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感想:映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日

2020年11月07日 | プリキュア映画シリーズ
今回の映画は、何というか全編に「凄い」感が溢れていました。面白い面白くないを飛び越えて「凄い」。
なので、何をどう「凄い」と感じたのかの視点で書いてみる。

■感想:映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日

【現役と先輩方】

本映画は本来、春の公開だった。それが秋に延期になったわけですが、いざ見てみると、ヒープリ単体の秋映画としても成立していた。
言うまでもなく狙ってのことではないのだから、奇跡的な巡り合わせだったように思う。

従来の春映画の場合、基本路線は「未熟な新人さんが、頼もしい先輩方に触れて成長する」といった内容。
今回も部分部分ではその要素はあるものの、全体としては、むしろヒープリチームが救援にまわっています。
「これまでと大きく印象を変えたかった」「ストーリーを練りこんだら、たまたまそうなった」等々の理由は分かりませんが、この偶然そのものに妙に感動しました。

OPがテレビ版そのままだったのも、偶然とはいえ出来過ぎです。昨年の春映画「ミラクルユニバース」が、OPを限界ギリギリ以上に削っていたのとは対照的。
何故、春映画でテレビ版OPを採用したのか、もしかしてそこだけ差し替えたのか。色々と不明なれど、おかげで「ヒープリ映画」だとすんなり受け入れられた。

あまりに秋映画として違和感がなかったせいで、先輩方が救援に来てくれた時、ちょっと驚きすらしました。あ、そういえばオールスターズだった、この映画。

【敵が、強い】

今回の敵・リフレイン。恐ろしく強い。
彼の目的は、自分が取り壊されるのを防ぐこと。歴代シリーズと比べ、非常に小さく、ささやかな願いです。でもそれが故か切実さが違う。

前述のとおり、オールスターズ映画であることを素で失念していたので、先輩方が来てくれた時には「リフレインも気の毒に」とすら思いました。
先輩プリキュアというだけでもシビアなのに、よりにもよって時間戦に長けたハグプリ・スタプリチームです。あまりに運が悪すぎる。

が、そんな同情など何のその。リフレインは真っ向から撃退。強い。
時計の長針・短針が化けたような下っ端どもは、下っ端とは思えぬほど一撃一撃が速く、重い。あれって攻撃型ミニッツやアワーズだと思うんですが、奴らあんなに強かったのか。
上空からの飛び道具も怖いです。何人にも止められぬ時間の進みを象徴するかのような、えげつない射撃が襲い来る。
戦い方も上手い。的確に分断、防御、退く時は退く。きっちり学習し、対策を立ててくる。

実際、リフレインも内心ではそれなりに焦っていたんだろうとは思います。
あちら視点でいえば、倒しても倒しても、ひたすらプリキュアと戦う日々を繰り返し、一度でも負けたら終わり。連戦連勝を繰り返さねばならない。
だからこそ戦い方を覚え、きっちり対策を練った。だから強い。

一方のプリキュア側も、懸命の抵抗を試みてるのが熱い。

1回目の戦い。ヒープリ組もちゃんと見せ場の反撃をしている。でも負ける。
2回目の戦いも、普通ならあれで終わっています。「記憶がないのに助けに来てくれた」という感動があったにも関わらず、敗北。
3回目。これまた記憶がないのに、先輩方は即座に対抗策を打っている。「覚えていないけど、私たちは過去に2回、この敵に負けている」「いつもと同じことをやったら勝てない」。これをすぐさま判断し、咄嗟にチーム分けを変えている。オールスターズ的見どころと合致した素晴らしい展開。でも敗北。

この流れだとまた4回目のループに突入するんじゃ…?と本気で思うほどの苦闘ぶり。次がちょうど100回目ということも不安に拍車をかける。
そりゃ最後は勝つのが分かり切ってはいますが、ここまで先が見通せなかったのは初めてかも。

【日常化する伝説】

「飛び出した子供を事故から救う」シーン、もしかしたら初の「敵と関係ないトラブルを、プリキュアで解決する」でしょうか。
すぐに思い出せる過去事例が「部屋の掃除のために変身」ぐらい。他にもありそうな気はしますが、何にせよ珍しいのは確かです。花寺さんは、そういうの躊躇しない子。

ストーリー的には、おそらくはこの場面を(86回目のループの最中とかに)ミラクルンが目撃、そこからラビリンたちを探し出し、コンタクトを取ったんじゃないかと思われます。
ミラクルンの孤独な戦いに、涙を禁じえません。時間制限がある以上、行動範囲は限られる。その範囲の中でたまたま遭遇した、リフレインに抵抗しうる存在・プリキュア。
追撃をかわし、時間切れで振り出しに戻され続けながら、じわじわと少しずつ少しずつプリキュアに近づいたのでしょう。

今回の話で一番怖かったのは「実は既に98回ループしている」と明かされた場面。
96回目でラビリンと接触、ライトを託して一歩前に進む。97回目、ようやくプリキュアに到達。98回目でやっと花寺さんは事態を把握します。
そこに行き着くまでの無数のループをプリキュアは認識できていない。
ハグプリ、スタプリの面々に至っては、最後の1回しか感知できず。かつて時間戦を経験していたはずなのに、こうもあっさり時間の牢獄に捕らわれた。怖い。

「日常生活でプリキュアに変身」「プリキュアが(事態の認識すらできずに)既に負けていた」のは、結構な衝撃でした。

あと3回目のループの際の、平光さんの台詞が何か良い。

(星奈さんからの「どうしてプリキュアだと知ってるの?」に対して)
平光さん:
 「ていうか、私もプリキュアだし!」

生々しいというか、「あ、プリキュアってそういうものなのか」「まぁそういうものだよな」的ななんともいえぬ感じ。部活か何かのノリですかね。

【撮影協力:すこやか市】

テレビ本編でも再三描写されているように、舞台となった すこやか市は観光地。
今回たまたまハグプリ・スタプリの面々が来ていたのも、そのおかげです。すこやか市が観光地でなかったら詰んでた。
「たまたま偶然」他のプリキュアが通りかかってくれないと、花寺さんたちは「他にもプリキュアが居る」とは知りえませんから、助けを呼ぶ発想には至らないでしょう。
結果、7時30分から12時までで移動できる範囲にいないプリキュアは、この戦いに参加できず。ヒープリ単体では勝算が全くありません。

更に言うなら、ハグプリとスタプリは「たまたま偶然」同じ日にやってきただけで、示し合わせてではなさそうです。行動スケジュールがあまりに違い過ぎる。すこやか市の訴求力高いですね。

1回目の街中の戦闘シーンも臨場感あってとても良かった。花咲さん達のパリ市街での戦いを思い出しました。
この辺も「秋映画の定番・異世界旅行をやっていないのに、秋映画っぽく見えた」原因な気がする。パリと並ぶ すこやか市。凄い。

あと、角の生えたデカいぬいぐるみやクラゲを連れて、ルンルンニャンニャン言ってる謎の異星人集団に対し、誰も何のツッコミを入れてないのがちょっと面白い。
観光地なので、色んな人が来るんです。一々反応しない。

【先輩方】

先輩方も埋もれていたわけではない。
前述のとおり、引き立て役的にやられまくっていたのでもなく、要所要所で凄みを発揮しています。(そしてだからこそ、勝てないことに恐怖を覚える)

星奈さんの変身シーンは懐かしさが堪らなかった。「唄う」という特徴的なバンクなだけに、頼もしさというかインパクトが違う。
野乃さんは、改めて考えてみれば、それまでの15年の代表者です。そういう意味では、今作は17年分の全チームの総力戦ともいえた。

ヒープリのテーマは、これまでを見るに「繰り返すことで学習し、強くなる」だろうと思われます。
この内の「学習し」が欠けると、偉大なる先輩方でも勝てない。録画したものをただただ繰り返し再生しても、彼女たちはどこにも進んでいかない。
学習してよりよくしていくというのは、今後続々と行われる(と思われる)「15周年企画」にもつながりそう。

【15周年】

次回の春映画は、夢原さんとの共演です。凄い。
無印5から15周年なので、「2021年にプリキュア5絡みで何かをやる」のは、元々予定されていたと思われます。
ただ「ヒープリと合同で春映画」はどこまでが予定通りだったんだろう?

真相は分かりませんが、元々は「ヒープリの秋映画で、スプラッシュスター(15周年)と何かをやる」だったのかも。
ヒープリのテーマと、スプラッシュスターのテーマは近いものがある。暴論を言ってしまえば、それも念頭にヒープリでは「病気」がギミックに選ばれたんじゃないかとも。
ただこういう世の流れになってしまったので、スプラッシュスターはスキップし、夢原さんを採用したとか。
さすが公式様は美翔さんに求められているものを分かっていらっしゃる。往年のSSファンとしては、にやにや笑いが止まらない。今回の映画でも「ぴきゅるーん!」の効果音が出たときには思わず心の中で喝采ですよ。とても良いものを見た。

「プリキュア5」や「GoGo」のテーマと、ヒープリをどう絡めるのか。「繰り返すことで学習する」を、「夢に向かって進む」にリンクさせるのかしら。
夢原さんという強力な「指針」が存在すると、繰り返しの日々でも目標を見失わなさそうなので、これはこれで相性として面白いかもしれない。
SSと組んだ場合は「生命や生物といった広い概念での成長」にフォーカスが当たりそうなのに対し、夢原さんだと「個の目標」が強調されそう。ヒープリ本編は今のところ前者よりだと思うのですが、夢原テイストが入ることで印象が変わりそう。
今後15周年企画が続くなら「15年前のシリーズのテーマが何だったか」によって現役シリーズの印象も変わり、新しい見どころになりそうです。

【テレビ本編】

今作の大きな特徴の一つとして、「敵側もプリキュア側と同様の思考をする」。
「実験して試行錯誤して強くなる」は正に「繰り返すことで学習して強くなる」そのまんま。
リフレインも同様です。きっちり前回の経験をもとに対策を練っており、だから強い。

じゃあプリキュア側と何が違うんだろう?

映画から類推すると、「先に進むための学習」なのか「現状維持のための学習」なのかが違いそうです。
前者は必然的に試行錯誤が必要で、常に変えていく要素がある。後者は(局所最適な)必勝パターンが確立したら、そこから先には進まない。
ビョーゲンズとの戦いも、そういう要素が出てくるのかもしれない。

【時間の考察】

半年かけてハグプリの考察をやってきました。(参照:「愛崎えみるの研究室訪問問題」
その観点でも面白い映画だったので、考察の続きをその内書きたい。

●感想2周目

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