世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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【相続税の課税余地は大きい】相続税が日本を救う⑤

2013-10-29 00:01:39 | 日本

(前回からの続き)

 それでは相続税の増税余地はどれくらいあるのでしょうか。

 それを推計するためには、わが国の年間の相続遺産の総額を知る必要があります。で、その金額ですが、ネットでいろいろ調べてみたものの、遺産には金融資産のほかに不動産とか金銀財宝類、はては骨董品等の資産も含まれることから正確な値を出すのは難しいようで、調査や集計の違いなどによってかなり数字のばらつきがみられます。遺産総額の推定値の最高額は年間85兆円、もっとも少ないものは同30兆円台といったところでした。なので、ここではこれらの平均値近辺の金額である「50兆円」をわが国の1年間の遺産総額とみなして話を進めます。

 50兆円―――わが国のGDPの1割を上回り、今年度の国家予算(一般会計)の半分以上にもなるほどの大きな額です。これほどの遺産が毎年、世代間で受け渡しされていることになります。

 では1年間の相続税の総額はいくらか、というと、およそ1.25兆円(2011年)。ということは遺産総額の2%あまりに過ぎません(遺産総額が50兆円の場合)。ちなみに税収総額(2011年度税収額:42.8兆円)に占める相続税収額の割合は3%程度。消費税収額10.2兆円(同)の24%と比べると金額、税収額シェアともにずっと小さい規模(消費税収の12%あまり)にとどまっています。

 次に、相続税を払った人の割合をみてみましょう。相続税の課税割合(年間課税件数/年間死亡者数)は約4%(2011年)となっています。亡くなった100人のうち4人しか相続税を納めていない計算になります。

 ところで、ご存知の方も多いかと思いますが、2015年初から改正相続税法が施行されて実質的に相続増税が開始されます。それでも税収額の増加幅は2~3千億円、相続税の申告割合は6%程度にとどまると予想されています(以上、データは財務省・国税庁統計より)。

 こうしたデータをご覧いただいても分かるように、わが国の相続税には、金額面でも納付対象となる人数の面でも、増税可能な「のりしろ」が十分にあるように思えます。

 では相続遺産に対する相続税収率・税収額はいくらぐらいが適切なのか・・・? このあたりは意見が分かれるところだと思いますが、以下に個人的な意見を記してみたいと思います。

 かりに日本の1年間の相続遺産の合計金額が上記のとおり50兆円だとします。この場合、相続税収額の最大値は当然ながら50兆円、そして相続税率は100%になります。でもさすがにこれでは極端すぎるでしょう。現実的に国家と個人の遺産配分比は50:50、つまり相続税収額の上限は25兆円くらいではなかろうか、と思っています。

 さらに「フロー(流通するお金)」に課される税金・消費税の税収額とのバランスを考慮します。本稿前段で書いたとおり、税率5%の現在、消費税収は年間で10兆円ほどです。これが2年後(?)の税率10%への引き上げによって同20兆円あまりに増えるものと推測されます(現状の経済情勢では10%への引き上げは困難が予想されますが・・・)。

 そこで「ストック(蓄積された資産)」に課される相続税収の目標額も20兆円、つまり消費税収とイーヴンになるようにします。フロー課税(消費税)では中低所得層が大きな負担をするかわり、資産保有層はストック課税(相続税)でそれに見合うだけの納税義務を果たすという構図です。20兆円―――遺産総額50兆円のうち30兆円(60%)は相続人が相続し、この20兆円(40%)は国が徴収して社会福祉財源に充当する―――いかがでしょうか。

 財政健全化をめぐる議論のなかに「消費税率は20%にすべきだ」というものがありますが、相続税収が20兆円くらいあれば税率10%での消費税収額にほぼ匹敵するので、消費税率の引き上げは10%で「打ち止め」も可能になると考えています。

(続く)


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【所得増税は格差是正に有効だが・・・】相続税が日本を救う④

2013-10-27 00:02:04 | 日本

(前回からの続き)

 前回書いたとおり、わが国の所得税の税率は、消費税の導入・税率引き上げとフェーズを合わせながら徐々に引き下げられてきました。1983年以前は75%だった最高税率も現在は40%となっています(年収2336万円以上に適用される)。

 さて、この所得税ですが、個人的にはふたたび累進課税を強化する方向、つまり最高税率を含む高所得者層に適用される税率を引き上げるべき時期に来ているのではないか、と思っています。その理由は、これまた前回述べたように、消費税の税率が3→5→8(2014年4月)→10%(2015年10月?)と上がるにつれ、中間層以下の実質的な税負担が増すなかで、これ以上の世帯間の所得・資産の格差拡大を防ぐ必要が高まったと感じているからです。その点で、消費税の「逆進性」とは逆に、所得が増えればそれだけ税率がアップするという「累進性」を持つ所得税の税率、とくに所得上位層の税率を上げることは有効といえるでしょう。

 しかし・・・たしかに所得税の再強化は格差是正に一定の効果が期待できるものの、これが景気に与える負の影響にも意識を向ける必要があります。なぜなら、消費税と同じように所得税もまた給料とか賃金といった「フロー」に課す税金だからです。したがって、過度に所得増税を強化したら、勤労者の実質賃金を引き下げてしまい、肝心の個人消費をいっそう冷え込ませかねません。そんなこともあり、所得税の増税にあたっては景気浮揚や財政健全化などの各政策目標とのバランスに十分な配慮が求められそうです。個人的には、現時点での所得税率の引き上げは年収1千万円よりも上の層(わが国で所得を得ている人の数%程度)を対象にしたらどうだろう、と考えています。ただしこれだけではトータルの所得税収はそれほど増えないかもしれませんが・・・。

 こうしたことをふまえて総合的に判断すると、消費税のデメリット「逆進性」を中和して世帯間の貧富差の拡大にストップをかける上でもっとも効果の高い税制は、やはり相続税ということになると思っています。相続税であれば、たとえ増税をしても消費増税と違って中・低所得者層の日常の消費生活に負担をかけることはありません。さらに、同じ累進課税という特徴のある所得税と比べても、所得増税の場合で懸念される景気に対するマイナスのインパクト(中間層以上の世帯の消費等を減退させてしまうおそれ)が少ないという点で、相続税のほうに増税のアドバンテージがあるものと考えます。

 以上、消費増税の2つの「罪」―――1つ目:内需の柱である個人消費に冷や水を浴びせてしまうこと、2つ目:中流家庭以下の世帯に大きな経済的負担を強いること―――の痛みを緩和し、かつ課税強化にともなう景気への悪影響を最低限に抑えながら財政再建を進めることができる税制は相続税をおいてほかにない、というのが私の結論です。

(続く)


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【消費税は「逆進性」で庶民の税負担率を高める】相続税が日本を救う③

2013-10-25 00:02:12 | 日本

(前回からの続き)

 そして二点目の、消費税最大のデメリット「逆進性」と相続税の逆進性緩和効果について。これこそ消費増税が強化されるなかで注目すべき相続税の重要な役割だと考えています。

 消費税では、豊かな人であっても生活保護を受ける人であっても、同じ消費支出額にかかる税負担額は同じになります。

 これを、必要最低限の生活費(食費・衣料費・公共料金など)が月20万円の家庭を例にとって考えてみます。消費税分に相当する額は現行の税率5%で月1万円となります。この金額は、その家庭の月収が25万円の場合でも100万円の場合でも同じです。しかし、月収に占める消費税分の支出額の割合は、前者は4%(1万円/25万円)、後者は1%(1万円/100万円)と、月収25万円の家庭の税負担率は同100万円家庭の4倍となります。これこそが消費税の「逆進性」だと考えています。つまり「収入が多い人ほど税負担率が軽く、収入が少ない人ほど税負担率が重い」のが消費税という税制だということ。

 当然ながら、消費税率が上がると、この両者の税負担率の差はいっそう広がります。現時点での予定通り、2015年に消費税率が10%に引き上げられれば、月20万円の生活費支出にかかる消費税相当額は2万円となり、月収25万円家庭の税負担率は8%に跳ね上がります。一方、月収100万円家庭は2%にとどまります(「月20万円生活」をした場合)。両者の税負担率の違いも、現在(消費税率5%)の3%(=4%-1%)から6%(=8%-2%)へと拡大します。

 このようなことを書くと「いや、高所得家庭の消費支出額は中・低所得家庭よりも多いだろうから、実際の彼らの消費税負担率はもっと高いはずだ」といわれそう。たしかにそのとおりだと思います。なぜなら月収100万円の家庭には同25万円の家庭には不可能な月50万円(消費税相当額2.5万円)、60万円(同3万円)・・・といった生活ができるわけですから。モノやサービスの購入額が増えればそれだけ消費税相当分の支払額も増えるということです。それでも彼らの月収に対する消費税分負担率が庶民と同じレベルに達するようなケース(月100万円家庭が80万円消費[消費税相当額4万円]すると月25万円家庭と税負担は4%で同じになる)はめったにないのではないでしょうか・・・。

 そんな「逆進性」の強い消費税の増税だけを進めていけば、貧富の差がいっそう広がることは間違いないでしょう。人口構成比で多数を占めるわが国の中間層以下の世帯にとっては、「つましい」レベルの支出だけでどんどん税負担率が高まり、経済的に苦しくなる半面、富裕層にとっては他の税金に比べて税負担率が低い水準にとどまるため、その分、実質的な所得なり収入が増えるからです。だから豊かな人々にとっては、給与や資産に課される税の強化を図られるくらいなら消費増税のほうがよっぽどマシ、ということになります。

 ところで、収入が多いほど税率が上がる税金の代表が「所得税」。いうまでもなく所得税にはこの「累進課税」によって国民の所得や資産の格差を和らげる効果があります

 で、その所得税ですが、1980年代以降、最高税率(もっとも所得の多い人に課される税率)が徐々に引き下げられました。83年までの最高税率は75%でしたが、84年に70%、87年に60%、そして消費税が導入された1989年には50%、そして99年に37%まで下がった後、2007年から現在まで40%となっています。

 こうした経緯をみると、所得税の軽減、とくに最高税率の引き下げが消費税の導入・強化とフェーズを合わせて進められてきたことが分かります。この背景には、税制を通じて「よく働く人により多く報いる」社会への構造変化を促すことでわが国の競争力を高めようというねらいがあったほか、サッチャリズムとかレーガノミクスに代表される80年代以降の世界的な新自由主義(市場原理重視・富裕層に対する減税推進等)の影響が多分にあったのだろうと思っています。

(続く)


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【景気への悪影響が小さい相続税】相続税が日本を救う②

2013-10-23 00:02:44 | 日本

(前回からの続き)

 前回、いまの日本の経済情勢で消費税の増税を図ることは、景気に冷や水をかけること、そして、「逆進性」(消費税率が上がると生活必需品への支出割合が高い人[低所得者]ほど税負担が実質的に大きくなること、といったところでしょうか)で中間層以下の市民層に多大な負担を強いること、の2つの点で「罪深い」と書きました。相続税には消費税の持つこの2つのデメリットを緩和する効果が期待できます

 まず一点目の、景気押し下げ作用の消費税と相続税との比較について。

 経済学にはフローストックという概念があります。文字通り前者は「マネーの流れ」、そして後者は「マネーの蓄積」といったような意味になります。この両者の観点から現状のわが国のお金の動きを見てみると、フローは滞り気味な半面、ストックのほうは潤沢、といった感じだと思います。したがってここはフロー、つまり景気回復を促すために消費や設備投資といった日常のお金の流れをより活発にするという方向性が大切だと考えられます。

 税制との関連でいうと、いうまでもなく消費税にはこのマネーフローの抑制作用があるわけだから、景気が過熱気味なときならともかく、現在のようなタイミングで課税強化を図るべき税制としては適切とは言い難いと考えています。これに対し相続税はフローに直接かける税金ではありません。したがってかりにいま相続増税を図っても、フローへのダメージ、つまり個人消費とか景気に与えるマイナスの影響は消費増税と比較すればずっと小さいでしょう。

 一方のストックのほうですが、家計の金融資産額1568兆円(2012年度:日銀「資金循環統計」)とか国富(家計正味資産)の額2195兆円(2011年末:内閣府「国民経済計算」)などのデータをみれば分かるとおり、こちらは千兆円単位もの額に積み上がっていて、フローと比較すれば相当に「ゆとり」があることが推察されます。ところが消費税はこのストックに課す税金ではないので、ストックがいくら増えても税収がこれに比例して増えるわけではありません。他方、相続税はストックに課す税金。だからといって固定資産税などと違って資産保有者の生前の資産に課税するわけではないから、これまた彼ら彼女らの消費・投資行動を妨げるものではありません

 このように、足元の景況(フロー)への悪影響回避という観点では消費増税よりも相続増税のほうが有効と思われます。そんなことから、景気回復に水を差すことなく財政健全化を進めなければならない日本にとって、相続税は双方の重大課題にバランスを取りながら対応できる数少ない税制だと考えています。

(続く)


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【消費税の副作用に苦しみそうな来年度・・・】相続税が日本を救う①

2013-10-21 00:03:58 | 日本

 清涼飲料水、手紙・はがき、はてはディズニーランドの入場料などなど・・・あらゆるモノやサービスの価格が引き上げられつつあります。来春の消費税率アップ分の価格転嫁が進められているということなのでしょう。

 こちらの記事で書いたように、中・低所得者層にとって支出割合の高いエネルギー代や食費などは、昨年よりもすでに1%あまり上がっています。これが、好景気で勤労者の収入が増え、そのぶん消費が活発になった結果、つまり「良いインフレ」としての値上がり、というのならよいのですが、現在の価格上昇は「悪いインフレ」つまり政策的な円安にともなう輸入インフレというべきもの。先日、とあるファストフードチェーンのハンバーガー価格が引き上げられましたが、売れに売れているから値上げ? たぶん違いますよね。輸入食材の調達コスト上昇がその理由でしょう。

 そんな情勢のもと、大掛かりな消費増税が開始されようとしています。税率引き上げ幅は3%ですが、上記の円安インフレ分を加えれば、おそらくモノやサービス価格の多くはアベノミクス前と比べて5%くらいは上がったな~(ため息)と実感されることでしょう。一方、勤労者の賃金がそれに見合うほど増えたとはとうてい思えません・・・。はたしてこれで来年度の日本経済は大丈夫なのでしょうか? 成長どころか景気低迷でスタグフレーションにいっそう拍車がかかる確率のほうが高いのではないか、などと悲観せざるを得ませんが・・・。

 それにしてもそんなご時世での消費税は罪な税制だと思います。本来ならもっとも刺激すべき内需の柱・個人消費に冷や水を浴びせるというのが、まず一つ目の「罪」。そして二つ目、そしてもっと重大な「罪」が「逆進性」つまり中間層以下の世帯に大きな経済的負担を強いること。だから消費税はこうした副作用がそれほど強く出ないとき、つまり真の意味で景気が良いとき(「良いインフレ」が過熱気味くらいのとき)に課税の強化をはかるべきだと考えています。逆に、通貨安の「悪いインフレ」が起こっている「いま」は・・・まあ安倍政権・黒田日銀にいわせれば最善のタイミングなのでしょうね、さまざまな意味で・・・。

 個人的には「わが国の現状の経済状態で消費増税は適当ではない」と感じています。だからって「増税反対!」とか「減税せよ!」というばかり、ではいかがなものか・・・。やはり財政の健全化推進とか将来にわたる社会福祉財源の確保には「歳入」の強化が不可欠だとも思います。そこで着目すべき税金は―――「相続税」。相続税については以前「消費税増税!その前に・・・もっと注目されるべき相続税 」と題して書きましたが、本当に消費増税が間近に迫ったいま、本稿であらためてこの税金について考えることを綴ってみたいと思います。

(続く)


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【また一歩「紙」に近づく外貨】アメリカは本当にデフォルトするのか③

2013-10-19 00:03:35 | アメリカ

(前回からの続き)

 というわけで、大方の予想通り、アメリカの債務不履行(デフォルト)は回避されました。米議会が連邦政府に暫定的な国債発行を認める法案を可決したことによるものです。これによって事実上、連邦債務の上限は引き上げられることになります。合わせて閉鎖されていた政府機関の運営に関わる暫定予算を編成することも決定されました。もっとも前者は来年2月7日まで、後者は1月15日までと、いずれも期限付きの措置、つまり時間稼ぎに過ぎません。ということは今回のようなゴタゴタが年明け早々にも繰り返されそうな気配ですが・・・。

 それでも世界の金融市場はほっと一息といったところでしょう。もともとこの結果を織り込んではいたとはいえ、とりあえずはドル資金の手当てなどの緊急対応からは解放されるわけですから。実際、デフォルト回避のニュースが流れた直後あたりは「リスクオン」にもかかわらずドルが円やユーロに対して下落したりしていましたし・・・。

 しかし、中長期のスパンでみた場合、アメリカの債務上限額がまた上がったという事実は重いと思います。これにより、アメリカの債務の巨大さと、その多くが外国からの借金であることがあらためて認識されたためです。

 一方、アメリカにお金を貸す立場の国々にとって今回のアメリカの対応をどう見たか。表向きはどこも上記のデフォルト回避を「歓迎する」わけですが、内心では「ドルの価値の希薄化が進んだ・・・」と感じているのではないでしょうか。そのため、いくらドルが基軸通貨だといっても、今後は対米証券投資に対してより慎重になっていく可能性があります。ちょうど日本の投資家が「円安誘導」にもかかわらずドル資産の購入を増やしていないように。そんな動きが広まると米財政資金のスムーズな調達に支障が・・・。

 そもそも(実質的にはチャイナマネーを取り込むために)国債を振り出さなくてはならないということは、それだけ連邦政府の財政運営が厳しいということを意味します。本来ならば歳入の強化、つまり増税を図るべきなのでしょうが、「オバマケア」(医療保険制度改革)を待ち望む市民の多くにはもはやこれ以上の税負担に耐えるだけの経済力はなく、一方では富裕層を支持母体に持つ共和党右派は歳出削減を強硬に主張することで自分たちへの課税強化の動きを阻止しようとしているように見えます。そんなことで、財政再建はとても進む見込みはない・・・。

 かくしてアメリカにはこの先も米国債のさらなる振り出し以外に道はなさそう。そして今回のようなことが繰り返されるたびに、世界中の投資家は「まさか」のデフォルトとかドル価値の希薄化を恐れて米国債投資に徐々に及び腰になっていく・・・。そうなればいまのアメリカがもっとも恐れる金利上昇(債券価格低下)が起こってしまいます。で、結局は米FRBが「最後の貸し手」として「財政ファイナンス」、つまり米国債買い支えで金利の上昇を食い止めるしかないでしょう。こちらの記事で述べたとおり、出口戦略」そっちのけでQEの(無期限?)継続ということになります・・・。そして行き着く先はマネーの洪水「インフレ」―――どうしてもそう予想してしまうのですが・・・。

 それでもドルは「ドル>ユーロ>新興国通貨」。欧州や新興国の現状を冷静に考えれば、やはりドルは基軸通貨としての強みで他の通貨よりも上位にある・・・「円」以外に対しては、と思っています。いまはドルの弱さにスポットが当たっている感じですが、ではユーロ、ポンド、レアル、ウォンをドルのかわりに買えるだろうか・・・?

 だから「また一歩、外貨は『紙』に近づいた」というのが、今回の騒動を受けた個人的な思いです。

(「アメリカは本当にデフォルトするのか」おわり)


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【今日10.17は運命の日?】アメリカは本当にデフォルトするのか②

2013-10-17 00:03:48 | アメリカ

(前回からの続き)

 「まさか・・・」とは思いつつも、アメリカが本気で債務不履行(デフォルト)した場合、いちばんコワいのが世界の金融システムへの影響でしょう。当然、米国債を多数保有している各国政府・中銀、そして米国内外の金融機関が大損害を被ります。そしてこれらが発行している債券類にデフォルトの連鎖が起こります。さらにそれがデリバティブの大々的な決済を促して・・・といった具合です。

 先日のブルームバーグニュースによると、国際スワップデリバティブ協会の見通しではアメリカのデフォルトによるCDS(Credit Default Swap:債券がデフォルトとなったときに元本が保証される保険みたいなもの)の支払額は最大で約36億ドル(約3500億円)なのだそうです。アメリカ連邦政府の現状の債務上限額16.7兆ドルに比べると正直「えっ、そんなに少ないの?」という感じがします(本当なのかな?)。

 しかし、これはあくまでも米国債そのものに関する保証額でしょう。上記のように実際には米国債の債務不履行がもたらす他国や民間企業のデフォルトの連鎖により、トータルのCDSの支払額は巨大なものになるのではないでしょうか。そして、2008年のリーマン・ショック直後のAIG(American International Group:アメリカの大手保険会社)がそうだったように、CDSを販売した金融機関が次々に破綻し、それらの結果、世界的な金融恐慌が発生!といった展開も十分に想定されるわけですが・・・。

 さて本日17日は「運命の日」つまり米財務省のお金が尽きてしまう日です。日本時間の16日夜までにはオバマ政権と米議会との妥協は成立せず・・・。オイオイこのままだと本当にそうした金融危機が起こっちゃうよ!?といったところで、さぞかし金融市場では警戒感が高まっているかといえば・・・まったくそんな気配はありません。ドル円レートは1ドル98円台半ば、金価格は1トロイオンス1200ドル台後半、米長期金利は2%台後半、銀行の預金閉鎖等の動きもなし、などと、まったくの「平常モード」といったところ(まだまだ油断は禁物ですが)。上記CDSの料率にも(微妙な上昇はあるものの)大きな変化はない感じ・・・。

 結局、マーケットの認識も本稿冒頭に書いた私の認識と同じなのでしょうね。つまり「どうせいつもの『政治ショー』さ。アメリカがデフォルトなんてするわけないだろ」ということです。デフォルト懸念で売られるどころか、むしろ価格が下がったところで買いを入れようという動きもあるようで、米国債価格は底堅く推移しているもようです(長期金利も安定的に推移)。まあそうなるのでしょうね、現実的には・・・。

 かくして「大山鳴動してねずみ一匹」となるのか・・・。まもなくオバマ政権と議会との協議がまとまるのでしょう(たぶん・・・)。それによってアメリカの債務上限は無事に引き上げられ、心配された米国債のデフォルトは回避されることに。そしてふたたびアメリカは中国からお金を借りることができるようになって市場は「リスク・オン」モードに(?)。めでたし、めでたし・・・って、これが本当に「めでたい」ことなのでしょうか・・・。

(続く)


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【「政治ショー」かと・・・】アメリカは本当にデフォルトするのか①

2013-10-15 00:02:23 | アメリカ

 「まあ『政治ショー』だろう。この『チキン・レース』は共和党の負けだ。デフォルトなどできるわけないのだから」と楽観(?)していたのですが・・・。

 アメリカ連邦政府の債務上限引き上げ問題の先行きが不透明になっています。ご存知のとおり、現在、米オバマ民主党政権が求めている連邦債務の上限引き上げに、連邦議会下院で多数派を占める共和党がなかなか応じようとしません。このため、近々支払わなければならない連邦債務が不履行(デフォルト)になるおそれが出てきています。

 アメリカの現在の債務上限は16.7兆ドル(約1600兆円!しかも連邦[国家]債務だけで!)。今回はこれをさらに引き上げようというもの(当然ですが・・・)。まあ「もうこれ以上借金を増やすわけにはいかない。米国債を振り出す前に歳出削減を進めるべきだ!」と主張する共和党議員の気持ちはよく分かります。この金額ですから・・・。

 しかもアメリカはいわずと知れた世界最大の経常赤字国。つまり外国からお金を借りてこなければ国が回らないわけです(アメリカの最大の「アキレス腱」といえるでしょう)。で、問題はその借金相手。第1位は中国・・・。同2位の日本と違ってコワモテです。ということで、債務上限引き上げに反対する議員のなかには、これ以上連邦債務を増やしたらアメリカはますます中国に対して頭が上がらなくなってしまう!という危機感を強く持っているのだろうと推察してします。もっともアメリカと中国は「持ちつ持たれつ」。意外に仲がよかったりするので(?)、そんなに中国を警戒しなくても大丈夫!?

 ではオバマ政権と議会の協議が不調に終った場合はどうなるのか、ですが、報道によれば、この17日には米財務省は緊急措置分を使い尽くし、300億ドル(3兆円弱)程度の手元資金だけになるとのこと。そしてこの300億ドルも1~2週間でなくなってしまうとみられています。これっぽっちではたしかにバンザイするしかありませんね。その時期は早ければ今月中ということになりそうです。マジですか? アメリカ様・・・。

 本当に米国債がデフォルトとなったら世界のマネーはどう動くのか。単純に考えると、米国債・ドルが一斉に売られ、マネーが他の通貨等にシフトするのでしょう。この場合、リスクオフの不等式「金(ゴールド)>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」つまり実質金利の高いところ(=価値保存力の高いところ)へマネーは吸い寄せされる・・・ん? 「ドル>ユーロ>新興国通貨」? ということはドルからどこにマネーが逃げるのかというと、ドルよりも安全な金、そしてわれらが円(あとはスイスフランとユーロ[ただしドイツ国債限定]?)くらいしか見当たらないではありませんか!

 というわけで、金融マーケットでは米国債価格急落(米長期金利急上昇)、金価格の急騰、円の独歩高、そして日本国債の価格上昇と日本の長期金利急降下(いまでも十分に低いけれど)といった展開がみられそうです。繰り返しになりますが、あくまでも米国債がデフォルトになった場合の話ですが・・・。

(続く)


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【政府・日銀が海外リスクを強調する理由】裏目に出た円安誘導⑥

2013-10-13 00:01:47 | 日本

(前回からの続き)

 こう「裏目」が出続けると、さすがに「日銀異次元緩和って本当に日本のためになるの? 給料は増えないのに物価は高くなる一方だし、景気はなかなか良くならないじゃん」といった疑問を抱く人が増えてくるのではないでしょうか。とくに消費税率が引き上げられる来年4月以降はこうした声がいっそう高まりそうな予感がします。

 で、これに関連して個人的にちょっとばかり気になっているのが、近頃、安倍政権や日銀周辺がさかんに「世界経済のリスク」について言及していること。いまさら何を―――つまり、本ブログでもたくさん書いてきたように、米欧中、そして新興国と、世界のどこをとっても過剰な「借金」に依存した危うい経済情勢にあること、だから日本は外需に過度の期待を寄せるわけにはいかないということは、ずっと前から分かりきっていることのはず。ではどうしてそんなリスクを政府・日銀は「いま」というタイミングで強調するのでしょうか―――。

 ―――「だからわが国の景気はぱっとしないんですよ。悪いのは日本経済ではなく世界経済のほうなんです。決して円安インフレとか4月の消費税率引き上げの影響じゃないんですよ~」と1年後に言い訳できるように布石を打っておく―――こうすることで政府・日銀は「アベノミクス」や「円安誘導」や「消費増税」に批判が及ぶことを回避しようとしているのではなかろうか、などと勘ぐっています。世界経済リスクについて消費税率を引き上げる直前に言い出したら、さすがに「わざとらしい」ですが、引き上げ半年前の「いま」くらいから少しずつこの認識を世間に浸透させておけば国民の関心は自然と外国の景気低迷に向く。国内経済の輸入インフレや消費増税にネガティヴ感を抱くことなく・・・。

 逆にいうと、いまからそんな布石を打たなければならないということは、安倍政権も日銀幹部も来年度の景気の落ち込みをそれだけ高い可能性で見込んでいることのあらわれともいえそうです。結局、本音では内需の盛り上がりに自信が持てないのでしょうね、安倍首相も黒田総裁も・・・。

 ある意味でそれは当然だと思います。アベノミクスはわが国のGDPの構成要素で最大、約6割を占める「個人消費」を円安誘導と消費増税で大いに抑制しているわけですから。「カブノミクス」つまりアベノミクス唯一の希望の星である「株高」も、消費増税の影響とか世界経済の不透明感などをマーケットが意識し始めるとこの先は「?」、といったところでしょうか。

 とどのつまり、「円安誘導による外需狙い」で輸出に期待するしかないわけですが、かりに輸出額が増えたとしても、輸出は日本のGDPの15%前後、個人消費の1/4程度に過ぎません。だから輸出の増分だけで個人消費の落ち込みをカバーすることは至難の業。しかも、しつこく繰り返しますが、円安によって現状は輸入が輸出を上回る勢いで拡大し、貿易赤字は増加傾向です・・・。

 かくしてアベノミクスの「円安誘導」は裏目続き。このままでは日本経済は最悪のスタグフレーションに突入か!?といった予想すらできそうだ―――。

 ―――などと心配していたら、何だか本当に世界経済があやしくなってきました。突然のリスク発生で、この先、意外に早く円高外貨安モードに転換するときがくるかも!? もっともそれこそアベノミクスにとっては最大の「裏目」ということになるのでしょうが・・・。

(「裏目に出た円安誘導」おわり)


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【日本企業買いは米企業が中心か】裏目に出た円安誘導⑤

2013-10-11 00:00:51 | 日本

(前回からの続き)

 もっともこの先、実際に日本企業の買収に乗り出そうとするのはアメリカの企業が多いような気がしています。なぜなら最近の米企業はM&A(企業の合併や買収)で規模や収益の拡大を図る戦略をとっているからです。以前こちらの記事に書いたとおり、株主から短期的な利益極大化が厳しく求められる米企業、とりわけメーカーにとっては、地道な製品開発とか技術研究などを悠長にやっているヒマはありません。そんなことをするくらいなら、技術力とか製品開発力のある他の企業を買うほうが手っ取り早い、というわけです。

 で、このM&Aの場合は通貨高のほうが断然有利。これまで書いてきたとおりです。ついこの間(昨年11月)まではそのアドバンテージは日本にあったが、いまは米企業の側にある―――これも「アベノミクス」のおかげ・・・。この先、第二、第三の「東京エレクトロン」が出てきそうな気配を感じるのですが、はたしてそれでよいのでしょうか。「中韓企業ならともかく、アメリカ様ならいいんじゃない?」日本にはそういう人が多いのでしょうね・・・。

 と、いろいろ書いてきましたが、これまでのところ日本経済にとって「円安誘導」は「裏目」に出ているとの印象を持っています。

 貿易面では、「円安誘導による外需狙い」で輸出を増やそうと思ったのに、原発停止でエネルギー燃料の輸入量が高止まりしている現状を見落とし(?)、それらの円建て輸入価格の引き上げを促進して輸入額の輸出額以上の増加をもたらし、結果として日本の貿易赤字の拡大に貢献(?)しています。

 所得収支の面では、円安誘導でわが国の企業や投資家の海外投資意欲に水を差し、安倍政権が期待する国民総所得のこれ以上の積み上げに「待った!」をかけました。逆に外資による「日本買い」を誘発し、わが国の貴重な企業、特許、不動産(離島や水源などを含む)などを外国人に安価で譲渡する手助けをしています。

 さらにさらに・・・こちらの記事でも述べましたが、日銀「異次元緩和策」の真の目的(?)である「米FRBの出口戦略支援(量的緩和策の縮小・停止をスムーズに行わせること)」、つまり「円安誘導=ドル高誘導」によって本邦企業・投資家によるドル・米国債投資を促そう、という目論見もはずれてしまった感じです(円安ドル高を演出して日本の投資家にドル資産の処分売りをする機会を提供したという点は高く評価できると思っています)。そうしたいのであれば、むしろ円高ドル安環境のほうがジャパンマネーの対米投資は活性化するし、それがアメリカを支えることになるのに、と思っています。

 加えていうと、「アベノミクス」の金融政策は、円安インフレでエネルギー価格とか輸入食料の価格を引き上げ、これらへの支出割合の家計に占める割合が高い中間層の地盤沈下を進めることで、日本をアメリカや中国のような貧富差の大きな社会に「レジーム・チェンジ」させようとしています。まあこれは「裏目」ではなく、当初からの狙い通りなのかもしれません。実際、安倍政権は中低所得者に大きな負担を強いる消費税の税率引き上げを決定しましたしね。この景況下で・・・。

(続く)


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