元ミニマム級世界王者、星野敬太郎が死去。
昨日の記事によると、死因は肝硬変だった、とのことです。
国内では上位や王座を狙える技巧が抜きん出ていて、時々外国人相手に痛烈に負けたりもしたみたいですが(映像を見る機会はありませんでした)、日本タイトルマッチのルビリアル茨城戦や、中島浩との二試合などを見た限り、川島郭志にも通じるレベルの選手と見えました。
世界戦に進んでからは、僅差の判定を失う試合もありましたが、ジョマ・ガンボアからの二度の王座獲得戦は、どちらも立派なものでした。
ガンボアにしてみれば、天敵のような存在だったのでしょうが。
直に試合を見る機会は一度だけで、大阪城ホールで徳山昌守とジェリー・ペニャロサが再戦したときに、ダブルメインで組まれたノエル・アランブレットとの試合、こちらも再戦でした。
あの大会場、二階席からだったので、判定の是非については難しいなあ、としか言えませんが、初めて直に見る星野敬太郎のボクシングは、相手との駆け引きが巧く、出方や狙いを聡く見てはその対応を考えて様々に動き、手を返す繰り返しで、遠目にも実に見どころが多く、見ていて飽きない、楽しいものでした。
その試合ぶりから伝わってくる「情報量」が、TVの映像から伝わってくるそれとは、かなり違う。
いやこれは良いボクサーだなぁ、としみじみ思ったのを覚えています。
引退後は岐阜でジムを開設、後進を育成しているとのことでしたが、その後ジム閉鎖、沖縄へ移住、という話は今回初めて知りました。
現役時代から、けっこう自由人とうか、飾らない人柄が伝えられ、引退と言えば再起、ということも何度かありました。
しかしそれも、その時々に思ったことを表現するか否かの違いであって、己の気持ちに忠実に生きる人なんだろう、と思うのみ、でした。
何か軽やかで、涼しげなイメージが常にありました。
52歳での死は、あまりに早過ぎます。
残念ですが、良いボクシングを見せてもらえたなあ、という思い出は消えません。
ご冥福をお祈りしたいと思います。