世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
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ヨーロッパで存在感を増す金(ゴールド)⑤

2012-11-29 00:00:06 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 まず考えられるのは、これらの(ゴールド)が現在も外国でしっかり保管されているのかについての疑念がぬぐえない、という点が指摘できると思います。

 欧米各国の中央銀行は1990年代から2000年代半ばくらいまで、「金キャリートレード」と呼ばれる金準備の貸し出しを行っていました。これは、中央銀行が自ら保有する金をブリオンバンク(金の売買を行う市中銀行)に低利で貸し出すとともに、ブリオンバンクはそれを市場で売却等してキャッシュを得、それを債券などに投資して利ざやを稼ぐというもの。この取引は金価格が下がっている局面では大きな利益が上げられるのですが、逆に上昇するとブリオンバンクは金を買い戻すことが困難となり、結果として中央銀行にも貸し出した金の回収ができなくなるリスクが生じる・・・。

 そんなわけで、金の価格が高騰するなか、ドイツは、他人に預けた自分たちの金が、こうしたプロセスを経てひょっとしたら減っていたり、最悪の場合、無くなっているのではないか?との疑いを募らせ、いてもたってもいられなくなったのかも、と推察しています。すでに外国に保管してあった自国の金の大規模な国内への引き戻しを進めているベネズエラなどの動きにも刺激されたのかもしれません。

 そしてやはり重要なのは、これまでも何度かここに書いてきたように、金(ゴールド)の通貨としての価値が世界的に高まってきたこと。各種バブルの崩壊や各国で実施されている金融緩和策により、ユーロはもとよりドルなどの実質的な不換紙幣全般に対する信認が揺らぐ一方、金の万能通貨としての位置づけが再認識されるとともに、多くの国々や中央銀行が外貨準備としての金の買い増しを続けています。

 そうしたトレンドのなかで、金保有大国・ドイツとしても、この貴重な自国の金をさらにしっかり管理するために、「検査に必要だから」という大義名分を掲げながら、できるだけ多くの金を外国から手元に取り戻しておこうとしているのかもしれないな、と思っています。

 ということで、今回のドイツの対応は、アメリカに次ぐ膨大な金準備を持つドイツまでが、金を自国に送還・確保しようというアクションを開始したという点で興味深いと思います。ドイツが金の送還量をさらに増やそうとしたり、ベネズエラやドイツ以外の国々にもこうした動きが広まるのかどうか、今後に注目しています
(ドイチェ・ヴェレ[ドイツ国際放送局]の関連記事のURL:http://www.dw.de/germany-to-check-gold-reserves-stored-abroad/a-16329995

(続く)

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ヨーロッパで存在感を増す金(ゴールド)④

2012-11-27 00:02:20 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

(3)ドイツが外国に預けている金の自国への送還を開始!?

 欧米各メディアの報道によれば、先月下旬、ドイツの連邦会計監査院は、ドイツ連邦銀行(ブンデスバンク:ドイツの中央銀行)は、外国に保管されているドイツの金準備について定期的に検査するべきである、と述べたとのことです。

 これを受け、ブンデスバンクは同監査院に対して、現在ブンデスバンク内でその検査実施等の権利について議論をしているが、それは必ずしも同監査院が求める検査を行うことではない、と回答したそうです。

 また、ブンデスバンクは、それらの金の品質検査を行うため、アメリカのニューヨーク連邦銀行(連銀)に保管されているドイツの金地金を1年間当たり50トン、3年間の合計で150トンを本国に送還する、と語ったようです。

 現在、ドイツはアメリカ(8133トン)に次ぐ世界第2位の公的な金準備保有国です。ところがその金の総量3396トンのうち、ドイツ国内にあるのはそのうちの約30%程度に過ぎず、それ以外はアメリカ、イギリス、およびフランスに保管されているもようです。そしてその大半の金の保管先がこのニューヨーク連銀になっているとのことです。

 ところでドイツの金準備の多くが米英仏に保管されている理由は、自由主義陣営と共産主義陣営が鋭く対立していた冷戦時、旧西ドイツがソビエト連邦の脅威から自国の金をかくまう目的で国外に移送したため、ということらしいのですが、じつは次のようなうがった見方もあるようです。

 つまり同時期(1950~60年代)、西ドイツは巨額の貿易黒字を上げるとともに、その逆に同盟国である米英仏が(対独)貿易赤字に苦しむなかで、安全保障の観点から、彼らの信頼と軍事的庇護が欲しかった西ドイツが、それらとの引き換えに同盟国、とりわけアメリカに多くの金を預けることになった、ということなのだとか・・・。

 とまあ、ドイツが外国に金を預けたことの真相は、戦後の複雑な国際関係がからんでいるようで、なかなか判然としないのですが、その後、ベルリンの壁の崩壊、東西ドイツ統一、ソビエト連邦の解体、EUの拡大、そして共通通貨ユーロの導入と、世界と欧州の歴史はめまぐるしく変わりました。つまりドイツの金準備をめぐる諸情勢も大きく変化したということです。ドイツにとって、自国の金を外国に保管する必要性が薄らいだということかもしれません。

 それにしてもなぜこの時期にドイツの会計監査院は外国にある自国の金の品質検査の実施(それにともなう金の国内への送還)をブンデスバンクに提言したのでしょう。

(続く)

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ヨーロッパで存在感を増す金(ゴールド)③

2012-11-25 00:03:21 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 本稿の前段で書いたように、現在、はユーロ建て価格で史上最高値にあります。そのため巨額の借金負担にあえぐ南欧の重債務国にとっては、ここで金を売って資金を確保し、借金の返済に備える、といった選択肢があるはずです。

 それにもかかわらず彼らはなぜ金を売らないのでしょうか。

 まず考えられるのは、現時点でいくら金価格が高止まりしているといっても、彼らが抱える借金の額は、たとえ手持ちの金をいますべて売り切ってもとうてい支払いきれるものではない、という点でしょう。FT紙によれば、PIIGS諸国の金準備の総額は、現時点でこれら諸国の債務残高の3.3%程度にしかならないそうです。だから彼らは、国際社会から資金融資を得られるうちは、今後値上がりが予想される金は売却しないでしっかり手元にキープしておこう、という判断を働かせているのかもしれません。

 次に指摘できることは、これら諸国政府による金の取り扱いの裁量には限度があること。彼らの公的な金準備を実際に管理しているのは政府(財務当局)ではなくて中央銀行であるうえに、欧州各国の中央銀行は現在、1年間に売却できる金の上限量を400トンに制限しています。ということで、いくら政府が金を売りたいと思っても、各種の取り決め等による制約で、政府がそれを中央銀行に促すことが難しくなっているのだろうと思われます(金を管理している中央銀行が政府から独立した存在であることはたいへん重要な意味を持っていると思います)。

 まあ真の理由が何であれ、欧州の重債務国が、厳しい資金繰りのなかで、相当量の金の保有を現在も続けているという事実はもっと注目されていいと思っています。自分たちがハードな緊縮財政を受け入れる苦労を差し引いても、金(ゴールド)に執着することには十分なメリットがある、ということを、これら諸国が示唆してくれているといえるからです。彼らはうすうす気づいているのではないでしょうか。自分たち(の放漫財政)が原因でユーロが崩壊したとき、真に価値があるものが何かということを・・・。

 「たとえエーゲ海の島々を(トルコに?)売る羽目になっても、金だけは絶対に放さない!(ギリシャの本音?)」もっとも彼らが金を一切手放すことなくデフォルト宣言や借金棒引きを要求することに世界中の債権者がいつまでも黙って応じるかどうかは分りませんが・・・。
(米ニュース雑誌「TIME」の関連記事のURL:http://www.time.com/time/world/article/0,8599,2080813,00.html

(続く)

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ヨーロッパで存在感を増す金(ゴールド)②

2012-11-23 00:02:38 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

(2)南欧の重債務国、金を放さず!

 「11月中にも資金枯渇か?」などと報道されているように、ギリシャは現在、国債の償還や借り換えなどで綱渡りの資金繰りを余儀なくされています。これまで何度も厳しい改革等の実施を約束させられながらも、ギリシャは国際通貨基金(IMF)や欧州連合(EU)などの国際支援機関からの融資を勝ち取り、何とか無秩序なデフォルトやユーロ離脱を回避しています(ギリシャ債権者である民間金融機関等の「自発的な」債権放棄ですでに多額の借金の棒引きをしてもらっていますが・・・)。

 そんな「金欠」のはずのギリシャですが、実はいまだに110トンあまりの金(ゴールド)をちゃっかりと保有しています。現時点での時価で5000億円を上回る金額になります。借金返済に追い立てられているギリシャとしては、のどから手が出るくらいキャッシュがほしいところ。であれば、国債償還などに必要なユーロ資金を確保するために、ギリシャはとっくの昔にこの金を売り払っていてもおかしくはないはずです。にもかかわらずギリシャは2007年以降、公的に保有する金の売却を停止して、債務不履行のおそれが高まるなかで相当量の金の保有を続けています

 金を手放そうとしないのはギリシャに限りません。いわゆるPIIGS諸国の一角・ポルトガルもそうです。ポルトガルもギリシャと同様、昨年5月、緊縮財政などの支援プログラムの実行と引き換えにIMFおよびEUから総額780億ユーロの融資を受けています。そしてポルトガルもまたこのプログラムの目標達成が危うくなっています。

 そんなポルトガルですが、383トンもの公的な金準備を現在も持っています。時価にすると約1.8兆円近い額です。ポルトガルは人口1060万あまり。2011年のGDPはギリシャよりもやや小さく1700億ユーロ(約17.8兆円)程度で日本(約468兆円)の4%に満たないという規模。それほどの小さい国であるにもかかわらず金準備はギリシャのゆうに3倍以上、そしてわが国の公的金保有量765トンのちょうど半数程度を所有する、(IMF・ECBを除く)世界でも12番目くらいのけっこうな金保有国となっています。そしてポルトガルも2007年以降はこの金を一切売っていないようです。

 この2カ国以外の南欧の重債務国ではスペインが280トンあまりの金をいまだに持っています。公的な金保有国別ランキングでは十分にトップ20に入る位置です。そして何といってもスゴイのがイタリアです。イタリアの金準備量はこれら3カ国とは桁違いの2452トン。アメリカ、ドイツに次ぐ世界第3位の金保有大国です(約2800トンのIMFを除く)。そしてギリシャ・ポルトガルと同じように、スペインやイタリアもまた深刻な債務危機に陥り、資金調達や借金の支払いが難しくなっているにもかかわらず、これまでのところ、返済原資を得るために金を売ろうといった動きを見せていません・・・

(続く)

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ヨーロッパで存在感を増す金(ゴールド)①

2012-11-21 00:04:18 | 金(ゴールド)

 ギリシャをはじめとするPIIGS諸国の債務危機の解決がまったく見通せないなか、ユーロ圏共通通貨であるユーロへの信認が揺らいでいることの表れなのか、欧州で(ゴールド)の存在感が高まる兆しが見えてきています。本稿ではこのあたりについて具体例を挙げながら個人的な論評を記してみたいと思います。

(1)ユーロ建て金価格が最高値付近に上昇!

 タイトルのとおり、現在、ユーロ建ての金価格が史上最高値付近にまで上昇してきています。

 以下のグラフは2011年11月から今年10月までの2年間のユーロ建ておよびドル建ての金価格(1トロイオンスあたりの月平均価格)の推移を比べたものです。



 昨年9月、ドル建ての金価格は一時的に1オンス1900ドルを超え、史上最高値を記録しました。しかしその後は、ギリシャやスペインなどのユーロ圏重債務国のソブリン危機が深刻化してドル/ユーロが上昇したことや、世界経済の不透明感が高まるなかでリスク資産(現時点では金もリスク資産!)から流動性の高い債券(米国債、ドイツ国債、日本国債のように相対的に安全とされる国債等)等へのマネーシフトが強まったことなどにより、ドル建ての金価格はやや下がり、現時点(11月中旬)は同1700ドル台前半と、ピーク時の価格と比べると10%あまり低くなっています。

 これに対してユーロ建ての金価格のほうは、ドル建て価格が最高値を記録した昨年の秋頃からはドル建て以上のペースで上昇し、現在は1350ユーロあまりで史上最高値付近に達しています。これは、上記のドル建て価格のところで述べた事情などによりユーロ/ドルが下がったことが大きく効いているためと思われます

 まあドルも「財政の崖」回避による米連邦債務上限引き上げ(となるだろうと予想)や過度の量的緩和策などにより価値の希薄化が進み、とくに円に対しては減価していくでしょうが、ギリシャ支援をめぐるゴタゴタぶりなどからみても分るように、ユーロはそんなドルに輪をかける勢いで弱含んでいきそうな気配です。

 以前「金価格で測った各通貨(各中央銀行)のパフォーマンス 」で書いたように、中央銀行の金融政策の節度や通貨の購買力は金価格を指標に推し量ることができると思っています。その意味でいえば、現時点での金価格がユーロ建てで最高値になっているということは、欧州中央銀行(ECB)の通貨管理に対する信頼やユーロの価値がそれだけ下がってきていることを示しているといえるでしょう。

 ギリシャはもちろん、まもなくEUやECBに正式な資金援助を要請しそうなスペイン、外国からも巨額の借り入れをしている世界3位の国債発行残高を誇る(?)イタリア、そしてそんなPIIGS諸国の国債を大量に保有するアブナイ金融機関を抱えるフランスなどなど、いまの欧州には世界経済が熱い視線を送る「ユーロ・スター」が勢揃いしています。そんな彼らに次から次へとスポットが当たるたび、ユーロは動揺し、下落し、その価値を失っていく一方で、ユーロ建て金価格はジリジリと上昇していきそうだと感じています。

(続く)

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注視したいIMFのギリシャ支援のスタンス③

2012-11-19 00:03:45 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 それでもどうやら潮時のようです。そんなギリシャとの関わりですが、そろそろIMFは手を引く時期に来ていると思っています。現在行われているIMFやEU、そして欧州中央銀行(ECB)の「トロイカ」(公的支援組織3者)との協議をみれば分るとおり、再三の支援等にもかかわらず、ギリシャが債務削減目標を達成する目途が一向に立たないからです。この目標未達成は融資金の焦げ付き等、ひいてはIMFへの出資国とその国民の損害に直結する以上、もはやIMFは、EUおよびECBに事後をすべてまかせて、ブラックホールのようなギリシャ支援から撤退すべきなのではないでしょうか(それでもEU諸国はIMFを引き留めようとするでしょう。ギリシャを含むPIIGS諸国への支援資金をEU圏以外の国や国民にも負担してほしいからです)。

 そしてわが国はIMFのギリシャ支援姿勢をいままでと違った厳しい目でチェックする局面を迎えていると思います。

 現時点でのIMFへの出資比率は、1位:アメリカ(17.67%)、2位:日本(6.56%)、3位:ドイツ(6.11%)、4位:イギリス(4.51%)、5位:フランス(4.51%)、6位:中国(4.00%)、・・・などとなっています(近々中国が第3位の出資国になる見込み)。わが国はアメリカに次いで堂々第2位の出資国です。

 さらに先月、わが国とIMFはIMFの資金基盤強化に向けて日本が600億ドルを拠出することで正式に合意しました。これは欧州債務危機を受けた総額4560億ドルの同強化策で拠出に応じた国々のなかでは最大となります(アメリカが拠出を拒否したのとは対照的です)。

 このようにわが国はIMFの大スポンサーであり、さらにこれからGDPの約1%にも相当する外貨準備をポンと拠出することになります。600億ドル=約4.8兆円・・・これほど巨額のお金をいま、震災復興などの内需推進策に使えたら・・・と感じる国民も少なくないはずです。

 だからこそわが国はIMFに対してこれまで以上に「金も出すけど(最低限の)口も出す」というスタンスを取るべきではないでしょうか。もちろん、欧州債務危機の解消がまったく見通せないなか、あからさまに「IMFはギリシャ支援から手を引け」といったようなことは決して言えません。それでも自分たちの貴重なIMF出資金が必要以上に毀損することのないように、日本政府および関係当局には、アメリカなどと上手に協調して、ギリシャを含む欧州PIIGS諸国への過度の支援にIMFがのめり込まないように働きかけてほしいと思っています。

(「注視したいIMFのギリシャ支援のスタンス」おわり)

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注視したいIMFのギリシャ支援のスタンス②

2012-11-17 00:01:18 | ヨーロッパ

(前回からの続き)

 IMFのHPなどによれば、IMFは今年3月に約285億ユーロ(約238億SDR)のギリシャへの融資を決定しています。そしてこのIMF融資分についてはEU等に優先して弁済されることに一応はなっています。これはある意味で当然です。IMFがギリシャ等に融資するお金は世界各国の出資金によって賄われているからです。
 
 1990年代後半のアジア通貨危機でIMFは、インドネシアや韓国といった支援受入国に対して極めてハードルの高い財政再建や構造改革を要求しました。その妥当性には議論があるところですが、受入国の経済立て直しに貢献するとともに、その結果として貴重な融資金をしっかり回収することもまたIMFの重要なミッションだから、ある意味で仕方のない面があったと思います。

 ところがIMFは、ギリシャに財政緊縮策の履行などの融資条件を求める一方、この夏から秋の時点で、ギリシャが2020年までの債務削減目標を達成できそうもないことを把握していたといわれているにもかかわらず、現在も引き続きギリシャ支援への関与を続けています

 そして10月のIMF・世界銀行年次総会で、IMFはギリシャへの拙速な緊縮策の強制は同国の経済回復に悪影響を与えるおそれがあるといった見解を述べています。さらにギリシャの対GDP債務比率3%以内の達成期限について、当初約束の2014年から2016年への2年間の後送りを容認する姿勢を示しているようです。これによって最大300億ユーロ程度の追加資金が必要となりそうにもかかわらず、です。

 こうした動きを見ていると、かつてのアジアの支援受入国に対する態度と比べてIMFはずいぶんギリシャに「甘い」という印象がぬぐえません。まさかIMFの現トップであるラガルド専務理事がフランス人だからというわけではないとは思いたいのですが・・・(ギリシャのデフォルト・ユーロ離脱でフランス[の金融システム]は深刻なシステミックリスクに陥るおそれあり)。

 「自分たちにはあんなに厳しかったのに・・・」かつてIMFのシビアなプログラムに苦しめられた韓国などのアジア諸国の胸のうちはいかがなものでしょう・・・

(続く)

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注視したいIMFのギリシャ支援のスタンス①

2012-11-15 00:05:17 | ヨーロッパ

 今月8日から11日にかけてギリシャ議会は、国際通貨基金(IMF)と欧州連合(EU)が次期支援の条件として要求していた約135億ユーロの財政緊縮法案と2013年度予算をともに成立させました。当初の約束では、これによってIMFとEUによる総額約315億ユーロの追加融資がギリシャに対して実行されることになる・・・はずでした。

 ところがここにきてIMFとEUのギリシャの今後の支払い能力についての見解が食い違っており、予定どおりの支援が行われるか予断を許さない状況となっているようです。以前、両者はギリシャの対GDP債務比率について2020年までに120%程度まで削減できると見込んでいましたが、現時点で精査した結果、IMFとEU(の欧州委員会)は2020年の目標達成が不可能との判断は一致しているものの、推計値のほうは約20%、総額約400億ユーロもの開きがあるとのことです。IMFの推測値がより厳し目、そして欧州委員会のほうは楽観的なのだそうです(それはそうでしょうね・・・)。

 かりにIMFと欧州委員会との見解の相違が修正されないとすると、この315億ユーロの融資が遅れてギリシャは今月中にも債務不履行に追い込まれるおそれが出てきます。そしてギリシャが2020年までに債務比率を(第二次支援の)目標値である116.5%まで減らす見通しが立たないのなら、EUはともかくとしてIMFのほうはギリシャ支援から撤退せざるを得なくなるかもしれません(そうなればギリシャそしてEUは深刻な事態に直面することになりそうです)。

 ということでIMFはまさにギリシャへのコミットを続けるか否かの何度目かの分岐点にまたもや至ったわけなのですが・・・。

 じつは個人的にIMFのギリシャ融資のスタンスが以前から気になっています。IMFがEUなどとともにギリシャに対して際限の無い支援に踏み込みつつあるように思えてならないからです。

(続く)

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「財政の崖」回避でアメリカを支える日本⑤

2012-11-13 00:00:23 | 金(ゴールド)

(前回からの続き)

 さて中国です。

 尖閣諸島国有化でますますアメリカへの安全保障依存度を高めた日本と違い、中国はアメリカおよびドルに気遣いする必要はありません。したがって国家資産の運用スタイルも露骨に国益が反映されたものとなってくるでしょう。その意味で、中国が米国債保有額を徐々に減らしているのは、中国が資産としてのドルの今後に不安感を抱いていることの表れだと思っています。

 もちろん以前「ドル(米国債)が取り持つ米中関係 」に記した理由から、(保有額首位の座こそ日本に譲るかもしれませんが、)中国も引き続き相当量のドル・米国債を所有せざるを得ないでしょう。しかし一方で中国はドル減価リスクに対応するための手を着々と打ってきています。中国が現在、(一部で顰蹙を買うほど)世界中の企業や資産、権益などを買いあさっているのは、ドル減価のリスクヘッジのためと見ることができるでしょう。

 そして注目されるのが中国の金準備の推移です。よく指摘されるように、中国がドル資産に替わって保有額を増やす戦略をとっていることは明らかと思います。

 中国の金準備高をみると、2000年までは約400トンでしたが、2003年前後に約600トン、そして2008年頃にはわが国の金準備約765トンを上回って1054トンまで増やしています。直近の中国の公的な金準備のデータに大きな変動はないようですが、2011年の中国の金の生産量が5年連続世界一の約361トンであることに加え、金の輸入量のほうも同年に約490トンと前年比で倍増となっていることなどから、公的金準備には現れないところで中国は国内に金を貯め込み続けているとみるべきでしょう(ちなみに中国の金の輸出は禁止されています)。

 中国だけではなく、世界各国政府および中央銀行が外貨準備として金(ゴールド)を保有し続けていることからも分るとおり、金はいまでも万国共通の決済手段であり価値保存手段とみなされています。これまでその機能を果たしてきたドルですが、アメリカの財政赤字や対外純債務額の止め処も無い増加、とりわけ2008年のリーマン・ショック以降に繰り返されてきた量的緩和策(QE)でその価値と信認が低下しています。そしてQEを推進してきたオバマ大統領が再選され、さらに「財政の崖」回避で大量の米国債が振り出されることでドルの通貨としての節度はますます失われていきそうな予感がしています。

 そんなドルへの注意信号がともる中で(かつての金本位制のように)いま再びドルに替わって金への価値回帰が始まっていると感じています。そしてこの流れは欧米諸国の金融緩和(通貨価値の希薄化・商品インフレ・金利上昇をもたらす懸念あり)が続くことで強く太くなっていくでしょう。

 実際、わが国でも「日本の外貨準備はドル資産(米国債)に偏り過ぎているので、米国債の保有額を減らして金(ゴールド)などの割合を高めるべき」といった議論が多く聞かれるようになってきています。

 しかしこれまで書いてきたような理由から、(財務官僚や日銀関係者の本音は分りませんが、)現実的には日本政府にはそんなことはできないでしょう。それどころか政府・日銀は「円高阻止」を名目にこれからも大量のドル・米国債を購入してアメリカを支えていくのでしょう。今後想定される世界的な金融恐慌に多少なりとも備える意味で、わが国も公的な金準備の強化に早急に取り組んでほしいと思っているのですが、何とも歯がゆいところです・・・

 だからこそわが国では企業や個人による金の保有がもっと必要とされると思っています。もちろんその最大の理由は、リスクオフの不等式「金>円>ドル>ユーロ>新興国通貨」(実質的な利回りの大きい順)に基づいて金の価格が上昇するだろうと予想するからですが、わが国においては公的資金による金の買い増しが難しい現状から、政府に替わって国民各層が薄く広く金の保有額を増やしていくことが国益にもなると考えるからです。

 このあたりは、自国の利益獲得にめざとい中国が、さらなる米国債購入を手控えつつ、一方で金準備を積み上げている事実が示唆してくれていると思います。そんな中国を良き(?)お手本に、日本でも金投資への関心が高まることを期待しています。

(「『財政の崖』回避でアメリカを支える日本」おわり)

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「財政の崖」回避でアメリカを支える日本④

2012-11-11 00:03:05 | 世界共通

(前回からの続き)

 一方、保有額が世界一になるくらいに日本(政府)が米国債を買い増すことの最大の懸念事項は、これまで何度か記してきたように、やはりドル・米国債が円に対して減価することで巨額の為替差損が発生するリスクがあることでしょう。

 本稿前段で示したように、2008年1月から現在までの5年間だけですでにドルは円に対して約27%も下落してしまいました。まあ今後ドル高円安になれば為替リスクは縮小していきますが、その逆にさらにドル安円高が進む可能性のほうがずっと高いものと思われます。

 9月に開始された量的緩和策第3弾(QE3)で米連邦準備制度理事会(FRB)は現在、住宅ローン担保証券を買い入れて毎月400億ドルもの巨額のドルを金融市場に供給しています。このためドルのマネタリーベースが一層拡大し、ドルは円などの他の通貨に対して安くなる地合いにあります。

 さらにFRBの大量購入によりこれらの債券や米国債などの各種のドル資産の利回りも低下しています。現時点のアメリカの長期金利は1.60%(11/9時点)と歴史的な低金利となっています。FRBはこの低金利政策を2015年半ばまで維持するとしています。

 こうした通貨価値の希薄化と低い利回りにより、資産としてドルや米国債の魅力はますます乏しくなるものと予想されます。

 たしかに、ドルは(曲がりなりにも)基軸通貨として機能していること、そしてドルの立場を脅かすとみられていたユーロが基軸通貨としての信認を得られていないこと、などから、ドルは決済用通貨などとして今後も当面は世界中で使われていくものと思われます。そういった意味で、輸出主導型の経済体制となっている中国も、これまでほどではないにしても相当量のドル資産保有を継続するでしょう。

 しかし資産運用の観点からすれば、上記のような情勢のもとでドルへの投資妙味は薄れていくばかりか、わが国のように通貨節度が相対的に保たれている国にとってはドルを持つことでかえって為替差損を被る一方でしょう。そしてその損失はやがては国家財政を圧迫して最終的には国民負担となっていくことでしょう・・・。

 先日書いたように、いくら安全保障の観点から仕方がない面があるとはいえ、為替リスクを度外視して(?)日本政府がこれほどまでにドル・米国債を買い増すのはいかがなものかと感じるのは私だけではないはずです。「財政の崖」回避で大量の米国債が吐き出されようとしているなか、政治家を含むもっと多くの国民がドルに偏重した外貨準備の持つリスクに敏感になるべきと思います。

(続く)

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