(前回からの続き)
前述のとおり、自身の大減税策(財政赤字膨張策)、そして中国などのドル・米国債離れにともない、アメリカは長期金利のすさまじい上昇圧力にさらされています。これ、先述した日銀の、邦銀を犠牲にした献身的なサポートでも支えきれるものではないでしょう・・・
ということで結局はいつもの結論―――米FRBが4度目のQE(量的緩和策)・・・という名の「財政ファイナンス」(国債の直接引き受け)に踏み切る、となるわけです。このとき世界の金融市場がどのような反応を示すのかまったく見当がつきません。まあ・・・米長期金利は急落(米国債価格は急騰)するでしょうが、ドルは円やユーロそして人民元に対して暴落、いっぽうでドル建ての原油価格や金価格は爆騰し、「もう付き合い切れん!」と腹をくくった中国の「決断」を大いに早めるでしょう。これらによってドルの信認は一気に低下、産油国の一部が原油代金としてのドルの受け取りを拒否、かわりに人民元やビットコインなどが次々に受け入れられ、ドルはついに「石油交換券」=基軸通貨の地位を失うことに・・・?
・・・みたいな展開、けっして「ブラック・スワン」ではないはずです(?)。だからこそアメリカは長期金利を、QEなんてしなくてもいいような水準に留めたいし、そのためにこれを必死の思いで「操作」している日銀の役割が極めて重要というわけです・・・が、既述の状況から、その努力も無駄になりつつあるような・・・?
もっとも、いっぽうでアメリカがこのような状態になってしまった―――長期金利のコントロールがもはや自分でできず、日銀にやってもらうようになってしまった―――のは、ほかならぬ日銀のせい、ともいえます(?)。その理由はこちらの記事に書いたとおりです。おそらく日銀幹部には、アメリカをバブルで自壊に導こう、なんて野心はないのでしょう(???)。むしろ、麻薬の禁断症状に苦しむ親友に麻薬を差し出してしまったのと同じで、結果としてアメリカを軟着陸が不可能なバブルの高みに押し上げてしまったことへの自責の念が同国を何としても支えようという気にさせているのかも・・・?
・・・などと、気ままに綴っていたら、いつの間にかアメリカの長期金利はさらに上がり、足元では2.6%台に乗ってきています(日本時間26日22:00時点で2.64%)。これじつにビミョ~な水準ですね、米借金バブルがこれ以上には膨らまないように、かといってこれが急激に弾けないように、ってバランスの観点からすると・・・。したがって、この急上昇のトリガーを引いたかたちとなった日銀はいま、非常にナーバスになっているのではないでしょうか・・・(?)
こちらの記事などにも書きましたが、一般的に、様々な要因で決定される長期金利は中銀にはコントロールができないと考えられていますし、実際にFRBは先述のとおり、できていません。にもかかわらず「いーや、できる!」(「長短金利操作付き・・・」)とばかりに敢然と長期金利(って、アメリカの、だけど?)の操作に乗り出した最強の中央銀行・日銀・・・。この通説を打破できるか、それとも通説どおり制御不能に陥るか、いよいよ正念場が迫ってきたって感じですよ~~!?
(「米の命運=長期金利を『操作』する?日本」おわり)
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