昨日は好天の中、上野トーハクで開催中の「国宝 鳥獣戯画のすべて」展に行って参りました。
私の記憶する限りで「鳥獣戯画」の展覧会は、2007年のサントリー美術館、そして2015年トーハク開催と、15年足らずの間に三度行われています。
それでも今回の展覧会は「イッキ見」ということで大人気。
日曜美術館でも取り上げられたおかげか、ネットでは最終日までは完売で、私も1週間ごととかに発券するセブンチケットでようやく入手しました。
ゆったり見られるかと思いきや、意外な人出に(人気だったので、最初より入場者数を増やしたのだと思います)びっくりでした。
鳥獣戯画には甲乙丙丁の4巻がありますが、やはりカエルとウサギとサルが登場する甲巻が圧倒的に素晴らしい。
手塚治虫先生をして、マンガの原点と言わしめるすべてがここにありました。
今回、画期的だったのが「動く歩道」ですね。
展覧会によく行く人ならご存知だと思いますが、絵巻物のコーナーは見下ろして、その空間を独り占めしますから、とにかく混むのです。
それを解消すべく登場したのが動く歩道でしょうが、これが案外良いのです。
もう動く歩道の少しスピードをゆっくりにしてほしいと思いはしたものの、甲巻まるごと、鳥獣戯画を独り占めにできるのですから、これは実に素晴らしい!
昔から鳥獣戯画は人気だったようで、何と狩野探幽や土佐光信による模写もあって、これも楽しい!
模写や写本の良いところは、原画で失われた部分も、“このようになっていた”ということがわかることでしょう。失われた部分を含めて、鳥獣戯画の全体図が見られるところも魅力です。
愛嬌たっぷり、ユーモラスな鳥獣戯画ですが、甲巻は伝・鳥羽僧正の筆と呼ばれるだけあって、その中にも仏教的な香りが漂います。
あの伊藤若冲の「果蔬涅槃図(かりゅうねはんず)」も、実は鳥獣戯画を見たのではないかと勝手に想像をふくらませたりして、楽しいことこの上ありません。
昔から日本人は鳥獣戯画が大好きだったのですね!
バカのひとつ覚えの緊急事態宣言を目前に、ぜひ心が安らぎ、笑みがこぼれる鳥獣戯画を見に行きましょう。ネット以外でしたら、まだ入手できますよ!