小暮満寿雄 Art Blog

ダジャレbotと間違われますが、本職は赤坂在住の画家です。作品の他お相撲、食やポリティカルな話も多し。右翼ではありません

映画「聖者たちの食卓」見ました!

2014-11-17 10:04:03 | Weblog

先週の水曜になりますが、ドキュメンタリー映画「聖者たちの食卓」見てきました。

いや~、セリフが一切ないので、ところどころ眠くなりましたが、なかなか近頃ない感動を得ましたね~。

場所はインド西部、パキスタンとの国境をともにするパンジャブ州の州都アムリトサルにあるハリマンディル・サヒーブ(黄金寺院)。あのターバンを巻いた人たち、シーク教徒の総本山ですね。

私もこの映画で初めて知りましたが、ここでは500年前から巡礼者や旅行者に無料で食事を提供しているランガル(無料食堂)という施しをしているのだそうです。

本編は、その1日10万食を施す無料食堂の舞台裏を淡々と撮影した作品というわけです。

上映劇場は渋谷宇田川町のはずれにあるアップリンクというミニシアター。こじんまりと地味な作品を上映してるようで、次回はダム破壊のドキュメンタリー。これも見に行きたい♪

食事を用意する方も全員ボランティアだそうですが、芋掘りからタマネギの皮むきまで、みな慣れた手つきで行います。

タマネギは皮むき部隊と、刻み部隊が別になっていて、さすが500年も続いただけあって、すごくシステマチック。そして何より、意外・・・と言っては失礼ですが、とっても清潔感があるのですね。

10万人分の豆カレーを作る大鍋も、ステンレス製の食器も、使い込んでいますが、よく磨かれて衛生的。
厨房の床も掃除が行き届いていて、何やら禅寺のそれを思い出させます。

シーク教は16世紀にヒンドゥーの教えから生まれた、インドにおいては新しい宗教です。輪廻転生などベースは受け継いでいるそうですが、イスラム教の影響でカーストは完全否定。

無料食堂も階級、男女、子どもの違いはなく、誰でも受け入れ、同じ場所に座るというルールがあります。

以下、10万人の食卓ランガル(無料食堂)のルール

■寺院に入る前は、手を洗い、靴を預け、足を清める

■宗教、階級はもちろん、女性、男性、子どもがすべて一緒に座る

■ターバン、またはタオルを着用(レンタル有)

■残さず食べること。おかわりは自由

■使った食器は指定の場所に戻す

■酒、たばこ、革製品の持ち込みは禁止

■一度の食事を5000人で取るので、譲り合いを忘れない

いや、当たり前のことなようで、なかなか素晴らしい。

シーク教はインド人口のわずか2%に過ぎませんが、外交官、警官、軍人など目立つ職業についてる人が多いため、インド人といえばターバンを巻いているイメージがあるのですね。

インド料理の代表に思われてるタンドリーチキンやナンも、実はこのシーク教のお膝元パンジャブ地方の郷土料理です。

外国で活躍する人の多いシーク教徒が海外に輸出した結果、インド料理といえばナンとタンドリーチキンと思われるようになったわけです。

ただ、無料食堂10万人の食事をタンドール窯で出すわけにはいきません。
同じ小麦粉を使ったパンでも、発酵させず鉄板で一度に沢山焼けるチャパティを、これまたシステマチックに作って行く様子は何とも面白いもの。

インドという国の懐の深さを知るに十分な映画。

今年の私のベスト1候補の1本、ぜひみなさまゴラン(ご覧)高原・・・なんて、ウフッ♪

コメント
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