(前回からの続き)
以上ここまで、最近の日本企業による海外大型投資案件について思うところを綴ってきました。いずれも株高外貨高(アベノミクス円安)という、本来ならば外国資産には手を出すのが非常に危険な環境下での逆行買い(?)であり、個人的には今後が心配でなりません。ただでさえこれらには投資額に見合う価値があるようには思えないうえ、いまは実質実効レート的に25%も円安、つまり同レートで妥当とされる水準と比べるとそのぶん余計な円貨を費やすことになって投資効率が極端に悪いはず。むしろいまは、トヨタ自動車が米テスラモーターズ株を売り抜けたように、手持ちの外貨建て資産を手放し、それで得た円をキープして「巣ごもり」つまり次の投資機会がくるまでじっと待つべき時期だと考えますが・・・
・・・って、まあたしかに上記案件に限ればどれも厳しいビジネスになりそうな予感がするものの、わが国全体ではまだ大丈夫かな、とも思います。理由は、こちらの記事で書いた「キャッシュリッチ」ぶりで分かるとおり、日本の企業等の多くが実際には上記「巣ごもり」に入っている様子が窺えるためです。ホント、この判断は適切ですね(?)。これが欧米等の優良企業(?)なら、自社株買いをしたり配当を増やしたりしてこのキャッシュを社外に流出させるところですが、本邦企業はそんなことをしないで、こうして勝ち残りをかけて次の設備投資等に備えているわけですからね・・・
というわけで、この国では次の一手に向けた準備も原資も十分に整っています。あとはこれを妨げる「何か」を改めるだけ。逆に早くそうしないと、上記ケースのようなこと―――「巣ごもり」の長さに耐えかねた企業や投資家が「厳冬」のさなかに外に飛び出してしまうこと―――が次々に出てきて、結局わたしたちは第二、第三の「悲劇」を目の当たりにすることになってしまいますよ・・・
(「いまは外資買い厳禁の『巣ごもり』期間のはずでは」おわり)
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