さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

故意か否かでなく、起こったことの「質」が問題

2021-10-08 07:56:56 | 関西ボクシング




寺地拳四朗の陣営が、JBCに「質問状」を送付した、という話です。
この試合、そして矢吹正道の王座奪取にマイナス面があるとしたら、何よりもあのバッティングですね。

陣営は弁護士を交えて質問状を作成した、ということですが、その内容は9回のバッティングが「故意に見えた」というもので、試合結果を覆すつもりはない、というコメントもありました。
要するにこれは、将来再戦する時までに、それをJBCなりWBCなりに、新王者側に義務づけさせるための一歩、さらにいうなら「割合」を決めるためのスタート、なのでしょうね。


しかし、あのバッティングが故意かどうかを判断出来るのか。そんなこと、誰に出来るんですか、という話です。突き詰めて言えば。
見た印象でいえば、打ち込まれて劣勢に立たされた者が、頭を出して相手を食い止めようとする、くらいのバッティングもよくありはしますが、あのバッティングはそういう範疇に収まるものだっただろうか?と疑問に思ってはいます。

だが、故意であろうがそうであろうが、それを認定する必要などなく、レフェリーが起こったことを「悪質」と判断すれば、2点の減点を課すことが出来る、というルールがある。
そして、当該のレフェリーはその裁定を下しませんでした。
問われるのはその裁定の是非であって、バッティング自体が故意であるか偶然であるかは、問うべきところではないだろう、と思います。



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あまり楽しくない話題ですが、もうひとつだけ。
レフェリーの裁定が、あの試合の結果を左右したかどうか、についてです。

矢吹のバッティングは6回に、初めて、目に見えたものがあって、その後7回、もう一度。
この時はレフェリーが分けて、注意していましたが、9回に起こった、三度目の、拳四朗の出血に繋がったバッティングは、何故か見過ごされてしまいました。
この三度目のバッティングは、上記のとおり、故意か否かは知らず(知りようもなく)「悪質」と見做されて仕方ない、と...映像で見返すと、そう見えます。
そして10回には、また攻めて出てくる拳四朗に対し、頭を出して止めようとした?場面もありました。


これらを全て、厳しく裁定するとしたら、6回にまず注意。
7回に減点1。
9回に、悪質なバッティングと見て、減点2。
10回、攻める拳四朗に矢吹が頭を出した時点で試合を止め、矢吹失格負け、拳四朗の勝利。
こういう裁定も、あり得たかもしれません。


しかし、後から映像で見て言えることと、実際に下される裁定は違う、という現実の前には、全ては無意味なのでしょう。
海外の試合では、ラウンド間の映像チェックにより、ダウン裁定が取り消されたりする事例が出てきてますが、あの試合にはそんな用意はされていなかったし、当然、ルールも事前合意も何もありませんでした。


こういう話、どちらかに肩入れして見れば、当然あれこれと言いたいことも出てきます。
しかし、それ以前のところで、選手ではなく試合運営に、結果として手落ちがあった、備えの不足があった、とは言えると思います。

また、一度目、二度目のときに、より厳しい警告、ないしは早めの減点裁定をしておけば、9回以降の事態を防げたかもしれません。
そして、あの試合がどういう結末を迎えようとも、その内容と結果が、否定的なイメージをもって語られる「余地」が生まれはしなかっただろう、と思います。

日本人のレフェリーは、どうも普段から、厳密に公正に、厳しい裁定を出す、という仕事に慣れていない人が多い、という「印象」ですが、それがコロナ渦の日本人同士による世界戦で、悪く出てしまった事例なのかもしれません。
常日頃から思っていることですが、この辺りは本当に、なかなか根本的な変化が見られないところです。「残念」ですね。





コメント (2)
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