漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

ゴシックスピリット

2008年02月28日 | 読書録

「ゴシックスピリット」 高原英理著 朝日新聞社刊

を読む。

 ゴシックに対する愛の深さを感じる本。だけど、読めば読むほど、「ゴシック」というものが何なのか分からなくなる本でもある。もともとどこか曖昧な「ゴシック」という分野だが、結局のところ、これこそがゴシックだという定義はできないのかもしれない。途中から主に取り上げられている「和ゴス」に関して言えば、これはもう「ゴシック」とは言わないんじゃないかという気もする。「猟奇趣味」とか「耽美趣味」とか、そういう言い方が正しいんじゃないか。そうは思うが、渋沢龍彦や寺山修司らによるアングラの流れから、ビジュアル系ロックを経て開花した日本のゴスは、もう今では立派な市民権を得ているようだから、もうまとめて「ゴス」という新しい分野と考えるべきなのかもしれない。
 でも、一体日本の「ゴス」の始まりは一体どこにあるんだろう。一番大きいのは、やっぱり江戸川乱歩、それから渋沢龍彦、そして寺山修司、土方巽らだろうと思うのだが、その時点では「ゴス」というよりは「アングラ」とか「デカダンス」という言い方の方が近いだろう。それでは一体。
 これは多分、やはりロックの影響がかなり大きいに違いない。思いつく限りでは、まず、遠藤ミチロウの「THE STALIN」。豚の臓物を投げたりするめちゃくちゃなステージのはしりとなったバンド。「虫」というアルバムのジャケットを丸尾末広が描いていたことでも有名。それから、「マリア023」という釜釜しい名前のバンドをやっていたジュネが、ボウイの布袋らと結成した「AUTO-MOD」。「死の葬列」という13夜連続のギグで解散した。これもジャケットを丸尾末広が描いていたっけ。ロリータの先駆け、戸川純も忘れてはいけない。その後は、「トランス」というレーベルを主催していた北村昌士さんが編集していた雑誌「Fools Mate」だろうか。このレーベルは、イギリスのジョイ・ディビジョンをはじめとするネオ・サイケに当初は焦点を当てていた。この前後から、ライブハウスに来る女の子たちの格好が、今のゴスロリファッションになったように思う。やたらとリスカの跡を見せたがる女の子も、沢山いたっけ。その後は、XとかDead Endらが出てきて、ハードロック界ではゴス全盛。その辺りから先はよくわからないけれども、少女マンガなんかを巻き込んで、今にいたるという感じのような気がする。
 要するに、ゴスはサブカルチャーにしっかりと寄り添っているわけで、やはり日本で独自の進化を遂げているようだ。 

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