さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

世界フライ級の頂点、納得の熱戦 ロドリゲス、エドワーズをTKO、二冠王者に

2023-12-19 05:09:41 | 海外ボクシング



日曜日、衝撃的な試合続きだった神戸の興行ですが、唯一良かったのは、早く終わったこともあって、帰宅後、配信あった海外の試合を、結果知らずで見られたことでした。
遅くなっていたら、情報遮断も諦めて後日見よか、となっていたかもしれませんが。
DAZNのメイン、WBO&IBFフライ級タイトルマッチについては、特にそう強く思った次第。簡単に感想です。



初回、エドワーズのジャブが速いが、ロドリゲスも前の手、右フック気味のリードで切り返す。早々に、リング上に緊迫の空気。
ロドリゲスのボディ攻撃、少し低めのがあり、初回終了後のインターバルでセコンドが「ローブローが4度あったぞ」とレフェリーにアピール。

2回、ロドリゲス右ジャブふたつ。エドワーズ、右ボディストレート返すが、ロドリゲスがショートで「ツーワン」を被せる。
するどエドワーズ、足を踏み換えて右ジャブ、ロドリゲスかろうじて外す。ジャブ応酬、エドワーズ右ショート。
これらの攻防を十秒足らずの内に詰め込んでいる。両者の技術、身体の切れ、集中の高さは並外れている。

しかし、こういう濃密な攻防自体を「外す」のが、エドワーズ本来の持ち味ではなかったか、とも思える。
ロドリゲスとて楽ではないし、隙を見せられないタイトな展開ながら、スーパーフライ級でもカルロス・クアドラスやシーサケット・ソールンビサイを相手に、激しいラリーを演じて勝ってきたロドリゲスにとり、徹底して躱し、外されるよりは、はるかに良い展開にも見えました。
それは続くボディブロー応酬、ロドリゲスの左ヒットの場面でも見えたように。


その辺を考えたか、というと少し違うかもですが、ロドリゲスがペースを握ったか、と見えたのち、3回、エドワーズが局面を変えに来る。
右構えで立っていたが、40秒くらいにロドリゲスの右ボディジャブが伸びたあと、右足前に出して、サウスポーにスイッチ。逆に右ジャブ連発し、ヒット。
エドワーズ、右相打ち、右ボディ。左ボディ打ちにくるロドリゲスに左フックカウンター。巧いところを見せる。

そうかと思ったら、左クロスヒットに右フックミスの後、クリンチ。ロドリゲスがラビットパンチをアピールするが構わず押して打ち、アタマを持っていってさらに押す。
なおもホールドまがいのクリンチを続ける。ラフで狡猾な立ち回りで、ロドリゲスを乱そうという狙いか。
実際、その後打ち合いで、ロドリゲスが少しフォームを乱した印象あり。
エドワーズ、最後の方また右構えに戻し、右クロスを飛ばす。

右から左に変え、巧さを見せたあとにラフな行為もして、また右に戻す。
この回、ポイントはともかく、エドワーズの仕掛けに、ロドリゲスが少し揺さぶられたように見えました。

4回も右リードの応酬かと思いきや、エドワーズが押し込んでおいてロドリゲスを引き倒し、スリップダウン。
右から左にスイッチして、左クロス狙う。

エドワーズの攪乱はそれなりに奏功もしている。しかし「やり合う」展開であることに変わりは無い。
5回、ロドリゲスがエドワーズのパンチを外し、それをきっかけにリターンのヒット、そしてコンビネーションへと繋ぐ場面あり。
左アッパーからワンツー、右ボディ返し、さらに打ち込む。
流れは徐々に、しかしはっきりとロドリゲスに傾き始める。

6回、エドワーズのジャブの引きに合わせて、ロドリゲス左で飛び込む。右ボディ打ちの応酬、はっきりロドリゲスがまさる。
右ジャブの打ち合いでも、ロドリゲスがまともにヒットを取るように。エドワーズ、左目下に傷が出来ている。
ロープを背負ったエドワーズに、ロドリゲス左ボディから右フック、防がれるが左をガードの真ん中へ。
ワンツー繰り返し、さらにガード崩しの狙いをもって左右フックを叩きつける。
そして自ら下がり、舌を出して挑発しながらエドワーズに打たせて、ゴング。

完全に当てる、外せるという自信を掴んだロドリゲスのアピール。エドワーズのように、相手を捌いて勝ってきた選手の心身を揺さぶるには充分なもの、と見えました。


ダメージと共に、動揺もあるか、7回エドワーズ、左のチェックフックを空振り。ロドリゲスの右ボディジャブを嫌ったものだが、ロドリゲスは何もしていませんでした。
とはいえワンツーの応酬ではまだ、鋭さも見せるエドワーズ。左を外され、逆にカウンターもらい、攻められるが必死に打ち返す。
しかし8回、ロドリゲスのスリーパンチ、締め括りは右ボディを打たれ、ジャブで追われ、足が絡んだあとワンツーをもらう。
ラウンド終盤、ロドリゲス左右フック、アッパーとコンビネーションで打ちまくる。エドワーズも返すが、劣勢ますます鮮明に。


詰めた間合いで攻防の頻度が高まるほどに、両者の「防御率」に差がつく一方。
それは単に、最初の構えの設定、ガードの高低の違いに出ていて、顔を隠すほど高く構えるロドリゲスと、肩の位置に手を置くエドワーズ、その差の反映でもある。
もちろん足も良く動くが、ガードによる防御も普段からしている、ボクサーとファイターの高品質な折衷型たるロドリゲスに対し、普段は足を使って距離で外し、ガードへの依存度が低い「ボクサー寄り」のエドワーズが、本来得手とはいえない展開で闘っている以上、当然の帰結と言える。

何故そうなったのかについては、エドワーズのこの一戦に賭ける思いが悪く作用したのか、ロドリゲスの技量力量ゆえか、となるのでしょう。
それは言ってしまえば、おそらく両方、なのでしょうが、試合前には、俺はKO「なんか」狙わない、と言っていたエドワーズの心中に秘められた「熱」がほの見えて、それはそれで、見ていて惹かれるもでもありました。


9回、左ストレート同時に打ち合い、ロドリゲスがヒット。エドワーズ、マウスピース落とす。
それでも左返し、右フック返し、懸命に抵抗していたエドワーズだが、ラウンド終了間際、ロドリゲスが右ボディから左のクロスを上に決めると、遂にダウン。
顔からキャンバスに落ちたように見えたが、エドワーズ何と立ち上がり、ゴング。しかしセコンドがレフェリーに棄権の意志を伝え、TKO。

勝者となったジェシー・ロドリゲス、歓喜と安堵でしょうか、キャンバスに伏してしまいました。
敗者サニー・エドワーズに起こされて、健闘を称え合っていましたが、ここだけ見たらどっちが勝ったんやら、という絵でありました。



試合展開自体は、ロドリゲスに幸いする形で進んだ試合ではありました。
しかしエドワーズも、その是非はともかくも、濃密な攻防を繰り広げる中、ロドリゲスに僅かな隙や緩みがあれば、そこを突き崩すだけの力量を常に示し続けていて、試合の緊迫は最後まで途切れませんでした。
両者の繰り広げる鋭い攻防、切り換えの繰り返し、その緊迫と熱量は、まさに世界フライ級の頂点を争奪する一戦はこれだ、と見ているこちらを納得させるものでした。
偉大な二人の王者に拍手したい、素晴らしい試合でした!




セミはムロジョン・アフマダリエフvsケビン・ゴンサレスの一戦。WBAがスーパーバンタム級の挑戦者決定戦と認めた試合でしたが、6回、8回に二度ずつダウンを奪ったアフマダリエフが、8回TKO勝ち。サウスポーの強打対決を制しました。
先日発売された、ボクシングマガジン増刊のインタビューにおいて、井上尚弥への挑戦意志を、敬意を込めて語っていたアフマダリエフ、全体的にマーロン・タパレス戦よりも好調でした。
この感じなら、タパレスに負けることはなかっただろうなあ、という印象。井上尚弥への挑戦者の中で、最上位につけて良いのでは、と思わせる試合内容でした。


アンダーではピーター・マクグレイルが、二度倒してリードしていたんでしたっけ、優勢の試合で右一発くらってダウン、立てず、逆転KO負け。
日本での試合も直に見た(あまりしっかり見られませんでしたが)マクグレイル、相変わらず巧いなあ、と感心しつつ、ぼーっと見てましたが、こういうこともあるのだなあ、と。

もっとも、こういう巧い選手でも、僅かに隙があったり、ミスをしたりすればただでは済まない、そういうレベルの相手と組まれている前提があればこそ、の話ですが。
ここのところが我が国とはちょっと...と思いかけて、最近はそうでもない話も増えて来ているなあ、と思い直しもしましたが。



以上、DAZNの方を見終えて、WOWOWオンデマンドの方も見たら、なんとロバート・ゲレロとアンドレ・ベルトの再戦からスタート。
何も知らんかったので、最初は再放送かと思ったくらいですが、そんなわけもなし。へー、こんなのやるんや、と。
さすがに遅い時間やし、これは後日ということで、セミのホセ・バレンズエラとクリス・コルバート再戦も(こちらは興味津々でしたが)パスして、メインだけ。
デビッド・モレルをきちんと見るのはこれが初めてだったと思うんですが、あらー、こら強いでんな、という感じ(←さすがに疲れて、だんだん、いい加減になっていきます)。試合は2回で終わりました。



そんなことで、神戸で観戦したのち、日曜の夜遅くまで、あれこれ試合を見続けた感想文でありました。
まあ、全部めでたしめでたしで終わっていれば、また違う感情もあったのでしょうが、さすがに疲れました、というところで...。



コメント (2)
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