(前回からの続き)
中国は自身の金準備について、公表している量(1800トンあまり)よりも多く、本当の量よりは少ない、たとえば「3千トン」程度を所有していると発表すればよい―――前回、そんな個人的な考えを綴ってみました。えらく奇抜な策ですが、これで同国を悩ましている資本流出と通貨下落にある程度、ブレーキがかかるのではないかと・・・
でも中国は、本心ではこのタイミングでこれはしたくないはずです。というのも、同国はこの瞬間も金準備の増強をしている最中と想像されるからです。で、その目標とする量は「アメリカ越え」すなわちアメリカの8千トン余りを上回るくらいの・・・おそらく1万トンあたりなのではないか・・・。ここでもし1万トンの金を集め終えれば中国は、外貨準備として兆ドル単位もの米国債を持つ必要なんてなくなるうえ、劣化著しい(?)ドル覇権に変わる新しい世界金融秩序の構築をリードすることだってできるわけです・・・
その意味で、中国がここのところ米国債の保有量を減らしているのは、中国人民銀行(中銀)の資産構成のメインを米国債から金(ゴールド)へ大転換させようという「戦略的な」動きの一環とみることもできそうです。しかも22日、中国の外為当局担当者が、中国の米国債保有減は「戦略的な」削減ではない(not a strategic cut)、なーんて言っているから、天邪鬼のわたしはなおさら「やはりな・・・」と思うわけです。中国にちなんで、このあたりを麻雀の用語で表現すれば、中国は手牌(中銀の資産)を金色に染め上げるべく、苦し紛れを装いながらも実は不要な牌(米国債?)をバンバンと場(市場?)に捨てつつ、ダマテンで最強の役満「金一色」(ジンイーソー?)上がりを狙っている!といった感じでしょうか・・・(麻雀をご存知でない方、すみません・・・)
・・・が、ここまでの統計資料等から推察するに、たぶん中国はまだテンパってはいない―――アメリカに迫るほどは金を集め切ってはいないとみられます(自信ないけど?)。なので同国としては、引き続き安価で金を買えるよう、当分の間、金価格には上昇してくれるなよ~と切に願っているはず。そんなときに、じつは〇千トン持っています!と真正な金準備高を口にしてしまったら、その時点で上記の野望達成は断念するしかないでしょう(?)。つまり、「中国は本気で金本位制に移行する気だ!」などとみなされて、世界中の投資家が一斉に金買いに殺到する結果、金価格が跳ね上がるとともに金の現物が市場から消えてしまい、中国は(国内産を除いて)それ以上の金の積み増しができなくなる、ということです。
・・・というわけで中国は現在、なかなか微妙な局面にあると思われます。このままでは外貨準備のいっそうの消耗と人民元の信認低下は避けがたい。かといって現時点の手の内すなわち金準備高を正直に申告したら金価格が急騰して「金一色」を上がれなくなる・・・。そこで両者の中間あたりで・・・というのが上記「3千トン」の根拠です。このへんが、人民元の下落に歯止めがかかるとともに金価格の上昇も許容範囲に収まるという、ちょうどバランスがとれるラインなのではないか・・・って、中国の実際の金準備が公表量よりもずっと多いに違いない!なんて個人勝手な憶測的前提に基づいて書いていますが・・・