さうぽんの拳闘見物日記

ボクシング生観戦、テレビ観戦、ビデオ鑑賞
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拳闘見聞の日々。

三戦めにして5度のダウン応酬! フューリー、強打ワイルダーを返り討ち

2021-10-10 19:13:22 | 海外ボクシング




初戦引き分け、二戦目フューリー圧勝を受けた三試合目は、過去の試合内容と重なる部分、そうでない部分が交錯し、期待以上の大激戦となりました。


初回、デオンテイ・ワイルダーが左ボディジャブを伸ばし、右ボディストレートへと繋げる。
続いて、目先を変えて、上に右を飛ばしてくる。一見して「やり方変えてきた」とわかる。
これが続けば、タイソン・フューリーは思うように身体を寄せられず、揉み合いに持ち込む頻度も下がるだろう、と見えました。

ただ、その反面、元々動きが滑らかとは言えないワイルダーの身体が、さらにぎくしゃくしている風でもあり。
下肢は硬くて「ぎっこんばったん」という感じで、打たれもしないうちから、踵に重心が行っている。
パンチの繋ぎもえらく間が空き、ワイドオープンになること再々。

これは何なんや、パワーアップのトレーニングが悪く出たのか、コンディション不良か、それとも歴戦のダメージが隠せなくなっているのか?と、不安にもなりました。


2回、フューリーは出て揉み合いに持ち込もうとする。ワイルダー、ミスもあるがワンツー繰り出す。離れていればワイルダーが良い。
3回、フューリーがリズムを取り、身体を立てて低めのガード設定ながら、正面からプレスかけて出る。
ワイルダー、右クロス続けて決めるが圧され、ロープ際で揉み合いから右フック、右アッパー、左と返され、キャンバスに落ちる。
ショートでも威力で上回れる、フューリーの体格が生きた攻撃。

4回、ワイルダー、フューリーのショート連打を受けるが、右から左フック返して反撃。
この左フックで、フューリー少し警戒したか、間を空けてしまう。
直後、少し下がったワイルダーが右ショートをこめかみに打ち込んで、逆にフューリーを倒す。
追撃で二度目。これはもう、軽い手打ちでしかなかったが、フューリーが転がるようにダウン。

好スタートから3回に暗転、というワイルダーが、4回、すぐに逆襲してみせる。凄い試合展開でした。


5回、両者ダメージありそうだが、フューリーがタイミングを変えたワンツーを決めて、流れを取り返す。
6回から7回、フューリーがワイルダーのワンツーを食っても凌ぎ、身体で圧してヒットを重ねて行く。

ワイルダーは相変わらず動きが重く、バランス悪い。良い間合いで打てる回数が減っていく。ロープにもたれ、よろめく場面も。

8回、フューリーはさまざまにタイミングを変えたワンツーを決めていく。大小さまざま、ワンとツーの間を空けたり詰めたり、左捨てて右狙ったり。
揉み合いも増え、頭を嫌がらせに使ったり、とにかく抜かりが無い。
9回、フューリーの左でワイルダーは再三のけぞる。避けるのに足がついていかない。右を打ち返すがフューリー撥ね付ける。

そして10回、耐えていたワイルダー、身体寄せてきたフューリーに右を打たれてダウン。
終わった、と思ったが立って、逆に右クロスヒットさせる。これ以上無い苦境、劣勢にあって、その闘志と馬力は驚異。
しかし11回、フューリーが身体寄せて、右アッパーから追撃、最後は右フックでなぎ倒し、ワイルダーダウン。
レフェリーが即座に試合を終わらせました。



試合全体を見返すと、過去二試合同様、互いの破壊力が凄いので、良いの決まると大変なことが起こる、という、いかにもヘビー級ならではの迫力が存分に見えた試合でした。
ただ、序盤4回までの展開は、三度目の対戦にして、さらに激しさを増しており、見ていて驚くばかりでした。

中盤以降は、これまた過去の展開の大半を占めた、フューリーの冷静な試合運び、その都度下す判断の的確さが光る流れでした。
要所でワイルダーの驚異的な粘り、勝負を捨てない闘志と、可能性を僅かでも残す一発強打の威力が見えたものの、フューリーが11回に仕留めるまでの流れは、ある程度まで必然と言えるものでした。


文字通り一打必倒、という感じがする、ワイルダーの強打に二度倒されつつも、体格を利し、果敢に身体を寄せて相手の体力を削ぎ、好機に強打を決めて仕留めたフューリーの、巧さと強さには、感心するしかありません。
細かいとこで嫌らしいこともしてますが、その出しどころ、引きどころを弁えている部分も含めて、この人色々と「上手」やなあ、と。

そしてワイルダーも、心技体のうち、技と体に問題と限界?を抱えつつ、彼なりに狙いを持って序盤スタートし、危機に遭っても逆襲をし、相手の戦略に絡め取られて以降も、要所で鋭い牙を剥いて、最後まで闘い抜いた姿は、堂々たるものでした。
前回の反省か、衣装も普通に軽めのものでしたしね(笑)。



両者ともに、現状の力を出し切り、限界あれどそれをかなう限り隠して、懸命に闘っていて、「健闘」なんて言い表すのも生易しい、その闘いに、まず大拍手を送りたい、そして脱帽せねば、という気持ちでもあります。
何といってもボクシングの看板、ヘビー級で、こんなマンガみたいな試合されたらかないませんな、という。


ボクシングの歴史上、ライバルが三度闘うラバーマッチ、一番の凡戦になるパターンもありますが、想像を超えた激戦になることもあります。今回は激戦の方でした。
それもヘビー級で、となると、ベタにアリとフレイジャーの「スリラ・イン・マニラ」以来のことかも知れません。
ボウ対ホリフィールドもありますが、あれ以上の試合だった、と言えそうです。

ということで、実に貴重な、物凄い試合を生中継で存分に楽しみました。今日は当たり、でしたね!


コメント (3)
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