昨夜はG+生中継を、ちょっとだけ遅れて追っかけ再生で見ておりました。
初回から、梶颯が落ち着いていて、距離に応じてガードを上げ下げ、下肢を柔らかく使って頭の位置を変え、サイドにも出る。
福永亮次の、一点集中して敵の防壁を撃ち抜くワンツーが、あまり出ない。
どっちが三冠王者で、どっちが歳若い挑戦者なのか、知らずに見たらわからないような「絵」でした。
福永が上だけでなく、ボディ攻撃を織り込んだ連打を繰り出すが、梶はその打ち終わりを逆に捉える。
5回、このパターンで二度、福永が打ち込まれ、梶がラッシュをかける。
6回、福永はボディ攻撃を一旦自重し、離れてストレートパンチに徹するが、梶もリターン狙いから、懐に入っての連打に切り換える。
全体として、梶がじりじり出て当てて行き、福永が懸命に「抵抗」しているように見える。
しかし互いに攻撃力があり、好打もある者同士故に、警戒レベルも高く、どちらか一方に流れが傾く、というではなし。
これ、採点難しいやろうけど、やや梶かな、と見えた終盤戦、梶がもうひとつ攻めを上乗せ出来ず、逆に福永が奮起。
サイドに回る梶を追って左を決めるなど「対応」の面でも頑張り、追いついたか、競り勝ったか?という感じで終了。
さうぽん採点はドローでしたが、公式は2-0のマジョリティーで福永。
福永支持はいずれも7対5で、小差でした。
2ポイントの差があるわけで、仮に10回戦だったとしても、梶の王座奪取はならなかったのかもしれません。
しかし、試合としては見応えあり、緊迫感が最後まで続く、好ファイトでした。
何より、梶颯の方に、新人王の頃に見て感じた「大物感」というか、風格のようなものが、タイトルマッチの舞台でも変わらず見えたような気がしました。
福永の強打に対し、まったく「位負け」していなかった、というか。
上記のように、様々な防御を備えて立ち向かい、打つと見せかけて手を引き出して外し、打つという、高度なフェイントも再三駆使するなど、その闘いぶりは堂々たるものでした。
しかし、冷静で落ち着いている反面、5回の好機にもうひとつ正確な追撃が出なかったこと、それ以外の回でさらなる上乗せ、さらに爆発的な攻めがなかったことが、結果として響いた感じでした。
ただ、初黒星を喫したとはいえ、その素質は充分、層の厚い日本の115ポンド級においても、上位争いに加われるものがある、と証明した一戦でもありました。
何しろここまでのキャリアを見ると、新人王戦以降、強打故、そこにコロナ渦もあって、タイトル挑戦に至るまで、ほとんど手強い相手との闘いを経験していない選手が、初のタイトル挑戦で「あの」福永亮次に「いきなり」ぶつかって、破綻無く自分のスタイルで闘い抜いたのだから、驚異的だと言っても良い、と思います。
攻防の比率というか配分、バランスを変えるか、今のままで行くなら、一打の威力と精度をさらに上げるか...課題は当然のこと、残りましたが、その部分も含めて、今後の闘いぶりを見て行くのが楽しみな選手ですね。
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もう毎度のこと、いちいち文句を言うのもアレなんですが、G+の実況、昨日はけっこう重大なミスがありました。
この試合、日本タイトルマッチのルール通りに、5回終了時に途中採点が出たのですが、場内アナウンスしてる時、実況アナウンサーがそれを聞かず、普通に喋り続けていました。
そのせいで途中採点が聞き取れず、挙げ句に実際は福永リードだったものを、梶リードと間違えてしまう。
スタッフのフォローや訂正もなく、そのまま放送が続きました。
前座の「練習実況」も毎度ながら酷いもので(「ジャッジが試合を止めた!」とか言ってました)、有料放送でこんな程度の低いものを、堪えて聞かないかんのか、と思うこと再々ですが、セミやメインとなれば、経験を積んだ人員が起用され、まあ何とか...という感じのG+ですが、昨日は全体的にも今イチで、その上にこの重大ミスです。
生中継してくれるのは有り難いですが、お金取って見せてるものでしょうに、こんなこっちゃまずいでしょう...頼んますよ、ホンマに。