ダイニング・ウィズ・ワイン そむりえ亭

料理にワインを
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 樋口誠

ワインメーカーの想い

2020年03月25日 02時42分18秒 | ワインの事
「生産者の想いを伝える」

よく聞く言葉です。

畑の手入れから始まり、いや、その前に「どういう葡萄をどういう風に育てて、どんなワインにしよう」という想いがあって、収穫時に向き合い、醸造で立ち往生し・・・・

ですから私達のようなサービスマンは「想いを伝えたい」と思うものです。

しかし、私は「それはワインによる」と思っていますし、思い入れのあるワインでも「生産者=ワインメーカーの想いとは違う方向で」サーブすることも多くあります。

だって「私にはこんな服が似合う」と思っている人でも「いやあ、こっちも似合うで」と勧められた服が実は一番似合うということもありますもんね。

また橋本聖子さんはスケートの女王でしたが自転車でも3度のオリンピックに出ています。

「これしかない」ってことは意外にないものなのです。

あ、私などは一つも出来ないのですが・・・・


ワインメーカーズディナーでは異国のワインメーカーが「普段合わせている料理」とは全く違う料理で合わせるのですし、サーブの方法も「俺のワインをどうしやがった?」って思われることもあるでしょう。

しかし、外交辞令かもしれませんが、最後は「それもあり、と知った」と言っていただけることが多いのです。


だいたい考えてみると私も私の同級生も先輩も還暦を過ぎてなお子供の様に失敗だらけです。

東大出の政治家も間違いだらけですし・・・

つまり、ワインメーカーも何年ワインを造っていても意外に知らないことも多いのです。

「ワインメーカーの想いを伝える」ということは、むしろ「逆張り」の方が良いかも、と若いサービスマンにはチャレンジして欲しいものです。



そう言いながらワインメーカーの来日が立ち消えになる今の時期。

粛々と彼ら、彼女らのワインを「こんなアレンジってどう?」とお勧めしたいと思います。


      樋口誠