1960年代の後半、イタリアはトスカーナに新しい風が吹きます。
サッシカイヤというワインを皮切りにソライア、ティニャネッロなどが「トスカーナの伝統を越えたワイン」=「スーパートスカン」として世を席巻します。
はるかカリフォルニアでボルドーブレンドが大成功を収め始めるのと、同じ時期です。
つまり、まだこの時期はボルドーがワインの規範だったのですね。
当初はカベルネソーヴィニヨンが主体、若しくはサンジョベーゼにカベルネをブレンドするスタイルでしたが、徐々に他の品種が台頭してきます。或いは伝統的なサンジョベーゼを差し置くとは何事か、という流れも起こります。当然ですね。
ちなみに一部ではシラーが流れに入ってきます。そしてメルロです。
何時の間にかメルロが「スーパートスカン」の主役の座を得たような気がしています。
濃い色調で、タンニンは豊富、しかし角がない。サンジョベーゼとの馴染みも良い。またボルドータイプの225リッターの樽=バリックとの相性がいいのですね。
バブル直後位の頃、名門フレスコバルディがカリフォルニアの雄ロバートモンダヴィと組んでルーチェと言うワインを造ります。高かったですねえ。そしてセカンドラベルのルチェンテ。いいワインでしたが「高いよねえ」などといっていたことを覚えています。名前もおしゃれでしたので当時の人気ワインであったことは紛れもありません。
そして現在、2007年のヴィンテージのルーチェ、ルチェンテが世に出ています。当主のレオナルド.フレスコバルディ氏と一緒に試しましたが、若くても力具合が良く出ていましたし、熟成の潜在力もあります。ルーチェは巨人ですがルチェンテは程好い体格のスポーツマン。
ルチェンテは今月お出ししていますが「スーパートスカンとは?」という質問に答えを出してくれるワインです。
ちなみにメルロ半分に残りがサンジョベーゼとカベルネです。
イタリアの底力、ですが「スーパー=越えたもの」ですからイタリアワインとしてでなくインターナショナルワインとして味わってください。そうですね、牛でも鹿でも美味しくいただけそうです。
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