blog Donbiki-Style

筆者:どんびき(地域によりカエルの意)

セルフ窓際族

2023-10-26 21:30:33 | 日記
体調のからみで一時は長期離脱かとも思われたベテラン氏が、あまり離脱は長くはならず今日から戻ってきた。
本人の表情を見る限りは大事には至っていなかったようで、我が班のひとりとしてはもちろん、職場全体としても貴重な戦力が帰ってきてひとまずは安心といったところだ。

さて、せっかく一名が病み上がりから復帰してきたというのに、毎度毎度の年長さんは今日も相変わらずで、結局午前中は私の仕事の補助と原始的な手作業だけで終えた。
とにもかくにも新しく何かを覚えようという気概がなく、あくまでも現状維持を貫こうという構えのようだ。
私を含めて当人への周囲の見方が当初から比較すると微妙に変わってきているのは当人にも分かっているはずなのだが。

少し手がすくと柱にもたれたり作業中の現場をただ眺めたりするばかりだった当人は、午前のある時に「何か気持ち悪いから昼から帰ろうかな」とボソッと口にした。
さすがに「別に、いなくても回りますから」などとは言えず、しかし心にもない慰めごとを言うのもよくないので私は何も答えなかった。

自分の昼休憩を終えて階下の現場に戻ると当人はいなかった。
周りに聞いてみるとどうやら本当に昼から帰ってしまったようだ。
しかし、体調が悪いというのは表向きの理由だろう。
本当に体調が悪いなら、他人の反応を見るかのように「帰ろうかな」などとは言わないはずだからだ。
実情は、我が現場が当人にとってだんだん居づらい場所になりつつあるといったところだろう。

職場という所で進歩や向上をあきらめてできることだけやっていようというのは後退していることと同じで、自らすすんで立場を危うくしているとしか言いようがない。
加えて今日のように早退してしまったりすればこの先は逃げクセがついてしまい、セルフ窓際族まっしぐらということになる。
まだ試用期間中の身で休みがちということになれば会社からの評価はダダ下がりで、試用期間を待たずの悲劇も避けられなくなるかもしれない。

当人にとっての誤算は、一か月遅れてやってきた私が、できるできない上手下手はともかくも当人の予想以上に「動く」人間だったことだ。
最初の頃は意気込みばかりがあって、いろいろな場所に顔は出すがタイミングが悪かったり思い切りジャマだったりしたわけだが、毎日何かと動いているうちに分からないこともだいぶ減り、動くべき時と待つべき時が少しずつではあるが分かってきた。
今ではいちおう担当業務なるものもできて、それが終われば現場を見渡してできることがあればとにかく参加するように心がけてきた結果、当初はキツい当たりをしてきた人も徐々に変わってきて、ずいぶん過ごしやすい職場になっている。

当人は遅れて入ってきた私を最初はバカにしていたものが、徐々に力を付け現場にも慣れ周囲にもなじんでいく様子を見せられる。
あせったところで時すでに遅し、今はその人間の補助で時間をつぶしているありさまだ。
ひとりの人間が場数を踏んで日々向上していくさまを目の前で見せられ続ける一方で、当人は他人の見よう見まねすらせずに進歩を怠った。
これではいよいよ内面的に危うくなるのも仕方なく、当人がいくらごまかしてもこちらには手に取るように分かる。

私もかつては「サイボーグ」とまで呼ばれた人間で(人間味がないという意味合いだったのかもしれないが)、ポカも多いがひとたびハマれば時に異次元のアウトプットに至る。
当人にしてみれば、そんな人間と入社時期が近かったことがそもそもの不運であったし、張り合おうなどという気を起こすなどハナから間違いであったとそろそろ気づいてもらわなくてはならないし、どうしてもそこを認められないなら戦力としての疑問符を社内で投げかけざるを得なくなるかもしれない。
当人は至って善人であることは名誉のためにも書いておきたいが、そのことと仕事の出来不出来はまったく別個の問題だからである。


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