻りができないくらいに構造的なこと。よって、こうした短期の激しい変動を繰り返しつつも、金価格はどこまでも上昇を続けていくでしょう・・・(?)

 さて前回、金利喪失」といわれるいまのマーケット環境は、麻薬中毒者の成れの果て、みたいに、主要中銀とりわけ米FRBの麻薬・・・のような金融緩和(QE)マネーへの超過剰な依存によって至った状態といえるもの、といったことを書きました。逆にいえば、この「麻薬」がちょっとでもなくなると、たちまち世界のどこかで禁断症状・・・のような金利上昇が生じて、それが金融システムを破綻させるほどの重大な(金融システム等の)危機を招くから、この乱用以外に手がない、という始末です。

 そのあたりは、本ブログでさんざん書いてきたので、ここでは簡単に記すと・・・まあ目の前の株と債券の「双子のバブル」はこれを象徴する現象でしょう。こちらの記事等のとおり、これ完全にQEマネーが生んだバブル。でなければ―――通常の景気循環のなかでは―――株高と債券高が並存する局面なんて考えられませんから。これに対し、FRBだって、その手のバブルの危険性くらいは認識しているでしょうから、金融正常化を図ろうといままで何度か利上げなどの金融引き締めにトライしてきました・・・が、ことごとくそれに失敗してきた・・・ばかりか、こちらの記事で論じたように、市場の禁断症状(金利上昇)への耐性が弱まってきたために、金融不安増大&引き締め断念から再緩和に転じたときの金利水準がどんどん下がってしまいました。そしていま、その水準(FRBの政策金利)は、リーマン・ショック直後と同様、ついにゼロ(~0.25%)に・・・

 ・・・となると、もう下げようがないね、ゼロだし・・・と思いがちです。しかし、それでも危機は防げないでしょう。その点でもっとも脆弱と思えるのが、やはり石油市場ではないか。というのも、コロナ禍拡大後、スゴい勢いでQEマネーが散布され、これによって株や債券や不動産の価格が持ち直しているなかで、ほとんど原油価格だけがこれらに「ついてこないからです。実際、現時点(28日23:00)の油価(WTI先物)は(3か月ほど前からは持ち直したものの)1バレル41ドル前後にとどまっています。このままだと、コロナ禍長期化で油価はまた下がる可能性が高いうえ、低い原油価格が米社債市場や産油国の国債市場等で資金繰り危機等(金利上昇)を誘発しかねません。これを抑え込むには、もう一段、金融緩和を進めて油価を押し上げるしかない・・・

 ・・・って、その手こそ、こちらの記事に書いた「金利マイナス」誘導になります、現行の「金利喪失」の次に市場が向かうべきステージ、ということで・・・

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【金利喪失:市場がわずかな金利上昇への耐性すら喪失したこと】最終章?ペーパーマネー大増刷③

2020-07-27 00:58:11 | 世界共通
前回からの続き)

 先述したように、ゴールド)の値上がりが続いており、先週末のロンドン現物価格は1トロイオンス1902ドルと史上最高値(2011年9月の1923ドル)に迫ってきました。これ前述のとおり、アメリカに続いて欧州連合(EU)もまた通貨(ユーロ)の大増刷に乗り出す(って、結果としてECB[欧州中央銀行]が、そうせざるを得なくなる?)ことが決定的になり、インフレリスクが一段と意識されたことの反映といえるでしょう。現状、米欧ともに引き続き金融緩和を進める以外に手はなく、したがって同リスクヘッジとしての金へのマネー流入はさらに増え、その価格は(早ければ今週中に?)上記最高値を抜いていくことでしょう(?)。ということで、本日27日のアジア市場がどうなるか、注目です。

 ・・・といった具合に、金価格がとめどもなく上がっていくのは、まあ理解ができるというものです。が、いまの市場はスゴいな~と思うのは、金が値上がりすれば逆に値下がりするような金融資産まで買われていること。たとえば、上記増発で価値下落必至の?ユーロがドルや円に対して値上がりしました。これ復興基金でEU経済が上向くことを期待した投資家が買ったためだそうです・・・って、通貨の乱発度合いがユーロのほうがドルよりはまだマシ、という判断なら、ちょっとは分かりますが・・・(?)

 そして、もっとスゴいと感じるのは、アメリカやEUなどよりもずっとインフレリスクの高いはずの新興国にまで投資マネーが流入していること。そのあたりは、メキシコ、インドネシア、ロシアなどと、ここのところ相次いでいる新興国の政策金利の引き下げに表れています。たしかに、かの国々の利下げは理解できます、コロナ禍に対して景気を刺激したいでしょうから。しかし新興国にとって利下げは諸刃の剣、つまり欧米投資マネーの流出を引き起こすリスクもあります。にもかかわらずこれら各国がこうして利下げを決めたのは、利下げしてもこれらマネーの借り入れには支障がないとの確信があるから。自分たちの国債の名目上の利回りは、ほとんどゼロの先進国の国債よりは高いからね、ということでしょう・・・

 「金利喪失」―――経済メディアはいまの市場をこう表現しています。それは、日米欧の主要中銀の金融緩和によってもたらされた状況になります・・・が、そもそもこれリーマン・ショック(2008年)以降、10年以上にわたって、基本的に途切れることなく続けられてきました。その過程で、ちょっとでも何かあると―――国や金融機関や企業等が資金繰り不安等に直面してそれらの借入金利が上がると―――中銀は少しの我慢もせずに利下げとか債券の買い入れ等を進めてその上昇を抑え込んできたわけです。それは、以前からの本ブログの表現である、禁断症状に苦しむ麻薬中毒患者に麻薬を差し出すのと同じです。その長年の乱用の結果としての「金利喪失」・・・ってことは、もはや金融マーケットは、終末期のヤク中患者のように、わずかな金利上昇(≒わずかな禁断症状)への耐性すら喪失してしまったのでしょう・・・(?)

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【米FRBのヘリマネ&EU「共通債」発行決定で金価格、青天井か?】最終章?ペーパーマネー大増刷②

2020-07-25 00:01:03 | 世界共通
前回からの続き)

 前述のように、このほど欧州連合(EU)は、新型コロナウイルス感染拡大でダメージを被った域内経済の再生を目的に、総額7500億ユーロもの復興基金の創設を決めましたが、その資金はEU(の欧州委員会)が発行する「共通債」で市場から調達するとのこと・・・ですが、その主要なおカネの出し手は中国・・・とECB欧州中央銀行)くらいしかいないでしょう。

 で、その中国については、現在、アメリカ・・・のドナルド・トランプ政権が対中強硬策を連発しているところ、同国の同盟者としてEUもこれに歩調を合わせる必要があるでしょう。実際、フランスなどは、アメリカにならい(?)、自国の5Gから中国IT企業の華為(ファーウェイ)を除外するもようで、今後、他のEU加盟国もこれに続く可能性がありそうです。これに対して中国は、上記のようにEUがチャイナマネーを超~当てにしているのを見透かしているはず。なので、EUがアメリカに同調するなら、われわれにも考えがある!などと、暗に上記共通債への投資(EUへの貸付)を手控えるそぶりを示してEUを揺さぶる、なんて手に出そうです(?)。こうされるとEUは苦しいので、中国に厳しく当たることができず、結果として対中戦略においてアメリカとEUは一枚岩になれない、みたいな・・・

 上記は、ECBが共通債をどのように扱うのかが現時点で不明確な面とも関連してきそうです。今般、アメリカでは、コロナ禍対策に伴う連邦政府の大規模な財政出動を受け、FRBが国債を無制限に購入するという超緩和的な金融政策を実行しました(って、その功罪はともかく)。ですがこの種の政策の是非が、いまのEUとECBのルールでははっきりしていない、つまり、ECBは特定のEU加盟国の「財政ファイナンス」(ECBによる特定国の国債の直接引き受け)はしないことになっているけれど共通債はどうするの?チャイナマネーを当てにしているの?中国が素直に買うと思っているの?ということです。

 こちらの記事を含め、本ブログでは以前からこう予測してきました―――EUでは(コロナ禍があろうがなかろうが)どのみちECBが実質的な「財政ファイナンス」をせざるを得なくなるだろう、ただしEUの内規上、財政危機に陥った特定国の国債だけを買い支えるわけにはいかないから、当該国にはESM欧州安定メカニズム:EUの財政・金融セイフティーネット)が財政資金を融資し、その原資調達用にESMが振り出す債券をECBが引き受ける、みたいなスキームにして、「ECBが買うのはESM債で、当該国の国債を買うわけではないので、これ財政ファイナンスには当たりません」みたいな(苦しい)弁明をするだろう―――と・・・

 今回の共通債は、名前やコロナ禍対策限定?という違いはあっても、その枠組みは上記ESM債と同じです。そして、スケールが巨大であること、また上記の中国をめぐる微妙な状況等もあることから?とても市場で無難に(金利の急騰を招かずに)消化されるようには思えません。よって上記予想のとおり、ECBがこれを購入せざるを得なくなるに違いない、と考えるものです。その際のクリスティーヌ・ラガルド同総裁の言い訳?がいまから楽しみ?ですが・・・

 さて、このEUの共通債構想の発表直後に一段と上昇したのがゴールド)価格。それはそうでしょう、ただでさえ米FRBの上記ヘリマネ政策でドルが市中にあふれているところ、ドルに次ぐハードカレンシーであるユーロもまた、こうして大量に吐き出されることが決まった(?)わけですから。となると、もはや金価格上昇の頭を抑える要素なんてどこにも見当たらないというものです。ちなみに現時点(日本時間24日22時過ぎ)の金先物価格(CMX8月限)は1トロイオンス1900ドルをついに上回り、ドル建て価格の史上最高値1923ドルに迫ってきました。これを抜き去り、2千ドル台(という通過点?)に乗るのも、まもなくのことでしょう・・・(?)

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【EU、ECBの財政ファイナンス&中国マネーを当てに「共通債」発行へ!】最終章?ペーパーマネー大増刷①

2020-07-23 00:01:29 | ヨーロッパ
 こんな具合では、ゴールド)価格が上昇し続けるのはもっともですね・・・

 ご存じのように、このほど欧州連合(EU)は、新型コロナウイルス感染拡大で混乱した域内経済の再生を図るため、総額7500億ユーロの復興基金を創設することで合意しました。その内訳ですが、3900億ユーロが返済不要の補助金、3800億ユーロがローンだそうです。そしてこれらに必要なおカネはEU各国が増税して・・・ではなく市場から調達(借金)するとのこと。で、その際には(個々のEU加盟国ではなく)EU(の欧州委員会)が自らEU共通債を振り出すというのだから画期的(?)といえるでしょう。この点こそ、EU各国の意見がまとまらないところだったからです・・・

 本ブログでは何度も書いているように、EU圏では「独>蘭>仏>西>伊>・・・>ギリシャ」(国債価格[支払い能力]の高い順の不等式)が成り立つため、中位のフランスあたりを境に、それよりも「上位」に当たる国は調達コストがかさむ共通債には否定的、他方で「下位」の国は自力起債よりも同コストが安くすむ共通債は大歓迎!、となります。だからこそ、いまに至るまでこの手の協議がまとまらなかったわけですが、今回、合意ができたのは、ひとえにドイツがこれに賛意を示したため。このあたり、世間一般的には、ドイツとしてもEUの結束を示したかったから、などと評されている感じです。たしかにそれもあるでしょう、が、共通債構想が破綻した場合の同国の金融システムが被る大ダメージを回避したかったから、といったあたりがドイツの本心なのではないでしょうか。ちなみにドイツ銀行の株価はコロナ禍が直近でもっとも深刻だった3~4月頃の5ユーロ台(って上場最安値付近・・・)から現時点(日本時間22日18:00)で8ユーロ台半ばと6割ほども上がったのは「コロナ債」期待!からでしょうから、まあそういうことではないか、と・・・

 上記スキームで最大の課題は、このご時世、7500億ユーロもの巨額の債券をいったいどこの誰が買うのか―――EU諸国に貸し付けるのか―――ということでしょう。結論からいえば、ECB欧州中央銀行)以外にいないはず。世界のどこもヨソに貸せるほどの余剰資金があるわけはない状況ですから当然でしょう。なのでEUが共通債を発行すると同時にECBがこれを買う・・・ことで金利の上昇を抑制する、てな事実上の「財政ファイナンス」(中銀による国債の直接引き受け)が行われるのではないか・・・ってあれ?EUの内規では財政ファイナンスは禁止されているのでは?なんて問い詰めたら「これEU共通債であって各国債ではないから財政ファイナンスではないんです」なんて苦しい弁明が返ってくるのでしょうかね?

 なお、ECB以外の投資家で共通債をいちばん買いそうなのは・・・やはり中国でしょう。以前から指摘しているように、中国はドル米国債に偏重した自身の外貨準備の組み換えを進めていると想像されるところ、ユーロ建てのEU共通債はちょうどよい非ドルの投資対象になり得ます(?)からね。かくしてEUは、共通債を発行することで、モノ(メイド・イン・チャイナ[日常生活物品、マスク、人工呼吸器などなど])の面ばかりかカネ(チャイナマネー)の面でも、中国にますます従属していくことになるでしょう。とくにイタリアとかスペインなどの上記グラント(補助金)をたくさんもらう立場の国は、そのマネーの出し手であるアミーゴ(?)中国にまったく頭が上がらなくなるのではないでしょうか・・・(?)

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【金塊の収集より円の価値を維持するほうがよほど大切】金の現物、まもなく市場から消滅か?⑦

2020-07-21 01:17:38 | 日本
前回からの続き)

 ということで、現在の基軸通貨(国際決済通貨つまり「石油交換券」)であるドル、およびドルにペッグ(裏打ち)させている人民元などの(おもに新興国の)通貨がインフレで信認を落とすことで、これに代わってゴールド)の現物・・・とか仮想通貨「ビットコイン」などが各種の決済で使われる機会や額が飛躍的に増えるでしょう・・・が、その扱いづらさなどから、やはりそれらとの両替が可能な既存の通貨の併用等をしていくしかなさそうです・・・

 ・・・などと考えると、いつもの結論ですが、何気なく使っている、わたしたちの通貨「」が、金やビットコインなどに対しても相当程度、強い通貨(減価率が小さい通貨)であることがいかに重要か、ということが分かってきます。おそらく上記のような世界になったら、金塊とか仮想通貨を多く持っている国、たとえば中国(?)が、突如、巨大なマネー力を持った国家として立ち上がるおそれ(?)が出てきます。もちろんアメリカだって、真偽のほどは別にしても公的な金準備を8千トン以上も保有しているわけです。これに対して日本は金もビットコインもたいして持っていません。そのままだと、上記のように金を持つ量がモノをいう世界に移行したとき、わが国は「金大国」に何もかも奪われて(買い取られて)しまうおそれが・・・

 ・・・って、大丈夫です、円は強いから。つまり・・・金やビットコインの価格上昇に、既存の通貨のなかでは、ほとんど円のみがこれについていけるくらいに価値を維持するため、日本はたとえ金を持っていなくてもやっていける、といったこと。こうして円は信認と使い勝手の良さを保って国際通貨としての地位をいっそう高めるとともに、日本の円建て資産(日本国債や優良企業の社債や株式など)の価値も金などと平行して上昇するから、そうやすやすと外資ごときにM&Aされることはない・・・どころか、そのときこそ逆にわたしたちが強い円の購買力で世界中の優良資産を手にするべきチャンスのはずです(・・・っても、日本国債以上に実質利回りの大きな外国の企業等は、ホントごくわずかでしょうが・・・)。

 細かなところはともかく、いまのマネーの世界は、だいたい上記のとおり、過去と同様(?)、インフレ制御に失敗するコースをたどっているように思われます(?)。なので、これには、これまた歴史が教えるように金、それも実物の金で備えることが望ましい・・・のでしょうが、上記のように自分たちの通貨(円)の価値を高めるほうがよほど大切で、それには、これを損ねる金以外の外貨全般への投資を手控えることが、とくにいまの局面では重要な気がします。

(「金の現物、まもなく市場から消滅か?」おわり)

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【決済手段の主役は、円…そしてビットコインか!?】金の現物、まもなく市場から消滅か?⑥

2020-07-19 00:01:38 | 日本
前回からの続き)

 ゴールド)の現物価格高騰、つまりドルそしてドルに裏付けられた人民元をはじめとする新興国通貨の価値が大きく下落した局面(インフレ時)での決済に用いられる通貨は・・・これらインフレな通貨は忌避されるでしょうから、現実的には、それ以外の国々の、現時点で存在している通貨ということになりそうです(?)。まあ金額的に大きな取引等では、昔のように金の延べ棒やら金塊やらが本当にやり取りされることもあるのでしょう・・・が、そうしたケースは限定的なものにならざるを得ないと思われます。たとえば・・・マスク数枚程度の売買に1グラムの金箔(約6,200円)とか1トロイオンスの金貨(約19.3万円)とかでは、これを出すほうも受け取るほうも困ってしまうわけですから。

 では、実際に決済の信認に耐え得る既存の通貨は何か?ですが、毎度の結論ですが、やはり「」がその最有力候補でしょう。もちろんユーロや英ポンドなども考えられますが、すでに過去記事で述べているように、両者ともにドルと同じくらい、いやドル以上に金に対して価格を下げる―――インフレ通貨に堕ちる―――おそれが大きく、その点でこれらは円に劣る(実質利回りが低い)といわざるを得ません。となって、冒頭のような局面では、市場は、円の価値や信頼度を上回る通貨をどこにも見出せず、おのずとを決済通貨として、いま以上に多く用いるようになるのではないかと考えています。

 もう一つ、ひょっとしたら可能性があるのは、仮想通貨・・・の代表格である「ビットコイン」。これこちらの記事に書いたように、数ある仮想通貨の中でも、発行される上限が決まっている、つまり無限発行通貨にならないような歯止めがある、という点が優れていると思っているのですが、上記のインフレ局面では、まさにその点が評価され、金および円に準じた決済通貨として、けっこうな量が使われるようになるかも、と予想するものです。

 もっとも、ビットコイン等の仮想通貨には、ドル(米国債)とか円(日本国債)みたいに資産の裏付けがないし、どの国も法制上はこれをおカネと扱っているわけではないので、万人が「ビットコインに価値はない!」とみなせば無価値になります・・・が、すでに(上記の金暴騰等を当然のように予見しているはずの?)中国がビットコインのマイニング(採掘)産業において世界シェアの50%を所有している(らしい)、といったあたりからすると、少なくとも同国がこれに投じた巨額費用に十分見合うだけの価値―――本稿の文脈に照らすと金高騰・ドル暴落のインフレヘッジの価値―――がビットコインにはある、とみるべきなのかも・・・(?)

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【金価格高騰でドルは決済通貨としての信認を喪失?】金の現物、まもなく市場から消滅か?⑤

2020-07-17 22:42:49 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、近い将来、ゴールド)の先物価格が暴落する・・・と同時に、金塊が市場から消え失せる・・・くらいに金の現物価格が暴騰する(?)ような気がしています。そのとき、経済社会では何が起きるのか、といえば、もちろん激しいインフレすなわち既存通貨の価値の暴落になります。具体的には、長い間、こつこつと貯蓄にいそしんできたまじめなお兄さんの銀行口座残高が、飲んだくれの弟が持っているウィスキー瓶の価額を下回ってしまう(第一次大戦後のドイツで実際に起こったことらしい?)、みたいな、不条理極まる悲劇が人々に降りかかることになりそうです(?)。

 といったように、金に人々が殺到する局面すなわちインフレはこれまで定期的に、とりわけ時代が大きく動くタイミングで起こってきたわけですが、今回のインフレが過去のどんなインフレとも違いそうなのは、それがアメリカ一国のみならず世界の(基軸)通貨でもある米ドルについて起こることだといえるでしょう。そしてこのインフレは当然、ドルにペッグ(裏打ち)させている産油国通貨そして中国の人民元などの新降雨国通貨全体の価値もまた、ドルと一緒に損ねることになります。そのとき、アメリカおよびこれらの国々そしてその経済社会がどうなってしまうのか(・・・は、歴史を振り返れば分かりますが)・・・についてはともかくとして、モノやサービスの決済の現場も大混乱に陥ることになるでしょう。その決済に使われるべきドルの価値が時々刻々と低下していくわけですから、まあ当然ですが。

 ここで決済当事者間で行われることとしては、ドルの代わりにみんなが欲しがる金を決済に使うこと。具体的には、産油国が原油を売って、その代金として金の延べ棒を受け取る、といった感じの取引です。しかし、これ常識的にも現実的にも非常に難しいでしょう。そこでアメリカが即座に金本位制に移行し、金兌換が可能な新ドル?を発行・流通させて事態の収拾を図る?まあ理論上は考えられますが、これをアメリカが無難に運営できるとはとても思えません(って、ニクソン・ショックで破綻した金ドル本位制をみれば容易に想像できる?)し、かといって他国、たとえば金をかき集めているとされる?中国にもまず無理(?)でしょう。となると、実際にはドル(およびドルに紐づいた通貨)ではない、もっと根持ちの良い(インフレ度合いの相対的に小さな)既存の通貨を使うのが現実的に思えます。で、その候補はいくつか思い浮かぶわけですが・・・

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【金先物市場の地盤沈下で金現物価格の押し上げ圧力は増すばかり?】金の現物、まもなく市場から消滅か?④

2020-07-15 00:01:53 | 日本
前回からの続き)

 前述のように、この3月中旬に現出した、ゴールド)の現物価格が先物価格に対して1トロイオンス当たり100ドルほども高くなった局面で、結果として損を被ったブリオンバンク(金を取引する銀行)が、先物市場(NYCOMEX)でのポジションを縮小して現物市場(ロンドン)にシフトする動きに出ています。このあたり、新型コロナウイルス感染拡大に伴って金現物の供給が一時的に滞ったために起こったものですが、これ、金の取引はスポットで!の流れをますます強くする方向に作用するでしょう(?)。逆に、金先物市場はだんだん地盤沈下していくことになりそうです(?)・・・って、いざ現物受渡を求めてもNYでは応じられないリスクがあることが明らかになったのだから、まあ当然ではありますね・・・

 こうしたことの影響で、金先物市場の役割とか重要性がスポット市場に対して小さくなってくると・・・金価格の操作を意図した先物市場への介入が効果を発揮しなくなると考えられます。それもそうでしょう、今後は、取引量も金額もさらに大きくなるであろう現物市場が金価格決定のほとんど唯一の(?)舞台になるのですから(?)。となると、(ある種の思惑で?)金価格を下げたい!と願う市場参加者は、先物を売るのではなく、自身が持つ金の現物を相当量、スポット市場で売却しなければならなくなります・・・が、それは体力的に相当キツい・・・というか、誰にとっても不可能に近いでしょう・・・

 ちなみに金、とくに現物の価格が今後下がっていく可能性は非常に低いと考えられます。何度も書いているように、アメリカを筆頭とする世界各国は、コロナ禍拡大の対策として、財源確保はそっちのけ(?)、大規模な財政出動に乗り出しているからです。それは国債の増発を招く(金利上昇圧力を高める)から、中央銀行がこれを買い支えてマネーを市中に吐き出すしかなく、その結果インフレになるおそれが高いわけで・・・市場ではそのヘッジとして金が選好されるから、金のスポット価格はおのずと上昇してやまない・・・(?)

 以上などから、金現物価格の押し上げ圧力はいっそう増大し、おそらくそれほど遠くない将来、今回(上記3月)と同じ局面が「本番」として訪れるでしょう(・・・って、今回は「前触れ」に過ぎない?)。つまり、世界中の投資家が金の現物買いに殺到してその価格が暴騰、他方で先物価格は暴落し、その上、これが元に戻らなくなることに(?)。もちろんこのとき、スポット市場で金塊を売る向きはほとんど現れませんし、先物売りもできっこありません。その結果・・・市場では金塊が払底する、という異常事態に・・・?

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【金現物と先物の価格差拡大(現>先)は今後の現物価格暴騰を暗示か】金の現物、まもなく市場から消滅か?③

2020-07-13 00:04:51 | 金(ゴールド)

前回からの続き)

 前述のように、ゴールド)の価格が上昇を続ける中、今後の金市場を暗示する(?)ような出来事が起きました。金の現物価格が先物価格に対して急騰するという局面が現出したのです。金の取引はおもに先物はNY市場で、現物はロンドン市場で取引されていますが、3月中旬、NY先物価格とロンドン現物価格との間に一時的とはいえ1トロイオンス当たり100ドル近いほどの大きな価格差が生じるという異常事態が発生しました。これ、新型コロナウイルス感染拡大の影響でスイスにある金精錬会社が操業を休止したこと、また金塊の輸送を担う航空便が減少したことなどから、金の現物の融通が滞り、市場間の取引が困難になって生じたためとのことです。これに加え、一部のトレーダーがNY先物市場で現物受渡取引に群がったことも現物価格の押し上げに寄与したもよう。同履行時に約定どおり金現物を引き渡せないと現金を上乗せして支払わなくてはならないわけで、金の現物の調達に苦しむ売り手(銀行)の足元を見透かした、あざとい(?)手口といえそうです・・・

 といった事情から、いつもなら数ドル程度の金の現先価格差が、そのときは一気に100ドル近くまで拡大したという次第です。とはいっても、これ、上記のように、こうなるような条件がたまたま特定の時期に重なったために起こった一時的な現象といえるかもしれません。実際、その後、市場の動揺は(表向き?)収まったようで、両者の価格差は一気に縮小し、現在ではこれまでと同じレベルに落ち着いている・・・というより、先物価格のほうが現物価格よりもおおむね少し高くなっているという、いつもの金市場に戻っている感じがします(?)。

 ・・・が、近い将来、金市場ではふたたび同じ事態が、もっと大きなインパクトで起こるでしょう(?)。つまり、金の現先価格差が100ドルに拡がる・・・なんて生易しいものではなく、現物価格が暴騰し、先物価格は暴落する、というものです。以前のこちらの記事に書いたとおりです。上記3月のケースでは、市場参加者の一部が、ブリオンバンク(bullion banks:金を取引する銀行)からキャッシュをよけいにかすめ取ろうという意図で?金現物を確保しようとしましたが、次に予想される局面では、彼らも含めて皆が純粋に、かつ我先に金現物をゲットしようと現物市場に殺到するためにその価格が跳ね上がり、いっぽうで先物は見向きもされないのでその価格は急落することになります。ようするに、いまスポット(現物)で金塊をつかんでおかないとフューチャー(先物)ではけっしてそれを入手することができなくなる・・・くらいに金価格が急騰してしまう!ということです。その理由は、いまさらいうまでもありませんが、キャッシュすなわちドルの価値と信認が著しく低下するしかない?ためです・・・

 上述3月中旬の事態は、本ブログで警戒?している先物価格暴落とは、やや?違う理由で起きているといえます・・・が、いっぽうでその根底には、金現物に向かおうとする巨額マネーのマグマを感じます(?)。これが現物価格を暴騰させ、先物価格を暴落させるのも、きっと間もなくなのでしょう(?)。ちなみに、5月下旬のトムソンロイター報道によると、ブリオンバンクがNY先物市場(COMEX)でのポジションを減らしてロンドン現物市場にシフトしようとしているとのこと。これ、3月局面を受けて各行がロンドンの保管庫からNYに金塊を輸送するコスト等の負担を嫌気したためですが、この動きも、金は現物重視!(金先物市場の機能低下そして・・・)の流れを加速させるものだと考えています。

(続く)

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【円のリスクヘッジになるのは金だけ、が実感できる今日この頃】金の現物、まもなく市場から消滅か?②

2020-07-11 01:50:23 | 金(ゴールド)

前回からの続き)

 前述したように、現在、ゴールド)の価格が国際的に上昇しているわけですが、ドル建てでは1トロイオンス1800ドル前後と、史上最高値(同1923ドル)と比べると6%程度も安いのに、円建てでは1グラム6200円前後と同最高値付近にあります。これ、いうまでもなく、アベノミクス円安(ドル高)のせい。ちなみに上記ドル建て最高値(2011年9月初旬)の際のドル円レートは1ドル約77円(!?)という超円高・・・ではけっしてなく、当時からしても実質実効的にまあ妥当な為替水準で、これから円建て金価格を算出すると何と!?1グラム約4760円となり、現在よりも2割以上も安くなります。こうしてみると、いまのアベノミクス日本がいかに円安であり、そしてこれがもたらす(エネルギー等の輸入)インフレの害を金がいかに緩和してくれているかが分かるというものです・・・

 以前から書いているように、本来、世界最強実質金利[成長の配当]が世界一)の通貨であるのインフレリスクをヘッジできるのは、金以外にありません。ドルはアベノミクス最盛期(?)の2014~15年あたりに1ドル120円を上回りましたが、現在は同107円くらいに下落していますし、逆に金のドル建て価格は上記のようにじりじり上がっていることから見ても、円のヘッジになり得るのは金だけ、ということが認識できます。よって、外貨準備そして資産防衛の手段として、わたしたち日本人が保有するべきは、金・・・

 いっぽうで上記から、また、こちらの記事で述べたとおり、金価格がドル建てで最高値にも達していないのに、円建てでこんなに高くなるようではイケナイともいえます。それだけ円の信認が劣化して―――円が安くなって―――国民経済に広くダメージ(インフレ等)が及んでいるとみなせるからです。その象徴が、シツコク指摘しているアベノミクス日本のドル建てGDPのダントツのマイナス成長ぶりです・・・

 まあ、まもなく(?)現在のトレンドは反転し、円高ドル安そして金高・・・ってドル建て金価格のいま以上の上昇局面がやってくることでしょう(?)。アメリカ・・・のFRBがそうするしかないような演出をしているためです(?)。そうなればドル建て金価格は上記高値を超えて同2千ドル台に乗り、さらに上昇を続け・・・って、個人的には近い将来1万ドルに(は?)なるだろう、とこちらで予想したものです。他方、このときは同時に円高も進行するはずなので、円建て金価格の上昇率はドル建てほどではない・・・どころか、むしろいまよりも下がるシーンがけっこう現出するくらいかもしれません・・・が、それでも上がって1グラム1万円になるでしょう(?)・・・って、1万ドル÷31.103グラム(1オンス)×(日本のGDPがアメリカのそれとほぼ並ぶ水準である)1ドル30円(!?)・・・で、ほぼ1万円、ということで・・・

(続く)

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