元日本ライトフライ級チャンピオン、久田哲也「氏」、映像クリエイターに転身、という記事です。
来月13日には引退式も行われるとのこと。
ボクシング人生について、得たものを「感動」と総括しています。
勝つことのみならず「自分が闘うこと」自体がそれを生み出す、という言葉に、大いに同感です。
個人的には、どの試合がどう、という「点」ではなく「線」で見て感動的だった。
それが久田哲也というボクサーに対する記憶です。
二度にわたる世界戦での健闘や、三度目にして勝利した堀川謙一戦などは、もちろん特筆すべきものです。
しかし、15年3月に、杦本健太にまさかの(失礼)判定負けを喫して、次の小坂駿戦でも、7回まで大差(と見えました)のリードを許しながら、最終8回に逆転KO勝ち。
そこから13連勝で京口紘人挑戦へと進んだその過程は、他ではなかなか見られない「V字回復」でした。
杦本戦の時点で既に充分「ベテラン」であった久田は、この敗戦で日本ランクも上位から大きく落とし、まさにキャリアそのものが危機にありました。
その状況で迎えた小坂戦も劣勢で、7回終了時、失礼ながら、見ていて「ああ、久田もこれで終わりかな」と思っていたものでした。
それが「終わってみれば」ご存じの通りです。世界タイトルこそ手が届きませんでしたが、その実績、実力は、まさに一流のファイターだったと、多くのボクシングファンが認めるものになりました。脱帽するしかありません。
思えば、若手の頃から、会場で、映像で、かなりの試合数を見てきたボクサーでした。
最初の頃は、正直そこまで注目していませんでしたが、今となっては「忘れ得ぬ」ボクサーのひとりです。
映像クリエイターとは、言えば意外な転身ですが、第二の人生に幸多かれ、と思います。
そして、今頃ですが、長きに渡るボクサーとしての健闘に、敬意と感謝を。お疲れさまでした。