goo blog サービス終了のお知らせ 

Casa de lápiz:鉛筆庵

鉛筆庵に住む鍵盤奏者が日々の生活の徒然・音楽などを綴ります。

たくさんのふしぎ

2022-02-14 13:02:30 | 

先週読んだ朝日新聞夕刊の宮田珠己さんの「気になる雑誌を読んでみた」を読んで改めて我が家の「たくさんのふしぎ」が並ぶ本棚を眺めた。

もうだいぶん前のことになるが、毎月家に郵送されてきた「たくさんのふしぎ」を宛先になっていた息子だけでなく家族みんなが楽しみにしていた。

一つの本にそれこそ「ふしぎ」がわかりやすい言葉と絵や写真と一緒にぎゅっと詰まっていたのがこのシリーズだった。

毎月送られてくる本以外に本屋でバックナンバーを見かけると面白そうな号を探して購入することもしばしばだった。

福音館書店の月刊雑誌、絵本はそれを手に取って開くとその本自体の面白さを改めて感じるとともに、去ってしまった懐かしい時間を思い出させてくれる。

「たくさんのふしぎ」然り、「こどものとも」、「かがくのとも」然り・・・。

夕刊の記事の中で紹介されていた2021年9月号「かんころもちと教会の島」が読んでみたくなり久しぶりに買った。

長崎県にある「かんころもち」というお菓子のふるさとの島、五島列島にこの本の作者(文・絵)のにしむらかえさんと娘さんがかんころもちを売っているお店の高木さんと出かけていくというお話。

かんころもちの原料カンコロ(サツマイモから作られる)を作るところからいよいよかんころもちになるまでの様々な作業のことが語られる。

そして江戸時代の潜伏キリシタンの子孫の島である五島の歴史と教会堂のこと、そしてまた今では誰もいなくなって教会堂だけが残されている島についても話される。

ああ、私もいつか五島列島に行ってみたい、そしてかんころもちを食べてみたいなあ~。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

とうだい

2022-01-17 14:20:50 | 

冬らしい日が続く2022年の1月も早くも半ばを過ぎていることに気付いて、気持ちがざわざわする。

去年、夏葉社のもう一つのレーベル「岬書店」から刊行された高村志保さんの「絵本のなかへ帰る」で最後の27冊目に紹介されていた「とうだい」をずっと読みたいと思っていた。

とうだい:斉藤倫・文 / 小池アミイゴ・絵 福音館書店

注文したのが去年のちょうど大晦日だったがお正月に届き夢中でページを繰った。

文も絵も、というか文と絵が呼応して広くて深い世界を眼前に見せてくれる本だ。

読み終わって凛とした清々しさに満たされ、勇気づけられ、そして慰められたことに気付く。

何度でもこの絵本を旅したい、だから今は、本棚にしまい込まずすぐ手に取れるところに置いている。

完全に自分の中に入ったら本棚に置こう!

 「絵本のなかへ帰る」→記事

遠い昔、父がデンマークから土産に持ち帰った本を読む少女のフィギュリン。

こんな風にあの頃子どもだった私は寝っ転がって本を眺めていたっけ。

 

今年はどんな本に出会えるのだろうかと思うとわくわくする。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋に本

2021-10-03 20:24:52 | 

2つの書店に注文していた本が同じ日に届いた。

自分で購入したとわかっていても、何か荷物が届くと嬉しい!

しかも、「赤い魚の夫婦」はメキシコの作家グアダルーペ・ネッテルの短編集、訳は宇野和美。

そして右の2冊、 ”Demuseos con GatoBlas Madrid(ガトブラスと美術館で マドリード)”と”Demuseos con GatoBlas Barcelona(ガトブラスと美術館で バルセロナ)”はその訳者の宇野和美さんがされているネット書店「ミランフ洋書店」に注文していたものなのだ。

何から読もうかと一瞬思ったが、やはりここは「赤い魚の夫婦」でしょう、と勇んで読み始めた。

ぞわぞわしたり、どきんとしたり、小説の舞台は話によってそれぞれ変わり、各編に魚・ゴキブリ・猫・菌類・蛇が主人公をじっと見つめているというか、読んでいるこちら側まで本の中から見ているのでは、見られているような気がして、不安を感じてしまう。

それがまた魅力的なのだけれど、ちょっと怖いような・・・。

しかも、この本を読むちょっと前にメキシコのある街の市場で昆虫食を扱っている屋台のロケを見たり、映画館でキノコの映画の予告編を見て、キノコって菌類よね、と思ったり・・・自分が今興味あることにアンテナを張っているからこんな偶然が次々起こる。

そういえば、たまたま放映していたインディ・ジョーンズの「魔宮の伝説」で昆虫食のご馳走を食べているシーンもあったなあ。

つい、昆虫ばかりに話がいってしまったが、5編それぞれが一度読み始めるとそこから目をそらすことができない魅力と、作品の発する力に圧倒された。

出版社内容情報:第3回リベラ・デル・ドゥエロ国際短編小説賞受賞。
メキシコの作家が贈る人間とペットにまつわるちょっと不思議な物語。

初めての子の出産を迎えるパリの夫婦と真っ赤な観賞魚ベタ、メキシコシティの閑静な住宅街の伯母の家に預けられた少年とゴキブリ、飼っている牝猫と時を同じくして妊娠する女子学生、不倫関係に陥った二人のバイオリニストと菌類、パリ在住の中国生まれの劇作家と蛇……。
メキシシティ、パリ、コペンハーゲンを舞台に、夫婦、親になること、社会格差、妊娠、浮気などをめぐる登場人物たちの微細な心の揺れや、理性や意識の鎧の下にある密やかな部分が、人間とともにいる生き物を介してあぶりだされる。
「赤い魚の夫婦」「ゴミ箱の中の戦争」「牝猫」「菌類」「北京の蛇」の5編を収録。
2014年にはエラルデ文学賞を受賞するなど国際的に高い評価を受け、海外では毎年のように「今年のベスト10」に取り上げられる実力派作家グアダルーペ・ネッテルの傑作短編集、待望の日本語訳。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

この夏の本の話

2021-08-26 22:05:19 | 

この夏、古書店だけれど新刊書も扱っている京都の古書善行堂さんに注文した3冊の本。

左から灯光舎・本のともしびシリーズの『石ころ路』(著者:田畑修一郎、監修:山本 善行)

真ん中は『ぼくがふえをふいたら』

右は夏葉社発行の『喫茶店で松本隆さんから聞いたこと』(著者:山下賢二)。

3冊がそれぞれ全く違う本だということは想像はできていたが、実際に届いて開いてみると思っていた以上に違う本だった。

こんなにちがってそれぞれいい、なんてことが・・・あるんだだだだだだだ

 

酷暑に長雨と散々だった今夏だが、いい本たちに出会えたことだけはよかった夏だ。

 

『石ころ路』著者:田畑修一郎、監修:山本 善行、出版社:灯光舎 本のともしび

小品をもって、作者や作品との出会い、本との出会いの場へと誘う「灯光舎 本のともしびシリーズ」第2弾は昭和期に活躍した早世の作家・田畑修一郎の作品3編をお届けします。


暗く切ない人間模様のなかにどこか親しみを感じる「あの路この路」、虚無感をいだく主人公とその友人の死を扱った「木椅子の上で」の2編と田畑文学の柱のひとつといえる「石ころ路」を収録。自身の病と私生活の苦悩から逃れるように三宅島へ赴いたひとりの男が主人公の「石ころ路」は、現地の風景や住民との交流をきっかけに、陰鬱としたなかに一筋の光を見つけるように少しずつ自身を取り戻していく姿が描かれます。~「版元ドットコム」より

『喫茶店で松本隆さんから聞いたこと』著者:山下賢二 、 出版社:夏葉社

作詞家・松本隆の<現在>の境地を、ホホホ座山下賢二がプライベートモードで聞いた哲学的独白録。「才能について」「孤独について」「お金について」「友情について」「不安について」etc…その答えの中に浮かび上がってくる人生のヒントになるようなフレーズ。72才の松本隆が導き出したその生き方の断片。~「ホホホ座」HPより

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぼくがふえをふいたら

2021-08-15 21:23:04 | 

~伝わり、重なり、響きあう。音を奏でる心地よさ、音楽のうまれる神秘的な瞬間を鮮やかな色彩で描く。~

「ぼくが ふえを ふいたら」作:阿部海太(岩波書店)⇒ 岩波書店HP

この表紙に描かれているふえをふく子どもと、題名『ぼくがふえをふいたら』に惹かれ、久しぶりに絵本を買い求めた。

ゆっくり1頁ずつ読んで眺めていくつもりだったのが、表紙の色に魅入られていよいよ本を開き始めたら、

もうずんずんずんずん次のページ、次のページとめくっていて、気付けば最後のページになっていた。

「ぼく」の気分になって、「ぼく」と一緒にふえを吹き、そしたらみんなが集まってきて、

集まっただけじゃなく、それぞれが楽器を一緒に奏でてそれが周りに広がって散らばっていって・・・

耳に響いてくる音の洪水と目に飛び込んでくるめくるめく色彩の洪水とで身体がぎゅうっと包まれ、
 
その音と色の世界にどっぷり浸かり、もうここでだったら溺れたっていいや!と思ってしまう旅をしてきていた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

風を感じる

2021-07-30 20:12:32 | 

読み終わってからもうかなり経つのだが、この2冊の本のことを思うとすううっと身体の中を風が通り抜けていくような気持になる。

一冊は姫路の「おひさまゆうびん舎」発行の小山清・『ある靴屋の話』

おひさまゆうびん舎10周年記念として発行されたこの本はおひさまゆうびん舎の窪田泰子さんによると

「10周年記念の3月1日には間に合わなかったけれど 大好きな作家、小山清さんの本。 小さな2篇のお手紙の様なお守りの様な本。『ある靴屋の話』小山清 なんと高橋和枝さんに絵を描いていただけたの。高橋さんの絵を見た時、感動で号泣しました。 3月20日発売です。」

収録されている作品は表題の「ある靴屋の話」と「紙幣の話」の二作品。

私は小山清という作家を知らず、この本で初めてその作品に触れることができた。

何気ない市井の人々の暮らしや風景が描かれたその向こうに作家のそれらを見つめる目の温かさと透明で揺るがない強さを感じる。

高橋和枝さんの絵もしみじみ作品に寄り添っていて、いつまでも眺めていたくなる。

そして同時期に夏葉社から刊行された同じく小山清・『風の便り』

装画は同じく高橋和枝さん。この本ではそれらの絵が丁寧に貼られ、それを見るだけでこの本を読んだ気持ちになる。

 

帯に書かれた

「好きな人のことを   褒めることで  生涯を送りたい。」

にもうぐっときてしまう。

収録作品は「夕張の友に」「春」「矢車の花」「動物園にて」「私について」「浅草」「能率係」「その頃のこと」「風の便り」「美穂によせて」「再び美穂によせて」という11編の随筆。

知らなかった素晴らしい作品に出会える幸せ~。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

絵本のなかへ帰る

2021-04-02 21:13:25 | 

人との出会いも然り、本との出会いもまた然り・・・などつらつら、いや実感している昨今である。

夏葉社のもう一つのレーベル「岬書店」から刊行された「絵本のなかへ帰る」もその一冊、幸せな出会い。

長野県茅野市にある今井書店の2代目店主である著者の高村志保さんはこの本の中で27冊の絵本を紹介し、

そしてその一冊一冊に子どものころの思い出、家族のこと、絵本を通してつながっていく過去、現在、そして未来のことを語り紡いでいく。

絵本の名前がそのまま目次となり、まずその本の名前を眺めるだけで楽しくなる。

27冊目に登場する絵本は「とうだい」(福音館書店:斉藤倫 文/小池アミイゴ 絵)。

その最後に記された「私にとって絵本は帰る場所だ。灯台だ。・・・」というきっぱりした言葉に深く共感した。

私には親から絵本を読んでもらったことより、息子に、というか息子と読んだ絵本のことをこの本を読みながら思い出していた。

昔お気に入りだった昔話の絵本を親がみんないとこに譲ってしまったことが残念で残念でならなかった思いを引きずっていたので、息子と読んだ絵本は大事にとってある。

あまりに何度も読んでぼろぼろになってしまったものは、それはそれでいとおしく、言葉の繰り返しなど今でも懐かしく思い出される。

そして時に手に取り、読んでいる。

まさに、私にとっても絵本は暗い航路を照らす灯台なのだと思う。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

どんぐり

2021-03-09 11:43:36 | 

<灯光舎 本のともしび> 第1弾 「どんぐり

:寺田寅彦/中谷宇吉郎 著  古書善行堂店主・山本善行 撰

目次:どんぐり、コーヒー哲学序説、『団栗』のことなど、撰者あとがき

:科学者として活躍しながら、随筆家としても数々の名筆を残した寺田寅彦と中谷宇吉郎。
今回は寺田寅彦の「どんぐり」「コーヒー哲学序説」と中谷宇吉郎「『団栗』のことなど」の三編を一冊の書籍にしてお届けします。~灯光舎HPより

 

京都の古書善行堂さんに注文していた『<灯光舎 本のともしび> 第1弾 「どんぐり」』と大阿久佳乃さんの『パンの耳』が先週届いた。

古書善行堂とはいえどちらも新刊本である。

この「どんぐり」は「本のともしび」として灯光舎からこれから刊行されるシリーズの第一巻ということで届くのを心待ちにしていた。

先ず、本を手にとってその佇まいの美しさに打たれる。

大事に読もう、大事に読みたい、そう読み手に思わせる佇まいである。

寺田寅彦という名は知っていても、しっかり読んだ記憶はなく、彼を師と仰いだ中谷宇吉郎を読むのはこれが初めてだ。

古書善行堂店主・山本善行 撰による「どんぐり、コーヒー哲学序説、『団栗』のことなど」の三作が収められているのだが、「どんぐり」と「『団栗』のことなど」が見事に響きあい、哀しさが深められ、本を閉じたときに心がしんとする。

そして最後の「撰者あとがき」を読むと、この本で選んだ作家に対する思い入れの深さ、膨大な作品の中でこれらを選んだ経緯などが語られ撰者の「本」に対する思いが伝わりあたたかな気持ちになる。

何度も手に取り読み返したい、そういう本がまた一冊ふえたことが嬉しい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

きらめく共和国

2021-03-01 07:58:08 | 

アンドレス・バルバ 著・宇野和美 訳

1994年、緑のジャングルと茶色い川をかかえる亜熱帯の町サンクリストバルに、理解不能な言葉を話す子どもたちがどこからともなく現れた。彼らは物乞いをしたり盗みを働いたりして大人たちを不安に陥れ、さらにスーパーを襲撃した。そして数ヶ月後、不可解な状況で32人の子どもたちが一斉に命を落とした。子どもたちはどこから来たのか。どうして死ぬことになったのか。社会福祉課の課長として衝撃的な出来事に関わった語り手が、22年後のいま、謎をひもといていく──。
現代スペインを代表する作家が奇妙な事件を通して描く、かわいらしさと表裏一体の子どもの暴力性、そして野生と文明、保護と支配の対比。純粋で残酷な子どもたちの物語。訳者あとがき=宇野和美~「BOOK」データベースより

物語の結末は読み手に最初の段階で伝えられているにも関わらず、ずっとつきまとう「どうなってしまうのだろうか?」という言いようのない不安を抱えながら、物語の残酷さから決して目をそらすことができない。

そしてその残酷さと裏腹に描かれる亜熱帯の街サンクリストバルの風景、町とそれを取り巻くジャングルの緑の深さ、そこにずっと漂う緊張感に胸が苦しくなる。

そして描かれる「きらめく共和国」の溢れる色彩と光がこの物語の残酷さを際立たせる。

回想録の形で語られる物語は、その形をとることで22年前のことを当時より更に明確に描き出し、そこにいた子どもたちと彼らを取り巻いていた大人たちの姿を突き付けてくる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

もりのなか

2021-02-02 20:26:36 | 

「ぼくは、かみの ぼうしを かぶり、あたらしい らっぱを もって、

もりへ、さんぽに でかけました。」

と始まるマリー・ホール・エッツの絵本『もりのなか』

昔、これ何度も小さい息子と読んだなあ、と思いつつ背表紙の部分が日に焼けて退色してしている絵本を本棚からだしてみた。

表紙こそ白黒以外に茶色が使われているが、中を開けるとそこはモノクロの世界が広がっている。

とても静かなようで、耳を澄ますと本の中からぼくの声、出会った動物の声、そして最初からずっと流れている森の声が聞こえてくる。

そうだ、私も「ぼく」のように散歩に行ってこよう!

ここでは「ぼく」のような素敵な冒険が待っているわけではないけれど、でも歩いているのは楽しい。

どこへ続いているのだろう?と思わせる階段があり、

開けた場所ではムクドリが集まって何かを探しまわっている。

思わず踏みそうになって、あっと飛びのいた・・・これはスズカケノキの実。

 

「ぼく」の散歩は次の言葉で終わっている。

「さようならぁ。みんな まっててね。また こんど さんぽに きたとき、さがすからね!」

同じ作者の絵本でこれもお気に入りの一冊『ジルベルトとかぜ』

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

父と子の絆:島田潤一郎

2020-12-31 23:11:08 | 

今年2020年が去っていこうとしている。

来年が(といっても明日から来年なのだけれど)せめて今年より落ち着いた年なりますように!

思い返してみると1月11日付、朝日新聞読書欄の『著者に会いたい』欄で紹介されていた「古くて新しい仕事」の著者、夏葉社社長・島田潤一郎さんの記事を読んで出会った『古くてあたらしい仕事』で今年の本の旅というか心の旅が始まったのだった。

ここで島田潤一郎さんを知り、彼の出版社:夏葉社&岬書店の本を読むことで新しい本を知り、新しい著者の本へと誘われた。関口良雄、庄野潤三、上林暁、バーナード・マラマッド、・・・etc.etc.

何故、今まで知らなかったのだろう?と思うのだが、出会うための時間が必要だったのだろう。

今年11月に出版社:アルテスパブリッシングから出版された島田潤一郎さんの新しい本『父と子の絆』。

出版される直前にNHKラジオ第一の「高橋源一郎の飛ぶ教室」に島田さんがゲスト出演されたのを聞いた。

初めて聞く島田さんの声は柔らかくて自然で、彼の本をそのまま読んでいるような、聞いているようだった。

そこでも触れられていた『父と子の絆』

予約注文していたがその時点では未だ手元になかったので、ラジオでの会話を聞いて早く届かないかなあ、読みたいなあ、と思っていた。

首を長くして待っていたこの本、大事に大事に読んだ。

人生で初めて子どもを迎えた島田さんの子どもが中心になったそれまでとがらりと変わった生活の話、その中にあって折々に思ったこと。

子育て・・・遥か遠くになっていた気がしていたその季節がふいに目の前に立ち現れて、懐かしさとああ、そうそう、そんなこともあった!なんて思い出したり。

そして「生きる」ということ。それを立ち止まって改めて考えてみている自分がいた。

子育て中の人もそうでない人にも寄り添ってくれる、そんなあたたかな本だった。

島田潤一郎さんの本で始まり、彼の本で閉じられようとしている一年、大切な一年だった。

父と子の絆』(アルテスパブリッシングの「父と子の絆」のHP、ためし読みもできます

島田潤一郎()
発行:アルテスパブリッシング
 
本の紹介:
ぼくは息子を腕に抱かせてもらい、
目の開いていないその子をじっと眺めた。
ようこそ。ようこそ。この世界へ。

「日曜日の昼に、生後七日目の赤ん坊がぼくの家にやってきた。
それから、人生がガラリと変わった」

──ひとり出版社・夏葉社を吉祥寺で営み、
『古くてあたらしい仕事』『本屋さんしか行きたいとこがない』などの
著作にもファンの多い島田潤一郎が、
幼きものに寄せるあたたかな眼差しと言葉たち。~アルテスパブリッシングHPより
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

都会なんて夢ばかり:世田谷ピンポンズ

2020-12-06 22:54:53 | 

今年は何か特別なことをしているわけではないのに、気付けば師走になっている。

いつも通りのこともあり(まあそれが大体ではあるけれど)思うに任せない仕事と音楽会のことなど色々あった。

しかしまた今年は例年よりたくさんの本、出会ったことのない作家の作品に巡り合うことのできた年だ。

そんな本の一つが岬書店から出版された世田谷ピンポンズさんの初めてのエッセイ、『都会なんて夢ばかり』。

なんと、6曲入りミニアルバム『世田谷e.p』付き!!

夏葉社の別レーベルである岬書店からこの11月に出版されたこの本はフォークシンガー世田谷ピンポンずさんの自伝的エッセイだ。

そこに綴られた青春時代の苦さ、葛藤、そして夢のことを読むと、彼方に去ってしまったその時代が自分にも確かにあったと思い知らされる。

この本は京都の善行堂さんに予約注文していたので、未収録原稿とサイン入り~

本の紹介:東京でひとりで暮らすこと。夢を見ること。泣くこと。憧れること。
世田谷ピンポンズが十年間暮らし、度々歌のテーマにしてきた三軒茶屋の街を舞台に、大学で一人も友達ができなかった大学生が音楽や本を通して、人と出会い、音楽を始め、フォークシンガーになっていくまでを描いた自伝的エッセイです。

エッセイ集には6曲入りのミニアルバム「世田谷e.p」がついてきます。
三軒茶屋をテーマに作った曲を中心に、思い出深い三軒茶屋のスタジオで一発録音。
まるでアパートの一室でギターをつま弾いているような佇まいで、エッセイ集の世界にひっそりと寄り添うアルバムになりました。~品品堂(ぴんぽんどう)HPより

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

夏葉社の本の話

2020-10-25 22:52:29 | 

今年1月に朝日新聞読書欄の『著者に会いたい』欄で紹介されていたひとり出版社『夏葉社』の島田潤一郎さんの「古くて新しい仕事」を読んで以来、島田さんと夏葉社&岬書房で出版されている本の虜になっている。

普段、出版社で本を選ぶということはないのだが、夏葉社だけは違う。

読むたびにその確信が深まる。

「レンブラントの帽子」と「さよならのあとで」、そして「昔日の客」と読み進み、その一冊一冊が持つ様々な表情、それは深さ、静けさ、そして面白さであったり、一言では言い表しえない心に沁みとおって、何か美しいものが読み終わった後に残されているという感じ・・・。

どれも手に取ってその本の表情、重さをいつくしんでいたくなる本の美しさに惹かれる。

本ってこうやって大事に大事にしたよなあ~、何度も何度も読むんものだよなあ~、と改めて思ったり。

そんな風にしていたらいつの間にか「夏葉社」の棚ができていた。(ここには写っていないけれど「山の上の家」も仲間です)

そうした本の中で読みたい!読みたい!!と願い、探していた本が二冊あった。

ある時Twitterで島田さんが、探している本があったら夏葉社に問い合わせてみてください、とツイートしていらっしゃるのを読み、勇気を奮い起こしてメールを送ってみた。

すると、一冊は夏葉社にあり、もう一冊は遠く兵庫県の本屋さんにあるとのお返事が届いた。

ほんとうに嬉しかった!!

出版社と本屋と読者がこんなにも近いだなんて思ったことはこれまでなかった!!

届いた本ですか?・・・期待通りの本でした。

実は夏葉社の本を読むためにPCで検索して、これまでも色々な本屋さんから送ってもらっているのだが、どこの本屋さんも一言、本に添えて下さる。

大事にとってあるカードをまとめてパチリ!!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

雑誌AERA 10/19号

2020-10-17 22:45:03 | 

今週12日発売の「AERA」に夏葉社代表 島田潤一郎さんのことが『現代の肖像』に掲載されているというので、駅前の本屋さんに取り置きをお願いして買ってきた。

左はその表紙で右は『現代の肖像』の記事の最初の1頁。

6頁にわたるこの記事は島田さんのこれまでのこと、夏葉社を始めたいきさつ、本への向き合い方など多岐にわたって語られている。島田さんのご家族、本屋さんとの話も興味深く、こういう方だからこそ、夏葉社の本たちが生まれてくるのだなあ、とすとんと納得する。

本がもっと好きになる、そんな記事だった。

11月にアルテスパブリッシングから出版予定の島田さんの著作「父と子の絆」が楽しみだ。

 

別の日、池袋のジュンク堂に寄った時レジ近くで見つけたエコバッグ。

『赤毛のアン』『銀河鉄道の夜』『ウォールデン 森の生活』『ハムレット』『こころ』『道程』の6種類があり、大きさは幅28cm×高さ32cm(内ポケットなし・マチなし)。

一枚税込み¥165という購入しやすい価格と、いかにも本屋さんというプリントに惹かれ買ってきた。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

岬書店の本二冊

2020-08-24 13:32:00 | 

連日の暑さにあえぐ葉月、八月。

吉祥寺のひとり出版社、夏葉社さんのインディペンデントレーベル「岬書店」から6月に出版された二冊の本、

「本屋さんしか行きたいところがない」著者:島田潤一郎

「ブックオフ大学ぶらぶら学部」執筆陣は、武田砂鉄、山下賢二(ホホホ座)、大石トロンボ(マンガ)、小国貴司(BOOKS青いカバ)、Z(せどらー)、佐藤晋(ドジブックス)、馬場幸治(古書ビビビ)、島田潤一郎(岬書店)

を大事に読む。

読み終わって夏葉社を置いている本棚に並べた。

しかし、こうやって並べると、その中のどの本も何度も何度も手に取って開いて読まずにはいられない本ばかり。

そして一冊一冊が大事に作られているのが伝わってくる。

佇まいとその内容とが呼応しあい、全ての事が凝縮された結果が一冊の本という形をとってそこに存在しているように感じられる。

夏葉社さんのインディペンデントレーベルである今回の岬書店の二冊もそうで、表紙からして思わずふふふ、となり、中身に大きな期待を抱かせられる。

そして、実際、どちらも全然違うテイストなのだけれど、面白い!!

私は特にΓ本屋さんしか・・・」は紹介されている本屋さんを一度目はさっと読み、次は想像しながらまた検索しながら読んでいた。

本屋さんへ行きたくなる!

各本についての紹介↓

Γ本屋さんしか行きたいとこがない」

夏葉社の島田潤一郎さんが「本の雑誌」2017 年 1 月号〜2018 年 12 月号に連載していた「本屋さんしか行きたいとこがない」、そして「望星」で 2019 年 3 月から連載している「本のゆくえ」。いわゆる市井の町の本屋を訪ね歩き25回にわたって取り上げた「本屋さんしか〜」と出版業界に対する思いを吐露した「本のゆくえ」。本を作り、供給する側の思いと見えてきた課題、そしてその本を売る現場である本屋。島田さんの目から見えてきた本を作り、売るという行為の未来とは。~BOOKNERDより

Γブックオフ大学ぶらぶら学部」

これまで論じられてこなかった、日本全国の本のある場所。
どの都道府県にもあり、慣れ親しまれている「ブックオフ」。しかし、本屋好き同士の会話で、その名前を聞くことはほとんどありません。業界からの敵視、あるいは軽く扱われてきた、知っているし、使ってもきたけど、語られてこなかった微妙な距離にいる存在を語る一冊。腹を割って、自由に話す。~恵文社一乗寺店より

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする