Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

ぼくがふえをふいたら

2021-08-15 21:23:04 | 

~伝わり、重なり、響きあう。音を奏でる心地よさ、音楽のうまれる神秘的な瞬間を鮮やかな色彩で描く。~

「ぼくが ふえを ふいたら」作:阿部海太(岩波書店)⇒ 岩波書店HP

この表紙に描かれているふえをふく子どもと、題名『ぼくがふえをふいたら』に惹かれ、久しぶりに絵本を買い求めた。

ゆっくり1頁ずつ読んで眺めていくつもりだったのが、表紙の色に魅入られていよいよ本を開き始めたら、

もうずんずんずんずん次のページ、次のページとめくっていて、気付けば最後のページになっていた。

「ぼく」の気分になって、「ぼく」と一緒にふえを吹き、そしたらみんなが集まってきて、

集まっただけじゃなく、それぞれが楽器を一緒に奏でてそれが周りに広がって散らばっていって・・・

耳に響いてくる音の洪水と目に飛び込んでくるめくるめく色彩の洪水とで身体がぎゅうっと包まれ、
 
その音と色の世界にどっぷり浸かり、もうここでだったら溺れたっていいや!と思ってしまう旅をしてきていた。
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風を感じる

2021-07-30 20:12:32 | 

読み終わってからもうかなり経つのだが、この2冊の本のことを思うとすううっと身体の中を風が通り抜けていくような気持になる。

一冊は姫路の「おひさまゆうびん舎」発行の小山清・『ある靴屋の話』

おひさまゆうびん舎10周年記念として発行されたこの本はおひさまゆうびん舎の窪田泰子さんによると

「10周年記念の3月1日には間に合わなかったけれど 大好きな作家、小山清さんの本。 小さな2篇のお手紙の様なお守りの様な本。『ある靴屋の話』小山清 なんと高橋和枝さんに絵を描いていただけたの。高橋さんの絵を見た時、感動で号泣しました。 3月20日発売です。」

収録されている作品は表題の「ある靴屋の話」と「紙幣の話」の二作品。

私は小山清という作家を知らず、この本で初めてその作品に触れることができた。

何気ない市井の人々の暮らしや風景が描かれたその向こうに作家のそれらを見つめる目の温かさと透明で揺るがない強さを感じる。

高橋和枝さんの絵もしみじみ作品に寄り添っていて、いつまでも眺めていたくなる。

そして同時期に夏葉社から刊行された同じく小山清・『風の便り』

装画は同じく高橋和枝さん。この本ではそれらの絵が丁寧に貼られ、それを見るだけでこの本を読んだ気持ちになる。

 

帯に書かれた

「好きな人のことを   褒めることで  生涯を送りたい。」

にもうぐっときてしまう。

収録作品は「夕張の友に」「春」「矢車の花」「動物園にて」「私について」「浅草」「能率係」「その頃のこと」「風の便り」「美穂によせて」「再び美穂によせて」という11編の随筆。

知らなかった素晴らしい作品に出会える幸せ~。

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絵本のなかへ帰る

2021-04-02 21:13:25 | 

人との出会いも然り、本との出会いもまた然り・・・などつらつら、いや実感している昨今である。

夏葉社のもう一つのレーベル「岬書店」から刊行された「絵本のなかへ帰る」もその一冊、幸せな出会い。

長野県茅野市にある今井書店の2代目店主である著者の高村志保さんはこの本の中で27冊の絵本を紹介し、

そしてその一冊一冊に子どものころの思い出、家族のこと、絵本を通してつながっていく過去、現在、そして未来のことを語り紡いでいく。

絵本の名前がそのまま目次となり、まずその本の名前を眺めるだけで楽しくなる。

27冊目に登場する絵本は「とうだい」(福音館書店:斉藤倫 文/小池アミイゴ 絵)。

その最後に記された「私にとって絵本は帰る場所だ。灯台だ。・・・」というきっぱりした言葉に深く共感した。

私には親から絵本を読んでもらったことより、息子に、というか息子と読んだ絵本のことをこの本を読みながら思い出していた。

昔お気に入りだった昔話の絵本を親がみんないとこに譲ってしまったことが残念で残念でならなかった思いを引きずっていたので、息子と読んだ絵本は大事にとってある。

あまりに何度も読んでぼろぼろになってしまったものは、それはそれでいとおしく、言葉の繰り返しなど今でも懐かしく思い出される。

そして時に手に取り、読んでいる。

まさに、私にとっても絵本は暗い航路を照らす灯台なのだと思う。

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どんぐり

2021-03-09 11:43:36 | 

<灯光舎 本のともしび> 第1弾 「どんぐり

:寺田寅彦/中谷宇吉郎 著  古書善行堂店主・山本善行 撰

目次:どんぐり、コーヒー哲学序説、『団栗』のことなど、撰者あとがき

:科学者として活躍しながら、随筆家としても数々の名筆を残した寺田寅彦と中谷宇吉郎。
今回は寺田寅彦の「どんぐり」「コーヒー哲学序説」と中谷宇吉郎「『団栗』のことなど」の三編を一冊の書籍にしてお届けします。~灯光舎HPより

 

京都の古書善行堂さんに注文していた『<灯光舎 本のともしび> 第1弾 「どんぐり」』と大阿久佳乃さんの『パンの耳』が先週届いた。

古書善行堂とはいえどちらも新刊本である。

この「どんぐり」は「本のともしび」として灯光舎からこれから刊行されるシリーズの第一巻ということで届くのを心待ちにしていた。

先ず、本を手にとってその佇まいの美しさに打たれる。

大事に読もう、大事に読みたい、そう読み手に思わせる佇まいである。

寺田寅彦という名は知っていても、しっかり読んだ記憶はなく、彼を師と仰いだ中谷宇吉郎を読むのはこれが初めてだ。

古書善行堂店主・山本善行 撰による「どんぐり、コーヒー哲学序説、『団栗』のことなど」の三作が収められているのだが、「どんぐり」と「『団栗』のことなど」が見事に響きあい、哀しさが深められ、本を閉じたときに心がしんとする。

そして最後の「撰者あとがき」を読むと、この本で選んだ作家に対する思い入れの深さ、膨大な作品の中でこれらを選んだ経緯などが語られ撰者の「本」に対する思いが伝わりあたたかな気持ちになる。

何度も手に取り読み返したい、そういう本がまた一冊ふえたことが嬉しい。

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きらめく共和国

2021-03-01 07:58:08 | 

アンドレス・バルバ 著・宇野和美 訳

1994年、緑のジャングルと茶色い川をかかえる亜熱帯の町サンクリストバルに、理解不能な言葉を話す子どもたちがどこからともなく現れた。彼らは物乞いをしたり盗みを働いたりして大人たちを不安に陥れ、さらにスーパーを襲撃した。そして数ヶ月後、不可解な状況で32人の子どもたちが一斉に命を落とした。子どもたちはどこから来たのか。どうして死ぬことになったのか。社会福祉課の課長として衝撃的な出来事に関わった語り手が、22年後のいま、謎をひもといていく──。
現代スペインを代表する作家が奇妙な事件を通して描く、かわいらしさと表裏一体の子どもの暴力性、そして野生と文明、保護と支配の対比。純粋で残酷な子どもたちの物語。訳者あとがき=宇野和美~「BOOK」データベースより

物語の結末は読み手に最初の段階で伝えられているにも関わらず、ずっとつきまとう「どうなってしまうのだろうか?」という言いようのない不安を抱えながら、物語の残酷さから決して目をそらすことができない。

そしてその残酷さと裏腹に描かれる亜熱帯の街サンクリストバルの風景、町とそれを取り巻くジャングルの緑の深さ、そこにずっと漂う緊張感に胸が苦しくなる。

そして描かれる「きらめく共和国」の溢れる色彩と光がこの物語の残酷さを際立たせる。

回想録の形で語られる物語は、その形をとることで22年前のことを当時より更に明確に描き出し、そこにいた子どもたちと彼らを取り巻いていた大人たちの姿を突き付けてくる。

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もりのなか

2021-02-02 20:26:36 | 

「ぼくは、かみの ぼうしを かぶり、あたらしい らっぱを もって、

もりへ、さんぽに でかけました。」

と始まるマリー・ホール・エッツの絵本『もりのなか』

昔、これ何度も小さい息子と読んだなあ、と思いつつ背表紙の部分が日に焼けて退色してしている絵本を本棚からだしてみた。

表紙こそ白黒以外に茶色が使われているが、中を開けるとそこはモノクロの世界が広がっている。

とても静かなようで、耳を澄ますと本の中からぼくの声、出会った動物の声、そして最初からずっと流れている森の声が聞こえてくる。

そうだ、私も「ぼく」のように散歩に行ってこよう!

ここでは「ぼく」のような素敵な冒険が待っているわけではないけれど、でも歩いているのは楽しい。

どこへ続いているのだろう?と思わせる階段があり、

開けた場所ではムクドリが集まって何かを探しまわっている。

思わず踏みそうになって、あっと飛びのいた・・・これはスズカケノキの実。

 

「ぼく」の散歩は次の言葉で終わっている。

「さようならぁ。みんな まっててね。また こんど さんぽに きたとき、さがすからね!」

同じ作者の絵本でこれもお気に入りの一冊『ジルベルトとかぜ』

 

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父と子の絆:島田潤一郎

2020-12-31 23:11:08 | 

今年2020年が去っていこうとしている。

来年が(といっても明日から来年なのだけれど)せめて今年より落ち着いた年なりますように!

思い返してみると1月11日付、朝日新聞読書欄の『著者に会いたい』欄で紹介されていた「古くて新しい仕事」の著者、夏葉社社長・島田潤一郎さんの記事を読んで出会った『古くてあたらしい仕事』で今年の本の旅というか心の旅が始まったのだった。

ここで島田潤一郎さんを知り、彼の出版社:夏葉社&岬書店の本を読むことで新しい本を知り、新しい著者の本へと誘われた。関口良雄、庄野潤三、上林暁、バーナード・マラマッド、・・・etc.etc.

何故、今まで知らなかったのだろう?と思うのだが、出会うための時間が必要だったのだろう。

今年11月に出版社:アルテスパブリッシングから出版された島田潤一郎さんの新しい本『父と子の絆』。

出版される直前にNHKラジオ第一の「高橋源一郎の飛ぶ教室」に島田さんがゲスト出演されたのを聞いた。

初めて聞く島田さんの声は柔らかくて自然で、彼の本をそのまま読んでいるような、聞いているようだった。

そこでも触れられていた『父と子の絆』

予約注文していたがその時点では未だ手元になかったので、ラジオでの会話を聞いて早く届かないかなあ、読みたいなあ、と思っていた。

首を長くして待っていたこの本、大事に大事に読んだ。

人生で初めて子どもを迎えた島田さんの子どもが中心になったそれまでとがらりと変わった生活の話、その中にあって折々に思ったこと。

子育て・・・遥か遠くになっていた気がしていたその季節がふいに目の前に立ち現れて、懐かしさとああ、そうそう、そんなこともあった!なんて思い出したり。

そして「生きる」ということ。それを立ち止まって改めて考えてみている自分がいた。

子育て中の人もそうでない人にも寄り添ってくれる、そんなあたたかな本だった。

島田潤一郎さんの本で始まり、彼の本で閉じられようとしている一年、大切な一年だった。

父と子の絆』(アルテスパブリッシングの「父と子の絆」のHP、ためし読みもできます

島田潤一郎()
発行:アルテスパブリッシング
 
本の紹介:
ぼくは息子を腕に抱かせてもらい、
目の開いていないその子をじっと眺めた。
ようこそ。ようこそ。この世界へ。

「日曜日の昼に、生後七日目の赤ん坊がぼくの家にやってきた。
それから、人生がガラリと変わった」

──ひとり出版社・夏葉社を吉祥寺で営み、
『古くてあたらしい仕事』『本屋さんしか行きたいとこがない』などの
著作にもファンの多い島田潤一郎が、
幼きものに寄せるあたたかな眼差しと言葉たち。~アルテスパブリッシングHPより
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都会なんて夢ばかり:世田谷ピンポンズ

2020-12-06 22:54:53 | 

今年は何か特別なことをしているわけではないのに、気付けば師走になっている。

いつも通りのこともあり(まあそれが大体ではあるけれど)思うに任せない仕事と音楽会のことなど色々あった。

しかしまた今年は例年よりたくさんの本、出会ったことのない作家の作品に巡り合うことのできた年だ。

そんな本の一つが岬書店から出版された世田谷ピンポンズさんの初めてのエッセイ、『都会なんて夢ばかり』。

なんと、6曲入りミニアルバム『世田谷e.p』付き!!

夏葉社の別レーベルである岬書店からこの11月に出版されたこの本はフォークシンガー世田谷ピンポンずさんの自伝的エッセイだ。

そこに綴られた青春時代の苦さ、葛藤、そして夢のことを読むと、彼方に去ってしまったその時代が自分にも確かにあったと思い知らされる。

この本は京都の善行堂さんに予約注文していたので、未収録原稿とサイン入り~

本の紹介:東京でひとりで暮らすこと。夢を見ること。泣くこと。憧れること。
世田谷ピンポンズが十年間暮らし、度々歌のテーマにしてきた三軒茶屋の街を舞台に、大学で一人も友達ができなかった大学生が音楽や本を通して、人と出会い、音楽を始め、フォークシンガーになっていくまでを描いた自伝的エッセイです。

エッセイ集には6曲入りのミニアルバム「世田谷e.p」がついてきます。
三軒茶屋をテーマに作った曲を中心に、思い出深い三軒茶屋のスタジオで一発録音。
まるでアパートの一室でギターをつま弾いているような佇まいで、エッセイ集の世界にひっそりと寄り添うアルバムになりました。~品品堂(ぴんぽんどう)HPより

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夏葉社の本の話

2020-10-25 22:52:29 | 

今年1月に朝日新聞読書欄の『著者に会いたい』欄で紹介されていたひとり出版社『夏葉社』の島田潤一郎さんの「古くて新しい仕事」を読んで以来、島田さんと夏葉社&岬書房で出版されている本の虜になっている。

普段、出版社で本を選ぶということはないのだが、夏葉社だけは違う。

読むたびにその確信が深まる。

「レンブラントの帽子」と「さよならのあとで」、そして「昔日の客」と読み進み、その一冊一冊が持つ様々な表情、それは深さ、静けさ、そして面白さであったり、一言では言い表しえない心に沁みとおって、何か美しいものが読み終わった後に残されているという感じ・・・。

どれも手に取ってその本の表情、重さをいつくしんでいたくなる本の美しさに惹かれる。

本ってこうやって大事に大事にしたよなあ~、何度も何度も読むんものだよなあ~、と改めて思ったり。

そんな風にしていたらいつの間にか「夏葉社」の棚ができていた。(ここには写っていないけれど「山の上の家」も仲間です)

そうした本の中で読みたい!読みたい!!と願い、探していた本が二冊あった。

ある時Twitterで島田さんが、探している本があったら夏葉社に問い合わせてみてください、とツイートしていらっしゃるのを読み、勇気を奮い起こしてメールを送ってみた。

すると、一冊は夏葉社にあり、もう一冊は遠く兵庫県の本屋さんにあるとのお返事が届いた。

ほんとうに嬉しかった!!

出版社と本屋と読者がこんなにも近いだなんて思ったことはこれまでなかった!!

届いた本ですか?・・・期待通りの本でした。

実は夏葉社の本を読むためにPCで検索して、これまでも色々な本屋さんから送ってもらっているのだが、どこの本屋さんも一言、本に添えて下さる。

大事にとってあるカードをまとめてパチリ!!

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雑誌AERA 10/19号

2020-10-17 22:45:03 | 

今週12日発売の「AERA」に夏葉社代表 島田潤一郎さんのことが『現代の肖像』に掲載されているというので、駅前の本屋さんに取り置きをお願いして買ってきた。

左はその表紙で右は『現代の肖像』の記事の最初の1頁。

6頁にわたるこの記事は島田さんのこれまでのこと、夏葉社を始めたいきさつ、本への向き合い方など多岐にわたって語られている。島田さんのご家族、本屋さんとの話も興味深く、こういう方だからこそ、夏葉社の本たちが生まれてくるのだなあ、とすとんと納得する。

本がもっと好きになる、そんな記事だった。

11月にアルテスパブリッシングから出版予定の島田さんの著作「父と子の絆」が楽しみだ。

 

別の日、池袋のジュンク堂に寄った時レジ近くで見つけたエコバッグ。

『赤毛のアン』『銀河鉄道の夜』『ウォールデン 森の生活』『ハムレット』『こころ』『道程』の6種類があり、大きさは幅28cm×高さ32cm(内ポケットなし・マチなし)。

一枚税込み¥165という購入しやすい価格と、いかにも本屋さんというプリントに惹かれ買ってきた。

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岬書店の本二冊

2020-08-24 13:32:00 | 

連日の暑さにあえぐ葉月、八月。

吉祥寺のひとり出版社、夏葉社さんのインディペンデントレーベル「岬書店」から6月に出版された二冊の本、

「本屋さんしか行きたいところがない」著者:島田潤一郎

「ブックオフ大学ぶらぶら学部」執筆陣は、武田砂鉄、山下賢二(ホホホ座)、大石トロンボ(マンガ)、小国貴司(BOOKS青いカバ)、Z(せどらー)、佐藤晋(ドジブックス)、馬場幸治(古書ビビビ)、島田潤一郎(岬書店)

を大事に読む。

読み終わって夏葉社を置いている本棚に並べた。

しかし、こうやって並べると、その中のどの本も何度も何度も手に取って開いて読まずにはいられない本ばかり。

そして一冊一冊が大事に作られているのが伝わってくる。

佇まいとその内容とが呼応しあい、全ての事が凝縮された結果が一冊の本という形をとってそこに存在しているように感じられる。

夏葉社さんのインディペンデントレーベルである今回の岬書店の二冊もそうで、表紙からして思わずふふふ、となり、中身に大きな期待を抱かせられる。

そして、実際、どちらも全然違うテイストなのだけれど、面白い!!

私は特にΓ本屋さんしか・・・」は紹介されている本屋さんを一度目はさっと読み、次は想像しながらまた検索しながら読んでいた。

本屋さんへ行きたくなる!

各本についての紹介↓

Γ本屋さんしか行きたいとこがない」

夏葉社の島田潤一郎さんが「本の雑誌」2017 年 1 月号〜2018 年 12 月号に連載していた「本屋さんしか行きたいとこがない」、そして「望星」で 2019 年 3 月から連載している「本のゆくえ」。いわゆる市井の町の本屋を訪ね歩き25回にわたって取り上げた「本屋さんしか〜」と出版業界に対する思いを吐露した「本のゆくえ」。本を作り、供給する側の思いと見えてきた課題、そしてその本を売る現場である本屋。島田さんの目から見えてきた本を作り、売るという行為の未来とは。~BOOKNERDより

Γブックオフ大学ぶらぶら学部」

これまで論じられてこなかった、日本全国の本のある場所。
どの都道府県にもあり、慣れ親しまれている「ブックオフ」。しかし、本屋好き同士の会話で、その名前を聞くことはほとんどありません。業界からの敵視、あるいは軽く扱われてきた、知っているし、使ってもきたけど、語られてこなかった微妙な距離にいる存在を語る一冊。腹を割って、自由に話す。~恵文社一乗寺店より

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本二冊

2020-05-05 22:31:26 | 
ひとり出版社『夏葉社』の島田潤一郎さんのインディペンデントレーベル『岬書店』から出版された大阿久佳乃さんの初めての著書『のどがかわいた』。
 
夏葉社のtwitterで
”いい本できました。フリーペーパー「詩ぃちゃん」で知られる大阿久佳乃さんの初めての著書『のどがかわいた』。今春大学生になる著者の17歳〜19歳の思索。本を読み、詩集を読むとはどういうことなのか。読書の出発点へ。教室へ。部屋へ。仮フランス装。装画はモノ・ホーミーさん。岬書店の2冊めです。”
と紹介されていて、これは実際に手に取って読むしかない、とネットで検索したところ「青と夜ノ空」という本屋さんで見つけることができ購入した。
本が届くまでというのは、待ち遠しい。
そしていよいよ到着した時に出会うその本の表紙が美しいとますます中身に対して期待が高まる。
この本は私にとっては一気に読むというのではなく、すこしずつ味わいながらゆっくり読んでいく、というタイプの本だ。
そして考え考え読み進みながら、同時に遠い記憶も呼び覚まされているのを感じるのは新鮮だった。
冒頭、作者は「詩、読みますか?」と読者に問うのだが、えっ、言われてみれば最近詩集を開いたのはいつだっけ?と思ってしまう。
詩集がある棚の辺りを撮ってみた。
前はもっとあった筈なのだが、何処へ散ってしまっているのだろう?などと考えたり・・・。
そんな心の旅をしつつ、行きつ戻りつ、またこの本を開いている。
 
そしてもう一冊は邦題「くろはおうさま」の原作「El libro negro de los colores」
これは素晴らしい絵本!
絵と文が盛り上がるインクで印刷された黒一色の世界、その豊かなこと、その美しいこと!!に感嘆する。
ページを開くとこういう世界が拡がっている。
一つの色に対するイメージがずううっと広がっていて、その中で自分も自由になる。
この本の日本語版の紹介はこちら↓。
 
”目の見えない子が感じている豊かな世界を描く、真っ黒な美しい絵本。
『くろは おうさま』はメキシコ生まれの美しい絵本。真っ黒な紙に、銀色の文字と、光沢のある透明なインクのレリーフによるイラストと、点字によって書かれた文章が印刷されています。

そこに広がっているのは、目の見えないトマスが感じている“色”の世界。視覚障碍者と言われる人々にとっての色とはどんなものなのか、どんな感覚として伝わっているか、どんな風に認識されているか。トマスという男の子の素朴な言葉と、触れることのできる美しいイラストで描かれ、全ての感覚を使って感じ取る、色の世界の豊かさを伝えてくれます。
文:Menena Cottin(メネナ・コティン)
絵:Rosana Faria(ロサナ・ファリア)
訳:宇野 和美(うの・かずみ)~サウザンブックスHPより”
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古くてあたらしい仕事:島田潤一郎

2020-04-03 17:18:10 | 

1月11日付、朝日新聞読書欄の『著者に会いたい』欄で紹介されていた「古くて新しい仕事」の著者、夏葉社社長・島田潤一郎さんの記事を読んで、心惹かれ是非とも読んでみたいと思ったこの本。

<内容紹介>

嘘をつかない。裏切らない。ぼくは具体的なだれかを思って、本をつくる。それしかできない。

転職活動で50社連続不採用、従兄の死をきっかけに33歳でひとり出版社を起業した。編集未経験から手探りの本づくり、苦手な営業をとおして肌で触れた書店の現場。たったひとりで全部やる、小さな仕事だからできること。大量生産・大量消費以前のやりかたを現代に蘇らせる「夏葉社」の10年が伝える、これからの働き方と本の未来。~新潮社HPより

 

ひとり出版社を起こすまでのこと、起業したわけ、そして今に至る彼の仕事とは、またそもそも仕事とは、ということについて読み進めながら自分自身が考え見直していることに気付く。

何度読み返していることだろう!

彼の出版社「夏葉社」の本が読みたくなり、「昔日の客」、「レンブラントの帽子」を手に入れ読んだ。

エッセイと小説で、全く違うジャンルの作品なのだが、何故だろう、やっぱりこの2冊も何度も読み返してしまう。

全然違う心のひっかかり方をするのだが、突き詰めれば「面白い」本なのだと思う。

そして手にした時、その本の美しさにも心打たれる。

昔日の客:関口良雄 著

「私は常々こう思っているんです。古本屋という職業は、一冊の本に込められた作家、詩人の魂を扱う仕事なんだって」

かつて東京大森にあった古書店「山王書房」の主人が残した、一冊の随筆集。
古本と文学を愛するすべての人へ。~夏葉社HPより

レンブラントの帽子:バーナード・マラマッド 著/小島信夫、浜本武雄、井上謙治 訳

1975年に刊行された同名の短編集から3編をセレクトし、復刊。
人と人とのすれ違いを描いた表題作はアメリカ文学史に残る傑作。~夏葉社HPより

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絵巻じたて ひろがるえほん かわ

2019-07-27 23:40:59 | 

今月NHKEテレの日曜美術館で見た『かこさとし 最期のメッセージ 未来を生きる子どもたち大人たちへ』、彼の絵本を懐かしく思い出しながら・・・などと最初のうちこそ思ったりしたのだが、彼が歩んできた道、そして何故絵本を描き続けてきたのかという彼の思いが番組の中で紹介され、思わず居住まいを正して聞き入っていた。

番組HPにはこのロングインタビューについて

戦争で生き残った自分を恥じ、未来を生きる子供たちへ何かを残したいと、戦後、必死に絵本を描き続けた。その想いを記録した人生最期のロングインタビューがある。」とある。

そしてこの番組中に紹介されたたくさんの絵本の中で、読んでみたいと思ったのが

「絵巻じたて ひろがるえほん かわ」だった。

これは福音館書店発行の「こどものとも」創刊60周年を記念してロングセラー「かわ」を絵巻仕立てにしたという。

番組の中では、この「かわ」の絵本を2冊買ってそれをつなげて川がずっと流れていく様子を作った愛読者がいたという話をしていたが、そのアイデアをヒントに作ったということだった。

その本がこちら↓

広げると7メートル!

(画像は絵本ナビ、クレヨンハウスからお借りしました)

最後の海のページがえほん「かわ」より2頁分描き加えられていて、川が広い海に着いた感じがより広々と感じられる。

これはかこさとしさんによる壮大な生々流転の物語だと圧倒されつつ、楽しんで読んだ。

いつでもさっと取り出して読めるように、近くに置いてある。

福音館書店によるこの本の紹介

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コミック2冊

2019-06-18 22:55:36 | 

先月末だったと記憶しているのだが、NHK「あさイチ」のプレミアムトークというインタビュー番組をたまたま見た時のゲストが外科医で漫画家の「さーたり」さんだった。本名も紹介されていたのだが忘れてしまったので検索してみると中山祥未(なかやまよしみ)さんと仰るようで、そう言われてみればそんな感じだった、とはなはだあやふや、曖昧な記憶が・・・。

その時の現役外科医でオタクで3人の子育て真っ最中、その上漫画も描くという「さーたり」さんの話の面白さにすっかり引き込まれてしまった私は彼女のコミックを是非とも読んでみたいと思ったのだった。

しかし、同じ思いを抱いた人が多かったらしく、コミックは本屋にもネットでも見つからず・・・。

そのうち増刷ができて、ようやく手に入れることができた。

題名は「腐女医の医者道」ふじょいのいしゃみち、と読むのだとそのインタビューの中で「さーたり」さんご自身が仰っていた。

普段のお医者さんの生活がこんなにも忙しいものだとは、この本を読むまで全く知らなかった。とにかく医者は忙しい、というのはよく聞くのだが、ここまでハードだとは!!そして、その中で外科医でオタク3人の子育て中で漫画を描く「さーたり」さんって凄いなあ~!

漫画はでもさらりと色々な生活を切り取って見せてくれ、なかなか知ることのできない医者の世界を覗かせてもくれて興味深い。

腐女医の医者道!/さーたり著

内容:平均睡眠3時間×立ったままで3分ごはん×スキンケア皆無―だけど外科医は、やめらんない!!オタクな女性外科医が描くお医者さんの日常コミックエッセイが50P以上の描きおろしを加えてオールカラーで書籍化!!~「BOOK」データベースより

腐女医の医者道!外科医でオタクで3人子育て大変だ!編/さーたり著

内容:オタクで医者なんて常識!?飛行機でまさかの「ドクターコール」!?家庭を持つことで突き当たった「私の医者道」とは―。オタクな現役外科医、さーたりさんが目撃したお医者さんの世界のぞき見コミックエッセイ第2弾!~「BOOK」データベースより

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