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(2周目)感想:映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日

2020年11月15日 | プリキュア映画シリーズ
2回目を見ました。この映画の凄みを改めて言語化したい。

【97回目のループ】

今作は何といっても戦闘が重い。重くてドラマがある。

まず1回目の戦い。
無理からぬことではあるのですが、花寺さんたちはかなり暢気です。軽口を叩きながら、なし崩しで応戦。グレースさんに至っては「ミラクルンを手で持つ」なんて悠長なことをやっています。ただでさえ片手がラビリンで塞がってるのに、これでは両手が使えない。
それを見て取ったリフレインの行動は早かった。速攻でグレースを拉致し、戦闘不能の彼女を狙い撃ちにしている。合流されてしまった後も、地上戦を固めつつ、自分は常に頭上をとり、兵隊をけしかけるとともに容赦のない空中からの射撃です。えげつない。

その後、先輩方が来てくれますが、歴戦の猛者の余裕ゆえか、彼女たちも暢気に構えている。まさかタイムリミットがあるなんて思いもしないものな…。

一方、仕掛けているリフレインは実は内心では焦ってたんじゃなかろうか。
彼はリミットがあることを知っている。プリキュア視点でいえば「12時までに倒さないといけない」ですが、リフレイン視点でいえば「プリキュア3チームを常に迎撃し続けねばならない」わけで、かなりのハードモード。
この時点ではミラクルンライトにより記憶が維持されることを知らないとはいえ、一度起きたことは次のループでも起きえる。叶うことならこの初戦で決着をつけたかったのが、リフレインの本音だと思う。

【98回目のループ】

2回目。花寺さんたちも多少の危機感は持った。が、事態の把握に精いっぱいで先輩方を招集するところまで思い至らなかった。
対するリフレイン。きっちり対策を練ってきています。多分、脳内で模擬戦とか何度もやってたんじゃないかな。
花寺さんにとっては幸運なことに、先輩たちは自力で駆け付けてきてはくれたものの、後手の感はぬぐえません。

花寺さんは気づいていませんでしたが、おそらく彼女がやるべき最善手は「ミラクルンを連れて逃げる」だったはず。
ミラクルンの体力さえ回復すれば、ライトを量産してループを脱出できます。逆にいえば、リフレインにとってはミラクルンを中心に円陣を組まれ、耐えしのぐ作戦を取られると辛い。
今回のループでプリキュア側が「ライトを量産すればいい」と気づいていなくても、ループを重ねる内にライトが増えていけば、やがては悟られます。
故にこのターンで、何としてもミラクルンは奪取したい。プリキュアたちが重要性に気づく前に。

そこで速攻でグレースを分断。
彼女がミラクルンを抱えていることは分かっている。他のプリキュアたちは足止めすれば十分。手下をけしかけ、謎の障壁で孤立させ、空中戦の利を捨ててでも即座に襲い掛かった。
これは「初見」で防ぐのは無理だ。持っている情報量も、準備できる時間も違い過ぎる。

【99回目のループ】

奇跡的な巡り合わせで、花寺さんは敵の本拠地に気づきます。そしてもう緩さは卒業した。
とにもかくにも「時間」がない。リフレインを発見、即戦闘。先輩方にも事前に事情を話したんでしょう。1回目や2回目と違い、わちゃくちゃした掛け合いなんてやってる暇はない。

リフレインとしては誤算もよいところだったはず。まさかいきなりすぐさま正体を見破られるとは…。
過去話をしだしたのも、案外、少しでも時間を稼ぐためだったのかもしれない。尤も「時計に憑いている」と自ら語ってしまってるあたり、かなり動揺していたようですが。

実際のところ、この時点でリフレイン側はかなり詰んでいます。
本拠地がバレてしまった以上、100回目や101回目のループに突入できても、プリキュアどもはすぐに襲い掛かってきます。壊される「明日」を選ぶか、ボコられる「今日」を選ぶか。
しかもこれまた花寺さんは気づいていなさそうですが、たぶん「時計本体を壊す」で倒せた気がする。そうだとするとリフレインの焦りは凄まじかったはず。多勢に無勢の戦闘ですから、「時計を狙えばいい」に気づかれたらさすがに守り切れない。
かといって時計を守るような素振りも見せられません。今は気づかれなくても、次のループで参考にされてしまう。永久にループするなら、いずれは敗北してしまう…。

ついでに言えば、2回目の戦闘の時のハリーの台詞「ほんまにおったわ、時計に乗った男」も、何気にリフレインの胸に刺さっていそう。やめてくれ、「時計」を意識させるのは。
クライマックスで無闇に巨大化したのも、あれが切り札だったのはもちろんとして、時計の印象を消したかったのかもしれない。

よってリフレインが勝つには「ミラクルンライトを破壊して、記憶をリセットする」を狙うしかない。謎の範囲攻撃でライトが壊れましたが、あれはまさしくライトを狙って放った時間攻撃的なやつだったんだと思う。

【100回目の前】

後手後手に回り続けた花寺さん、ミラクルンに続き生命線のライトを失う。
残り時間数分。認めるしかない。プリキュアでは、この敵に勝てない。

本来プリキュアさんの強みは成長していくこと。ところがそれにストップがかかってしまった。
15年の過去を土台に持つハグプリチームも、未知との交流と広がりが本分のスタプリチームも、この事態では完全に無力化される。
今のループを逃したら、もう先には進めない。それなのに今の自分では力及ばないことも分かっている。
それが伝わってくるだけに、この戦闘は本当に重い。

「今日の12時までの自分たちでは勝てない」。だから彼女たちはライトに望みを託した。12時までの自分で勝てないのなら、その先の未来の自分に賭けよう。
あのスーパーグレースは、ループの先にある未来のグレースの姿と思われます。たどり着けない未来の自分を、ライトの力で呼び寄せた。まさに恩寵(grace)。単純なパワーアップではない。時間の牢獄の先にある、いつかはなりたかった自分の姿。
グレース以外の面々がライトを振るばかりになってしまったのも分かります。12時現在の自分たちでは勝てない。ならば全戦力を未来に託そう。

これ、たまたま秋に上映されたので違和感なく見てしまえてますけど、本来は春の映画です。
今までの春のオールスターズのフォーマットではない。「未来に進めない」ことがいかに致命的なのか。
時間を戻すというシンプルといえばシンプルな行為が、ここまでプリキュアの根底に突き刺さるとは。

そして「オールスターズ映画なのに、一人に全集中」と強烈なことをされても尚、グレースさんには余裕はない。残り時間はあとわずか。未来の自分でも勝てないのなら、もう突破は無理です。そして何より、仮に未来に進めても無力だと分かってしまう。
「ループを脱する」というだけでなく、ある意味、彼女の未来の意義を賭けた戦いだったとも言えます。未来に進めても成長がないのであれば、進む意義そのものが揺らいでしまう…。

バックで流れる「Circle Love〜サクラ〜」がまた凄まじい。「未来に進む」というフレーズそのものはよくありますが、このシチュエーションで聴くと強烈すぎる。
未来に進みたいのに、進めない。それでも進もう、何としても。そして未来に進めることそれそのものが、「未来には価値がある」ことの証明に繋がる。
未来を信じるから進める。進めるから未来を信じられる。正に「circle love」。過去から学ぶだけじゃない。未来からも学ぶ力強さ。

【12時過ぎ】

決意が実り、リフレインを撃破。リフレインというか時間の壁を。
もはや花寺さんらも別人です。テーマ的な深刻度でいえば、歴代の新人研修よりシビアだ。
制作者様は毎回毎回、よくぞこうも「このシリーズのプリキュアでないと勝てなかった」と思われるような敵を用意できるものだ。凄い。
しかも今回は戦闘パートに物語がある。プリキュア・リフレインの両サイド共に、心境や背景を想像できるしループを重ねる毎に進んでいくのが面白い。

ヒープリさんは「繰り返すことで学び、強くなっていく」がテーマのように思われます。
アースが典型で、彼女は「免疫」機構そのもの。過去の経験をもとに、効果的に次に対処できる。
ただアースさんの失敗描写や、同じく敵側も学習していっている様子を見るに、それらを上回る何かがプリキュア側に用意されていると予想されます。学んで対処していっていたリフレインを、グレースさんが破ったように。

いつもなら「春映画で問題提起」「秋映画で回答編」的な流れだっただけに、何とも気になる。無理にこじつけると、これ自体が「過去のパターンでは対処できない」ことだったりもするのでメタ的にも突き刺さります。

春の公開延期は完全なる偶然とはいえ、事前に分かっていたかのようなはまりっぷりだ。本当につくづく圧倒されるしかない映画だと思う。この映画は凄い。

【追記】

最終回を見たので、テーマ面で補足すると「リフレインを切り捨ててでも先に進む」「それはとても寂しいことだけど、それでも先に進む」も込められていたんだと思う。やっぱり凄い。

●感想1週目

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