老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

2023年7月28日に終了したインド開催のG20環境・気候変動相会合の報道に関する雑感

2023-08-01 15:18:19 | 環境問題
上記会合がインドのチェンナイで開催されていました。

この会合が気候変動に対するものであり、G20のこの課題に対する現在の状況を見定めるという視点から、その成果がどうであったかは興味があり、幾つかの報道機関の報道をもとに紹介する次第です。

また我がNHKがどう報じているのかも比較が出来る格好の機会でもあることから、かかる観点から、NHKがどこまで日本の市民のことを思って活動してくれているかの紹介もしたいと思っております。

では入手可能なネット情報を見ていきます。

1. ロイター配信
表題:G20環境相会合、排出削減で見解に溝 共同声明見送り

 G20は28日まで3日間の日程で、インド南部チェンナイで環境・気候相会合を開き、気候変動問題などについて協議したが、先進国と途上国との間の見解の相違が埋まらず、温暖化ガス排出削減の目標を巡り合意に至らなかった。インド政府当局者が明らかにした。
 当局者によると、先進国側は地球温暖化を抑制し、熱波・山火事・洪水の悪化を食い止めるために、2025年までにGHG排出量のピークを実現し、2030年までに排出量の絶対量を43%削減することを提案した。
 これに対し、途上国側はインフラ整備や成長能力が制限されるとして、この双方に反対した。2015年のCOP21パリ合意を順守するよう求めた。パリ合意は、各国がそれぞれの状況に応じた方法で、地球温暖化対策を進めることを認めている。
 欧州の代表団によると、中国とサウジアラビアはG20協議を通したコミットメントを拒否。
 欧州連合(EU)のシンケビチュウス欧州委員(環境・海洋・漁業担当)は、一部の国がこれまでの気候変動に関する公約を撤回しようとしていると非難し、「狭い国益に基づいて動いてはならない。最も動きの鈍い国により変化のペースが決められることがあってはならない」と述べた。
 G20議長国インドのブペンダル・ヤダブ環境・森林・気候変動相によると、全ての問題に関する加盟国の完全な合意が必要な共同コミュニケの代わりに、協議の成果をまとめた声明と議長総括が発表される。
 G20は先週インドのゴアでエネルギー相会合を開いたが、一部の国の反対により化石燃料の段階的削減で合意に至らず、4日間にわたった会合の最後に共同声明ではなく、成果声明と議長総括が発表された。

2. 共同通信2023年7月28日
表題:G20環境・気候相会合が閉幕

インドで開かれたG20環境・気候持続可能性相会合が閉幕した。
共同声明は採択できず、代わりに議長総括などを公表した。

3.Climate Home News  2023年7月28日
表題:G20気候変動協議は指導者の嘆願にもかかわらず排出削減を達成できず

 COP28議長のスルタン・アル・ジャベール氏と国連気候変動責任者のサイモン・スティエル氏は、G20各国に対し、リーダーシップを発揮し、野心的な排出削減を実現するよう呼び掛けた。
 インドのチェンナイの首脳会議で、先進国は地球温暖化を抑制するため、2025年までに排出量のピークを達成し、2035年までに排出量を、2019年の水準から60%削減するという約束を求めた。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、これは地球温暖化を臨界値の1.5℃に抑えるためには必要とされる条件である。
 しかし途上国側はこの要求に反対し、各国はその置かれている状況により、それぞれ異なった方法で地球温暖化に対する対策を講じるというパリ合意に基づく方式の堅持を主張した、とロイターは報道している。
 この結果はCOP28議長のスルタン・アル・ジャベール氏と国連気候変動責任者のサイモン・スティエル氏とがG20に参加する各閣僚に対し求めていた要請、即ち的確な道筋を構築し、そして気候変動への対抗意志を明確に示した上で各閣僚はチェンナイから帰国してほしい、とすることに矛盾したものである。
 今回のG20会合は国連気候サミット(COP28)に先立ち、各目標に対するコンセンサスを得る重要なフォーラムの位置付けと見られている。G20各国は世界のGDPの85%と排出量の80%を占めている。「世界は各国の指導者らの団結と行動と救助活動を要請している。そしてその出発点がG20であって欲しい」とジャベール氏とスティエル氏は主張している。
 しかし数日の激しい討論の後、今回の会合も、先週のG20エネルギー相会合の結果と同様に合意には至らず、分裂状態で終えることになった。
 一部の欧州当局者は、少数の国が以前の気候公約に逆行する行動をしていると糾弾している。「我々は大胆な選択を求められており、そして勇気と実行約束とリーダーシップを発揮するよう求められている。我々は狭小な国益によって突き動かされるべきではないし、そして最も歩みの遅い国が規定する変革スピードに合わせるべきではない」と欧州環境委員のバージニジュス・シンケヴィチュウス氏は述べている。
 意見の相違により、会議終了時に共同文書を作成することが出来ず、代わりに結果発表と議長による要約が発表された。
 要約では、各国はエネルギー転換の問題とそれをこの文書にどのように反映するかについて異なる見解を持っていると述べている。
 チェンナイでの会談は、化石燃料の使用削減と再生可能エネルギーの目標設定の公約をめぐってG20のエネルギー相が先週土曜日に意見交換をした際の意見相違の再現だった。
 COP28の議長ジャベール氏の描く計画の柱は、今世紀半ばまでに化石燃料を段階的に削減し、2030年までに再生可能エネルギーを3倍化することである。
 オブザーバーらは、これまで幅広い合意が得られていたように思われた再生可能エネルギーの目標に関して、意見の対立が存在することに驚いているという。
 会談に詳しい2人の関係筋によると、先週の会合で各国政府は3つの陣営に分かれていたという。
 EUとドイツに支援を受けているG20議長国のインドは、再生可能エネルギーを3倍化するというより高い達成目標を支持していた。
 フランス・アメリカ・韓国を含むグループは、この公約の骨抜き化を目論み、再生可能という言葉を限定したり、焦点を絞りこむという考えを嫌って、原子力発電や二酸化炭素回収技術をも含む低炭素解決策を含める様な文言に拡張するよう求めている。
 ロシア、サウジアラビア、中国、南アフリカなどの強硬派は、いかなる形の再生可能エネルギーの目標を導入することにも反対していた。
 現在、アル・ジャベール氏率いるCOP28チームに注目が集まっている。11月のドバイ首脳会議に先立ち、ジャベール氏には意見の隔たりを解消し、何らかの合意形成を図る圧力が高まっている。
 「COP28議長国はあらゆる機会を通じて野心的であり、達成可能な目標を明確に約束するよう引き続きすべての関係者に呼び掛ける」と広報担当者は語っている。
 9月のG20首脳会談は、その目標達成に向けた進展を示す最後の機会の一つになるだろう。

4.The Indian Express 2023年7月29日
表題:G20気候変動会議、強化された行動に関する合意なく終了

 先進国が全員に緩和目標の強化を求める一方、途上国のグループは金融と技術に関する未だ実行されていない約束の履行を強調し、先進国に対し、更なる努力を要求した。
 G20環境・気候大臣会合では、気候変動対策の強化を示す如何なる文言についても合意に達することが出来ず、気候変動対策の強化を求める主要経済国の期待は空回りしたままだった。
 G20の環境・気候持続可能性作業部会の作業を終えた閣僚会合では、排出削減目標の引き上げや2025年までの世界排出量ピークの達成など、最も重要な問題について意見が分かれたままだった。
 先進国が全員に緩和目標の強化を求める一方、途上国グループは金融と技術に関する執行されていない約束の履行を強調し、先進国に対し更なる取り組みを求めた。これらの良く知られた溝は、気候変動会議でも野心的な意思決定を妨げてきていた。
 G20で採択された決定は気候変動会議で到達した合意に代わるものではないが、グループ内の国々の経済的・政治的影響力の故に、グローバルレベルで変動を誘因する可能性がある。
 チェンナイ会合では、一部の国が世界の排出量のピークを2025年までに達成するという約束にG20各国が合意することを望んだが、これは途上国にとっては同意できない内容だった。2035年までに世界全体で2019年の基準値から60%の排出量削減に取り組むという提案もあった。現時点での科学的なコンセンサスは、各国が1.5℃目標の達成に期待を持ち続けるためには、2030年までに2019年のレベルから排出量を約45%削減する必要があるということだ。
 G20の途上国グループは先進国に対し、ネットゼロ目標を10年前倒しし2040年までにカーボンニュートラルを達成することを約束するよう要求したが、これもまた全員が同意するものではなかった。
 世界の再生可能エネルギーの3倍化、化石燃料の継続的な段階的削減計画、メタンなどの非二酸化炭素温室効果ガス排出量の削減などが、合意が出来なかった他の問題の諸点であった。インドなどの途上国も、欧州で今年から施行される炭素国境調整メカニズムについて、偽装貿易障壁に当たるとして懸念を表明した。

5.Kuwait Times 2023年7月30日
表題:G20で気候危機に関する合意出来ず 2025年までに排出量のピーク化の合意ならず

 G20の環境大臣らは金曜日、インドで開かれた会合で、世界の排出量を2025年までにピークに達させること、再生可能エネルギー利用の3倍化等、世界の気候危機に対処するためのその他重要な問題について合意出来なかったと述べた。フランスの環境大臣クリストフ・べシュ氏は「特に石炭の段階的廃止や削減についても合意出来ず残念だ」と語った。そして、中国・サウジアラビアとの協議、ロシアとの協議は複雑だったと、べシュ氏は付け加えている。
 会議の議長を務めたインドのブーペンダ―・ヤダブ気候変動大臣は、「エネルギーに関するいくつかの問題といくつかの目標を定めている課題が存在していた」ことを認めている。
 今回のチェンナイでの会合は、世界のGDPならびにCO2排出量のそれぞれ80%以上と影響力の大きい国々のエネルギー担当相らがインドのゴアにおいて、世界の現在のエネルギーの各源泉から化石燃料を削減していくという工程作りに失敗した数日後に開催されたものであった。気候専門家らが洪水・暴風雨・熱波を引き起こしている要因が記録的な高温にあると指摘する中での、今回の合意作りの失敗は緩和努力に水を差すと見られる。
 石油産油国らは、厳しい緩和措置を講じることによる彼らの経済への影響を心配している。そしてゴアでの進展が無かった原因として、ロシアとサウジアラビアを非難した。
 運動家らは度重なる合意の失敗に落胆している。気候変動シンクタンクE3Gのアレックス・スコット氏は「欧州・北米は炎上中で、アジアは洪水に見舞われている。こんな中、G20気候大臣らは日に日に高進する気候危機を抑制する共通の方向性についての合意に失敗している」と述べ、サウジアラビアと中国の抵抗は、彼らが途上国の利害を擁護しているとする主張に反する、とも付け加えている。
 今年のCOP28気候変動会合の最高責任者のアドナン・アミン氏は「この金曜日の会合に参加した全員が、世界が直面している危機の重大性を理解している。だが、一種の政治的了解が働いていると思う。全ての国が先ず自国に直接に関わる利害をおもんばかる所から始めるのは明白なことだ」と指摘している。
 大半の参加国の代表は環境ならびに気候変動担当大臣で、一方米国はジョン・ケリー気候担当大統領特使が代表団を率いていた。そして11月下旬から始まるCOP28会議を主導する石油トップのスルタン・アル・ジャベール氏も出席していた。ジャベール氏は、彼がアブダビ国営石油会社のトップであり、地球温暖化の主要な原因と目されていることから、厳しい批判にさらされてきている。
 欧州連合環境委員のヴィルジニジュス・シンケヴィシウス氏は「壊滅的な気候事象の証拠が増えている。そして人々の暮らしが破壊されている。交渉の歩みは遅く、G20はウクライナ戦争で分極化し、重要な課題に対して明らかな意見の対立が起こっている。エネルギー調達等の望ましいシステム移行を資金面で支援する観点や、短期的に発生する打撃による影響を改善する観点の課題は、永らく途上国と富裕国との間で論争されてきている」と言う。
 インド等の主な途上国は、従来から主要排出国だった諸国が、貧困国側における緩和努力の費用をより多く負担する必要性を論じている。「先進国はどんなことを公約しようとも、それらは実行されなければならない」とヤダブ氏は言う。そして土地の劣化問題や海洋資源の持続可能な利用法等の幾つかの課題については合意に達したと付け加えている。

***

7月28日まで行われていたG20チェンナイ会合の状況を紹介する新聞や論説を紹介しました。チェンナイ会合の模様とその数日前に同じくインドのゴアで開催されていたエネルギー問題会合についても、ある程度の現状認識は得られるものと思います。

現在の気候危機の大半の原因を作り、そして今はその蓄積した資金力と技術力を背景に自国の気候危機への対応は充分に行っている状況にある先進国の優越的立場が一方にあり、そしてもう一方では責任を問われる必要のない国々でありながら、気候危機の惨状を甚大に被っている資金力に乏しい途上国が存在しているという構図を、先ずは絶えず議論の前提に置いておくべきでしょう。

そのような視点を意識した報道を我々は求めたいものです。そういう観点でG20チェンナイ及びゴアに対する世界の報道は全体を通して見ると、視野を広く取りバランスを考慮しており、一定の評価は出来るのではと思います。

***

では最後にNHKがチェンナイ会談をどう報じているかを見てみます。

6.NHK NEWS WEB 2023年7月29日
表題:G20環境と気候変動問題の閣僚会合 共同声明まとまらず

 インドで開かれたG20=主要20カ国の環境と気候変動問題の閣僚会合は、ロシアのウクライナ進攻をめぐる記述などで折り合えず、共同声明をまとめることができませんでした。
 インド南部のチェンナイで28日開かれたG20の環境と気候変動問題の閣僚会合では、気候変動への対応や海洋資源の保全などについて議論が交わされました。
 閉幕後の記者会見で議長国のインドは「持続可能で強じんな未来の実現のために、G20の閣僚は一致した立場を示した」と述べ、成果を強調しました。
 一方で、声明への具体的な記述をめぐり各国の立場に隔たりがあったとして、共同声明を見送ったことを明らかにしました。
 閉幕後に発表された議長総括によりますと、会合でロシアがウクライナ情勢や経済制裁などに関して、ほかの国とは異なる立場を表明したほか、中国は地政学的な内容を声明に盛り込むことに反対したとしていて、ウクライナ進攻などをめぐり、折り合いがつかなかったものとみられます。
 ことしインドで開かれているG20の閣僚会合では、欧米とロシアの対立が続くなか、共同声明がまとまらない事態が相次いでいます。

***

欧米とロシアの対立と言う記載やロシアのウクライナ進攻と言う文言を計4か所で使っていたり、中国が反対したことが折り合いをつけられなかった要因だとしている等、共同声明がまとまらない事態が相次いでいる原因はすべてロシアと中国のせいだと言っているようにうけとれるG20の紹介記事に仕上げております。

異常気象と言う困った課題の存在は認めるものの、極めて健全な国際社会の中での困った国、ロシア・中国、という構図を際だたせようとする悪意とも思える論説と言えます。そして日本を含めた健全な先進的欧米社会が提示する改革プログラムがベストとの意識が見え隠れしているようにも感じます。

今回G20の会合で目指した合意が達成できなかった根本理由は、次の点における先進国側と途上国側との間に大きな溝があり、今回も埋められなかったことが最大の要因でしょう。

即ち、「先進国は全員に緩和目標の強化を求める一方、途上国のグループは金融と技術に関する未だ実行されていない約束の履行を強調し、先進国に対し、更なる努力を要求している。」そして「エネルギー調達等の望ましいシステム移行を資金面で支援する観点や、短期的に発生する打撃による影響を緩和し改善する観点の課題は、永らく途上国と富裕国との間で論争されてきている。インド等の主な途上国は、従来から主要排出国だった諸国が、貧困国側における緩和努力の費用をより多く負担する必要性を論じている。」

NHKの報道姿勢には、現在の気候危機の大半の原因を作った日本も含まれる先進諸国の責任意識の希薄さが、そして自国の気候危機の軽減策もそのグローバルサウスから奪い取り蓄積した資金力と技術力を背景に講じることさえ整えればそれで良しとする、優越的な傲慢さが現れていると思います。

責任を問われる必要のない、ただただ気候危機の惨状に疲弊している途上国のことをおもんばかる眼差しの欠如を感じてしまう、極めて残念な報道姿勢と考えます。

そして先進国対途上国という構造に存在する格差問題を思わず、前提にして考える癖がついてしまい勝ちですが、先進国の中にも、そして途上国の中にも同じ格差問題がそれぞれ潜んでいるということも、議論の大前提に加えておく習慣を持つことも重要と思っております。

我々のまなざしを向けるべき先は非常に多く、そして見た目は極めて自然に見えてしまうものの、それでいて極めて力強く格差を強要する勢力が存在することに注意し続ける必要を感じます。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan
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「護憲+」は第二十一期に入りました

2023-08-01 10:41:29 | お知らせ
2003年6月に、「政治に責任を持ち、これからはだまされないぞ、と自覚をもって集まろう」という、なだいなださんの呼びかけで誕生した「バーチャル政党・老人党」の中で、当時の自民党政権が打ち出した、平和主義の否定、国家主義的色彩の濃い「自民党改憲草案」に危機感を抱いたメンバーが集って、2004年1月に「老人党リアルグループ・護憲+」は発足。2023年8月1日より第二十一期(*)に入りました。

この間私たちは、憲法の根本原理「立憲主義」と基本理念「国民主権・人権・平和」の視点に立って考え、判断し、行動することの大切さを広く伝え、憲法に則った政治・社会を実現したいと願って、ホームページやブログによる情報・メッセージ発信、学習会・意見交換会の開催・参加など、多岐に亘る活動を展開してきました。

この間の国内政治を振り返ると、2009年9月に誕生した民主党政権が、旧来の自公政権と変わらない政策に傾斜して、国民の失望、反発を招き、2012年の衆院選、2013年の参院選で大敗。自民・公明が、圧倒的多数を占める政権与党として返り咲きました。

こうして誕生した安倍自民党政権は、支持率が安定していると見るや、安倍氏の「改憲志向」を支える固定支持層の意向を後ろ盾に、多くの国民の反対を押し切って、「秘密保護法」、「安保関連法」、「共謀罪」など、現憲法の基本理念を空洞化させる法案を次々に成立させ、「改憲」への歩みを進めていきました。

また、当初期待された「アベノミクス」と称する経済政策の実態は、「社会福祉費の削減」「防衛費の拡大」「非正規雇用の促進」「消費税10%増税」と、経済を悪化させ、国民生活を圧迫し苦しめる政策であることが、明らかになりました。

2017年以降になると、「森友学園」「加計学園」「桜を見る会」等、安倍氏による政治の私物化が次々に明るみに出て、これ等の問題を取り繕うために、閣僚や官僚による隠蔽、虚偽発言、公文書改ざんが繰り返され、国民の間に深刻な政治不信が生まれました。

2020年以降、安倍氏は、日本を含む世界に広がったコロナ禍に対して、アベノマスクやコロナ禍さ中のGO-TOキャンペーンなど、支離滅裂な対策を繰り返した挙句、2020年9月、“体調不良”を理由に首相を退任。

退任後の2022年7月、安倍氏は参院選の応援演説中に銃撃され死去。「旧統一教会と自民党の癒着の露見」を置き土産に、安倍政治は終わりを迎えました。

安倍氏退任後、1年間の菅首相在任を経て、2021年9月に自民党総裁に就任した岸田首相は、安倍氏襲撃事件当初は、事件をきっかけに明らかになった「自民党議員と旧統一教会の深い関係」を「断ち切る」と宣言したものの、具体的な行動は各議員の判断に任せ、民主主義の根幹を揺るがすこの問題は、うやむやのまま蓋がされようとしています。

岸田政権の政治全般について見てみると、就任当初自らの特技を「聞く力」と語り、従来とは違った政権運営が行われるかと期待された岸田首相でしたが、安倍氏の死去直後に、「思いを引き継ぐ」と宣言。財政引き締め政策と、結果としての経済悪化、物価高騰、防衛費の大幅増と防衛費増税の示唆、少子化対策にかこつけた高齢者向け社会保障歳出の削減、公的年金の引き下げ等、憲法で保障された「健康で文化的な生活」とは裏腹の、国民に苦しい生活を強いる政策を推し進めています。

直近では、マイナンバーカード普及にやっきになって、健康保険証との一体化による現行保険証の廃止という、個人情報保護の観点からも、健康保険制度を支えるインフラの安定性の観点からも、危うさを抱えた施策を、7割を超える反対を押し切って、強引に実施しようとしています。

長きにわたり続いた自民党による、国民生活の軽視、憲法の空洞化、嘘・隠蔽・改ざんの常態化、カルト集団と手を組むことさえ厭わぬ党利党略性、数の力で押し切る強権的な政治。こうした政治を、私たちはこれ以上続けさせるわけにはいきません。この国に暮らす全ての世代の今と未来のために、国の在り方を問い直し、現政権の早期退場を求めていきたいと思います。

更に、世界全体に目を向けると、日本を含む世界は今、新型コロナウイルスとの闘いに加え、ロシアによるウクライナ侵攻と激動する安全保障体制、頻発する大規模自然災害、過剰なデジタル化やAIによる社会の変容、等々、人々の生きる基盤を揺るがす重大な共通課題に直面しています。私たちは、こうした世界共通の問題についても、世界の人々と情報を共有し、広い視野をもって考え、発信し、行動していきたいと思います。

以上の認識のもと「護憲+」は、第二十一期も以下の活動を行っていきます。

1.憲法誕生の歴史的背景と、「一人ひとりの暮らし・命を大切にする」という日常的視点に立って、憲法の根本原理「立憲主義」と、基本理念「国民主権・人権・平和」の意義を伝え、政治への関心を広く喚起する。

2.現在の自民党政治に代わる、立憲主義に則り、憲法秩序を守り、国民の暮らしや命を大切にする政党や政治家を応援、支援し、政権交代が早期に実現するよう、後押しをする。

3.コロナ・パンデミック、貧困、環境、安全保障など、世界共通の問題に目を向け、国内外の人々との情報交換や交流を深め、広い視野に立った問題解決に努める。

4.翼賛体制を支えるメディアや、権力による言論規制の動きを指摘・批評し、改善を促す。国民に必要な情報や客観的視点に基づく情報を収集・分析・伝達する。

.上記のために、掲示板・ブログでの発信を行う。また、主体的・積極的に行動し、意思表示を行う。

〔*第二十一期:2023年8月1日から2024年7月31日まで。当グループは、運営全般に関して一年ごとの見直しを行っています。詳しくは「運営」をご覧下さい。〕

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「護憲+」HP:【趣旨】より
笹井明子
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