さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
その他つれづれなる(そんなたいそうなもんかえ)
拳闘見聞の日々。

大観衆の前で堂々と「決勝進出」 デュボア、ジョシュアを豪快KO

2024-09-28 08:49:04 | 海外ボクシング


そんなことで先日のリヤド・シーズンinウェンブレースタジアムの大イベント、DAZNにアーカイブが置かれましたので、チェックしてみました。
全部で6試合あったようですが、とりあえずメイン、今頃感想文です。



開始早々からダニエル・デュボアが良い踏み込みで打っていく。左ジャブから入る。速いし切れがある。中量級のボクサーのよう。
アンソニー・ジョシュアは右クロスも腰が引けている。打ち込むバランスが取れない、良くないスタート。
初回終盤、互いに右を振ったあと、一瞬ジョシュア気を抜いた?デュボアの右ロングフック。距離を読み違えたか、まともに入ってジョシュア、膝をつくダウン。

2回、ダメージを堪えているジョシュアに、デュボア左右フック。左ジャブも怠りなく。ジョシュア攻められるが、ジャブ、右クロス返す。
3回、スーパーヘビー級、と言える体格の両者、ジャブの応酬。目も眩むほど速い。これだけでも凄い攻防。
最重量級のボクシングもここまで来たか、と今更ながら感嘆。

この回終盤、デュボアの右アッパーから左フック、返し。ジョシュアぐらつき、右足がねじれ、グローブをキャンバスにタッチ。
タイムキーパーがカウントする声が聞こえるが、レフェリーはダウンを取らず、そのままデュボア追撃。フック、アッパーがさらに入り、ジョシュアがダウン。
立ったジョシュア、自コーナーの方へ。レフェリーがカウントする最中、ジョシュアのコーナーはもう椅子を置き、セコンドもリングに入ってしまう。
ジョシュアがグローブを胸の高さで構え、続行の意志をレフェリーに確認されている様子を、セコンドが側に立って見ている。
「ホンマはアカンねんで」という感じか。咎めはなかった模様。

ダメージ甚大、右足はそれこそ捻挫でもしたかというくらいに見えたジョシュア、4回早々、デュボアの左がかすめる?
キャンバスを踏もうとしたジョシュアの右足が「空振り」してしまい、キャンバスに身体が落ちる。ダウン裁定。
スローで見るとヒットは無かったが、ジョシュアの右足は感覚がなくなっている?

再開してデュボアが出ると、パンチは当たっていないが押されてジョシュアが倒れる。
ここでレフェリー、手を低い位置で平行に振れば「ノーダウン」のジェスチャーだが、背の高いジョシュアの目線で両手を交差させて振ったものだから、場内も実況も、レフェリーストップかと一瞬、勘違い。仕方ない面もあろうが、ちょっとドタバタ。


デュボアなおも攻めるが、ジョシュア諦めない。懸命にガード、再三ロープによろめくが堪えて、右アッパーを正面から持っていくなど、果敢な反撃も。左ジャブも出始め、右ストレートの後続打も。
この回終了。ジョシュア、デュボアのコーナーを指し示し、デュボアに「どうそお座りを」というジェスチャー。余裕を見せたい?

5回、デュボア少し見ているか、と、ジョシュアが左フェイント(途中で「キャンセル」する形)から右ストレート。クリーンヒットし、デュボア後退。
場内沸き返る中、さらに右ストレート2発。続けてまた右、今度はアッパー気味の軌道...と、そこにデュボアが真っ直ぐ、最短距離を通る、振りの小さい右カウンター。
これがまともに決まってジョシュア、前のめりにダウン。身体をよじって立とうとするが、かなわず。強烈なKOとなりました。



スーパーヘビー級と称して良い体格を持つ両者が、早々から真っ向勝負をして、人の極限、限界に到達したのではないか、というスピードとパワーをぶつけ合う攻防を繰り広げた。凄い試合でした。
ほぼ駆け引き無しのプレーンな、力と技の闘いでしたが、勝ったのはアスリートとして、のみならず、ボクサーとしての質が高かった方、ダニエル・デュボアだった。
大まかに言うと、そういう試合でもあった、と思います。

より鋭く、相手の身体の軸に向けて斬り込むような軌道のパンチを打てていた。アウトサイドから叩いておいて、ここ一番はインサイドへ鋭く狙えた。
フィニッシュの右カウンターなど、その典型でしょうが、数少ないが深刻なものになりかねなかった危機において、力まずに「合わせ」の技が出るのだから、その技術レベルは、パワーの世界と言われるヘビー級にあっても、中量級の水準に劣らぬものがありました。
そして、それは桁外れの量の筋肉を身に纏い、ボクサーとしての成熟、完成には遂に手が届かなかった印象のアンソニー・ジョシュアとの対比で、より鮮やかに見えました。


しかし敗れたジョシュアの方も、劣勢続きの苦しい中、果敢な反撃を見せ、5回に作った「あわや」の場面も、普通の相手なら逆転劇に持ち込めたかもしれない、と見えるほど。
実際、ウラディミール・クリチコ戦のような、逆転また逆転、という試合を思い出させるものがありました。
その果敢な闘いぶりを称えたくなる、そんな試合でもありました。



ウェンブレーを埋めた大観衆9万6000人、という凄まじいロケーションでこの試合ですから、場内凄い盛り上がりでした。
井上尚弥東京ドームの倍以上ですからね。これはもう、ボクシングがどうというより、かの国のスポーツに対する熱量の違いでしょうか。
最高の舞台で、最高のスペクタクルとも言える試合でした。いや凄かったですね。これはPPV買って見るべき、だったかもしれません。

少なくとも、今のヘビー級において、オレクサンドル・ウシクと共に、ダニエル・デュボアの名前もまた「買い」のリストに追加すべきものになった、と言えるでしょう。
大観衆の前で、堂々たる「決勝進出」を決めたデュボア、来年以降となるであろう「世界挑戦」は、ウシクとの再戦か、それともフューリーとの英国新旧対決か?
今から、大いに楽しみですね。





コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« なんでもタイトル、12回戦に... | トップ | 秋が来て、色々決まっていく... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

海外ボクシング」カテゴリの最新記事