漂着の浜辺から

囁きのような呟き。

鴨沢祐仁

2008年01月22日 | 読書録

 漫画家の鴨沢祐仁さんが亡くなったという記事を、由里葉さんの***ephemeraで読んで、驚いた。それでいろいろと調べて鴨沢さんのブログに辿り着き、遡って読むうちに、そこに記されていた言葉が頭にこびりついて、離れなくなってしまった。それが昨日の夜のことだったが、今日も一日に何度も思い出された。特に、年末の記事には涙腺が緩む。「2007年、良かったこと、ひとみちゃんと3回逢えたこと。悪かったこと、1秒も仕事をしなかったこと。」とても切なくなる。
 いろいろなことを思う。それは怒りのようなものであったり、無力感のようなものであったり、様々に形を変える。でも、言葉は無闇に膨らんだ後、急速に行き場を失ってしまう。そして結局言葉にならない。
 鴨沢さんの作品が、特に好きというわけでもなかった。だが、堅固な世界観を持った、素晴らしいイラストレーターであると思っていた。彼の作品に出てくるドライマティーニがとても素敵なお酒に見えたものだ。一時はあちらこちらで彼の作品を目にすることがあったのに、こんな終りはとても寂しい。彼は、本当は死ななくて済んだかもしれないのに。そう思えて仕方がない。