漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

遠い座敷

2005年03月11日 | 読書録
「本当に怖い小説のアンソロジー」には、どちらかと言えばやや古めかしい小説を多く選びたいと思うのだが、別に「古いもの」でなければいけないという制約を作るつもりはない。それに、日本のものも積極的に選びたいと思う。
というわけで、二作目は筒井康隆の「遠い座敷」。

遠い座敷
筒井康隆 
だんだんと、こうした小説を怖いと感じる子供は減ってきているのかもしれないとも思うが、例え古い屋敷のことをそれほど知らなくても、これは十分に怖いと思うんじゃないかという気がする。読んでいるうちに、皮膚にまで不安が感じられて、次第に遠近感まで分からなくなる。
一作目に挙げた「塔」とこの「遠い座敷」は、恐怖の出所が「どこまで続くのか分からなくなる不安」であると言う点で、とても似ている。これは、宗教とかそうしたものとは無関係な、根源的な恐怖だろう。
筒井康隆には、こうした「ほんとうに怖い」作品がいくつかある。例えば「母子像」とか、「鍵」とか、「家」とか。




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2 コメント

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Unknown (shigeyuki)
2005-03-12 00:22:21
詳しいですね、shuさん。

筒井さんのそうした一連の短編は、本当にいいですよね。

ところで、筒井さんの家は僕の家から歩いて二十分ほどのところにありました。懇意にしている書店も同じでした。
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Unknown (shu)
2005-03-11 23:23:48
おお!「遠い座敷」大好きなんですよ!

あと「家」や「熊の木本線」「エロチック街道」「ヨッパ谷への降下」「魚」「都市盗掘団」「屋根」等々…

夢をそのまま作品にしたような短編、全部好きです。

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